NII-Electronic Library Service 『
禅
源
諸
詮
集
都
序
』の
訳
注
研
究
(十
)凡
例
一 、 凡
例
は 『駒
沢大
学
仏
教
学
部研
究
紀 要 』第
五 十 四 号 に 準ず る 。
禅 源 諸 詮 集 都
序
目 次 〔 一 〕裴
休
の 序巻
上 ( 目 次 省 略 )〜
〔 二 〇 〕 ( 以 上 「 紀 要 』 第 五 十 三 号 ) 〔 二 一 〕〜
〔 二 五 〕 ( 以 上 『 紀 要 』 第 五 十 四 号 ) 〔 二 六 〕〜
〔 二 九 〕 ( 以 上 『 論 集 』 第 二 十 七 号 ) 〔 三 〇 〕〜
〔 三 二 〕 ( 以 上 『 紀 要 』 第 五 十 五 号 )巻
下
〔 三 三 〕 空 宗 と性
宗 の十
の 相違
点
〔 三 四 〕法 と
義
の 解 釈 の相
違
駒 澤 大 學 佛 教 學 部 論 集
第
三 十 號 卒 成十
一 年十
月 〔 三 五 〕 〔 三 六 〕 〔 三 七 〕 〔 三 八 〕 〔 三 九 〕 〔 四 〇 〕 〔 四 一 〕 〔 四 二 〕 〔 四 三 〕 〔 四 四 〕 〔 四 五 〕 〔 四 六 〕 〔 四 七 〕石
小
性 と 心 の相
違
性 の解
釈
の相
違
井
川
智
と知
の解
釈
の相
違有
我
と無
我
の解
釈
の相
違真
理 のあ
ら わ し 方 の相
違 名 と体
の相
違
二諦
と 三諦
の解
釈
の相
違 三性
説
の解
釈
の相
違 仏徳
の有
無
に つ い て の相
違 禅 の 三宗
は根
本
に お い て は 一 第 二 十 八 号 ) 頓漸
の種
々 な解
釈
( 以 上修
隆
道
消極
性
と積
極性
つ で あ る ( 以 上 頓
教
の 二 の意
味
−
逐機
の頓
と化
儀
の頓
『 紀 要 』 第 五 十 六
号
) 一真
心
体
こ そ教
法 の根
源 で あ る五 九 『 論 集 』 N工 工一Eleotronlo Llbrary
〔 四 八 〕 〔 四 九 〕 〔 五 〇 〕 〔 五 一 〕 〔 〔 五 五 〕 〕
〔 五 五 〕
ホ (
1
)詳
究
前
述 、諦
觀
此
圖
、對
勘 自 他 、ゆ ホ ホ
及
想
賢 聖 、 爲同
爲
異、爲
妄
爲
眞
、我
在何
門
、 佛在
何
位 、爲
當
別體
、爲
復
同
源
。即
な
自
然
不執
著
於 凡夫
、 不僭
濫
於
聖位
、 不耽
滯於
愛見
、 不推
讓
於
佛 心也
。 (2
)然
初十
重 是 一 藏經
所 治 法身
中 、 蒲戛
煩
惱
之病
生 起 元 由 、躯
.漸
漸
加
慣
羅
な ホ 乃 至
驫
重 、 遙解
慧滅
響
之状
。 後十
重 是法
身信
方服
薬
靆
バ
出病
差
鸚
蓐
理方
法 、 默 撃漸
漸
減
退 、 蛩挙
乃 至 卆復
贓 ・ 之状
。 『 禅 源 諸 詮 集 都 序 』 の 訳 注 研 究 ( 十) ( 石 井 ・ 小 川 ) 仏 が経
を説
い た本
意仏
の本
意
と 三種
の 教仏
と衆
生 、悟
と迷
と の関
係す が た 迷 い の 過
程
ー
凡 夫 の 相( 以 上 『 論
集
』 二 十 九 号 )悟
り へ の道
悟
り と迷
い の体
系 を 図 示 す る 理由
悟 り と 迷 い の 図 式 に よ っ て 反
省
自覚
す べ き こ とつ ま び 〔 五 四 〕 〔 五 五 〕 〔 五 六 〕 〔 五 七 〕 〔 五 八 〕 〔 五 九 〕
六 〇 悟 り と 迷 い の 図
式
( 以 上 『 紀 要 』
第
五 十 七 号 ) 悟 り と 迷 い の 図式
に よ っ て 反省
自覚
す べ き こ と 修 道 の 心 が ま え む す び9
む す び口
後 記 ( 以 上 今 号 )あ き ら
詳
ら か に前
述 を 究 め 、諦
か に 此 の 図 を観
じ、自
他
を対
勘 し 、及
び賢
聖 を 想 え 。 は た為
同 じ き や 為 異 る や 、為
妄
な り や為
真
な り や、我
れ は何
れ の門
に在
り や 、仏
は何
は た は た れ の
位
に 在 り や、 為 当体
を別
に す る や 、為
復 源 を 同 じ く す る や と 。 即 ち自
然 に 凡た ん た い
夫
に執
着
せ ず 、 聖 位 を僣
濫
せず
、愛
見 に 耽 滞 せず
、 仏 心 に推
譲
せ ざ ら ん 。然 る に 初 め の 十 重 は
是
れ 一蔵
経 の 所 治 の 法 身 の中
に て く 第 一 重 な り V 、煩
悩 の病
ハ ヨ の 生 起 す る 元 由 の く 次 の 二 重 な り V、
漸
漸
に 加増
し 〈 我 法 二 執 〉 、 乃 至麁
重 と な りハ さ す サ 〈 三 毒、 業 を 造 る 〉 、 慧 の
滅
す る 〈報
を 受 く 〉 の状
な り 。後
の十
重 は 是 れ 法身
の 方 をら い で い ハ 信 じ
薬
を 服 し 〈 前 の 三 重 な り 〉 、 汗 出 て病
差
え 〈 菩 提 心 の 開 発 な り 〉 、 理 を将
っ て法
た だ ア を方
し 〈 六 波 羅 蜜 〉 、漸
漸
に減
退 し て く 後 六 よ り 九 に 至 る V 、 乃 至 平復
す る 〈 成 仏 〉 の状
な り 。NII-Electronic Library Service (
3
)如
有
一 人 、 紐解
諸
根
具 足 、 躯 騨 強壯
、 鉗 稚 鰤 鰻 い多
藝
、 鞭 秘忽
然
得
病
、 鱸 騨漸
漸
加
墳
隷
乃 至氣
穐
麟 新溜
唯
心f
暖、 嬾 娜 鰍 榊 忽 遇良
醫 、 鰍 離知
其
命
在
、 規 从羅
靉
神
薬
翻
雛
忽
釜
惺
驅
初
未能
言
難
鸚
襲
閉
乃 至漸
讀
鸞
漸 ホ ロ ホ能
行
李
、 噺 師 掛離
直
至 卆 復 、 鹹 ・所
解
伎
藝
、 無所
不爲
.麟
醐鬟
麟
, ホ ホ (
4
) 以法
一 一 對合
、何
疑
不
除
。即
知
一 ホ 切衆
生不
能
神
變
作
用者
、但
以業
識惑
病
所
拘
、非
己法
身
不 具妙
徳
。今
愚
者
難 云 、汝
既
頓
悟
即
佛
、何
不放
光 者 。何
殊
令
病
未
卒
ホ復
之 人 、便
作
身
上本
藝 也 。然
世
醫
處
方
必先
候
脈 。 若 不 對 病 状輕
重、何
辨
方書
是非
。 若 不約
痊
寮
淺 深、 何論
將
理法
則
。 法 醫 亦 爾 。 た と マ如
え ば 一 人 有 り 〈 在 纏 の 法 身 〉 、 諸根
具足
し 〈 恒 沙 の 功 徳 〉 、 強壮
に し て 〈 常 住 不 ね 変 に し て 、 妄 も 染 す る こ と能
わ ざ る な り 〉 、 多芸
な る も 〈 恒 沙 の 妙 用 〉 、忽
然
と し て え 病 を 得 く 無 始 の 無 明 V 、漸
漸
に加
増
し 〈 其 の 次 の 七 重 〉 、 乃 至気
絶 し て 〈 第 十 重 な り 。 ぜ し業
に 随 い て 報 い を 受 く 〉 、 唯 だ 心 上 の み暖
し 〈 頼 耶 識 の 中 の 無 漏 智 の 種 〉 。忽
ち良
医
ぜ し に 遇 い 〈 大 善 知 識 〉 、其
の命
の在
る を 知 り 〈 凡 夫 人 も 即 心 是 れ 仏 な る を 見 る 〉 、強
い そ そ て神
薬 を 灌 げ ば 〈 初 め は 聞 い て 信 ぜ ざ る も 、 頻 り に 説 い て 捨 て ず 〉 、 忽然
と し て 甦惺
に も の い わ ず し 〈 悟 解 す 〉 、初
め は未
だ 言 う こ と 能 わ ざ る も 〈 纔 か に 始 め て 悟 解 す れ ば、 心 は 明 了 し だ い よ な り と 雖 も、 猶 お 未 だ 説 法 問 答 す る こ と 能 わ ず 〉 、 乃 至漸
に 語 り く 能 善 く 説 法 し 人 を 化 す る な り V 、漸
に 能 く行
李
し て 〈 漸 に 十 地 六 度等
の 法 を 行 ず る な り 〉 、 直 に 平復
に よ く 至 り 〈 成 仏 〉 、解
す る所
の伎
芸 、 為 さ ざ る所
無
し 〈 神 通 光 明、 千 変 万 化 、 一 切 妙 智 、 む 善 巧 方 便 な り 〉 。 法 を 以 て=
対合
せ ば 、何
ん の 疑 い か除
か ざ ら ん 。即
ち 知 る 、 一 切衆
生 の神
変
ハ ほ ロ い へ と ら作
用 す る こ と能
わ ざ る は 、但
だ業
識
惑
病
に拘
わ る る を 以 て な る の み に し て 、 己 が 法 身 に妙
徳
を 具 え ざ る に は非
ざ る こ と を 。今
ま 愚 者 の難
じ て 、 汝 既 に頓
悟 し て 即 ち 仏 な れ ば 、何
ん ぞ 光 を放
た ざ る や と 云 え る は、 何 ん ぞ病
の未
だ 平 復 せ ざ る 人 を な ぜ し て 、便
ち身
上 の 本 芸 を作
さ し め ん と す る に 殊 な ら ん や 。然
る に世
医
の 処法
は 必 う か がず
先 に脈
を候
う 。 若 し病
状
の軽
重
に対
せ ず ん ば、何
ん ぞ方
書
の是
非
を弁
ぜ ん や 。 せ ん ゆ そ く の つ と 若 し痊
瘉
の浅
深 に 約 せ ず ん ば 、何
ん ぞ 理 を 将 っ て則
に法
る こ と を論
ぜ ん や 。 法医
し か も 亦 た爾
り 。N工 工一Eleotronlo Llbrary Servloe
*
詳
11
( 底 ) ハ 以 下 補 写 。 田 原 本( 略 称、 田 ) ヲ 参 考 ト ス 。 * 賢 聖 ー 聖 賢 ( 弘 ) 。 * 妄11
眞 ( 明 ) 。 * 眞11
妄 ( 明 ) 。 * 耽11
耽 ( 弘 ) 。 * 〈 重 >11
〈 重 也 〉 ( 弘 ) 。 ( 底 ) ハ 「 也 」 ヲ 補 筆 ス 。 以 下 同 。 * 〈 二 >11
〈 一 〉 ( 底∀11
〈 三 〉 ( 弘 ) ( 明 ) 。 * 〈 重 >11
〈 重 也 〉 ( 弘 ) 。 * 〈 受 報 >1
ー ナ シ ( 弘 ) 。 * 状11
状 〈 受 報 〉 ( 弘 ) 。 『 禅 源 諸 詮 集 都 序 』 の 訳 注 研 究 ( 十 ) ( 石 井 ・ 小 川 ) 亠企
『 禅 源 諸 詮 集 都 序 』 の 訳 注 研 究 ( 十 V ( 石 井 ・ 小 川 ) 六 二 * 〈 重 >
11
〈 重 也 〉 ( 弘 ) ー 〈 重 汗 出 〉 ( 明 ) 。 * 汗 出1
ー ナ シ ( 弘 ) 。 * 〈 後 >11
〈 從 〉 ( 弘X
明 ) 。 * 〈 七 V11 〈 十 〉 ( 底 ) 。 * 〈 隨 業 受 報 >1
ー 〈 也 V ( 弘 )1
ー ナ シ ( 明 ) 。 * 上11
頭 ( 弘 ) ( 明 ) 。 * 〈 説 V −1
〈 就 〉 ( 明 ) 。 * 甦 惺11
蘇 醒 ( 弘 ) ( 明 ) 。 * 〈 纔 始 悟 解 心 雖 明 了 獪 未 能 説 法 問 答 V11 〈 初 悟 人 説 法 答他
問 難 悉 未 的 也 V 〔 弘 ) ー1
〈 初 悟 之 人 未 能 誂 法 答 他 問 難 皆 悉 未 得 V ( 明 ) 。 * 〈 能 善 V11 〈 解 〉 ( 弘 )11
〈 能 〉 ( 明 ) 。 * 〈 化 人 〉 ー 〈 也 〉 ( 弘X
明 ) 。 * 李11
履 ( 明 ) 。 * 〈 漸 行 十 地 六 度 等 法 >11
〈 十 地 十 波 羅 密 也 〉 ( 弘 ) “ 〈 十 地 十 波 羅 蜜 〉 ( 明 ) 。 * 伎 ー 技 ( 弘 ) 。 * 〈 千 變 萬 化 >1
ー ナ シ ( 弘X
明 ) 。 * 〈 妙 智 善 巧 方 便 〉 “ 〈 種 智 〉 ( 弘X
明 ) 。 * 何11
有 何 ( 弘 ) ー1
何 有 ( 明 ) 。 * 不 除 ー 事 而 不 除 也 ( 弘 )11
而 不 除 也( 明 ) 。 * 變11
通( 弘 V 。 * 也1
ー ナ シ ( 弘X
明 ) 。 * 瘉 ー 愈 ( 弘X
明 ) 。 (1
) 前 に述
べ た こ と を詳
細 に 見 究 め 、 こ の 図 を は っ き り と 観 察 し 、 そ こ で自
他 ( 衆 生 ) を つ き あ わ せ 、賢
聖
( 仏 ) に 思 い を い た せ 。両
者
は同
じ な の か 異 っ て い る の か、 ま た 妄 な の か真
な の か 、自
分 は ど の 入 り 口 の と こ ろ に い る の か 、仏
は ど の 位 に あ る の か 、 そ の 両者
は 本 体 を 別 に す る の か 、 そ れ と も根
源 を同
じ く す る の か 、 と 。 そ う す れ ば 、自
然 に 凡 夫 に も 執着
せ ず 、 聖 位 を も 僣称
せ ず 、愛
見
に 溺 れ る こ と も な く 、 仏 心 に卑
下 す る こ と も な く な る で あ ろ う 。 (2
) そ こ で、 は じ め の ( 染 法 の )十
重 は、 一 大蔵
経
の 治 療 の 対象
と な る 法身
の中
に お い て 〈 第 一 重 〉 、煩
悩
の病
が 元 凶 よ り 生 起 あ ら し く 次 の 二 重 V 、漸
漸
に増
加
し て く 我 法 の 二 執( 六 七 ) ま で V 、 ひ い て は麁
く 重 い 迷 い の 心 か ら 〈 ( 八 と 九 の ∀ 三毒
に よ り 業 を 造 る 〉 、智
慧 の滅
亡 に ま で 至 る様
を 示 し た も の で あ る 〈 ( + の ) 報 を 受 け る 〉 。 後 の ( 浄 法 の )十
重 は法
身
が 処 方 を信
じ て薬
を 服 用 し 〈 前 の ( 】 、 二、 三 の ) 三 重 〉、 汗 が 出 て病
が や や 癒 え 〈 ( 四 の ) 菩 提 心 の 開 発 〉 、 理 に か な っ た治
療
に よ り 〈 ( 五 の ) 六 波 羅 蜜 〉 、漸
漸
に病
が 減 退 し て く 六 よ り 九 に 至 る V つ い に 平癒
に 至 る く ( 十 の ) 成 仏 V 様 を 示 し た も の で あ る 。 (3
) 譬 え ば 、 一 人 の 人 が い る と す る 〈 在 纏 位 の 法 身 〉 。諸
根
で あ る 六根
を備
え A 無 量 の 功 徳 〉 、頑
強 で あ っ て く 常 住 不 変 で 、 妄 心 け が も染
す こ と が で き な い V 、 学 問伎
芸 に富
ん で い る 〈 ( 以 上、 一 の ) 無 量 の 妙 用 〉 。 そ れ が 、 突 然 に病
と な り く ( 二 の ) 無 始 の 無 明 V 、漸
漸
に 悪 化 し て く そ の 次 の ( 三 〜 九 の ) 七 重 V つ い に息
絶 え 〈 第 十 で あ る 。業
に よ っ て そ の 報 い を 受 け る の で あ る 〉 、 心臓
だ け が暖
か い状
態
に 至 る 〈 ( 一 の ) 阿 頼 耶 識 の 中 の 無 漏 智 の 種 子 〉 。 と こ ろ が ふ と 良 医 に め ぐ り遇
い 〈 ( 二 の ) 大 善 知 識 〉 、 ま だ命
が在
る こ と が判
り く (一 二 の ) 凡 夫 に お い て も そ の 心 こ そ が 仏 で あ る と い う こ と を 見 抜 く V 、 無 理 や り に妙
薬
を 流 し 込 ま れ る く 初 め は聞
い て 信 じ な く て も 、 く り か え し 説 い て 見 捨 て な い V 。 す る と 突 然 に蘇
醒 し て 〈 解 悟 す る 〉 、 初 め は も の言
う こ と が で き な く と も 〈 ( 四 の ) 初 め て 悟 解 し た ば か り で は 、 し だ い 心 は 明 了 で あ っ て も 、 ま だ 説 法 や 問 答 を す る こ と は で き な い 〉 、 や が て は 漸 に語
り出
し 〈 巧 み に 法 を 説 き 人 を 教 化 す る こ と が で き る 〉 、NII-Electronic Library Service し だ い に
歩
け る よ う に な り 〈 ( 五 〜 九 で ) 段 階 的 に 十 地、 六 波 羅 蜜 等 の 法 を 踏 み 行 っ て ゆ く の で あ る 〉、 つ い に は平
癒
に 至 り 〈 ( 十 の ) 成 仏 〉 、 持 ち前
の伎
芸 も 一 つ と し て で き ぬ も の は な い よ う に な る の であ
る 〈 神 通 光 明 、 千 変 万 化 、 一 切 妙 智、 善 巧 方 便 の こ と で あ る 〉 。 (4
) こ の よ う に 諸 法 を 一 つ 一 つ つ き合
せ て い く な ら ば 、 い か な る 疑 い が 取 り 除 か れ ぬ こ と が あ ろ う か 。 さ す れ ば 、 一 切 の衆
と ら わ 生 が 神 通 妙 用 を 発揮
で き な い の は 、業
識 や惑
病
に 執 れ て い る だ け の こ と で あ っ て、 己 が 法身
に妙
徳 が備
わ っ て い な い か ら で は な い 、 と い う こ と が 判 る の で あ る 。 い ま愚
か な者
が 非 難 し て言
う 、 あ な た が頓
悟
し て仏
そ の も の で あ る な ら ば 、 ど う し て 光 明 を放
た な い の か 、 と 。 こ の 言 い ぐ さ は 、病
が平
癒 し て い な い 人 に持
ち前
の 伎 芸 を し ろ と い う の と 同 じ で は な い か 。 世 間 の 医者
の 処 法 は ま ず 先 に 脈 を 調 べ る も の 。 も し病
状
の軽
重 に 対 応 す る の で な け れ ば、 ど う し て 処方
箋 の 是非
を 判 断 で き よ う か 。 も し い や恢
復
の 浅 深 に合
わ せ る の で な け れ ば 、 ど う し て 理 に か な っ た治
療
だ と言
え よ う か 。 仏 法 の癒
し も ま た同
じ こ と な の で あ る 。N工 工一Eleotronlo Llbrary Servloe
(
1
) 初 め の 十 重11
五 一 段 の 迷 い の 過 程 。 五 四 段 の 図 で い え ば 、 染 の 十 重 を さ す 。 (2
)二 重 な り
11
迷 い の 第 二 の 不 覚 を い う が、 弘 治 本 と 明 蔵 本 が 三 重 と す る の は、 そ の 第 二 の 不覚
よ り 妄 念 が 起 こ る (11
念 起 ) 段 階 を も 数 え た が 故 に相
違 が 生 ま れ た も の で 、 理 解 に 根 本 的 な 相 違 が あ る 訳 で は な い 。 (3
) 後 の 十 重11
五 二 段 の 悟 り へ の 道 。 五 四 段 の 図 で い え ば 、 浄 の 十 重 を さ す 。 (4
)方
11
後 文 に 「 薬 を 服 す 」 等 と あ る の で、 こ こ は 薬 の 処 方 の こ と 。 (5
) 前 の 三 重11
五 二 段 の 一 、 遇 善 知 識 開 示 。 二、 発 悲 智 願 、 誓 証 菩 提 。 三 、 随 分修
習 五 行 を 指 す 。 五 四 段 の 図 で は、 一 、覚
頓 悟・ 四 信 、 二 、 発 菩 提 心、 三 、 修 業 五 行・ 覚 察 妄 心 と な る 。 第 三 に つ い て は 諸 本 が 一 致 す る が 、 第 一 、 第 二 は、 図 が 明 確 に 一 致 す る と は 言 え な い 。 (6
)菩 提 心 の 開 発
11
五 二 段 で は 、 四 、 大 菩 提 心 従 此 顕 発 と あ る か ら 、 悟 り へ の 道 の 四 段 階 で あ る 。 こ の こ と は、 一 応 、 五 四 段 の 図 も 諸 本 一 致 し て い る と解
せ よ う 。 (7
)六 波 羅 蜜
11
次 の 文 の 割 注 は 「 六 よ り 」 と あ る の を 参 照 す れ ば 、 悟 り へ の 道 の 五 段 階 に 相 当 す る こ と に な ろ う 。 た だ 、 五 二 段 の 五 は 以 知 法 性 無 慳 等 心 と あ り 、 六 に お い て、 随 順 修 行 六 波 羅 蜜 、 定 慧 力 用、 我 法 双 亡 … … と 「 六 波 羅 蜜 」 の 語 が 出 る 。 五 四 段 の 図 で は 、 迷 い の 六 ・ 七 の 執 法 ・ 執 我 が 対 応 す る 悟 り へ の 道 の 五 ・ 六 の 我 法 双 亡 で あ る こ と か ら 、 六 波 羅 蜜 に よ り 我 亡 を 修 す る と し て も 、 六 波 羅 蜜 と 迷 い の 七 の 執 我 が 直 接 対 応 す る 図 と は な ら な い 。 そ こ に 諸 本 の 図 の 一 致 し な い と こ ろ が 表 面 化 す る 。 故 に 、 六 波 羅 蜜 だ け を 問 題 に す れ ば 四 に 含 め る こ と も 、 五 に 含 め る こ と も 可 能 と い え よ う 。 『 禅 源 諸 詮 集 都 序 』 の 訳 注 研 究 ( 十) ( 石 井 ・ 小 川 ) 六 三『 禅 源 諸 詮 集 都 序 』 の 訳 注
研
究 ( 十 ) ( 石 井 ・ 小 川 ) 六 四 (8
)在
纏
の 法 身11
煩 悩 に 覆 わ れ た 法 身 。 如 来 蔵 を い う 。 三 段 の 注 (6
) 参 照 。 『 都 序 』 本 文 で 在 纏 の 語 は、 一 八 段 に 既 出 。 (9
) 恒 沙 の 妙 用11
以 上 は 五 一 段 の 迷 い の 過 程 の、 コ 切 衆 生 に 、 皆 な 本 覚 真 心有
り 」 を 指 し て い る 。 (10
> 忽 然 … …11
再 び 迷 い の 過 程 を 、 第 十 の 受 報 ま で 略 記 す る 。 (11
) 無 漏 智 の 種11
阿 頼 耶 識 の 第 八 識 と 種 子 に つ い て は 、 一 八 段 の 注 (8
) (11
) 、 特 に 二 五 段 の 注 〔35
} を 参 照 さ れ た い 。 こ れ よ り 、 悟 り へ の 道 が 、 再 び 略 説 さ れ る 。 (12
) 即 心 是 れ 仏 ー 即 心 即 仏 に 同 じ 。 四 段 と そ の 注 (7
)、 お よ び 一 一 段 に 既 出 。 (13
)悟
解
11
頓 悟 と 同 じ で、 蘇 醒 に 喩 え ら れ て い る 。 澄 観 の 『 華 厳 経 行 願 品 疏 』 巻=
続 蔵 経 巻 七 − 二 五 二 右 上 以 下 ) と 『 演 義 鈔 』 巻 二 一 ( 大 正 三 六 − 一 六 四 c ) を 踏 ま え た 「 大 疏 鈔 』 巻 三 下 や 『 略 疏 鈔 』 巻 四 に ま と め ら れ る、 悟 相 を 解 悟 と 証 悟 の 二 種 に 分 け る 説 で い え ば 、 頓 悟 漸 修 の 頓 悟 は 解 悟 の こ と で あ る か ら 、 こ こ の 悟 解 も そ の 解 悟 の こ と と 理 解 し て よ か ろ う 。 (14
) 初 め は 未 だ 言 う … … 。11
人 を 教 化 で き る よ う に な り 、 成 仏 が 完 成 さ れ て い く 過 程 を説
明 し た も の 。 使 用 さ れ て い る 仏 教 用 語 は 既 あ ん り に 出 て い る も の で あ り、 語 句 注 は 再 説 し な い 。 な お 「 行 李 」 は 「 行 履 」 の 意 で あ る が 、 こ こ は 前 後 か ら ふ つ う の 歩 行 の 意 に 解 し た 。 『 祖 堂 集 』 巻 十 鏡 清 道 ● 章 (ml
五 二 ) 、 「 問 う 、 十 二 時 中、 如 何 に 行 李 せ ん 。 師 云 く、 一 歩 も 移 す を 得 ざ れ 」 。 お こ (15
)業 識 ー
1
『 起 信 論 」 に 心 に 依 っ て 意 と 意 識 と が 転 る こ と を 説 き、 意 に 業 識 ・ 転 識 ・ 現 識 ・ 智 識 ・ 相 続識
の 五種
名 を 挙 ぐ 。 そ の 最 初 に つ い て、 コ に は 名 づ け て 業 識 と 為 す 、 謂 く 無 明 の 力 に て 不 覚 心 が 動 ず る が 故 な り 」 ( 岩 波 文 庫 本 四 〇 頁 ) と あ る 。 (16
)惑 病 ー 法 蔵 の 『 華 厳 経 探 玄 記 』 巻 一 七 ( 大 正 蔵 巻 三 五
i
四 三 一 二 c ) に 「 二 の 行 満 を 明 か す 。 一 は 惑 病 を 除 く 。 二 は 無 明 を 破 す 」 と あ る 。 惑 業 に つ い て は 、 二 五 段、 三 二 段 お よ び そ の 注(4
) を、 三 毒 の 惑 に つ い て は、 五 一 段 お よ び そ の 注(14
×18
×19
) 参 照 。 (17
) 世 医11
法 医 に 対 し て 、 世 間 の 医 者 の こ と 。 『 祖 堂 集 』 巻 六 洞 山 良 价 章(Hl
六 四 ) の 「 汝、 道 う を 見 ず や 、 世 医 ( 代 々 の 名 医 ) 手 を こ ま ね 拱 く、 と 」 と あ る の と は 別 。 江 藍 生 ・ 曹 広 順 『 唐 五 代 語 言 詞 典 』 頁 三 四 一 参 照 ( 上 海 教 育 出 版 社、 一 九 九 七 年 ) 。 〔 五 六 〕修
道
の 心 が ま え (1
)故
今
具述
迷
悟
各
十
重 之 本末
、將
前
ぴ ホ 經論
統 説 三種
之淺
深
。相
對
照 之 、 如指
諸
掌 。 勸諸
學
者
、善
自
安
心 。 行即
任
随
寄
一 ホ 門、 解即
須
通逹
無
礙
。 不 得慮
其偏
局
、便
つ ぶ 故 に 今 ま 具 さ に 迷 と悟
と の各
々 の十
重 の本
末
を述
べ 、前
の 経論
を将
っ て 三種
の こ れ浅
深 を 統 説 す 。相
い対
し て 之 れ を 照 ら せ ば 、諸
を掌
に指
す が如
く な ら ん 。諸
々 の よ ろ し ユ ロ 学者
に 勧 む、 善自
く 心 を安
ん ぜ よ 。 行 は即
ち随
寄
の 一門
に 任 す も、 解 は 即 ち須
ら う れ も う と う く 通 達 無 礙 な る べ し 。其
の偏
局 を慮
え て 、便
ち 濤蕩
と し て指
帰 す る 所無
き を得
ざNII-Electronic Library Service 湃
蕩
無
所
指 歸 。直
須
洞鑑
源 流、令
分 菽 麥 、必
使同
中
見異
、異
中
見同
。 鏡 像 千差
、莫
執
好 醜 、 鏡 明 一相
、莫
忌青
黄
。 千 器 一 金 、醪
無
阻隔
、 一珠
千影
、 元 不 混和
。建
志
蓮 心 、等
盧 空界
、防
非
察
念
、 在 毫釐
間
。 見 色聞
聲
、 自 思 如影
響
否
。動
身の
擧
意
、自
料
爲
佛
法
否
、美
膳
糲
喰
、自
想無
ぼ
愛 否 、 炎涼
凍
暖
、自
看
無
避
就
否
、 乃 至利
衰毀
譽
稱
譏
苦
樂
、 一 一審
自
遞
照
、 實得
情
意 一種
否 。必
若
自
料
、未
得
如
此
、 即 色ネ
未
似 影 、聲
未
似
響
也 。設
實
頓
悟
、終
須漸
修
。莫
如
貧窮
人 、終
日數
他
寶
、自
無
牛錢
分 。 六 砠 大師
云 、佛
説 一 切 法 、爲
度
一 切 心、我
無
一 切心
、何
須 一 切 法 。今
時
人 但將
此語
輕
於聽
學
、都
不自
觀
實
得
無
心 否 。 若 無 心者
、 八風
不能
動也
。 設 習氣
未 盡 、 瞋 念任
運
起
時
、無
打
罵讎
他 心 、貪
念
任
蓮 起 時 、無
營
求
令
得
心 、 見 他 榮 盛時
、 無 嫉の 妬 求
勝
心
、 一切
時
中
、 於自
己 無憂
飢凍
心 、無
恐 人輕
賤 心 乃 至 種 種 、 此等
亦
得
名
ネ 爲 無 一
切
心人
也
。 此 名 修 道 。 若得
對 違順
ホ ホ 等 境 無
貪
瞋
愛
惡
、 此 名 得 道 。 各各
返 照 、あ き ら こ れ 。
直
に 須 ら く洞
か に 源 流 を 鑑 み て 、菽
麦
を分
た し め、 必ず
同 の中
に 異 を 見 、異
の中
に同
を 見 せ し む べ し 。鏡
像
は 千 差 な る も 、 好醜
に執
す る こ と莫
れ 。 鏡 明 は 一ハ ヨ ロ 相 な れ ど 、
青
黄
を 忌 む こ と 莫 れ 。 千 器 は 一 金 に し て 、唯
だ 阻隔
無
く、 一 珠 は 千影
な れ ど 、 元 よ り混
和
せず
。 志 を 建 て 心 を運
ぶ こ と、虚
空
界 に等
し く、 非 を防
ぎ念
を 察 す る こ と 、毫
釐
の 間 に 在 れ 。 色 を見
、声
を聞
い て は 、自
ら 思 え、 影 と 響 と のT
) は か如
き や 否 や と 。身
を 動 か し 意 を挙
ぐ る に 、自
ら料
れ 、仏
法 の為
な り や 否 や と 。美
ぜ ん さ ん 膳 と 糲 喰 と に 、自
ら 想 え、憎
と愛
と無
き や否
や と 。 炎 と 涼 、凍
と 暖 と に、自
ら看
な い し ( 5 > つ ま よ 、 避 と
就
と無
き や否
や と 。 乃 至利
と衰
と毀
と 誉 と 称 と 譏 と 苦 と楽
と に 、=
審
び ら も 自 か に 返 照 せ よ 、 実 に 情 意 の 一種
な る を得
る や 否 や と 。 必 若 し 自 ら料
る に 、未
だ 此 く の 如 く な る を得
ず ん ば 、 即 ち 色 は未
だ 影 に 似 ず、 声 は未
だ 響 に 似 ざ る な り 。 た と ね 設 い実
に頓
悟
す る も 、 終 に須
ら く 漸修
す べ し 。貧
窮
の 人 の 、終
日他
の宝
を 数 えヲ ロ す け て 、 自 ら
半
銭
の分
無
き が如
く な る こ と 莫 れ 。 六祖
大師
云 く 、 「 仏 の 一 切 の法
を説
ハ ユ も ち く は 、 一 切 の 心 を
度
せ ん が 為 な り 、我
れ に 一 切 の 心無
し 、何
ん ぞ 一 切 の 法 を須
いも す ん や 」 と 。
今
時
の 人 は 但 だ 此 の語
を将
っ て聴
学
を 軽 ん ず る の み に し て 、都
べ て自
あ ら 実 に 無 心 を
得
る や否
や を観
ぜず
。若
し無
心 な ら ば、 八風
も 動 か す こ と能
わ ざ るあ だ な り 。 設 い 習
気
未
だ尽
き ず し て、瞋
念
の任
運 に 起 る時
に も 、打
罵
し他
を讎
と す る の 心無
く 、貪
念
の任
運
に起
る 時 も、営
求 し て得
し め ん と す る の 心無
く 、他
の 栄盛
な る を 見 る に も 、嫉
妬
求勝
の 心無
く 、 一 切 時中
、 自 己 に於
い て飢
凍
を憂
う る の 心な い し
無
く、 人 の軽
賎 す る を 恐 る る の 心 乃 至種
種
無
く ん ば 、 此 れ等
も亦
た名
づ け て 一切
な ロ ユ 心無
き 人 と 為 す を得
る な り 。 此 れ道
を修
す と名
つ く る な り 。若
し違
順
等
の 境 に対
し て、 貪瞋
愛
悪 す る こ と無
き を 得 ば 、 此 れ 道 を 得 た り と名
つ く 。各
各
返
照 し て 、セ
病
有
ら ば 即 ち 治 せ 、病
無
く ん ば 薬 の む 勿 れ 。 『 禅 源 諸 詮 集 都 序 』 の 訳 注 研 究 ( 十 ) ( 石 井 ・ 小 川 ) 六 五 N工 工一Eleotronlo Llbrary『 禅 源 諸 詮 集
都
序 』 の 訳 注 研 究 〔 十 )有
病 即 治 、無
病
勿
藥
。 (2
)問
、貪
瞋
等即
空、便
名
無
一切
心、何
必 對 治 。答
、 若爾
汝 今 忽遭
重 病痛
苦
、 痛 苦 即 空便
名
無
病
、何
必藥
治 。 須知
貪
瞋 ホ ネ 空 而 能 發業
、業
亦
空 而 能招
苦
、 苦亦
空
而 只 麼 難 忍 。故
前 圖體 空
成
事
。 踊騨
糊露
齢
鞴
若
以諦
空 、簀
麼
造業
ホ ホ ホ 即須
知 地獄
燒
煮 楚痛
、 楚痛
亦
空 、 只麼
楚 痛 。 若 云亦
任
楚痛
者
、即
現 今 設有
人 、 以 火燒
刀 斫、 汝 何得
不
任 。 今 觀 學 道 者 、聞
ホ 一句
違
情
之語
、獪
不 能 任、 豈肯
任
燒斫
ホ 乎 。 ( 石 井 ・ 小 川 ) 六 六問
う 、貪
瞋 等 の 即 ち 空 な る を、便
ち 一 切 の心
無
し と名
づ け な ば 、何
ん ぞ対
治 す も ち し か る を 必 い ん や 。 答 う 、若
し爾
ら ば、 汝 今 ま 忽 ち 重病
の痛
苦 に 遭 わ ん に 、痛
苦
即 ち 空 な る を便
ち無
病 と名
づ け な ば 、 何 ん ぞ 薬 も て 治 す を 必 い ん や 。 須 ら く知
る べ し 、 貪 瞋 は 空 に し て 而 も能
く業
を 発 し、業
も亦
た 空 に し て 而 も能
く苦
を招
き、 苦 か く も 亦 た 空 に し て 只 麼 も 忍 び難
き こ と を 。 故 に前
の図
の中
に 体 空 ・ 成 事 と せ り 〈 猶 き お 机 木 の 上 の鬼
の 全 く 空 な る も 、 只 麼 も 人 を 驚 か し て 、 奔 走 し て 地 に 倒 れ 、 頭 を 打 ち て 額 を 破 り 裂 か し む が 如 し 〉 。若
し 業 の 即 ち 空 な る に 、空
の 只麼
も業
を 造 る を 以 て せ む ば 、 即 ち 須 ら く 知 る べ し 、 地 獄 の 焼 煮 の 楚 痛 の 、楚
痛
も 亦 た 空 な る も 、 只麼
も楚
も痛
な る こ と を 。 若 し亦
た楚
痛
に 任 す と 云 わ ば 、 即 ち 現 に 今 、 設 し 人有
り 、火
を 以 き て焼
き 刀 も て斫
ら ん に 、汝
何
ん ぞ 任 せ ざ る を得
ん や 。今
、学
道 の者
を観
る に 、 一 し よ う し や く が え ん句
違
情 の 語 を 聞 い て す ら 、猶
お 任 す こ と 能 わ ず 、 豈 に 焼 斫 に任
す こ と を肯
ぜ ん や 。製
驢 譱
痛 シ ゜ll
ll
巍
攀
1
郵
゜鞭
11
* 繕 *蠱
雲
齷
甲
驚
シ韆
越
献
塾
炎
゜il
萌
辮
鑑
鵜
1
麺
堕
糎
警探
麺
詈
斧
霧
旙
雑
姦璽
蝿
x
塑
*單
II
單
゜ 返 ゜ 須灘
鞭
↓
爨
壼
茹
∠
勿 ・11
此i
竺
b1
* 處麓 鷲
有 * ° シ萌
琶色
茎
緊
垂
鐘
騨
甦
憂
善
讐
頭
痛
゜ 而 シ % (1
) そ こ で、 い ま 迷 い と悟
り の 各 々 の十
重 の本
末 を 具体
的 に述
べ 、前
の経
論 に よ っ て 三種
の禅
の浅
深 を統
括
し 、相
い対
し て こ れ ら を 照 合 す れ ば 、 そ れ は 、 あ た か も 己 が掌
を指
す が ご と く に 明 瞭 と な ろ う 。 諸 々 の参
学
者
に 勧 め る 、 善 く 心 を安
ん ぜ よ 。NII-Electronic Library Service た と え
修
行 に お い て は特
定
の 一門
に随
お う と も、悟
解 に お い て は 自 由 無 碍 に通
達
し て い な け れ ば な ら な い 。 し か し 、 ま た 偏 り ま め を怕
れ る あ ま り、 芒 然 と し て究
極
の帰
着
点 の 無 い状
態 に 陥 っ て も な ら な い 。 源 と流
と 明確
に観
察
し て、菽
と 麦 の 区別
を し 、必
ず同
の 中 に異
を 見 、 異 の 中 に同
を見
な け れ ば な ら な い 。 鏡 に 映 っ た 像 が 千差
万別
で あ っ て も 、 そ の 美 醜 の 別 に執
着
し て は な ら ぬ 。 だ が 鏡 の映
す は た ら き が 一 つ で あ る か ら と い っ て 、青
黄
の 別 を 忌 避す
る こ と は な い 。 ま た千
の 器 も 一 つ の 金 で で き て い は ば へ だ て 、 互 い に阻
み隔
て る こ と は 無 く 、 さ り と て 一 つ の珠
に 映 る千
の 影 は 、 も と よ り 入 り乱
れ る こ と が な い の で あ る 。 志 を 立 て 心 を運
ぶ こ と虚
空
と 同 じ く し 、非
を防
ぎ
念
を 察 知 す る に は 、 わ ず か な 一瞬
の間
を捉
え ねば
な ら ぬ 。色
を 見 、声
を聞
く際
に は 、自
ら思
え、 そ れ は 影 や 響 の よ う な も の で は な い か、 と 。 身 を 動 か し 心 を は た ら か せ る 際 に は 、自
ら 思慮
せ よ 、 そ れ が仏
法 に か な っ て い る か ど う か 、 と 。 美食
や 粗食
に 対 し て は 、自
ら 想 え 、 好 き嫌
い の 思 い が無
か っ た か ど う か、 と 。 暑 さ と涼
し さ、凍
え と 暖 か さ と に 対 し て は 、 自 ら看
よ 、 そ れ を 避 け た り そ れ に 就 い た り す る こ と が無
か っ た か ど う か 、 と 。 さ ら に 、 ( 八 風 の )利
と 衰 、毀
と 誉 、称
と譏
、 苦 と楽
と に つ い て も 、 一 つ 一 つ 仔細
に 返 照 せ よ 、 真 に情
と 意 と が 一 つ で あ り 得 た か ど う か 、 と 。 も し自
ら 思 料 し て、未
だ こ の よ う に な り得
て い な い な ら ば 、 色 は 影 の よ う で は な く、 声 は 響 き の よ う で は な い こ と に な っ て し ま う の で あ る ( つ ま り 実 体 あ る も の だ と い う こ と に な っ て し ま う ) 。 た と え 実際
に 「頓
悟
」 し た と し て も 、 結 局 は 「 漸修
」 が 必要
で あ る 。 貧 乏 人 が、 一 日中
、他
人 の 宝 を勘
定
し て 、自
分 は半
銭 の 取 り分
も な い 、 と い う ふ う で あ っ て は な ら ぬ 。 六祖
大
師 も 言 っ て い る 、 「仏
が 一 切法
を説
い た の は 、 一 切 の迷
心 を解
脱 さ せ ん が為
で あ る 。 だ が 、 わ た し に は 一切
の心
な ど無
い 、 ど う し て 一切
法
な ど 必 要 で あ ろ う 」 と 。今
時
の 人 は 、 た だ こ の 語 に 基 づ い て 、教
え を 学 ぶ こ と を 軽 んず
る ば か り で 、 自 ら が 実 際 に無
心 を 得 て い る か ど う か を 全 く 顧 み な い 。無
心 で あ れ ば 、 八風
も 動 か す こ と は で き な い の で あ る 。 た と い 習気
は 尽 き て い な い に せ よ、瞋
り の念
が ふ と起
っ た 時 で も打
ち の の し る復
讎
の 心 は無
く 、貪
り の念
が ふ と 起 っ た 時 で も そ れ を 何 と か 手 に 入 れ よ う と す る 心 は 無 く、 他 人 の 栄 華 を 目 に し た時
で も嫉
妬 し て そ れ に 勝 ち た い と思
う
心 は無
く、自
己 に お い て も常
に 飢 え や凍
え を憂
う る 心 が無
く、 人 か ら さげ
す ま れ る の を恐
れ る心
や 、 そ れ に 類 し た 種 々 の 心 が無
い 、 さ す れ ば 一 切 の 心 の無
い 人 と 名 づ け て よ い の であ
る 。 こ れ を 「道
を 修 す 」 と い う 。 も し順
逆 等 の 境 遇 に 対 し て 、貪
り瞋
り や好
悪 の念
が無
い よ う に で き れ ば 、 こ れ を 「道
を得
た 」 と い う の で あ る 。 各自
返
照 し て 、病
が有
れ ば 治 せ、病
が無
け れ ば 薬 は 無 用 で あ る 。 (2
)問
う 、 「貪
り 瞋 り等
が 空 に ほ か な ら な い 、 そ れ を 一切
の 心 が無
い と名
づ け る、 と い う の な ら 、 ど う し て 対 処 が 必 要 で あ 『 禅 源 諸 詮 集 都 序 』 の 訳 注 研 究 ( 十 ) ( 石 井 ・ 小 川 ) 六 七 N工 工一Eleotronlo Llbrary『 禅 源 諸 詮 集 都 序 』 の 訳 注 研 究 ( 十 ) ( 石 井 ・ 小 川 ) 六 八 ろ う か 」 。 答 え 、 「 そ う だ と す る と 、 あ な た が も し
重
い病
で苦
痛 に 遭 っ た 場合
、 そ の 苦 痛 が 空 に ほ か な ら な い 、 そ れ は 病 が無
い と い う こ と で、 そ れ な ら薬
で 治癒
す る 必 要 も な い 、 と い う こ と に な っ て し ま う 。 つ ま り 、 貪 り 瞋 り は空
で あ り な が ら、 し か も お こ 業 ( 悪 い 行 為 ) を 発 す こ と が で き 、 そ の 業 も 空 で あ り な が ら よ く 苦 を招
く こ と が で き 、 さ ら に 苦 も 空 で あ り な が ら こ れ ほ ど に 忍 び難
い 、 と い う こ と を 知 ら ね ば な ら ぬ 。 そ れ 故 に前
の 図 の中
で体
空 ・成
事
と 言 っ た の で あ る く た と え ば 枝 葉 の な い 木 が 幽 霊 に 見 え る の は 全 く の 空 で あ る が、 か く も 人 を 驚 か せ 、 そ の せ い で 人 は 逃 げ 回 り 地 に 倒 れ 、 頭 が 割 れ 額 が 裂 け る の で あ る V 。業
が 空 で あ り な が ら 、 そ の 空 が か く も業
を造
る と い う こ と か ら す れば
、 地 獄 で焼
か れ煮
ら れ る痛
み に つ い て も 、 そ の痛
み が 空 で あ り な が ら、 し か も か く も 痛 む の だ と い う こ と を 知 ら ね ば な ら な い 。 も し そ れ で も痛
む ま ま に任
す と言
う の で あ れ ば、 現 に今
も し 人 が い た と し て 、 火 で 焼 か れ 刀 で切
ら れ る場
合 、 あ な た は ど う し て そ れ に任
せず
に お れ な い の か 。今
、学
道
の 者 を 観 る に 、気
に 入 ら ぬ言
葉
を 一 言聞
い て す ら 、 そ の ま ま に任
す こ と が で き な い の に 、 ど う し て 焼 か れ 切 ら れ る ま ま に任
せ た り で き よ う か 。 (1
)随 寄
11
修 行 者 が 指 導 者 に 随 い 、 そ の 人 に た よ る こ と 。 (2
)菽 麦 を 分 た し め
11
『 春 秋 左 氏 伝 』 成 公 十 八 年 ( 『 十 三 経 注 疏 』 巻 二 八 − 二 八 丁 左 ) の 故 事 に 基 づ く 。 「 菽 麦 不 分 」 で ま め と 麦 の 区 別 が つ か な い こ と 、 愚 か な こ と の 喩 え 。 『 碧 巌 録 』 三 八 則 評 唱 ( 岩 波 文 庫 本 − 中 八 〇 頁 ) に も 「 菽 麦 不 分 」 と あ る 。 (3
) 青 黄11
青 黄 は す べ て の 色 の 代 表 。 そ こ か ら こ の 二 字 で 】 切 の 差 別 相 を 言 い 表 わ す 。 例 え ば 南 嶽 慧 思 の 偈 に 「 天 も 蓋 う 能 わ ず 地 も 載 せ ず、 無 来 無 去 無 障 礙、 無 長 無 短 無 青 黄 、 中間
及 び 内 外 に 在 ら ず 」 と あ る ( 『 景 徳 伝 燈 録 』 巻 二 十 七 ・ 禅 文 化 本 五 五 六 頁 。 ) 。 (4
) 影 と 響 と の 如 し11
『 祖 堂 集 』 巻 】 五 〔Wl
一 〇 〇 ) の 汾 州 無 業 章 に コ 切 諸 法 は 影 の 如 く 響 の 如 く 、 実 な る 者 有 る こ と 無 し 」 と あ る 。 以 下、 六 つ の 具体
的 な 修 行 の 点 検 項 目 を あ げ る 。 (5
) 利 と 衰 と … …11
後 文 に 言 う 「 八 風 」 の こ と , 八 風 は 『 起 信 論 』 ( 岩 波 文 庫 本 九 二 頁 ) の 忍 門 に も 説 か れ、 そ の 文 は 五 二 段 の 注鵞
) に 既 に 引 用 す 。 (6
) 設 い 実 に 頓 悟 … …11
宗 密 教 学 の 根 本 思 想 の 「 頓 悟 漸 修 」 説 で あ り 、 「 漸 修 」 を 強 調 す る と こ ろ に 注 意 す べ き で あ る 。 (7
)貧 窮 の 人 の … …
11
『 華 嚴 經 』 の 「 菩 薩 間 明 品 」 ( 大 正 巻 一 〇1
六 八 a ) に 「 人 の 他 の 宝 を 数 え て、 自 ら 半 銭 の 分 無 き が 如 く、 法 に 於 て 修 行 せ ざ る 、 多 聞 の も の も 亦 た 是 の 如 し 」 と あ る に よ る 。 (8
> 六 祖 大 師 云 く … … ー 『 伝 心 法 要 』 ( 入 矢 義 高 訳 注 本 ー 三 〇 頁 ) と 『 宛 陵 録 』 ( 同 − 九 七 頁 ) に 同 文 が 引 用 さ れ、 前 者 は 「 祖 師 云 」 と いNII-Electronic Library Service う 。 鎌 田 本 に は、 『 六 祖 壇 経 』 ( 敦 煌 本 ) に 「 無 念 法 者 、 見 一 切 法、 不 著 一 切 法、 遍 一 切 処、 不 著 一 切 処 」 ( 参 照、 楊 曽 文 『 敦 煌 新 本 六 祖 壇 経 』 三 一 二 頁 ) と 見 え る の み と 指 摘 す る 。 し (