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(1)

9.コンクリート部材の耐

9.コンクリート部材の耐

久性、耐久性能および耐

久性、耐久性能および耐

久性照査

久性照査

本章では、耐久性、耐久性能および

本章では、耐久性、耐久性能および

耐久性照査について述べるとともに、

耐久性照査について述べるとともに、

特に、特に、中性化、塩害、凍害およ

特に、特に、中性化、塩害、凍害およ

びアルカリ骨材反応に関する劣化お

びアルカリ骨材反応に関する劣化お

よび耐久性照査について述べる。

よび耐久性照査について述べる。

(2)

9.1

9.1

耐久性、耐久性能および耐久性

耐久性、耐久性能および耐久性

照査とは

照査とは

9.1.1

9.1.1

概説

概説

„ „

あらゆるもの

あらゆるもの

(

(

物、者

物、者

)

)

には、

には、

寿命がある

寿命がある

。コ

。コ

ンクリート

ンクリート

(

(

部材

部材

)

)

も例外ではなく、いつかは劣

も例外ではなく、いつかは劣

化が著しくなって寿命がくる。

化が著しくなって寿命がくる。

„ „

コンクリート

コンクリート

(

(

部材

部材

)

)

の寿命については、

の寿命については、

いろ

いろ

いろの議論

いろの議論

がある。半永久的な寿命を主張

がある。半永久的な寿命を主張

する方もいる。逆に、コンクリートは構造物に

する方もいる。逆に、コンクリートは構造物に

は不向きではないかと悲観的な方もいる。

は不向きではないかと悲観的な方もいる。

(3)

„ „ 合理的合理的に考えるには、「に考えるには、「何年間供用何年間供用((使用使用))したいしたい のか のか」を明確にして、この期間」を明確にして、この期間((年数年数))内に起こる種々内に起こる種々 の劣化機構による劣化を許容範囲に収めるように の劣化機構による劣化を許容範囲に収めるように 考えるのがよさそうである。すなわち、まず、 考えるのがよさそうである。すなわち、まず、何年間何年間 供用 供用したいのかを決め、それに対応して構造物したいのかを決め、それに対応して構造物((部部 材 材))を何年間持たせるかというを何年間持たせるかという設計耐用年数設計耐用年数を定めを定め る。さらに、設計時に、対象とする構造物 る。さらに、設計時に、対象とする構造物((部材部材))の使の使 用材料や環境条件を把握して、それらに関連する 用材料や環境条件を把握して、それらに関連する 種々の劣化機構を調べて、その劣化機構による劣 種々の劣化機構を調べて、その劣化機構による劣 化を設計耐用年数内にある程度以下に抑えるか、 化を設計耐用年数内にある程度以下に抑えるか、 一歩引いて、数 一歩引いて、数1010年後に年後に11回大きな補修をして設計回大きな補修をして設計 耐用期間を乗り切るなどの 耐用期間を乗り切るなどの作戦作戦が考えられる。が考えられる。

(4)

„ „ この場合に、考えなければいけないのが、種々の劣この場合に、考えなければいけないのが、種々の劣 化機構に対するコンクリート 化機構に対するコンクリート((部材部材))の耐久性である。の耐久性である。 コンクリート コンクリート((部材部材))のの耐久性は、考える劣化機構でお耐久性は、考える劣化機構でお のおの異なってくる のおの異なってくる。すなわち、このコンクリート。すなわち、このコンクリート((部部 材 材))は、中性化には強いが、アルカリ骨材反応にはは、中性化には強いが、アルカリ骨材反応には 弱い、といったことである。 弱い、といったことである。 „ „ さて、さて、劣化機構劣化機構には、中性化、塩害、凍害、アルカには、中性化、塩害、凍害、アルカ リ骨材反応などの リ骨材反応などの環境作用が原因環境作用が原因のものと、疲労やのものと、疲労や 過大荷重などの主として 過大荷重などの主として荷重条件が原因荷重条件が原因のものにのものに 大きく分類することが出来る。本書では、特に、中性 大きく分類することが出来る。本書では、特に、中性 化、塩害、凍害およびアルカリ骨材反応の劣化につ 化、塩害、凍害およびアルカリ骨材反応の劣化につ いて述べる。また、どのような対策を行えば、おのお いて述べる。また、どのような対策を行えば、おのお のの劣化機構に対する耐久性が向上するかも述べ のの劣化機構に対する耐久性が向上するかも述べ る。 る。

(5)

„ „

さらに、おのおのの劣化機構に対して、耐

さらに、おのおのの劣化機構に対して、耐

久性照査の概要を述べる。

久性照査の概要を述べる。

„ „

なお、劣化

なお、劣化

(

(

劣化機構および劣化過程

劣化機構および劣化過程

)

)

と対

と対

策については、

策については、

土木学会

土木学会

維持管理編

維持管理編

1)

1)

を、耐

を、耐

久性照査については土木学会施工編

久性照査については土木学会施工編

2)

2)

に準

に準

拠した。

拠した。

(6)

9.1.2

9.1.2

関連する用語

関連する用語

„ „

本節では、耐久性、耐久性能および耐久性

本節では、耐久性、耐久性能および耐久性

照査に関する用語について解説する。誤解し

照査に関する用語について解説する。誤解し

やすいので注意を要する。

やすいので注意を要する。

(7)

9.1.2.1

9.1.2.1

耐久性、耐久性能、設計耐用

耐久性、耐久性能、設計耐用

年数および耐久性照査

年数および耐久性照査

„ „ (1) (1) 耐久性耐久性:「構造物:「構造物((部材部材))の性能の性能((機能機能))低下の経時低下の経時 変化に対する抵抗性」と定義される。劣化機構に対 変化に対する抵抗性」と定義される。劣化機構に対 応する。 応する。 „ „ (2) (2) 耐久性能耐久性能:「構造物:「構造物((部材部材))の要求性能を、供用期の要求性能を、供用期 間内に維持する性能」と定義される。したがって、同 間内に維持する性能」と定義される。したがって、同 一の耐久性であっても、設計耐用年数が短ければ 一の耐久性であっても、設計耐用年数が短ければ 耐久性能は十分、設計耐用年数が長ければ耐久性 耐久性能は十分、設計耐用年数が長ければ耐久性 能は不十分と判定されることがある。「耐荷力と安 能は不十分と判定されることがある。「耐荷力と安 全性能と設計荷重」と「 全性能と設計荷重」と「耐久性と耐久性能と設計耐耐久性と耐久性能と設計耐 用年数 用年数」がほぼ同じ対応関係にある。」がほぼ同じ対応関係にある。

(8)

„ „ (3)(3)設計耐用期間設計耐用期間:「設計時において、構造物または:「設計時において、構造物または 部材が、その目的とする機能を十分果たさなければ 部材が、その目的とする機能を十分果たさなければ ならないと規定した期間」と定義される。供用者が設 ならないと規定した期間」と定義される。供用者が設 定するのが妥当であるが、合理的な設定は難しい。 定するのが妥当であるが、合理的な設定は難しい。 „ „ (4)(4)耐久性照査耐久性照査:設計段階で、ある劣化機構に対して、:設計段階で、ある劣化機構に対して、 設計しているコンクリート 設計しているコンクリート((部材部材))が設計耐用年数内が設計耐用年数内 に許容される劣化度以内であること に許容される劣化度以内であること確かめる行為確かめる行為 „ „ (5)(5)供用期間供用期間:構造物を供用する期間:構造物を供用する期間

(9)

„ „

<ノート>

<ノート>

„ „

建物の例で申し訳ないが、我が国建物の平

建物の例で申し訳ないが、我が国建物の平

均的な供用期間は、鉄筋コンクリートや木造

均的な供用期間は、鉄筋コンクリートや木造

を問わず

を問わず

30

30

年程度である。これに対し、欧米

年程度である。これに対し、欧米

はすべて

はすべて

100

100

年以上である。また、我が国で

年以上である。また、我が国で

新築の方

新築の方

が高価であるが、例えば米国で

が高価であるが、例えば米国で

中古の方

中古の方

が高価である。

が高価である。

(10)

9.1.2.2

9.1.2.2

変状、初期欠陥、損傷、劣化の

変状、初期欠陥、損傷、劣化の

使い分けについて

使い分けについて

„ „

(1)

(1)

変状

変状

:初期欠陥、損傷および劣化の総称。

:初期欠陥、損傷および劣化の総称。

„ „

(2)

(2)

初期欠陥

初期欠陥

:施工時に発生するひび割れや

:施工時に発生するひび割れや

豆板、コールドジョイント、砂

豆板、コールドジョイント、砂

すじ

すじ

などをいう。

などをいう。

„ „

(3)

(3)

損傷

損傷

:地震や衝突等によるひび割れやは

:地震や衝突等によるひび割れやは

く離など、短時間のうちに発生し、その変状

く離など、短時間のうちに発生し、その変状

が時間の経過によっても変化しないもの。

が時間の経過によっても変化しないもの。

„ „

(4)

(4)

劣化

劣化

:変状のうち時間の経過に伴って変

:変状のうち時間の経過に伴って変

化するもの。

化するもの。

(11)

9.1.2.3

9.1.2.3

劣化機構と劣化現象

劣化機構と劣化現象

„ „

(1)

(1)

劣化機構

劣化機構

:

:

塩害とかアルカリ骨材反応と

塩害とかアルカリ骨材反応と

いった原因からメカニズムを含んだ一連の劣

いった原因からメカニズムを含んだ一連の劣

化の進行をいう。

化の進行をいう。

„ „

(2)

(2)

劣化現象

劣化現象

:劣化の具体的な現象、すなわち、

:劣化の具体的な現象、すなわち、

ひび割れが発生したとか鉄筋が腐食

ひび割れが発生したとか鉄筋が腐食

(corrosion)

(corrosion)

して錆がでた、といったことを指す。

して錆がでた、といったことを指す。

(12)

9.2

9.2

中性化

中性化

9.2.1

9.2.1

中性化とは

中性化とは

„ „ 中性化は、「硬化したコンクリートが空気中の中性化は、「硬化したコンクリートが空気中の炭酸炭酸 ガスの作用を受けて次第にアルカリ性 ガスの作用を受けて次第にアルカリ性を失っていくを失っていく 現象。炭酸化と呼ばれることもある。 現象。炭酸化と呼ばれることもある。(JIS A 0203)(JIS A 0203)」と」と 定義される。 定義される。 „ „ この劣化機構では、コンクリート自体が強度低下しこの劣化機構では、コンクリート自体が強度低下し たりすることはなく、コンクリートの たりすることはなく、コンクリートの鋼材の腐食が問鋼材の腐食が問 題となる。 題となる。 „ „ なお、炭酸ガス以外の原因によっても中性化は起なお、炭酸ガス以外の原因によっても中性化は起 こるが、これらには排気ガスによるものや長期間に こるが、これらには排気ガスによるものや長期間に わたる水中での わたる水中でのCa(OH)2Ca(OH)2の溶出によるものなどがあの溶出によるものなどがあ る。厳密には、炭酸ガスによるものを る。厳密には、炭酸ガスによるものをcarbonationcarbonation、他、他 の原因によるものを含んだものを の原因によるものを含んだものをneutralizationneutralizationというという が、一般には区別していない が、一般には区別していない 。。

(13)

9.2.2

9.2.2

中性化による劣化の進行

中性化による劣化の進行

a.

a.

中性化の進行

中性化の進行

„ „ 空気中の炭酸ガス空気中の炭酸ガス((二酸化炭素二酸化炭素))によって、コンクによって、コンク リート内のセメント水和物の主な水和物である リート内のセメント水和物の主な水和物であるCC--SS--HH と とCa(OH)2Ca(OH)2は次のような化学反応を起こすは次のような化学反応を起こす((単純化し単純化し ている ている))。。 „ „ CC--SS--H(H(ケイ酸カルシウム水和物)ケイ酸カルシウム水和物) „

„ 3CaO3CaO・・SiO2SiO2・・3H2O + 3CO2 3H2O + 3CO2 →→ 3CaCO33CaCO3 + SiO2 + + SiO2 +

3H2O

3H2O

„

„ Ca(OHCa(OH) 2 () 2 (水酸化カルシウム水酸化カルシウム))

„

„ Ca(OHCa(OH) 2 + CO2 ) 2 + CO2 →→ CaCO3 + H2OCaCO3 + H2O

„ „ この反応は、空気に触れる表面より内部に進行しこの反応は、空気に触れる表面より内部に進行し ていく。また、 ていく。また、炭酸ガスの表面からの拡散現象炭酸ガスの表面からの拡散現象が内が内 部に進行していく速度を決定する 部に進行していく速度を決定する 。。

(14)

„ „ 拡散現象によって反応が進行する際には、通常拡拡散現象によって反応が進行する際には、通常拡 散方程式を解けばよい。この解は 散方程式を解けばよい。この解は誤差関数などで誤差関数などで 表され、近似的に 表され、近似的に y=y=bb√√tt で表されるで表される((ここで、ここで、y:y:対対 象とする物質がある濃度である深さ、 象とする物質がある濃度である深さ、t:t:時間時間))。これら。これら の場合、コンクリートを近似的に均一 の場合、コンクリートを近似的に均一((骨材、ペース骨材、ペース ト、境界相などを区別せず ト、境界相などを区別せず))と考えている。と考えている。 „ „ これを中性化にあてはめたのが、いわゆるこれを中性化にあてはめたのが、いわゆる√√tt則則でで ある。また、多くの実験にも裏づけされ、次の式で表 ある。また、多くの実験にも裏づけされ、次の式で表 される。 される。 „ „ y=by=b√√tt (ここに、(ここに、y:y:中性化深さ中性化深さ(mm), t:(mm), t:中性化期間中性化期間 ( (年年))、、b:b:中性化速度係数中性化速度係数(mm/(mm/√√年年)))) „ „ 後述するが、多くの実験結果より、後述するが、多くの実験結果より、bbの値は配合やの値は配合や 環境条件より予測可能である。 環境条件より予測可能である。

(15)

b.

b.

鋼材腐食の進行

鋼材腐食の進行

„ „

鋼材を包んでいるコンクリートの

鋼材を包んでいるコンクリートの

pH

pH

11

11

度以下

度以下

となると、鋼材が腐食しやすくなる。

となると、鋼材が腐食しやすくなる。

pH

pH

が低くなると、鋼材

が低くなると、鋼材

(

(

もちろん鉄筋も含む

もちろん鉄筋も含む

)

)

面の鋼材を保護し腐食しにくくしていた皮膜

面の鋼材を保護し腐食しにくくしていた皮膜

(

(

これを不動態皮膜という

これを不動態皮膜という

)

)

が破壊される。この

が破壊される。この

状態で、水と酸素

状態で、水と酸素

(

(

空気

空気

)

)

があると鋼材の腐食

があると鋼材の腐食

が進行する。

が進行する。

(16)

„ „ 腐食によって錆が発生すると、錆はもとの鋼より腐食によって錆が発生すると、錆はもとの鋼より体体 積が 積が22∼∼33倍倍となるので見かけ上、鉄筋などが体積となるので見かけ上、鉄筋などが体積 膨張することになり、周囲のコンクリートを押しやりコ 膨張することになり、周囲のコンクリートを押しやりコ ンクリートに引張応力が発生することになる。前述し ンクリートに引張応力が発生することになる。前述し たように、コンクリートの引張強度は小さいので、ひ たように、コンクリートの引張強度は小さいので、ひ び割れが容易に発生する。ひとたび び割れが容易に発生する。ひとたびひび割れが発ひび割れが発 生すると、水、空気 生すると、水、空気((炭酸ガスおよび酸素炭酸ガスおよび酸素))の侵入がの侵入が さらに容易となり、腐食は進行し さらに容易となり、腐食は進行し、かぶりコンクリート、かぶりコンクリート のはく落、さらには、鋼材の有効な断面積が減少し、 のはく落、さらには、鋼材の有効な断面積が減少し、 最終的には耐荷力も低下する。すなわち、なにか乗 最終的には耐荷力も低下する。すなわち、なにか乗 ると壊れてもおかしくない状態となす。 ると壊れてもおかしくない状態となす。

(17)

„ „

一般に中性化深さと腐食発生の位置は若

一般に中性化深さと腐食発生の位置は若

干ずれることが多く、中性化深さが鋼材位置

干ずれることが多く、中性化深さが鋼材位置

に達する以前に腐食が発生する場合も多い。

に達する以前に腐食が発生する場合も多い。

このずれを

このずれを

中性化残り

中性化残り

という。研究者により

という。研究者により

種々の意見があるが、土木学会では

種々の意見があるが、土木学会では

10mm

10mm

25mm

25mm

としている。

としている。

(18)

c.

c.

中性化による劣化過程

中性化による劣化過程

(

(

コンクリート

コンクリート

標準示方書

標準示方書

[

[

維持管理編

維持管理編

]

]

準拠

準拠

1月

1月

27

27

)

)

„ „ 土木学会維持管理編では、ほとんどの劣化機構に対土木学会維持管理編では、ほとんどの劣化機構に対 して、劣化機構を して、劣化機構を潜伏期、進展期、加速期、劣化期潜伏期、進展期、加速期、劣化期のの44 つの期に分けることを原則としている。 つの期に分けることを原則としている。 „ „ 前述したように、中性化による性能低下は主として鋼前述したように、中性化による性能低下は主として鋼 材腐食であり、中性化そのものによるコンクリートの強 材腐食であり、中性化そのものによるコンクリートの強 度変化などは考慮しなくてよいことから、中性化による 度変化などは考慮しなくてよいことから、中性化による 構造物 構造物((部材部材))の性能低下は図の性能低下は図9.19.1に示すように、に示すように、中性化中性化 深さが鋼材の腐食発生限界に達するまでの潜伏期 深さが鋼材の腐食発生限界に達するまでの潜伏期、腐、腐 食開始から腐食ひび割れが生じるまでの進展期、 食開始から腐食ひび割れが生じるまでの進展期、ひびひび 割れの存在によって腐食速度が増大する加速期 割れの存在によって腐食速度が増大する加速期、鋼材、鋼材 腐食の進行によって耐荷力等の低下が顕著な劣化期 腐食の進行によって耐荷力等の低下が顕著な劣化期 に区分される。また、各劣化過程各期を決定する要因 に区分される。また、各劣化過程各期を決定する要因 は、表 は、表9.19.1のように定義される。のように定義される。

(19)

(20)

9.1

9.1

各劣化過程の定義

各劣化過程の定義

(

(

中性化

中性化

)

)

劣化過程

定義

期間を決定する要因

潜伏期

中性化深さが鋼材の腐食発生限界に到達するまでの期間 中性化進行速度

進展期

鋼材の腐食開始から腐食ひび割れ発生までの期間

鋼材の腐食速度

加速期

腐食ひび割れの発生により鋼材の腐食速度が増大する期間

劣化期

鋼材の負食量の増加により耐荷力の低下が顕著な期間

ひび割れを有する場合の

鋼材の腐食速度

(21)

9.2.3

9.2.3

対策

対策

„ „ 対策は、中性化の進行が鋼材に達するのを遅くす対策は、中性化の進行が鋼材に達するのを遅くす るものと鋼材を腐食しにくくするものの2つに分けら るものと鋼材を腐食しにくくするものの2つに分けら れる。 れる。 „ „ (1)(1) 中性化が鋼材に達するのを遅くするもの中性化が鋼材に達するのを遅くするもの „ „ コンクリートのコンクリートの水セメント比水セメント比を下げるなどして、中性を下げるなどして、中性 化速度が遅くなるような密実なコンクリートとする。 化速度が遅くなるような密実なコンクリートとする。 また、コンクリート表面に また、コンクリート表面に塗装やタイル塗装やタイルを張るというを張るという ことも有効である。また、コンクリートのかぶりを大き ことも有効である。また、コンクリートのかぶりを大き くすることも対策となる。 くすることも対策となる。 „ „ (2)(2) 鋼材を腐食しにくくするもの鋼材を腐食しにくくするもの „ „ エポキシ塗装鉄筋などが考えられるエポキシ塗装鉄筋などが考えられるが、中性化よが、中性化よ りむしろ塩害で使用される。 りむしろ塩害で使用される。

(22)

9.2.4

9.2.4

耐久性照査

耐久性照査

(

(

コンクリート標準示

コンクリート標準示

方書

方書

[

[

施工編

施工編

]

]

に準拠

に準拠

)

)

„ „ 基本は、「構造物基本は、「構造物((部材部材))の所要の性能が、コンクリーの所要の性能が、コンクリー トの中性化によって損なわれてはならない。」である。 トの中性化によって損なわれてはならない。」である。 „ „ 中性化の場合には、中性化による劣化過程が、中性化の場合には、中性化による劣化過程が、耐耐 用期間内に潜在期 用期間内に潜在期であればよいという基本的考えであればよいという基本的考え である。 である。 „ „ 具体的には、土木学会具体的には、土木学会99--3)3)では、次のように定めでは、次のように定め られている。 られている。 „ „ 「中性化に関する照査は、「中性化に関する照査は、中性化深さの設計値中性化深さの設計値ydydのの 鋼材腐食発生限界深さ 鋼材腐食発生限界深さylimylimに対する比に構造物係に対する比に構造物係 数 数γγiiを乗じた値が、を乗じた値が、1.01.0以下以下であることを確かめるこであることを確かめるこ とによって行ってよい。 とによって行ってよい。

(23)

„ „ この意味するところは、この意味するところは、①①中性化が年々進んでいっ中性化が年々進んでいっ て設計耐用年数になるとどの深さまでかを予測する て設計耐用年数になるとどの深さまでかを予測する (yd) (yd)、、②②この深さ以上に中性化が進行すると腐食がこの深さ以上に中性化が進行すると腐食が 始まるという深さをかぶりなどから計算する 始まるという深さをかぶりなどから計算する((ylimylim))、、③③ yd ydががylimylimより大きくなると、すなわち中性化の影響がより大きくなると、すなわち中性化の影響が 鋼材に及ぶと腐食が始まり、設計耐用期間内に腐食 鋼材に及ぶと腐食が始まり、設計耐用期間内に腐食 が始まることになるので、こうならないように

が始まることになるので、こうならないようにyd/yd/ylimylim

が が1.01.0より小さくなるよう照査する、より小さくなるよう照査する、④④安全係数安全係数で安全で安全 をみる、ということである。 をみる、ということである。((詳細はコンクリート標準示詳細はコンクリート標準示 方書 方書[[施工編施工編]]参照参照))。。 式

0

.

1

y

y

lim d i

γ

(24)

9.3

9.3

塩害

塩害

9.3.1

9.3.1

塩害とは

塩害とは

„

„ 塩害塩害(chloride attack)(chloride attack)とは、「とは、「コンクリート中の塩化物コンクリート中の塩化物

イオンによって鋼材が腐食し、コンクリートにひび割 イオンによって鋼材が腐食し、コンクリートにひび割 れ、はく離、はく落などの損傷を生じさせる現象。 れ、はく離、はく落などの損傷を生じさせる現象。 (JIS A 0203) (JIS A 0203)」」と定義されると定義される((注注::ここでの損傷は、本書ここでの損傷は、本書 では劣化に分類される では劣化に分類される))。。 „ „ 中性化と同様に、コンクリート自体の物性変化より中性化と同様に、コンクリート自体の物性変化より も、内部鋼材の腐食が問題である。また、コンクリー も、内部鋼材の腐食が問題である。また、コンクリー ト中に塩化物イオンが、練混ぜ時より含まれる場合 ト中に塩化物イオンが、練混ぜ時より含まれる場合 に に内在塩化物イオン内在塩化物イオン、建設後に外部の海洋や港湾、建設後に外部の海洋や港湾 環境より含まれる場合に 環境より含まれる場合に外来塩化物イオン外来塩化物イオンと区別すと区別す る。内在と外来塩化物イオンでは、劣化過程や対策 る。内在と外来塩化物イオンでは、劣化過程や対策 に大きな違いがある。 に大きな違いがある。

(25)

9.3.2

9.3.2

塩害による劣化

塩害による劣化

a)

a)

塩化物イオンの浸入

塩化物イオンの浸入

„ „ 内在塩化物イオンの場合には、この浸入過程は考内在塩化物イオンの場合には、この浸入過程は考 えなくてよい。 えなくてよい。 „ „ 外来塩化物イオンの場合には、一般には、拡散で外来塩化物イオンの場合には、一般には、拡散で 浸入してくる。これは、ほぼ中性化での炭酸ガスと 浸入してくる。これは、ほぼ中性化での炭酸ガスと 同じであるが、塩害の場合には、 同じであるが、塩害の場合には、√√tt則は使用せず則は使用せず に、かなり厳密な に、かなり厳密な拡散方程式の解拡散方程式の解を用いている。を用いている。 „ „ (注(注::厳密には、塩化物イオンの脱吸着や他のイオン厳密には、塩化物イオンの脱吸着や他のイオン の影響もあるので、拡散現象のみでは説明できな の影響もあるので、拡散現象のみでは説明できな い。) い。)

(26)

b)

b)

鋼材腐食の進行

鋼材腐食の進行

„ „

鋼材周囲の塩化物イオン濃度がある値

鋼材周囲の塩化物イオン濃度がある値

(

(

れを

れを

腐食発生限界値

腐食発生限界値

ともいう

ともいう

)

)

以上になると、

以上になると、

不動態皮膜が破壊され腐食が発生する。

不動態皮膜が破壊され腐食が発生する。

„ „

この後は、ほぼ中性化での鋼材腐食と同様

この後は、ほぼ中性化での鋼材腐食と同様

である。ただし、

である。ただし、

中性化でのものより、腐食速

中性化でのものより、腐食速

度が速く、局部的な腐食

度が速く、局部的な腐食

になりやすい。

になりやすい。

„ „

(27)

„ „ どの濃度になれば腐食が発生するかということは、どの濃度になれば腐食が発生するかということは、 非常に難しい問題である。 非常に難しい問題である。表表9.29.2には、塩化物イオンには、塩化物イオン 濃度 濃度((表では塩素量表では塩素量::モルタル重量に対する比で表しモルタル重量に対する比で表し てある てある))とそれに対する腐食の確率とそれに対する腐食の確率((不動態皮膜の不動態皮膜の ある確率 ある確率))を示してある。これをみると、腐食は非常を示してある。これをみると、腐食は非常 に確率的な現象であって、一義的に決めるのは難し に確率的な現象であって、一義的に決めるのは難し い。 い。 „ „ 土木学会では、内在塩化物イオン量については、土木学会では、内在塩化物イオン量については、 ほぼ ほぼ9595%以上の確率で腐食が起こらない%以上の確率で腐食が起こらない0.3kg/m30.3kg/m3 を限界値としている。外来塩化物イオンについては、 を限界値としている。外来塩化物イオンについては、 限界値を 限界値を1.2kg/m31.2kg/m3 ((不動態皮膜のある確率は不動態皮膜のある確率は80%80% 以上 以上))としている。としている。

(28)

モルタル重 量に対する 塩素量(%) (平均値) ≦0.075 0.075< ≦0.125 (0.10) 0.125< ≦0.175 (0.15) 0.175< ≦0.225 (0.20) 0.225< ≦0.275 (0.25) 0.275< ≦0.325 (0.30) 0.325< ≦0.375 (0.35) 0.375< ≦0.425 (0.40) 0.425< 不動態を有 する供試体 の比率(%) 95 83 82 47 46 52 42 21 4 表9.2 塩素(塩化物)イオン含有量と不動態の 存在 大即の博士論文のデータ

(29)

c)

c)

塩害による劣化過程

塩害による劣化過程

„ „

中性化と同様に4つの期に分けることが出

中性化と同様に4つの期に分けることが出

来る。すなわち、図

来る。すなわち、図

9.2

9.2

に示すように、

に示すように、

鋼材の

鋼材の

腐食が開始

腐食が開始

(

(

不動態皮膜が破壊

不動態皮膜が破壊

)

)

するまでの

するまでの

潜伏期

潜伏期

、腐食開始から腐食ひび割れ発生ま

、腐食開始から腐食ひび割れ発生ま

での進展期、

での進展期、

腐食ひび割れの影響で腐食速

腐食ひび割れの影響で腐食速

度が大幅に増加する加速期

度が大幅に増加する加速期

、および鋼材の

、および鋼材の

大幅な断面減少などにより耐荷力等の性能

大幅な断面減少などにより耐荷力等の性能

が大幅に低下する劣化期の4つである。また、

が大幅に低下する劣化期の4つである。また、

各劣化過程と期間を決定する要因は、表

各劣化過程と期間を決定する要因は、表

9.3

9.3

のように考えられる。

のように考えられる。

(30)
(31)

劣化過程 定義 期間を決定する要因 潜伏期 鋼材のかぶり位置における塩化物イオン濃度が腐食発生限 界濃度に達するまでの期間 塩化物イオンの拡散 初期含有塩化物イオン濃度 進展期 鋼材の腐食開始から腐食ひび割れ発生までの期間 鋼材の腐食速度 加速期 腐食ひび割れの発生により鋼材の腐食速度が増大する期間 劣化期 鋼材の負食量の増加により耐荷力の低下が顕著な期間 ひび割れを有する場合の 鋼材の腐食速度 表9.3 各劣化過程の定義(塩害)

(32)

9.3.3

9.3.3

対策

対策

(1)

(1)

基本

基本

„ „ 対策の基本は以下のようになる。対策の基本は以下のようになる。 „ „ ①①水、酸素、塩化物イオンをコンクリートおよび外部水、酸素、塩化物イオンをコンクリートおよび外部 環境から除去する。 環境から除去する。 „ „ ②②水、酸素、塩化物イオンのかぶりコンクリート中へ水、酸素、塩化物イオンのかぶりコンクリート中へ の侵入・拡散を防止する。 の侵入・拡散を防止する。 „ „ ③③かぶりコンクリート中の水、酸素、塩化物イオンがかぶりコンクリート中の水、酸素、塩化物イオンが 鋼材表面に到達するのを防止する。 鋼材表面に到達するのを防止する。 „ „ ④④腐食しにくい鋼材を用いる。腐食しにくい鋼材を用いる。 „ „ ⑤⑤電気防食電気防食((外部から鋼材に電気を流して腐食させ外部から鋼材に電気を流して腐食させ ない ない))を行う。を行う。 „ „ ⑥⑥防錆剤防錆剤((鋼材の表面を錆びにくくする鋼材の表面を錆びにくくする))を用いる。を用いる。 „ „ などがある。などがある。

(33)

„ „

内在塩化物イオンには、

内在塩化物イオンには、

が考えら

が考えら

れる。また、外来塩化物イオンには、

れる。また、外来塩化物イオンには、

が考えられる。

が考えられる。

は理論的ではあるが、な

は理論的ではあるが、な

かなか実現できない。

かなか実現できない。

„ „

さらに、

さらに、

コンクリートのみで対処する方法を

コンクリートのみで対処する方法を

第1種防食法

第1種防食法

、それ以外の方法を組み合わ

、それ以外の方法を組み合わ

せるものを第2種防食法と分類する場合もあ

せるものを第2種防食法と分類する場合もあ

る。

る。

(34)

(2)

(2)

第1種防食法

第1種防食法

„ „

この防食法は、密実なコンクリートを製造し、

この防食法は、密実なコンクリートを製造し、

ひび割れなどの欠陥のない施工を行うことで

ひび割れなどの欠陥のない施工を行うことで

防食しようとするものである。すなわち、

防食しようとするものである。すなわち、

かぶ

かぶ

り、ひび割れ、コンクリートの配合

り、ひび割れ、コンクリートの配合

(

(

水セメント

水セメント

比、単位セメント量、空気量など

比、単位セメント量、空気量など

)

)

、施工を適

、施工を適

に行うものである。

に行うものである。

„ „

かぶりについて土木学会では、最小かぶり

かぶりについて土木学会では、最小かぶり

の基本かぶり

の基本かぶり

c

c

ρ

ρ

9.4

9.4

に定めている。

に定めている。

(35)

部材

環境条件

スラブ

はり

一般の環境

25 30 35

腐食性環境

40 50 60

特に厳しい腐食性環境

50 60 70

9.4 の値(mm)

(36)

(3)

(3)

第2種防食法

第2種防食法

„ „

コンクリートのみで対策を講じても、かぶり

コンクリートのみで対策を講じても、かぶり

がどうしても

がどうしても

c

c

ρ

ρ

以下になってしまう場合に第

以下になってしまう場合に第

2

2

種防食法を検討する。

種防食法を検討する。

„ „

これには、

これには、

防食鉄筋

防食鉄筋

(

(

エポキシ樹脂鉄筋

エポキシ樹脂鉄筋

)

)

用いるもの、コンクリート表面に防食層

用いるもの、コンクリート表面に防食層

(

(

塗装

塗装

や永久型枠設置

や永久型枠設置

など

など

)

)

を形成するもの、およ

を形成するもの、およ

び前述の電気防食、などがある。

び前述の電気防食、などがある。

(37)

9.3.4

9.3.4

耐久性照査

耐久性照査

(

(

コンクリート標準示

コンクリート標準示

方書施工編に準拠

方書施工編に準拠

)

)

a)

a)

外来塩化物イオンの場合

外来塩化物イオンの場合

„ „

基本は、「構造物

基本は、「構造物

(

(

部材

部材

)

)

の所要の性能が、塩

の所要の性能が、塩

化物イオンの侵入による鋼材腐食によって損

化物イオンの侵入による鋼材腐食によって損

なわれてはならない。」である。

なわれてはならない。」である。

„ „

塩害の場合には、中性化と同様に劣化過

塩害の場合には、中性化と同様に劣化過

程が、

程が、

耐用期間内に潜在期であればよいと

耐用期間内に潜在期であればよいと

いう基本的考え

いう基本的考え

である。ただし、場合によって

である。ただし、場合によって

は進展期も許容するが、進展期まで自信を

は進展期も許容するが、進展期まで自信を

持って照査をできる組織

持って照査をできる組織

(

(

個人

個人

)

)

はほとんどい

はほとんどい

ないのが現状である。

ないのが現状である。

(38)

„ „

具体的には、土木学会

具体的には、土木学会

9

9

-

-

8)

8)

では、次のように

では、次のように

定められている。

定められている。

„ „

「塩化物イオンの侵入に伴う鋼材腐食に関す

「塩化物イオンの侵入に伴う鋼材腐食に関す

る照査は、

る照査は、

鋼材位置における塩化物イオン濃

鋼材位置における塩化物イオン濃

度の設計値

度の設計値

Cd

Cd

の鋼材腐食発生限界濃度

の鋼材腐食発生限界濃度

Clim

Clim

に対する比に構造物係数

に対する比に構造物係数

γ

γ

i

i

を乗じた値

を乗じた値

が、

が、

1.0

1.0

以下

以下

であることを確かめることによって

であることを確かめることによって

行ってよい。

行ってよい。

(39)

0

.

1

C

C

lim d i

γ

式 この意味するところは、①塩化物イオンが年々侵入して いって設計耐用年数になると鋼材位置の塩化物イオン濃 度を予測する(Cd)、②この濃度以上に鋼材位置の塩化物イ オン濃度がなると腐食が始まるという鋼材腐食発生限界濃 度を決める(Clim:一般には1.2kg/m3とすることが多い)、③ CdがClimより大きくなると、すなわち鋼材位置の塩化物イ オン濃度が鋼材腐食発生限界濃度を超えると腐食が始ま り、設計耐用期間内に腐食が始まることになるのでこうなら ないようにCd / Climが1.0より小さくなるよう照査する、④安 全係数で安全をみる、ということである。(詳細はコンクリー ト標準示方書[施工編]参照)。

(40)

9.3.4.2

9.3.4.2

内在塩化物イオンの場合

内在塩化物イオンの場合

„ „

外来塩化物イオンがない環境条件の場合

外来塩化物イオンがない環境条件の場合

には、練混ぜ時にコンクリート中に含まれる

には、練混ぜ時にコンクリート中に含まれる

塩化物イオンの総量が

塩化物イオンの総量が

0.3kg/m3

0.3kg/m3

以下

以下

であれ

であれ

ば、これをもって照査に合格としてよい。

ば、これをもって照査に合格としてよい。

(41)

9.4

9.4

凍害

凍害

9.4.1

9.4.1

凍害とは

凍害とは

„ „

凍害とは、「

凍害とは、「

凍結又は凍結融解の作用に

凍結又は凍結融解の作用に

よって、表面劣化、強度低下、ひび割れ、ポッ

よって、表面劣化、強度低下、ひび割れ、ポッ

プアウトなどの劣化を生じる現象

プアウトなどの劣化を生じる現象

(JIS A

(JIS A

0203)

0203)

」と定義される。

」と定義される。

„ „

コンクリート自体の劣化が主な問題である

コンクリート自体の劣化が主な問題である

が、この劣化に伴って、鋼材腐食が発生する

が、この劣化に伴って、鋼材腐食が発生する

こともある。

こともある。

(42)

9.4.2

9.4.2

凍害による劣化および劣化過程

凍害による劣化および劣化過程

„ „ コンクリートの凍害では、わが国では主として冬に、ココンクリートの凍害では、わが国では主として冬に、コ ンクリート内の水分が夜に凍り、日中に融けることで、 ンクリート内の水分が夜に凍り、日中に融けることで、 凍結融解を繰り返す。この際に、コンクリートにひび割 凍結融解を繰り返す。この際に、コンクリートにひび割 れが発生したりし、表層に近い部分から破壊し劣化が れが発生したりし、表層に近い部分から破壊し劣化が 進行していく。 進行していく。 „ „ 水は、凍結するときに、水は、凍結するときに、拘束がなければ9%の体積拘束がなければ9%の体積 膨張 膨張を生じる。また、コンクリート中の水は、温度が低を生じる。また、コンクリート中の水は、温度が低 くなるにつれて、大きな空隙中の水が凍結し、徐々に くなるにつれて、大きな空隙中の水が凍結し、徐々に 小さな空隙の水が凍結してゆく、この過程で、9%の 小さな空隙の水が凍結してゆく、この過程で、9%の 体積膨張があるので、余った水はどんどん小さな空 体積膨張があるので、余った水はどんどん小さな空 隙に追いやられていく。さらに温度が低くなり、それ以 隙に追いやられていく。さらに温度が低くなり、それ以 下の空隙がない状態まですべて凍結し、エントレイン 下の空隙がない状態まですべて凍結し、エントレイン ドエアー ドエアー(AE(AE剤による微小な気泡剤による微小な気泡))がないと、がないと、どこにもどこにも 行き場のない水により大きな圧力 行き場のない水により大きな圧力が生じ、コンクリートが生じ、コンクリート に引張応力が働きひび割れなどが生じる。 に引張応力が働きひび割れなどが生じる。

(43)

„ „

その後、一旦、氷が融けまた凍るとこの作用

その後、一旦、氷が融けまた凍るとこの作用

を繰り返すことになる。これにより、コンクリー

を繰り返すことになる。これにより、コンクリー

ト表面の破壊あるいは剥落が生じ、コンク

ト表面の破壊あるいは剥落が生じ、コンク

リート断面が小さくなっていく。

リート断面が小さくなっていく。

„ „

さらに、鉄筋コンクリートであると、鉄筋が露

さらに、鉄筋コンクリートであると、鉄筋が露

出し、鉄筋腐食も発生し、劣化が加速される。

出し、鉄筋腐食も発生し、劣化が加速される。

„ „

以下に凍害の劣化過程をコンクリート標準

以下に凍害の劣化過程をコンクリート標準

示方書

示方書

[

[

維持管理編

維持管理編

]

]

に沿って述べる。

に沿って述べる。

(44)

„ „ これによると劣化過程を、中性化の劣化過程とおこれによると劣化過程を、中性化の劣化過程とお なじように4つの期に区分する。すなわち、 なじように4つの期に区分する。すなわち、凍害によ凍害によ るスケーリング等が発生するまでの潜伏期 るスケーリング等が発生するまでの潜伏期、凍害は、凍害は 進行するが鋼材腐食にまでは至らない進展期、 進行するが鋼材腐食にまでは至らない進展期、凍凍 害深さ 害深さ((凍害によるコンクリートの劣化進行深さ凍害によるコンクリートの劣化進行深さ))が鋼が鋼 材位置に達して鋼材腐食が進む加速期 材位置に達して鋼材腐食が進む加速期、凍害深さ、凍害深さ が鋼材位置より大きくなり耐荷力に影響を及ぼす劣 が鋼材位置より大きくなり耐荷力に影響を及ぼす劣 化期に区分される。凍害による凍害深さの増大と構 化期に区分される。凍害による凍害深さの増大と構 造物の性能低下の関係の概念は、図 造物の性能低下の関係の概念は、図9.39.3に示すように示すよう にモデル化することができる。また、各劣化過程と にモデル化することができる。また、各劣化過程と 期間を決定する要因は表 期間を決定する要因は表9.69.6のように考えられる。のように考えられる。

(45)
(46)

9.6

9.6

各劣化過程の定義

各劣化過程の定義

(

(

凍害

凍害

)

)

劣化過程 定義 期間を決定する要因 潜伏期 凍結融解作用は受けるが劣化が顕在化しない期間 凍害発生の可能性の有無、 凍結融解回数 進展期 コンクリート表面の劣化は進行するが、鋼材腐食がない期間 凍害深さ(凍結融解回数、凍結 水量) 加速期 コンクリートの劣化が大きくなり、鋼材腐食が増大する期間 凍害深さ、鋼材の腐食速度 劣化期 コンクリートの劣化がかぶり以上になり、耐荷力の低下が顕著 になる期間 鋼材の腐食速度

(47)

9.4.3

9.4.3

対策

対策

„ „

凍害は、水分がコンクリート中で凍結し、コ

凍害は、水分がコンクリート中で凍結し、コ

ンクリート中に大きな

ンクリート中に大きな

(

(

引張

引張

)

)

応力が発生して、

応力が発生して、

凍結融解を繰り返すことによって劣化が進行

凍結融解を繰り返すことによって劣化が進行

するのである。このため、

するのである。このため、

外部からの水分

外部からの水分

の供給を断つ

の供給を断つ

コンクリート中組織への水

コンクリート中組織への水

の浸入を断つ、

の浸入を断つ、

凍結融解を繰り返さない

凍結融解を繰り返さない

コンクリート内部での応力発生を緩和する、

コンクリート内部での応力発生を緩和する、

ことが対策として考えられる。

ことが対策として考えられる。

(48)

„ „ ①①外部からの水分の供給を断つ外部からの水分の供給を断つ:完全に断つこと:完全に断つこと は困難ではある。緩和策として、 は困難ではある。緩和策として、排水設備を設け排水設備を設け る、表面に塗装 る、表面に塗装をする、などが考えられる。をする、などが考えられる。 „ „ ②②コンクリート中組織への水の浸入を断つコンクリート中組織への水の浸入を断つ:低水:低水 セメント比として、吸水率の小さな骨材を用いる、 セメント比として、吸水率の小さな骨材を用いる、 境界層を密実にする、などが考えられる。さらに、 境界層を密実にする、などが考えられる。さらに、 種々の原因によるひび割れ発生を防ぐことは非常 種々の原因によるひび割れ発生を防ぐことは非常 に重要である。 に重要である。 „ „ ③③凍結融解を繰り返さない凍結融解を繰り返さない:これも困難ではある:これも困難ではある が、設計に際して、重要な部材に対して出来るだ が、設計に際して、重要な部材に対して出来るだ け凍結融解の繰り返しが起こらないよう配慮する け凍結融解の繰り返しが起こらないよう配慮する こともできる。 こともできる。

(49)

„ „

コンクリート内部での応力発生を緩和す

コンクリート内部での応力発生を緩和す

る:

る:

良質な

良質な

AE

AE

(AE

(AE

減水剤、高性能

減水剤、高性能

AE

AE

減水

減水

剤も含む

剤も含む

)

)

を用いて、適量のエントレインドエ

を用いて、適量のエントレインドエ

アーを含んだ

アーを含んだ

AE

AE

コンクリートとする。

コンクリートとする。

„ „

その他:

その他:

とも関連するが、

とも関連するが、

表面

表面

積を出来るだけ少なくする

積を出来るだけ少なくする

。これには、鋭角

。これには、鋭角

的な構造は避ける、などが含まれる。

的な構造は避ける、などが含まれる。

(50)

9.4.4

9.4.4

耐久性照査

耐久性照査

„ „ 基本は、基本は、「「構造物構造物((部材部材))の所要の性能が、凍結融解の所要の性能が、凍結融解 作用によって損なわれてはならない 作用によって損なわれてはならない。。」」である。である。 „

„ この照査として、施工編では、一般にこの照査として、施工編では、一般にJIS A 1148(AJIS A 1148(A

法 法))「「コンクリートの凍結融解試験法コンクリートの凍結融解試験法((水中凍結融解水中凍結融解 試験方法 試験方法))」」による相対弾性係数を指標として用いるによる相対弾性係数を指標として用いる こととしている。また、 こととしている。また、基本は相対動弾性係数基本は相対動弾性係数ではでは あるが、いままでの経験からコンクリートの水セメン あるが、いままでの経験からコンクリートの水セメン ト比がある値以下であれば、相対動弾性係数の条 ト比がある値以下であれば、相対動弾性係数の条 件をみたすものとみなすことも可能である。 件をみたすものとみなすことも可能である。 „ „ 少し難解であるので、基本的な考え方と凍結融解少し難解であるので、基本的な考え方と凍結融解 試験を述べる。 試験を述べる。

(51)

(1)

(1)

基本的な考え方

基本的な考え方

„ „ 本来は、定量的な性能変化本来は、定量的な性能変化((竣工からの年月を横竣工からの年月を横 軸にとって、縦軸に性能を示す 軸にとって、縦軸に性能を示す))から、性能が設計耐から、性能が設計耐 用年数ないに許容される範囲にあるように照査した 用年数ないに許容される範囲にあるように照査した い。ところが、そのような解析や計算はまだない。次 い。ところが、そのような解析や計算はまだない。次 善として、凍結融解試験の凍結融解の回数と実際 善として、凍結融解試験の凍結融解の回数と実際 の年数とを結びつけて横軸に、相対動弾性係数と の年数とを結びつけて横軸に、相対動弾性係数と 性能を結びつけて縦軸に、ということから耐用年数 性能を結びつけて縦軸に、ということから耐用年数 と性能を結び付けようということを考えているが、い と性能を結び付けようということを考えているが、い ま一歩未完成である。その途中の段階として、次に ま一歩未完成である。その途中の段階として、次に しめす しめすJIS A 1148JIS A 1148でのでの凍結融解凍結融解300300回が耐用年数以回が耐用年数以 上に相当するとみなし 上に相当するとみなし、相対動弾性係数がある値、相対動弾性係数がある値 ( (最小限界値最小限界値))以上であれば、性能を満足するとみな以上であれば、性能を満足するとみな して、定量的な照査に代えている。これが基本であ して、定量的な照査に代えている。これが基本であ る。 る。

(52)

„ „

この考えによる凍害に関するコンクリート構造

この考えによる凍害に関するコンクリート構造

(

(

部材

部材

)

)

の性能を満足するための

の性能を満足するための

相対動弾

相対動弾

性係数の最小限界値

性係数の最小限界値

(

(

Emin

Emin

)

)

9.7

9.7

に示す。

に示す。

„ „

さらに、水セメント比をある値以下であれば、

さらに、水セメント比をある値以下であれば、

相対動弾性係数も最小限界値の条件を満た

相対動弾性係数も最小限界値の条件を満た

しており、これで照査に対応させることも出来

しており、これで照査に対応させることも出来

る。この考えによるコンクリートの所要の

る。この考えによるコンクリートの所要の

相対

相対

動弾性係数を満足するための最大水セメント

動弾性係数を満足するための最大水セメント

(

(

)

)

9.8

9.8

に示す。

に示す。

(53)

9.7

9.7

凍害に関するコンクリート構造物の性能を

凍害に関するコンクリート構造物の性能を

満足するための

満足するための

相対弾性係数の最小限界値、

相対弾性係数の最小限界値、

Emin

Emin

%

%

気象条件 気象作用が激しい場合または凍結融解 がしばしば繰返される場合 気象作用が激しくない場合、氷点 下の気温となることがまれな場合 断面 構造物の露出状態 薄い場合2) 一般の場合 薄い場合 2) 一般の場合 (1)連続してあるいはしばしば水で 飽和される場合1) 85 70 85 60 (2)普通の露出状態にあり、(1)に属さ ない場合 70 60 70 60

(54)

9.8

9.8

コンクリートの所要の相対動弾性係数を

コンクリートの所要の相対動弾性係数を

満足するための最大水セメント比

満足するための最大水セメント比

(

(

)

)

気象条件 気象作用が激しい場合または凍結融解 がしばしば繰返される場合 気象作用が激しくない場合、氷点 下の気温となることがまれな場合 断面 構造物の露出状態 薄い場合2) 一般の場合 薄い場合2) 一般の場合 (1)連続してあるいはしばしば水で 飽和される場合1) 55 (85) 60 (70) 55 (85) 65 (60) (2)普通の露出状態にあり、(1)に属さ ない場合 60 (70) 65 (60) 60 (70) 65 (60)

(55)

(2)

(2)

凍結融解試験方法

凍結融解試験方法

(JIS A 1148)

(JIS A 1148)

概要

概要

„ „ コンクリートの供試体コンクリートの供試体(10(10××1010××40cm)40cm)を水中で凍を水中で凍 結し融解する 結し融解する((AA法:水中凍結融解試験方法法:水中凍結融解試験方法))、ある、ある いは気中で凍結し水中で融解する いは気中で凍結し水中で融解する((BB法:気中凍結法:気中凍結 水中融解試験方法 水中融解試験方法))ことを繰り返し、動弾性係数をことを繰り返し、動弾性係数を 適時測定し試験開始時のものとの比 適時測定し試験開始時のものとの比((これを相対動これを相対動 弾性係数%という 弾性係数%という))を計算する。凍結融解1サイクルを計算する。凍結融解1サイクル は3−4時間で、供試体の中心部温度が は3−4時間で、供試体の中心部温度が55℃℃からーからー 18 18℃℃に下がり、−に下がり、−1818℃℃からから55℃℃に上がるものとする。に上がるものとする。 „ „ 一般に、一般に、BB法の方が法の方がAA法より厳しい試験となる。し法より厳しい試験となる。し たがって、 たがって、(1)(1)で述べたように通常はで述べたように通常はAA法の結果で凍法の結果で凍 害に対する性能照査を行うが、気象条件がより厳し 害に対する性能照査を行うが、気象条件がより厳し いと判断したときには いと判断したときにはBB法を用いるのがよい。法を用いるのがよい。

(56)

9.5

9.5

アルカリ骨材反応

アルカリ骨材反応

9.5.1

9.5.1

アルカリ骨材反応とは

アルカリ骨材反応とは

„ „

アルカリ骨材反応とは、「

アルカリ骨材反応とは、「

アルカリとの反応性

アルカリとの反応性

をもつ骨材が、セメント、その他のアルカリ分

をもつ骨材が、セメント、その他のアルカリ分

と長期にわたって反応し、コンクリートに膨張

と長期にわたって反応し、コンクリートに膨張

ひび割れ、ポップアウトを生じさせる現象

ひび割れ、ポップアウトを生じさせる現象

(JIS A 0203)

(JIS A 0203)

」と定義される。

」と定義される。

„ „

これも、コンクリート自体の劣化が主たる問

これも、コンクリート自体の劣化が主たる問

題である。種々の新しい骨材を用いようとす

題である。種々の新しい骨材を用いようとす

る場合に、障害となる劣化機構である。また、

る場合に、障害となる劣化機構である。また、

劣化が顕在化するまでに数年あるいはそれ

劣化が顕在化するまでに数年あるいはそれ

以上経過するという点も厄介である。

以上経過するという点も厄介である。

図 図 9.1 9.1 中性化による劣化進行過程 中性化による劣化進行過程
表 表 9.1 9.1 各劣化過程の定義 各劣化過程の定義 ( ( 中性化 中性化 )  )  劣化過程 定義 期間を決定する要因 潜伏期   中性化深さが鋼材の腐食発生限界に到達するまでの期間  中性化進行速度  進展期   鋼材の腐食開始から腐食ひび割れ発生までの期間  鋼材の腐食速度 加速期   腐食ひび割れの発生により鋼材の腐食速度が増大する期間  劣化期   鋼材の負食量の増加により耐荷力の低下が顕著な期間  ひび割れを有する場合の鋼材の腐食速度
図 9.3 凍害劣化過程の概念図
表 表 9.6 9.6 各劣化過程の定義 各劣化過程の定義 ( ( 凍害 凍害 )  )  劣化過程 定義 期間を決定する要因 潜伏期 凍結融解作用は受けるが劣化が顕在化しない期間 凍害発生の可能性の有無、 凍結融解回数 進展期 コンクリート表面の劣化は進行するが、鋼材腐食がない期間 凍害深さ(凍結融解回数、凍結 水量) 加速期 コンクリートの劣化が大きくなり、鋼材腐食が増大する期間 凍害深さ、鋼材の腐食速度 劣化期 コンクリートの劣化がかぶり以上になり、耐荷力の低下が顕著 になる期間 鋼材の腐食速度
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参照

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