環境規制の実効性 に関す るゲーム論的研究
福 山
敬
社 会 開発 シス テムエ 学科
(1995年8月29日受理)
Effective Enforcement Policies of Environmental Regulations:
A Lesson frOm Repeated Games
by
Kel FuKUYAMA
Departl■ent of Social Systems Engineering (Received August 29,1995)
ⅣIore efficient and effective enforcement of envirOnmental regulations MIould
enhance envirOnmental conditions around the globe by improving cOmpliance to
existing regulations and by allowing regulatory agencies to brOaden their scope
withOut increasilag their resources This research analyzes comply‐ evade decisions by
regulated firms in he context of their relationships with environmental agencies,and
clarifies how enforcement pOlicies effectively encOurage voluntary comphance,More specifically, the environmental enforcement conflct is modeled as a 2)く 2 non‐ cooperative game and the dilemmatic situation覇 ァhere the envirOnmental agency and
the regulated firna 10ck themselves intO less efficient situation is clarified.The game
is then extended to the repeated game The repeated game strategy called Revielv
Strategy is then introduced as an effective enforcement pOIcy to Overcome the
dilemma of the environmental regulation.The theoretical results sholv that under the proposed revic、v strategies the agency can induce the operator's maximum effOrt tO comply with the required envirOnmental standards.
Key wOrds : ElafOrcement, EnvirOnmental regulatiOns, Inducing compHance, Non‐ cooperative game theory, Repeated games
福 山敬:環境規制 の実効性 に関す るゲーム論的研究 1. は じめ1こ 企 業 に対 す る環 境 汚 染 規 制 は 、企 業 の環 境 へ の 影 響 を社 会 的 に許 容 で き る レベ ル に抑 制 す るた め の重 要 な手 段 で あ る。一 般 に、環 境 汚染 規制 に関す る意 志 決定 は規 制 ル ール 自体 の選 択(どの法 的 ル ール を選 択 す べ きか)とそ の執 行(その法 が 実効 性 を持 つ た め に どの よ うに執行 され るべ きか)の2つの 問題 か ら成 っ て い る と考 え られ る。環 境 規 制 ル ー ル の 選 択 問題 に 関 して は古 くか ら多 くの 研 究 蓄 積 が あ り、税・補 助 金 シス テ ム、市場 システ ム 、行 政 的介 入 等 、よ り有 効 な 規 制 シス テ ムの構 築 を め ざ した 研究 が な され て い る。 また 、 この よ うな長 年 に わ た る理 論 的 精 級 化 を背 景 に、一 昨年 の ア メ リカ に お け るCO,の排 出権 の 市 場 売 買 の 開始 に代 表 され る よ うに、実 際 の規 制 シス テ ム と して様 々な 環 境 規 制 シス テ ムが 実施 され始 め て い る。一 方 、筆 者 が 知 る限 り、環境 規 制 に関 わ る第 2 の 問題 で あ る規 制 の 執 行 問題 を あつ か った研 究 は少 な い 。 いか に社 会 的 に よ り望 ま しい環 境 規 制 制 度 が 選択 され た と して も、それ が効 果 的 に執行 され 、被 規 制主 体 に達 守 され な けれ ば 、規 制 自身 の持 つ メ リッ ト は半 減 して しま う。施 行 され た環境 規 制 の実効性 を保 証 す る有 効 な執行 シス テ ムの構 築 が不 可 欠 とな ろ う。 本 研 究 は 、企 業 に対 す る環 境 汚 染 規 制 ル ィ ル の効 率 的執 行 シス テ ム の構 築 につ い て ゲ ー ム論 的立 場 か ら 考 察 す る。 2.本研 究 の基 本 的考 え方 近年 、Avellhausl)ゃ RussdP)は伝統 的抑 止 論 に基 づ き環境 規 制 の最 適 執行 問題 を解 析 して い る。Bcckcr3) に始 ま る規 制 問 題 へ の伝 続 的抑 止 論 的 ア プ ロー チ に おい て は、被 規 制主 体(企業)の規 制 遵 守 努 力 に関 す る意 志 決 定 は 、連 守 努 力 の た め の費 用 や 違 反 に対 す る罰 金 を考 慮 した利 潤 最 大化(あるい は費 用最 小 化) 問題 の解 と して求 め られ る。従 って 、規 制主 体(政府) の最 適 執 行 レベ ル は 、規 制 執行 の た め の社 会 的 限界 費 用 が それ に よ り達 成 され る社 会 的 限界 便益 と等 し くな るよ うに決 ま る。 sch。 lz4"沖 )は、この よ うな抑 止論 的規 制 政策 へ の ア プ ロー チ に対 し、 よ り効 率 的 な 規 制 執 行 方 策 と して 繰 返 しゲ ー ム論 に立 脚 す るア プ ロー チ を提案 して い る。Sdiolzは 、環 境 規 制 に関 す る規 制主 体 と非 規 制 主 体 との 関係 は 、四人 の ジ レンマ的 状 況 に あ る と考 た。 そ して 、 この 前 提 の 下 で は伝 統 的 抑 止 論 に基 づ く規 制 執 行 シス テ ム は 、社 会 的 にパ レー トの意 味 で 非効 率 な結 果 を もた らす こ とを指 摘 した。さ らに、繰 り返 しゲ ー ム論 に お け る しっぺ 返 し戦 略(Tit FOttЪt Strategy)に 立 脚 した 規 制 執行 シス テ ム を用 い る こ と によ り、この ジレンマ的状況か ら脱却 で き、協力(規 制主体 に よる最小 限の規 制執行 の下 で の被 規 制主体 による最大限の 自主的規制遵守努力)とい う社会 的に 効率的な規制執行が達成 できることを示 した。 しか しなが ら、ある期 の規制主 体 の戦 略が被規 制 主体 の前期 の行動 に依存す るとい う Scholzの モデル は、規制主体 で ある政府 と被規 制主 体 で あ る企業 が ともに規制執行 に関す る完全情報 を持 つ ことが前提 となってい る。一般 に、環境規制 において規制主体 は 被規制主体 の規制進守努 力 に関す る意 志決定 や行動 を正確 に把握できないと考え るのが妥 当であろ う。こ の場合 、規制主体 は被規 制主体 の規 制 連守行 動を常 に正確 に監視す る必要がある。しか しなが ら、規制主 体 によ る被規制主体 の規 制遵守 に関す る行動 の完全 な把握 は難 しい。一般 に、規制主体 は被規制主体 の規 制遵守 に関す る努力 をその結果 と して起 こる環境 の 質 とい うノイズを含 んだ シグナル にて 間接 的 にモニ! タ リングす る事 にな る。 この様 な不 完 全情報 の下 で は、Scllolzの提案 した規制執行 政策 を実行す るこ と は困難 とな る。 本研究では、以上のよ うな考え方に基づ き、被規制 主体 に関す る不完全 な情報 しか得 られ ない場合 、規 制遵守努力を効率的 に誘 引す る規制 執行 システムの 理論的構築を試みる。具体 的 には、まず、規制主体(政 府)_と被規制主体(企業)と の環境規制執行 に関す る 相互関係 を非協カゲーム と してモ デル化 し、環境規 制執行 ジ レンマ とも呼ぷ ぺ き環境 規 制 の効率 的執行 を妨げ る本質的 コンフ リク トを解 明す る。さ らに、環 境規制執行 ジ レンマを不 完全情報 下 の繰 り返 しゲー ムに拡張す る。そのとき、規制主体 であ る政府は企業 の規制遵守努力 に関す る行動を直接的 には観測でき ない と考え る。そ して、政府 は統計的手法 と繰 り返 し ゲーム論 的戦 略を組 み合 わせ る ことに よ り不確 実性 下 において も企業の規制遵守努 力 を誘導 で き、社会 的に効率的な規制執行状況を誘導す ることがで きる ことを示す。 3.環境規制執行 ジ レンマゲーム 3‐
1モ
デルの構築 まず、環境規制の執行・強制 に関す る規制主体(政 府)と被規制主体(企業)の関係 を非協 カゲ ームと して モデル化す る。ここでは、生産活動の副産物 として生 じた(潜在 的)環 境汚染物質を 自己処理 し、直接環境 に排 出 してい る企業 の規 制 を考 え る。規 制主体 で あ る政府 は この よ うな企業 による環 境 へ の汚染物 の排 出を環境基準値以内 に規制す る もの とす る。本 節 で 提案 され るゲームモデルは、ShOlz→に示 され たモデ鳥 取 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第
26巻
ル の拡 張 で あ り、Ftlkuyama cι crうに よ り詳細 な解説 が与 え られ て い る。 い ま、環 境 規 制主 体 の規 制 執 行 に関 す る意 志 決 定 が 、規 制 を どの程 度 強 制 す るか とい う規 制 執 行 努 力 の レベ ル で表 され る とす る。つ ま り、政府 は、最小 の 費 用 で最 小 の干 渉 しか 行 わ な い緩 や か な規 制 執行 レ ベ ル か 、規 制 の 詳 細 部 分 まで 細 やか に強 制 す る とい う厳 しい規 制執行 レベ ル か を戦 略 とす る。まず、政府 が緩 やか な規 制執行 を選 択 す る と仮 定 しよ う。その と き、緩 や か な規 制 の 執 行 の 下 で は 、規 制 を 違 反 して い る企 業 の規 制遵 守 努 力 の 明確 な把 握 は難 しく、よっ て 、そ の と き企 業 は規 制 遵 守 の 努 力 水 準 を下 げ る誘 因を持 つ。この企 業 の努 力低 下 の イ ンセ ンテ ィブを考 慮 す れ ば 、政 府 は厳 しい規 制 執 行 を行 うか も しれ な い。しか しなが ら、企 業 が す で に規 制遵 守 に最 大 限の 努力 を行 って いれ ば 、この厳 しい規 制 執行 に よって規 制 遵 守 努 力 の イ ンセ ンテ ィブが 失 わ れ て しま うか も しれ な い。結 果 と して 、政府 、企 業 と も緩 や か な環境 規 制 執 行 の下 で の 自主 的規 制 遵 守 努 力 とい う協 力 的 な状 態 を達 成 で きな くな る。 この よ うな環 境 規 制 執 行 政 策 に関 す る戦 略 的 な コ ンフ リク トの主 要 な構 造 は 、図1に示 す`環境規制執 行 ジ レンマ'とい う2×2非協 カゲ ー ム と して モデル化 され る。本 ゲ ー ム に は 、環 境 規 制 を行 う公共 主体(政 府)と被規 制 主体 で あ る民 間事業 主(企業 )の 2人のプ レイ ヤーが仮 定 され る。政府 の役 割 は、環 境 の質 に関 す る義 務 を企 業 に効 率 的 か つ 効 果 的 に履 行 させ るこ とに よ り、社 会 的 厚生 を高 め るこ とで あ る。一 方 、規 制 され た企 業 は規 制 の 下 で そ の利 潤 を 最 大 にす る こ とを 目的 とす る と考 え る。 本 モ デ ル に お い て 、政 府 は2つの極 端 な戦 略 を有 す る と考 え る。1つは 、規 制 を最 大 限 に強 い る`厳し い執行'戦略 で あ り、 も う1つは、最 ′Jヽ限 に執 行す る (緩 や か な執 行'戦略 で あ る。 こ こで 、厳 しい執行 と は、広 範 的 な検 査 や 、告 知 な しの立 入検 査 、ル ール の 厳 しい解 釈 、即 時 の起 訴 や その他 様 々な法 的・行 政的 手 段 を含 む 。 この よ うな厳 しい規 制 執 行 戦 略 を実行 す るた め に は、政 府 は企 業 を くまな くそ の監 視下 に おき、すべ て の可能 な連 反 を調査 し、法 の一 語一句 を 詳細 に実行 す る必 要 が あ る。一 方 、緩 やか な執行戦 略 は、全 く正 反 対 の規 制 執行 ス タイル を表 して い る。そ こで は、企 業 は政府 に よ る最 小 限 の検 査 。モニ タ リン グの 下 で あ る程 度 の 自 由裁 量 を与 え られ て い る。 こ の政 府 に よ る緩 や か な 執 行 戦 略 の 下 で は、高 コス ト な検査・監 査 は ほ とん ど行 われ ず、規 制違 反 は も し平 凡 あ るい は さ さい な もの で あれ ば許 容 され る。 一 方 、環 境 規 制 執 行 ジ レンマ に お け る企 業 の行 動 違 反 (1-C) bF :違反 に よ る利 洞 CF :厳 しい規 制 に よ って 生 しる企 業 の費 用 ―, :連反 に対 す る患 罰 bA :違反を取 り締 まることによる利得 ―cス :厳しい取 り補 ま りに要す る費用 ―ど :規Bl達反 による社会的ダメージ 図-1:環
境規制執行 ジ レンマ は、規制を遵守す る努力の レベルで表 され るとす る。 本2×2ゲ
ームにおいて は この努カ レベルは2つ
の 両極 的な戦 略で表 され る。1つは規 制で求 め られ た 基準 を遵守す るため最大 限の努 力を行 うとい う戦 略 (`遵守'戦略)で あ り、もう 1つ は、規制遵守の努力を 最小 限にとどめ るとい う戦略(`違反'戦略)で ある。匙 守戦 略を用 い る企業 は汚濁排 出物処理施設 の頻繁 な 自己検 査 や新処理技術 の開発 への投資 な ど、要求 さ れた規制値 を遵守す るための最大限の努力を行 う。一 方、連反戦 略を選択す る企業 は、上述 のよ うな汚濁処 理施 設へ の支 出や規制遵守 の ための社員教育 等の努 力を最小 限にとどめ る。従 って、規制基準 を破 る可能 性 も高 くな ることにな る。 図 1に 与え られた よ うに、 この2×2環
境 規 制執 行 ジ レンマゲームには、`協ガ 、`搾取'ギ抑止'ギ対立' の4つの結 果 が ある。図 1に お いて4つの結 果 それ ぞれ にその ときのプ レイ ヤーの利得 が付 され て いお り、カ ッコ内の第 1項 目が企業 の利得であ り、第2項 目が政府 の利得 である。`協力'が利得(0,0)を持つ と 考 え、他 の結果 の利得 を相対 的に与えた。 図 1に は、また、結果 の費用・便益 を表す各パ ラメ ータが与え られている。ここで、すべての費用及 び便 益 のパ ラメー タは正で あ ると仮定す る。プ レイヤ ー の4つの結果 に関す る選好関係 のい くつか は費用及 び便益 のパ ラメータが正 とい う条件 によって決定 さ れ る。た とえば、一cF≦0及
び 一cス ≦0よ
り、企 業 、政府 と も、1抑止'より`協力'を選好す ることにな る。さ らに、企業及 び政府 は`対立】よ り`協力'を選考 す ると仮定す る。つ ま り、次 の不等式を仮定す る。bF CF p<0
かつ bスー伽 一J<0 (4)
言 い換 えれ ば、政府 は対立 よ り最小 限の規制執行 の 下での 自主 的な規制遵守を望 み、また、企業 は政府 に よる厳 しい規制執行下 で最小 限の規制連守努力 を行 うよ り緩 やか な規制執行 の下 で 自主 的 に遵守努 力を掛
t c,
級 や か な 執 行福 山敬:環境規制 の実効性 に関す るゲーム論的研究 行 う方 を 選 好 す る。 この2つの仮 定 は多 くの場 面 で 妥 当で あ る と考 え られ る。 環 境 規 制 執 行 ジ レ ンマ ゲ ー ム に お い て 、企 業 及 び 政府 の戦 略 的行 動 は、それ ぞれ意 志 決 定変 数c及びc で表 され る。cは企 業 が 遵 守 を選 択 す る確 率(よって (1-c)は違反 を選 ぶ 確 率)であ り、一 方 θは、政府 が 厳 しい勢行 を選 ぶ確率(よって
(1-C)は
緩 やか な執 行 を選 ぶ 確 率)であ る。 よ って 、企 業 及 び政 府 それ ぞ れ の期 待 効 用y′(q9) 及 び[rA(θi C)は以 下 の よ うに計算 され る。 LIP(ci C)=(bF ,9)(1-C)一 CF C (2) 1/A(Ci C)=(bス(1-C)一CЙ}9-'(1-C)(3)
企業及 び政府 に よる合理 的行動 はそれ ぞれ式 (2)及 び 式 (3)で 与え られ る期待効用の最大化 と して規定 され る。 3‐2均
衛解 環 境規 制 執行 ジ レンマ ゲ ー ムの均衡解 を求 め る。 ナッシュ均衡(c本 ,c・)とは、1)企 業の期待効 用 つ子(q9諄) を最大 にす る戦 略 c求=c及
び2)政
府 の期待効 用 r/F(9iず)を最大 にす る戦 略 c本=cの
組 で あ る。明 らかに、環境規制執行 ジ レンマは、囚人の ジ レンマや ,弱虫ゲーム といった対称ゲーム と違い、プ レイヤーの 選好は非対称的で ある。囚人 の ジレンマにおいては、 プ レイヤーの個人合理性 に基づ く行動 は、そ こに互 1いが協 力的であ る とい うよ り望 ま しい結果が存在す │るに も関わ らず、ナ ッシュ均衡解 はパ レー トの意味で 不効率 な結果 にな るとい うジ レンマ的状 態を もた ら す ことが知 られてい る。ここで示す よ うに、同様の ジ レンマが環境規制執行 にかかわ るゲームに も発生す ることが示 され る。 Fttkuyaina cι cr 9は、本 ゲームが以下の3通りの均 衡解 を持つ ことを示 した。 1・皆
<1,(C・,9求)=0,0),(峠
,鳴)=(bF, →2.署 >1か
つ午
>1,(Criと占
)=(0,1)i端
>1か
っ午ミ時げド
引却一
番
1彿
i叫
,鳴)=ド
上
,一等
) ここで ア ス タ リス クは ナ ッシュ均 衡戦 略 を示 して い る。各ケ ー スの境 界上 を除 き、本 ゲ ーム は唯― の均 衡 解 を持 つ 。 は じめ の2つの ケ ー ス は純 粋 戦 略 を均 衡 解 と して 持 ち、最 後 の ケ ー ス3の均 衡 解 は 混 合 戦 略 となって いる。それ ぞれの均衡解 は以下のよ うに解釈 す ることがで きる。 1.政 府の環境規制の厳 しい執行 のための費用が規 制違反 を取 り締 まるこ とによ る社会 的便益 を上 回ってい る。政府 は常 に緩やかな規制執行を行 い (支配戦 略)、 企業 は常 に最小の規制連守努力をお こな う。 2.規制違反 を取 り締 ま る ことの社会 的便益が その ため の厳 しい規制執行 に要す る費用 を上 回 って い る。また、企業の規制遵守努力を最小 にとどめ ることに よ る利益 が、違反 が取 り締 ま られ た と きの費用(ペナルティー)を上 回ってい る。企業 は 常に最小 の規制遵守努力 しか行わず(支配戦 略)、 政府 は常 に厳 しい規制執行戦 略を とる。 3.違反 を取 り締 ま ることの社会 的便益 が厳 しい規 制執行 の費用を上回ってい る。また、企業 が直面 す る規 制違反 が発見 され る こ とよるペ ナル テ ィ ーが、規制連守努力を行わない ことによって生ず る利益 を上回ってい る。政府 は ときに規制を厳 し く執行 し、ときに緩 やか に執行す る。一方、企業 は ときに最大 の規 制遵守努 力 を行 い、 ときに最 刀ヽの努力 しか行わない。 第1番目のケ ースは実 際の規制執行 問題 においてほ とん ど発 生 しない と考 え られ る。政府 はそれ 自身が 規制を執行 す る誘因を持たず、従 って、ゲームはいか な るジ レンマ も持たず、政府 の規制の無執行の下、企 業 の最小 限の規 制遵守努力 とい う状 態 とな る。ケー ス2及
び3は
実 際の環境規 制問題 において発生す る と考え られ る。この2つのケースにおける違いは、企 業の`規制違反のインセンティブ'を表す項bF/Pで 表 される。つまり、もしペナルティーPが
相対的に小 さければ この規制違反のイ ンセ ンティブは高 く、従っ て企業 は政府 の厳 しい規制執行 に も関わ らず最小の 連守努 力を選 び、ゲ ームは`対決'と な る。 も し罰が 相対 的 に大 き く厳 しい場合 、 この企業 の規制連反 の イ ンセ ンテ ィブは低 くな り、政府のい くらかの規制執 行努力(0<ず <1)に
対 しい くらかの規制遵守努力 (0<C章<1)を 行う。言い換えれば、
bF/P<1と
い
う、ペ ナル テ ィー と企業利 潤 の関係 を実現 す る こ とに よ って政 府 は政 府 の(最大 で は な い が)規制 遵 守 努 力 を導 出す る こ とが で き る。 しか しな が ら、 いか な る均 衡 解 も企 業 が 最 大 限 の 規 制 遵 守 努 力 を行 い(cH=1)、 政府 が 緩 や か な 規 制 の執 行 を行 う(c浄=0)と
い う結 果 を持 た な い。つ ま り、利 得 (0,0)を 持 った`協力'とい う結 果 が ゲ ー ム に鳥 取 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 26巻 含 まれ て い るに も関 わ らず、ゲ ー ムの均衡 解 は常 に両 方 の プ レイ ヤ ー に 負 の利 得 しか もた らさ な い。言 い 換 えれ ば 、本 ゲ ー ム に お け るナ ッシュ均 衡 解 は`協力〕 とい う結 果 に対 し常 にパ レー トの意 味 で劣 って い る。 次 節 で は 、環 境 規 制 執 行 ジ レンマ を無 限繰 り返 し ゲ ー ム に拡 張す る。これ に よ り、よ り効 率 的 な規 制方 策・検 査施 策 を見 いだ そ う とす る もの で あ る。一 般 的 に、環 境 規 制 主 体 は企 業 の 汚 濁 排 出 を継 続 的 に規 制 す るの が普 通 で あ ろ う。つ ま り、環 境規 制主 体 と被規 制企 業 の 関 係 は長 期 的 な もの と考 え られ る。 ゲ ー ム 論 的 にい え ば 、政 府 と企 業 の 間 で の 規 制 ゲ ー ム は繰 り返 され る といえ よ う。その よ うな拡 張 され た相互作 用 の 中 で 両 主 体 は未 来 に相 手 が 選 ぶ だ ろ う戦 略 や期 待 され る結 果 な どを考 慮 しな が ら戦 略 を 選 ぶ こ とに な る。
4.繰
り返 しゲ ー ムヘ の拡 張 4‐1繰
り返 しゲ ー ム モ デ ル 長 期 的 に継 続 す る相 互 関係 にお い て は意 志 決 定 主 体 は短 期 的利 益 の み な らず長 期 的 な(未来 の)見込 み も考 慮 す る と考 え られ る。従 って 、繰 り返 しゲ ー ムに お け る非近 視 限 的 プ レイ ヤ ー は 自分 の現 在 の戦 略 に 対 す る相 手 の 将 来 の反 応 や それ に よ って 決 ま る,将来 の結 果 を予 期 しな が ら戦 略 を選 ぶ こ と とな る。従 っ て、ゲ ー ムの プ レイ ヤー は抑止 力を持 った協 定 や契 約 を結 ぶ こ とな く協 力 的 に行 動 す る とい う暗黙 の結 託 (1主主phdt conusion)に賛 同す るイ ンセ ンテ ィプ を持 ち 得 る。 い ま「 を前 節 にて与え られ た1期だ け プ レイ され る環境 規 制執行 ジ レンマゲ ー ム と しよ う。この ゲ ー ム が 非 協 力 の枠 組 み で行 わ れ る とき、前 節 で 与 え られ た1期ゲ ー ムの いず れ か の ナ ッシュ均 衡解(ず194)が 実 現 す る。 この と き環 境 規 制 ジ レ ンマ ゲ ー ムが 無 限 に繰 り返 され る とい うゲ ー ム は「∞=(F。 〕FI,・ )と 記 述 で き る。 こ こで 、Γ`=「
は せ期 に行 わ れ るゲ ー ムで あ る。 い ま、ゲ ー ム「 が す で にT回
行 わ れ た と仮 定 し、 そ の ときの 各 々の ゲ ー ム「 ι(ι =0,1,―・,T-1)の
結 果 を 傷=(Q,働
)と表 す。本 繰 り返 しゲ ー ム のT
期 間 に お け る これ まで の ゲ ー ム の結 果 の 集 合 れT=
(οo,οl,…」οT-1)をT期
に お け るゲ ー ム の履 歴(his― tory)と 呼 ぼ う。繰 り返 しゲ ー ム に お け るプ レイ ヤー は この ゲ ー ム の履 歴 につ いて 完 全 あ るい は不 完 全 な 情 報 を持 ち うる。T期
に お け るプ レイ ヤ ー の持 つ 情 報 を そ の プ レイ ヤ ー の 情 報 の履 歴 (inrOi matiOn his― tory)と 呼 び 、企 業 及 び政 府 に対 しそ れ ぞ れ ん干 及 び ん努 と記 そ う。 この とき、繰 り返 しゲ ー ム 中で企 業及び政府は「Tにおいて各々の情報の履歴 ん子ある いは ん努に基づき戦略を選ぶこととなる。従って、繰 り返 しゲームにおける企業及び政府の戦略、それぞ れ σ′及び σЙとは、繰 り返 しゲームの各サブゲーム 「 ダ =(FT,FT十 二,・),T=11…
・│こお ける、持 ち うる 情報 の履歴 ん吾及 び ん努か ら実際の戦 略行動 η 及び cTへの写像であるといえ る。 も しゲームが完全情報 ゲー ムで あれ ば、企業及 び 政府 はゲーム「Tに
おいて全 く同 じ情報 の履歴 ん掛=
れ努=んTに 基づいてその戦略を選ぶ こととなる。完全 情報下では、ゲ ームの プ レイ ヤーは相 手 の プ レイ ヤ ーの協調的行動か らの乖離を直 ちに知 ることができ る。有名 な因人の ジレンマ においては トリガ ー戦 略 や しっぺ返 し戦略(Tit―fOr_Tat Strategy)と 呼ばれ るような戦 略によって相互 的な協 力 に関す る暗黙 の結 託 が達成可能であることがわかってい る。この とき、双 方 に とって望 ま しい`協力'とい う結果が繰 り返 しゲー ムの(ナッシュ)均衡解 となる(たとえば、Friedman9、 Axerlod10)を参照)。 環 境規制 において、規 制主体 で あ る政府 の戦 略 は 被規制主体 であ る企業 へ の規 制執行 の厳 しさで ある のに対 し、企業の戦 略は(政府 にで はな く)環 境 に対 す るア クションである。 したが って、被 規制主体 であ る企業が規制主体 であ る政府 の選択 した戦 略 を ほ と ん ど無償 に入手 で きるの に対 し、政府 は企業 の戦 略 に関す る情報 を ほ とん ど持 ち得 な い と考 え られ る。 このよ うな非対称情報構 造の下で は、企業 の規制違 反 を抑止す るため、モニ タ リングや検 査 等 の情報 収 集活動をおこなわ ければな らない。多 くの場合 、環境 規制 における被規制主体 の行 動 に関す るモニ タ リン グは規制主体 にとって高費用で あ り、その他 の実行上 の困難性を ともな う。環境規制主体 は、限 られた資源 しか持 ち得ず、その うえ、入手可能 なデータは しば し ば検査 の不確実性 や環境 自身 の持つ変動 によ り影響 を受 けてい ると考え られ る。この よ うに、政府が不完 全 な情報 しか持 ち得 ない場合 、繰 り返 しゲ ー ムに立 脚 した規制執行戦 略に よ り被 規 制主 体 で あ る企業 と の間に協力 とい う暗黙の結託 omplidt COludon)を 構 築す ることが困難 とな る。 いま、企業の戦 略を直接的 に観測 できない政府 は、 時点 とにおいて企業 の戦 略行動 に(部分 的に)依 存 し てい る環境の質に関す る計量値 印 を観測す ると しよ う。この観測によ り検 出され る環境の質 は、また、検 査時のエ ラーや環境 自身 の確率 的変 動 等の外生 的要 因によって も影響 されてい るとす る。この環境の質の
福 山敬:環境規制 の実効性 に関す るゲーム論的研究 観測値 を以下の式で表現 で きると しよ う。 ?ι
=9(Ct,a) (4)
ここで 働 は ゼ期の企業の規制遵守の努カ レベル(鏡=
0は違反:Q=1は
遵守)で あ りβ!は 外生的 リスク要 因を表す ラ ンダム変 数で ある。また、E?(q,a)=cι であ ると仮定 しよ う。 このよ うな環境規制主体 による不完全な検査の も とで は、時点 TIこお け るゲ ームの履歴 は この検 査 結果 を含 む こととな る。つ ま り、んT=TT,ど
T,9T) で あ り、 こ こでGT =(coi句
ミー・,CT_1)ヽ βT =
(Co,91,一 ,CT-1)ヽ9T=(“
,印,・…・?Tl)であ る。ゲー ムに関す るすべての情報を持つ と考え られ る企業 は、 時点Tに
おいて完全 な履歴 ん吾=んTを
知 ってい る。 一方、政府 は 自身の過去 にとった戦略及び一連の過去 の環境検査値 しか知 り得ず、よって時点Tに
おいて 履歴 ん努=(助
,9T)を
持つ こととな る。規制主体 は この不完全 な情報の履歴 ん努に基づいて戦略を選ぶ こ ととな る。 い ま、プ レイ ヤ=の
目的を正規化 され た期待効 用 の最大化 と規定 しよ う。ここで、正規化 された期待効 用 とはプ レイヤーの各期 の利得 の現在価値 の総和 か ら成 ってお り、企業及 び政府 に対 しそれぞれrF及び ヶ'ス の割引率で割 り引かれた もの とす る。割引ファクター」=1/(1+,'│)及 び
,=1/(1+,・ 4)を用いれば
企 業L/ri(び)およ び 政 府 の効 用t/A(γ)1よ以下 の よ うに 表 され る。 [アF(び)=(1-び
)Σ∫ιEιIFι(5)
L/ス (守)=(1-γ
)Σ力!Eυれ(6)
こ こで [/Fr及 び C/Afは それ ぞれ ど期 にお け る企 業 と 政 府 の利 得 で あ る。割 引 フ ァクター び及 び γ は0≦ び,γ ≦1の実 数 で 、Jが1に近 けれ ば割 引率,ヽFは
小 さ く、企 業 は将 来 の利 得 を現 在 の それ と同等 に評価 す る こ とを表 す。一 方 、も し びが ゼ ロに近 けれ ば 、割 引率 ″Fは
大 き く、企業 はその将来の和 得 を現在 のそれ に 比べて重要 でないと考 え る。政府の立場か ら割引 ファ クター γに対 し同様の議論が成 り立つ。 正規化 ファクター(1-」)及 び(1-γ)は 割引期待効 用 に ∫及 び γ につ いて一様 に上界を与え る もので、 これ によ り以下の収束特性を得 る。 jⅢ卜t/F(の =どJLI羞
Ettι(7)
つ ま り、びが下方か ら 1に 近づ くとき、企業の効用は 無 限繰 り返 しゲ ーム全期 を通 しての平均利得 に近づ く。ここで、ゲームのすべての実現可能 な効用の集合 が境界値 を含むようにす るため、割 引ファクター びが1で
あ る場合の無 限繰 り返 しゲ ーム にお け る利得 を 定義す る必要が あろ う。企業 の この び=1の
ときの 期待効用 を以下の よ うに定義す る。 鈴(り=撫
弓 言E嗽
⑪ これは、すべての有界な数列(υ子1)に対 して定義で き かつ有 限である。政府 に対 す る γ
=1の
ときの限界 利得 も同様 に定義で きる。 無 限繰 り返 しゲームの一般 的 な均 衡解 は通 常使 わ れ るゲームの均衡解 と同様 に定義 され る。つ ま り、無 限繰 り返 しゲームの均衡解 は、ゲ ー ム に参加 して い るいかな るプ レイヤー も一 方的 にその戦 略 を変更す ることによってゲームによ る利 得 を改善 す ることが で きないよ うな戦 略の組 み合わせ で あ る。無 限に繰 り返 され る環境規制執行 ジ レンマゲ ー ムの 1つ の可 能 な均衡解 は 1回 限 りの環境規 制執 行 ジ レンマゲー ムのナッシュ均衡戦略(ず,c本)の 無 限繰 り返 しであ る。 そ こでは、企業 、政府 と も負の利得 しか得 られない。 4-2レビュー戦略 本節 では、以上 に定式化 され た繰 り返 しゲ ーム上 に定義 され る有効 な環境規制執行戦 略 と して`レビュ ー戦略'を導入す る。Radnerll)は、プ リンシパル ーエ ー ジェン ト関係 にある2つの経済主体 間において、パ レー ト効率的契約履行状 態 を もた らす金銭 支払 い戦 略 と して レビュー戦 略を提言 してい る。本 節では、こ の レビュー戦略を環境規制執行 問題 に適用 し、規制主 体 による検査が不完全 な とき規 制主 体 と被 規 制主体 間の相互協調を誘導 す る効率 的 な規 制執行 方策 と し て設計す る。 ここで、繰 り返 し環境規制執行 ジ レンマゲームは、 完備情報 の下で プ レイ され ると考 え る。また、企業 は、政府が以下 に説明す る レビュー戦 略を用 い ること を知 っているとす る。まず、 レビュー戦 略を用 いる政 府 は、企業 の行動 をあ る一定期 間検 査 し、その検査 データの集計値 によって厳 しいか あ るいは緩 やかな 規制執行戦 略を とるか を決定す る。検査 を行 う期 間 を レビュー期間 と呼び、 これ は連続 した 兄 期か ら成 ってい る。レビュー戦略を構成す るもう1つの期 間を 懲罰期 間 と呼び、連続 した ″ 期か ら成 る とす る。政 府 は レビュー期 間 において は必 ず緩 やか な規 制 の戦 略を と り、また懲罰期 間では 1期 ゲー ムにお けるナ ッ シュ均衡戦 略を選ぶ。 図2は
、政府 の レビュー戦 略 を表 して い る。 ここ で、横軸は時間である。この時間軸 の左端 をスター トN: 政府の戦略 無 や か な 執 行 ナ ッ シ ュ均 衛 戦 略 鳥 取 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 26巻 213 た よ うに、レビュー戦略を用い る政府 は企業の戦 略の いかん に関わ らず懲罰期 間において はすべて の期 で 1期 規制執行 ジレンマゲームのナッシュ均衡戦略(cF) を選択す る。ゆえ に、このよ うな政府 の無条件 のナ ッ シュ戦略 に対 し、企業 もまた 1期 規制 ジレンマゲーム のナッシュ均衡戦略(c,)を最適反応 と して選択す るこ とにな る。結局、懲罰期 間においては、毎期、 1期 規 制執行 ジ レンマゲ ームにお け るナ ッシュ均衡 (c収 ,c・ ) が実現 す ることになる。 政府 が レビュー期 間の任意 の時点で緩 やか な規 制 執行戦 略
(c=0)を
用 いなか った場合 の企業 の反応 戦略を特定す る必要が ある。政府 が レビュー期 間にお いて緩やか な規制執行戦 略を とらなかった場合、企業 は当該 レビュー期間の残留期及 びその後 の追加 的 ″′ 期 間にわたって、 1期 ゲームのナ ッシュ均衡戦 略を と ると規定す る。 したが って、M′ が企業 の戦 略 σスの パ ラメータとなる。 政府 の レビュー戦 略 σ′を定式化す る。 レビュー期 間 にお いて、政府 は企業 の行 動 をその結果 と して起 こる環境の質 ● を検査す る。 レビュー期間の期末 兄 において、政府 は 自身 の戦 略行動 β.及
び レビュー 期間中の検査データ9R={rFO,91,' ,微 -1)からなる 情報の履歴 ん雰を持つ。政府はこの環境の質のデー タ σRが
企業による規制違反によるものか否かを判 断する。 いま φを レビュー期間後 に企業がテス トに不合格 とな る確率 とす る。明 らか に、φ は レビュ=期
間 における企業の規制連守努力
(c。,―・
,CrP」1)の関数であ
る。懲 罰期 間の それ ぞれ の期 にお いて は、1期ゲ ー ム の ナ ッシュ均 衡 (c・,ず)が成 立 し、懲 罰 期 間 に お け る 各期 の企 業 及 び政府 の期 待効 用 は それ ぞれ 峰<0及
びtrЙ<oと
な る。 第 1周 期 日でのすべ ての過 程を所与 と した ときの 第2周期以降の企業の割引期待効用はr/F(び)と な る。 従 って、企業 の期待効 用 t/F(j)は次 の等式 で表 わ さ れ る。 t/Fω)=(1-J)Σ
′
Er/Fι 次 の レ ピ ュ ー 期 間 図-2:政
府 の レ ビュー戦 略 に、環 境規 制執行 ジ レ ンマゲ ー ムが繰 り返 され る。レ ビュー戦 略 を用 い る政府 は、まず 環境 の質 を 見期 間測 る ことに よ り企 業 の行 動 を検 査 す る(レビュー期 間)。 この レビュー期 間 中、政 府 は各 期 の検査 結 果 に関わ ら ず 常 に緩 や か な規 制執 行 戦 略 を と る。 レビュー期 間の 終 了期 に、政府 は企 業 が そ の レビュー期 間 に規 制を遵 守 したか否 か を判定 す る。この 判定 は 当 レビュー期 間 中 に集 め られ た検 査 デ ー タ に対 す る統 計 テ ス トに基 づ く。も し、政府 が企 業 が少 な くと も ユ度 で も規 制違 反 を選択 した と判 断 す る と(つま り企業 が テ ス トに不 合 格 に な る と)、 政 府 は続 く れr期
間 、前 章 にて導 入 した1期の環 境 規 制 執 行 ジ レンマ ゲ ー ム にお け るナ ッシュ均 衡 戦 略 を選 択 す る(懲罰 期 間)。 この1つの レ ビュー期 間 と1つの懲 罰 期 間か らな る期 間を レビュー 戦 略の1周期 と呼ぶ 。(ただ し、企業 が 試験 に合格 し た場合 、そ の周 期 は懲 罰期 間 を含 まず、1つの レビュ ー期 間 の み か ら成 る こ とに な る)。Ar期
連 続 の ナ ッ シュ均衡戦 略か ら成 る懲 罰 期 間 の後 、政府 は再 び無条 件 に緩 や か な規 制 執 行 戦 略 を 兒 期 間選 択 す る。 これ が第2番目の レ ビュー期 間 とな る。 一 方 、も し政府 が企 業 は レビュー期 間 中規 制 を遵守 し続 けた と判 断 す る と(つま り、1企業 が テ ス トに合 格 す る と)、 政 府 は懲 罰 期 間 に は入 らず、第1回ロ レビ ュー期 間の後 、直接 、第2番目の レビュー期 間 に入 る。 この場 合 、政 府 は環 境 の質 を検査 し続 け、かつ緩 やか な規 制執 行 戦 略 を使 い続 け る こ とに な る。 この レ ビュー期 間 と懲 罰 期 間 の繰 り返 しが 際 限な く続 く。政 府 の レ ビュー戦 略 は 、 レビュー期 間長R及
び懲 罰期 間長Arとい う2つのパ ラメー タを持つ こと にな る。 一 方 、企 業 の戦 略 σFは
、以 上 に記 した政府 の レビ ュー戦 略 に対 す る最 適反 応 と して規定 され る。先述 し 式(9)を rrF(び)について解 くことにより以下を得る。 Щ の=
(10)鈴
″ + R +峰
叫
尼
潮
卿
卜
″
︱ 一 φ 0 キ +同様 に、政府 の割 引期待効 用C/4(γ)は 次 の等式を満 足す る。 t/4(γ
)=
よ って 同様 に政 府 の効 用 関 数 と して 次 式 を得 る。 yス (γ)=
(1-γ)Σ是ろ
lγ!E[/4`十うび
R-1(1_びlr)[転 1_φγR+〃_(1-ψ
)γR (12) φは政府が企業 に対 しレビュー期 間中に規制違反が あった と判断す る確率 で あ る。この レビュー期間後 に 執行 され る続計テス トを以下 の よ うに定義す る。(拿
暮
格Ξ
罫景
ll身│≧Ξ
色
1琴三
:2と
魯
ここで 、9,≡ βMl,れ)l=1は
企 業 が サ期 に お いて 規 制遵守 を選 択 した とき(晩 =1)、 そ の期 の環 境 の質 に関 す る検 査 デ ー タ の期 待 値 で あ る。 ま た 、Bは
統 計 テ ス トに お け る測定 誤 差 許 容 項 で あ る。以 上 の よ うに特 定 化 され た統 計 テ ス トは次 の よ うに解 釈 で き る。も しあ る レ ビュー期 間 にお け る環 境 の質 に関す る デ ー タの集 計値(単純 和)が(測定 誤 差 許 容 項Bを
含 む)求め られ た環境 水 準 よ り良 い とき、企業 はテ ス ト に合 格 し、 そ うで な けれ ば不 合 格 とな る。 以上 の統 計 テ ス トの定 義 よ り、φは以 下 の よ うに与 え られ る。q=1を
式 (13)に 代入す ることによ り、 レビュー期 間中常 に規 制遵守 の戦 略を選択 した企業 のテス トに 不合格 とな る確率 φθは以下のように与え られる。ψ
θ
=Prob(冨
?(1,a)≦詈ザ
ー
β
} (14)
以上、環境規 制執行 ジ レンマの無 限繰 り返 しゲー ムにおける レビュー戦 略(σ′!σ■)に関す る定義が終 了 した。続 く節では レビュー戦 略の特性 とその有効性 を詳細 に検討 し、また、効率的均衡解の存在を示す。 福山敬 :環境規制の実効性に関するゲーム論的研究δ
学}呼 。
)=
4‐3均
衡 分 析 本 節 で は、 レビュー戦 略 の特 性 と レ ビュー戦 略下 で の均 衡 の 存在 を導 く。政府 の レビュー戦 略 に対 面す る 企 業 は、式(10)にて 与 え られ る効 用 を最 大 にす る よ うに戦 略 を選 ぷ 。こ こで 、企 業 は レビュー期 間で の戦 略 のみ を決 定 す れ ば よい。 企業 の選択 可能 な戦 略 の1つは、レビュー期 間 に お い て協 調 戦 略 、つ ま り最 大 の規 制連 守 努 力戦 略 を と り続 け る こ とで あ ろ う。 も し企 業 が 遵 守ct=1を
常 に選 択 す るな らば 、企 業 の効 用 ιIP(j)は以 下 の よ う に与 え られ る。ι
′
F(∫)=
(1-び')こケ十φσびR-1(1_jM)ι「 = 1_φσび月十Ar_(1-φ
C)びR ここに、φCi式(14)に与え られたよ うに企業が遵守 の みを選択 した ときにテス トで不 合格 となる確率 、ιIF: 政府、企業両 プ レイヤー ともに協力的(パレー ト優位 な)戦 略を取 った ときの企業 の利得である。このよ う な常 に協 力的な戦略 を とる企業 の効 用 は以下 の性質 を持つ ことが示せ る 性質1£み +ヂ 〃眸
兌キφθ″ 割引 ファクター びが 1に 近づ くとき、協力的企業 の 効用は割引な しの期平均利得 に収束す る。この とき、 1周 期の期待期 間長 は(兄+φ°Ar)と な る。従 って、 式 (16)の 右辺は LrF(レ ビュー期 間に獲得す る利得) とy,(懲
罰期 間に獲得す る利得)の,それぞれ対応す る各期間の期待長 による重みづ け平均で与え られ る。 ここで、環境規 制の ジ レンマ におけ るパ レー ト効 率 的結果 は協力 (0,0)で ある。協力 においては企業 及 び政府 の取 る戦 略 はそれ ぞれ連守(c=1)及
び緩 やかな規制執行(e=o)で
あ る。よってt/A=r/F=0
であ る。 レビュー期 間の期 間長 £ を、ペ ナルテ ィー期 間及 び統計 テ ス トの誤差 容認項を相対的に測 るための単 位 と し、以下 の よ うに定義す る。 ヽ ゝ ︱ タ ー ︲ γ 転 守 + β 一胸
▼
左
蜘
< 一 れ胸
一
ア
を
画
P 〓 φ 〃=α
£,α>0,B=侃
牝 う>針:<ρ
<i
(17) (18) ここで、環境の不確実性 を表す ランダム変数 β′(を=
1ュー,∞)は
独立 かつ 同一 の分布 を持 つ と仮 定 しよ う。企業 が遵守を選択 した ときの環境の ランダム変数 の分散 を以下の よ うに定義す る。鳥 取 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 26巻 この とき、レビュー期間における環境の質データの和 の分散 は次 の よ うにな る。
陥
ど
(雹
項
1,a)=Rん
°
¢
0) よって、チェビシェフの不 等式 よ り、以下 の不 等式を 得 る。 醐(1哲
仰 ,何 一詈 ゲ 世 β}≦ →ま争=鵬
(21) こ こで 、ψCは
式(14)にお い て以 下 の よ うに定 義 さ れ た。ψ
C=PrOb(壱
ご
項
1,β!)≦壱
ご
ず
一
∂
) (14)
従 って、φθについて以下の第 2の 性質が得 られ る。 性質2ば≦
洗
側
つ ま り、■が際限な く増加す るとき、φCが
ゼ ロに 収束す る。言 いかえれば、(誤差容認項一定 の下で)レ ビュー期 間長 を増加 させ ることによ り政府 は規制連 守 して い る企業 を規制連反者 と判断す る可能 性 を際 限な く減少 させ ることができ る。 よって 、式 (15)及 び 性質2よ り、(固定 されたo及
び うの下 で)び が1 に漸 近 す る と き 、 こF(び)は rPに関 して 一 様 に[rFf(1) に収 束 す る こ とが わ か る。呼
(1)=絲 oり
特 に、任 意 の ε>0に
対 し、兄≧亀 かつび≧先のとき
[下(び)>一
ε (24)
を満たす 寅じ及び 先 が存在す る。表記方法を変え、 昨(」〕兄)を 企業 の最大割引期待効用 と し、ψ(び,■)を その ときの企業のテス トに不合格 となる確率 とす る。 その とき、以下 の第 1の 補題を得 る。 補題1す
べての正の実数 ε<―
夏与 に対 し、び≧ 先 が以下を満足す るよ うな聞値RE及
び びε<1が
存在 す る。υ
れり
>一ニ
ψ(∫】駐 )<ε (25) (26) 証明は付録 に示す。もし、レビュー期間が十分長 く、 また、企業 の割引 ファクターが十分大 きければ、企業 の効用は効率的 レベル0(=υF)に近似す ることを表 している。一方、政府 に関 して以下 の補題 を導 出でき る。、 補題
2政
府及 び企業 の割 引 ファクターがそれ ぞれ γ 及び びの とき、期 間長 £ の レビュー期 間の下での政 府の期待効用を し軌(7,び,Dで
表す。そのとき、すべ ての ε>0に
対 し以下を満たす π<1が
存在する。 つまり、もし、R=rEEで
あり(命題 ′で与え られ たように)J≧
先 かつ、γ≧掟 ならば、次式が成立 する。始
iり
≧
二
舟
) この補題 に よ り、 レビュー期 間が 十分 長 くか?政
府 及 び企業 の 割 引 ファクターが 十 分大 きい とき、政府 の 割 引期待効 用 は効 率 的 レベ ル1/A=0に
漸近 す る こ と が わか る。 レ ビュー戦 略 下 に お け る政 府 及 び企 業 の戦 略 の 組 (σP,町 )はパ ラ メー タ £、β、Ar、及 び ″′にて特定化 され る。 は じめ の3つのパ ラ メー タ の 関係 は式 (17) 及 び式 (18)に特 定 化 され る。 こ こで 、a、 う、お よび ρlま 付 録 にお け る 式(38)と 式 (39)を満 たす 固定 パ ラメー タで あ る。従 って、企業 の レピュー戦 略 は こ の政府 の戦 略 に対 して最 適 戦 略 とな るよ うに決 ま ると 政府 と企業 の レビュー戦 略 を それ ぞれ σス(■,ar′)及び σP(び〕£,ar′)で表 そ う。その とき、以 下 の定 理 を得 る。 定理1も
し び と 虎 が式 rjり を満た し、γ>
γ(び,つ かつ ν′>M′
(び,γ,£)のとき、レビュー戦略 σ4(£,ノ′)及びσ″(∫〕毘】″′)は繰 り返 し環境規制執行 ジレンマゲームの ε‐均衡 となる。 また、補題1、 補題2及
び定理 1よ り次 の第2の定 理 を得 る。 定理2す
べての正である ε<-2ι/1に 対 し、以下を 満たす 駐 、先、及 び 第 が存在す る。つま り、すべて の び>先
、γ>第
及 びM′ >■r'(び ,γ,亀 )に 対 し、 レ ビュー戦略 σィ(是 ,″′)及 び σ′(び,駐,″ ′ )は 繰 り返 し 環境規制執行 ジ レンマゲームの ε―均衡 をな し、以下 の割引期待効用を持つ。 ιrИ(γ】び、ミt)≧ ―ε, ιrF(∫,兄o)≧ ―ε.福山敬 :環境規制の実効性 に関するゲーム論的研究 さらに、企業が テス トに不合格 とな る確率 φ(∫,■.)は εを超えない。 この定理 は、将来割引ファクターが 1に 近 い場合、 レビュー戦略はほぼ効率的であるとい うレビュー戦略 の ε―均衡の存在 を示 して い る。以上 、レビュー戦 略が 繰 り返 し環 境規 制執行 ゲ ームにおいて、効率 的均 衡 解 を持 ち得 ることが示 された。 5. おわ りに 環境規 制 は被 規 制主体 に遵守 され ては じめて環 境 汚染 を抑止す る社会 的手 だて とな りうる。本 研究 で は、環境規制の実効性 の問題 に焦点を置 き、環境へ直 接的 に汚濁物質 を排 出 してい る企業 の規制 問題 を対 象 に、環境規 制 の効率 的な執行 政策 を非協カ ゲー ム 論的立場 か ら考察 した。 本研究 の環 境規 制執行政策 に関す る提案 は次 の質 問にて要約 され る。それ は、完全 な排 出検 査 が不 可 能 あ るいは禁止 的 に高費用 な場合 、繰 り返 しゲー ム 論 的アプ ローチが効率 的環境規制執行 の戦 略を提供 しうるか、とい うことである。2章において導入 され た環境規 制執行 の ジ レンマ は、前節 において非対称 情報下の繰 り返 しゲームヘ と拡 張 された。そ こでは、 規制主体 である政府 は、(間接的)検 査 によって被規制 主体で あ る企業 の行動 に関す る情報 を集 めな けれ ば な らない。提案 された レビュー戦略 と呼ばれ る繰 り返 しゲーム戦 略 の下で は、規 制主体 は検査 デ ー タを集 計的 に扱 うことで、限 られた資源 の下で企業 の規 制 遵守 のイ ンセ ンテ ィプを誘導 しうることが理論 的 に 示 された。少 な くとも、レビュー戦略は規制主体 の潜 在 的に検査 コス トを減少 させ規 制執行 及 び抑止 のた めの資源を効率 的 に利用す ることを可能す る。以上、 本研究 は効率 的規 制執行 方策 のための 1つ の有望 な 方 向性 を示 し得 た と考え る。 謝辞 本研究 は、筆者 の ウォータールー大学での Ph.D.論 文研究の1部を拡 張 した ものであ り、ここに、ウォー タール ー大 学博士課程在 学 中、熱心 に ご指導 いただ いた ウォータールー大学工学部 システムデザイ ンエ 学科長 キース 。W・ ハ イペル教授 な らびに ウィル フ リッ ドロー リエ大学数学科教 授D・マーク・キルガー 教授 に感謝の意 を表 します。また、本論文 を完成す る にあたって鳥取大学工学部 万ヽ林潔 司教 授、多 々納裕 一助教授か ら貴重 なご意見をいただいた。 ここに感 謝の意 を表 します。 付録 補題 1の 証明 まず、企業 の期待効用 の上 限を導入す る。企業 の選 好順序 よ り、レビュー期 間にお ける任意の時点 ιにお ける任意 の戦 略 に対 し以 下 の不 等式 を満たす正 の実 数
rが
存在す る。(EしIFι
yF)+ム
氣句-1)≦0 (28)
ここでヽ
r/F=0よ
り、以下 を得 る。 Et/P′ ≦F(1-cl) (29)
ただ し、ct=E?ι で ある。不 等式 (29)と (10)よ り、 次 式を得 る。Щ
O≦
(30) ここで、次のように与え られる関数 デ(∫,■)を 定義 し よう。Д
び
,つ =壱」
(1-′)=£
一
挙
ギ
,0≦び
<101)
│ユーE●│≦1よ り、 R-l R-1 1Σ:び1 1(1-E争)一 Σ(1-E争
)│≦ デ(∫,■)′ (32) `=O ι=0 であ り、よって次式を得 る。Σ虫
1-E争
)≦1-E転
+デ(元£
)(33)
ここで、
EA9n=Σと。
争である。また、
φ = PrOb(d■ く■E9(1,a)一 β) = Prob(19nく R―β) AFn≧ 0 よ り、以下を得 る。 ■ι一EJR≦ ψ■+(1-φ
)β・(34)
従 って、式(30)― (34)か ら次 式を得 る。 t/F(∫)≦叫
(び) 0け
た だ し、叫 伊
)≡ (1-∫・ )+φ び R(1-∫ ″ )y・ (1-j・)十ψ∫n(1-∫Ar) _∫ )riψ£+(1-φ
)β+′(び,兄)! +ll (1-j・)十φびR(1_∫ ″)である。 よって、も し、(36)に おいて、レビュー期間長 £一 定の もとで びが1に漸近す るとき、次式を得 る。 叫(1)=φαυ卜
+r炒
キ(1-ψ)bttρ11
。D
ここで、,,を以下の不等式を満たす値としよう。 鳥 取 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第26巻
(40) (41) 式 (30)か ら 式 (36)ま でと同様の議論 によ り以下 の不等式を得 る。 t/4(γ)≧暖仲
) (47)
こ こ で 、咽
(7)三顧響 器 掃 鶏 降 両
_ 48)
で あ り、一定 の 寅 及 び φに対 し I戦辟暖←
D=咽
(1) αφ喝 一」φ―(1-φ)b£ρ1 (49) 1+φα であ る。結局、(49)及 び補題 1よ り補題2が
得 ら れ る。 定理 1の 証明 企業 の戦 略 σF(び,£,″′)が 、政府 の レビュー戦 略 σИ(兄,〃 )に対 し最適であ ることは、σF(δ,£,〃′)の 定 義 か ら明 らかであ る。 したが って、町(究,M)が
σF(∫,£,M′)に 対 して最適戦 略であ るこ とを示 せ ば 、 戦 略 のペ アがゲ ー ムの均 衡解 で あ る ことが示 せ る。 先述 したよ うに、もし政府 が レビュー期間中に効 率 的 な戦略91=0か
ら逸脱 した とき、企業 はその レビュー 期 間中及 びその後 の ″′期間短期的戦略(つま り1回 ゲームにおけるナッシュ均衡戦略)を 選ぶ。よって、そ の とき、 1回 ゲームにおけるナ ッシュ均衡(c‡ic中)が 結果 と して起 こることにな る。したがって、政府 が レ ビュー期 間中に戦 略を変えない ことを示せ ば よい。 企業 の戦 略 σP(虫兒,″)に直面す る政府 の最 大 期 待効 用 を1/4(γ)で表 そ う。 も し、政府 が緩 やか な規 制の戦 略をは じめの レビュー期 間における時期 ι<兒
で放棄 し、その後は、.最適戦路を選ぶ と しよ う。その ときの時期 ι後 の政府 の条件付 き期待効 用 は、以下 で与え られ る。 (1-γ)Σ
γ
T鳴+γЯ
'+″′
ね
(γ) T=0=(1_γ
負―ι+材′ )[4身 +7え ι+″′ ι々Д(7) (50) 一方、もし政府が最初の レビュー期間における時期 を において戦略を変えず、緩やかな規制戦略を使い続け その後は最適戦路をとると仮定す ると、政府の期待 効用は以下のようになる。E仲
―
の
(粧
lγTEh Tw)´
+γ
月 虫1-7Щ
ttD)鳴+守R‐ 十叩 耐ぬ ω}刺
0<η
<―ι争 また、aを
次 の様 に特定化 しよ う。 「 α>眸
一η これ よ り、ε′<η を満たす正 の実数 ε′に対 し ψ≧α (一を4,一ε′)一r+rb£
,1
とな り、これ は次 式のよ うに書 き換 え られ る。叫
(1)≦一ゴ
£fを (24)に おいてF7f≧ R:/4を満た し、かつゴ=
ε/2の とき式 (40)の 右辺が εを越えないような 兄の 値 とす る。また、先 を式 (24)に おいて び.≧ び=/4を満 た し、かつ £=貴
ε及び び≧先,に対 して以下を満た す びの値 とす る。 1叫(び)一叫(1)│≦ 二いり 式(24)よ り、補題 1に おけ る不等式(25)は直ちに得 られ る。一方 、も し ∫>亮 かつφ(び,兄.)≧εであると す ると、(40)及 び (41)よ り、 υl(1)≦ 一号
檸3) を得 る。これは、(42)よ り以下を意味す る。
叫
(び)<―
:
は
4)ところが、
t7F(∫,R。)≦ι
オ
'(び )であり、
(44)は (25)に矛盾する。よって、式
(26)を得る。
補題2の
証明 まず、緩やかな規制を行 う政府の と期 における期待 利得 は以下 で表 され る。Eし〔ス,Ict=o= '(1 CP)=― J(1-E9ι
) (45)
従って、記号 を簡易化 し、強(守,i動
を[/4(γ)、 また、φ(γ,動 を φ と表 す こ とにす る と、(12)よ り以下を
得 る。
Щ →
=
福山敬 :環境規制の実効性 に関するゲーム論的研究 こ こ で 、
″
(打.)=(孫
ど
笠
教
ヨ
7と
警
β
ど
) Bの
と
き
である。ダイナ ミックプ ログラ ミングの最適性の原理 によ り、L/A(γ)は 少 な くとも (50)と (51)の 最大値 と 同 じでな ければな らない。従 って、戦 略 σA(R〕/Vr′)が 最適戦 略 となるための十分条件 は、ど=01…・1£-1
に対 し、(50)が (51)よ り小 さいことである。 政府 の 1つ の戦 略 はct=ず をすべ ての時点 せで と ることで あ る。その とき、 84A(γ)≧ ι「Я(52)
である。 また、(51)に おいて、 yれ 十■≧ ど ,″ι=1.― ,£(53)
であ る。 したが って、A4r(rFД)をArで
置 き換えて も (51)は増加 しない。従 って、(51)は 少な くとも以下 と 同等か あ るいは大 きい。 _(1_々R-1),+守 角`(1-守″ )ιr去+守 R―ι+″rr4(γ )(54) よって、σス(£,Arr′)が 均衡解 であるための十分条件は、 (50)が(54)よ り強 く灯ヽであることであ る。つま り、時 点 を=0,… ・,■-1に
対 して、以下が成 り立つ ことで ある。γ
・
ι (守″―γν′
)(r/4(γ)-7Й)>(1-γ
R-1)(J ttι
4Й), (55) こ こで 、強(γ)>yよ
よ り、上 式 は次 の よ うに書 き換 え られ る。 γЯ(守ν 一γ Ar′ )(げ4(γ)-7Й)>(1-γ
月)(ど十ιrЯ)(56) かつ VA(γ)>鳴
(57) まず、2つ 目の条件である(57)が成立することを 示す。そのためには、(48)で定義された 咽(γ)に対 Iち∵解哲君守 憂よ縮 箱 評 ぎ十分であ乱 硼 [4Й<一ど
{φ(」,£)+(1-φ
(び,兒))bttρ 】} (58)
であ るとき、十分 に大 きい びに対 し、この不等式が成 り立つ。不等式 (58)は 、兄 を所与 と した とき、十分 に大 きな £ 及び 十分 1に 近 い びに対 して成立す る。 次に、第 1番 目の条件式(56)を考え る。不等式(56) は 条件式 (57)が 成立す るとき以下のように書 き換え られ る。 除T'_聖
生三王子〕皇⊆Ё 側 こ こ で 、 天→=鵬
・ 山 で あ る。不等式 (59)は 右辺 が正であるとい う条件の 下で 、十分 に大 きなAr′ に対 して成立す る。式 (59) の右辺 が正 とい う条件 は次式のように書 ける。 解 却側 式 (49)よ り、♂(γ)の 上 限は存在 し、かつ γが 1に 漸 近す るとき、′(γ)の 上 限が存在 しかつ正 であ る。よっ て、(58)を 満たすすべての £及 び ∫に対 し、本不 等 式は、 1に 十分近 い γに対 し成立す る。 定理 1を 導 出す るため に、任意 の び及 び £ に対 し、 すべ ての γ≧γ′にとって し呪(γ
)>鳴
で あ りかつ不 等式 (61)を 満足 よ うな、すべての γ′<1の
上 限を γ(び】兒)と しようo 特 に、所与 の十分大 きなnに
対 し、γが十分 1に 近 い とき、γ(j,兄)は有 限でかつ とよ り小 さい。 この とき、 も し γ>γ(び,■)な らば、その とき (59)を 満 たす値 ″′が存在す る。その よ うな値 の集合 の上 限 を ″′(び,£,ν ′ )と しよ うoよって、この とき定理1を 得 る。 参考文献1)Av9nhaus,R.:Monitoring the emission of pollu‐
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