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鉄筋コンクリート構造物のコンクリート表面の透気性の現状

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Academic year: 2022

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写真-1 計測橋脚

鉄筋コンクリート構造物のコンクリート表面の透気性の現状

名古屋高速道路公社 正会員 ○沖森 克文 名古屋高速道路公社 正会員 長屋 考司 名古屋大学大学院 正会員 国枝 稔

1.はじめに

名古屋高速道路公社では,損傷が発生する以前にその前兆 となるシグナルを捉えて必要な対策を講じ,予防保全的な対 応が可能となるモニタリング手法の検討を進めている.鉄筋 コンクリートの中性化など,劣化現象にはコンクリートの物 質移動抵抗性が大きく影響しており,かぶりコンクリートの 品質を把握することは重要である.その手法として表面透気 試験機(Torrent 式の透気試験機)に着目した.試験機によ る測定により得られる透気指標(ここでは透気係数と呼ぶ)

はコンクリート内を気体が透過する性質を表し,劣化抵抗性 を示す指標であること1),また計測が非破壊試験であり,か つ試験機が小型で作業性・移動性が高いことから実構造物の 点検において品質を評価するための手法,並びに維持管理の モニタリング手法として期待できる.本計測は,実構造物で の点検への適応性の基礎資料を得ることを目的に行った.

2.計測概要

名古屋高速道路は,幹線街路の中央部分に橋脚を設置した 高架形式の都市高速道路で,供用延長は 69.2km である.橋脚 は約 1700 基あり,そのうちの約 5 割が鉄筋コンクリート橋脚 である.そのうち平成 8 年以前建設の橋脚については,耐震 補強のため柱部分を鋼板で巻き立てていること,修景や耐久 性向上を目的として橋脚塗装が施工されていることから,対 象としたのは建設後 10 年未満の比較的新しい橋脚とした.計 測を実施した橋脚を写真-1に示す.

本計測は,

Torrent

式の透気試験機を用いた.計測状況を 写真-2に示す.装置はチャンバー,計測器,計測センサー,

および真空ポンプから構成され,真空ポンプによりバキュー ムしチャンバー内の圧力を下げた後,バキュームを止め,内 側チャンバー内の圧力の回復の経時変化を把握することによ り透気係数を求める.

計測は,名古屋高速道路の 3 路線の橋脚を対象に行い,

1 回目は橋脚の建設工区及び設置環境に着目した計測,2 回目 は同一橋脚に着目した計測,3 回目は経過年数に着目した計 測を実施した.

キーワード:鉄筋コンクリート橋脚、透気係数、非破壊試験、実構造物

連絡先:名古屋高速道路公社

〒460-0002

名古屋市中区丸の内

2-1-36 TEL:052-223-3547

写真-2 計測状況

図-1 計測位置 土木学会第64回年次学術講演会(平成21年9月)

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3.計測結果

(1)1回目計測(建設工区及び設置環境に着目)

1 回目の計測は,建設後 5 年程度が経過したB 路線の橋脚を対象に,建設工区や設置された環境 に着目して行った.図-1 に計測位置を示す.計 測は施工による影響を確認するため施工打継目の 上下 50cm と設置環境の違いを確認するためそれ ぞれ南面・北面の 1 基当たり 4 箇所,建設工区の施 工による影響を確認するため各工区 2 基の合計 60 箇所で行った.図-2 に建設工区別透気係数の計測 結果を示す.透気係数は,全体では 0.2~5.5×10-16 m2の範囲に分布しているが,f工区において 1 カ所 30×10-16 m2と大きくかけ離れた箇所があった.施工 打継ぎ目上下,南北面及び建設工区単位での透気係 数を比較したが,明確な相関は確認できなかった.

路線全体としては,透気係数は幅広い範囲に分布し 建設工区毎の違いは確認できなかったが,同一橋 脚の透気係数値は比較的類似した結果となった.

(2)2 回目計測(同一橋脚に着目)

1 回目の計測における透気係数の分布について考 察するため,同一橋脚で位置を変えて計測を行った.

計測位置並びに結果を図-3に示す.その結果,同一 橋脚においても多少の透気係数値にばらつきが見ら れた.2 回目と 1 回目の計測結果から実構造物にお ける透気係数はある程度のばらつきがあることが確 認された.

(3)3 回目計測(建設後の経過年数に着目)

3 回目の計測は,1 回目の路線と経過年数の異なる 路線で実施した.対象路線は,建設中のC路線の 9

橋脚 9 箇所と建設後 10 年程度経過したA路線の 3 橋脚 6 箇所で計測を行った.3 路線の計測結果を図-4に示す.

その結果,C路線は 4.2×10-16 m2とやや値が離れたものもあったが 0.07~0.3×10-16 m2の範囲,A路線は 9.5×

10-16 m2と値がやや離れたものもあったが 3.1~3.7×10-16 m2の範囲であった.3 路線を比較すると、経過年数の 少ないC路線の透気性が低く,経過年数の多いA路線の透気性が高い結果となった.このことから異なる橋脚で の計測ではあるが,年数の経過により透気係数が変化する可能性があることが分かった.

4.まとめ

現時点で実構造物点検への透気係数の適用性について評価することは困難であるが,試験機は小型であり都市 内での計測においても作業性や移動性が高く,非破壊試験であることから有効であると考える.しかしながら,

透気係数が同じ路線においても幅広く分布していること,建設後の経過年数により透気係数に変化が見られるこ となど,不明な点も多い.今後もデータを蓄積し,表面透気試験による実構造物の点検への適用に向けて検討を 進めていきたいと考える.最後に本計測は,名古屋高速道路公社の「損傷事前評価システム検討委員会(社会基 盤技術評価機構・中部)」の審議を受けながら実施したものである.委員長はじめ委員各位に感謝の意を表する.

【参考文献】1)土木学会:構造物表面のコンクリート品質と耐久性能検証システム研究小委員会成果報告書,コンクリート技術シリーズ 80,2008

図-2 建設工区別計測結果

図-3 同一橋脚の計測結果

図-4 経過年数別計測結果 土木学会第64回年次学術講演会(平成21年9月)

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参照

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