島大農研報 (Bull.Fac,Agric.,TottOri uniL)28 55∼ 65(1976)
放牧経過 に伴 う牛 の血液性状 並 びに
血液凝 固能の変化 について
林
隆敏“
・ 山根 乙彦・・迫
ド
・
・平安名盛己
・
!坂
井三千だ
昭和50年9月22日受付
HematO10gical Changes in Heifers during the Grazins PeriOd
Takatoshi HAYASHl, Otohiko YAMANE, SatOru SAKO,MOrimi HENNA and Michiharu SAKAI
Thirサ heifers were grazed on a pasture harbOuring numerous ick parasites. Each of tlle heifers had received blood cOntaining piroplasma protozoa for prevention about three mOnths before tlle beginning Of the grazing peFiod. Observations of hematologic changes and sOne of the coagulative functions were made on hem at intervals oF a monh frOm tlle beginning of grazing
(April). The results proposed some ques onable prOblems as follows. There were no marked changes of white cen counts, hematocrit values and hemOgiobin concentration. But the L/N ratiO exhibited a gradual increase fonowing the grazing periods. These findings suggest some kinds Of bOne marrow dysftlncions.
Since tlle red cens didrl't decrease in count in May when he parasitic rate increased in b100d, and anisOcytosis oF tlle eryhrOcyte was never seen in blood smears, such a prOphylactic method seemed to be effective for tlle 甚pttSI∴
sp黙 i鵜
)GPT tte h ttmm勘
醜mw activitt h
tlle coagulative fRanction tests a shght shOrttning of plasma recalciacation time and a pro10ngation of plasma prothrombin time in each periOd were fOund, but here were no changes of the b100d platelet either in cOunt or in adllessiveness hroughout htt examina on. FrOm these results tt was supposed 、 tllat mOst of he grazing aninals in his pasture suFfered from some kindsOf hver funcSOn disorders, especially productive disturbance of hepatic coagulaive factors, alhough he cause remained unknOwn.
しか し放牧場では飼 養環境や管理方法の異 なる牛 が各地 緒
言 か ら集合す ることや舎飼牛 を急 に放牧 す ることな どが原 わ刑国 における放牧 は、1961年 頃 か ら盛 んになり全国 因 とな り、放牧牛の発病率 が高い。 また舎飼 では問題視 各地で車地 造成 が推進 され、 これ に伴 って放牧牛 の頭数 されなかった原 因が放牧場 では発病 ない しは死 亡の原因 も増加 し、近年 とくに人工草地 は大型化の傾向にある。
となることもある。放牧牛 に多発す る疾病 は舎飼 牛 に発 *′烏取大学農学部獣医学科家畜内科学研究室
D?PαTι阿 ?″ ιOF y?ι?T,″αTy ScJぞ″c9, Facv′ιy oF/1=T'c,′
'vT9, TοιιοT'1/PtJυ ?TsJι♂
林 隆敏・ 山根 乙彦 ・迫 するそれとは、その病性が異 なることもあって、放牧病 という名称が慣用 されつつある。 放牧病は感染病を除けば、土、草、家畜の三者間のバ ランスが崩れた時に発生することが多い。 したがって放 牧病の病性を把握するためには、その牧野および放牧牛 の実態を熟知する必要がある。放牧牛の実態に関する報 告は枚挙にいとまがない沸ヾ、地域 により放牧地の環境 も 相違するので、放牧牛の衛生管理 に際 して他地域で得 ら れた成績 をそのま ゝ利用することは しば しば不合理 を生 ずる。 著者 らは鳥取県大山放牧場 に放牧 された牛 を対象とし て、入牧 (4月
)か
ら4ケ 月間、血液変化の面から放牧 環境が牛体 に与 える影響 について検索 した。 実験材料および方法 大山放牧場の概要については既 に報告 した27上 該牧場 の放牧牛は、1973年 1月にあらか じめピロプラズマ毒血 注射りを実施 し、各農家で飼育 していたものの中から、 ピロプラズマ人工感染が成立 し、臨床検査により異常が 認められなかったもの 216頭 (ホルスタイン種、雌)が
選ばれ放牧 された。放牧期間は4月 から10月の 7ケ 月間 で、放牧牛の年令は生後 7月 から16月令であった。総面 積100ha余の放牧地 に面積 4∼7 haの牧区力Ч3区設定 さ れ、50∼60頭を一群 として各区を一週間々隔で輪環放牧 された。 調査対象牛は放牧牛の うち月令10∼14月のもの58頭で、 検査はおよそ30日間隔 とし、 4月24日 (入牧前)、 5月 31日、 6月20日、 7月 ■ 日および8月22日の5回 実施 し た。5月以降は58頭の中から検査毎に30頭 (8月 はレ頭) を無作為的に選び供試 した。 検査は臨床検査、血液理学的検査および凝血学的検査 を行った。臨床検査により異常が認められないもの (正 常群)、 可視粘膜 に出血斑 が認め られるもの (出血群) の2群 に分類 した。可視粘膜の出血斑の形態は既穀2つの 如 く、点状 ない し針 尖状から米粒大 と種々であり、一部 には斑状 を呈するもの もみ られた。 両群の検査例数はTable l Distribution of heifers during the grazing period
Experimental M
Remarks, Normal :No symptoms
Hemorrhagic: Petechiae of mucOus membrane
悟・平安名盛 己・坂井三千治
Table 2 1tems used in tlne tests and methods Tests perfOrmed Metllods used
RBC(×104/m■3) Electronic cen countlng. Coulter counter A
Micro― hematocr“ method 121X O rpm 5min
Cyan merhemOgbbin methOd, Hemogiobinometer,ERMA 3∝ ` MCV仔 31,MCH ttμg), MCHC(%) Thoma―Zeiss Rees_Ecker. BIood smeai BIoαユsnear.
Reittllan―Frankel method
AtOmic absorptiOn spectrophOto meter
HITACH1 208
Refractometry HITACHI serum
protein refractometer ElectrophoreSs cenulose acetete. Tyrosin method
CIass_fliter Tanaka's method.
F,Iter NαG-1. 313%citrate
Owren's method.NYECAARD,EIZAl.
Quicrs one step method Dresttn's metllod.と yoplastin,
MOCHIDA
Hcmatocrit valむes(%) Hemoglobln concentra on lg/dl) Mean corpuscular WBC(×102/mm 3) PLtdet(×104/nD3) L/N ratiO Piroplasma
COT,CPT (Karmen unit)
M5Ca,Nat K(mg/dl)
Sertun toぬl protelll
(g/d) Seru n protein fraction
(9/9)
,lasma ttbrinogen ievel lmg/d) Piatelet adhesiveness (%) Plasma recalcinca on (sec.) Thrtllnbotest(sec)
Plasma pronrombin the
(sec) ProthrOnbin cOnsumption test(sec) Table lに、血液理学的および凝血学的検査方法はTab腱 2に 示 した。 実験成績
1.血
液理学的検査成績 赤血球数、Ht値、Hb量 、赤血球平均恒数、自血球数、 血小板数およびL/N比の平均値 をTable 3に 示 した。赤 血球数、Ht値およびHb量 の経月的変化を Fig.1に 、赤 血球平均恒数の経月的変化を Fig.2に、自血球数、血 小板数およびL/N比の経月的変化をFig。 3に 示 した。 赤血球数は5月 にはわずかに増加 したが、 6月 には入 牧時の値 に減少 し、 7月 に再び増加 し8月 には減少 した。 出血群 が正常群よりも貧血度が高い傾向はみ られなかっ た。H齢査およびHb量 は 5月 にわずかに減少 し、その後は 漸減傾向がみ られた。顕著 な赤血球大小不同症はいずれ の例 にもみ られなかった。MCVお
よびMCHは
5月 に低下 し、この値 は7月 まで ほとんど変動せず移行 したが、 8月 にわずかに上昇 した。 しか し入牧時の値 より低いものであった。MCHCは
5月 にわずかに上昇 したが、その後は8月 までほ ゞ同値 をつ ゞけた。これらの平均恒数は出血群 と正常群間で異なる 傾向を認めなかった。 白血球数は 5月 と7月 に増加 し二峰性を呈 したが、そ periods 」u母
1選
躍
h 58 0 23 18 7 12 14 16 15 17放牧牛 の血液変化
57
Table 3 Mean b100d values of grazing heifers in each experimental period Experimenttl periods
April May 」une July August Group ︵ 帽 卜 自 × ︶ 0 口 α ︵ 課 ︶ 〓 L 0 9 愛 H o E ︵的 ミ \ ︶ 〓 O 属 ︵ 帽 洋 宮 X ︶ 0 口 差 ′ Mean 608.6 S.D。 103.1 Max. 882 Min, 428 ■. 58 Mcan 33.5
S.D. 4.8
Max. 44,3 Min. 24.3 n, 55 Mean 9.8S.D. 1.3
Max. 12.2 Min, 7.4 n, 58 Mean 55.3S,D. 4.6
Max. 66,7 Min, 46.4 n, 55 Mean 16.4 S.D. 2.1 Max. 21.8Min. 9,1
n. 58 Mean 29.5 S.D. 3.4 Max。 36.0 Min, 19.4 n. 55 Mean 151.2S,D. 40.1
Max. 258 Min, 86 n. 58 641.2 634.8 98.7 19,1 844 658 510 612 26 4 29.5 30.03.4 2.8
34.5 33.6 21,0 27.5 26 49.6 9.7
1.1 0.8
11.0 10.5 6.8 8.9 26 4 46.5 47.35.4 4.6
62.3 52.6 37.2 41.8 26 4 15,2 15。31.8 1.3
18.7 16.4 12.8 13.5 26 4 32.7 32.3 2.1 0,7 36.1 32.8 26.5 31.5 26 4 608.5 633,0 121.0 182.6 848 874 398 266 23 7 26.9 25。74.1 6.5
37.1 37.0 19.8 18.0 23 79.0 8.7
1.1 2.3
11.2 12.96.9 5,3
23 7 45.0 49.26.4 8.8
59.9 67.7 36.6 42.8 23 7 15.1 16.41,8 2.5
19.0 21.8 12.5 14.5 23 7 33.4 33.72.2 0.9
39.8 34,9 28.0 32.2 23 7 625.0 569.5 144.0 101.4 895 722 383 435 22 8 27.9 26.93.4 1.6
34.2 29.5 21.4 25.6 22 8 9,4 9.0 1,0 0.611.0 9.9
6.9 8.3
22 8 46.0 47.47.0 7.4
64.0 59,3 37.2 38.9 22 8 15.6 15.82.8 2.6
22.5 20.2 12.1 13.1 22 8 33.7 33.31.4 1.1
36.2 34.9 31.4 31,7 22 8 519.2 558.6 100.6 111.1 747 768 342 433 25 7 25.4 26.1 2.5 3.0 30.0 30.6 19.7 21.0 25 7 ︵ o \ ︶ > O E習
邑
=
曽
§
159.8 173.5 43,7 64.3 256 244 88 102 26 4 141.6 143.7 54.6 42.6 289 211 77 86 23 7 34.2 33.87.5 8,7
46.6 47.8 21.0 23,0 23 7 160.6 149.9 32.4 33.0 243 206 117 114 22 8 32.2 31.59.8 7.4
61,0 46.6 18.2 21.4 22 88.4 8.6
0,9 0。9 10,0 9.9 6.4 7.1 25 7 50,0 47.5 6.0 5.2 61.7 56.1 37.0 39.8 25 7 16.6 15.8 1.9 1.9 19.8 18,9 11.7 12.9 25 7 4.3 3,9 2.4 1.1 9.2 5,2 1.3 2.6 25 7 33.2 33.1 0,9 0.8 34.5 34.0 31.5 31.9 25 7 33.5 30.2 12.0 9.0 74.4 42.2 20.8 16.8 25 7 134.6 139.7 39,3 52.1 256 240 82 86 25 7 ︵ 帽 ヽ 日 × ︶ ゃ 遭 P 翼 缶 ゃ ゃ、 ︻ Z \ d Mcan 31.5S.D. 9.8
Max. 63.6 Min. 18,2 n. 58 Mean 2.0S.D. 0.8
Max. 6.1
Min, 0,3 n. 58 34.0 40.7 9.5 4.8 57.6 47.4 20.2 37.0 26 42.7 4.0
1.6 1.1
7.8 5,6
1.0 3.0
26 44.0 8.0
2.3 6.2
11,3 20.60,9 2.9
23 73.6 4.8
1.7 2.1
8.4 8.91.1 2.7
22 8 Remarks, N: NOrmal group.._。 NO symptoms林 隆敏 。山根乙彦・迫 I‐"==1:電
許
―
ヽ
=〓 111……
t=lll:L_ヽ、
1.I I Norm』 l HenorrliaHic 悟・平安名盛己・坂井三千治 の変動値は僅少であった。また出血群が正常群 に比べて 低値 を示すような傾向も認めなかった。 血小板数は8月 までほ ヾ同値 を維持 した。出血群 が8 月に正常群より低値 を示 したが、その差は僅少であった。 L/N比は入牧後 8月 に向って漸増傾向を示 した。出血 群では8月 を除 き正常群より高かった。これは出血群中 に2頭の高値 を示 した例 があったことによる。 しか しこ の2例 の血小板数は正常範囲にあった。 赤血球寄生原虫はいずれも小型 ピロプラズマであり、 入牧時 における寄生率は全例 (+)∼ (‖)であったが、5 月以降は(‖)∼ lWlに 上昇 した。2.血
清 トランスア ミナーゼCOT、
GPTお
よびGOT/GPT比
の成績 をTable 4に、これ らの経月的変化 を Fig,4に 示 した。
GOTは
入牧後 上昇 し、 6月 にピークに達 し、その後漸減 した。出血群 は 8月 を除 きいずれの月でも正常群 より高値 を示 した。GPTは
漸増する傾向が認められた。GOT/GPT比
は漸減 した。GOTお
よびGPTは
いずれの例 もGOT>GPT型
で あった。3.血
清無機質血清中のM9、 Ca、 Naお よびKの 測定値 をTable 5に、
これ らの経月的変化をFig.5に 示 した。
M9は
変動 しなが ら漸増する傾向がみ られた。Caは5 月に上昇 し、その後 7月 まではほとんど変化 しなかった が、8月 には再び急上昇 した。Naで は漸増傾向を、Kで
は漸減傾向をみとめた。これらの変動は出血群 と正常群 間で差異は認め られなかった。 40 30 20 ︵ 韻 ︶ ︺ I 酬 帥 蠅 ︲2 ︲0 8 6 ︵ oE ミ ︶0 榔 X ︶ 0 ∞ ∝ ︵可 \“ ︶ 0 エApl・1l May June 」uly August
Experimental peHodも
Fig.l Variations Of RBC,Ht and Hb in grazilig lleifers
Remarks RBC:red blood celi counts
Ht ,hematocrit values Hb :hemoglobin concentratlons
I I
Fig.2 Variations of mean corpusCular cOnstants in grazing heifers. ︵む 、 ヽ ︶ 霞 O E 6 0 5 0 40 3 5 3 0 2 5 命 ヽ ︶ > O 夏 ︵浪 ︶ O r O 房 Ju︲y ods e ta M 至Hemorrhagic
Ap市l May 」une July Aupst
Experimental periOds
Fig.4 Variatrons Of transaninase actl ty and 60T/GPT
ratio in grazing heife「 s.
220 m ︲40 硼 モ ビ ︻ 50 40 30 ︵ 亀 く も ︻ X ︶ o m ヨ ︵ o 彊 \ Ь H x ︶ 一o 種 、 エ
June 」uly Auttst inent』 periods
Ood cdl alld∬ateにi COunt and
放牧牛の血液変化
Table 4 The mean values OF serun transaminase activity and GOT/GPT ratio in grazing heifers Experimental periods
April
May
」une 」uly AugustGroup 9 4 6 6 8 Mcan S.D. Max. Min.
Mean
S.D. ヽlax. Min. M ean S.D. Max. Min. 5。1 2.0 10.8 2.0 22 3.8 0.7 5.2 2.8 8 g D E o g L ゛ V ︶ 仲 0 0 戸 E o E ︼ ヽ Y ︶ 卜 偕 υ o ﹂中 o 隣 卜 儀 り \ 卜 O O 5.9 5.5 4.9 7.8 2.4 1.1 61.o 12.8 5.8 1.4 2.7 3.6 55 23 35,3 4.1
1.3 1,0 7.1 6.7 3.8 2.4 7 223.1 2.8
0.7 0.8 4.7 4.2 1.4 1.9 25 7Table 5 The mean values oF serum inorganic substances in grazing heifers Remarks: N: Normal grOup.… …No symptOms
H: Hemorrhagic group...Petechiae of mucous membrane
April
Experimental periOds
May June 」uly August
含 ” \ 的 日 ︶ い Σ 含 ↓ \ ] 日 ︶ ヽ O 合 ︺ \ 脇F じ d Z 企 ︺ \︺ 日 ︶ 望 CrOup Mean S.D. Max. Min. Mean S,D. Max, Min. Mcan S.D. Max. Min.
2.3 2.2 2,2
0.3 0.2 0.2
2.8 2.6 2.4
1.6 1.8 2.1
54 22 3 10.0 11.5 11.3 0.6 0.7 0,7 11.5 12.9 11.9 8.5 10.5 10,5 54 22 3 24.8 23.5 22.02.3 1.3 1.0
28 26 23 21 21 21 54 22 3 272.6 283.2 286.7 20,0 9,6 2,9 310 315 290 210 270 285 54 22 32.7 2.8
0.3 0.3
3.3 3.32.3 2.4
22 7 11.2 11.40.9 0.7
13,1 11.9 10.0 10.0 21 7 309,0 316.4 13.0 18.0 335 335 285 280 20 72.4 2.4
0.1 0.2
2.6 2.6
2.1 2.2 16 7 11.4 11.20,9 1.o
12.5 12.59,4 9.8
22 8 313,7 309,3 12.5 11.0 350 325 300 295 15 7 22.1 21.6 1.4 1.2 25 24 21 20 16 7 2.5 2.5 0.2 0.2 2,8 2.7 2.1 2.1 25 7 12.8 12,8 0.6 0.6 13.8 13.8 11,0 11.8 25 7 22.8 21.9 1.7 2.0 26 24 19 19 25 7 345.2 333,7 43.0 12,7 490 351 310 320 25 7 卜lean S.D. Max. Min. 23.3 24.12.3 2.0
30 27 21 21 21 7 Remarks, N: NOrmal grOup.… …NO symptoms林 隆敏・山根 乙彦・迫
I I
Apr‖ May June 」uly August
Experimental periods
FIg.5 VarЙ ons oF serum inclrga c eにments h graがllg hdFers
4.血
清蛋白質量並 びに各分画血清蛋 白質量並 びに各分画の成績 をTab腱 6に、 これ らの経 月的変化 をFig.6に示 した。
Aprl May 」une July August
Experimental periods
Fig.6 VariatiOns of serum protein components in gra7ing heifers
血清蛋自質量は漸増傾向を示 した。 しか し6月 には前 月に比べて軽度の低下が認め られた。 悟・平安名盛己・坂井三千治 各分画値 についてみると、Aibは 5月および 6月 にわず かに低下 したが、 その後 はほ とんど変動 しなかった。 α…globは5月 にピークを示 し、その後漸減する傾向を、 β―giObは入牧後漸減の傾向を示 した。γ―giobは5月 にわ ずかに上昇 し、その後はほとん ど変動 を認めなかった。 A/G比は5月に低下 し、その後はほとんど変動 しなかっ た。 上述のいずれの項 目で も出血群 と正常群間に異 なる所 見は認めなかった。
5.凝
血彰的検査成績 凝血学的測定値 をTable 7に 、これ らの経月的変化を Fig,7に 示 した。 I Normal =Hemorrhaglc ︵ミ ] 日 ︶ 、 z = 命 ヽ E ︶ ] 君 宅 ヽ 営 ︶ ▼μ
疑
可
ポ
撒
ド
︵句 \ ∞ ︶ 渭 翌 o L a 偏 や 0 い c 一 . § 晴 O \ く 60 40 20 35 30 25 60 50 40 30 ︵ 韻 ︶ ∽ ∽ o E ロ エ め ど 電 ω も ヽ 電 一“ 令 け o J ゃ 切 留 貿 , g o L ド ト ︵ も ω 也 g o 一 h g 戸 ∽ g o O 幅 や 日 0 鮨 嘔 0 缶 ヽ 朗 細 酬 250 200 150 m 20 18 ︲6 ︵ 3 再 日 ︶ c o ] O α 一残 ■ に ︵ づ o と E o F s o こ う ︻ 8 営 ︵ d o u E お g o 時 ‘ O L ト『
1詢
弔
1■
1
I悪
=====.I'II司
豹 、 吋
IAprl May June 」uly Au3st
Experimental periods
Fig.7 Variations of plasma fibrinogen,recalcincation time, prothrombhi llne,prothrombin consulllption tine,thrombo―
test and platelet atuiess eness in graziilg heirers
フ ィブリノーゲン値は5月 に上昇 し、その後は漸減傾 向を示 し、出血群 と正常群間に差異はみ られなかった。 血小板粘着能は5月 に低下 し、その後は大 きな変動を 認めなかった。Ca再加凝 回時 間は 6月 および7月 に短縮 を示 したが、 8月 には入牧時の値 に復 した。 トロンボテス ト値は27∼31秒の範囲で変動 したが、一 定の傾向は認められなかった。プロ トロンビン時間は5 月に1∼ 2秒 の延長が認められたが、その後 は一定の傾 向を示 さなかった。 しか しいずれの月も入牧時 に上rべて
放牧牛 の血液変化
61
Table 6 The percent compositions of serum protein components in grazing heifers Experimental periods
April
May
」une 」uly August︵︻可 \中 ︶ 目 ︻O や O H a ︻d ゃ 。 卜 ︵浪 ︶ F 日 戸 豊 く ︵ 歳 ︶ . や o ︻ ∞ f l も ︵ 浪 ︶ ど o 島 ︱ 堂 ︵ ヾ ︶ . や o ︻中 ︱ ︱ ト o 事 § ︻ O \ く GrOup Mean S.D. Max. Min. Mean S,D. Max. Min. Mean S.D. Max, Min. Mean S,D. Max. Min. Mean S,D. ヽlax. Min. Mean S.D。 Max. Min. Remarks. 6.8 7.4 0,6 0.5 8.0 8.6 5.1 6.6 55 26
8.0 7.9
0.7 0.68.8 8.6
6.8 7.1
25 7 45.9 44,14.3 3.4
57.0 50.0 36.5 39.5 25 7 13.4 11.81.6 2.0
17.5 15.010,0 8.5
25 7 48.2 5.3 58.0 37.0 55 13.8 2.1 18.5 10.0 55 11.5 1.2 14,0 8.5 55 26.3 6.2 36.5 18,0 55 42.9 4.8 60,0 36.0 26 14.7 2.2 19.5 8,0 26 11.4 2.1 20,0 8.0 26 31.0 4.4 39,0 21.5 26 7.2 0.3 7.5 6.9 4 45.4 4.0 50.0 40.5 4 14.9 1,4 17.0 14.0 4 11.3 2.2 14.0 9.0 4 28.5 5.6 36.0 24.0 4 7.0 0。9 8.8 5.2 23 14.4 1.1 17.5 13.0 23 10.7 1.7 16.5 8.0 23 31.4 4.5 39,0 19.0 23 7.0 1.0 7.7 5.4 7 13.6 1.7 15.5 11,0 7 10,7 1.6 12.5 9,0 7 32.0 5.4 42.0 25,5 7 7.5 0,9 8.7 5.6 22 46.5 3.9 55.0 39.5 22 12.1 1.6 16.0 9.0 22 9,6 1.4 13.5 7.5 22 31.8 4.5 41.5 25,0 22 0.88 0.14 1.22 0.65 22 7.7 0.6 8.5 7.0 8 44.0 3.8 48.5 38.0 8 12.6 1.5 14.5 10.0 8 9.5 1.1 11.5 7.5 8 34.0 5,3 42.0 27.0 3 10.1 1.4 14.0 7.5 25 10.1 1.0 11.5 8.5 7 43.4 43.63.1 6.5
49,0 51.0 38,0 33.0 23 7 30,6 34.15.3 4.6
42.5 41.5 16.0 27.0 25 7 0.94 0,76 0.19 0。 18 1.38 1.50 0.59 0.56 55 26 0.84 0.77 0.79 0,13 0.10 0.21 1.00 0.96 1.04 0.68 0.61 0.49 4 23 7 0.83 0.86 0,79 0.11 0.16 0.11 0.94 1.33 1,00 0.61 0.57 0.69 8 25 7 NH Normal group.… …No symptoms
林 隆敏・ 山根乙彦・迫 悟 。平安名盛己・坂井三十治
Table 7 The mean values of blood coagulation tests in grazing heifers Experimental periods
April
May
」une 」uly `AugustGroup Mean 668,3 795.3 S.D。 122.0 162,7 Max. 1039 1181 Min. 467 492 n. 58 26 710.3 751.4 751.1 195.9 137.0 89.0 996 1107 861 566 529 603 4 23 7 713.3 610,7 558.0 76.5 111.6 67.4 861 955 653 627 463 477 8 24 6 Mcan, S,D. Max. Min. 50.6 15,0 76 23 27 16.1 1.1 23 13 57 32.6 14,7 66 17 26 17.5 1.0 19 15 25 40.1 12.6 62 23 7 16,1 0.4 17 16 7 700.3 80.6 886 578 22 33.1 19.0 67 8 22 17.8 1.3 21 16 22 40.0 15.2 52 15 8 17.5 1.8 21 16 7 ︵ ︻ ” \ 磁 餌 じ E o m o E ︻ ︻ や 照 付 E り a r 山 ︵ 韻 ︶ η ∽ O E ω > 泊 め ω ■ ” 0 P O ︻ω , a r ︻ ︵ む 0 ∽ ︶ 0 日 F E Q F d O 嘔 ︻0 ︻0 。 ω ” 0 日 け 嗚 ″ 山 ︵ .O O ∽ ︶ 一 ∽ 0 ■ 0 つ 居 0 ︻ 正 F F ︵ ,o O ∽ ︶ o F ︻中 ゛ E 中や E O 歯 〓 甲 0 ︼ h ︻ . o O ∽ ︶ や め り , 膚 ︻ p 居 O H I F O H 缶 41,3 41.3 8,7 16.3 49 69 31 10 4 23 146 16 192 128 23 18.3 16.5
1.3 1.1
20 19 17 15 4 23 34,4 33,9 12.9 9.5 59 48 12 22 25 7 17.3 17.40.8 1.2
19 19 16 16 25 7 8 2 1 5 6 ヽlean S.D. Max. Min. Mean S,D. Max. Min. Mean S,D. Max. Min. ■. Mean S,D. Max. Min.Remarks. N: Normal grOup.… …NO symptOms
放牧牛の血液変化 軽度の延長がみ られた。プロ トロンビン消費時間には一 定の傾向は認めなかった。 以上いずれの検査において も正常群 と出血群間に大差 はなく、また出血群 に凝血障害および出血性素囚を示唆 するような傾向はみ られなかった。 考
察 放牧キの血液性状 に関する報告3,5,9,15,17,21,熟)は多 数み られるが、それぞれ環境条件の異 なる放牧地 か ら得 られた成績であるため、他の放牧地 における牛の健康管 理のためにただちにこれを利用することは適当で ない。 したがって牧野ごとに放牧牛の血液性状 を経時的に追求 することは、放牧牛の衛生管理上重要である。 鳥取県大山放牧場 における放牧牛の血液性状 に関する 報告がみ られる1'4,6,8,10,19,25)が、これ らは特定の項 目に限って実施 した検査成績 によるものであり、 また経 時的観察にも乏 しい。林原・入江4)によれば該牧場 にお いては、ピロプラズマ病予防の目的で1971年より入牧前 に毒血注射を実施 し、赤血球るよび白血球数を中心に経 時的変動 を追求 したところ、人工感染牛 を放牧 した場合、 入牧後 2ケ 月日頃に貧血所見がみられるが、貧血の進行 が非感染放牧牛 に比べて緩慢であった。ピロプラズマ人 工感染法の効果について、水谷、水野151も同様な所見を 認めている。 またこのような所見は、放牧経験牛 と放牧 未経験牛でも報告 されている3,5,9)。 今回の放牧牛は、入牧前の赤血球数がSchalm2ω に比 べて少ない。これは放牧前に実施 されたピロプラズマ人 工感染いの影響によるものと思われる。また人牧後の赤 血球数は、 1ケ 月後 にはわずかに増加 し、 2ケ 月後の減 少も著明ではなかった。 4ケ 月後 (8月
)に
最低値 を示 したが検査群の平均値が500X104/ 以下に減少する時 期はなかった。 これは該放牧地の草生状況 の良否にもよ るが、放牧前に実施 されたピロプラズマ人工感染の効果 によるものと思われる。 人工感染牛のHt値 およびHb量 は、入牧後漸増する1° ものと、逆に減少する°ものがあるが、同様 な所見は放 牧経験牛 と放牧未経験牛 においても報告 されている3,9と 大山放牧場の放牧牛の場合、入牧後 におこるHt値および Hb量 の軽度の低下は、入牧後 ピロプラズマの寄生率が高 まることによると思われる。一般に赤血球大小不同症を 伴 う貧血時においては、Ht値 と赤血球数は必ず しも相関 は しない。今回の成績では入牧後、放牧牛の ピロプラズ マ寄生率の増加がみ られるに拘 らず、赤血球数が僅かに 増加 し、木不禽血 に大小不同症がみ られなかった。これは ピロプラズマ人工感染による免疫獲得の結果、貧血の進 行 と骨髄 における造血刺激 が微弱であったためと考えら れ、今回得 られた、この時期 にHb量 は軽度 に低下するが Ht値 は上昇 しないという所見がこれを裏づけている。 小型 ピロプラズマ寄生により溶血性貧血が惹起すると 考えられるが詳細は不明である。高橋 ら2働は実験的ピロ プラズマ感染によ り小型 ピロプラズマの貧血が大球性、 高色性があると述べているが、今回の赤血球平均恒数の 成績からもこのことが推測 された。 放牧牛の白血球数は入牧後減少すると報告 されている3,電 今回の成績 にみ られた 5月 の増加はピロプラズマ原虫の 増殖期 におこる自血球数増加23)と解 したい。 放牧牛のh/」ヽ板数の変動は軽度で、わずかに増加する 傾向を認めたとす る報告がある13と 今回の成績でも大 き な変化はなく、 また一定の傾向も認めなかった。 放牧牛のL/N比は入牧後漸増するとの報告がある°。 今回の成績でも8月 にかけて軽度なが ら上昇の傾向をみ とめた。出血群が正常群より高値 を示す傾向にあったこ とは興味深 い。牛のワラビ中毒にみ られるL/N比の著 し い上昇2,12,18,2ω を考慮に入れると、今後骨髄機能面の 検索を含めて更 に追究する必要がある。 放牧牛のGOT、GPTに
ついて、三宅 ら17k友 田ら24) は放牧期間中軽度に上昇すると述べている。今回の成績 でも同様 な傾向が認められた。 またGOT/GPT比
の漸減 傾向を認めた。 これ らの所見は何 らかの原因による肝機 能障害の存在を示唆 している。出血群のGOTが
正常群に 比べわずかなが ら高値 を示 したが、その原因については 詳かでない。 放牧牛 における血清無機質の変動 を観察 した報告は少 ない・ '1°。金野 ら11)は異 なる放牧地か ら得 られる血中 M9およびKの 測定値の差は、土壊、草地の施肥管理 が相 違することによると述べている。今回はNaお よびM9の 漸増、Caの 8月 における急上昇、Kの
漸減傾向などを認 めた。その意義については今後 にゆずるが、土壊、施肥 管理条件 との関連面からの追究がまたれる。 放牧牛の血清蛋白質量の変動については、三宅 ら1つは 入牧後減少 したと述べているが、入牧後漸増するとする 報告が多い3,5,15,21)。 そのピークを示す時期は放牧地 が異なるため多少の差が見 られる。今回の成績では入牧 後 8月 にかけて漸増 を示 し、平松 らめ、藤原 らめの成績 と類似 していた。放牧中の蛋自濃度の増加 に関連す る因 子 として、新林 と米村21)は良性牧草の摂取、水分摂取不 足 による血液濃縮、諸種感染源 による抗体蚕 白質の増加 を挙げているが、著者 らは血中Naの 漸増傾向をも勘案す林 隆敏・山根 乙彦・迫 ると血液濃縮の影響 を特に重視 したい。 血清蛋自質の各分画は、諸家の成績3,15,21)と同様 な傾 向を示 しており、寄生虫、ウイルス感染など特別の感作 がない限 り、今回み られたような変化が放牧牛の一つの 蛋自分画像であると思われる。 放牧牛 における凝血学的検査成績は少ない。血策 フィ ブリノーゲン値 についてヾ小作 ら13)は5月 に急上昇 し、 その後漸増すると述べている。参回の成績で も5月 に急 増 したが、その後は漸減 した。しか しほとん どの例 が5110 ∼800a19/dゼの範囲にあり、MCSherryら1つの健康牛値 に 近いものであった。その他の項 目では明瞭な変化は認め られず、Ca再 加凝回時間の 6月 及び7月 における短縮、 プロ トロンピン時間の入牧後の軽度の延長がわずかに日 立った。 これ らの変化に主として関連するのは肝生成因子およ びh/Jh板因子であるが、前述の如 く血小板数 には著変が みられていないので、今後は肝機能面 を重視 して検索す る必要がある。 著者 らη)はさきに大山放牧場 における可視粘膜出血斑 出現牛の血液変化を検索 し、正常牛 との間に差異がみ ら れないことから該牧場の放牧牛 に出現する出血斑 とワラ ビ採食との間には直線的関連性をみとめがたいことを指 摘 した。今回の成績でも正常群 と出血群 との間に大差 を 見出 し得 なかった。また出血群で凝血障害および出血性 素因を示唆するような傾向は認め られなかった。 血液性状 を中心とする今回の試験 によりL/N比の放牧 経過に伴 う上昇、血清 トランスア ミナーゼ活性値の漸増 並びに
GOT/CPT比
の漸減傾向、Ca再加凝 固時間、プロ トロンビン時間の変化等が少なからずみ られたことから、 今後は骨髄機能及び肝機能面からも追究する必要がある。 一方、血中無機質は放牧地の土壊、施肥管理面とも関係 があるので、今後はこれ らの方面からの検討 も望まれる。 要約 鳥取県大山放牧場 における放牧牛の健康管理のための 資料を得 る目的で、放牧牛30頭に対 して血液の理学的お よび凝血≡的立場から経月的観察 を行った。 人牧牛はすべて同年1月にピロプラズマ毒血注射を受 け4月 放牧 されたもので、 4月 (入牧前
)か
ら8月 まで 毎月 1回 の検査 により次の如 き成績が得 られた。1.小
型 ピロプラズマ寄生率が5月 に上昇 したにもか かわらず、赤血球数はわずかに増加 し、その後貧血の進 行が緩慢であったことは、ピロプラズマ人工感染の効果 によるものと思われる。また赤血球平均恒数から、今回 悟・平安名盛己・坂井三千治 み られた貧血は大球性、高色素性であることが推測 され た。2.白
血球数は入牧後わずかに増加 したが、血小板数 は大 きな変動を示 さなかった。 しか し放牧経過 に伴 なうL/N比
の上昇傾向がみられるので、将来骨髄面における 検索 も併せて実施する必要がある。3.血
清 トランスア ミナーゼ活性値は漸増傾向がみ ら れ、COT/GPT比
は漸減 した。これは肝機能障害の存在 を示唆 しており、今後は他の検査 を併用 して更 に追究す る必要がある。4.血
中無機質についてはCa、 M9およびNaは 漸増傾 向が、Kは
漸減傾向がみ られた。5.血
清蛋白質量は入牧後漸増傾向がみ られ、各分画 については諸家の報告と同様の傾 向を示 した。6.凝
血学的検査では血漿フ イブリノーゲン値は大部 分の例が500∼ 800m9/dゼの範囲にあるが、経月的観察で は 5月 に急増後漸減 した。そのほかにCa再加凝固時間の 6月 及び7月 における短縮、プロ トロンビン時間の入牧 後の延長がみ られるので、今後はか ゝる所見 と肝機能面 との関連を追究する必要があると思 われた。 稿 を終 るにあたり、本調査 に際 して種々な御援助 を頂 いた鳥取県畜産課、米子家畜保健衛生所および大山放牧 場の関係各位 に対 して衷心より謝意を表 します。 文献
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