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高速道路内照式案内標識への LED 光源の適用検討

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Academic year: 2022

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(1)

高速道路内照式案内標識への LED 光源の適用検討

西川 洋介

1

・山下 広秋

2

・村重 至康

3

・川瀬 茂

4

1非会員 株式会社高速道路総合技術研究所 交通研究室(〒194-8508 東京都町田市忠生1-4-1)

E-mail:[email protected]

2非会員 中日本高速道路株式会社 交通管制チーム(〒192-8648 東京都八王子市宇津木231)

E-mail:[email protected]

3非会員 株式会社高速道路総合技術研究所 交通研究室(〒194-8508 東京都町田市忠生1-4-1)

E-mail:[email protected]

4非会員 名古屋電機工業株式会社 技術開発室(〒490-1294 愛知県あま市篠田面徳29-1)

E-mail:[email protected]

高速道路の内照式標識の光源には、白色LEDが安価となったことから、蛍光灯に変わる光源として白色 LED灯具を用いるものが製作され始めた。今後、光源は、電力消費量が少ないことなどから、急激にLED 灯具にシフトしてゆくことになると考えられる。

LED光源を用いた内照式標識の規格を検討するのにあたり基礎調査として、LED光源の照度,輝度と相 関色温度の違いに着目して、白色LED灯具と蛍光灯を光源とした内照式標識を模した供試体により比較視 認実験を行ったので報告を行う。

Key Words : 内照式標識, LED, 光源,交通安全e

1. はじめに

高速道路の標識には、大きく分けて、ヘッドライト等 から照らされた光を反射させる反射式標識と標識板内部 に設置した光源により標識板自体が発光する内照式標識

(図-1)の2種類がある。このうち、内照式標識の光源 には、近年、白色LEDが安価となったことから、蛍光灯 に変わる光源として白色LED灯具を用いるものが製作さ れ始めた。今後、内照式標識の分野においても、光源は、

電力消費量が少ないことや、一部メーカーにおいて長尺 蛍光灯の生産を終了したことなどから、急激にLED灯具 にシフトしてゆくことになると考えられる。

ところが、LED光源については、蛍光灯光源と比較す ると視認性がよいので従来ほどの明るさが必要でないと いう意見を時に耳にする。しかし、光源の違いによる標 識の視認性について、LED光源が優位であるという報告 事例はない。

そこで、LED光源を用いた内照式標識の規格を検討す るのにあたり基礎調査としてLED光源の照度(lx),輝度

(cd/㎡)と相関色温度(以下、「色温度」という)

(K)の違いに着目して、内照式標識を模した供試体を 用いた比較視認実験を行ったので報告を行う。

図-1 高速道路の内部照明式案内標識の例

2. 試験の背景 2.1. 先行試験の知見

道路標識に関する先行試験としては、反射シートを用 いた案内標識の実験・調査があり、一般道向けの青地に 白文字の標識と、高速道路向けの緑地に白文字の標識を

(2)

用いて視認性が報告されている。最も読みやすい輝度は 200cd/㎡程度との報告がある1)。内照式標識においても この結果が適用できるのか試験調査の必要性がある。

2.2. 試験に用いる蛍光灯光源およびLED光源

JIS Z 9112では蛍光灯の光源色を5色に分類している。

蛍光灯を光源としている内照式標識は白色(W)3,800K以 上の規格のものが採用されている実績がある。ただし調 査の結果、蛍光灯は昼光色(D)6,700Kが最も多く使われ ていることから今回の試験ではこれを用いることにした。

また、LED光源に関しても、JIS Z 9112において蛍光灯 と同様、光源色を5色に分類されている(図-2)。その うち本試験に用いるLED光源としては入手性,製造の用 途 な ど を 勘 案 し て ① 昼 光 色(D)6,500K、 ② 昼 白 色 (N)5,000K、③白色(W)4,000Kの3種とした。このうち下限 値については、試験に先だって確認したところ明らかに 標識文字が白色に見えない(電球色から黄色に近い色)

ため、温白色(WW)と電球色(L)は除外することとし、白 色(W)4,000Kを下限と考えた。また上限値については、

色温度が6,500Kより高いものは、液晶テレビのバックラ イト用等として製造される程度で市場では特殊性が高く なることから、内照式標識としては最大6,500K程度が適 当であると考えた。また、平均演色評価数(Ra)は同 じ色温度の場合は、発光効率等を考慮して低いものを選 択した。

2.3. 光源特性の事前データ収集

蛍光灯とLED灯具3種を内照式標識の光源とした時の 標識面(繊維シート透過後)の分光特性を図-3に示す。

また、表-1に蛍光灯とLED灯具3種を内部光源とした 時の標識面(繊維シート透過後)の輝度と照度の関係を 示す。この結果から白の輝度/照度の換算係数として 0.24を用いることとした。またコントラスト比を表-2に 示す。

表-1.標識面の輝度と照度の相関測定結果

表-2. 輝度コントラスト比測定結果

3. 視認性試験1 3.1. 視認距離比較試験

視認距離比較試験は蛍光灯又はLED灯具を内部光源と した供試体に展張された繊維シートへランドルト環を示 し、各々どの程度離れた距離でランドルト環を視認でき るかについて測定比較する試験である。

図-4に供試体を示す。今回試験に用いた供試体は、大き さ(L800mm×W800mm×H430mm)のアルミ製の筐体で、

繊維シートが実物の標識同様に展張できるように施され たものである。また、繊維シートについては、内照式標 識の使用実績として大多数を占めるものを用いた。

(x,y:国際照明委員会が制定したYxy表色系によるx,y) 図-2. LEDの光源色の色度範囲(JIS Z 9112)

図-3.標識面の分光特性

(3)

3.1.1 指標のサイズ

試験は内照式標識が点灯する夜間を模し、かつ安定し た周囲環境で行うため暗室で行った。試験で利用した暗 室は、観測距離が最大10mである。指標としてのランド ルト環の切れ目サイズは被験者の最大視力以上のものと し、観測距離10mで視力2.0に相当する1.45mmを採用した

(以下、視力検査表に示されたランドルト環視力を基準 視力とよび、試験による測定視力と区別する)。

試験に用いた基準視力2.0のランドルト環を図-5に示す。

ランドルト環は光源の灯具が横向きに配置されること。

また、均斉度を保ち、かつ過大な背景面積による視認性 への影響を低減するため狭い幅で配置した。

3.2. 被験者

被験者数は30名程度を目安とし、実際の高速道路利用 者の年齢構成に近くするため、平成22年道路交通センサ スを参考とした(表-3、表-4)。被験者視力の平均値は 1.18であった。また被験者中の色覚異常者を把握するた めに、石原色覚調査表を用いて被験者全員を確認した。

その結果、男性27名、女性4名の合計31名の内、色覚異 常者が2名いることが分かった。

3.3. 試験方法

暗室への目の順応は、供試体の輝度が高いため完全な 暗順応は不要と考え、被験者測定場所に隣接した環境照 度0.1lx以下の待合場所で5分以上待機させた。

供試体は蛍光灯用とLED灯具用の2台とし、ともに白色 輝度の目標値を240cd/㎡(1,000 lx相当)として点灯させ、

輝度(照度)を一定にしておく。被験者は供試体前面10 mの位置からキャスタ付き椅子に着座した状態でランド ルト環の切れ目がハッキリわかる位置まで前進・後退し 自己申告することにより、記録者が床面のスケールを読 み取る。LED灯具は3種を実施することとし、試験順序 は、カラー1(6,500K)~カラー3(4,000K)をランダムにして 行った。

図-6に視認距離比較試験の被験者と供試体の配置を示す。

視認距離の測定は遠地点からの前進方向と、供試体 の近地点からの後退方向の2回測定を行い、その両者の 平均値をその被験者の測定結果とした。(このことによ り大きさの恒常性*1により見せかけの大きさの影響を低 減することができる。)

3.4. 結果

視認距離測定結果は全光源の平均値で5.50m、蛍光灯 が5.61m、LED灯具3種類の平均値が5.46mとなった。LED 図-4.視認距離比較試験に用いた供試体

107 m m

300 m m 1. 45 m m

図-5. 基準視力2.0のランドルト環

表-3.高速道路利用者の年齢構成

(平成22年道路交通センサス)

表-4.被験者の構成

図-6.視認距離比較試験の被験者と供試体の配置

男女 10代 20代 30代 40代 50代 60代 70代以上 合計

0 1 7 10 6 3 0 27

0 0 1 2 1 0 4

0 1 8 12 7 3 0 31

(4)

灯具では色温度の最も低いカラー3(4,000K)が最短距 離5.33mであった(表-5,図-7)。年代間及びLED灯具色 温度(カラー1~カラー3)間における視認距離の分散分 析では有意差が確認されなかった(p>0.05)。また色覚 異常者(2名)の測定結果の扱いに関し、含めた結果と 除外した結果に大きな差異が無いことから、以降測定結 果の分析では全被験者のデータを用いることとした。

表-5.視認距離測定結果(平均値)

4. 視認性試験2

4.1. 輝度(照度)依存性試験

輝度(照度)依存性試験は、LED灯具を内部光源に して設置した供試体が、蛍光灯を内部光源にして設置さ れたものと同等以上の見え方になる輝度(照度)がどの 程度かを把握するために、蛍光灯の輝度(照度)は 240cd/㎡(1,000 lx)で一定にし、一方のLED灯具の照度 を 3 種類(4,000K,5,000K,6,500K)でそれぞれ低照度 (500lx)から高照度(1,100lx)まで7段階に変化させ、その都 度蛍光灯と LED灯具の見え方と比較を行い、どちらが 読みやすいかを3段階で判定させる一対比較方式の試験 である。

4.1.1 指標のサイズ

観測距離10mの位置から被験者全員が読み取ることが

できるランドルト環のサイズとして、被験者要件である

運転免許所持者基準の視力0.7を下回る0.6のランドルト 環を使用し、ランドルト環の切れ目サイズは4.85mmと した(図-8)。また、輝度(照度)依存性試験の被験者は視認 距離比較試験と同一被験者とした。

4.2. 試験方法

被験者は視認距離比較試験と同様に待機中は環境照度 0.1 lx以下で順応させる。蛍光灯を内部光源とした供試体 は、白色輝度値で240cd/㎡(1,000 lx)で点灯させ輝度

(照度)を一定にしておく。輝度(照度)の上昇試験と してLED灯具を内部光源とした供試体は、最初に輝度

(照度)が最も低い輝度(照度)120cd/㎡(500lx)に合わせる。

被験者は2台の供試体前面から10m離れた位置において 椅子に着座した静止状態でランドルト環の切れ目の見や すさを見比べる。2台の供試体のランドルト環を見比べ て、LED灯具を光源としたものが蛍光灯を光源としたも のより見やすいかどうかを判定する。白色輝度cd/㎡(照 度lx)を レベ ル1~7(120(500),144(600),168(700),

192(800),216(900),240(1,000),264(1,100))まで7段階変 化させる試験を行う。見え方の判定結果は被験者が手に 持った赤ランプと緑ランプを用いて意思表示する(図- 9)。

<被験者の判定方法>

・蛍光灯を内部光源としたものが見やすい場合は「赤ラ ンプ」を上げる

・LED灯具を内部光源としたものが見やすい場合は「緑 ランプ」を上げる

・見え方が同等の場合は赤ランプと緑ランプの「両方」

を上げる

判定結果は、評価判断を処理しやすくするために数値化 することにした。

図-7. 各種光源の視認距離平均値

図-8.輝度(照度)依存性試験に用いたランドルト環

(5)

( 500) ( 500) ( 500)

( 500) (666)(666)(666)(666) (833)(833)(833)(833) ( 1000)( 1000)( 1000)( 1000) (1166)(1166)(1166)(1166)

※カッコ内は,照度カッコ内は,照度カッコ内は,照度カッコ内は,照度(lx)(lx)(lx)(lx)

<判定結果3段階の数値化>

・LED灯具を光源としたものが蛍光灯を光源としたもの より見にくい ……… ”1” に置換

・LED灯具を光源としたものが蛍光灯を光源としたもの と同等に見える …… ”2” に置換

・LED灯具を光源としたものが蛍光灯を光源としたもの より見やすい ……… ”3” に置換

なお、図-10に示すように事前に輝度(照度)変化に対し

てLED灯具の色温度の変化を確認した結果、輝度(照 度)の大小による色温度の変化はほとんど無いことを確 認している。

比較試験は最小輝度(最小照度)からの上昇試験と、

最大輝度(最大照度)からの下降試験の2回測定を行い、

その両者の平均値をその被験者の測定結果とした。(こ のことにより輝度変化(照度変化)に対する明度知覚の 恒常性の影響を低減している。)

また、LED供試体の輝度(照度)調整中は被験者に目を 伏せさせ、判定の新鮮さを維持するようした。また、

LED灯具のカラー1(6,500K)~カラー3(4,000K)の試験順 序はランダムに行った。

4.3. 結果

試験結果は、LED灯具の3種類のカラー1(6,500K)~カ ラー3(4,000K)のすべてにおいて、評価2以上の得票率が

50%以上を超える白色輝度値はレベル7(264cd/㎡(1,100

lx))の時であった(図-11)。色温度別では5,000Kにお いて、その評価がレベル4(192cd/㎡(800lx))のとき評価 2以上の得票率50%を超えた。

カラー1(6,500K)~3(4,500K)の評価平均値から、近似式 より約222cd/㎡(925 lx相当)以上の輝度レベルにおいて 評価2以上の得票率が50%を超えることがわかった(図- 12)。

以上の結果より、LED灯具3種類の平均値では、概ね 222cd/㎡(925 lx相当)で、評価2以上の得票率が50%を 超えており、色温度4,000K~6,500KのLED灯具では、直近 図-9.輝度(照度)依存性試験の状況

(試験時は、環境照度0.1lx以下で行っている。)

図-10.輝度(照度)と色温度の関係

(500) (500) (500)

(500) (666)(666)(666)(666) (833)(833)(833)(833) (1000)(1000)(1000)(1000) (1166)(1166)(1166)(1166)

※カッコ内は,照度カッコ内は,照度カッコ内は,照度カッコ内は,照度(lx)(lx)(lx)(lx)

図-11. 色温度別の評価2以上の得票率

y = 0.2689x - 9.9143

0 50 100

0 50 100 150 200 250 300

2222(%)(%)(%)(%)

輝度 輝度輝度 輝度(cd/(cd/(cd/(cd/㎡㎡))))

評価2以上の投票率

図-12. カラー1~3の評価平均値と得票率

(6)

上位の照度の値でまとめると240cd/㎡(1,000lx)以上で多数 の人が蛍光灯と同等程度にみえると感じているという結 果が得られた。

また、白色輝度値のレベル4である192cd/㎡(800 lx)未 満までの段階では、多数の人が蛍光灯を内照光源とする ものが見えやすいと感じているという結果が得られた。

4.4. 試験の限界と課題

白色輝度の上昇に伴い視認性が向上するとの傾向は見 られたが、過去実験例では視認性の降伏点が存在すると の報告が見られる 1) 2)。しかし、今回の試験では白色輝 度(照度)の最大値と最小値の設定がやや小さく視認性 の限界を見極めることはできなかった。

蛍光灯と同等の評価が得られるLED灯具の白色輝度レベ ルは192cd/㎡(800 lx)付近であると当初想定(先行試験 の200cd/㎡付近との報告1を参考として計画)し、それ 以上において降伏傾向が現れるものと考えたが、今回試 験では264cd/㎡(1,100 lx)においても降伏傾向は見られ なかった。降伏点を求める場合、264cd/㎡(1,100 lx)以 上の機材準備を行う必要がある。

5. まとめ

内照式標識に模した供試体を用いて蛍光灯と色温度が 異なる3種類のLED灯具を使用することにより、視認性 の違いについて確認した。

(1) 視認距離の比較試験として、LED灯具を光源として 用いたものと蛍光灯を光源としたものとの違いを検証し た。大局的な結論としては6,500K、5,000K、4,000Kの3種 のLED灯具と蛍光灯の分散分析では視認距離に有意な差 は見られなかったことから、試験に使用した色温度の範 囲内であれば、LED灯具を使用しても差し支えないと考 えられる。

(2) 蛍光ランプと同程度の視認性が得られる白色輝度レ ベルについては、LED灯具3種の平均値で概ね222cd/㎡

(925 lx相当)の結果であったことから、直近上位の白 色輝度レベルを採用すれば240cd/㎡以上(1,000 lx以上)

と考えられる。

6. おわりに

本試験では、内照式標識の光源として蛍光灯に代わる LED灯具の活用にあたり、その諸特性がもたらす視認性 への影響について試験を行った。試験結果より、LED灯

具を光源とする内照式標識は、現行の蛍光灯を光源とす る内照式標識と同程度の視認性を確保するためには、同 程度の輝度(照度)が必要であるという結果が得られた。

今後、本検討結果、LED灯具の発光効率や経済性などを 考慮して内照式標識の光源の基準を考えていく予定であ る。

謝辞: 本試験の遂行にあたり、専門家としてご意見を 頂戴した横浜国立大学 岡嶋先生ならびに昭和大学 植田 先生、社団法人全国道路標識・標示業協会、そして各種 試験機材と試験場所の提供をいただいた住友スリーエム 株式会社、日亜化学工業株式会社の皆様に感謝の意を表 します。

付録

*1 視標に対して観察者の距離が変わると「見せ掛けの 大きさ」が距離に応じて変わるが、それを修正(補正)

しようとする働きであり、視覚刺激を自動的に修正して

「実際の大きさ」を大まかに推測することが出来る性質。

参考文献

1)道路標識表示装置の高度化に関する検討委員会:道路 技術5箇年計画 道路標識表示装置の高度化に関する検討,

建設省道路局,pp.62-123,1998.

2)蓮井,土居,川地,和田:道路標識の視認性・判読性 に関する研究,第25回交通工学研究発表会論文報告集,

No.24,pp.93-96,2005.

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