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日本内科学会雑誌第107巻第4号

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Academic year: 2022

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はじめに

 原発性アルドステロン症(primary aldostero- nism:PA)は,副腎皮質からのアルドステロン の自律分泌・過剰分泌を来たす疾患である.ア ルドステロンの過剰は,腎尿細管においてナト リウム再吸収を促進させ,血圧が上昇して動脈 硬化を来たすだけでなく,アルドステロンその ものが直接,動脈硬化を促進させる作用をもつ といわれている.このため,PAは本態性高血圧 患者よりも脳・心血管イベントの発症率が高い 危険な高血圧といえ,頻度についても二次性高 血圧症としては非常に多い.重症度・頻度の高 い高血圧症であるにもかかわらず,患者の自覚 症状が乏しいこと,スクリーニング評価が難し いことから,正しい診断が行われないこともあ

る.また,PAは本態性高血圧症と機序が異なる ことから,治療方針も異なり,外科的治療か内 科的治療かという点のみならず,内科的治療に おいても,ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬

(mineralocorticoid receptor antagonist:MRA)を 主体として,併用薬としてCa(カルシウム)拮 抗薬を優先的に使用する必要がある等の違いが ある.

 本稿では,内分泌内科専門ではない一般内科 の先生方がPAを疑った際,どのように検査し,

どのように治療していくかについて述べる.特 に一般内科の先生方にとっては,PAのスクリー ニング方法が重要であると思われる.今回はス クリーニングの部分に重点を置いた記載とし た.日々の診療の一助となれば幸いである.

原発性アルドステロン症の 診療アップデート

要 旨

吉田 雄一

柴田 洋孝  原発性アルドステロン症(primary aldosteronism:PA)は頻度の高い

二次性高血圧症で,心血管イベントを起こしやすく,正しい診断が必要で ある.スクリーニングにはレニン,アルドステロンの測定が必要である が,これらホルモンの値は条件によって大きく変化する.正しいスクリー ニング条件でホルモン測定した後,レニン,アルドステロンの比を計算す ることで疾患を疑う.スクリーニング方法は一般内科でも必要な知識であ り,正しい診断が行われる必要がある.

〔日内会誌 107:667~673,2018〕

Key words 原発性アルドステロン症,二次性高血圧,スクリーニング

大分大学内分泌代謝・膠原病・腎臓内科学講座

Endocrine hypertension: pearl and pitfall in daily clinical practice. Topics:II. Clinical practice of primary aldosteronism: an update.

Yuichi Yoshida and Hirotaka Shibata:Department of Endocrinology, Metabolism, Rheumatology and Nephrology, Faculty of Medicine, Oita Uni- versity, Japan.

(2)

1.スクリーニング検査について

1)スクリーニングすべき症例

 以前,PAは比較的稀な二次性高血圧症と考え られていたが,最近の調査では,高血圧患者の 10%がPAであるとされる報告もある.また,低 カリウム血症や副腎腫瘍の合併があるときに PAの精査が行われていたが,低カリウム血症や 副腎腫瘍を伴わないPA症例も非常に多く報告 されており,高血圧患者を診た場合,PAを必ず 意識する必要がある.

 米国内分泌学会ガイドライン(2016 年)1)で は, ス ク リ ー ニ ン グ を 行 う べ き 患 者 は,

150/100 mmHg以上の高血圧,治療抵抗性高血 圧,4 剤以上の併用療法で管理中の高血圧,低 カリウム血症合併高血圧,副腎偶発腫瘍を伴う 高血圧,睡眠時無呼吸を伴う高血圧,若年発症 の高血圧または脳血管障害合併(40歳以下)高 血圧の家族歴,PA患者の第一度近親者の高血圧 患者とされている(表1).日本内分泌学会ガイ ドライン(2009 年)2)では,高血圧症例全患者 を対象にスクリーニングを行うべきとしていた が,2016 年発表のPAコンセンサス・ステート メント3)や日本高血圧学会ガイドライン(2014 年)4)では,米国内分泌学会に準じた内容となっ ている.

2)スクリーニング方法

 スクリーニングとして行うべき検査は,血漿 レニン活性(plasma renin activity:PRA),血漿 アルドステロン濃度(plasma aldosterone con- centration:PAC)の測定である.PACとPRAで 比 を と っ た も の は ア ル ド ス テ ロ ン/レ ニ ン 比

(aldosterone-renin ratio:ARR)と呼ばれる.PAC の単位によってARRのカットオフ値が異なる.

PACの単位がpg/mlの場合はARR>200,ng/dlの 場合はARR>20 でスクリーニング陽性とする.

近年,自動化学発光酵素免疫分析を用いた血漿 活性型レニン濃度(active renin concentration:

ARC)とPACの同時測定が可能になった.これ には検査結果が早く得られるという利点があ る.ただし,現時点ではPRAとARCの換算が定 まっていないのが問題であり,今後解決すべき 課題である.

 また,ARR>200 について,低レニンの場合 は容易にARR>200 を満たすことがある.例え ば,PAC 50 pg/mlとほとんど上昇がなくても,

PRA 0.2であれば,ARR=250で陽性となる.こ のため,ARR>200 に加えてPAC>120 pg/mlの 条件を加えるとする意見も多数ある.特に高齢 者や慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)

患者ではレニンが低値を示すので,注意が必要 である.レニンは腎臓の傍糸球体細胞から分泌 されるが,高齢者やCKD患者ではレニン分泌能 表 1 スクリーニングすべき症例

(米国内分泌学会ガイドライン(2016 年)1)より改変引用)

異なる日に測定した 3 回の血圧値がいずれも 150/100 mmHg 超 既存の 3 剤併用療法に治療抵抗性を示す高血圧

4 剤以上の併用療法で高血圧を管理中 高血圧で,血中カリウム低値 高血圧で,副腎偶発腫がある 高血圧と睡眠時無呼吸を合併している

高血圧で,家族に早発高血圧または 40 歳前の脳卒中発症歴を持つ人がいる 第一度近親者全員が原発性アルドステロン症に伴う高血圧を発症している

(3)

が低下し,ARR>200 となることが多いため,

慎重な判断が必要である.

3)スクリーニング条件

 スクリーニングは,条件によって異なった結 果が得られる.例えば,立位で測定すればレニ

ンは上昇し,午後になればアルドステロンは低 下していく.正しいスクリーニング検査を行う ために,米国内分泌学会ではスクリーニング検 査の推奨方法が記載されている(表 2).

 スクリーニング検査を行う際,本邦では午前 中,安静臥位30分後の採血が望ましいとされて いる.しかし,日常診療では,この条件でのス クリーニング検査が困難であることが多く,本 疾患のスクリーニングの目的のためには,午前 中(午前 10 時頃まで)に随時採血でPRAとPAC を測定することが最も重要である.

 降圧薬内服下でのスクリーニングについて は,ホルモン値に影響を与える(表 3).原則と して,ARB(angiotensin II receptor blocker)や ACE(angiotensin-converting enzyme)阻害薬,

利尿薬,

β

遮断薬は2週間の中止,MRAは4週間 の中止が必要とされ,その間はCa拮抗薬や

α

遮 断薬に変更する.どうしても上記降圧薬を中止 表 3 降圧薬の PRA と PAC への影響

(高血圧治療ガイドライン 20144)より引用)

PAC PRA ARR ACE 阻害薬/ARB ↑↑ ↓*1

β遮断薬 ↓↓ ↑*2

直接的レニン阻害薬 ↓↓ ↑*2 Ca 拮抗薬 →~↓ ↓*1,3 アルドステロン拮抗薬 ↑↑ ↓*1

利尿薬 ↑↑ ↓*1

*1 偽陰性の可能性

*2 偽陽性の可能性

*3 ACE 阻害薬,ARB と比較して影響は軽度

表 2 ARR の測定に関する注意点(米国内分泌学会ガイドライン(2016 年)1)より改変引用)

A.準備1.低カリウム血症を補正する 2.塩分摂取制限を緩める

3.ARR に大きな影響を与える薬物を 4 週間以上中止する a スピロノラクトン,エプレレノン

b カリウム排泄性利尿薬 c 甘草を含む薬剤

4. 上記内服薬中止後に ARR による診断に至らなかった場合,または ARR に影響を与えない降圧薬で 血圧コントロールが良好だった場合,下記の ARR に中程度影響を与える薬剤を 2 週間中止する

a β遮断薬,中枢性α 2 刺激薬,非ステロイド系抗炎症薬

b ACE 阻害薬,ARB,レニン阻害薬,ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬 5. 降圧薬による血圧コントロールが必要であれば,

ベラパミルやα遮断薬等 ARR への影響がほぼない薬剤に変更する

6. 経口避妊薬とホルモン療法を確認する.エストロゲンは直接レニン濃度(DRC)を低下させ,

ARR 偽陽性を来たしやすい(レニン活性には影響なし).代替治療がないのであれば,経口避妊薬は中止しない B.採血条件

1.起床後 2 時間経った後の午前中に,5-15 分座位の後で 2.うっ血や溶血に注意して,慎重に採血

3.検体は検査室までは室温を維持し,できるだけ早く遠心して血漿を冷凍する C.評価の際に考慮に入れる要素

1.年齢:65 歳以上の場合,レニンが低下し ARR が上昇する

2. 性別:月経前または月経のある女性は ARR が上昇する.特に黄体期では偽陽性が起こり得る.

ただし,DRC の場合のみ,PRA には影響を与えない 3.時刻,食生活,姿勢,姿勢時間

4.薬物5.採血方法 6.カリウム値

7.クレアチニン値:腎不全は偽陽性を起こしやすい

(4)

できないコントロール困難な高血圧患者につい ては,上記降圧薬がホルモンにどのような影響 を与えるかを考慮して慎重な判断のもと,スク リーニング検査を行うことも可能である.実地 診療で本疾患のスクリーニングを行う際には,

降圧薬の変更をせずにスクリーニング実施が可 能な例が大半であり,まず一度もスクリーニン グされていない例では降圧薬を変更せずにスク リーニングを行うことが重要である.一般内科 の先生方で降圧薬変更・中止の判断に悩む場合 は,降圧薬は変更せず,ARRを測定して専門医 にご相談いただきたい.

2.外来で実施可能な機能確認検査

 スクリーニング検査で陽性となった場合に機 能確認検査を行う(表 4).機能確認検査とし て,カプトプリル試験,生理食塩水負荷試験,

フロセミド立位試験,経口食塩負荷試験があ る.これらの機能確認検査のうち 1 つ以上陽性 であれば,PAと診断する.

 外来で行いやすい負荷試験はカプトプリル試 験である.これはACE阻害薬であるカプトプリ ル内服後90分でARRを測定するというものであ る.カプトプリルによる副作用が出ることは稀 で,簡易で安全に行える機能確認検査である.

次に外来で行いやすい検査として経口食塩負荷 試験が挙げられる.これは食事で塩分をしっか り摂取した状況で 24 時間蓄尿を行って尿中ア ルドステロンを測定するという方法である.こ

の検査の問題点は,患者に検査中の塩分摂取を 促しても塩分摂取が不十分な場合があること,

自宅での蓄尿が必要であることである.生理食 塩水負荷試験は,海外では積極的に行われてい る検査である.4 時間で生理食塩水 2

l

を静脈注 射し,そのときのPACを測定するという方法で ある.この検査の問題点は,心機能・腎機能の 悪い患者に実施した場合にうっ血性心不全を来 たす可能性があること,4 時間の安静臥床が必 要であり,医療機関によっては外来ベッド数の 問題等があることである.また,生理食塩水負 荷試験は偽陰性がやや多いとされるが,近年,

安静臥床よりも座位の方が正しい結果が得られ るとの報告5)もあり,今後,検討が必要である.

フロセミド立位試験は患者に強い負担がかか り,高頻度に迷走神経反射を起こすことから,

外来での検査はお勧めしない.

3. サブタイプ診断の

ポイントとピットフォール

 PAのサブタイプとして,アルドステロン産生 腺腫(aldosterone-producing adenoma:APA)と 特発性アルドステロン症(idiopathic hyperaldo- steronism:IHA)の2つがある.APAは腺腫から 過剰なアルドステロン症を産生しており,その 産生アルドステロン量は非常に多いが,病側は 片側であることが多い.これに対し,IHAは副 腎過形成による両側からのアルドステロン産生 過剰であるが,そのアルドステロン産生量は 表 4 機能確認検査一覧

機能確認検査 方法 判定基準(日本) 判定基準(米国)

カプトプリル試験 カプトプリル 50 mg 内服後 90 分 ARR≧200PAC<30%

フロセミド立位試験 フロセミド 40 mg 静注

2 時間立位 PRA≦2.0 ng/ml/hr

生理食塩水負荷試験 生食 2 l 4 時間 点滴静注 PAC≧60 pg/ml PAC>100 pg/ml 経口食塩負荷試験 NaCl 12 g/日 3 日間 24 時間尿中 aldo>8 mg

(Na>170 mEq) 24 時間尿中 aldo>12 mg

(Na>200 mEq)

(5)

APAと比較すると少ないことが多い.このため,

APAはIHAと比較すると,血圧コントロール困 難,低カリウム血症併発,心血管イベントの既 往がある等重症であることが多い.このAPA症 例が疑われる場合は,積極的に外科治療を検討 する必要がある.患者への病状説明の際,APA はIHAより重篤であることが多いが,片側性と いう理由で「病初期や軽症」,IHAは両側性で手 術不要な「手術ができない,左右両方の副腎が 悪い重症」と勘違いされることが多いため,患 者への丁寧な説明が必要である.

 APAとIHAを鑑別する方法は,副腎静脈サンプ リ ン グ(adrenal venous sampling:AVS) で あ る.AVSは鼠径静脈からカテーテルを挿入し,

透視下で左右の副腎静脈から採血するという方 法である.同様の検査として心臓カテーテル検 査が挙げられる.動脈穿刺を行うため,出血や 疼痛の合併症が多いが,AVSではそのような合 併症が比較的少ない.AVSは左右の副腎静脈か らの採血が必要であるが,血管走行によっては カテーテルが副腎静脈にたどり着けず,検査が 失敗に終わることもある.AVSは心臓カテーテ ル検査と比較すると安全とはいえ,内分泌検査 としては侵襲が大きく,失敗する可能性もある ことから,APAと診断された場合に,患者が手 術を希望し,且つ,手術が可能である症例に対 して行うべき検査である.

4.最終的な治療介入

 治療方針はAPAとIHAで大きく異なる.

 IHAと診断されたものの,血圧が良好な場合 は,塩分制限のみで経過観察することも可能で あるが,その後も外来で慎重にフォローする必 要がある.脳・心血管イベントの説明等の患者 教育,血圧の経過確認をしっかり行っていくこ とが重要である.ただし,ほとんどの場合は血 圧高値を伴っているため,MRAやCa拮抗薬によ る内服加療を行うこととなる.

 APAと診断された場合,病側の腹腔鏡下副腎 摘出術が第一選択となる.「副腎腫瘍摘出術では いけないのか」という患者からの問い合わせが 多い.APAは肉眼的に確認可能な大きさのもの

(=マクロアデノーマ)もあれば,確認できない ほど小さな腫瘍(=ミクロアデノーマ)である こともある.腫瘍摘出術を試みてマクロアデ ノーマを摘出した結果,マクロアデノーマは非 機能性で,ミクロアデノーマがPAの原因であっ た,という事態を避けるために,副腎摘出術を 行うことが一般的である.

 IHAで血圧高値の場合,外科的治療前の場合,

図 1 PA 診断のアルゴリズム

(日本内分泌学会臨床重要課題「わが国の原発性ア ルドステロン症の診療に関するコンセンサス・ス テートメント」3)より引用)

スクリーニング

機能確認検査

病型・局在診断

手術適応・希望

副腎腫瘍 非PA高血圧

副腎静脈サンプリング

片側性

副腎手術 薬物治療

両側性

(6)

APAであっても手術を希望しない,または全身 状態不良のため手術に耐え得る状態でない場合 は,MRAを第一選択として使用する.現在,

MRAはスピロノラクトンとエプレレノンが使 用されている.スピロノラクトンは価格が安い こと,RALES(Randomized Aldactone Evaluation Study)6)など心不全に対するエビデンスが豊富 であること,尿蛋白陽性のCKDのある患者にも 使用可能であること,高度の難治性低カリウム 血症に対して,推奨はされないがカリウム製剤 の併用が禁忌でないことが利点として挙げられ る.欠点として,女性化乳房,月経周期の変化 等の副作用が挙げられる.一方,エプレレノン はミネラルコルチコイド受容体への選択性が高 いことから,スピロノラクトンにみられる性ホ ルモンに関与する副作用が少ない.逆に,欠点 としては,高価であること,高カリウム血症発 症の観点から,尿蛋白や糖尿病腎症II期以上の 症例に使用できないこと,内服後低カリウム血 症が改善しない場合にカリウム製剤併用が禁忌 であることが挙げられる.現状,未だ臨床試験 段階であるが,非ステロイド性ミネラルコルチ コイド受容体拮抗薬が開発中である.これはス

ピロノラクトンにみられる性ホルモンの副作用 が認められず,エプレレノンにみられる腎症患 者での高カリウム血症の副作用が認められない 薬剤である.このような薬剤開発の進行が望ま れる.

5.専門医への紹介のタイミング

 PA等の二次性高血圧症は,本態性高血圧より も高頻度に合併症を来たすことから,正しく診 断し,適切な治療を受けさせることが重要であ る.初診の症例で,表 1のようにPAを疑うべき 症例であれば,可能であれば表 2の正しい条件 下で,正しい条件が困難な場合は随時採血し,

PAC,PRAを測定し,ARR>200 であれば専門医 に紹介していただきたい.既にARB等の降圧薬 による内服治療中の患者でPAが疑われる患者 については,ARRの判断が非常に困難であるが,

PRAとPACを測定した時点で専門医に紹介して いただいてもよいと考える.PRAとPACを測定 していただいていると,専門医でのスクリーニ ング検査の結果を待つ時間が省けるメリットが ある.高血圧がなくても,副腎偶発腫瘍を認め 図 2 PA 診断の手引き(一般医家向き)

(日本内分泌学会原発性アルドステロン症の診断治療ガイドライン―2009―2)より改変引用)

*1 可能であれば実施

*2 PAC の単位が pg/ml の場合は PAC/PRA>200.ng/dl の場合は PAC/PRA>20.

PAが疑われる症例(表1)

PRA・PAC同時測定 降圧薬の変更*1

PAC/PRA>200*2

カプトプリル試験*1 専門医療機関へ紹介

(7)

た場合は,その後,二次性高血圧を発症する可 能性があり,経過観察を行う必要があるため,

紹介いただきたい.

おわりに

 PA診断のアルゴリズムを図 1に,一般医家向 きの診断手順を図 2に示す.一般内科医の先生 方には図 1でスクリーニング,機能確認検査,

病型・局在診断の 3 段階があることをご理解い ただきたい.なかには,専門病院に行けば 1 日 で全ての診断が終わると勘違いし,トラブルに なるケースもあるため,紹介の時点で診断には 時間を要する旨をご指導いただけるとありがた

い.実際には,表 1~4や図 2を参考に,高血圧 患者に対してPAのスクリーニングをしていた だき,可能であれば,降圧薬の変更やカプトプ リル試験を実施していただいたうえで専門病院 にご紹介いただけると,その後の診断・治療が スムーズであることをご理解いただければ幸い である.

著者のCOI(conflicts of interest)開示:柴田洋孝;講演 料(アステラス製薬,MSD,第一三共,大日本住友製 薬,武田薬品工業,ファイザー,持田製薬),寄附金(ア ステラス製薬,小野薬品工業,第一三共,大正富山医薬 品,大日本住友製薬,武田薬品工業,田辺三菱製薬,中 外製薬,日本ベーリンガーインゲルハイム,バイエル薬 品,ファイザー,持田製薬)

文 献

1) Funder JW, et al : The management of primary aldosteronism : case detection, diagnosis, and treatment : An Endocrine Society Clinical Practice Guideline. J Clin Endocrinol Metab 101 : 1889―1916, 2016. doi : 10.1210/

jc.2015-4061. Epub 2016 Mar 2.

2) 西川哲男,他:原発性アルドステロン症の診断治療ガイドライン―2009―.日内分泌会誌 86 : 1―19, 2010.

3) 日本内分泌学会編:日本内分泌学会臨床重要課題「わが国の原発性アルドステロン症の診療に関するコンセンサス・

ステートメント」.日内分泌会誌 92, 2016.

4) 日本高血圧学会治療ガイドライン作成委員会編:高血圧治療ガイドライン 2014,ライフサイエンス出版,東京,

2014.

5) Ahmed AH, et al : Seated saline suppression testing for the diagnosis of primary aldosteronism : a preliminary study. J Clin Endocrinol Metab 99 : 2745―2753, 2014. doi : 10.1210/jc.2014-1153. Epub 2014 Apr 24.

6) Pitt B, et al : The effect of spironolactone on morbidity and mortality in patients with severe heart failure. N Engl J Med 341 : 709―717, 1999.

 

参照

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4) American Diabetes Association : Diabetes Care 43(Suppl. 1):

10) Takaya Y, et al : Impact of cardiac rehabilitation on renal function in patients with and without chronic kidney disease after acute myocardial infarction. Circ J 78 :

[r]

38) Comi G, et al : European/Canadian multicenter, double-blind, randomized, placebo-controlled study of the effects of glatiramer acetate on magnetic resonance imaging-measured

mentofintercostalmuscle,andl5%inthepatientswiththeinvolvementofribormore(parietal

   ︵大阪讐學會雑誌第十五巻第七號︶