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crack C

Z Z=0

Z=400

80

V1

V2

2-1116

ック波成分を観察できた。このことから、閉じたき裂でのサブハーモニック波の発生を再 現できることがわかる。また、サブハーモニック波成分を用いた映像化が可能であると考 えられる。

図 2.4.3(3)-72 z 方向変位のスナップショット(t=1.30 s)

図 2.4.3(3)-73 き裂中心の変位波形とウェーブレット変換結果 45

23

V1

V2

Incident amplitude:80 nm Incident amplitude:100 nm Incident amplitude:160 nm Circular scattered shear waves Circular

scattered shear waves

longitudinal waves longitudinal

waves

(a) (b) (c)

0 1

0 100 200 300

0 1

−100 0 100

0 1

−200

−100 0 100

C O D ( nm ) ( nm ) ( nm )

Time (ms)

Fr eq ue nc y ( M H z )

Time ( ms)

0 1 1.8

f/2 f

f/2 f

f/2 8.0 f

4.0

8.0 4.0

8.0

4.0

2-1117

図 2.4.3(3)-74 き裂端部でのシフト加算波形とウェーブレット変換結果

シミュレーションにより得られた受信波に SPACE のアルゴリズムを適用して映像化を行 った。線形散乱源からの応答は基本波(周波数 f)であるが、非線形散乱源である閉じた き裂の応答にはサブハーモニック波(周波数 f/2)が含まれる。これらを受信し、ディジ タルフィルタを用いて各周波数成分に分離することで FA(fundamental array)像と非線 形の SA(subharmonic array)像を作る。本解析で得られた SA 像を図 2.4.3(3)-75 に示す。

開閉振動が観察されなかった小振幅入射(80 nm)では、図 2.4.3(3)-75(a)で示すよう にき裂からの応答はなく底面からの応答のみ観察された。

次に、入射波振幅 100 nm の SA 像(図 2.4.3(3)-75(b))では、き裂の中央部が映像化さ れた。しかし、き裂の上端や下端は映像化されなかった。特に上端はき裂深さの計測精度 に影響を及ぼすため、この振幅では閉じたき裂の映像化には不十分であることが分かった。

そこで、入射波振幅を 160 nm まで増大させた結果、SA 像(図 2.4.3(3)-75(c))では、2 つに分かれたき裂の応答が得られた。これらの応答は、各々き裂の上端と下端からの散乱 波によると考えられる。

ここで、SUS316L の閉じた疲労試験片での SPACE を用いた実験結果72とシミュレーション 結果を図 2.4.3(3)-76 で比較する。実験の SA 像(b)ではき裂閉口部の上端の A、下端の B が観察された。これは、シミュレーション結果と同様である。これより、縦き裂モデルの シミュレーションにおける SA 像は、実験結果の特徴を再現できた。

72

Y. Ohara, T. Mihara, R. Sasaki, T. Ogata, S. Yamamoto, Y. Kishimoto, K. Yamanaka.

“Imaging of closed cracks using nonlinear response of elastic waves at subharmonic frequency.”, Applied Physics Letters, Vol. 90, pp. 011902-1-3, (2007).

0 1 2 3

−5 0 5

0 1

0 250 500 750 1000 1250 1500 1750

0

0 1 2 3

−5 0 5

0 1

V1 V2

f

f/2 3f/4

f/4 3f/2

f

f/2 3f/4

f/4 3f/2

Time t [ s]

Time t [ s]

0 1 2 3 0 1 2 3

(a) (b)

2-1118

図 2.4.3(3)-75 閉じたき裂の映像化結果

図 2.4.3(3)-76 実験とシミュレーションの比較

V1

V2

(a) SA (80 nm) (b) SA (100 nm) (c) SA (160 nm)

2-1119 (ⅲ)共焦点 SPACE

① 測定装置

共焦点 SPACE の原理と構造を図 2.4.3(3)-77 に示す。アレイ探触子から焦点に集束させ ることで大振幅超音波(周波数 f)を送信する。これにより、送信超音波が照射される領 域の開いたき裂では線形散乱(周波数 f)が起こり、閉じたき裂では非線形散乱(周波数 f/2)が起こる。これらの線形・非線形散乱波は同じアレイ探触子で受信される。この受信 波形からディジタルフィルタで基本波成分およびサブハーモニック波成分を分離した後、

遅延則に従ってシフト加算(受波フォーカシング)することで、基本波(fundamental array;

FA)像とサブハーモニック波(subharmonic array; SA)像が形成される。これにより、FA 像では開いたき裂や底面などの線形散乱源が、SA 像では閉じたき裂などの非線形散乱源が 映像化される。送信焦点固定の場合、有効な映像化範囲は送信焦点近傍に限定されるが、

共焦点 SPACE では送信焦点を走査するため、広範囲を一度に映像化できる。

上述の原理を定式化する。送信超音波を集束させるための遅延則は、

tTn f rnVrf r )

, ( (2.4.3(3)-3)

である。ここで、rfは送信焦点の位置ベクトル、rnはアレイのn番目の素子の位置ベクト ル,V は試験片の音速であり、集束させた場合の分解能は次式で表される。

D

r df (2.4.3(3)-4)

ここで、 は波長,df は焦点までの距離,Dはアレイの開口幅である。式(2.4.3(3)-4) より,Dが大きいほど、分解能が高い。しかし、 rが小さいほど、一度の送信での見逃 しのリスクは高くなる。一方、df もしくはrf が無限大の場合は平面波の送信に等しい。

この場合、集束効果は得られないが、一度に広範囲の送信が可能である。

任意の位置ベクトルrの映像強度は

dt t u I

C

C

t

t S F S

F, (r) , r, (2.4.3(3)-5)

と表される。ここで、tCはくさびを用いた場合の伝搬時間やトリガー遅延などの補正項、

は入射波のサイクル数に依存して決める時間幅

N n

n n F

F t u t t

u

1

) ,

,

(r r (2.4.3(3)-6)

2-1120

N n

n n S

S t u t t

u

1

) ,

,

(r r (2.4.3(3)-7)

tn rs rV r rn r)

( (2.4.3(3)-8)

である。ここで、Nはアレイの総素子数、uF(r,t)はバンドパスフィルタで周波数 f 付近の 成分だけを抽出された波形、uS(r,t)はバンドパスフィルタで周波数 f/2 付近の成分だけを 抽出された波形、tn(r)はアレイ中心の位置ベクトルrsからrを経由してrnへの伝搬時間で ある。

尚、共焦点 SPACE の受波フォーカシングで複数の送信焦点で一つの映像を形成する場合、

図 2.4.3(3)-78 に示すように、送信焦点をrn(Rn, n)、刻みを半径方向、角度方向各々 R、 とすると、Rn R/2~Rn R/2および n /2~ n /2の領域の映像化には、

送信焦点rnで受信された波形を用いる。これを異なる送信焦点に対して順次行うことで、

広範囲の映像を形成する。

図 2.4.3(3)-77 共焦点 SPACE Total Number

Array Sensor

f

f, f/2