第一回 次元ベクトル及び 次元ベクトル
はじめに
数学でいうベクトル空間の一般論は後回しにし、ここでは、その例である 次元平面上 または 次元空間内のベクトルから始めよう。
次元平面内のベクトル
二次元平面内の「矢印」、 つまり、長さ(大きさ)と方向を持ったものを考える。二 つの矢印 の和及びスカラー 実数 倍を下の図にように定義する。
図 ベクトルの和及び実数倍
この時、これらの演算に関して次の式が成りたつことを容易に確かめることができる。
可換律
単位元(ゼロベクトル の存在 逆元存在
結合律 分配律
これらは当たり前のことを書いていると思うだろうが、 一般のベクトル空間が満たすべ き性質である。
さらに、二つのベクトル間に内積を定義する。図のように、ベクトル と に対して、
内積
と定義される。ここで、 及び は それぞれ、 及び の長さ 大きさ)であり、 は 二つのベクトルが成す角度である。
図 ベクトルの内積及び内積の分配則
次元空間内のベクトル
次元空間のベクトルに対して、和、実数倍及び内積の定義は、 次元ベクトルの場合 と同様である。 次元空間のベクトルに対しては、内積以外に、回転運動等の時よく使わ れる外積が定義される。
の大きさ の方向
右ねじを から の方向に回転してとき 右ねじの進む方向
図 ベクトルの外積
外積の性質:
最後の分配則については、宿題を参照。
ベクトルの成分
ベクトルを使って色々な性質を表現すると、多くの場合、表示が簡単になるが、詳しく 調べるには不便な点も多い。そこで、ベクトルを成分(つまりいくつかの実数)を使って 表現することも重要である。最も簡単な座標系はデカルト座標で、座標軸に平行で大きさ
のベクトル 次元ベクトルならばこれらに加えて を用いて、
次元ベクトル 次元ベクトル 下図から、と書けることが解る。
図 ベクトルの基と成分
このように、ベクトルは、そのベクトル空間の基 また、 を決めれ ば、それぞれの係数と1対1の対応がある。
基本問題
図 を参照し、内積が分配則
を満たすことを証明せよ。また、 次元の二つのベクトル
の内積を を用いて表せ。
ベクトル とベクトル とを二辺とする平行四辺形の対角線が互いに直交するため の条件は であることを示せ。
次元空間の単位ベクトル どうしの外積
を求めよ。
応用問題
平面上の、式
で与えられる直線上の 点 を結ぶベクトル と、ベクトル とが直交することを示せ。
個のベクトル 及び の外積において
が成立することを次の順序で証明する。
が、 及び の線形結合 で書けることを示せ。
の値を求め、その式から、
であることを示せ。ここで、 はこれから決める定数である。
とおいて、両辺を計算することにより、 を求めよ。
宿題
次元ベクトルにおいて、内積が分配則を満たすことを示せ。また、 次元の二つの ベクトル
の内積を を用いて表せ。
次元ベクトルにおいて、外積が分配則を満たすことを示せ。
図 次元ベクトルの外積の分配則
上の結果と の結果から、 の 成分、 成分、 成分をそれぞれの成分 を用いて表せ。
の結果を各ベクトルの成分を用いて表せ。
注意