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拡大部・縮小部を有する開水路流れの水面形に関する研究

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(1)

拡大部・縮小部を有する開水路流れの水面形に関する研究

A STUDY ON SURFACE PROFILE OF OPEN CHANNEL FLOW WITH ENLARGEMENT AND CONTRACTION 土木工学専攻  38 号  山下  千智

Kazutomo YAMASHITA  

1.はじめに 

跳水・段波と呼ばれる水理現象は山地河川,多自然型 河川など複雑な形状を示す河川,またダムの余水吐きや 堰下流側など様々な地点において観察される.これらの 河川では,景観や親水性を考慮して数多くの平面・縦断 形状が検討されるが,そこで発生する跳水や段波などの 水理現象は極端に水位を増加させ越流を発生させる危険 性を有している.一方,このような水理現象に関しては 様々な研究が行われてきており,直線河道における跳水 の形態,時間平均された共役水深の関係,段波の波速な ど基本的な特性はほぼ解明されている.しかし河道急変 部における跳水や段波などの水理現象は未解明の部分が 多く,水路急変部 (河積拡大部・縮小部 )を持つ開水路流れ における水理学特性を解明することは意義があると考え る.本研究では, 図-1 の Case1 のような漸拡部を持つ開 水路流れを「拡大部」 ,Case2,Case3 のような凸部・縮 流部を持つ開水路流れを「縮小部」として扱い,拡大部 を有する開水路流れにおける非対称流れと跳水の発生条 件を実験的に示し,縮小部を有する開水路流れにおける 跳水・段波の発生条件及びその波速,波高を上流のフル ード数と河道形状に着目し, 理論的かつ実験的に導いた.

2.拡大部(漸拡部・急拡部)を有する開水路流れにおける 水面形に関する実験(Case1) 

2-1.実験概要 

実験に用いた水路は水路床が鋼材により構成される 勾配可変式水路で、水路床勾配は1/5000 と一定に設定し た.漸拡部の角度は10°, 15°, 20°, 30°, 40° の 5 つのケ ースで実験を行った.実験方法として,上流端から与え る流量を徐々に増加させ,拡幅部より 60cm 上流側の a

点 (図-2)で流速,水深を測定,フルード数を算出し,拡

大後の流れを観察した.本実験では,目視で拡大部より 下流で水深が明らかに増大している地点が存在する水面 形を「跳水あり」 ,その他衝撃波のみの流れや水深の大き な増減が目視で確認できない水面形を「跳水なし」と判 別した.跳水が発生した場合,その流況が対称形,流れ が右側に寄る非対称形,流れが左側に寄る非対称形の 3 つに分類し, 「跳水なし」のケースと合わせて, 4 つの水 面形に分類した.非対称の場合,流れが寄る方向の反対 側の壁付近には小規模で規則的な渦が観察された. また,

拡幅後の流速を横断的に測定することにより,目視だけ でなく流速の非対称性も確認した.

2-2.実験結果 

図-3 に実験結果を示す.横軸に上流 (a 点 )のフルード 数,縦軸に漸拡部角度の正接をとり水面形を比較したも のである.上流のフルード数を増加させていくと跳水な

1

8m1

8m1

8m

15m

Flow

Flow

0.9m

0.9m

0.45m

θ

θ= 10°,15°,20°,30°,40°

b

(ε= (0.9-b)/0.9) ε= 0.09,0.2,0.31,0.42,0.63

Case1 :

Case2:

Case3:

Flow

0.9m

6.00cm 1.28cm (断面図)

a

0.6m 漸拡(急拡)部を持つ開水路流れ

縮流部を持つ開水路流れ 凸部を持つ開水路流れ

1

8m1

8m1

8m

15m

Flow

Flow

0.9m

0.9m

0.45m

θ

θ= 10°,15°,20°,30°,40°

b

(ε= (0.9-b)/0.9) ε= 0.09,0.2,0.31,0.42,0.63

Case1 :

Case2:

Case3:

Flow

0.9m

6.00cm 1.28cm (断面図)

a

0.6m 漸拡(急拡)部を持つ開水路流れ

縮流部を持つ開水路流れ 凸部を持つ開水路流れ

図-2  各 Case に用いた実験水路の平面図 

0.8 0.9 1 1.1

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2

:跳水有り(右側寄) :跳水有り(左側寄)

:跳水有り(対称形) :跳水無し

Fra

L

Bo θ

LBo

Tan θ =

B2

(Va: 表面付近の流速) (ha: 水深)

Tanθ

B

a a

gh V

Fr

a

=

60cm a

非対称形の跳水が発生

対称形の跳水が発生 跳水なし

15°

10°

20°

30°

40°

※添字はθの角度を表す

0.8 0.9 1 1.1

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2

:跳水有り(右側寄) :跳水有り(左側寄)

:跳水有り(対称形) :跳水無し

Fra

L

Bo θ

LBo

Tan θ =

B2

(Va: 表面付近の流速) (ha: 水深)

Tanθ

B

a a

gh V

Fr

a

=

60cm a

非対称形の跳水が発生

対称形の跳水が発生 跳水なし

15°

10°

20°

30°

40°

※添字はθの角度を表す

図-3  水路形状とフルード数からみた水面形特性 

非一様断面を有する開水路流れにおける 水面形特性の解明

従来の古典的水理学における不十分な点 拡大部を有する開水路流れに

おける水面形特性

縮小部を有する開水路流れに おける水面形特性

Case1:

漸拡部における流れ

Case2:

凸部における流れ

Case3:

縮流部における流れ

跳水・段波の発生条件及びその波高・波速の理論構築

(非対称流れに着目)

実験による検証(縮小部での理論値と実験値との比較)

非一様断面を有する開水路流れにおける 水面形特性の解明

従来の古典的水理学における不十分な点 拡大部を有する開水路流れに

おける水面形特性

縮小部を有する開水路流れに おける水面形特性

Case1:

漸拡部における流れ

Case2:

凸部における流れ

Case3:

縮流部における流れ

跳水・段波の発生条件及びその波高・波速の理論構築

(非対称流れに着目)

実験による検証(縮小部での理論値と実験値との比較)

図-1  研究の流れ 

(2)

しの流れ,非対称形の跳水が発生する流れ,対称形の跳 水が発生する流れへと水面形が遷移していくことがわか る.また,縦軸の値が大きくなる(拡幅が急である)ほど 跳水なしの流れが多いことがわかる.また,縦軸の値が 小さくなると非対称性の流れが多くみられることがわか る.この結果から,非対称流れは上流側のフルード数が 大きすぎず小さすぎない値 (0. 8-1.1 程度)の場合に頻繁に みられるということが推測できる.

3.縮小部(凸部・縮流部)を有する開水路流れにおける水 面形の理論解析(Case2・ Case3) 

例として図‐4 に示すような Case2 の凸部を持つ開水 路流れにおいて上流 (断面Ⅰ )のフルード数と無次元凸部 高さの関係式を導出する. (1)式は断面Ⅰ,断面Ⅱにベル ヌーイの定理を適用した式である.

( ) 1 2

1 2

1

2 2 2 1

2

1 v h ZL

h g

gv + = + +

(1)式を断面 1 での水深

h1

で除して(2) 式を得る.

( )

2

2 1 1 2

1 2

2 2

1 + = yFr +y+ηL

Fr

ここで,

y

は上流の水深で除して無次元化した断面

Ⅱの水深,F

r1

は断面Ⅰでのフルード数,

Fr2

は断面Ⅱ でのフルード数を表している.また,以降 η

=Z/h1

を無 次元凸部高さと定義する.跳水が発生する際,断面Ⅱ で限界水深

yc

となりフルード数

Fr2

が 1 となる条件を 用いると(3) 式を得る.

( )

3

2 1 1 3

2 2

1 ⎟L

⎜ ⎞

⎛ + −

= Fr η

yc

( )

4

23 1 2

1 1 2 1 3 1 3 2

1

3 Fr y Fr L

gh v gh

q h

yc hc⎟⎟ = = = ⇒ c =

⎜⎜ ⎞

=⎛

限界水深の定義より(4)式を用いるとフルード数と 無次元凸部高さの関係として(5)式を導出することが できる. この式が跳水・段波が発生する限界条件となる.

( )

5

2 3 2

1 1 3

2 1 2

1 Fr L

max = + Fr

η

 

また本紙では導出を省略するが,段波が静止跳水とし て留まる条件は (6)式となり,断面Ⅱにおいて無次元水深 の解が負となる条件(流れが凸部を乗り越えない条件)

は (7)式で表すことができる.

( ) ( )

6

2 3 4 1 16

1 1

3 2 2 1

1 32 2

1 Fr L

Fr

Fr + − −

= + η

( )

7 2

1+1Fr12L η =

(5),(6),(7) 式を用い, 図-5 に無次元凸部高さと上流のフ

ルード数の関係から理論的に推定される各種水面形を示 す.図中の黒の実線は (5)式を,黒の点線が(6)式を,灰色 の線が(7)式を表している.ここで 領域 1 は跳水が発生し ない領域,領域 2 は跳水が発生する領域, 領域 3 は流れ が凸部を乗り越えない領域,領域 4 は跳水が下流に向か う遷移領域であると推定される

なお Case3 の縮流部において,河道形状を示すパラメ

ーターを河幅縮小率

ε

として同様の理論を用い跳水・段 波が発生する限界条件((8)式)を導き各種水面形を示す ことができるが縮流部では単位幅流量の変化の考慮が必 要なため,Case2 の凸部より導出が複雑となる.

(

1

) ( )

8

3 2 1

32 2 1

1 L

⎭⎬

⎩⎨

⎧ +

=

Fr ε Fr

4. 縮小部を有する開水路流れで発生した段波の波高と波 速の理論的導出 

縮小部で発生する段波の水深増加前後の関係と,発生 した段波がどのような速度をもって遡上していくかを無 次元河床凸部高さと上流のフルード数の関係から導く.

(1)水深比

h2/h1

を与えることにより

Fr-η

の図を描く. 

一般的に段波の波速  は (9),(10)式で表される.

( ) ( )

9

2 1 1 2

2

1 L

& h h

h h u g

s ⎟⎟ +

⎜⎜ ⎞

− ⎛

=

( ) ( )

10

2 2 1 2

1

2 L

& h h

h g h u

s ⎟⎟⎠ +

⎜⎜ ⎞

− ⎛

=

(9)=(10)とし,両辺を      で除し

Fr2

について整理

することにより(11)式を得る.

s &

gh

1

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0

上流のフル ー ド数 

Fr

無次元河床凸部高さ (η=s/h

0)

射流 常流

(壁を乗り越えられない) (遷移領域)

(跳水が発生する領域) 3 2 1 2

1 2

3 2

1+1Fr Fr η=

2

2 1

1+1Fr η=

( )

3 2 2 1

1 32 2 1

2 3 4 1 16

1

1 Fr

Fr Fr +

= + η

跳水が発生 する 跳水が 消える 領域1

領域1

領域2

領域3 領域4

上流のフルード数

Fr

(

η=

Z/h0)

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0

上流のフル ー ド数 

Fr

無次元河床凸部高さ (η=s/h

0)

射流 常流

(壁を乗り越えられない) (遷移領域)

(跳水が発生する領域) 3 2 1 2

1 2

3 2

1+1Fr Fr η=

2

2 1

1+1Fr η=

( )

3 2 2 1

1 32 2 1

2 3 4 1 16

1

1 Fr

Fr Fr +

= + η

跳水が発生 する 跳水が 消える 領域1

領域1

領域2

領域3 領域4

上流のフルード数

Fr

(

η=

Z/h0)

図-5  理論から推定される各種水面形 

h1

v1 v2

Z h2

断面1 断面2

h1 Flow

v1 v2

Z h2

断面1 断面2

Flow

図-4  理論において定義した水理諸元 

h

1

)

(3)

( ) ( ) ( )

⎟⎟

⎜⎜ ⎞

⎛ =

+

− +

+

=

1 2 2 2

2 2 2

1

2 1 11

2 1 1

2 1

h y h y

y y y

Fr Fr L

また, (4)式の関係から (12)式を得る.

( )

12 2

1 1 3

2 23

2 2 2

2 Fr L

Fr y ⎟⎟=

⎜⎜ ⎞

⎛ + − η

ここで,得られた (11),(12)式から

Fr2

を消去し,

y2

を与 えることにより,上流のフルード数と無次元河床凸部高 さとの関係を表すことができる. 図-6 にその関係を示す.

(2)波速

c

を与えることにより

Fr-η

の図を描く. 

(9)式の両辺を    で除し

y2

について整理することに

より (13)式を得る.

(

2

)

2 1

1

2 1

1

y y

F gh c

s

r − +

=

& =

( ) 0

2

1 2

2 2

2 + − + =

y y c Fr

( ) ( 0 ) ( ) 13 2

8 1 1

2 2 1

2 − + + + Q > L

= c F y

y r

(11),(12)式からFr

2

を消去した式に (13)式によってy

2

を消

去し

c

与えることにより上流のフルード数と無次元河床 凸部高さとの関係を表すことができる. 図-7 にその関係

を示す.

また,この図での黒の破線は (20)式における断面Ⅱの フルード数が 0(

u2=0)となる条件式より導いた境界線

であり,青の破線が(14) 式で示す段波が静止する境界線,

黒の実線は跳水発生有無の境界線である.

ここでも同様の方法で, Case3 の縮流部においての波 高,波速と上流のフルード数と河幅縮小率εとの関係を 理論的に導くことができ,それぞれ図-8, 図-9 に示す.

5.理論検証実験(Case2,Case3)  5-1.実験概要 

  3 章 で導いた,跳水・段波の発生領域と実現象との 整合性を検証するため凸部(Case2)と縮流部(Case3)を設 置した水路において水理実験を行った.実験に使用した 水路の土台と測定方法は 2 章で行った実験と同様である.

Case2 では上流から下流まで一様な水路幅とし,途中高

Z=1.28(cm),奥行幅

6.00(cm)の凸を設置した.ここで は,断面形状のパラメーターとして無次元凸部高さ η

=Z/h

1

を定義する.なお,ここでの

h1

は測定地点での水 深である.Case3 では断面縮小後の水路幅

b

を河幅縮小 率 ε =(0.9-b)/0.9 が 0.09, 0.2, 0.31,0.42, 0.63 となるよ うに設定した. 実験方法として,上流端より流量を一定 で与え,水路床勾配を変化させることにより上流のフル gh

1

y2=1.2 y2=1.4

y2=1.6 y2=1.8

y2=2.0 y2=2.2

y2=2.4 y2=2.6

y2=2.8 y2=3.0

y2=3.0 y2=3.0

y2=3.0

1 2

2 h

y =h jp

h2jp

h1

Fr1

η(=Z/h1)

無 次元凸 部河床 高 さ

上流のフルード数 y2=1.2

y2=1.4 y2=1.6

y2=1.8 y2=2.0

y2=2.2 y2=2.4

y2=2.6 y2=2.8

y2=3.0 y2=3.0

y2=3.0 y2=3.0

1 2

2 h

y =h jp

h2jp

h1

Fr1

η(=Z/h1)

無 次元凸 部河床 高 さ

上流のフルード数

図-6  凸部を有する開水路流れにおける段波の波 高 

c=0.0 c=0.1 c=0.2 c=0.3 c=0.4 c=0.5 c=0.6 c=0.7

c=0.8

c=0.9

Fr1

η(=Z/h1) 1gh

c =− s&

h2jp

h1

( h1)

Zmax=ηmax×

u1 u2

c s

無次 元凸部河 床高さ

上流のフルード数

c=0.0 c=0.1 c=0.2 c=0.3 c=0.4 c=0.5 c=0.6 c=0.7

c=0.8

c=0.9

Fr1

η(=Z/h1) 1gh

c =− s&

h2jp

h1

( h1)

Zmax=ηmax×

u1 u2

c s

無次 元凸部河 床高さ

上流のフルード数

図-7  凸部を有する開水路流れにおける段波の波速 

y2=1.0 y2=1.4

y2=5.6 y2=1.8

y2=2.2 y2=2.4

y2=3.6 y2=2.8

y2=4.0 y2=3.2

y2=4.4

y2=6.6 y2=4.8

y2=5.2 y2=6.0 y2=7.0

ε

1 2

2 h

y =h jp jp

h2 h1

河 幅縮小 率

Fr1 上流のフルード数 y2=1.0

y2=1.4

y2=5.6 y2=1.8

y2=2.2 y2=2.4

y2=3.6 y2=2.8

y2=4.0 y2=3.2

y2=4.4

y2=6.6 y2=4.8

y2=5.2 y2=6.0 y2=7.0

ε

1 2

2 h

y =h jp jp

h2 h1

河 幅縮小 率

Fr1 上流のフルード数

図-8  縮流部を有する開水路流れにおける段波の波高 

c=0.0 c=0.1 c=0.2 c=0.3

c=0.4 c=0.5 c=0.6 c=0.7 c=0.8 c=0.9 c=1.0

gh1

c=− s&

h2jp

h1 u1

u2

c s

ε 河幅縮小率

Fr1 上流のフルード数

c=0.0 c=0.1 c=0.2 c=0.3

c=0.4 c=0.5 c=0.6 c=0.7 c=0.8 c=0.9 c=1.0

gh1

c=− s&

h2jp

h1 u1

u2

c s

ε 河幅縮小率

Fr1 上流のフルード数

図-9  縮流部を有する開水路流れにおける段波の波速 

(4)

ード数を増減させ,断面が変化する地点より上流側にお いて跳水発生の有無を観察した.上流のフルード数の算 出に用いる流速と水深の測定地点は,凸部,縮流部を設 置した地点より上流の水路中央で,上下流の影響のない 地点に設定した.本実験では跳水が発生するかどうかに 着目し,観察された流れを「跳水なし」か「跳水あり」

で判別し結果をまとめた.なお,判別方法は,目視で明 らかな水深増加が横断的に観察された流れを 「跳水あり」

と定義している.

5-2.実験結果 

実験結果を図-10, 図-11 に示す . 図中の矢印は測定ケ ースの順序を示している. 

図-10 は, 図-5 の一部を拡大し実験値と比較したもの で,横軸は無次元河床凸部高さ,縦軸は上流のフルード 数である.なお,計測上の理由から5 割程度の水深で流 速を測定したため, 10%増加させた流速でフルード数を 算出している.実験結果と理論を比較すると,跳水が発 生している状態から上流のフルード数を徐々に増加させ ていった際は,点線付近で「跳水あり」から「跳水なし」

に切り替わり,跳水が発生していない状態からフルード 数を徐々に減少させていった際は,実線付近で「跳水な し」から「跳水あり」に切り替わった.この結果から,

同じ水路形状と上流のフルード数でも跳水が発生する場 合と発生しない場合があることがわかった.

図-11 は Case3 の実験結果で,横軸に河幅縮小率,縦

軸に上流のフルード数をとったものである.射流におけ る実験では,河幅縮小率が0.63 の時を除く全てのケース において,水路床勾配を徐々に緩くしていくとある勾配 に達した時点で縮流部付近において跳水が発生した.さ らに勾配を緩くしていくと発生した跳水は上流側に遡上 しながらその形状は薄れていった.また,常流における 実験では,河幅縮小率が 0.20 及び 0.43 の時,徐々に勾配 を大きくしていくと,ある勾配に達した時点で水路幅が 狭まりきる断面の横断方向に小さな筋が現れ,本研究で

はそれを緩やかな跳水と定義した.

本実験で Case2,Case3 共に理論的に推定された水面形 と実現象との整合性が高いことを示すことができた.

6.まとめ 

  本論文から得られた結論を以下に列挙する.

1)拡大部において上流端から与えるフルード数を増加さ せていくと, 跳水が発生しないケースから対称形の跳水 が発生するケースへと遷移していく結果が得られた.

2)拡大部において拡幅部への拡がり方が急であるほど,

跳水が発生しにくくなることがわかった.

3)本実験の拡大部における非対称流れ(コアンダ効果)は 拡大部より上流のフルード数の値が 0.8~1.1 程度の際に よく観察されることがわかった.

4)上流のフルード数と無次元凸部高さの関係よりみられ る各種水面形を理論的かつ明瞭に示した.

5)凸部,縮流部を有する開水路流れにおいて発生した段 波の波高と波速を解析的に示した.

6)理論的に導いた跳水,段波の発生条件を水路実験で検 証し,整合性が高いことを示した.

参考文献 

1)高木隆一,佐藤直良,山田正:幅の変化する水路 (狭

窄,拡幅)を流れる不等流の水面形の解析解,昭和 60 年度土木学会関東支部年次研究発表会講演概要集,

Vol.13,pp.131-132,1986

2)池内正幸,山田正,村上良宏:渓流を模擬した開水路 流れの水面形遷移と抵抗則に関する研究,第 30 回水 理講演会論文集,pp.73-78,1986.

3 ) MARITESSS.QUIMPO,TADASHI YAMADA GENERAL HYDRAULIC CHARACTERISTICS OF OPEN-CHANNEL WITH NARROW PATH, ASCE: Environmental & Water Resources Institute pp. 2687-2696, 2008.

謝辞:本研究における実験や解析は現博士後期課程 3 年 で同研究室に所属のQuimpo,Maritess Sescarと共同で 行ったものである. ここに深甚なる感謝の意を表す.

0.0 0.5 1.0

1.0 1.5 2.0

上流の フル ード数 

Fr

無次元河床凸部高さ (η=s/h

0)

0.0 0.5 1.0

1.0 1.5 2.0

上流のフルー ド 数 

Fr

無次元河床凸部高さ (η=s/h

0)

○:跳水あり(射流→常流)

●:跳水なし(射流→射流)

○:跳水あり(射流→常流)

●:跳水なし(射流→射流)

河床勾配をきつくし,上流のフルード数を 徐々に増加させたケース

河床勾配を緩くし,上流のフルード数を 徐々に減少させたケース

上流のフルード 数

Fr

(η=Z/h0)

上流の フ ル ー ド 数

Fr

(η=Z/h0)

0.0 0.5 1.0

1.0 1.5 2.0

上流の フル ード数 

Fr

無次元河床凸部高さ (η=s/h

0)

0.0 0.5 1.0

1.0 1.5 2.0

上流のフルー ド 数 

Fr

無次元河床凸部高さ (η=s/h

0)

○:跳水あり(射流→常流)

●:跳水なし(射流→射流)

○:跳水あり(射流→常流)

●:跳水なし(射流→射流)

河床勾配をきつくし,上流のフルード数を 徐々に増加させたケース

河床勾配を緩くし,上流のフルード数を 徐々に減少させたケース

上流のフルード 数

Fr

(η=Z/h0)

上流の フ ル ー ド 数

Fr

(η=Z/h0)

図-10  無次元凸部高さとフルード数からみた跳水の有無

河幅縮小率 ε (ε=(0.9-b)/0.9 )

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 0

0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5

上流 のフル ー ド 数

Fr

:跳水あり(実験値)

:跳水なし(実験値)

射流

常流

:理論による跳水 有無の境界線

河幅縮小率 ε (ε=(0.9-b)/0.9 )

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 0

0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5

上流 のフル ー ド 数

Fr

:跳水あり(実験値)

:跳水なし(実験値)

射流

常流

:理論による跳水 有無の境界線

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 0

0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5

上流 のフル ー ド 数

Fr

:跳水あり(実験値)

:跳水なし(実験値)

射流

常流

:理論による跳水 有無の境界線

図-11  河幅縮小率とフルード数からみた跳水の有無

h1) h1)

参照

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