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識レベ識レベ重要重要信度信度シナリオ / シーン影響因子 29 現状認識 検出性への影響 度知ル確サイジング精度への影響 現状認識 度知ル確への入射 1 被検体表面の凹凸および表面粗さ 超音波を効率的に入射させたり 意図した方向へ入射させたりする事は非常に重要である 探傷する前に表面を研磨 加工する

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超音波探傷検査の性能に影響を与える影響因子に対する現状認識と重要度/知識レベルのランクキング結果

シナリオ/シーン 影響因子29 検出性への影響 サイジング精度への影響 現状認識 重 要 度 知 識 レ ベ ル 確 信 度 現状認識 重 要 度 知 識 レ ベ ル 確 信 度 A.探傷器(探傷波 形の印加) ①印加電圧 欠陥信号振幅に影響するが、その効果は自明。 M K H 端部エコー振幅に影響するが、その効果は自明。 M K H ②励振波形(インピーダ ンスの影響等) 通常のパルス波励振装置では規格化されているため影響は 少ない。 L K H 影響は検出性の場合と同様。 L K H ③特殊励振方式 印加電圧および励振波形ともに特殊な励振方式では欠陥の 開閉口あるいは欠陥信号の非線形性に影響する可能性があ り、検出性への影響は未知。 H U H 影響は検出性の場合と同様であるが、き裂先端部近傍への 作用によるサイジング精度への影響の方が大きいと考えら れる。 H U H B.超音波の発生 ①探触子の中心周波数 検査対象材料の材質や溶接部組織によっては低周波の方 が、あるいは選択的な周波数において超音波の伝搬が良好 な場合が有り、検査対象に応じて事前に判断・選定してお く必要がある。 M P H 影響は検出性の場合と同様。また、中心周波数は端部エコ ーの長さに影響し、サイジング精度に影響を及ぼすため、 適切な周波数を選定する必要がある。 M P H ②探触子の周波数帯域 (波形特性) ダンピングの良い波形、即ち広帯域探触子の方が近接欠陥 の分解能等は良く減衰の大きな材料での透過性も良いが、 感度が不足する場合があるため、検査対象に応じて、ある いは想定される欠陥の分布に応じて事前に判断・選定して おく必要がある。 L K H ダンピングの良い波形、即ち広帯域探触子の方が欠陥コー ナーエコーと端部エコーの分離が良く、サイジング精度に 影響するため、検査対象および想定される欠陥に応じて事 前に判断・選定しておく必要がある。 M K H ③探触子寸法 送信波のパワーや近距離音場限界に影響するが、通常、検 査員が検査対象に応じて探傷距離・深さを考慮し選定して いる。 L K H サイジング精度への影響は検出性の場合と同様。 L K H ④探触子タイプ/フォー カス 例えば検査対象の内面から発生した欠陥などの欠陥位置が 想定される場合は、検出性は向上するが検査効率は低下す る。 また、近接多重欠陥などの欠陥の様相が想定される 場合も効果的に適用する事が可能。 H K H 検出されたき裂の深さや長さサイジングに適用する場合 は、超音波ビームが絞られているためサイジング精度は向 上する。 H K H ⑤超音波のモード(縦 波・横波(SH 波、SV 波)) 溶接金属部や異方性の強い材料の探傷においては、超音波 のモード(縦波・横波(SH 波、SV 波))により異方性の影響 の受け方が異なり超音波の直進性や減衰などが異なるた め、材料に適した波のモードを選択する必要がある。 M K H 影響は検出性の場合と同様。 M K H ⑥超音波の屈折角(き裂 への入射角) 通常は、検査員がき裂の方向(例えば管状被検体の周方向 欠陥や軸方向欠陥)や、き裂位置と探傷可能位置、および き裂への超音波入射角を考慮して探触子屈折角を選定して いる。 L K H き裂検出に用いるコーナーや面エコーと、深さサイジング に用いる端部エコーでは最適な条件が異なるため、注意を 要するが、コーナーエコーよりは屈折角の影響は小さい。 L K H C.超音波の被検体 ①接触媒質 特殊な環境以外では影響は少ない。 L K H 影響は検出性の場合と同様。 L K H

29検査の技術的な項目を検討する事を主眼としているため、個人の技量や手順に関する項目は挙げていない。

添付資料1-1

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シナリオ/シーン 影響因子29 検出性への影響 サイジング精度への影響 現状認識 重 要 度 知 識 レ ベ ル 確 信 度 現状認識 重 要 度 知 識 レ ベ ル 確 信 度 への入射 ① 被検体表面の 凹凸および表 面粗さ 超音波を効率的に入射させたり、意図した方向へ入射させ たりする事は非常に重要である。探傷する前に表面を研 磨・加工するなど調整しておく必要がある。 事前の調整が不可能な場合は、表面粗さや凹凸の影響の少 ない接触媒質を用いる事や、表面状態を計測して超音波の 入射への補正を行うなどの対応が必要となる場合もある。 H P H 超音波が想定外の方向に入射したり入射方向が分散したり すると、き裂先端部近傍に入射した超音波ビームに着目す るサイジングにおいて影響が大きい。探傷面の粗さ等を探 傷する前に整えておく事が不可能な場合は、表面粗さや凹 凸の影響の少ない伝音材(接触媒質を含む)を用いる事や、 表面状態を計測して超音波の入射への補正を行うなどの対 応の必要性は、検出性の場合以上に大きい。 H P H D.被検体健全部に おける入射波の伝 搬 ①被検体材質の超音波 特性(音速・減衰・拡散 特性(結晶粒度・析出物 等依存性)) 欠陥エコーの SN 比などの面で探傷結果への影響が大きい ため、探傷する前に同種の材料で測定などして減衰特性・ 音速等は知っておくべきもの。(特に Ni 基合金溶接部、ス テンレス鋳鋼や照射された材料等) また、結晶粒による 散乱減衰と材料吸収による減衰の区別も重要。 同種材料 での測定等が不可能な場合は検査対象そのものの垂直探傷 などの結果から推定しておく事が必要。 M P H 影響は検出性の場合と同様。 但し欠陥先端位置が材料ノイズの高い部分に存在する場合 の SN 比に及ぼす影響は検出性に関してよりも大きい。 H P H ②超音波の直進性(被検 体内の不均質性・異方 性) 不均質性や異方性があると超音波ビームが想定通りの方向 に伝搬しないため、検出性および欠陥位置の評価等に関し て影響が大きい。 溶接部の異方性や結晶組織の違方性が 大きい材料においては事前に音速や減衰の異方性を測定等 により求めておくべきであり、更には検査結果にどの様に 影響するか、あるいは影響を考慮して評価する手法等が重 要である。 H P H き裂先端近傍の超音波入射・反射・回折特性が影響するサ イジングにおいては、超音波ビームの伝搬方向が想定通り ではない事の影響は、検出性に関してよりも大きい。 H P H E.疲労き裂面およ びき裂先端近傍に おける入射波の反 射・回折・透過特 性 ①き裂位置 き裂の発生位置、即ち探傷面側に存在するき裂と裏面側に 存在するき裂では探傷条件(即ち屈折角、余盛りと探触子 の干渉、探触子の不感帯など)に及ぼす影響が異なるが、 通常は検査員が探傷条件を選定している。き裂位置と溶接 部の位置関係の影響は F-①項にて述べる。 L K H 影響は検出性の場合と同様。 L K H ②き裂寸法 特定の欠陥においては、パルス反射法によるき裂の面積が 欠陥信号振幅に及ぼす影響のデータは低合金鋼・ステンレ ス鋼・Ni 基合金等で得られており、き裂深さに関する POD 曲線も得られているが、環境疲労によるき裂に関してはデ ータの蓄積が必要。 M P H 検出されたき裂であっても、深さサイジングが可能か否か や深さ測定精度は、き裂寸法そのもの及び検査手法に影響 される。 特定の検査対象材質やき裂の種類においてはデ ータが有るが、環境疲労によるき裂に関してはデータの蓄 積が必要。 M P H ③き裂の 2 次元形状 一定の深さ以上のき裂であれば検出性に及ぼすき裂形状の 影響は小さい。 L P H き裂が存在する場合の維持規格による構造物の力学的評価 はき裂の長さと最大深さで代表される半楕円き裂として扱 う事が一般的である。しかし、より適切な評価を行うため には、き裂の形状を測定できる事が必要な場合がある。 H U H

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シナリオ/シーン 影響因子29 検出性への影響 サイジング精度への影響 現状認識 重 要 度 知 識 レ ベ ル 確 信 度 現状認識 重 要 度 知 識 レ ベ ル 確 信 度 ④き裂性状(き裂面およ びき裂先端部近傍の凹 凸・ファセット寸法・分 岐) 欠陥信号に及ぼす影響は大きい。き裂寸法が小さな段階で は特に影響が大きく、材料ノイズに埋もれがちな欠陥信号 を識別するために信号処理や画像化技術が必要となる場合 がある。き裂面の凹凸・ファセット寸法・分岐などの個々 の影響は解明されていない。 H U H き裂先端近傍の凹凸・ファセット寸法・分岐等の状況によ っては、超音波入射方向との関係で端部エコーが得にくい 場合もあるため、サイジング精度に及ぼす影響は大きい。 また、検査対象の材料や結晶組織によってはき裂先端部の 形状が著しく特異な場合があり、この場合はサイジング精 度に大きく影響する可能性がある。これら凹凸・ファセッ ト寸法・分岐等のサイジング精度への影響は解明されてい ない。 H U H ⑤き裂内物質の状態(腐 食生成物の有無、疎密) 環境疲労等で発生・伝搬するき裂に関して腐食生成物等の 化学的物性・特性は分かっている場合もあるが、超音波の 伝搬に影響する物理的状態・特性は明らかになっていない。 また超音波の伝搬への影響も僅かの事例を除き明らかには されていない。 H U H き裂先端部近傍における影響は検出性の場合と同様あるい はそれ以上と考えられる。 H U H ⑥き裂の閉口状態(密着 性)とその分布 き裂の周囲の応力状態(大きさと分布)によってはき裂の 閉口状態を生ずる原因となり、検出性に及ぼす影響は大き い。 探傷を実施する前に応力解析等により評価しておく ことが必要。 また、環境疲労等で発生・伝搬するき裂に 関して、腐食生成物等の密着性およびその結果として生ず るき裂の閉口状態に関しては明らかになっていないため、 超音波の伝搬への影響も明らかでなく、小さな・浅い欠陥 では検出性への影響は大きいと考えられる。 H U H 残留応力等によるき裂の閉口がき裂先端近傍ほど大きい場 合も有り、また環境疲労等で発生・伝搬するき裂に関して、 腐食生成物等の密着性およびき裂の閉口状態の影響はき裂 先端近傍で影響が一層大きいと考えられる。 なお、閉口 状態を一時的にあるいは継続的に変化させる事が出来れば サイジング精度が向上する可能性はあると考えられる。 H U H ⑦き裂の方向(角度) 超音波の入射方向(探傷方向)と欠陥の方向性、あるいは 探傷面や裏面に対する欠陥の発生・伝搬方向(角度)は欠 陥検出特性に影響するため、検査対象の応力状態等を事前 に検討しき裂の発生方向やき裂に対する超音波入射角を考 慮した探傷条件を選定することが必要。 また、想定され るき裂の発生方向等に対して最適な探傷条件(超音波入射 方向など)が実現できない場合は、探傷方向への依存性が 少ない探傷方法の採用が必要である。 H P M 影響は検出性の場合と同様。 M P H ⑧入射波の反射率、透過 率 欠陥信号への直接の反映はこれら要因により生ずるが、物 理的な要因は上記の数項目であるため、ここでは記載しな い。 ― ― ― 本項目の取扱いに関しては検出性の場合と同様。 ― ― ― F.被検体底面での 入射波の反射、透 過 ①底面の形状不連続・溶 接部境界 欠陥エコーと誤認識した場合の構造物の評価に及ぼす影響 が大きいため、誤認識する可能性のある形状不連続(例え ばカウンターボアや裏波)や溶接部境界の存在が分かって H P M 形状不連続によるエコーを SCC 等の欠陥エコーと誤認識す る場合は、き裂の端部エコーと溶接部境界のエコーを誤認 識する可能性も高いため、サイジング結果としても誤った H P M

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シナリオ/シーン 影響因子29 検出性への影響 サイジング精度への影響 現状認識 重 要 度 知 識 レ ベ ル 確 信 度 現状認識 重 要 度 知 識 レ ベ ル 確 信 度 いる、あるいは想定される場合は、誤認識の低減法や溶接 部境界に留意した欠陥位置の評価法を検討しておくことが 必要。 結果を生ずる場合が有る。 ②底面の表面粗さ、腐食 等 欠陥エコーの振幅値に及ぼす影響はあるが、ここで取り上 げる環境疲労のき裂が発生する可能性のある部位に関して は、表面粗さや腐食による影響は生じないと考えられるの で、評価対象外とする。 ― ― ― ここで取り上げる環境疲労のき裂が発生する可能性のある 部位に関しては、表面粗さや腐食による影響は生じないと 考えられるので、評価対象外とする。また、き裂先端の回 折信号を扱う深さサイジングに対しての影響は少ない。 ― ― ― G.被検体内での反 射波の伝搬 (D に同じ) ― ― ― ― ― ― ― ― H.反射波の探触子 内への伝搬(C に 同じ) (C に同じ) ― ― ― ― ― ― ― ― I.探傷器(探傷信 号の受信) ①受信回路のフィルタ ー機能・特性 探傷器の受信回路の周波数特性および周波数特性を調整す るフィルター機能の特性は、通常の探傷器では受信波形に 影響し近接欠陥の検出特性(分解能)に得影響を及ぼすが、 受信波形の広い周波数領域の特性に着目する探傷手法では 検出性に対して更に影響が大きい。 H U H 影響は検出性の場合と同様。 H U H

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超音波探傷検査の性能に影響を与える影響因子の重要度および知識レベルのランキングとその根拠 影響因子 (Phenomena) A-①:印加電圧 備考 対象 検出性への影響 サイジング精度への影響 影響因子に対する 現状認識30 影響のメカニズ ム 現状の評価 ・探触子を構成する振動子の出力が印加電圧と一義的に対応する(通常、直線 関係)範囲では、印加電圧を増加させれば発生する超音波の振幅値が増加す るため、体積欠陥の反射エコーやき裂欠陥のコーナーエコーは一義的に増加 し、SN 比が十分な場合は、一般には欠陥検出性が向上する。 ・超音波の透過性が悪い材料の探傷等のために、通常の印加電圧よりも数倍以 上の高電圧を印加できる探傷器も市販されている。[1] ・き裂欠陥の高さ寸法を測定する端部エコー法においても、振動子への印加電 圧を増加させれば、端部エコーの振幅値も増加するため[1]、SN 比が十分な 場合は、振幅値が小さく検出及び識別が難しい端部エコーとコーナーエコー の識別性が向上し、き裂欠陥の深さサイジング性やサイジング精度が向上す る。 ラ ン キ ン グ 評 価 重要度 評価:M 根拠:印加電圧の増加は欠陥コーナーエコーや端部エコー等の振幅値に一義的 に影響する。 評価: M 根拠:同 左 知識レベル 評価:K 根拠:印加電圧の増加が欠陥コーナーエコーや端部エコー等の振幅値に及ぼす 効果は自明である。 評価:K 根拠:同 左 確信度 評価:H 評価:H 参考文献/注釈 [1] 例えば 1000 Volt 印加可能なパルサーなど。 [1] EDM スリット等による基礎試験、あるいはシミュレーション解析により確 認可能。

重要度:H (High)、 M (Medium)、 L (Low)

知識レベル:K (Known)、 P (Partially Known)、 U (Unknown) 確信度:H (High)、 M (Medium)、 L (Low)

30 試験結果、解析結果、実機事例等の事実に基づく現状の知見を整理する。

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超音波探傷検査の性能に影響を与える影響因子の重要度および知識レベルのランキングとその根拠 影響因子 (Phenomena) A-③:特殊励振方式の影響 備 考 対 象 検出性への影響 サイジング精度への影響 影響因子に対する 現状認識 ・影響のメカニズム ・現状の評価 ・特殊励振方法には周波数変調、符号化(パルス圧縮)なども含まれるが、ここ ではき裂面に大変位を与える事により生じる非線形超音波を念頭にした特殊 な励振方法の範囲とし、大振幅超音波を発生させるための方法と、その欠陥検 出性に与える影響について述べる。 ・大振幅の超音波を発生させる方法の一つに、探傷器から高電圧のパルスあるい はバースト波を出力する方法がある。大振幅超音波をき裂の計測に用いた場 合、き裂からのエコーも組織からの散乱ノイズも共に振幅が増加するため検出 性向上の効果は無いと考えられるが、ランダムな組織散乱波を空間的平均化処 理で減らす手法等の検討の余地はある。 ・高電圧での励振だけでは十分な大変位が得られない場合に特殊な振動子を用い る方法が研究されている。 ・これにより生ずる非線形超音波の計測においては、線形計測とは異なる挙動を 示すことが確認されており[1、2]、周波数域のフィルタリング技術との併用で、 欠陥エコーの検出性に有効な可能性がある。 ・特殊励振方法には周波数変調、符号化(パルス圧縮)なども含まれるが、ここ ではき裂面に大変位を与える事により生じる非線形超音波を念頭にした特殊 な励振方法の範囲とし、大振幅超音波を発生させるための方法と、その欠陥サ イジング精度に与える影響について述べる。 ・大振幅の超音波を発生させる方法の一つに、探傷器から高電圧のパルスあるい はバースト波を出力する方法がある。大振幅超音波をき裂の計測に用いた場 合、端部エコーも組織からの散乱ノイズも共に振幅が増加するためサイジング 精度向上の効果は無いと考えられるが、ランダムな組織散乱波を積算平均で減 らす手法等の検討の余地はある。 ・高電圧での励振だけでは十分な大変位が得られない場合に特殊な振動子を用い る方法が研究されている。 ・これにより生ずる非線形超音波の計測においては、線形計測とは異なる挙動を 示すことが確認されており[1、2]、周波数域のフィルタリング技術との併用で、 欠陥エコーのサイジング精度に有効な可能性がある。 ラ ン キ ン グ 評 価 重要度 評価:H 根拠:非線形超音波応用や、従来の探傷でも一定の条件で、大振幅超音波の利用 技術は欠陥検出性を大幅に向上させる可能性がある。 評価:H 根拠:非線形超音波応用や、従来の探傷でも一定の条件で、大振幅超音波の利用 技術はサイジング性を大幅に向上させる可能性がある。 知識レベル 評価:U 根拠:高電圧励振の探傷における有効性については、コンクリート等を対象に過 去に検討された例はあるものの[3]、有効性などは明確になっていない。 過去の高電圧励振装置は、探傷器・探触子を含めた測定装置の信頼性が低 く、良い結果を得られなかった。非線形超音波計測については、特に探傷 応用について、不明な点が多い。 評価:U 根拠:高電圧励振の探傷における有効性については、コンクリート等を対象に過 去に検討された例はあるものの[3]、有効性などは明確になっていない。 過去の高電圧励振装置は、探傷器・探触子を含めた測定装置の信頼性が低 く、良い結果を得られなかった。非線形超音波計測については、特に探傷 応用について、不明な点が多い。 確信度 評価:H 評価:H 参考文献/注釈

[1] A. Moussatov、 V. Gusev、 B. Castagnede、 Self-induced hysteresis for nonlinear acoustic waves in cracked material、 Phys. Rev. Lett.、 90-12 (2003) 124301-1.

[2] I. Y. Solodov、 C. A. Vu、 “Popping” nonlinearity and chaos in vibrations of a contact interface between solids、 Acoust. Phys.、 39-5 (1993) 476

[3] 例えば印加電圧最大 1800V のパルサーレシーバ 重要度:H (High)、 M (Medium)、 L (Low)

知識レベル:K (Known)、 P (Partially Known)、 U (Unknown) 確信度:H (High)、 M (Medium)、 L (Low)

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超音波探傷検査の性能に影響を与える影響因子の重要度および知識レベルのランキングとその根拠 影響因子 (Phenomena) B-①:探触子の中心周波数 備 考 対 象 検出性への影響 サイジング精度への影響 影響因子に対する 現状認識 ・影響のメカニズム ・現状の評価 ・超音波減衰の大きな材料や組織不均質性の強い材料、極厚板、およびこれらの 材料の溶接部などにおいては、材料組織に関連する超音波の散乱や減衰のため に、1MHz や 500kHz と言った低周波、あるいは選択的な周波数において超音波 の伝搬が良好な場合が有る[1]。 ・コンクリートなどの場合[2]には数十 kHz 程度の方が欠陥の検出性が良い場合 が有るため、検査対象に応じて用いる探触子の中心周波数は事前に判断・選定 しておく必要がある。 ・欠陥から反射される超音波の振幅は波長の関数[3]でもあるので、探触子の中 心周波数は検出性にも影響を及ぼす。 ・欠陥のサイジング性に関しては、き裂先端などの当該部まで超音波が伝わって いる事が重要であるため、探触子中心周波数の影響は検出性の場合と同様。 ・ただし、周波数が低いほど波長が長くなるため、端部エコー等の信号の長さが 長くなり、コーナーエコー等との識別性が低下するため[1]、検査対象欠陥や その寸法に応じて事前に判断・選定しておく必要がある。 ラ ン キ ン グ 評 価 重要度 評価:M 根拠:探触子の中心周波数は検査対象物によっては超音波の伝搬に影響する。 評価:M 根拠:探触子の中心周波数は検査対象物によっては超音波の伝搬に影響する。 知識レベル 評価:P 根拠:探触子の中心周波数の影響は、一般論としては分かっているが、個々の検 査対象材料に関しては、事前に実験し、確認しておく必要がある 評価:P 根拠:探触子の中心周波数の影響は、一般論としては分かっているが、個々の検 査対象材料に関しては、事前に実験し、確認しておく必要がある 確信度 評価:H 評価:H 参考文献/注釈 [1] 例えばステンレス鋼溶接部、Ni 基合金溶接部、ステンレス鋳鋼とその溶接 部、コンクリートなど。 [2] コンクリートの探傷結果・探傷条件 [3] 例えば非破壊検査便覧 [1] EDM スリット等による基礎試験、あるいはシミュレーション解析により確認 可能。

重要度:H (High)、 M (Medium)、 L (Low)

知識レベル:K (Known)、 P (Partially Known)、 U (Unknown) 確信度:H (High)、 M (Medium)、 L (Low)

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超音波探傷検査の性能に影響を与える影響因子の重要度および知識レベルのランキングとその根拠 影響因子 (Phenomena) B-②:探触子の周波数帯域(波形特性) 備 考 対 象 検出性への影響 サイジング精度への影響 影響因子に対する 現状認識 ・影響のメカニズム ・現状の評価 ・ダンピングの良い波形、即ち広帯域探触子は、送信超音波および受信信号の波 の数が少ないため、近接欠陥の分解能等が良く、また広い帯域幅の超音波が送 信されるため、減衰の大きな材料等でも選択的な周波数において透過性が良い 場合が有る。 ・但し、狭帯域探触子に比べ超音波減衰が大きい材料等で感度が不足する場合が あり、この様な場合には分解能を犠牲にして狭帯域の、波の数の多い探触子を 用いる場合もある。 ・き裂欠陥の深さサイジングを行う場合にも、欠陥コーナーエコーと端部エコー の識別をする必要が有り、ダンピングの良い波形、即ち広帯域探触子の方が、 き裂コーナーエコーと端部エコーの分離が良く[1]、サイジング精度が良好で あるため、検査対象材料および想定される欠陥とその寸法に応じて事前に判 断・選定しておく必要がある。 ラ ン キ ン グ 評 価 重要度 評価:L 根拠: 材料ノイズ等と欠陥エコーとの識別などに、探触子の周波数帯域は影響 を及ぼすが、その影響は大きくはない。 評価:M 根拠:探触子の波形特性(ダンピング特性)はき裂深さサイジングの為の端部エ コーの識別と、その位置の測定に影響する。 知識レベル 評価:K 根拠:探傷感度と欠陥の識別性を考慮し、超音波伝搬特性の悪い材料でない限り 広帯域探触子を用いる場合と、感度の向上を考慮して狭帯域探触子を用い る場合があり、検査員が判断して決めている。 評価:K 根拠:端部エコーとコーナーエコーの識別・位置の測定などにはダンピングの良 い波形(広帯域)が良い事は自明。 確信度 評価:H 評価:H 参考文献/注釈 [1] EDM スリット等による基礎試験、あるいはシミュレーション解析により確認 可能。

重要度:H (High)、 M (Medium)、 L (Low)

知識レベル:K (Known)、 P (Partially Known)、 U (Unknown) 確信度:H (High)、 M (Medium)、 L (Low)

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超音波探傷検査の性能に影響を与える影響因子の重要度および知識レベルのランキングとその根拠 影響因子 (Phenomena) B-④:探触子タイプ/フォーカス 備 考 対 象 検出性への影響 サイジング精度への影響 影響因子に対する 現状認識 ・影響のメカニズム ・現状の評価 ・き裂端部エコーの識別性は SN 比に依存し、近接欠陥の分離特性はビーム幅に 依存する。 ・フォーカスには、探触子の幾何形状によるもの、アレイ探触子の各素子を遅延 則に従って励振することによるもの及びそれらを組み合わせたものがあるが、 フォーカスでは、送信超音波がフォーカス点近傍に絞られるため、空間分解能 の向上と振幅増幅効果が得られる。[1] ・例えば、検査対象の内面から発生した欠陥などを固定焦点で検査する場合、フ ォーカスによる振幅増大で検出性は向上するが送信超音波がフォーカス点近 傍に絞られるため検査効率は低下する。 ・また、近接多重欠陥などの欠陥の様相が想定される場合もその検出に効果的に 適用することが可能である。 ・閉じたき裂の検出性向上のための非線形超音波で必要な大振幅超音波の発生に も、フォーカス点近傍での振幅増幅効果は有効である。 ・き裂端部エコーの識別性は SN 比に依存し、近接欠陥の分離特性はビーム幅に 依存する。 ・フォーカスには、探触子の幾何形状によるもの、アレイ探触子の各素子を遅延 則に従って励振することによるもの及びそれらを組み合わせたものがあるが、 フォーカスでは、送信超音波がフォーカス点近傍に絞られるため、空間分解能 の向上と振幅増幅効果が得られる。[1] ・例えば、検査対象の内面から発生した欠陥などを固定焦点で検査する場合、フ ォーカスによる振幅増大でサイジング精度は向上するが送信超音波がフォー カス点近傍に絞られるため検査効率は低下する。 ・また、近接多重欠陥などの欠陥の様相が想定される場合もそのサイジングに効 果的に適用することが可能である。 ・閉じたき裂のサイジング精度向上のための非線形超音波で必要な大振幅超音波 の発生にも、フォーカス点近傍での振幅増幅効果は有効である。 ラ ン キ ン グ 評 価 重要度 評価:H 根拠:フォーカスによる空間分解能向上や振幅増幅効果はき裂の検出性に大きく 影響する。 評価:H 根拠:フォーカスによる空間分解能向上や振幅増幅効果はき裂のサイジング精度 に大きく影響する。 知識レベル 評価:K 根拠:フォーカスによる空間分解能の向上や振幅増大効果が得られることは自明 である。 評価:K 根拠:フォーカスによる空間分解能の向上や大振幅超音波が得られることは自明 である。 確信度 評価:H 評価:H 参考文献/注釈 [1] 例えば、超音波便覧、丸善、pp.430-435、1999. [1] 例えば、超音波便覧、丸善、pp.430-435、1999. 重要度:H (High)、 M (Medium)、 L (Low)

知識レベル:K (Known)、 P (Partially Known)、 U (Unknown) 確信度:H (High)、 M (Medium)、 L (Low)

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2-1002

超音波探傷検査の性能に影響を与える影響因子の重要度および知識レベルのランキングとその根拠 影響因子 (Phenomena) B-⑤:超音波のモード(縦波・横波(SV 波、SH 波)) 備 考 対 象 検出性への影響 サイジング精度への影響 影響因子に対する 現状認識 ・影響のメカニズム ・現状の評価 ・一般には、垂直法は縦波が、斜角法は横波(SV 波)が用いられている。TOFD 法 は一般に縦波が用いられる。 ・欠陥の傾き等によってはモード変換により反射率が変化するが、適切な屈折角 を選定することで影響を少なくできる。 ・縦波を使用する場合には、裏面開口欠陥のコーナー反射で反射率が低下するた め、ノッチ等を使った感度の校正を行う必要がある。 ・音響異方性材料では、モードによって異方性の影響(異常な屈折等)の度合い が異なる。例えば、オーステナイト系鋼溶接金属部の探傷では、音響異方性の 影響を受けにくく透過性が良いという経験を基に、斜角法であっても縦波を使 用することが多い。同様の理由で SH 波を用いた方法も報告されている。 ・一般には、垂直法は縦波が、斜角法は横波(SV 波)が用いられている。TOFD 法 は一般に縦波が用いられる。 ・欠陥の傾き等によってはモード変換により反射率が変化するが、適切な屈折角 を選定することで影響を少なくできる。 ・縦波を使用する場合には、裏面開口欠陥のコーナー反射で反射率が低下するた め、ノッチ等を使った感度の校正を行う必要がある。 ・音響異方性材料では、モードによって異方性の影響(異常な屈折等)の度合い が異なる。例えば、オーステナイト系鋼溶接金属部の探傷では、音響異方性の 影響を受けにくく透過性が良いという経験を基に、斜角法であっても縦波を使 用することが多い。同様の理由で SH 波を用いた方法も報告されている。 ラ ン キ ン グ 評 価 重要度 評価:M 根拠:金属組織の異方性の有無や適用する探傷方法により縦波あるいは横波を選 定する必要がある。 評価:M 根拠:金属組織の異方性の有無や適用する探傷方法により縦波あるいは横波を選 定する必要がある。 知識レベル 評価:K 根拠:結晶構造が明らかで均質な材料に対しては、超音波のモードと伝搬の挙動 は把握されている。 評価:K 根拠:結晶構造が明らかで均質な材料に対しては、超音波のモードと伝搬の挙動 は把握されている。 不均質な材料組織に対しては別 項目で評価 確信度 評価: H 評価:H 参考文献/注釈 [1] 非破壊検査便覧 重要度:H (High)、 M (Medium)、 L (Low)

知識レベル:K (Known)、 P (Partially Known)、 U (Unknown) 確信度:H (High)、 M (Medium)、 L (Low)

(11)

2-1003

超音波探傷検査の性能に影響を与える影響因子の重要度および知識レベルのランキングとその根拠 影響因子 (Phenomena) C-②:被検体表面の凹凸および表面粗さ 備 考 対 象 検出性への影響 サイジング精度への影響 影響因子に対する 現状認識 ・影響のメカニズム ・現状の評価 ・表面粗さは、プローブの径や超音波の波長と比較して、相対的に定義されるも のである。形状と探傷面の粗さが超音波探傷の検出性や感度に与える影響が大 きいことは、一般には知られている。特に接触型プローブ(斜角探触子やフェ ーズドアレイ探触子)において、検出性に大きく影響する。 ・被検体中への超音波の伝搬は、被検体の表面粗さによって大きく変化するため、 探傷に必要な伝搬特性が得られる接触媒質を選定することが重要である[1]。 ・超音波が効率的に伝搬し、意図した方向へ入射させるため、探傷する前に被検 体の表面を研磨し、平滑化する等の調整をしておく必要がある。 ・凹凸に対応するため、表面形状を計測して超音波の入射への補正を行う[2]な どの対応が必要となる場合もある。 ・表面粗さは、プローブの径や超音波の波長と比較して、相対的に定義されるも のである。表面の凹凸や粗さによって、超音波が想定外の方向に入射したり入 射方向が分散したりする恐れがあり、特にき裂先端部近傍に入射した超音波ビ ームに着目するサイジングにおいては影響が顕著である。 ・表面粗さに応じて、探傷に必要な伝搬特性が得られる接触媒質を選定すること が重要である[1]。 ・探傷する前に被検体の表面を研磨し、平滑化する等の調整をしておく必要があ る。 ・凹凸に対応するため、表面形状を計測して超音波の入射への補正を行う[2]な どの対応が必要となる場合もある。 ラ ン キ ン グ 評 価 重要度 評価:H 根拠:被検体表面の凹凸および表面粗さが、検出性に及ぼす影響は大きい。 評価: H 根拠:被検体表面の凹凸および表面粗さが、サイジング精度に及ぼす影響は大き い。 知識レベル 評価:P 根拠:超音波を効率的に伝搬させるため、表面を平滑化したり、適切な接触媒質 を選択したりすることは良く行われる。一方、凹凸面に対する信号補正法 の知見は少ない。 評価:P 根拠:超音波を効率的に伝搬させるため、表面を平滑化したり、適切な接触媒質 を選択したりすることは良く行われる。一方、凹凸面に対する信号補正法 の知見は少ない。 確信度 評価:H 評価:H 参考文献/注釈 [1] JIS Z 3060-2002 鋼溶接部の超音波探傷試験方法

[2] O. Casula、 C. Poidevin、 G. Cattiaux and P. Dumas、 Control of complex components with smart flexible phased arrays、 Ultrasonics、 Vol.44、 pp.e647-e651、 2006.

[1] JIS Z 3060-2002 鋼溶接部の超音波探傷試験方法

[2] O. Casula、 C. Poidevin、 G. Cattiaux and P. Dumas、 Control of complex components with smart flexible phased arrays、 Ultrasonics、 Vol.44、 pp.e647-e651、 2006.

重要度:H (High)、 M (Medium)、 L (Low)

知識レベル:K (Known)、 P (Partially Known)、 U (Unknown) 確信度:H (High)、 M (Medium)、 L (Low)

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2-1004

超音波探傷検査の性能に影響を与える影響因子の重要度および知識レベルのランキングとその根拠 影響因子 (Phenomena) D-①:被検体材質の超音波特性(音速・減衰・拡散特性(結晶粒度・析出物等依存性)) 備 考 対 象 検出性への影響 サイジング精度への影響 影響因子に対する 現状認識 ・影響のメカニズム ・現状の評価 ・粗大な結晶粒によって超音波は散乱・減衰することは、定性的には知られてお り、き裂エコーの SN 比を低下させるため、この影響度合いを評価することは 重要である。 ・粒界部による減衰・拡散は、検出性に影響することは一般的に知られている。 しかし、粒界散乱によるノイズはランダムノイズに相当するため、空間的平均 化処理などの波形処理や合成処理によって、き裂エコーの SN 比を改善できる 可能性があることが示唆されている[1]。 ・粗大結晶粒等による超音波の散乱・減衰は、き裂検出に用いるコーナーエコー 以上に端部エコーの SN 比を低下させるため、サイジング精度に及ぼす影響は 大きい。 ・Ni 基合金溶接部やステンレス鋳鋼等は、柱状晶組織であるため、音響異方性 による超音波の音速の局所的変化があるため、サイジング精度に大きく影響す る。 ・但し、この影響は解析的に推定可能[1]である。また、粒界による減衰・拡散 までも定量的にモデル化した研究[2]は少ない。 ラ ン キ ン グ 評 価 重要度 評価:M 根拠:検査対象材料の材質によっては、散乱・減衰・音速分布等により検出性に 影響を及ぼすため、対象材料の超音波特性を把握することは、き裂の検出 性向上にとって重要である。 評価: H 根拠:材質の音速分布や、減衰特性を予め把握することは、き裂の端部エコーの 発生位置の評価や SN 比を向上に寄与し、サイジング性能に大きく影響す る。 知識レベル 評価:P 根拠:材質の結晶構造に起因して、粒界部で散乱・減衰することは定性的に知ら れているが、定量的に影響を評価した事例は少ない。 評価:P 根拠:材質の結晶構造に起因して、粒界部で散乱・減衰することは定性的に知ら れているが、定量的に影響を評価した事例は少ない。 確信度 評価:H 評価:H 参考文献/注釈

[1] S. Kitazawa、 et al.、 Advanced inspection technologies for energy infrastructure、 Hitachi Reviews、 Vol.59、 No.3、 2010.

[1] A.H. Harker、 J.A. Ogilvy and J.A.G. Temple、 Modeling ultrasonic inspection of austenitic welds、 Journal of Nondestructive Evaluation、 Vol. 9、 pp.155-165、 1990.

[2] 坂本一信ら、ステンレス鋳鋼配管における超音波伝搬シミュレーション、保 全学、Vol.11、 No.2、 2012.

重要度:H (High)、 M (Medium)、 L (Low)

知識レベル:K (Known)、 P (Partially Known)、 U (Unknown) 確信度:H (High)、 M (Medium)、 L (Low)

(13)

2-1005

超音波探傷検査の性能に影響を与える影響因子の重要度および知識レベルのランキングとその根拠 影響因子 (Phenomena) D-②:超音波の直進性(被検体内の不均質性・異方性)の影響 備 考 対 象 検出性への影響 サイジング精度への影響 影響因子に対する 現状認識 ・影響のメカニズム ・現状の評価 ・超音波ビームが想定通りの方向に伝搬しないため検出性への影響が大きい。 ・溶接部の異方性や結晶組織の異方性が大きい材料においては事前に音速(ある いは逆速度:スローネス)分布を測定等により求めておくべきであり、異方性 が検査結果にどの様に影響するかを明らかにし、異方性を考慮した探傷条件の 設定方法や、更には探傷結果を異方性の影響を考慮して評価する手法等が重要 である。 ・不均質性・異方性の超音波ビームの偏向や屈曲への影響[1]や、これらを考慮 した探傷条件の設定[2]に関しては一部の研究事例がある。 ・欠陥からの反射波・回折波も想定通りでない超音波伝搬経路の影響を受けるた め、欠陥位置の評価および先端部の位置の評価(即ちサイジング精度)への影 響も大きい。 ・溶接部の異方性や結晶組織の異方性が大きい材料においては事前に音速を実測 等により求めておくこと、また探傷結果を異方性の影響を考慮して評価するこ と等が重要である。 ・不均質性・異方性の超音波ビームの偏向や屈曲への影響[1]や、これらを考慮 した探傷条件の設定[2]に関しては一部の研究事例がある。 ラ ン キ ン グ 評 価 重要度 評価:H 根拠:超音波伝搬経路を精度良く探傷条件等に反映する事により、検出性が向上 する。 評価: H 根拠:超音波伝搬経路を精度良く探傷条件等に反映する事により、サインジング 精度が向上する。 知識レベル 評価:P 根拠:不均質性・異方性による超音波ビームの偏向や屈曲を考慮した探傷条件の 設定に関する知見は少なく、探傷結果の評価に関しては殆ど知見がない。 評価:P 根拠:不均質性・異方性による超音波ビームの偏向や屈曲を考慮した探傷条件の 設定に関する知見は少なく、探傷結果の評価に関しては殆ど知見がない。 確信度 評価:H 評価:H 参考文献/注釈 [1] 中畑和之、 廣瀬壮一、 M. BARTH、他 2 名: "異材溶接部のイメージベース 波動伝搬シミュレーションとその実験的検証"、 保全学、 Vol.10. No.2、 July、 pp.49 (2011)

[2] Jing Ye、 Hak-Joon Kim、 Sung-Jin Song、 et.al; "Development of an Ultrasonic Ray Model for Phased Array Ultrasonic Testing in Austenitic Weldments"、 17th World Conference on Nondestructive Testing、 25-28 Oct 2008、 Shanghai、 China (2008)

[1] 中畑和之、 廣瀬壮一、 M. BARTH、他 2 名: "異材溶接部のイメージベース 波動伝搬シミュレーションとその実験的検証"、 保全学、 Vol.10. No.2、 July、 pp.49 (2011)

[2] Jing Ye、 Hak-Joon Kim、 Sung-Jin Song、 et.al; "Development of an Ultrasonic Ray Model for Phased Array Ultrasonic Testing in Austenitic Weldments"、 17th World Conference on Nondestructive Testing、 25-28 Oct 2008、 Shanghai、 China (2008)

重要度:H (High)、 M (Medium)、 L (Low)

知識レベル:K (Known)、 P (Partially Known)、 U (Unknown) 確信度:H (High)、 M (Medium)、 L (Low)

(14)

2-1006

超音波探傷検査の性能に影響を与える影響因子の重要度および知識レベルのランキングとその根拠 影響因子 (Phenomena) E-②:き裂寸法 備 考 対 象 検出性への影響 サイジング精度への影響 影響因子に対する 現状認識 ・影響のメカニズム ・現状の評価 ・一般にき裂寸法が大きいほど欠陥検出性が向上することは、理論的・実験的に 確認されている。 ・欠陥検出性に関しては、パルス反射法によるき裂の面積が欠陥信号振幅に及ぼ す影響のデータは低合金鋼・ステンレス鋼・Ni 基合金等で得られており、き 裂深さに関する POD 曲線も得られているが[1][2]、環境疲労によるき裂に関し てはデータが十分ではない。 ・検出されたき裂であっても、深さサイジングが可能か否かや深さ測定精度は、 き裂寸法そのもの及び検査手法に影響される。 特定の検査対象材質やき裂の 種類においてはデータが有るが[1]、環境疲労によるき裂に関してはデータが 十分ではない。 ラ ン キ ン グ 評 価 重要度 評価:M 根拠:き裂寸法は超音波を反射する面の面積に関連するため、検出性に及ぼす影 響は比較的大きい。 評価: M 根拠:検出されたき裂の深さサイジングが可能かや測定精度は、き裂寸法と直接 的には関連しないが、現実的には影響を及ぼす事が多い。 知識レベル 評価:P 根拠:き裂寸法とき裂の検出性の関係は、特定の材料・欠陥に関してはデータが 有る。 例えば配管における評価不要欠陥寸法の前後の欠陥寸法に関して は検出性の評価データはあるが、環境疲労によるき裂に関してはデータの 蓄積が必要。 評価:P 根拠:き裂の深さサイジングが可能かや測定精度に及ぼすき裂寸法の影響は、特 定の材料に関しては知られている。 確信度 評価:H 評価:H 参考文献/注釈 [1] JNES 事業報告書 「平成 16 年度 原子力発電施設検査技術実証事業に関する 報告書(超音波探傷試験における欠陥検出性及びサイジング精度の確認に関 するもの)」05 基材報-001 [総括版]、 05 基材報-002 [2] JNES 事業報告書 「平成 20 年度 ニッケル基合金溶接部の非破壊検査技術実 証に関する事業報告書」09 原高報-0006 [1] JNES 事業報告書 「平成 20 年度 ニッケル基合金溶接部の非破壊検査技術実 証に関する事業報告書」09 原高報-0006

重要度:H (High)、 M (Medium)、 L (Low)

知識レベル:K (Known)、 P (Partially Known)、 U (Unknown) 確信度:H (High)、 M (Medium)、 L (Low)

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2-1007

超音波探傷検査の性能に影響を与える影響因子の重要度および知識レベルのランキングとその根拠 影響因子 (Phenomena) E-③:き裂の 2 次元形状 備 考 対 象 検出性への影響 サイジング精度への影響 影響因子に対する 現状認識 ・影響のメカニズム ・現状の評価 ・き裂の輪郭形状が半楕円等ではなく、き裂長さ方向の一部が著しく浅い、ある いは深い場合などは、き裂形状は検出性に影響を及ぼすが、ある程度の深さ寸 法以上があれば影響は少ない。 ・き裂が存在する構造物の構造健全性を維持規格により力学的に評価する場合 は、き裂の長さと最大深さで代表される半楕円き裂として扱う事が一般的であ るが[1]、より適切な評価を行うためには、き裂の輪郭形状を測定できる事が 必要となる場合がある。(安全のための裕度を取りすぎない評価など) ・き裂が、その長さ方向の一部において著しく深く進展している場合などでは、 その最深部を特定してサイジングする事ができない場合があり、力学的評価に 影響を及ぼす。 ・き裂の輪郭形状を画像化している事例もあるが[2]、輪郭形状を正確に測定し た例はほとんどない。 ラ ン キ ン グ 評 価 重要度 評価:L 根拠:ある程度の深さ寸法以上のき裂であれば、検出性に及ぼす影響は少ない。 評価:H 根拠:き裂が存在する場合の構造物の力学的評価をより適切に行うにはき裂の輪 郭形状を測定できる事が必要である。 知識レベル 評価:P 根拠:特定の材料における比較的一様な形状のき裂の検出性に関してはデータが 有るが、環境疲労によるき裂に関してはデータの蓄積が必要。 評価:U 根拠:最大深さや長さ以外に、き裂の輪郭形状を正確に測定した例はほとんどな い。 確信度 評価:H 評価:H 参考文献/注釈 [1] 日本機械学会「発電用原子力設備規格 維持規格」

[2] I. Komura、 T. Furukawa: " Improvement of SCC Depth Sizing Capability by 3D-SAFT UT Method in Ni Alloy Weld "、 8th International Conference on NDE in Relation to Structural Integrity for Nuclear and Pressurized Components、 Th.1.C.1 (2010)

重要度:H (High)、 M (Medium)、 L (Low)

知識レベル:K (Known)、 P (Partially Known)、 U (Unknown) 確信度:H (High)、 M (Medium)、 L (Low)

(16)

2-1008

超音波探傷検査の性能に影響を与える影響因子の重要度および知識レベルのランキングとその根拠 影響因子 (Phenomena) E-④:き裂性状(き裂面およびき裂先端部近傍の凹凸・ファセット寸法・分岐) 備 考 対 象 検出性への影響 サイジング精度への影響 影響因子に対する 現状認識 ・影響のメカニズム ・現状の評価 ・き裂面の凹凸・ファセット寸法・分岐が超音波の反射方向の分散などを生じ、 探触子に戻って検出される信号の振幅値等に大きく影響するため、検出性に影 響を及ぼす。 ・き裂寸法が小さな段階ではき裂面の凹凸・ファセット寸法・分岐のゆえに、欠 陥信号が材料ノイズに埋もれがちになる場合もあり、信号処理や画像処理技術 で欠陥信号を抽出する事が望ましい。 ・き裂先端の凹凸・ファセット寸法・分岐によっては、超音波入射方向との関係 が適正でない場合(き裂先端がサイジングのための端部エコーが得にくい方向 を向いているなど)もあり得るため、サイジング精度に及ぼす影響は大きい。 ・また、検査対象の材料や結晶組織によってはき裂先端部の形状が著しく特異な 場合があり、この場合はサイジング精度に大きく影響する可能性がある[1]。 ラ ン キ ン グ 評 価 重要度 評価:H 根拠:き裂面の凹凸・ファセット寸法・分岐の検出性への影響は大きい。 評価:H 根拠:き裂先端の凹凸・ファセット寸法・分岐のサイジング精度への影響は大き い。 知識レベル 評価:U 根拠:き裂面の凹凸・ファセット寸法・分岐の影響は解明されていない。 評価:U 根拠:き裂先端近傍のき裂面の凹凸・ファセット寸法・分岐等の影響は解明され ていない。 確信度 評価:H 評価:H 参考文献/注釈 [1] JNES 事業報告書「平成 17 年度 ニッケル基合金溶接部の非破壊検査技術実 証に関する事業報告書」06 基材報-0010

重要度:H (High)、 M (Medium)、 L (Low)

知識レベル:K (Known)、 P (Partially Known)、 U (Unknown) 確信度:H (High)、 M (Medium)、 L (Low)

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2-1009

超音波探傷検査の性能に影響を与える影響因子の重要度および知識レベルのランキングとその根拠 影響因子 (Phenomena) E-⑤:き裂内物質の状態(腐食生成物の有無、疎密) 備 考 対 象 検出性への影響 サイジング精度への影響 影響因子に対する 現状認識 ・影響のメカニズム ・現状の評価 ・環境疲労等で発生・伝搬するき裂に関して腐食生成物等の化学的物性・特性[1] は分かっている場合もあるが、超音波の伝搬に影響する物理的状態・特性は明 らかになっていない。 ・き裂内の腐食生成物の有無や疎密により、超音波エコーが発生せず透過する現 象は、き裂の過小評価や見逃しを引き起こす要因となり得るため、その評価法 の確立が重要である。 ・き裂内への酸化膜生成の検出性への影響やその対策に関する研究事例は一部し かない[2]。 ・環境疲労等で発生・伝搬するき裂に関して腐食生成物等の化学的物性・特性[1] は分かっている場合もあるが、超音波の伝搬に影響する物理的状態・特性は明 らかになっていない。 ・き裂内の腐食生成物の有無や疎密により、超音波エコーが発生せず透過する現 象は、き裂の過小評価や見逃しを引き起こす要因となり得るため、その評価法 の確立が重要である。 ・き裂内への酸化膜生成のサイジング精度への影響やその対策に関する研究事例 は一部しかない[2]。 ラ ン キ ン グ 評 価 重要度 評価:H 根拠:評価手法を確立しなければ、き裂検出において見逃しを引き起こす可能性 がある。 評価:H 根拠:評価手法を確立しなければ、き裂サイジングにおいて過小評価を引き起こ す可能性がある。 知識レベル 評価:U 根拠:検出性に対するき裂内物質の状態の影響に関しては殆ど知見がない。 評価:U 根拠:サイジング精度に対するき裂内物質の状態の影響に関しては殆ど知見がな い。 確信度 評価:H 評価:H 参考文献/注釈

[1]T. Terachi、 K. Fujii、 K. Arioka; “Microstructural Characterization of SCC Crack Tip and Oxide Film for SUS 316 Stainless Steel in Simulated PWR Primary Water at 320℃”、 Journal of Nuclear Science and Technology、 Vol. 42、 No. 2、 pp.225-232 (2005)

[2] S. Horinouchi、 M. Ikeuchi、 Y. Shintaku、 Y. Ohara、 K. Yamanaka; “Evaluation of Closed Stress Corrosion Cracks in Ni-Based Alloy Weld Metal Using Subharmonic Phased Array”、 Japanese Journal of Applied Physics、 Vol. 51、 July、 pp.07GB15-1-5 (2012).

[1]T. Terachi、 K. Fujii、 K. Arioka; “Microstructural Characterization of SCC Crack Tip and Oxide Film for SUS 316 Stainless Steel in Simulated PWR Primary Water at 320℃”、 Journal of Nuclear Science and Technology、 Vol. 42、 No. 2、 pp.225-232 (2005)

[2] S. Horinouchi、 M. Ikeuchi、 Y. Shintaku、 Y. Ohara、 K. Yamanaka; “Evaluation of Closed Stress Corrosion Cracks in Ni-Based Alloy Weld Metal Using Subharmonic Phased Array”、 Japanese Journal of Applied Physics、 Vol. 51、 July、 pp.07GB15-1-5 (2012).

重要度:H (High)、 M (Medium)、 L (Low)

知識レベル:K (Known)、 P (Partially Known)、 U (Unknown) 確信度:H (High)、 M (Medium)、 L (Low)

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2-1010

超音波探傷検査の性能に影響を与える影響因子の重要度および知識レベルのランキングとその根拠 影響因子 (Phenomena) E-⑥:き裂の閉口状態(密着性)とその分布 備 考 対 象 検出性への影響 サイジング精度への影響 影響因子に対する 現状認識 ・影響のメカニズム ・現状の評価 ・き裂周囲の応力状態によってはき裂の閉口状態を生ずる原因となり、超音波が き裂閉口部を透過し過小評価や見逃しを引き起こす要因となり得るため、検出 性に及ぼす影響は大きい。 ・環境疲労等で発生・伝搬するき裂に関して、腐食生成物等の密着性およびその 結果として生ずるき裂の閉口状態が明らかになっていないため、超音波の伝搬 への影響も明らかではなく、小さな・浅い欠陥では検出性への影響は大きいと 考えられる。 ・閉口状態のき裂の影響やその対策に関する実験的及び理論的研究事例は一部し かない[1、2]。 ・き裂周囲の応力状態によってはき裂の閉口状態を生ずる原因となり、超音波が き裂閉口部を透過し過小評価や見逃しを引き起こす要因となり得るため、サイ ジング精度に及ぼす影響は大きい。 ・環境疲労等で発生・伝搬するき裂に関して、腐食生成物等の密着性およびその 結果として生ずるき裂の閉口状態が明らかになっていないため、超音波の伝搬 への影響も明らかではなく、き裂先端が閉口する場合、サイジング精度への影 響は大きいと考えられる。 ・閉口状態のき裂の影響やその対策に関する実験的及び理論的研究事例は一部し かない[1、2]。 ラ ン キ ン グ 評 価 重要度 評価:H 根拠:評価手法を確立しなければ、き裂検出において見逃しを引き起こす可能性 がある。 評価:H 根拠:評価手法を確立しなければ、き裂サイジングにおいて過小評価を引き起こ す可能性がある。 知識レベル 評価:U 根拠:検出性に対するき裂の閉口状態の影響やその対策に関しては殆ど知見がな い。 評価:U 根拠:サイジング精度に対するき裂の閉口状態の影響やその対策に関しては殆ど 知見がない。 確信度 評価:H 評価:H 参考文献/注釈

[1] Y. Ohara、 H. Endo、 T. Mihara、 K. Yamanaka; “Ultrasonic Measurement of Closed Stress Corrosion Crack Depth Using Subharmonic Phased Array”、 Japanese Journal of Applied Physics、 Vol. 48、 pp. 07GD01-1-6 (2009). [2] Kazushi Yamanaka、 Yoshikazu Ohara、 Miyuki Oguma、 and Yohei Shintaku; “Two-Dimensional Analyses of Subharmonic Generation at Closed Cracks in Nonlinear Ultrasonics”、 Applied Physics Express 4、 076601 (2011).

[1] Y. Ohara、 H. Endo、 T. Mihara、 K. Yamanaka; “Ultrasonic Measurement of Closed Stress Corrosion Crack Depth Using Subharmonic Phased Array”、 Japanese Journal of Applied Physics、 Vol. 48、 pp. 07GD01-1-6 (2009). [2] Kazushi Yamanaka、 Yoshikazu Ohara、 Miyuki Oguma、 and Yohei Shintaku; “Two-Dimensional Analyses of Subharmonic Generation at Closed Cracks in Nonlinear Ultrasonics”、 Applied Physics Express 4、 076601 (2011).

重要度:H (High)、 M (Medium)、 L (Low)

知識レベル:K (Known)、 P (Partially Known)、 U (Unknown) 確信度:H (High)、 M (Medium)、 L (Low)

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超音波探傷検査の性能に影響を与える影響因子の重要度および知識レベルのランキングとその根拠 影響因子 (Phenomena) E-⑦:き裂の方向(角度) 備 考 対 象 検出性への影響 サイジング精度への影響 影響因子に対する 現状認識 ・影響のメカニズム ・現状の評価 ・超音波の入射方向(探傷方向)と欠陥の方向性、あるいは探傷面や裏面に対す る欠陥の発生・伝搬方向(角度)は欠陥検出特性に影響するため、検査対象の 応力状態等を事前に検討しき裂の発生方向等を想定しておくことが必要。 ・検査対象物の形状の影響等(接近限界距離等)で、想定されるき裂の発生方向 等に対して最適な探傷条件(超音波入射方向など)が実現できない場合は、探 傷方向への依存性が少ない探傷方法等を採用する必要がある。 ・き裂の検出は、斜角探傷によるコーナーエコーを用いるため、探傷方向に対す るき裂の方向(角度)の影響は大きいが、き裂の深さサイジングはき裂先端部 を認識する端部エコーを用いるため、コーナーエコーほど方向性の影響は少な いと考えられる。 ラ ン キ ン グ 評 価 重要度 評価:H 根拠:き裂の方向が検出性に及ぼす影響は大きい。 評価:M 根拠:端部エコーに対する超音波入射方向の影響はき裂検出の際に対象とするコ ーナーエコーに比べれば少ないと考えられる。 知識レベル 評価:P【K の意見もあり】 根拠:き裂の方向と超音波入射方向の影響を評価した事例は少なく[1]、環境疲 労に関する知見はほとんど無い。また超音波入射方向の影響の少ない探傷 方法の事例[1]は更に少ない。 評価:P 根拠:き裂の深さサイジングのための端部エコーに関して、超音波入射方向の影 響を評価した事例は少なく[1]、環境疲労に関する知見はほとんど無い。 一般的にはき裂に正対する方向 から探傷するのが原則だが、こ こでは斜め方向から探傷せざる を 得 な い 場 合 を 取 り 上 げ て い る。 確信度 評価:M 評価:H 参考文献/注釈 [1] 古村一朗、 古川敬: "開口合成 3 次元超音波探傷法による Ni 基合金溶接部 SCC の探傷特性"、 平成 23 年度 火力原子力発電大会論文集、 pp.141-149 (2011)[CD-ROM] [1] 古村一朗、 古川敬: "開口合成 3 次元超音波探傷法による Ni 基合金溶接部 SCC の探傷特性"、 平成 23 年度 火力原子力発電大会論文集、 pp.141-149 (2011)[CD-ROM]

重要度:H (High)、 M (Medium)、 L (Low)

知識レベル:K (Known)、 P (Partially Known)、 U (Unknown) 確信度:H (High)、 M (Medium)、 L (Low)

(20)

2-1012

超音波探傷検査の性能に影響を与える影響因子の重要度および知識レベルのランキングとその根拠 影響因子 (Phenomena) F-①:底面の形状不連続・溶接部境界 対 象 検出性への影響 サイジング精度への影響 備 考 影響因子に対する 現状認識 ・影響のメカニズム ・現状の評価 ・溶接部裏波の様に欠陥エコーと誤認識する可能性のある形状不連続の存在が予 想される場合は、その影響を探傷の前に評価しておき、2 次クリーピング波法 を用いた誤認識の低減法や、溶接部境界に留意した欠陥位置の評価など[1]の 対応を検討しておく必要がある。 ・また手探傷などの際には欠陥指示の位置を注意しないとカウンターボアの角部 のエコーと誤認識する可能性もあり、設計図面等に照らして、その影響を探傷 の前に評価しておくことが必要。 ・SCC 等のき裂が発生する可能性の高い位置は溶接部境界に隣接しているため、 これを欠陥エコーと誤認識する場合は SCC の端部エコーと溶接境界エコーを 誤認識する場合も多くなるため、サイジング結果としても誤った結果を生ずる 場合が有る。 超音波探傷結果に及ぼす影響因 子として、き裂等欠陥エコー及 びノイズエコーの振幅値に影響 を及ぼす因子を取り上げたが、 本因子のみ欠陥エコーと他のエ コーの識別性に関して言及して いる。 ラ ン キ ン グ 評 価 重要度 評価:H 根拠:誤認識の要因となる形状不連続部や溶接境界位置を事前に検討しておく事 で、その影響を排除する探傷方法をとる事が可能であるが、誤認識をした 例もあり、その場合の影響が大きい。 評価:H 根拠:形状不連続や溶接境界と SCC 等き裂を御認識すると、溶接境界からの信号 を端部エコーと御認識する事が多く、この場合は検査対象物の健全性評価 に対する影響も大きい。 知識レベル 評価:P 根拠:溶接部裏波エコーやカウンターボア等の誤認識要因に関しては対応策が知 られている。 評価:P 根拠:溶接境界と端部エコーの識別は個々の検査対象物の状況を評価する必要が あり、経験に裏付けられた技術者はこの要因に関する知識を有している。 確信度 評価:M 評価:M 参考文献/注釈 [1] JNES 事業報告書 「平成 16 年度 原子力発電施設検査技術実証事業に関する 報告書(超音波探傷試験における欠陥検出性及びサイジング精度の確認に関 するもの)」05 基材報-001 [総括版]、 05 基材報-002

重要度:H (High)、 M (Medium)、 L (Low)

知識レベル:K (Known)、 P (Partially Known)、 U (Unknown) 確信度:H (High)、 M (Medium)、 L (Low)

(21)

2-1013

超音波探傷検査の性能に影響を与える影響因子の重要度および知識レベルのランキングとその根拠 影響因子 (Phenomena) I-①:受信回路のフィルター機能・特性 対 象 検出性への影響 サイジング精度への影響 備 考 影響因子に対する 現状認識 ・影響のメカニズム ・現状の評価 ・一般に超音波探傷器の受信回路には、ハイパス、ローパス、バンドパスフィル タが使用されることがあり、主に電気的なノイズ低減に用いられ、送信周波数 と受信周波数は同一という前提で選定されてきた。ここでは、非線形超音波を 念頭に、フィルターの機能・特性が欠陥検出特性に与える影響について述べる。 ・き裂に大振幅超音波を入射した場合の非線形超音波を用いる場合は、き裂で発 生した超音波の周波数成分のみを受信できれば SN 比を改善でき、検出性を向 上させることができる可能性がある。そのため、送信周波数とは異なる周波数 成分を選別するフィルターが必要となる。 ・適用例としては、デジタル信号処理を用いたフィルターを利用した方法などが 報告されている[1-3]。 ・一般に超音波探傷器の受信回路には、ハイパス、ローパス、バンドパスフィル タが使用されることがあり、主に電気的なノイズ低減に用いられ、送信周波数 と受信周波数は同一という前提で選定されてきた。ここでは、非線形超音波を 念頭に、フィルターの機能・特性が欠陥検出特性に与える影響について述べる。 ・き裂に大振幅超音波を入射した場合の非線形超音波を用いる場合は、き裂で発 生した超音波の周波数成分のみを受信できれば SN 比を改善でき、検出性を向 上させることができる可能性がある。そのため、送信周波数とは異なる周波数 成分を選別するフィルターが必要となる。 ・適用例としては、デジタル信号処理を用いたフィルターを利用した方法などが 報告されている[1-3]。 ラ ン キ ン グ 評 価 重要度 評価:H 根拠:受信回路のフィルター特性を把握し、適切に選択することが重要であり、 その影響は大きい。 評価:H 根拠:受信回路のフィルター特性を把握し、適切に選択することが重要であり、 その影響は大きい。 知識レベル 評価:U 根拠:非線形超音波発生の定量特性は必ずしも明らになっていないため、周波数 特性の利用方法は未解決なことが多い。 評価:U 根拠:非線形超音波発生の定量特性は必ずしも明らになっていないため、周波数 特性の利用方法は未解決なことが多い。 確信度 評価:H 評価:H 参考文献/注釈

[1] Y. Ohara、 S. Yamamoto、 T. Mihara and K. Yamanaka、 Ultrasonic Evaluation of Closed Cracks Using Subharmonic Phased Array. JJAP、47(5)、 (2008)、 3908-3915

[2] Y. Ohara、 H. Endo、 T. Mihara、 K. Yamanaka 、 Ultrasonic Measurement of Closed Stress Corrosion Crack Depth Using Subharmonic Phased Array. JJAP、 48(7)、 (2009)、 07GD01-1-6

[3] S. Horinouchi、 M. Ikeuchi、 Y. Shintaku、 Y. Ohara、 K. Yamanaka、 Evaluation of Closed Stress Corrosion Cracks in Ni-Based Alloy Weld Metal Using Subharmonic Phased Array、 JJAP、 51、 (2012) 07GB15-1-5

重要度:H (High)、 M (Medium)、 L (Low)

知識レベル:K (Known)、 P (Partially Known)、 U (Unknown) 確信度:H (High)、 M (Medium)、 L (Low)

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2-1014

渦電流探傷検査の性能に影響を与える影響因子に対する現状認識と重要度/知識レベルのランクキング結果 シナリオ /シーン 影響因子 検出性への影響 き裂長さサイジング精度への影響 き裂深さサイジング精度への影響 現状認識 重 要 度 知 識 レ ベ ル 確 信 度 現状認識 重 要 度 知 識 レ ベ ル 確 信 度 現状認識 重 要 度 知 識 レ ベ ル 確 信 度 A.励磁電流 の発生と励 磁コイルへ の供給 ①励磁電圧強 度・励磁電流 強度 き裂信号に対して線形に影響するものであ り、その効果は自明である。 電気ノイズなどに対する SN 比確保のために は重要なパラメータではあるが、通常は測定 者が意図的に変更する必要に迫られることは 少ない。 M K H き裂長さサイジングにおける情報量の増大 をもたらすものではない。 L K H き裂深さサイジングにおける情報量の増大 をもたらすものではない。 L K H ②周波数 (単一周波数 励磁の場合) 高周波であるほど表面に渦電流が集中し、か つ(ピックアップコイルを用いた場合であれ ば)検出信号も大となるため、表面開口き裂 の検出という観点からは一般的には高周波で あることが望ましい。ただしコイルインピー ダンス、装置内部回路により実用上の上限下 限が存在する。現状定量的な知見が蓄積され ているとは言い難いが、問題は生じていない。 H K H 「検出性への影響」における説明に加え、一 般的には高周波を用いるほど空間分解能を 高めることが出来るため、き裂長さサイジン グには有利であるとは考えられる。ただし、 現実的な範囲であれば、プローブ位置決め精 度等に比して、周波数の向上による著しい差 異は生じない。 L K H 高周波であるほど表層に渦電流が集中する ため、き裂深部の情報を抽出するためには 低周波を用いる必要がある。ただし定量的 な議論は現状困難である。 H P H ③励磁周波数 の数(複数周 波数励磁の場 合) SG 管の検査においては、複数の周波数の信号 を用いることで(多重演算処理により)外部 構造物の影響を除去することが行われてい る。 一般構造物に発生したき裂検出において、多 重周波数信号の融合によりき裂の検出性を向 上できる(典型的なノイズ信号を除去できる) 可能性はあるが、検討はされていない。 H U H 多重周波数信号の融合によりき裂長さサイ ジング精度を向上できる可能性はある。 ただし、現状の単一周波数に基づく評価で実 用上の問題は少ない。 M U M 複数周波数の融合によりき裂サイジング精 度を高める可能性が指摘されているが、現 状知見は乏しい。 H U H ④特殊励磁 (矩形波、パ ルス波など) 矩形波とパルス波には複数の周波数成分が含 まれることから、最終的に同期検波を行うの であれば複数周波数励磁を用いた信号検出と 同一である。同期検波を行わず、時間領域で 評価するのであれば、SN 比は劣化する。直接 係る評価データの公表例はないが、原理的に は自明である。 M P H 矩形波とパルス波には複数の周波数成分が 含まれることから、最終的に同期検波を行う のであれば複数周波数励磁を用いた信号検 出と同一である。同期検波を行わず、時間領 域で評価するのであれば、SN 比は劣化する。 直接係る評価データの公表例はないが、原理 的には自明である。 M P H 同左。ただし特殊励磁により得られた信号 はいわば正弦波信号の融合であるため、結 果として信号の融合を行ったことによるサ イジング精度向上の可能性はある。 M P H B. 励磁コ イルによる 変動磁場の 発生 ①励磁コイル 形状(矩形、 円形など) 矩形であるか円形であるかによる本質的な差 異は無く(通常表面へのならい等により決 定)、他の因子に比して有意な影響を与える ものではない。 L K H 矩形であるか円形であるかによる本質的な 差異は無く(通常表面へのならい等により決 定)、他の因子に比して有意な影響を与える ものではない。 L K H 矩形であるか円形であるかによる本質的な 差異は無く(通常表面へのならい等により 決定)、他の因子に比して有意な影響を与 えるものではない。 L K H ②励磁コイル の大きさ 検出信号の空間分解能は実際には励磁コイル と検出コイルの大きさに依存することから検 出性への影響は大きい。 ただし、通常は検出コイルの大きさで議論さ れており、現状それで大きな問題点はない。 H K H 検出信号の空間分解能は実際には励磁コイ ルと検出コイルの大きさに依存することか ら長さサイジング性への影響は大きい。 ただし、通常は検出コイルの大きさで議論さ れており、現状それで大きな問題点はない。 H K H 深いき裂のサイジング報告において用いら れているプローブは励磁コイルが大である 傾向があり、き裂深さサイジング精度にお ける重要な因子である可能性は否定出来な い。 M U M

添付資料2-1

表 2.4.3(3)-6  熱疲労割れ表面長さ、平均開口幅、最大深さ
表 2.4.3(3)-8  熱疲労割れ表面長さ、表面開口幅、最大深さ
図 2.4.3(3)-41  試験体製作手順
図 2.4.3(3)-43  破面接触の影響(きず幅=左:幅 0.01mm、中:幅 0.02mm、右:幅 0.05mm)
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参照

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