第ニ回 次元ベクトルの回転、射影の行列表示
はじめに
次元ベクトルから 次元ベクトルへの写像を考える。特に、写像 によって、任意の ベクトル が、それぞれ、
と写像され、さらに任意の実数 に対して
が成立する時、 を線形写像と呼び、この様な写像を考える ベクトル空間から同じベク トル空間への写像を変換と呼ぶ 。
前回の式 にあるように任意のベクトルが基のベクトルで展開できることから、基 の像、
が与えられたると、任意のベクトルの像
となる。前セクションで述べた成分表示では、
である。変換されたベクトルは次のように書かれる;
この時、左辺の を 行列と呼ぶ。また、逆に、上のように、ベクトル に行列が作用して新たにベクトルを作る方法は
で与えられる、上のように。この表示は任意に次元のベクトル空間の間の写像に容易に拡 張できる。
次元ベクトル空間から 次元ベクトル空間への写像:
次元ベクトル空間から 次元ベクトル空間への写像:
次元ベクトル空間から 次元ベクトル空間への写像:
上のような行列をそれぞれ 行列 行 列行列 、 行列 行 列行列 及び 行列 行 列行列 と呼ぶ。
基本問題
図 次元空間の極座標
上図の 次元の極座標を参照して、 次元空間での回転に対応する行列を求めよう。
図のように、ベクトル と 軸との成す角を とするとき、ベクトル の成分 を、ベクトル の大きさ と を用いて表せ。
を だけ反時計周りに回したとき得られるベクトル の成分 を、
用いて表せ。
成分 を に変換する行列
を求めよ 勿論、行列 の各成分 は に依存しない 。
次元平面上において、ベクトル の直線 上へ射影
されたベクトル を求めよ。 の成分 と の成分 との関係を与える 行列
を求めよ。
応用問題
空間の点と原点を結ぶベクトルを位置ベクトル と呼ぶ。 次元空間から 次元空間 への写像において、位置ベクトル から へ写像される時、座 標の間に
という関係がある時、 平面での直線 は、どのような図 形に写像されるか。
宿題
次元空間での回転は、ある方向の軸の回りの回転で表わすことができる。下図の ように、ベクトル をベクトル 方向の軸の回りに角度 だけ、回して得ら れるベクトル を次の順序で求めよ。
図 次元空間の回転
また、元のベクトル との関係を与える行列 を求めよ。
空間の点と原点を結ぶベクトルを位置ベクトル と呼ぶ。 次元空間の位置ベクト
ル から 次元ベクトル へ写像が
で与えられる時、 次元空間のすべての点 は 次元空間の平面内に写像される。こ の平面の式を行列の成分 と座標 で用いて表せ。
次元空間のベクトル を平面 へ射影され
たベクトル を求めよ。また成分同士の関係を与える行列
を求めよ。
注意