トロントの安全で 信頼できる水道 ペルーの逆浸透 淡水化システム ステンレス鋼継手 必須の部品
ニッケルと水:
流れを最大限に活用
ニッケル誌第27巻第2号 (2012年11月号)
ニ ッ ケ ル と そ の 用 途 の 情 報 誌
1895年にドイツの化学者Hans Goldschmidtにより開発さ れたプロセスに続いて低炭素フェロクロムが入手可能にな ったことは、ステンレス鋼発見に至る重要なステップとなっ た。1898年にフランスでA. CarnotとE. Goutalが、クロムカー バイドは耐食性を与えるのに役立つクロム含有量を効果的 に減少させるのだが、クロムカーバイドの形成により鉄―ク ロム合金中の炭素の有害な影響を証明した。
1903年、英国特許23,681がLa Societé Anonymede la Néo- Metallurgieのさびない鉄に対し交付された。これは、クロム 24-57%、ニッケル5-60%、鉄16-38%の中炭素合金で あった。その当時の特許の多くがそうであったのだが、合金 元素の範囲が広い。そうした合金は高価だけでなく、鋳物以 外の製品形態で生産するのが困難であった。それらの合金 は高温の用途に使用された。
フランスの冶金学教授のLéon Guilletは、鉄―クロム合金 を体系的に研究した。それより前に同様の研究が英国のSir Robert A. Hadfieldによってなされていたが、高炭素含有量 の鉄―クロム合金についてだけであった。1904年にGuillet は研究成果を発表し、各合金の金属組織、熱処理、機械的特 性を説明した。それらの組成のいくつかは、現在使用されて いるフェライト系とマルテンサイト系のステンレス鋼として 認識されてぃる。しかし、Guilletは耐食性は研究せず、結果的 に、それらの「さびない」特性を理解しなかった。彼は、それら の合金のミクロ組織を明らかにするにはもっと侵食性のある 腐食液(腐食液に使用される腐食性化学物質)が必要である
ことに注目した。2年後の1906年、Guilletは、オーステナイト 系ミクロ組織を持つ鉄―クロムーニッケル合金について行 なった同様の研究結果を発表した。かくしてGuilletは世界で 最初にステンレス鋼の3つの主要鋼種について発表した。彼 の仕事はさらにAlbert Portevinによって発展された。
1908年にドイツで、Philip Monnartzが、主に異なった酸 における鉄―クロム合金の耐食性の研究を始めた。彼 は、1911年に画期的な論文において、硝酸での腐食速度は クロムの割合が12-14%の水準に達するまで低下し、さらに 20%まで達するにしたがい腐食速度は少し低下すると指摘 した。Monnartzは、鉄―クロム合金で発生する不動態という 概念を見つけ、低い腐食速度を確保するため不動態膜を維 持することが重要であると述べた。彼はまた、これらの鉄―ク ロム合金は、還元性の硫酸や塩酸ではいくぶん効果は劣る が、酸化状態では役に立つことも理解した。その論文では、
炭素の有害な影響がチタンのような安定化元素の使用で除 去されるとまで述べた。Monnartzが耐食性に対するステン レス鋼の潜在的可能性を示したことは疑いない。1910年に Monnartzと上司のW. Borchersはドイツでステンレス鋼の 特許を交付された。
1911年までにステンレス鋼は明らかに冶金学上で重要なも のとなった。ニッケル誌の次号では、ステンレスという合金の 商業的な重要性を最初に理解し、こうしてステンレス鋼の真 の発見者であると主張する人々について取り上げる。
ステンレス鋼の歴史―その2
研究所での最初のステンレス鋼
フェライト系ミクロ組織
(1935) マルテンサイト系ミクロ組
織(1935) Cr18%合金の
Fe-C位相図 Léon Guillet Philip Monnartz
iStock photo @ John Beckman Jr ニッケル誌第27巻第2号(2012年11月号)
ニッケル誌第27巻第2号(2012年11月号) ニッケル: 焦点 3
ニッケルとその用途の情報誌 発行:ニッケル協会 プレジデント: Dr. Kevin Bradley 編集発行人: Stephanie Dunn [email protected] デザイン: Constructive Communications, Design 住所: Nickel Institute Nickel Institute Eighth Floor Avenue des Arts 13-14 Brussels 1210, Belgium Tel. 32 2 290 3200 [email protected] 本誌は読者への一般情報提供を目的としており、しかる べき助言を確保せずして、いかなる特定の目的あるい は用途のために使用もしくは依拠されるべきではない。 本誌は専門的に見て正確であると信じられるものであ るが、ニッケル協会とその会員、スタッフ及びコンサルタ ントはあらゆる一般的な、もしくは特定の目的のための 適合性について、何ら表明もしくは保証するものではな く、また本書に示されている情報に関して、いかなる種 類の義務もしくは責任を負うものではない。 ISSN 0829-8351 印刷:カナダ。再生紙使用。 表紙: 写植:Constructive Communications Cover: Xiangjiaba Dam Turbine, Photo © ChinaNews
目 次
焦点編集者記 . . . . 3
特集
ニッケルと水力発電 . . . . 4, 5 ステンレス鋼の水道立上り管 . . 8, 9 ペルーの海水淡水化 . . . . . 10, 11
ニッケルと技術革新印刷可能なエレクトロニクス 用ナノワイヤー . . . . 12
注目される用途
ステンレス鋼継手 . . . . 6
パロマー病院の水総合システム . . 7 健康科学複合施設のニッケル . .13 スーパーオーステナイト系ステンレ ス鋼 . . . . 15
LoadStar社のトラック . . . . 16
UnS . . . . 14
ニュース . . . . 14
ウエブサイト . . . . 15
どこでも水また水
水が豊富にあると思われているカナダのような場所でさえ、給配水中に失われる飲料 水の量はかなりのものであり、水漏れや欠陥のあるインフラを交換する費用が生じる ので、コストが高くなる可能性がある。我々は、本号の8ページと9ページで、トロント市 がどのようにしてニッケル含有ステンレス鋼を使用して市の給水システムを改善して いるか、また、一世紀あるいはそれ以上にわたり高品質の飲料水のメンテナンスフリー 給水を確実にする方法でそれを実施しているかを取り上げている。また給水管のもう 一方の先端では、カリフォルニアにあるPalomar Hospital が病院全体の環境パフォー マンス向上のためにニッケル含有ステンレス鋼を配水設備にどのように使用している かを示している(7ページ)。
水の配水から使用可能な水の生産に話を移して、10ページでは、工業生産にも飲料水 の目的にも使用するために海水を脱塩しているので、ニッケル含有材料の利用がどの ようにペルーの乾燥地域の人々と産業に役立っているかを調査している。
ダムや堰の建設には多くの理由があり、また長い歴史がある。工業化の初期には研磨 や粉砕に様々な水車を使用した。しかし、今や一世紀以上も前から、そうした水車はタ ービンになった:相変わらず回転し電力を供給しているが、比較にならないほど大規模 かつ高い効率である。本号の4ページでは、ニッケル含有ステンレス鋼が、非常な高圧 (高「ヘッド」)発電の代表的なタービン設計であるFrancisタービンにどのように不可欠 であるかを調べている。
水力発電は必ず人間や環境に影響を与えるが、水力発電に代わる状況、つまり電力不 足あるいは化石燃料の消費の増加はさらに魅力的でなくさえない。例えば、この11月 にXinjiaba発電所が中国の送電網への電気供給を開始する。フル操業で5.4GW( 54億 ワット)を生産するであろう。これにより中国では、採炭が危険となりうるし、また同国の 炭素排出の主原因でもある石炭依存が減少するであろう。
本号でこれらの記事及びその他の記事の詳細を読んでください。そして本誌の入手を 希望するか考えてください。本誌の印刷版(英語のみ)あるいは電子版を喜んで差し上 げます。申し込みはwww.nickelinstitute.org/nickelmagazine/subscription まで。
編集発行人 Stephanie Dunn
「ニッケル誌」が水に注目するのは初めてではないし、またこれが最後ではない。
なんといっても、ニッケル含有材料の利用は水の保全、移動と利用に密接に関係 がある。本号では3つの重要な記事で、ニッケルがどのようにして飲料水の給水 を支え、水を飲料に適するようにし、また再生可能な水力資源の利用により電気 を供給するのに役立っているかを示している。
4 nickel Feature ニッケル誌第27巻第2号(2012年11月号)
Photo © ChinaNews
バイオガスから地熱に至るまでの間に多くのエネルギー源が あるが、これらはニッケルの特性を利用しています。しかし、ニ ッケルの重要性が最も明らかで強く印象づけるのは世界の水
力発電所です。
ニッケル誌はエネルギーについて定期的に報告を行ってお り、最近では前号(「ステンレス鋼が中国のエネルギー部門を 推進する」第27巻第1号)でエネルギー部門を取り上げまし た。本号では世界の15大水力発電所の駆動力となっているフ ランシスタービンに注目しています。世界で16番目に大きな水 力発電所はアルゼンチンとパラグアイの国境に位置するヤシ レタ水力発電所ですが、ここではカプランタービンを採用して います。(下図参照)
向家堰(Xiangjiaba)の例
Xiangjiaba水力発電所は、2015年の完成時には中国第4の 大規模水力発電所となり(1号機は2012年10月に運転開始)
、定格出力は6.4GWと米国のGrand Couleeダムやロシアの Sayano-Shushenskayaダムに匹敵する規模です。
(それよりはるかに古い施設の)Grand Couleeに合計24基 の発電機があるのに対し、Xiangjiabaはフル稼働状態でも 800MW発電機を8基利用するだけです。その全てがフランシ スタービンによって動力を供給されています。こうした大型装 置の効率を維持する技術的進歩はニッ
ケル含有材料の使用によってもたらされ ます。ニッケルはまた、高い信頼性で長 い有効寿命を実現し、発電した電力の 単位当たり物質集約度を低下させます。
タービンとランナー
ランナーの設計、すなわち導水路の水を受け入れ、流れる水 によって初期回転する部分の設計はきわめて重要です。ランナ ーは大型部品であり(Xiangjiaba発電所の場合は重量406ト ン、直径10.5m)、長い耐用年数が求められます。そのため溶接 可能なマルテンサイト系ステンレス鋼で製造するのが一般的 であり、その組成は運転パラメータに応じて13Cr-1Ni(CA15 - UNS J91150)から13Cr-4Ni(鋳造の場合はCA6NM -J91540、鍛造の場合は410NiMo - S41500)から16Cr-5Ni 1.5Mo(UNS番号なし、EN1.4418)です。一部の部品は304系
(S30400)あるいは316系(S31600)のようなより軟らかい オーステナイト系ステンレス鋼で作ることもあります。タービン 自体はマルテンサイト系ステンレス鋼CA6NMによる鋳造が一 般的です。上記のステンレス鋼のグレードはいずれも、狭い許 容誤差を実現するのに必要な機械加工が非常に容易であり、
耐用年数と生産効率をともに向上させます。
やがて改修が必要となった時にも(キャビテーション損傷が原 因であることが多い)、装置を補修し耐用年数を延ばすことが できるのはニッケル含有材料です。この場合、通常はコバルト・
ニッケル、特殊な高ニッケル(最大82%Ni)、あるいは特殊な高 強度オーステナイト系ステンレス鋼溶接棒を使用して補修し ます。
大規模水力発電は、新しい炭素排出量が少な い再生可能エネルギー源を求めるニーズを満 たすのに貢献しており、これらの発電所を高効 率と長寿命にするうえでニッケル含有材料が 必要です。
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カプランタービンのフロー図:圧力があ まり高くない時はカプランタービンを選択 するのが最適となり得ます。Ni
Photo © ChinaNews
ニッケル誌第27巻第2号(2012年11月号) nickel Feature 5
水車を回す:
ニッケルと水力発電
r Grand couleeダム:フランシスタービンラ ンナーを設置
v Xiangjiaba水力発電ダム1号機のローターは 直径19 .97m、2,100トンのマルテンサイト 系ステンレス鋼製です
r あらゆるニーズに応えるタービン設計、フ ランシスタービンは最高水準の圧力(「水 頭」 )と流れを利用して、Xiangjiaba水力 発電所の800MW発電機に動力を供給し ます。
1000
100
10
1
1 10 Flow(m3/s) 100 1000
Turbine Application Chart
Head(m)
Kaplan Turbines
Francis Turbines
Turgo
Crossflow
Pelton Turbines
1000 MW 100 MW
10 MW 1 MW 0.1 MW
photo and diaGramS from Wikipedia
6 nickel in use ニッケル誌第27巻第2号(2012年11月号)
多くの産業において配管系統は重要な役割を担っています。配管系統は、様々な圧力と 温度の水、海水、化学物質、石油化学製品およびガス(空気を含む)を輸送します。配管材 料には炭素鋼と鋳鉄、コンクリートとアスベストセメント、多様なポリマーと複合材料、ス テンレスや銅の合金、その他の高合金群などがあります。管直径は数mmから4mを超え るものまで様々です。
いかなる配管材料でも、接合方法が配管系統の予想寿命にきわめて大きな影響を及ぼ します。誤った方法を用いれば耐用期間中にある段階でおそらく漏れが生じるでしょう。
漏出個所を突き止め補修するための休止時間を考えると、多大な費用がかかります。
金属配管を現場で溶接接合するのは、工場内の制御された環境で溶接するのに比べてよ り高リスクです。多くの場合、必要とされる高レベルの熟練者を確保するのは容易ではあ りません。それに代わる方法の一つにフランジ接続があります。他にはメカニカル継手が あり、これは信頼性の向上や使用経験の広がりにつれて人気が高まりつつあります。継手 は、通常ガスケットを内蔵したステンレス鋼製ケーシングでできており、継手を所定位置 に固定するロック部品が付属しています。
Teekay Couplings社は直径21~4,200mmの配管に用いる継手を土木、水道、石油・ガス、
海洋、建築、プロセス産業、自動車製造などの産業に供給しています。ケーシングは外部 環境の苛酷さに応じて304L(S30403)型ステンレス鋼または316L(S31603)型ステンレ ス鋼のどちらかで製造します。同社の共同創設者であるIan Webb取締役は、事実上全て の使用条件でこれらの合金に絶対的な自信を持っています。時々、特に苛酷な使用条件 では、エンドユーザーはクロム22%の二相ステンレス鋼(UNS S32205)を指定することも あります。このステンレス鋼の製品は幅広く対応します。たとえば修理用のカップリングや クランプ、スクエアカップリング、解体用のジョイントなどです。
継手はほとんどの一般的な配管材料の接続に利用することができます。管を固定するか どうか、あるいは管を固定する必要があるかどうかによって、軸方向にも軸と異なる方向 にも固定できます。金属管に関しては、ケーシングと管の間のガルバニック腐食を懸念す る必要はありません。これは、高分子ガスケットライニングによってケーシングが配管材料
から絶縁されているためで、こうしたライニングにはEPDMやニトリルゴムがしばしば用 いられます。また、ライニングには管を通る物質に対応するその他の材料を用いることも できます。継手は主に316(S31600)ステンレス鋼製の締め金具で管に固定されています。
Teekay社の継手が最も多く用いられているのは海洋部門です。内部に耐火スリーブと二 重ケーシングを備えた耐火継手は、衝撃と耐火性に関する軍用規格試験を通過しており、
現在は海軍の駆逐艦や航空母艦で使用されています。さらにクルーズ用の高級ヨット産 業では、有名なDisney Dream号のような大型新建造船にステンレス鋼継手が使用されて おります。
土木工学の観点からは、その継手は水処理施設に必要な管の接合や、現在西欧で最も 高い建築物であるロンドンのザ・シャードのような高層ビルに適しています(サイドバー 参照)。
ステンレス鋼継手
配管系統に必須の部品
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teekay社の継手は転向角にも対応できる 設計です。r
teekay社の継手を使用すれば、新しい配 管の設置も既存配管の補修も全て可能で す。Baron phiLLipS aSSociateS
photoS: teekay coUpLinGS Ltd
ケーススタディ:
高さ310mのザ・シャードは西欧で最 も高い建築物です。それはまた、オ フィス、五つ星のシャングリ・ラ・ホ テル、多彩なレストラン、高級住宅、
小売店、三層の展望室などからなる 欧州初の真の多目的ビルでもありま す。ザ・シャードは、ロンドン・ブリッ ジ駅に隣接する19万m2(200万平 方フィート)のロンドン・ブリッジ・ク ォーターの一角を占めており、この エリアはLBQ Ltd .に代わってSellar property Groupが開発を進めてい ます。teekay couplings社が選ばれ た理由は保証された製品性能と魅力 的な外観、そして設置の容易さであ り、空気抜き管最上部の換気帽の設 置においてはこれらの点が重要とさ れました。同社の継手は各換気帽の 接続に用いられ、全ての換気帽が同 一の外観を呈しています。また地階 の355mmステンレス鋼管と305mm ステンレス鋼管の接続にもteekay 社 の 継 手 が 用 いら れて いま す。
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ニッケル誌第27巻第2号(2012年11月号) nickel in use 7 Ni
Palomar Medical Center Westはカリフォ ルニアで最大の病院であり、また、北米で
最大の病院の一つである。サンディエゴの 真北のエスコンディドにある、最近開設さ れたベッド数653のこの病院は、革新的な 設計及び建築で数々の賞を受賞した。この Medical Centerは非常に高度な設計及び 建築基準を擁している。臨床的必要性が 最優先であったが、環境面及び経済面で の利点も重要である。
このプロジェクトでは広範囲にステンレス 鋼(平均リサイクル率60%の物を含む)使 用しており、その持続可能性、耐腐食性 及び水の総合システム維持が可能であ ることからステンレス鋼が選択された。病 院の壁の裏には冷温水用に7,300メー ター(24,300フィート)以上にわたり二相 タイプの316/316L( S31600/S31603)
Schedule 10Sステンレス鋼管が通ってい る。管のサイズは直径2インチから12イン チ(呼び径50-300ミリ)である。もっと大き な直径の鋼管は立上り管で、より小さいも のは、水栓やその他の蛇口に配水する、タ イプLの銅配管系への給水用のアームであ る。
病 院 の 建 物 は ル イ ジ ア ナ 州 の M E Engineersにより設計された。エルケイ
ジョンにあるUniversity Mechanical&
Engineering Contractorsが、エンジニアを 助けて、機械、電気、配管(MEP)のすべて の系統を調整するためにビルディング・イ ンフォメーション・モデリング(BIM)を活用 し、計画と仕様書に従い全ての配管系を 施行した。このため、コンクリートの注入に 備えて固定具、支持具、吊り具の位置の確 認と取り付けにはコンピュータを使用する 必要があった。配管系の構成図はBIMを 用いて作成された。それによりUniversity Mechanicalは配管系を工場で作り、施行す る現場に出荷した。
大規模で複雑な配管系の課題の一つは、
設計が完成する前のプロジェクトの初期に 管と部品の量とサイズを適切に注文するこ とである。このことは、建設中に構成部品を 最適な価格でかつ確実に入手するために 望まれることである。BIMシステムのおかげ で、材料の手配中止の80%を正確に見積 もることができ、大きな成果をあげた。
半製品の配管構成部品は、的確な長さと サイズに溶接され、あるいは予備加工され、
スキッドに載せて荷造りされ、病院のしか るべき場所に配送された。統制された溶接 手順を合せてプレハブ建築は非常に効率 よく配管設備を施行できた。
溝付き型と肩型の継手に加え可鍛鋳鉄の 部品を使用したことで、ステンレス配管の 部分のボルト式接合が容易に早くできた。
カリフォルニア州のJ B Consulting &
Associates of Oceansideが、サクラメントの 州立保険計画開発局の監督のもと配管の 検査を行なった。
ステンレス鋼が、カリフォルニアの新しいパロマー 病院で水の総合システムを維持する
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カリフォルニア州エスコンディドの完成 間近のpalomar medical center Westr
7,300m以上のステンレス鋼管の配管工事現場
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冷温水用ステンレス鋼管の列s
管に溶接されるねじ式ステンレス鋼継手detaiL photoS: mary-Joy neUrU, eye on conStrUction
BUiLdinG photo: dave coX dpr
8 nickel Feature ニッケル誌第27巻第2号(2012年11月号)
カナダ・トロントの中心街で最も人通りが多い大通りの一つであ るGerrard Streetに沿って改良型の水道本管を4Km区間で敷設 する工事には3年半を要する見通しです。契約業者は、配水のた め水を地表まで送る重要な垂直区間にニッケル含有ステンレス 鋼製の管を使用しています。ステンレス鋼を使用するということ は、水道本管の工事が再び交通を乱し、その付近の企業や住民 に不便をかけるのはかなり先のことになることを意味します。
「水道管は生活に欠かせません」。このプロジェクトに304(UNS S30400)型ステンレス鋼製の巨大な「立上り管」5本を供給 するBardel Engineering Ltd.副社長で技術者でもあるBarry Wilkinsonは言います。「初めての場所では、この立上り管を設置 するだけで大きな混乱が起こります。それをまたそこに戻り掘り 返さなければならなくなったらそれこそ悪夢です」。幸いにも、そ んな手間は必要なくなるでしょう。なぜならステンレス鋼の耐久 性と耐食性が水漏れの可能性を排除するからです。
直径1.65mの水道本管は、耐食性を持たせるためにセメントモ ルタルで裏打ちした14mm厚の炭素鋼製で、このプロジェクトで 必要とされる鋼のほとんどがこれです。ただし立上り管には304 型が指定されました。地下での飲料水の分配という特殊な用途 であるため、腐食やライニングの劣化に対する特別な保険をか けたからです。
トロント市の上級プロジェクト技術者であるOscar Orellanaは、「 垂直区間にステンレス鋼管を使用するのは、内部にセメントモ ルタルライニングが不要だからです」と説明し、さらにステンレ ス鋼は耐食性があるので保守の必要もないと付け加えました。
ステンレス鋼は地下水に対しても、配管内を流れる塩素処理し た飲料水(1リットル当たり200ミリグラム未満の塩化物を含ん でいる)に対しても耐性があります。それ以外にも成形や溶接が 容易だという利点があります。
「ステンレス鋼の耐久性と耐食性が 水漏れの可能性を取り除きます。材 料の耐食性によって保守の必要がな くなります。」
埋めたまま忘れよう
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巨大サイズの立上り管はとても目立ちます。ステンレス鋼を使 用するということは、将来発生する保守や修理の費用を回避できる ということです。このため、現場の交通や近隣住民が混乱すること もありません。トロント市、水道本管にニッケル含有ステンレス鋼を採用
ニッケル誌第27巻第2号(2012年11月号) nickel Feature 9 Ni
立上り管は、既存のより小口径の鋳鉄本管を代替するため地中 深くに埋設した新しい水道本管と、地表近くにあるバルブ基地と 配水管とを接続します。直径は1.37~1.67m、長さは平均20m の大型の立上り管が5本あります。各立上り管の重量は少なくと も15トンはあります。最初の立上り管の構成部品は無事に建設 現場に運ばれ、2012年秋に設置されました。3本のより小型の 立上り管も使用しており、最小のものは直径200mm、最大のも のは600mmです。Wilkinsonの推定によると、この3本の小型立 上り管を含め、プロジェクトに必要なステンレス鋼の総重量は80 トンを上回ります。
トロントとニューヨークに本社を置くDavis Group of Companies の子会社のBardel社は、水道本管、橋、ビル用の鋼の大手供給 業者です。同社は世界貿易センター跡地に建設された新しいビ ルの一部にも部品を供給しました。ただし、Bardel社はこれまで 立上り管の製造にステンレス鋼を使用したことはありませんでし た。
「35年間、立上り管を扱ってきましたが、これは初めての体験で した。」とWilkinsonは述べます。「それはまさに耐食性の問題で す」Wilkinsonは、初めての体験にしては、304型ステンレス鋼を 圧延、溶接して立上り管を製造する作業は炭素鋼を扱うのとほ とんど同じくらい容易だったといいます。「ステンレス鋼のグレー ドの中でこれが最も一般的で最も加工しやすいのです」
このプロジェクトにおいて、立上り管だけがステンレス鋼を最も 多量に、かつ目に見える形で利用しています。水道本管の上部 に設置されるバルブチャンバーやシャフトの露出配管区間にも 304型が指定されています。
たとえば第1バルブチャンバーは、もうひとつのバルブチャンバ ーが3.2mのステンレス鋼管を必要とするのに対し、5m近いステ ンレス鋼管を必要とします。Jarvis Streetの交差点で新しい水道
本管を既存の系統に接続するのに必要な露出配管と接続部に は、304型ステンレス鋼で製造した長さ約20mの区間が必要で す。
「ステンレス鋼が必要とされるのは、ほとんど全てのバルブチャ ンバーが車道にあるからです」とOrellanaは言います。「そのた め通常は雨水が、冬季には道路用の塩を含んだ水が、チャンバ ー内に漏入します」
Wilkinsonは、トロントのように冬季の道路用塩などの物質にさ らされるバルブ基地の配管にステンレス鋼を指定している都市 は、カナダや米国でもあまりないと指摘します。「珍しいことです が、これが市の標準慣行なのです。塗装や被覆、あるいはその他 の防護方法にするか思い悩む必要はありません」
この8,000万ドルプロジェクトの工事は2012年1月に始まりまし た。交通や近隣住民、企業の混乱を最小限に抑えるため、経路に 沿って7本のシャフトを沈め、トンネル掘削装置で地下の配管経 路を掘削し、掘削物を容易に除去できるようにしました。
プロジェクトは2015年半ばに完了の予定です。市が発行した建 設告知書には、新しい配管により「容量が増え、給水の安全性と 信頼性を保つことができる」とあります。立上り管とバルブチャン バーにステンレス鋼を使用するというトロント市の先見の明と 革新的な用法のおかげで、完成した水道本管は今後何十年もト ロント市民の役に立ち続けることでしょう。
Wilkinsonにできるのは、水道本管のステンレス鋼製部品が何 年もつか推測することだけです。「本当は数百年かもしれません。
しかし、そんなことは誰にもわかりません。いつかゴキブリが世 界を支配する時が来てもまだここにあるかもしれません」クスリ と笑いながらこう付け加えました。「私たちはとっくにいなくなっ ていますが」
埋めたまま忘れよう
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10 nickel Feature ニッケル誌第27巻第2号(2012年11月号)
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淡水は世界の多くの地域で不 足している資源であり、それゆ え大きな需要があります。人 間が毎日の飲用、洗濯、その 他の衛生面での用途に必要と するばかりでなく、産業界は 処理加工のために淡水を必要 とします。淡水が著しく不足し ている場合、海水を脱塩して 産業用と家庭用の両方で利 用することができます。ペル ーのある鉱業会社は海水逆 浸透(SWro)として知られる 方法を用いてまさにこうした
プラントを操業しています。驚くにはあたらないが、そのシステム はニッケル含有ステンレス鋼の耐食性と高強度に大きく依存して います。
degrémont technologies社の1部門であるカナダ・オンタリオ州 dundasのanderson Water Systems inc .により、このプラントを 設計・施工されました。この工場の基準運転出力は毎分およそ 2,560リットルですが、その2倍の出力が達成可能です。この工場 は2段式の逆浸透(ro)プラントです。
ro技術は半透膜を利用して海水から塩やその他のミネラルを分 離します。このプラントでは総溶解固形分が42,000mg/リットル の太平洋の海水を約63バール(910psi)まで加圧します。装入 海水の水温は20℃前後であり、処理中に温度がわずかに上昇し ます。膜の片側では塩分が70,000mg/リットルの濃度まで濃縮 されるのに対し、その膜を通過した水は塩分とミネラル成分をわ ずかしか含んでいません。上水道用の水には、最終roユニット を出た後にミネラル成分を加えます。この水を飲料水として市に 供給するには、飲料水に関する世界保健機関の品質規格を満た さなければなりません。さらにanderson社は、nSf/anSi規格61
「drinking Water System compoments」の要件も満たす材料を 選択しています。
ro濃縮物出口から出る圧力 およそ69バールの水を利用し て、海水ro給水ポンプに取 り付けたエネルギー回収タ ービンを回します。anderson Water Systems社のプロジ ェクト技 術 者であるL a n a antiperovitchによれば、この 設計は同社独自のものです。
配管、固定具とフランジ、そ の他の配管系統部品には大 きく2種類のステンレス鋼合 金を使用しています。一つは 316L(UnS S31603)であり、
これは主に、316の鋳造版であるボールバルブ用のcf8m(UnS J92900)と共に透過水(低塩分)に接触する部位に用いられて います。もう一方はクロム25%のスーパー二相合金であり、主に S32760合金です。スーパー二相合金は海水とSWro濃縮物の腐 食作用に対する耐性があります。また高強度であるため、加圧系 統の装置の壁をより薄くすることができます。スーパー二相合金 製のポンプは、ほとんどが2507(S32750)合金の鋳造版である aStm a890 Grade 5a(J93404)です。
それ以外に用いられているステンレス鋼には2205(S32205)、
モリブデン6%のグレード(たとえばS31254)、硫酸に接触する 部分には鍛造と鋳造両方のalloy 20(鍛造がn08020、鋳造が n08007)が含まれます。さらに、c-276(n10276)製の部品もい くつか用いられています。非金属の材料には繊維強化プラスチッ ク、塩素化ポリ塩化ビニル、エラストマーライニングの鋳鉄があり ます。
anderson Water Systems社はプロセス産業の水処理システムを 専門にしています。同社の水処理システムは世界中の発電所、油 田、鉱山、精錬所、各種プラント(化学、食品・飲料、医薬品、紙 パルプ)に設置されています。
2重用途の海水淡水化プラント
驚くには当たらないが、システムはニ ッケル含有ステンレス鋼の耐食性と高
強度に大きく依存しています。
ニッケル誌第27巻第2号(2012年11月号) nickel Feature 11 SWroシステムは複雑な配管系統であり、複 数の異なるステンレス鋼を用いることにより 最低コストで最適な耐食性を実現できます。
ペルーでの設置を容易にするため、システム はスキッドに載せて納品されました。
coUrteSy anderSon Water SyStemS
12 nickel and innovation ニッケル誌第27巻第2号(2012年11月号)
r
実験データは、ニッケル被覆の銅ナノワ イヤーが対象とする用途に適しているこ とを示しています。v
左下(c) 銅のコアとニッケル被覆を示 すナノワイヤーのedaX画像 .v
右下(e) ニッケル被覆したナノワイヤ ー。およそ幅75nm、長さ30μm。挿 入図はワイヤー断面図。ノースカロライナ州デューク大学の化学者 たちは、銅とニッケルからナノワイヤー材 料を合成しました。このナノワイヤー材料は、
電子ペーパー、「スマートパッケージング」、
相互作用機能を組み込んだ衣服といった エレクトロニクスの印刷コストを低減する 可能性を持っています。
上記のほか、フラットパネルTV、eリーダー、
スマートフォンなどの幅広い用途で、光の 透過を妨げることなく電導性を可能にする 膜層が必要とされています。従来はインジ ウム錫酸化物(ITO)がその導電性と光透過
性によってディスプレイの透明コーティング に用いられてきました。
しかしインジウムはkg当たり600~800 米ドルと高価であり、供給も不足していま す。ITO膜が高コストであるのは、速度の遅 い蒸着被覆プロセスが大きな原因です。ま たITO膜はもろく、ひびが入り易いのです。
ITOにはこうした問題点があるため、デュー ク大学の化学准教授Benjamin Wileyが率 いる研究チームは、より安価で柔軟性があ り、液体から高い被覆速度で溶着すること が可能な代替材料を探し求めてきました。
2011年、Wiley准教授の研究チームは高 速かつ安価なプロセスで液体から溶着で きる銅ナノワイヤー膜を生み出しました。こ の導電膜は現行のITO膜よりも柔軟性があ るだけではなく、銅はインジウムに比べ千
倍も豊富で、価格は百分の一です。
しかし、銅ナノワイヤーだけでは2つの大き な欠点があります。銅は腐食し、赤みがかっ たオレンジ色になります。これはディスプレ イスクリーンにとって望ましくない特性です。
そこで研究チームは銅ナノワイヤーにニッ
ケルを被覆すれば銅の腐食を防ぐのと同 時にオレンジ色の着色もなくするのではな いかという仮説を立てました。Wiley准教授 はニッケル塩溶液中で銅ナノワイヤーを加 熱することでニッケルを添加する方法を考 案しました。数回の実験後、彼らの仮説が 正しかったことが確認されました。
Wiley准教授と研究チームは研究論文の中 で「銅ナノワイヤーにニッケルを被覆するこ とで、ナノワイヤー膜は銅ナノワイヤーのみ
の膜に比べ耐酸化性が千倍向上し、銀ナノ ワイヤーフィルムと比べても耐酸化性が百
倍向上した」と述べています。この論文では、
様々に銅・ニッケルナノワイヤーの比率を 変えて実験した結果、銅:ニッケル比率を2
:1に決定したことを説明しています。この比 率で、銀に似た望ましい中間的な灰色が得 られ、銅ニッケルナノワイヤー膜の透過率 94%を実現しました。フラットパネルディス プレイなど最も要求の厳しい用途ではこれ でも十分ではありませんが、それ以外の用 途であれば高い性能と大幅なコスト削減 が実現できます。
「今のところ、銅ナノワイヤーのニッケル被 覆は、望ましい耐食性と中間的な灰色を実 現し、しかも比較的高い導電性を維持でき る唯一の方法です」とWiley准教授はニッケ
ル誌に語っています。
優れた電気光学的性能、他の色の混ざらな い灰色、きわめて高い耐酸化性、銀と比較 した銅とニッケルの豊富さ、これら全ての要 素によって、銅ニッケルナノワイヤーは印 刷可能エレクトロニクス装置で透明な導電 膜を製造するのに非常に好ましい材料と なっています。
銅ナノワイヤーへの耐酸化性ニッケル の添加は印刷可能エレクトロニクスに プラスの効果をもたらします
Ni
BenJamin J . WiLey, aSSiStant profeSSor, department of chemiStry, dUke UniverSity
ニッケル誌第27巻第2号(2012年11月号) nickel in use 13 トロント大学ミシサガキャンパスの90ヘクタールの施設に重要な
教育研究施設が加わりました。そしてこれにニッケル含有ステン レス鋼を使用したことで、ゴールドLeed(エネルギーと環境設計 におけるリーダーシップ)認証を得ることが容易になるでしょう。
4階建てのterrence donnelly健康科学複合施設に、同学で有名 な生物医学コミュニケーションプログラム、人類学部の事務室お よび実験室、講義室、医学教室などに加えて、ミシサガ校医学ア カデミー(mississauga academy of medicine)が設置されまし た。今年8月に初年度クラスに54名の学生を迎え入れたミシサガ 校医学アカデミーは、トロント大学医学部および2カ所の地元病 院と協力関係にあります。
kongats architectsの設計によるこの建築物のプロジェクト責任 者をpmX inc .が務め、harbridge社とcross社が総合建設請負業 者となり、Semple Gooderが建設工事を行いました。5,960m2の この建築物はエネルギー効率の高い照明を導入し、雨水を内部
機能用とグリーンルーフへの給水に利用しています。
建築物の外表面に、excelsior Steel社のBlend「S」仕上げのス テンレス鋼を用いて設計したryerson canada社が供給した304
(S30400)型ステンレス鋼の18ゲージと20ゲージ(それぞれ1 .2mm と1 .0mm)の7枚のパネルがあります。第1層は単独で幅750mmの フラットパネルです。第2~5層は6種類のパネル設計を採用してい ます。そのうち3種類は1枚壁のv字形状で、残る3種類は艶出しの ルーバーパネルです。このルーバーパネルは、自然景観の状況に応 じた多彩な色合いを映し出すように15°、30°、60°、90°の角度で
設置されています。
壁体は何度も実験を繰り返して完成したレインスクリーンアセン ブリです。これは、金属製のz字状の胴差の上に配置した外装のス テンレス鋼パネル、空気層、防湿層、断熱材、金属製植込みボルト 上の構造敷きがねに設置した空気と蒸気に対する防護膜で構成 されています。このレインスクリーンの壁体によって建物は建設中 も風雨から素早く保護遮断され、暖房費やそれにともなう大気中 への炭素放出を低減しています。さらにそれが、特注のステンレス 鋼パネルの製造と設置に必要とされる高品質の作業に求められ る時間の確保にもつながりました。
ステンレス鋼パネル自体は三次元の中空ユニットとして製造され ています。つまり側面が全て閉じていて中央が中空です。このユニ ット内に閉じ込められた空気は通常は外気よりも温度が高く、そ れが最も顕著なのは晴れた冬の日であり、建築物の回りを断熱 作用を持つ気泡で包みます。夏には外装壁体のレインスクリーン 構造によって、断熱壁体と最小限の接触でパネル両側を換気で きるため、壁体の断熱部分における太陽熱の吸収を最小限に抑え
ます。 Ni
ステンレスがトロント大学健康 科学複合施設に輝きを加える
ステンレスパネルは反射特性に加え、
夏には太陽熱を反射し、冬には暖かい 空気を断熱ブランケットとして閉じ込め
る生物気候特性も高めています。
r
terrence donnelly健康科学複合棟。建築とエネルギー 効率にニッケル含有ステンレス鋼が役立っている輝か しい一例。photoGraphS By Shai GiLL
14 ニッケルと科学 ニッケル誌第27巻第2号(2012年11月号)
UNSの詳細
本誌で示されているニッケル含有合金及びステンレス鋼の化学的組成(重量パーセント)UNS No. C Co Cr Cu Fe Mn Mo N Nb+Ta Ni P S Si V W
J91150
p.5 0.15
max. - 11.5-
14.0 - - 1.00
max. 0.50
max. - - 1.00
max. 0.040
max. 0.040 1.50
max. - -
J91540
p.5 0.06
max. - 11.5-
14.0 - - 1.00
max. 0.40-
1.00 - - 3.5-
4.5 0.04
max. 0.03
max. 1.00
max. - -
J92900
p.10 0.08
max. - 18.0-
21.0 - - 1.50
max. 2.0-
3.0 - - 9.0-
12.0 0.04
max. 0.04
max. 2.00
max. - -
J93404
p.10 0.03
max. - 24.0-
26.0 - - 1.50
max. 4.0-
5.0 0.10-
0.30 - 6.0-
8.0 0.04
max. 0.04
max. 1.00
max. - -
N08007
p.10 0.07
max. - 19.0-
22.0 3.00-
4.00 rem. 1.50
max. 2.00-
3.00 - - 27.5-
30.5 0.04
max. 0.04
max. 1.50
max. - -
N08020
p.10 0.07
max. - 19.00-
21.00 3.00-
4.00 rem. 2.00
max. 2.00-
3.00 - 8x%C-
1.00 32.00-
38.00 0.045
max. 0.035
max. 1.00
max. - -
N08367
p.15 0.030
max. - 20.0-
22.0 - rem. 2.00
max. 6.00-
7.00 0.18-
0.25 - 23.5-
25.5 0.040
max. 0.030
max. 1.00
max. - -
N10276
p.10 0.02
max. 2.5
max. 14.5-
16.5 - 4.0-
7.0 1.0
max. 15.0-
17.0 - - rem. 0.030
max. 0.030
max. 0.08
max. 0.35
max. 3.0-
4.5 S30400
p.5,13,16 0.08
max. - 18.00-
20.00 - - 2.00
max. - - - 8.00-
10.50 0.045
max. 0.030
max. 1.00
max. - -
S30403
p.6,8,9 0.030
max. - 18.00-
20.00 - - 2.00
max. - - - 8.00-
12.00 0.045
max. 0.030
max. 1.00
max. - -
S31254
p.10 0.020
max. - 19.5-
20.5 - - 1.00
max. 6.00-
6.50 0.180-
0.220 - 17.5-
18.5 0.030
max. 0.010
max. 0.80
max. - -
S31600
p.5,6,7,15 0.08
max. - 16.00-
18.00 - - 2.00
max. 2.00-
3.00 - - 10.00-
14.00 0.045
max. 0.030
max. 1.00
max. - -
S31603
p.6,7,10 0.030
max. - 16.00-
18.00 - - 2.00
max. 2.00-
3.00 - - 10.00-
14.00 0.045
max. 0.030
max. 1.00
max. - -
S32205
p.6,10 0.030
max. - 22.0-
23.0 - - 2.00
max. 3.00-
3.50 0.14-
0.20 - 4.50-
6.50 0.030
max. 0.020
max. 1.00
max. - -
S32750
p.10 0.030
max. - 24.0-
26.0 - - 1.20
max. 3.0-
5.0 0.24-
0.32 - 6.0-
8.0 0.035
max. 0.020
max. 0.8
max. - -
S32760
p.10 0.03
max. - 24.0-
26.0 0.5-
1.0 - 1.0
max. 3.0-
4.0 0.2-
0.3 - 6.0-
8.0 0.03
max. 0.01
max. 1.0
max. - 0.5-
1.0 S41003
p.16 0.030
max. - 10.5-
12.5 - - 1.50
max. - 0.030
max. - 1.50
max. 0.040
max. 0.030
max. 1.00
max. - -
S41500
p.5 0.050
max. - 11.5-
14.0 - - 0.50-
1.00 0.50-
1.00 - - 3.50-
5.50 0.030
max. 0.030
max. 0.60
max. - -
EN 1.4418
p.5 0.06
max. - 15.0-
17.0 - - 1.50
max. 0.80-
1.50 0.020
min. - 4.00-
6.00 0.040
max. 0.015
max. 0.70
max. - -
ニッケル協会の新出版物: 「クラ ッド鋼に関する技術」が入手可能
ニッケル協会は「クラッド鋼に関する技術」第2版(10064)を発 行した。
耐腐食性合金のクラッド鋼やライニ ング鋼は、50年以上にわたり様々な 形態で調達可能であったし、石油や ガス製造業で広く使用されている。
この産業部門の特定の要求に照ら して、クラッド鋼板、管や部品の加工 方法は、クラッド鋼やライニング鋼の 製品の一部の現場での使用法に関 する溶接の詳細や情報により与えら れる。
Liane Smith著による本出版物は、自 信を持ってクラッド鋼を使用できるようにクラッド鋼に関する懸 念に応えるためのものである。
PDFのダウンロードは下記より:
h t t p : / / w w w . n i c k e l i n s t i t u t e . o r g / M e d i a C e n t r e / News/~/media/Files/TechnicalLiterature/10064_
EngineeringWithCladSteel2ndEd.ashx
ニッケル協会、インドステンレス開発協 会のステンレス鋼誕生100周年で講演
ニッケル協会のプロモーション担当部長のDr. Peter Cutler が、10月9日、デリーで行なわれた、出席者160名のこの催 しに招待され、「ステンレス鋼とニッケルー100年後も変わ らないパートーナー」と題して講演をした。内容は歴史、今 日におけるニッケルの役割、これからの用途におけるニッ ケル含有製品の重要性についてであった。
この催しはインド商工会議所と共催で行なわれた。講演者 一人一人が、ステンレス鋼のグリーンのシンボルとして自 分たちの名前をつけた10本の木を植えた。
1 Engineering with Clad Steel
Engineering with CLAD STEEL
By Liane Smith
Nickel Institute Technical Series No 10 064
Ni
Ni photo co
UrteSy of iSSda
ニッケル誌第27巻第2号(2012年11月号) nickel in use 15
iStock photo @ LarySa dodz UniLever BraziL
パーソナルケア産業はデオドラント、シ ャンプー、練り歯磨き、ボディウォッシュ、
洗浄剤などの製品を製造しています。メ ーカーは製品改良のため作用の強い化学 物質を使って新しい処方を開発すること があります。そうした処方の多くは主要成 分に塩化物(塩)を含んでいます。こうし た化学物質は、望んだ最終結果を生み出 すものの、製造プロセスで使用する設備 を時に損傷することがあります。
316L(UnS S31603)型ステンレス鋼 は、パーソナルケア製品の製造に用いる 配管系統の製造によく選ばれる材料です。
しかし、2008年11月、Unilever Brazil 社がGalileo製品を製造している同社の vinhedo工場で316L型移送配管に孔食 が発生するという問題が発生しました。下 の写真は配管の壁を貫く孔食を示してい ます。低品質の材料と製造技術の劣悪さ
が非難され、配管系統は新しい316L型 に交換されました。
しかし残念ながら交換は解決策とはなり ませんでした。6カ月後、再び配管系統に 孔食が発生したのです。適切な交換材料 を決定するために腐食の調査が始まりま した。Galileo製品の処方を試験したとこ ろ、phが4 .08、塩化物成分は海水の含有
率より高い2 .63%でした。
周期的繰り返し分極による電気化学的 試験の結果、316L型はGalileo製品の処 方では孔食に対する耐性が非常に低いこ とが明らかになりました。この調査の過
程で、それに代わる配管材料が推奨され ました。モリブデン6%を含むスーパーオ ーステナイト系ステンレス鋼のaL-6Xn®
(n08367)を同様に試験したところ、製 品の製造で予想されるレベルをはるかに 超える非常に高い耐孔食性を持つこと がわかりました。代替配管材料としては cpvc(塩素化ポリ塩化ビニル)も検討し
ましたが、これは完成品の外観と匂いの 両面で支障があるため却下されました。
材料の取替計画は2010年6月に始まりま した。選定した供給業者は米国ミズーリ 州スプリングフィールドのcentral States industrial(cSi)です。この会社は衛生 製品市場が求めている形態(配管と部 品)でaL-6Xn®原料を製造する唯一の 生産企業です。n08367を実際に使用し たところ、代替材料として最高の選択だっ たことが明らかになりました。
316L管の壁を貫通した孔食 aL-6Xnに材料を交換したライン
Ni
スーパーオーステナイト系ステンレス鋼
パーソナルケアの腐食問題を解決
オンライン版ニッケル誌
ニッケル誌の無料購読とウェブサイト掲載の お知らせを希望する場合:www .nickel institute .org/nickelmagazine/Subscription ニッケル誌を7ヶ国語(英語、中国語、日本語、
ロシア語、フランス語、ドイツ語、スペイン語) でウエブサイトに掲載:www .nickelinstitute . org/nickelmagazine/magazinehome ニッケル誌のバックナンバーの検索: 2002 年7月号以降のニッケル誌を掲載(英語のみ) : www .nickelinstitute .org/en/nickelmaga- zine/magazinehome/allarchives ユーチューブでニッケルに関する9本の短い ビデオが見られます。「nickel institute」で検 索、nickel institute channelにアクセス。ニ ッケル協会のビデオ「気候温暖化への取り 組み」、BBcワールドコマーシャル3本及び再 生可能なステンレス鋼に関する広告3本、そ の他掲載。
www .youtube .com/user/nickelinstitute
www.nickelinstitute.org
photoS © 2012 naviStar, inc .
ステンレス鋼製のトラック運転台はト ラック運送業界で耐久性を保証する
Ni
トラック運送業者にとり、頑丈さと耐久性とは必須である。これらの 要求やその他の要求を満たすため、Load Starはニッケル含有ステ ンレス鋼でできた運転台が特徴の国際トラック路線を明らかにし た。
厳しいサービス業務をしいられるトラックは、とりわけ廃棄物、コン クリートポンプ、航空機燃料補給の部門での顧客のニーズに対す るサービスについていくつか知っている設計者とトラック運送責任 者の考えを入れて設計された。
「われわれは、顧客のニーズや、また、運転するトラックに何がか け て い る か もっとよく理 解 す る た め 運 転 手と 話 し た 。」
と、Navistar(Load Starのオーナー会社)の北米営業担当上級副部 長のJames Hebeはいう。頑丈さ及びその他の運転手のニーズを保 証するため、Navistarはステンレス鋼製の運転台を選んだ。
運転台の大部分は、クロムが約11.5%で溶 接性をよくするためニッケルを少量添加し た低合金ステンレス鋼のUNS S41003でで きている。成形がより難しいパネルは、最低 限 8 % の ニッケル を 含 む 3 0 4 型 ( U N S S30400)を使用している。304型のオース テナイト組 織 は 成 形 性 が 最 高である。
「N a v i s t a rは、より高 い 降 伏 強 度 ( 標 準 345Mpa)だけでなく優れた溶接性、靭性及 び加工性を有するので、主要材料にステン レス鋼S41003 を選択した。」と、Navistarの チーフエンジニアのRaymond Baggettはい う。彼はまたドアーの構造は主としてアルミ でできていると付け加える。
「Navistarはステンレス鋼を使用した経験
があるが、運転台の構造全体にステンレス鋼を使用するのは、今 回が最初である。」
Load Star社のトラックの外面は「Aクラス」で、大量生産によく適し ている。その運転台は、Navistar社の他の運転台と同様の方法で 塗装されている。ステンレス鋼の塗装の前処理と下塗りには特別 な作業工程が実施されている。
運転台のパネルはそもそも打ち抜きである。Navistarは、ステンレ ス鋼でうまく成形できるパネルのデザインを開発するため金型業 者と密接に協力した。デザインの開発、パネルの原型の試作、デザ インの利権の許与など全てが挑戦であった。パネルは一枚ごとに レーザーで形を整え、ブレークプレスされた。基本的な接合方法 は、スポット溶接である。
「当社の顧客は、主として耐腐食性という利 点と長い耐用年数のためにステンレス鋼の 運転台を評価している。」とBaggettはいい、
さらにステンレス製の運転台はNavistar社 のLoad Starの全ての用途のものが入手でき ると述べている。「いまのところ、Load Starの 主たる用途先は廃棄物/ごみ、コンクリート ポンプ及び燃料補給の部門であるが、ステ ンレス鋼製の運転台はまた消防自動車でも 一般的である。」
Load Starのトラックは米国及びカナダの国 際 ディー ラ ーと 通 じ て 入 手 可 能 で あ る。Navistar International Corp.は、その傘 下の子会社や関連会社がトラックやその 他様々な車を生産しているホールディング カンパニーである。
LoadStar:業界初のステンレス鋼製キャブオ ーバー型トラック。頑丈で耐久性、耐食性に 優れた運転台。