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博 士 ( 医 学 ) 木 下 一 郎

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 医 学 ) 木 下 一 郎

    

学 位 論 文 題 名

Altered pl61NK4andretinoblaStomaproteinStatuSin non

Sma11Ce111ungCanCer

potentialSynergiStiCe

eCt     W ithalteredp53proteinonpr01iferatiVeaCtivity   

( 肺 非 小 細 胞 癌 に お け る

p16mK4

お よび

rennoblastoma

タ ン パ ク 質異 常 :

    

増 殖 能 に 対 す る

p53

夕 ン パ ク 質 異 常 と の 相 乗 作 用 )

学 位 論 文 内 容 の要 旨

  

[背景・目的]p16贓蛋白質(p16)およびre血ob1謎缸na蛋白質(pRB)は細胞周期をG1/s 移行 期で 制御 する 重要 な癌 抑制 遺伝子産物である。p16はCDに4,‐6によるpRBのりン酸化

( 不 活性 化) を抑制 する こと から 、p16お よびbRBは 細胞 周期 の制 御に おいて 同一 の系 で 働い てい るこ とが 示唆 され てい る。一方肺非小細胞癌組織においては6−32%の頻度でpRB の異 常を 認め るが 、p16の異 常は まだ 明ら かで はな い。 さら に両者の異常の臨床的および 細胞 生物 学的 意義 やG1/s移 行期 を制御する他の重要な癌抑制遺伝子p53との関係は不明で あ る 。従 って 我々は 原発 性肺 非小 細胞 癌に おけ るp16およ びpRBの 発現 異常を 免疫 組織 化 学的 に検 討し 、さ らに 臨床 的各 因子、p53蛋白質(p53)の異常および増殖能の指標である

l

くi67mdexとの関係を解析した。またpi6遺伝子の最も頻度の高い異常とされるhomoZyg(M峪

deletion

に つ い て 検 討 し 免 疫 組 織 化 学 法 に よ る

p16

の 異 常 と 比 較 し た 。

  

[ 方法 ]手 術で 得ら れた

114

例 の原 発性 肺癌 組織 (腺 癌74例、扁平上皮癌34例、大細胞 癌6例)の凍結切片を材料とした。p16の免疫組織化学法についてはp16陽性(NCI_I詑09)、

陰性 任uあO)細胞株を用いた予備実験を行い、3種類の抗p16ポリクローナ少抗体(抗全p16 抗 体 、 抗

p16C

末 端 抗 体 、抗

p16N

末 端 抗体 )と3種類 の固 定方 法(

10

% フォル マリ ン、 メ タノ ール 、ア セト ン) を比 較し た。いずれも適切な染色性が得られたが、抗全16抗体とメ タノ ール 固定 の組 み合 わ世 がNCI‐H209細 胞で 最も 核特 異的 かつ高感度の染色を示し、肺 癌組 織で の実 験に はこ の組 み合 わせ を用 いた 。plは 、p53の 免疫組織化学法については一 次 抗 体と して それぞ れモ ノク ロー ナル 抗体

PMG3

‐245、n噛1801を 用い た。免 疫染 色は ス 卜 レ プ ト ア ピ ジ ン ー ビ オチ ン 法 (

SAB

法 ) に よ り 行 いDABで 発 色 した 。p16およ びpRBの 発現 は一 部で も腫 瘍細 胞の 核が 染色された場合を陽性(正常)とし、正常問質細胞の核が 染色 され るが すべ ての 腫瘍 細胞 の核が染色されなかった場合を陰性(発現消失)と判定し た。

p53

は腫瘍細胞の10%を超える核が染色された場合を陽性(変異蛋白質)、10鰯以下の 場合 を陰性(正常)とした。瓩67血dexはlくi67モノクローナル抗体を用いた免疫組織化学 法を 行い腫瘍細胞中の核染色陽性細胞の比率(%)として算出した。25例(p16陽性21例、

p16

陰 性4例) につい ては 凍結 保存 され た腫 瘍組 織よ り抽 出し たDNAを材 料と し〆

6cDNA

(2)

よびcardiac actin cDNAを用いたサザンブロット法を行い、正常肺組織と比較することによっ て homozygoLLIs deぬnに 矛 盾 し な い pJ遺 伝 子 量 減 少 の 有 無 を 検 討 し た 。   [結果}(1)3例のRB陽性例はすべての腫瘍細胞と問質細胞が染色されず判定不能であっ た 。 残 りのn1例 の腫 瘍組織 にお いて30例 に7%) にp16の発 現消 失を 、10例(9働にpRBの 発 現 消 失 を 認 め た 。 同 時 に 両 者 の 発 現 異 常 を 有 す る 例 は な く 有 意な 逆 相 関 を 示 し た

(P=0.04)。pRB陰性例では全例がp16の強く均一な発現を示したが、pRBとp16がともに陽 性の71例 のうち23例ではp16の発現は弱く不均一であった。(2)p16の発現消失と組織型、

臨床的因子との相関は認めなかったが、pRBの異常は重喫煙と正の相関を示した(P:0.03)。

(3)p53の異常は47例(41%)に認め、p16またはpRBの異常との間に有意な相関はなかった。

(4)聡67血(leXとp53の異常との間に強い正の相関が認められた(PくO.001)。瓰67mdexとp16 およ びpIはの 異常 との 間に 有意 な相 関は なか った が、p53の 異常 例ではp16とpRBのいずれ かに 異常 を認 める 群カ ゃ16とpRBがと もに正常である群に比較して恥67血dexが高値を示し た(P=0.009)。(5)p16発現陰性の4例中2例にhomoZygousdele虹onに矛盾しないヰあ宣伝子量 の低 下を 認め た。p16発現 陽性の21例 には こう した 遺伝 子量 の低 下は認められなかった。

  [ 考察 ]原 発性 肺非 小細 胞癌 にお いてp16の発現消失が比較的高頻度に認められた。p16 とpRBの レシ プロ カル な発 現異常 は両 者が 同一 の系 で作 用す ると いう現在の有カな仮説を さら に支 持し てい る。 全て のpRB陰性 例でp16の強 発現 が見ら れた ことはpRBが不活性化す るとp16の発現が増加しCDK14,.6の働きを抑制するという負のフイードバックモデルと矛 盾 し な い 。 さ ら にp1岬 系 の 異常 がp53の 異常 を伴 う肺 非小 細胞 癌に おい て増 殖能の 増加 と相関することが明らかとなった。

  p16の 免疫 組織 化学 法で はp16の保 たれる正常問質細胞を陽性コントロールとすることに より 腫瘍 細胞 にお けるp16発現の 消失 が検 討可 能で あっ た。 免疫 組織化学法は腫瘍組織の ホモ ジェ ネー トを 材料 とす る分 子生 物学 的方 法に 比ベp16の 異常 を高感度に検出できる可 能 性 が ある 。理 由と してり こう した 分子 生物 学的 方法 、特 にPCR法で はpj6遺 伝子の 主要 な異常であるhomoZyg01】sde1・etionが問質細胞の混入によって検出できないことがある、(b) 他 の 重 要 な 異 常 で あ るDNAhy阿memylationも 通 常 のDNA解 析 で 検 出 し 難 い 、 り homozygousde]鰤0nとDNAhypememy1弧0nはい ずれ もp16の発 現消 失をおこすことなどが挙 げら れる 。予 想に 反せ ず、 原発 性肺 非小細胞癌における分子生物学的方法を用いた報告で

|まpi鑓 伝子の異常はほとんどが10%以下であるが、今回の検討ではp16の発現異常は27% と 比 較 的 高 頻 度 に 認 め ら れ た。 さ ら に 免疫 組織 化学法 でp16発 現陰 性の4例の うち2例に の み サ ザン ブロ ット 法でhomoZygousde1面0nに相 当するpj6遺伝 子量 の低 下を 認めた こと は、p16を発現していない非小細胞肺癌細胞株の約半数にhomozygous(|eletionを認めると いう 報告 と一 致し 、免 疫組 織化 学法 はp16の異 常を スク リー ニン グする上で感度の高い適 切な方法であることを示していると考えられる。

  今 回 の 研 究 でp16陰 性 と な っ た 頻 度に7% )は 最近報 告さ れた 肺非 小細 胞癌17例 中8例

(47%)および61例中30例(49%)という頻度よりも少ない。しかしこの違いは組織の固定お よび 保存 方法 の違 いに よる 可能 性が ある。すなわち我々は新鮮凍結標本を用いてメタノー ル固 定を 行っ たが 、他 の2つの報 告で は通 常の フォ ルマ リン 固定 パラフイン包埋組織を用 いて いる 。p16は 熱な どの ダメー ジに 弱く 、固 定や 保存 方法 によ っては容易に変性すると 考 え ら れ て お り 、 こ れ ら の 人 工 的 な 変 性 がp16偽 陰 性 に 寄 与 し た 可 能 性 が あ る 。   p53異 常例の高い増殖能は従来の肺非小細胞癌での報告と一致する。p16/pRB系の異常が

(3)

p53 異常例では更なる増殖能の増加と相関したが、p53 正常例では相関を示さなかったこと は、p16/pRB 系の異常がp53 の異常とともに相乗的に増殖能の増加と関係している可能性を 示唆している。この仮説は正常なpRB とp53 の両者を欠く SAOS2 細胞株においてR13 または p53 遺伝子のいずれか一方の導入で増殖が抑制されるとぃうinvi 的での観察結果と矛盾し ない。

   [結語]肺非小細胞癌において細胞周期を制御するp16/pRB 系の異常が比較的高頻度に

認められ、増殖能の増加に対しp53 の異常と相乗的に作用している可能性が示唆された。

(4)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

Altered pl6INK4 and retinoblastoma protein status in non‑small cell lung cancer:potential synergistic effect     with altered p53 protein on proliferative activity   ( 肺 非 小 細 胞 癌 に お け るp l6INK4お よ びretinoblastoma夕 ン パ ク 質 異 常 :     増 殖 能 に 対 す る p 53夕 ン パ ク 質 異 常 と の 相 乗 作 用 )

p16n'x'蛋 白 質(p16)お よ びretinoblastoma( 網 膜 芽 細 胞 腫 ) 蛋 白 質(pRB)は 細 胞 周 期 を G1/S移 行 期 で 制 御 す る 癌 抑 制 遺 伝 子 産 物 で あ り 、 同 一 の 系 で 働 い て い る こ と が 示 唆 さ れ て い る 。 肺 非 小 細 胞 癌 組 織 に お い て は6‑32a/oの 頻 度でpR13の異 常 を認 める が、p16の異 常 は 明 ら か で な か っ た 。 さ ら に 両 者 の 異 常 の 臨 床 的 お よ び 細 胞 生 物 学 的 意 義 も 不 明 で あ っ た 。 本 研 究 で は114例 の 原 発 性 肺 非 小 細 胞 癌 の 凍 結 切 片 を 用 い てp16お よ びpRBの 発 現 異 常 を 免 疫 組 織 化 学 的 に 検 討 し 、 さ ら に 臨 床 的 各 因 子 、p53蛋 白 質(p53)の 異 常 お よ び 増 殖 能 の 指 標 で あ るKi67 indexと の 関 係 を 解 析 し た 。 ま た25例 に つ い て は 腫 瘍 組 織 よ り 抽 出 し たDNAを 用 い た サ ザ ン ブ ロ ッ ト 法 に よ っ てp16遺 伝 子 の 最 も 頻 度 の 高 い 異 常 と さ れ る homozygous deleti.0n(両 側ア レル の欠 失 )に つい て検 討し 免疫 組織 化学 法に よるp16の異 常と 比較 した 。

判 定 不 能3例 を 除 い た111例 の 腫 瘍 組 織 の う ち30例 く27% ) にp16の 発 現 消 失 を 、10例 (9%)にpRBの 発 現 消 失 を 認 め た 。 同 時 に 両 者 の 発 現 異 常 を 有 す る 例 は な く 有 意 な 逆 相 関 を 示 し た 。p16の 異 常 と 臨 床 的 因 子 と の 相 関 は な か っ た が 、pRBの 異 常 は 重 喫 煙 と 正 の 相 関 を 示 し た 。p53の 異 常 とp16ま た はpRBの 異 常 と の 間 に 有 意 な 相 関 は な か っ た 。 p53の 異 常 とKi67 indexと の 間 に 強 い 正 の 相 関 が 認 め ら れ た 。p16お よ びpR13の 異 常 と Ki67 indexと の 間 に 有 意 な 相 関 は な か っ た が 、p53の 異 常 例 で はp16/pRB系 の 異 常 がKi67 indexの 高 値 と 相 関 し た 。p16遺 伝 子 両 側 ア レ ル の 欠 失 はp16発 現 陰 性 の4例 中2例 に 認 め た が 、p16発 現 陽 性 の21例 に は 認 め な か っ た 。 以 上 よ り 、 肺 非 小 細 胞 癌 に お い てp16/pRB 系 の 異 常 が 比 較 的 高 頻 度 に 認 め ら れ 、 増 殖 能 の 増 加 に 対 しp53の 異 常 と 相 乗 的 に 作 用 し

暹 也

之 和

   

   

哲 紘

巻 内

藤 上

葛 守

加 川

授 授

授 授

教 教

教 教

査 査

査 査

主 副

副 副

(5)

ている可能性が示唆された。

審 査 に 当た っ ては 、 副 査守 内 教授 よ り 、1.メ タ ノー ル 固 定下 で の組 織形 態保持に つ い て 、2. 細 胞 増 殖 の 指 標 と し てPCNA蛋 白 質 の 検 討 の可 否 につ い て 、3.抗 原賦 活 化 法 を 用 いた 場 合の 陽 性 率の 変 化に つ い て、4. サザンブ ロット法を 行った検 体にp16蛋 白 質 発 現陰 性 例が 少 な い理 由 につ い て 、5.肺 非小細胞 癌におけるp53遺伝子異 常と免 疫 組 織 化学 法 の検 出 能 につ い て、6. 抗p16抗体とp16B転写由来 の蛋白質と の反応性 に つ い て 質問 が あっ た 。 また 副 査加 藤 教 授よ り 、1・p16お よ ぴpRBの 異常 の判定法 と陽 性 限界(cut off)値に ついて、2.各癌抑制 遺伝子産 物と予後 との関係を解析したか否か に つ い て、3・p16およ びpRBの異 常 の予 後 因 子と し ての 可 能 性に つ いて 、4.p16/pRB 系 とp53異常 との間の 遺伝学的 関係につ いて質問 があった 。さらに副 査川上教 授より、

1.pRBの 異常 と 喫 煙と の 関 係に つ いて 、2. 扁 平上 皮 癌お よ び 腺癌 に サプグル ープ分 け し た 場合 の 成績 に つ いて 質 問が あ っ た。 ま た主 査 葛 巻よ り 、1・p16陰性例 のpRB発 現 強 度 に つ い て 、2・pRBの りン 酸 化 状態 の 検討 の 有 無に つ いて 、3.p16の発 現 を核 だ け で 判定 す るこ と の 妥当 性 につ い て 、4.肺 癌 にお け るDNA修 復 遺伝 子の異 常とp53 等 の 異 常と の 関係 に つ いて 、5. 肺癌 に おけるp16の異常と 放射線感受 性につい て質問 が あ っ た 。 申 請 者 は こ れ ら の い ず れ の 質 問 に 対 し て も 適 切 な 回 答 を お こ な っ た。

  さ らに、こ れらの症 例の予後を 検討する ことによ り、p53と組 み合わせたp16/pRBの予 後 因子とし ての役割 を解明する ことがで きると期 待される 。

  審 査員 一 同は、本 研究を、 細胞周期 を制御す る癌抑制 遺伝子p16/pRB系の 異常の肺 非 小 細胞癌に おける意 義を解析し た研究と して高く 評価し、 博士(医 学)の学位を受ける の に充分な 資格を有 するものと 判定した 。

参照

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