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黄庭堅詩歌言語研究

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

黄庭堅詩歌言語研究

蒙, 顕鵬

http://hdl.handle.net/2324/1959063

出版情報:九州大学, 2018, 博士(文学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

(2)

(様式6-2)

氏 名 蒙 顕鵬

論 文 名 黄庭堅詩歌言語研究

論文調査委員

主 査 九州大学 教授 静永 健 副 査 九州大学 講師 井口 千雪 副 査 九州大学 教授 辛島 正雄 副 査 九州大学 教授 菊地 惠善

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

本論文は、中国北宋時代の文人黄庭堅(号は山谷)の詩歌について、その言語表現の特徴に 着目しつつ考察したものである。その特徴の最たるものとして本論文の提出者は、近代中国の 修辞学研究で説かれる「双関語」という表現技法を挙げ、これに基づく表現が、彼の詩歌に多 く見られることを指摘した。ちなみに「双関語」とは、一つの漢語語彙について同じ発音の別 な文字を想起したり(例:糸 si→思 si、蓮 lian→恋 lian など)、また使われている熟語の文字 をその本来の意味とは全く別な意味で用いる(例:脚婆[湯たんぽ]→[お婆さんの脚]、不如帰[ホ トトギス]→[帰ろうよ]など)ことであり、中国古典詩歌には伝統的に用いられてきた技法であ る。

本論文では、まずこれを前半三章に示し、第一章では黄庭堅詩の実例や同時代の逸話集に見 える彼の当意即妙の談話などを挙げて紹介し、第二章では後半生の南方左遷時代の作品「竹枝 詞」から、現地の地名や、上述の鳥の鳴き声を模した所謂「禽言詩」を挙げ、次に第三章では 漢方の生薬の名称を用いた「薬名詩」を分析している。このように黄庭堅の詩歌には、諧謔と も言いうる軽妙な遊戯性が特徴として挙げられるのだが、これはただ単に和やかな雰囲気を演 出し、詩を贈る相手との距離感を縮めるのみならず、同時代の先輩詩人蘇軾(蘇東坡)が苦し んだ「文字禍」(政治批判を含むとする言われ無き誹謗中傷)への防護策でもあったかと考え られる。

また、黄庭堅詩のこのような諧謔(遊戯性)の淵源、あるいはそのような彼の精神的支柱と なったものに、禅との関わりが指摘できる。本論文の後半三章は、黄庭堅と禅との関わりと、

そこで深められていった彼の人生観の究明に突き進んでいる。ます第四章では、そのころ木版 印刷に付され、知識人たちの間にも広まりつつあった禅語録集(特に『景徳伝灯録』三十巻)

と黄庭堅との関わりが考察されている。現在、黄庭堅は詩人としてだけでなく、多くの墨跡を 残した書家としても名高いが、その中には「七仏偈」や「跋諸上座帖」など『景徳伝灯録』か らの節録やその思想をまとめた作品が残されている。また第五章では「枯木」を描いた絵画を 見た際の詩文、第六章では竹を描いた「墨竹詩」を取り上げ、これら絵画に関する詩歌および 散文作品をその制作された順番にみてゆくと、政治闘争に敗れ、中国西南の山岳地帯に左遷さ れた黄庭堅が、禅や老荘思想などから多くの教訓を学び、その人生観をゆたかなものにしてい ったことがわかる。左遷の境遇に鬱屈することなく、詩作や書画の楽しみを通じて、彼はみず からの心を自由で積極的な方向へと解放してゆくことを心がけていたのである。かかる快活な

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精神性と、理知的な遊戯性とが融合した黄庭堅の詩歌は、かくして後世、中国のみならず我が 国の五山文学をも含む多くの追随者を生んだが、本論文は黄庭堅詩に関するかかる遠大な研究 の端緒ともいうべき重要な指摘や発見を幾つも含んでおり、高く評価できる。

以上のことから、本調査委員会は本論文の提出者が博士(文学)の学位を授与されるに十分 な能力を持つものであると認めるものである。

参照

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