小特集
マイクロエレクトロニクスLSl開発における
計自動イヒ
U.D.C.占21.3.049.774′14:る58.512.2.011.5占:る81.322DesignAutomationfor
LSIDevelopment
近年,LSIの開発業務は量的に急激に増大するとともに,質的にも高度なものが 要求されている。特にLSI設計工程では,高性能化や設計品質の向上を図り,かつ 多品種のLSIを短期間に設計するため,コンピュータによる設計の自動化が不可欠 となっている。 設計自動化システムは,デバイス設計に始まり製造・検査用の各種データ作成ま で叫白広い分野をカバーしている。本稿ではLSIの設計工程での主な設計自動化シス テムの構成と機能について述べる。 現在,これらのシステムを使用して種々のLSIを設計しており,製品の高性能化 と高信頼度化を達成するとともに,開発期間の短縮及び ̄最新半導体技術の早期適用 を実現している。 n緒
言 半導体製造技術の進歩に伴ってLSIの集積度が急激に増加 しており,LSIの設計量は既に人手による処理限界を越えて いる。また,LSIは製造後に設計不良を発見しても答易に修 正できないので,高品質な設計が要求される。更に近年の微 細化技術の向上に伴い,より高精度な設計が要求されつつある。 大規模化・微細化しているLSIを,短期間に,しかも設計 品質を保証して開発するには,コンピュータを利用した設計技術,いわゆるCAD(Computer
Aided Design)若しくはよりいっそう自動化を進めたDA(Design
Automatiom)が必要不 可欠である。もともとCADとDAは異なる概念であるが,最 近は同一の技術として議論される場合が多いので,本稿では DAに統一する。 以下,日立製作所でのLSI開発の概要,並びに開発に用い ているDAシステムの構成,自動化の範囲及びその概要につい て述′ヾる。 仕 様 の 決 「 ●■ ̄ ̄■■■■■■■ ̄ ̄ l 方 + ____ 式 設 計 デバイス設計,回路設計 論 理 設 計 装 設 計 アートワーク・チェック 製造・検査用データ作成 注: 「 ̄ ̄ ̄ ̄1 1 1 L____+ 主に人手∈』
コンピュータ利用 製造・検査 図l JSl設計の5売れ LSl設計工程を示す。工程のうち仕様の決定, 方式設計を除き,コンピュータを利用して設計が進められる。池本康博*
岡佑-*
福田秀樹**
土屋洋;欠***小i芋時典**事*
l七ざ伽んよr(JJ丘emoJo l旬icん∫ 0丘α 〟fd()太古 凡ん伽血 yaノブ Tゝ址ぐんJダα m鬼才柁Or∼ 〟ogα抑α 臣ILSl開発の流れと自動化
LSIの基本的な開発手順は,図1に示すとおりである。 まず,製品の仕様が決定される。次にその仕様を満足する ようなLSI方式及び機能の設計が行なわれる。この工程を方 式設計と呼ぶ。仕様決定と方式設計は設計者の創造性に負う ところが多く,主として人手で行なわれる。方式設計が終わ るとLSI素子の構造を決定するデバイス設計,回路方式と回 路定数を決定する回路設計,また具体的な論理回路図を作成 する論理設計へと進む。その後,LSI内部の素子の配置と素 子間の配線を決める実装設計(レイアウト設計ともいう。),設 計された図形データを処理するアートワーク及び設計規則と のチェックを経て,製造・検査用データ作成を行ない設計を 完了する。デバイス設計以降の各工程では,DA技術が有効に 使用されている。 図2に各設計工程に用意されているDAシステムを示す。こ れらのシステムは,設計するLSIの種類に応じて全体又は一 部が使用される。また,本システムでは,設計者の使いやすさを重視して,TSS(タイムシェアリングシステム)やグラフ
ィ ックシステムを駆使している。 61 回路設計及び論理設計 素子の微細化,高集積化に伴って情報量が増えると,設計 誤りが多く発生する。回路及び論理設計では,コンピュータ によるシミュレーション手法を活用して設計検証を行なうこ とにより.この間題を解決している。 3.1 デ′くイス設計と回路設計 図3に設計のi売れを示す。デバイス設計では,デバイスシ ミュレーション1)により半導体内部の動作を解析する。すなわ ち,デバイスの構造や不純物分布などをコンピュータへ入力 し,ポアソン方程式と電流連続の方程式を解くことによって, 物至里現象,電気的特性をシミュレーションしている。 回路設計では,回路シミュレーションやレイアウトパター ン解析2)が行なわれる。回路シミュレーションでは,人手によ る設計結果を入力して模擬的に回路を動作させることにより 回路の性能を評価し,その結果に基づいて回路構成と回路特 性を改善していく。シミュレーショ ンの実行はTSS端末によ * 日立製作所デバイス開発センタ ** 日立製作所武蔵工場工学博士 *** 日立製作所神奈川工場 **** 日立製作所中央研究所 45516 日立評論 VO+.64 No,7(1982-7)
コンビュ謬
≡監
デバイスシミュレーション回路シミュレーショ ン レイアウトパターン解析メモ留
\\、さ
一一一一一一一一一一-岩
ト+ +≠
回路図 ⊂=⊃艶捌
/
◎
/
\団
テレビジョン 論 理 入 力 論理設計 論理シミュレーション 論 理 図 デイ レイチェック[コ
TSS (タイムシェアリングシステム) 実莞
昌丈 計 配 置 配 線 配 線 チ ェ ッ ク ア l ト ワ l ク マスクパターン生成 デザインルールチェック 接 続 チ ェ ッ ク プ ロ ッ ト 図 製造検査用 データ作成 診 断 パタ ーンゼネレータ 電 子 ビ ー ム 露 光 生 産 図 面 LSl デバ イ ス設計 ⇒ デバイス構造 ======令 デバイス シミュレーション 又 は デバイス定数の測定 回 路 設 計 レイアウトパターン弔
⇒ 修 正 ¢輩
回路図 特性波形図随
TSS端末 回路レイアウト パターン図 回 路 シ ミ ュレーショ ン併
身m
報 情 数続 定接 路路 回同一 レ イ ア ウ ト パ タ ー ン 解 析 設計完了 図3 デバイス,匝】路設計の流れ デバイスシミュレーション,デバ イス定数の測定などにより.デバイス構造を決定後,匝l路シミュレータ,レイ アウトパターンプ解析システムを使用Lて所望の回路を設計L,検証できる。 46 ロロロロロ ロ呂囲
[コ
論王里図訊
レイアウト図 グラフィックディスプレイ装置 図2 +SI開発支援用 DAシステム 各設計工 程に対応Lて種々の開発支 援及び自動化システムがあ り,短期間に+Slの設計が 可能である。 り対話形式で行なう。 実行結果の例を図4に示す。出力された特性曲線は,グラ フィ ックディスプレイ_Lに表示でき,必要に応じてフロロット 図などのハードコピーを即時に得ることが可能である。 回路の検証が終わると,その回路に対応したレイアウトパ ターンを作成する。しかし,素子が高速になるとLSI内部に 意識的又は無意識的に作り込まれた抵抗や容量により,特性 が人きく影響される。そこで,レイアウトパターン解析シス テムを用いて,設計されたパターンからトランジスタ,才底抗, 容量を認識し,凶路定数の算出及び素子間の接続情報を自動 的に祁川iして,回路シミュレーションを再実行することによ り設計されたパターンの検証を行なう。 これらのシステムを駆使することにより,LSIを製造する ことなしに性能及び設計品質を保証できるので,開発期間を 大巾如二知縮することができる。 3.2 論理設計 論理LSIの場合,論理不良を設計の段階で完全に取り除い ておかないと,LSIの再製作が必要となり開発期間及び開発 コストの増大を招く。特に多品種LSIのノ短期間開発が要求さ れるマスタスライスLSIでは,大きな問題となる3)。論手堅不良 を設計の初期の段ド皆で見付けるのが論プ翌シミュレーション4〉 である。ニのシステムでは,各ゲートの任意の時刻の論理状 態を計算しTSS端末に出力することができ,論理の検証に大 きな効果を挙げている。 口実装設計とアートワーク
4.1 実装設計 実装設計ではLSIチップ上に素子を配置し,配置された素LSl開発における設計自動化 517
④
乳
④叫
♂
⑲
⑰
⑯
④
13⑭
⑯
(a)被検証回路 甚 ≡㌢∃こrこ£;1蔓・ごフニ弐芝喜喜妄言・喜…芝記雪空き冒・琵!YNOPEまlO)、N,.=∃を
… べ誉 ‡り1邑
ぷ]「
1弓
。紅、
■ノ メ1
∈ 、■′/r ▼≡]㌔㌧、遥
ブ㌦、一丁 ℡ 0.匂8 シ♀.0b ▲.00 ■穴00 ●、08 10】00 TI持E ♯lOヰ (b)シミュレーション結果 図4 回路シミュレーションの例 検証したい回路(a)図を入力する と,(b)図に示すような出力波形が得られる1つ これをTSS端末上で対話形式で 進めることができる。 十問を与えられた論理接続情報に従って配線する。大規模な LSIの配置と自己線を人手で行なうことは不可能に近い。そこ で論理LSIの場合,実装設計のほとんどの機能を自動化5)して いる。 図5にマスタスライスLSIで自動化されている主な機能を 示すが,最近ではマスタスライスLSIだけでなく,標準セル 方式の論理LSIについてもほぼ同様な自動化機能をもつ実装 設計システムが実用化されつつある。 LSlピン割十すけ セル配置 線 {日動実装設計 セル割付け,配置 セル,ゲート交換 混雑度平準化 ピ ン 交 換 配線層割付け 配線順序決定 2 段 階 配 線 混雑度平準化 分 岐 配 線 配 線 修 正 配線チ ェ ック 抵 抗 選 択 図5 実装設計の自動化1幾能(マスタスライス+Slの例) 論理LSl の設計用に広範囲な自動イヒ機能がある。 ≡ L▼一 図6 LSl配線パターン図 配置・配線システムにより,自動生成され た+Slの配線パターンを示す。×-Yプロッタで自動製画Lたものである。 セル(ゲート又はゲートの集まI))自己置システムでは,自動 配線辛が上がるようにセルの割付け,自己置だけでなくLSIピ ンの側付け,セル内ゲート交換,予想配線混雑度の平準化, セルピンの交換も行なっている.っ 配線システムでは,信号線の配線順序を決定Lた後,配線 層を割り付ける。次いでLSI上を粗い格子に分割し,その格 子を使って大略の配線を行ない配線混雑を解消した後,鼓終 パターンを決定する。自動配線率はほぼ100%である。図6は 配線結果をⅩ-Yプロッタで製画した例である。 もし,自動配線で未配線が生じた場でナには,グラフィ ック システムを使用して配線パターンを追加する。追加した配線 が論理図どおり正Lく接続されているかどうかを検査するの が配線チェックである。また,電気的条件を考慮して抵抗を 自動的に選択することができるので,信頼性の高い設計が可 能である。 以上説明した自動化機能により,実装設計でグ)設計不良を 皆無にすることが可能となった。 4.2 アートワーク メモリLSIのように設計パターンに規則性のあるもの,あ るいは高性能が要求されパターンの標準化が困難なものは, 人手で実装設計される場合がある。人手設計されたレイアウ ト図面をコンピュータに人力し,不良のない図形デMタベー スを生成するのがアートワークシステムである。 図7にアートワークシステムの構成を示す。レイアウト図 面の人力とデータ不良の修正は,グラフィ ックシステムによ り効率的に行なっている。人手レイアウト図は-一部シンボリ ックな記法で苦かれており,シンボルを実体パターン化(マス クパタ【ン生成)した後,パターンの異常接近などのデザイン 47518 日立評論 VOL.64 No.7(柑82-7)
与7
留
□
図形入力 図形編集 イアウト図面 マスク パターン生成 ラフイツク ステム R O M パターン作成1/
図 形 データベース/
接続チェック\デザインルール
チ ェ ッ ク プロット 製造{日動化システム注:略語説明 ROM(R8ad O11】Y Memory)
図7 アートワークシステム 設計データベースを中心にして,アート
ワークに必要な各種システムを用意している。
ルール違反がないかどうか,また,論理図とレイアウトパタ
ーンは一致するかなどのチェックが自動的に行なわれる6・7)。
他にプロット図作成,ROM(Read
Only Memory)パターン生成などの機能が用意されている。 B
LSlの製造・検査における自動化
論理設計の終わった論王聖情報及びアートワⅥクによr)生成 された図形情報から,LSIの製造・検査用データが作成される。 図8に示すように,各製造・検査工程に対し各種の技術情 報を自動作成し供給することにより,LSI製作を円滑に進め ることができる。また,製品の高信頼性を保証している。 LSI製造用データには,パターーンゼネレータ用データ,電 子ビーム露光用データ,各種生産用図面などがある。 LSIの検査は,直流特性検査,ファンクション検査,動作 速度検査などが行なわれ,検査に使用するデータは,診断シ ステムにより自動作成される。 実装・アートワークシステム 技術情報 l回 結 言 以上述べたように,LSI設計の各工程にDAシステムが用意 されており,従来数箇月かかっていた設計期間を数日ないし 数週間に短縮でき,多様なシえテムニーズに対応できるよう になった。 本システムは,バイポーラ,MOS(Meta10Ⅹide Semicon-ductor)など各種製造プロセスのLSI設計に適用できる。日立 製作所では,本システムを駆使して大形コンピュータ用論理 LSIをはじめ,64kビットMOSメモリ,マイクロプロセッサ などの製品を開発してきた。また,DAシステムによりLSIの 大規模化に対応でき最新半導体技術の早期適用が可能になり, 更に製品の高性能化,高信頼度化の実現,開発期間の短縮な どの効果を得ている。今後も半導体技術の向上と集積度の増 大が続くと考えられるので,自動化技術の拡充を促進し開発 力のいっそうの強化に努力していきたいと考えている。 参考文献1)K.Yamagucbi,et al.:Excess Gate Current Analysis of
Junction Gate FET's by Two-dimentionalComputer
Simulation,IEEE Trans.ED-20(1978)
2)矢野,外:LSIマスクパターンの抵抗自動算出手法の検討, 昭56年度信学全国大会(1981)
3)大野,外:大形コンピュータの自動設計,日立評論,61,7, 487∼492(昭57-7)
4)Y.Ohmo,et al.:Logic Verification of Very Large
Computers Using LSI's,Proc.of16th DA Conf.(1979)
5)岸田,外:マスタスライスLSI用レイアウトシステム,情処 学電子装置設計技術研究会資料12-2(1982)
6)酒見,外:論理接続チェックシステム,情処学電子装置設計 技術研1究会資料6-2(1980)
7)T.Kozawa,et al.:A Concurrent Pattern Operation
Algoritbm for VLSIMask Data,Proc.of18th DA Conf.
(1981) 論 理 設 計 シ ス テ ム 診 断 パターンゼネレータ 用 デー タ 作成 パターンゼネレータ