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絶食時のラットを用いたビペリデンの体内動態変動 要因の解析

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(1)

絶食時のラットを用いたビペリデンの体内動態変動 要因の解析

著者 石崎 純子, 横川 弘一, 中島 恵美, 永野 耐造, 前 田 均, 市村 藤雄

雑誌名 病院薬学

巻 17

号 5

ページ 322‑329

発行年 1991‑10‑01

URL http://hdl.handle.net/2297/6255

(2)

[臓籔慧翻

絶食時のラットを用いたビペリデンの体内動態変動要因の解析 石崎純子↑1,横川弘一↑1,中島恵美↑1,永野耐造T2,前田均↑2,市村藤雄*↑l

金沢大学医学部附属病院薬剤部↑’

金沢大学医学部法医学教室↑2

AnalysisofFastingEffectonBiperidenDistribution

KineticsinRats

JuNKoIsHIzAKI↑1,KoIcHIYoKoGAwAf1,EMINAKAsHIMA↑1,

TAIzoNAGANof2,HITosHIMAEDA↑2,FuJIoIcHIMuRA*↑’

HospitalPharmacW1,DepartmentofLegalMedicine↑2,SchoolofMedicine,

KanazawaUniversity

(ReceivedApril22,1991)

Analysisoffastingeffectonbiperidendistributioninratswasexamined.Theplasma concentrationat24hrafteri.v・injectionof3、2mg/kgvariedbetweenq45ng/ml(10-week-old fastedrats)andL4ng/ml(10-week-oldnormalrats).Thesteadystatedistributionvolumeof biperideninthefastedratswassmallerby2/3thanthatinthenormalrats・Thedetermi- nedpercentageoffattissueperbodyweightreducedfrom7、6to2.3%wascausedbyfasting・

Therewasagoodcorrelationbetweenthesteadystatedistributionvolumeofbiperidenper leanmassbodyweightandthefatvolumeperleanmassbodyweight(r=0.989)infourdif- ferentgroups(l0-week-oldfasted,4-,10-,and50-week-oldnormalrats).Thefatm1asma

concentrationratiosat8hraftertheLv、injectionvariedbetween380(10-week-oldnormal

ratS)and550(10-week-oldfastedrats),whereasthebrain/plasmaconcentrationratioswere identicaltothoseatsteadystateamongthetwogroups・Thetimecoursesofbiperidencon- centrationinplasma,brain,andfatweresimulatedusingaphysiologicalpharmacokinetic

model・Therewasreasonableagreementbetweenthemodelpredictionsandtheobserveddata,

suggestingthatthechangeinthefatvolumeisadominantdeterminantofthedistribution volumeofbiperideninrats・Changesinfastedtissueandplasmaconcentrationsarediscussed inrelationtotheclinicalusefulnessofthebloodlevelmonitoring.

Keywords---biperiden;physiologicalpharmacokinetics;fasting;fatvolume;distribution

極めて高い脂溶性を持つ薬物や細胞外液しこの承 移行する薬物では,体脂肪量による変動は特に顕 著となる.肥満によって体内動態が変動すること はnitrazepamn,trazodone2)で報告されてい るが,いずれも血漿中濃度推移のデータの承から 現象を記述したものであり,その変動要因の定量 的な考察はなされていない.

緒目

薬物投与計画を立案する場合に,

臨床上,薬物投与計画を立案する場合に,絶食 や肥満,加齢による薬物体内動態の変動をしばし

ば考慮しなければならない.

↑1,2金沢市宝町13-1;13-1,Takara-machi,Kana-

zawa,920Japan

(3)

病院薬学VOL17,No.5(1991) 323

前報3-5)において著者らは中枢性抗コリン剤 biperiden(BP)の体内動態を検討し,生理学的 薬物速度論モデルを非結合型薬物の肝固有クリア ランス及び組織一血漿間非結合型薬物漉度比を用 いて構築し,血漿中及び組織内濃度推移の予測に 成功した.また,見かけの脳/血漿濃度比及び脂 肪組織/血漿濃度比から加齢時における組織分布 変動について解析した6》.しかし,このモデルが 絶食時の体脂肪量変動にも適用できるか否かは不 明である.

そこで,今回著者らは絶食時におけるBPの体 内動態の変動要因が体脂肪量変化に依存すること を明らかにするために,絶食ラットを用いてlean massbodyweight(LBW)あたりの体脂肪量 とBPの定常状態分布容積との相関性について加 齢時の場合と比較検討することとした.

態に達した16時間後に屠殺し鳫血させた後,組織 を摘出し5倍量の生理食塩水でホモジネー卜し た.

5.肝抽出比(ER)の測定3)

Kpの測定と同様な方法により定常状態に達し

た後,肝静脈及び大腿動脈より採血し,各血漿中

BP濃度を測定した.

6.血清中蛋白非結合型分率(fp)の測定5)

アクリル樹脂製のセルを用いてBPを25-10000 ,9/mlの濃度範囲において,平衡透析法により 37°Cで8時間インキュベートした後測定した.

7.肝血流量(Qh)の測定

Yokotaら9)の方法に従って,ラットの肝静脈 及び大腿動脈にポリエチレンチューブをカニユレ

ーションし,下腿静脈からindocyaninegreen

(ICG)を1oadingdoseした後,13~27肥/min

で定速注入した.定常状態に達した投与開始60分 後から10分毎に,肝静脈及び大腿動脈から同時に

0.4mlずつへパリン処理したスピッツに採血し た.血漿中ICG濃度は吸光度法により測定した.

肝血流量はBradleyら'0)の式に従って算出し

た.

8.体脂肪量の測定

体脂肪量の測定はEntenmanら'1)の方法に準

じて行った.ラットをエーテル麻酔下で屠殺し,

胃腸を内容物と共に除去した後,直ちに残りの重 量を測定した.その全量をチョッパーを用いてミ ンスにした後,等量の水を加えてホモジネートし た.その約109を円筒ろ紙に正確に秤量し,完全

に乾燥させた後,ソックスレー抽出装置に挿入

し,エーテル200mlで脂肪を抽出した.そのエー テル5mlを蒸発乾固した後,乾燥残直重量を秤量

して求めた.

9.BPの定量法

前報'2)で述べたムービングプレカラム式試料導 入装置を装備したガスクロマトグラフにキャピラ リカラム(ULBONHR-52)を接続し,アルカリ 熱イオン化検出器を用いたガスクロマトグラフィ ー法により測定した.

10.生理学的薬物速度論モデルの構築 Fig.1に示すようなBPの血漿中及び各組織 実験の部

1.試料

、本実験に使用したbiperidenは大日本製薬㈱よ り提供を受けた.その他の試薬はすべて市販特級 品を使用した.

2.動物実験

本実験には,すべて10週齢のWistar系雄性ラ ット(三共ラボラトリ)を用いた.絶食ラットは 10週齢ラットに水の糸を自由に与え,4日間絶食 したものを用いた.動物実験は前報3,4,7)に従って 行った.すなわち実験開始前,軽いエーテル麻酔 下で大腿動脈及び大腿静脈にポリエチレンチュー ブをカニユレーションした.BP(3.2mg/kg)を ラットの下腿静脈へ2分間かけ投与した後,所定 時間毎に大腿動脈カニューレより,ヘパリン処理 したスピッツに採血した.遠心分離した後,血漿 を分析まで-30°Cで保存した.

3.血液一血漿間分配比(RBP)の測定 前報3)に従ってBPを25-10000,9/mlの膿度 範囲において,遠心法により37°Cで30分間イン

キュベートした後測定した.

4.組織一血漿間薬物濃度比(Kp)の測定7,8)

BP(3.2mg/kg)を瞬時投与した後,ラットの 大腿静脈に10’9/kg/minで定速注入し,定常状

(4)

肺:

Vlu・`Clu/`ノーRBP・Qlu(Cv-Gu/(九・

Kbu,,u))・……・…….(4) 肝:

VMC,/`ノーRBP((Ql-Qgi-QSp)Ca+

Qgi・Qi/(九・Kbu,9,)+Qsp・Csp/(九・

Kbu,sp)-Ql・Cl/(九・Kpu,1))-CLunl`,H・

Cl/Kbu,,。………・………・………(5)

〃:2分間で注入される投与速度 C:血漿中あるいは臓器・組織内濃度,

ng/ml

CLunit,H:非結合型薬物の肝固有クリアラ ンス,ml/min

九:血清中蛋白非結合型分率

Kbu:組織一血漿間非結合型薬物濃度比 RBP:血液一血漿分配比

Q:血流速度,ml/min

V:血漿あるいは臓器・組織量,ml b:血液,a:動脈,1:肝,k:腎,gi:腸 管,1u:肺,h:心臓,m:筋肉,br:脳,

f:脂肪,bo:骨,v:静脈,s:皮膚,t:

組織 11.データ解析

データ解析には,デジタルコンピュータ(FAC OM-M360AP,金沢大学情報処理センター)を使

用した.生理学的薬物速度論モデルによる計算に は前報3,13)のプログラムを用いた.薬物速度論的

パラメータはYamaokaら'4)に従ってモーメン

ト解析法により求めた.データの統計的処理には

Student-t検定を用いた.また,計算による予測

値と実測値との相関係数は前報'5)に従って求め

た.

Fig.1.PhysiologicalPharmacokmeticModel forBiperidenFullyDiagrammingthe B1oodCirculationthroughtheVarious TissuesStudied

内濃度推移の予測に適用可能な生理学的薬物速度 論モデルを以下のような仮定に基づいて構築し

た.

1)各臓器・組織はwell-stirredcompart-

mentである.2)BPの分布は血流支配による.

3)BPの消失は線形性の肝代謝の承である.4)

BPの組織一血漿間非結合型薬物濃度比(Kpu)は

薬物濃度に非依存,性である.

BPがこの生理学的薬物速度論モデルに従うな

らば,各臓器・組織でのBPの動態は式(1)~(5)の

各物質収支式で表すことができる.

非処理臓器・組織:

VMG/`ノーRBP.Q,(Ca-C,/(九・Kbu,,))

.…………・……・……(1) 静脈:

VMCv/dノーQi・Cl/(九・K、u’1)-Qb・Cv

+jWRBP・………..(2)

Qb=Qbr+Q1+Qk+Qh+Qm+Qf+Qbo+Qs

動脈:

J/i・`Ch/dノーQlu(Clu/(九・Kbu,,u)一Ca)…(3)

結果 1.絶食による体内動態の変動

Fig.2には絶食ラットにBP(3.2mg/kg)を静 脈内投与した後の血漿中濃度推移を示した.すで に報告6)した4,10,50週齢ラットで得られた結 果も同時に示した.絶食ラット及び4,10,50週 齢ラットにおける投与後24時間後の血漿中濃度は 各を0.45及び0.8,1.4,5.0,9/mlであり,約10

ロ戸①戸

brain

sp le e、

skin

(5)

病院薬学VOL17,No.5(1991) 325

1000

(一日へ、■)ロ○一一日旨①opCo 100 oz●△ 口豆五 ロー●江 ○▲■エ

10 口Q衣 ロU△▲一

●一五Z

五〒坐 ■五

0.1

0612182430364248

Time(hr)

Fig.2.SemilogarithlnicPlasmaConcentration-timeProfiles followingBiperiden(3.2mg/kg)Administrationas 2-mini.v・InfusioninlO-week-oldFasted,4-,10-,

and50-week-oldNormalRats

Eachdatapointrepresentsthemean±SEMofmore thanthreerats.

▲,fasted;△’4weeks;●,10weeks;○,50weeks

倍の濃度差が認められた.また,そのterminal phaseの半減期は各々3.3及び5.1,6.1,15.Ohr であり,各群間で最大5倍異なることがわかっ た.

10週齢の正常及び絶食ラットにおける薬物速度 論的パラメータをTablelに掲げた.絶食時の ラットにおける体重あたりの定常状態分布容積 (Vdss/BW)及び全身クリアランス(CLtob/BW)

は,10週齢正常ラットに比較して有意に減少して いた(p<0.01).一方,両群ラットのf,,,RBP,

及び肝抽出比はほぼ等しい値が得られた.

2.生理学的パラメータと体内動態パラメータ の関係

10週齢正常及び絶食時のラットにおける生理学 的パラメータをTable2に掲げた.4日間の絶 食により体重は約509減少し,実測した体重あた

TableLPharlnacokineticParametersofBiperideninRats

Normal「atSa Fastedrats

fpb RBPb

NSY1 0.135±0.015

(N=16)

1.16±0.07

(N=12)

0.91±0.07

(N=4)

14.0±1.4 67.7±3.0

0.179±0.024

(N=16)

1.13±0.16

(N=10)

0.87±0.11

(N=4)

9.34土1.08 54.3±2.9

NSd hePaticextraction

ratiOb Vdss/BWOiter/kg)c CLtovBW(ml/min/kg)c

NSd p<0.01 p<0.01 aValuesreportedpreviousiy(6).

bEachvaluerepresentsthemean±SEM・

cEachvaluerepresentsthemean±SD dNosigniIicantdifference

(6)

Table2.PhysiologicalParametersinRats Fastedrats NormalratSa

p<0.01 p<0.01 p<0.01 p<0.05

4剰朋印M勺肌句

十一一一十一一一十一一一十一一一9N3N1N4N 鯛1.2lal2I、45

290±4

(N=45)

7.6±0.7

(N=3)

42.3±2.2

(N=4)

59.7±4.0

(N=6)

Bodyweight(9) FaVBW(%)

Hct(%)

Qh/BW(ml/min/kg)

Eachvaluerepresentsthemean±SEM.

aValues「eportedpreviousIy(6).

りの体脂肪量は正常ラットに比較して約1/3に減

少していた.

ラットにおけるLBWあたりの定常状態分布容 積(Vdss/LBW)と体脂肪量(Fat/LBW)との相 関性は,生理学的薬物速度論を用いて以下のよう

に表すことができる'6).

Vdss=WRBP+ZKb,lean,1.

Vt,lean,i+Kb,fac・Vt,mt・……・……・…(6)

ここでVb,V`,lean,i及びV`,fa0は血液量,脂 )肪組織を除く他の臓器・組織量及び脂肪組織量を 表し,Kp,…,i及びKp,fabは,それぞれの組織一 血漿間薬物濃度比である.

本実験において各臓器・組織からエーテルによ り抽出された脂肪量は,筋肉,皮膚,肝,心,腎 及び肺では,その重量の2%以下であり,一方,

脂肪組織では95%以上であった.そこでLBWは 全体重と全身の脂肪組織量との差であると仮定で

きる.

また,各群ラット間でKp,,…,!及びKp,fa`値 は一定とし,Vb及びVt,lean,i値はLBWに比例 すると仮定すれば,Vdss/LBW値は式(6)より式(7)

で表すことができる.

Vdss/LBW=constant+Kp,fat・

Vt,m$/LBW・………・……….(7) 絶食及び4,10,50週齢正常ラットにおける Vdss/LBWとFat/LBWとの相関関係をFig.3 に示した.両者の間には相関係数0.989の良い相 関性が認められた.図中の直線と式(7)の関係より 縦軸の切片は,脂肪組織量がゼロの場合のVdss/

LBW値を示す.また,傾きは69.5が得られ,実

(切望官①ご『[)ご戸四日へ切る戸

、25 115C

000-0

Fat/LBW(kg/kg)

Fig.3.CorrelationbetweentheVolumeof DistributionatSteadyStateperLean MassBodyWeight,Vdss/LBW,and FatVolumeintheWholeBodyper LBWinRats

r,representsthecorrelationcoeffici‐

ent.

▲,fasted;△’4weeks;●,l0weeks;

○,50weeks

側した脂肪のKp値(66.2±13.0,,=9)と良く 一致した.

3.ラットにおける生理学的パラメータ 生理学的薬物速度論モデルによる計算に用いた ラットの各臓器・組織重量及び血流速度の値を

(7)

病院薬学VOL17,No.5(1991) 327

Table3TissueVolumes(V6),B1oodF1owRate(Qo)andTissue-to-plasma Partitions(Kpu)UsedforthePhysiologicalModelofBiperiden

inRats

Normalratsa Fastedrats

KPua

Tissue Vt Qt Vt Qt

bcccc●、ccbb0Dbハロク』『JpU(□nDFoハニ(。(U(U○)●●●●■ ●■●●●● 『J1Ⅱ■I(U18.1R)R)FD(U(on)10 ヨーヨー▲4つ」

Blood Lung Brain Heart Kidney Muscle Adipose Liver Gut Skin Bone SpIeen

038220007781 ●●●●■●●●■■●● 111122248861 321142 994467231860 ●●●●●●●●●●●● 881548372511 44 11 3346004駅0868●●●■●●■●●■●● 001328120410 44 11

473.8±50.9 60.3±7.7 62.4±12.0 78.7±7.9 31.2±3.7 464.0±34.8

89.3±17.0 32.5±5.0 16.5±2.9

aValuesreportedpreviousIy(6).

bCalculatedvaluesbasedonnormalweightrats・

cMeasuredvaluesinthepresentstudy.

Table3に掲げた.皮膚,骨及び脾臓の臓器・組 織重量は正常ラットの文献値7)を基に体重換算し た.腸の臓器重量はBischoffの式(8)'7)を用いて 換算し,その他の臓器・組織重量は実測値を掲げ た.各臓器・組織の血流速度は正常ラットにおけ る文献値7)を基に,臓器・組織重量あたりで比例 換算した.また肝血流量は実測値を使用した.

J/t=0.091.BWU、94………(8)

4.生理学的薬物速度論モデルによる絶食ラッ トにおけるBP濃度推移予測

絶食時における体内動態変動の予測を生理学的 薬物速度論モデルを適用し検討した.絶食ラット にBP(3.2mg/kg)を静脈内投与した後の血漿 中,脳及び脂肪組織内濃度の実測値をFig.4に 示した.同時に10週齢正常ラットの場合も示し た.実測した体脂肪量を用いて生理学的薬物速度

100000 lOOOOO

10000 1000 100 10 0.1

NormalrntS (一日へ切皀) 01 00 00 00 Fastedrats

(一巳へ即巨)口○一]何』旨gEoo

一一 三

◆ヘ。◆ヘ。

臣。一一自首①QEoQ

100

、ご垣

10

0.1

061218243036061218243036 Time(h『)TimeO1r)

Fig.4.Model-predicted(lines)vs、Observed(points)TissueConcentrationsofBiperiden inlO-week-oldFastedandNormalRats

Ratsreceivingbiperideni.v・at3.2mg/kgweresacrificedat2to34hrafteradmi- nistration,andbrain,fatandplasmalevelsweredetermined.

○,plasma;◆,brain;◇,fat

(8)

Iま相関係数0.987の良い相関が見られ,見かけの 脳/血漿濃度比はTable3に示した定常状態下

で求めたKp値に一致していた.一方,脂肪組織

内濃度と血漿中濃度との間には良い相関性は見ら れず(r=0.626),両群ラットにおける見かけの脂 肪組織/血漿濃度比の各平均値は,10週齢正常ラ ットで約380,絶食ラットで約550であり,定常 状態下で求めたKp値の5倍以上であった.生理 学的薬物速度論によれば,このような両群ラット 間における見かけの脂肪組織/血漿濃度比の差異 は,BPのterminalphaseでの消失速度の違い によって説明できる6).これらのことより,Bpの 標的臓器である脳内濃度は血漿中濃度とKp値の 積から予測することができ,投与後のterminal phaseにおける血漿中濃度測定の有用性が示唆さ れた.しかし,血漿中濃度からの脂肪組織内濃度 の単純な予測は困難であった.

以上,本実験では絶食時におけるBPの体内動 態変動の要因を体脂肪量とVdss/LBWの相関性 を明確にすることにより定量的に解明した.更 に,体脂肪量変動に対応した生理学的薬物速度論 モデルを構築し,BPの標的臓器である脳内濃度 推移を予測することができた.これらのことは,

個体間変動を考慮した投与量決定の際に有用性の 高いものと思われる.

謝辞本研究は「救急医療をめぐる臨床法医中毒学 的研究」の一部として文部省科学研究費の助成によっ てなされた.

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論モデルにより算出した各計算曲線は実線で示し た.いずれの場合も実測値と計算曲線の間には 相関係数0.962~0.991の良い一致が見られた.

BPの脳内への分布は速やかであるが,脂肪組織 への分布は比較的緩やかであった.また,静脈内 投与後,8~30時間における見かけの脂肪組織/

血漿濃度比は各時間毎の脂肪組織内濃度と血漿中 濃度の実測値の比を平均して求めた.この結果,

絶食ラットにおいては552±146(mean±SEM)

であり,正常ラットの値より約46%増加してい た.

考察

本実験では絶食時のラットにおけるBPの体内 動態変動を生理学的薬物速度論モデルを用いて解 析することができた.

前報6)で,著者らは加齢によるBpの体内動態 変動の要因に関する検討を行った.BPの消失過 程のほとんどは肝代謝によるものであり,CLtot/

BW値は週齢に関係なく各々肝血流速度に良く一 致していた.今回試ゑた絶食時の場合を含めても 同様な結果が得られた(r=0.937).すなわち,絶 食後のBPのCLmt/BWの低下は肝血流速度の 低下で説明できた.

また,加齢ラットにおいてVdss/LBWとFat/

LBWとの間に良い相関関係が得られたが,Fig.

3に示すように絶食ラットの場合もこの関係を良 く満たしていた.また,この関係を用いて縦軸の

切片からVb・RBP/LBWとKp,lean,1.V0,1゜an,i/

LBWの和Vdss/LBW値を求めることができる.

以上のことは絶食に伴うBPのVdss/BWの変動

の主な決定因子は体脂肪量の減少であることを示

している.

絶食ラットにおけるBP静脈内投与後の血漿

中,脳及び脂肪組織内濃度推移を正常ラットで求 めたKpuの平均値と実測した脂肪組織量を用い

て,生理学的薬物速度論モデルにより予測した曲

線は,いずれの場合も実測値と良く一致した (Fig.4).この結果,BPの血漿中濃度推移は両群

ラット間で異なっていたが,BP静脈内投与後8

~34時間における脳内濃度と血漿中濃度との間に

(9)

病院薬学Vol、17,No.5(1991) 329

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参照

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