• 検索結果がありません。

博士(工学)山田敏清 学位論文題名

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博士(工学)山田敏清 学位論文題名"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

     博士(工学)山田敏清 学位論文題名

Studies on Properties of a Finsler Space          and Their Application

(フィンスラ―空間の諸性質とその応用に関する研究)

学位論文内容の要旨

  フ イ ン ス ラ ー 空 間F ‑ (M、 工 ) と は っ り ー マ ン 空 間 の 概 念 を 拡 張 し た も の で あ り 、 n次 元 微 分 可 能 多 様 体Mで 、 そ の 曲 線x,‑¢ (Z)の 弧 長お が 積分s= ´ 工( ピ(tり , リ) clu、 (リ ニ ニdぷ / カ)

で 与 え ら れ た も の あ る . こ の 積 分 が パ ラ メ タ ーnの と り 方 に 無 関 係 で あ る た め に は 、L(x、 リ ) は 、 り に 関 し て 正 斉1次 で あ る こ と が 仮 定 さ れ る ,

  こ の 空 間 の 応 用 と し て っ ぎ の よ う な 研 究 が 行 な わ れ て い る . 河 口 ・ 山/井 等 に よ る 基 準 面 tI L(x,リ ) =1) を 利 用 し た 視 空 間 の 研 究 , ま た , 点 ピ を 固 定 す れ ば 接 空 間 .rは 工 ( ¢ 、 ジ ) が 与 え ら れ た ミ ン コ フ ス キ ー 空 間 と な り 、 こ の 空 間 の 基 準 面 を 利 用 し た 佐 藤 に よ る 多 次 元 尺 度 構 成 の 研 究 が あ る . さ ら に 、 〔Ytnり ( ¢ ) ぬ d〆 )l2を り ー マ ン 計 量 、p6f( ビ ) ぬfを 一 次 微 分 形 式 と し た 、 ラ ン ダ ー ス 計 量 工 = Qpと ク ロ ピ ナ 計 量 工 : Q2/pの 応 用 が あ る . 前 者 は . Randersに よ り 時 空 に お け る 統 一 場 理 論 の 構 築 や っIngardenに よ り 電 子 顕 微 鏡 の 球 面 収 差 の 理 論 の 構 築 に 応 用 さ れ 、 後 者 は , 物 理 学 に お け る 解 析 力 学 の ラ グ ラ ン ジ ュ 関 数 お よ び 熱 力 学 の 理 論 に 適 用 さ れ て い る . 松 本 に よ り こ の ニ つ の 計 量 空 間 はCり ん ( = !a32( 賦 リ )/af〇 〆 〇 り た ) が Cred11cibleと ぃ う 特 殊 な テ ン ソ ル 方 程 式 を 満 た す こ と に よ っ て 特 性 づ け ら れ る こ と が 示 さ れ た .

  本 論 文 は 、 上 に 述 ぺ た よ う な 工 学 や 物 理 学 に 応 川 範 囲 の 広 い フ イ ン ス ラ ー 空 間 の 諸 性 質 の 研 究 と そ れ ら の 工 学 へ の 応 用 を 論 じ た も の で あ る . は じ め に 基 準 面 と フ イ ン ス ラ ー 空 間 の 関 係 、Creducibleの 拡 張 で あ るqua8iCreducible空 間 の 考 察 . 測 地 線 の 変 換 に 関 す る 射 影 変 換 の 議 論 . お よ び り ー マ ン 空 間 で も 重 要 で あ っ た 超 曲 面 の 理 論 に 考 察 を 加 え た . 応 用 と し て . 力 学 の 運 動 方 程 式 を 与 え る ラ グ ラ ン ジ ュ 関 数 か ら 具 体 的 に フ イ ン ス ラ ー 計 量 を 導 き , 幾 何 学 的 立 場 か ら カ 学 系 の 運 動 を 論 じ た , さ ら に , こ の 理 論 を 情 報 幾 何 学 へ 適 用 し . 母 数 を 含 む 多 項 分 布 の 推 定 問 題 に フ イ ン ス ラ 一 空 間 の 射 影 的 性 質 を 利 用 し た ボ ル ツ マ ン マ シ ン に お け る 効 率 の 良 い の 学 習 ア ル ゴ リ ズ ム に つ い て 論 じ た .

  序 章 で は 、 フ イ ン ス ラ ー 空 間 の 基 本 的 概 念 を 論 じ 、 本 研 究 の 目 的 を 述 べ た .   第 ・ 一 章 で は っ 基 準 面 ん , を 、 接 空 間A心 の (n1) 次 元 リ ー マ ン 超 曲 面 と し て 捕 ら え 、 そ こ に り ー マ ン 空 間 と し て の 超 曲 面 の 理 論 を 適 用 し 、 ガ ウ ス の 方 程 式 を 導 き 、 さ ら に L上 に 接 空 間 の 曲 率 テ ン ソ ル か ら 作 ら れ る 新 た な テ ン ソ ル の 概 念 を 導 入 し 、 そ れ を 利 用 し て 基 準 面 と フ イ ン ス ラ ー 空 間 の 関 係 を 明 ら か に し た . 特 に ん , が 局 所 的 に 対 称 に な る た め の 必 要 十 分 条 件 を 示

311  ‑

(2)

・し.ん,が共形 的平坦になる十分条件を与えた.またっぎに,物理学や工学への応用から導出さ れた ラ ンダ ―ス 計量 、 クロ ピナ 計量 を含 む

C‑reducible

空間 、semi‑C‑reducible 空 間.quasi‑

C‑reducible

空 間の 問の 関係 を解 明 した ニさらにっquasi‑C‑reducible 空間がsemi‑C‑reduciblc およびC‑reducible 空間に帰着するための十分 条件を与えた,

  

第 二 章 で は 、 測 地 線

8[Ldu

0

か ら 定 ま る

Berwald

の 接 続 を 用 い て , ガ ウ ス 曲 率 の 一 般 化 で あ る 断 面 曲 率 の 概 念 を フ イ ン ス ラ ー 空 間 に 導入 しっ これ を用 い てス カラ ー曲 率の 空 間 と定 曲 率空 間を 定義 し て, この ニつ の空 間 の間 の関 係を 論じ た .二 つの フイ ン スラ ー空 間を

F (M

っ工)、F (M ,工)として工→五への 計量の変換を行ったとき、工 に関する測地線が五で 測っ た テ の測 地線 に なり ,逆 もま た真 で ある とき 、F →

F

¨ は射 影変 換と 呼 ばれ る, 本章 では 変 換が 射影 変換 で ある ため の必 要十 分 条件 を詳 細に 検討 し ,射 影変 換に よ り定 曲率 の空 間がまた定曲率の 空間に移るための条件を明 らかにした.

  

第 三 章で は 超曲 面 上に

intrinsic

Berwald

接続 を導 入し . リー マン 空間 の 超曲 面理 論に おい て 成立 する ニつ の 重要 な定 理「

(A)

定曲 率空 間 の全 臍超 曲面 (totallylunbilical) は,ま た定 曲 率空 間で ある

.(B

)定 曲率 空 間の 全測 地超 曲 面(totally geodesic) は.また 定曲率空間 である.」のフイ ンスラ一空間への拡張を試 み肯定的結果を得た.

  

第 四 章で は、 フイ ン スラ ー空 間の 応用 に つい て考 察し っ本 研 究と の関 連に つ いて 述べ たも ので あ る. その 巾で 、 特に フイ ンス ラー の 基本 関数 工か ら, 力 学系 にお ける ラ グラ ンジ ュ関 数工 ^ が導 出さ れ、 工 ゛か らエ もま た可 逆的に特別なク ロピナ計量として構築でき ることを示 した . この こと より 、 ラグ ラン ジュ 関数 の考察は、この クロピナ計量を持ったフイ ンスラー空 間の 研 究に 還元 され 、 運動 や物 理現 象の 幾 何学 的取 り扱 いが 可 能で ある こと が 明ら かに なっ た. さ らに 、こ の議 論 を情 報幾 何学 とし て定式化し、母 数を含む多項分布の推定問 題を取り上 げ. 上 に述 べた ラグ ラ ンジ ュ関 数か らフ イ ンス ラー 計量 を求 め る手 法お よび 射 影変 換の 理論 を駆 使 して ,こ の多 項 分布 の空 間を ユ― ク リッ ド空 間の 中の り ーマ ン超 球面 と みな し. この 幾何 学 的構 造を 利用 す るこ とに よっ てっ より自然な推定 方式を得ることができた. また.これ をボ ル ツマ ンマ シン の 学習 に応 用し た. 従 来の 学習 アル ゴリ ズ ムは 基本 的に

gradieut

法 を用 いて 行 なわ れて いる が 、本 章で は母 数空 間 の幾 何学 的性 質を 利 用す るこ とに よ り、 効率 の良 い学 習 方式 が得 られ 、 収束 に必 要な 反復 回 数は 従来 のア ルゴ リ ズム より はる か に小 さい こと が実験的にも明ら かにされた.

  

終 り に結 論を 述べ 、 従来 論じ られ てい る りー マン 空間 は工 学 的な 応用 の立 場 から みる と.

い わ ゆ る 線 形 近 似 理 論 で ある の対 し、 フ イン スラ ー空 間は さ らに 微分 のオ ー ダー が1 次 高 く 非線 形 性を 許容 する 理 論で ある と考 えら れ ,そ れに 基づ く応 用 可能 性を 論じ . 本研 究の 意義 を明らかにしたも のである.

‑ 312 ‑

(3)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

Studies on Properties of a Finsler Space          and Their Application

(フ ィン スラ 一空 間の諸性質とその応用に関する研究)

  

最 適 化 理 論 や 学 習 理 論 に お け る 最 適 性 の 定 義 に お い て 、 対 象 間 や 状 態 問 の 距 離 の 概 念 が 重 要 な 役 割 を 果 た し て い る 。 距 離 の 概 念 を 体 系 的 に 扱 う 学 問 と し て 計 量 幾 何 学 が あ り 、 こ れ を さ ら に 一 般 的 な 多 様 体 上 で 論 じ た も の と し て 計 量 微 分 幾 何 学 が 知 ら れ て い る 。 そ の 代 表 的 な も の と し て 、 ア イ ン シ ュ タ イ ン の 一 般 相 対 性 理 論 と し て 注 目 さ れ た り ー マ ン 幾 何 学 が あ る 。 リ ー マ ン 空 間 と は 、 二 点 問 の 無 限 小 距 離 が 座 標 の 微 分 の 二 次 形 式 の 平 方 根 で 与 え ら れ る 特 殊 な 計 量 を 持 っ た 空 間 で あ る が 、 本 論 で 展 開 し た フ イ ン ス ラ ― 空 間 と は 、 こ の 無 限 小 距 離

cls

を よ り 一 般 的 な 基 本 関 数 工(Il ‥、.1 ー、… っj リ、( .rl っ 出ー、 …っ(ll .,|)で測ろうとするものである。その意味において フ イ ン ス ラ 一 空 間 は 、 り ー マ ン 空 間 を さ ら に 拡 張 し た 空 間 と 見 な す こ と が で き る 。

  

近 年 、 フ イ ン ス ラ ー 空 間 は 、

G

Randers

が 統 一 場 理 論 の 構 築 に 利 用 し て 以 来 、 工 学 や 物 理 学 の 分 野 の 中 で 様 々 な 形 で 展 開 さ れ て い る 。 例 え ば 、

Ingar

len

に よ る 電 子 顕 微 鏡 の 収 差 の 問 題 、 熱 力 学 へ の ク ロ ピ ナ 計 量 の 応 用 、

Antondli

と 島 田 に よ る 進 化 と 発 生 の 生 物 学 へ の 応 用 、 河 口 達 に よ る 視 空 間 の 応 用 、 更 に は 、 佐 藤 に よ る 多 次 元 尺度 構成の 応用等 がある 。

  

本 論 文 は 、 上 に 述 べ た よ う な 工 学 や 物 理 学 に 広 く 応 用 さ れ て い る フ イ ン ス ラ 一 空 間 の 諸 性 質 の 研 究 と そ れ ら の 工 学 へ の 応 用 を 論 じ た も の で あ る 。 フ イ ン ス ラ 一 空 間 の 特 性 と し て は 、 基 準 面 と フ イ ン ス ラ 一 空 間 の 関 係 、

C

reduciblP

空 間 の 拡 張 で あ る

luasi

C

rmuciblc

空 間 の 考 察 、 測 地 線 の 変 換 に 関 す る 射 影 変 換 の 議 論 、 さ ら

l

に 超 曲 面 の 理 論 に 考 察 を 加 え て い る 。 ま た 、 こ の 空 間 の 応 用 と し て 、 力 学 系 の 運 動 方 程 式 を 与 え る ラ グ ラ ン ジ ュ 関 数 か ら 具 体 的 に フ イ ン ス ラ ― 計 量 を 導 き 、 フ イ ン ス ラ 一 空 間 と し て の 諸 性 質 を 利 用 し て 、 力 学 系 に お け る 運 動 を 幾 何 学 的 立 場 か ら 論 じ て い る 。 さ ら に 、 こ の ラ グ ラ ン ジ ュ 関 数 と フ イ ン ス ラ ー 計 量 の も つ 対 応 関 係 を 情 報 幾 何 学 に 適 用 し 、 射 影 変 換 の 議 論 を 駆 使 し て 、 母 数 を 含 む 多 項 分 布 の 推 定 問 題 お よ び ボ ル ツ

治 勝

義  

  公

藤 保

佐 新

授 授

教 教

査 査

主 副

(4)

マンマシンの学習アルゴリズムについて論じて いる。

  

序 章 で は 、 フ イ ンス ラー 空 間の 基本 的概 念を 概説 し、 従来 の知 られ てい る結 果と 本 研 究 と の 関 連 性 を明 らか に する と同 時に 、応 用へ の可 能性 を指 摘し 本研 究の 目的 を明確にしている。

  

第 一章 では 、基 準面

L

.をフインスラー空間亅r の接空間の超曲面としてとらえ、I ″ 上 に 接 空 間 の 曲 率 テ ン ソ ル か ら 作 ら れ る 新 た なテ ンソ ル

T

を 導入 し、 それ を利 用し て

L

の 構 造 を 規 定 す る 定 理 と し て 、 特 に

I

が 局 所 的 に 対 称 に な る 必 要 十 分 条件 、共 形的に平坦になる十分条件を与えている。この ことは、フインスラー空間」、丿のもつ 基 本 関 数 工 の 構 造 を間 接的 に 決定 する こと にな る。 さら に、 物理 学や 工学 への 応用 から 導出 され たラ ンダ ―ス 計量 とク ロ ピナ 計量 を含 むC −reclucible 空 間に ついて詳 細 に 論 じ て い る 。 第二 章で は 、フ イン スラ ー空 間の 特殊 空間 とし ての 、ス カラ ―曲 率 の 空 間 と 定 曲 率 の空 間の 間 の関 係を 調ぺ てい る。 一般 に定 曲率 の空 間は スカ ラ一 曲 率 の 空 間 で あ る が、 逆は 必 ずし も真 では ない 。そ こで 本研 究で は、 スカ ラ一 曲率 の 空 間 が 定 曲 率 の 空間 にな る ため の必 要十 分条 件を 与え てい る。 さら に、 射影 変換 に 関 し て 、 定 曲 率 の空 間が 定 曲率 の空 間に 移る ため の条 件を 詳細 に検 討し 、明 らか にしている。

  

第 三 章 で は 、 特 に、 フイ ン スラ ―空 間の 全臍 超曲 面の 定義 を与 え、 定曲 率空 間の 全臍超曲面はまた定曲率空間であるとぃう定理 を述べている。

  

第 四 章 で は 、 フ イン スラ 一 空間 の応 用に つい て考 察し 、本 研究 との 関連 につ いて 述べている。力学系における運動は、ラグラン ジュ関数工゛の満たすEul ぐ

r‑La.grauge

の 微 分 方 程 式 に よ って 規定 さ れる が、 この 工゛ から フイ ンス ラー 計量 工が 構築 でき る こ と を 示 し 、 運 動が 、こ の エを 計量 にも つ特 別な クロ ピナ 空間 とし ての 幾何 学的 研 究 に 還 元 で き る こと を明 ら かに して いる 。特 に、 力学 系に おけ るラ グラ ンジ ュの 運 動 方 程 式 の 表 す 軌道 は、 フ イン スラ ー空 間の 測地 線と 一致 する こと を主 張し てい る。 さら に、 この 議論 を情 報幾 何学 と して 定式 化し、母数を含む多項分 布の推定問題 に 、 ラ グ ラ ン シ ュ 関数 から フ イン スラ 一計 量を 得る 手法 及び 射影 変換 の議 論を 用い て 、 多 項 分 布 の 空 間を 幾何 学 的に とら え、 より 自然 な推 定方 式を 確立 して いる 。ま たこの方式をボルツマンマシンの学習に応用し、従来の学習アルゴリズム(graclic `llt 法 ) よ り 効 率 の 良 い学 習方 式 が提 案さ れ、 実験 的に も効 果的 であ るこ とが 立証 され ている。

  

こ れを 要す るに 、著 者は 、最 近、 工 学の 分野 のみならず諸分野におい て注目されて いる フイ ンス ラ― 空間 の基 礎理 論を 展 開し 、統 計的推定問題やニューラ ルネットワー ク 理 論 の 情 報 幾 何 学的 取り 扱 いに つい て多 くの 新知 見を 得た もの であ り、 情報 解析 学 お よ び ニ ュ ー ラ ルネ ット ワ ーク の学 習理 論等 の発 展に 寄与 する とこ ろ大 であ る。

  

よって著者は、北海道大学博士(工学)の学 位を授与される資格あるものと認める。

参照

関連したドキュメント

  

低倍率から高倍率まで連続的に可変でき,しかも操作が容易なことから様々な分野での研究開発 にしばしば署q 用されている。SEM

  

[r]

自覚的 に1 分間続けることが可能な 最大値を最大仕事率(J /cnf/min) とした。運動中1 分毎 にMRS を 損 l 亅定した。得られた無機 燐( Pi) とクレアチン燐酸(PCr) のスペクトルより各々

[r]

性を担いながら事業性の低い商業劇場を独自の視点と基本空間構成の工夫により、複合化

げ高さに関する実験式を提案した。滑面、粗面、「粗面十透水層」に対す