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幹細胞 前駆細胞 (ES 細胞 PS 細胞 体 幹細胞他 ) 体細胞 () な細胞 その作製 分 製 装置 器材 培 成分 物 培養 件 細胞 分化 子 ( 質 化合物 ) 培養の工 細胞との 物 発生工学 生 工学分子生物学 細胞工学 ム科学 工学 分化 せた幹細胞体細胞遺伝子 細胞 サイトカイン

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再生医療

− iPS 細胞を中心に

 根本治療として

 注目を集める再生医療−

特許審査第三部審査調査室

菅原 洋平

TECHNO

TREND

調査のテーマとして「再生医療」を選択し、特許の出願 動向、研究開発動向、市場動向等の調査を実施しました ので、その調査結果の一部をご紹介させていただきます。  なお、今回の調査における「再生医療」の定義は、組織・ 器官・臓器形成のメカニズムを解析し、細胞の有する能力 を活用して、組織・器官・臓器の修復・再生を行い損なわ れた機能を回復するために必要な全ての技術としています。

2.

再生医療とは  再生医療に用いられる細胞には、自分と同じ細胞を作る 能力(自己複製能)および組織や器官・臓器を構成する多 種類の細胞に分化する能力(多分化能)を有する幹細胞・ 前駆細胞のほか、これらが分化した体細胞が考えられます。  幹細胞・前駆細胞には、全ての細胞に分化できる多能性 幹細胞(胚性幹細胞〔ES細胞〕、誘導多能性幹細胞〔iPS細 胞〕等)、より分化が進んだ体性幹細胞、さらに分化の進 んだ前駆細胞などが含まれます。  再生医療の対象はもちろんヒトが中心ですが、獣医領 域(家畜、ペット)でも既に一部、実用化されています。 最終的には人体を構成するあらゆる組織・器官・臓器が 適用部位となりますが、感覚器系(眼、耳鼻、皮膚等)、 循環器系(心臓、血管、血液、腎臓等)、消化器系(肝臓、 膵臓等)神経系(脳、脊髄等)、運動器系(筋肉、骨、軟骨、 結合組織等)などの修復を目指した研究開発が行われて います。  図 1 は、再生医療に関する技術の俯瞰図です。再生医 療は「再生医療要素技術」、「再生医療応用技術」および「再 生医療支援技術」の三つに大別されます。  「再生医療要素技術」には、「新規な細胞と取得技術」、 「細胞培養・増殖技術」、「細胞分化制御技術」、「細胞改 変技術」、「細胞保存技術」など、利用する細胞を体内か ら分離・採取し再生医療で使用できる形態で提供するた めの技術および足場・スカフォールドに関する「足場関 連技術」が含まれます。

 「再生医療応用技術」には、「in vitro / ex vivo 機能構 造体の形成」、「in vivo 治療関連技術」、「再生医療関連技 術」などの実際の治療に当たる技術が含まれます。  「再生医療支援技術」には、再生医療を安全かつ治療

1.

はじめに  「再生医療」は、疾病や事故により損傷や機能不全を起 こした組織・器官・臓器に対して、上記の組織・器官・臓 器形成の過程を人為的に再現することにより修復・再生を 図り、機能を回復する医療を指します。再生医療に必要な 要素は「細胞」、「情報伝達分子」、「細胞周辺環境」の三つで、 これらを体外あるいは体内で、単独あるいは複数組み合わ せて提供することにより再生医療は実現されます。  特に京都大学から創出された iPS 細胞は、患者自身の 体から種々の細胞を作り出すことを可能にする革新的技 術であり、再生医療の発展に大きな影響をもたらします。 iPS 細胞樹立に関する基本特許(2008 年 9 月登録)から 分化誘導法、純化法、移植法等に関する研究が進み、こ れらの研究成果が、特許をもとに産業化され、実際の治 療に役立つことが期待されています。このように再生医 療は医薬等による対症療法と異なり、機能を根本的に回 復する医療として注目を集めています。  このような背景から、平成 20 年度特許出願技術動向

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効果のあるものにするための様々な技術として、「運搬・ パッケージ」、「安全性・品質管理」、「産業用培養システ ム」、「イメージング・モニタリング」、「疾患モデル」な どが含まれます。

3.

特許出願動向 (1)調査範囲  今回の調査では、主な出願先として日本、米国、欧州、 中国、韓国を調査対象としており、時期的範囲は、優先 権主張年ベースで 2002 年から 2006 年としています。 (2)出願人国籍別の出願動向  再生医療に関する日米欧中韓への特許出願件数の推 移、シェアを出願人国籍別で見ると図 2 および図 3 のよ うになります。全体では米国籍出願人が 37%(3,175 件) で日本、欧州、中国、韓国を大きく上回っていますが、 日 本 も 27.1 %(2,327 件 )で 米 国 に 次 い で お り、 欧 州 18.9%(1,623 件)を上回っています。中国、韓国はまだ 図1 再生医療の技術俯瞰図 対象・疾患 機能付与細胞 分化させた幹細胞 体細胞 遺伝子改変細胞 細胞シート  細胞培養・増殖技術 装置・器材、培地成分・添加物、培養条件 新規な細胞と取得技術 新規な細胞、その作製・分離・取得方法 精製方法 (調査対象外) 理学療法(リハビリ) 細胞の関与しない 人工組織・人工臓器 安全性・品質管理技術 運搬・パッケージ技術 産業用培養システム イメージング・モニタリング技術 疾患モデル(再生医療用)作製技術  細胞分化制御技術 細胞改変、分化制御因子(蛋白質・化合物) 培養の工夫、細胞との接触 物理的刺激 細胞ソース 幹細胞・前駆細胞 (ES細胞/ iPS細胞/体性幹細胞他) 体細胞 その他(骨髄/臍帯血)  細胞保存技術 保存機器、保存液 再生医療要素技術  細胞改変技術 ベクター、遺伝子導入、改変技術 再生医療応用技術 再生医療支援技術 in vitro/ex vivo機能構造体の形成

再生医療

臓器移植 (心臓・肝・腎・角膜・他) ・運動器系 (骨/関節/軟骨/結  合組織/筋肉/他) ・循環器系 (心臓/血管/血液) ・感覚器系 (眼 / 耳鼻 / 皮膚) ・泌尿器系 ・運動器系 (骨/関節/軟骨/結  合組織/筋肉/他) ・神経系 (脳/脊髄) ・消化器系 (膵臓/肝臓/他) ヒト 獣医領域  足場関連技術 素材、構造・形態 材料工学/ ナノテクノロジー 足場、スカフォールド 合成・天然高分子 無機素材・金属 ハイブリッド素材 誘導因子 サイトカイン 低分子化合物 複数の組合せ in vivo治療関連技術 細胞移植 誘導因子投与 足場移植 細胞と足場 再生医療関連技術 送達方法、器具 複数の組合せ 拒絶回避、細胞処理、ドナー・レシピエント処理 発生工学/生殖工学 分子生物学/細胞工学 ゲノム科学/糖鎖工学 図2 出願人国籍別出願件数とその推移(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年):2002-2006年) 2,358 2,344 1,972 1,218 681 500 1,000 1,500 2,000 2,500 2002 2003 2004 2005 2006 出願年(優先権主張年) 日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 合計 優先権主張年 2002-2006 出願人国籍 中国籍 472件 5.5% 韓国籍 261件 3.0% その他 715件 8.3% 米国籍 3,175件 37.0% 欧州国籍 1,623件 18.9% 日本国籍 2,327件 27.1% 合計 8,573 件 注:2004年以降はデータベース収録の遅れ、PCT出願の各国移行のずれなどで全テータを反映していない可能性があります。 出願件数

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連の医療材料・器具を手がける子会社を複数抱えており、 出願人の上位には純粋な製薬企業は少なくなっています。 (4)出願人別動向調査(出願先国別)  出願先国別の出願件数上位ランキングを表 2 に示しま す。日本への出願では日本国籍が上位を占め、米国への 出願では米国籍が上位を占めるものの、欧州への出願は 米国籍が上位を占める結果となっています。 出願件数が少ないですが、近年、出願件数が増加する傾 向にあります。 (3)主要出願人  日米欧中韓への出願の出願人別出願件数上位ランキン グを表1に示します。上位は日本国籍出願人と米国籍出 願人のみが占める結果となりました。1 位の Johnson & Johnsonは米国の大手製薬企業ですが、傘下に整形外科関

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図3 出願人国籍別出願件数シェア推移(日米欧中韓への 出願:全期間−期間別、出願年(優先権主張年): 2002-2006年) 表1 出願人別出願件数上位ランキング(日米欧中韓への 出願、出願年(優先権主張年):2002-2006年) 表2 出願先国別−出願人別出願件数上位ランキング(出願年(優先権主張年):2002−2006年) 715 424 291 472 168 304 1,623 1,024 599 3,175 1,799 1,376 2,327 1,198 1,129 261 89 172 0% 20% 40% 60% 80% 100% 合計:8,573件 3,871件 注:2004年以降はデータベース収録の遅れ、PCT出願の各国移行のずれ   などで全テータを反映していない可能性があります。 日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 2004 ∼ 2006 2002 ∼ 2003 全期間(2002 ∼ 2006) 4,702件 順位 出願人 出願件数 1 JOHNSON&JOHNSON(米) 231 2 オリンパス(日) 207 3 科学技術振興機構(日) 120 4 産業技術総合研究所(日) 87 5 日立製作所グループ(日) 79 6 MEDTRONICINC(米) 68 7 CELGENECORP(米) 66 8 旭化成(日) 56 9 WISCONSINALUMNIRESEARCHFOUNDATION(米) 55 10 帝人(日) 50 11 UNITEDSTATESGOVERNMENT(米) 49 11 慶應義塾(日) 49 13 UNIVERSITYOFCALIFORNIA(米) 48 14 HOYA(日) 45 14 ニプロ(日) 45 16 エーザイ(日) 44 17 BECTONDICKINSONCO.(米) 42 17 NOVOCELL(米) 42 17 ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(日) 42 20 物質・材料研究機構(日) 41 日本への出願(2,443件) 米国への出願(2,589件) 欧州への出願(2,161件) 中国への出願(903件) 韓国への出願(477件) 出願人 出願件数 出願人 出願件数 出願人 出願件数 出願人 出願件数 出願人 出願件数 オリンパス(日本) 178 JOHNSON&JOHNSON(米国) 78 JOHNSON&JOHNSON(米国) 75 UNIVZHEJIANG(中国) 23 SEOULNATUNIVINDFOUND(韓国) 15 科学技術振興機構(日本) 63 MEDTRONIC(米国) 25 MEDTRONIC(米国) 22 UNIVTSINGHUA(中国) 18 CELGENE(米国) 13 産業技術総合研究 所(日本) 61 UNIVCALIFORNIA(米国) 20 UNITED STATES GOVERNMENT (米国) 20 FIELDTRANSFUSION INSTACADMILITARY MED(中国) 17 WISCONSIN ALUMNIRES FOUND(米国) 8 JOHNSON&

JOHNSON(米国) 60 科学技術振興機構 (日本) 20 HOYA(日本) 19 JOHNSON&JOHNSON(米国) 12 科学技術振興機構(日本) 8 日立製作所グルー

プ(日本) 58 BOSTONSCIENTIFIC(米国) 19 (日本)科学技術振興機構 17 科学技術振興機構(日本) 12 KOREAINSTSCITECHNOL(韓国) 7 旭化成(日本) 41 BIOMET(米国) 18 CNRS(フランス) 16 SHANGHAIGUORUILIFESCI&TECH(中国) 11 JOHNSON&JOHNSON(米国) 6

WISCONSIN ALUMNI RESFOUND(米国) 16

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出願人に比べて出願件数の割には外国出願の件数が少な くなっています。中国籍、韓国籍出願人はまだ出願件数 が少ないこともありますが、外国出願の件数も少なく なっています。 (5)日米欧中韓の五極における出願件数収支  日米欧中韓への出願の出願先国別−出願人国籍別の出 願件数収支を図 4 に示します。米国籍出願人は積極的に 外国出願を行っていますが、日本国籍出願人は欧州国籍 図4 出願先国別—出願人国籍別出願件数収支(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年):2002-2006年) その他 283件 10.9% 韓国籍 40件 1.5% 中国籍 19件 0.7% 欧州国籍 374件 14.4% 米国籍 1,582件 61.1% 日本国籍 291件 11.2% その他227件 10.5% 韓国籍 28件 1.3% 中国籍 12件 0.6% 欧州国籍 831件 38.5% 米国籍 780件 36.1% 日本国籍 283件 13.1% その他 50件 5.5% 韓国籍 13件 1.4% 中国籍 439件 48.6% 欧州国籍 106件 11.7% 米国籍 177件 19.6% 日本国籍 118件 13.1% その他 31件 6.5% 韓国籍 154件 32.3% 中国籍 1件 0.2% 欧州国籍 62件 13.0% 米国籍 137件 28.7% 日本国籍 92件 19.3% その他 124件 5.1% 韓国籍 26件 1.1% 中国籍 1件 0.04% 日本国籍 1,543件 63.2% 欧州国籍 250件 10.2% 米国籍 499件 20.4% 日本への出願 2,443件 中国への出願 903件 欧州への出願 2,161件 韓国への出願 477件 米国への出願 2,589件 374件 283件 291件 499件 250件 92件 780件 12件 28件 62件 118件 177件 19件 40件 13件 106件 137件 1件 26件 1件

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 「要素技術」の「細胞培養・増殖技術」については、日 本国籍出願人の出願が多くなっており、「新規な細胞と 取得技術」および「細胞分化制御技術」については米国 籍出願人の出願が多くなっています。  「応用技術」の「in vivo 治療関連技術」について米国籍 出願人の出願が際立って多くなっています。  「支援技術」に関しては、日本国籍および米国籍出願 人の出願が多くなっています。  これを「要素技術」、「応用技術」、「支援技術」ごとの 出願件数および比率で見ると図 7 のようになります。日 本国籍出願人は米国および欧州国籍出願人に比べて応用 技術に関する出願の比率がかなり低くなっています。 (6)技術区分別出願件数  日米欧中韓への出願8,573件について、技術区分別の出 願件数とその比率を図5に示します。「再生医療要素技術」 が51%、「再生医療応用技術」が44%、「再生医療支援技術」 が5%を占めています。「要素技術」では「足場関連技術」 が31%で最も多く、「細胞培養・増殖技術」(24%)、「新 規な細胞と取得技術」(21%)、「細胞分化制御技術」(19%) がそれに次いでいます。「応用技術」では「in vivo治療関 連技術」が70%を占め最も多くなっています。  技術区分別−出願人国籍別の出願件数を図 6 に示しま す。日本国籍と欧州国籍の出願人については出願傾向が 比較的似通っています。 図5 技術区分別の出願件数(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年):2002-2006年) 要素技術 その他12件 0.3% 足場関連 技術 1,367件 31% 細胞改変 技術 60件 1% 細胞分化 制御 851件 19% 細胞培養 ・増殖技術 1,060件 24% 新規な細胞と 取得技術 914件 21% 細胞保存 技術 110件 3% 合計 4,374件 応用技術 その他 8件 0.2% in vitro/exvivo 機能構造体の形成 702件 19% 再生医療 関連 415件 11% in vivo治療関連技術 2,642件 70% 合計 3,767件 支援技術 432件 5% 応用技術 3,767件 44% 要素技術 4,374件 51% 合計 8,573件 支援技術 安全性・ 品質管理 117件 27% 運搬・ パッケージ 43件 10% その他 52件 12% 疾患モデル 49件 11% イメージング・ モニタリング 78件 18% 産業用 培養システム 93件 22% 合計 432件

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図6 技術区分別−出願人国籍別出願件数(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年):2002-2006年) 図7 出願人国籍別−技術区分別出願件数とその比率(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年):2002-2006年) 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 その他 13 25 8 3 3 疾患モデル 61 0 25 4 4 イメージング・モニタリング 34 30 10 1 3 8 産業用培養システム 67 9 9 安全性・品質管理 57 27 19 1 3 10 運搬・パッケージ 30 9 3 1 その他 6 2 29 2 4 112 223 45 再生医療関連技術 81 85 220 500 1,221 535 in vivo治療関連技術 73 199 123 15 31 261 in vitro/ex vivo機能構造体の形成 4 4 4 その他 102 33 146 263 431 392 足場関連技術 細胞保存技術 35 35 23 5 1 11 細胞改変技術 8 32 10 2 26 細胞分化制御技術 202 319 129 69 33 99 細胞培養・増殖技術 414 259 205 37 34 111 新規な細胞と取得技術 224 336 181 45 49 79 日本国籍 出願人国籍 技術区分 要素技術 応用技術 支援技術 1,279 1,416 815 304 152 408 841 1,649 735 280 102 160 7 27 8 73 207 110 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 支援技術 応用技術 要素技術 57.1% 58.2% 64.4% 50.2% 44.6% 55.0% 39.2% 39.1% 33.9% 45.3% 51.9% 36.1% 3.8% 2.7% 1.7% 4.5% 3.5% 8.9% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 出願人国籍 出願件数 技術別出願件数割合 出願人国籍 日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他

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 また、7,472件の研究者所属機関国籍別のシェアを全体 (2004年〜2007年)、前半(2004年〜2005年)、後半(2006 年〜2007年)でみると、全体のシェアでは、米国籍と欧 州国籍がそれぞれ30.8%(2,304件)および29.8%(2,223件) で、日本国籍は1,058件で14.2%、中国籍は614件で8.2%、 韓国籍は308件で4.1%となっています。米国籍および日 本国籍のシェアは前半と比較して低下しており、中国籍 が後半では大きくシェアを伸ばしています(図8)。  2004-2007 年に発行されたヒト細胞を利用した論文発 表 件 数 (2,156 件 ) の う ち、 日 本 国 籍 に よ る も の は 11%(239 件 ) であり、米国籍の 27%(573 件)、欧州国籍 38%(823 件)に比べて低く、また近年、発表件数シェ アも低下しています(図 9)。

4.

研究開発動向  2004年〜2007年に発行された論文発表件数(7,472件) について、研究者所属機関国籍別の論文発表件数上位を 表 3 にまとめました。1 位が米国(2,304 件)で、2 位の日 本(1,058 件)、3 位の中国(614 件)を大きく引き離して います。日米欧中韓以外の国ではカナダ、台湾、シンガ ポール、オーストラリアが 100 件以上で上位に入ってい ます。上記以外にもインド、マレーシア、イランなどア ジア諸国が比較的件数が多くなっています。 表3 研究者所属機関国籍別論文発表件数 (全体、発行年:2004-2007年) 研究者所属機関国籍 国・地域 出願件数 米国 米国 2,304 日本 日本 1,058 中国 中国 614 ドイツ 欧州 537 イギリス 欧州 388 韓国 韓国 308 イタリア 欧州 299 カナダ その他 230 フランス 欧州 207 オランダ 欧州 186 台湾 その他 167 スイス 欧州 119 シンガポール その他 116 オーストラリア その他 110 スペイン 欧州 103 イスラエル その他 82 スウェーデン 欧州 65 ブラジル その他 54 ベルギー 欧州 49 ロシア その他 48 オーストリア 欧州 45 トルコ 欧州 43 インド その他 38 ポルトガル 欧州 37 マレーシア その他 34 アイルランド 欧州 26 ポーランド 欧州 25 イラン その他 21 (以下略) 合計 7,472 図8 研究者所属機関国籍別論文発表件数シェア推移   (全期間−期間別、発行年:2004-2007年) 図9 研究者所属機関国籍別ヒト細胞利用論文発表件数 シェア推移(全期間−期間別、発行年:2004-2007年) 965 405 560 308 121 187 614 219 395 2,223 962 1,261 2,304 1,085 1,219 1,058 516 542 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 全期間(2004 ∼ 2007) 合計:7,472件 4,164件 日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 2006 ∼ 2007 2004 ∼ 2005 3,308件 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 全期間(2004 ∼ 2007) 日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 その他 2006 ∼ 2007 2004 ∼ 2005 305 139 166 105 45 60 111 42 69 823 353 470 573 279 294 239 123 116 合計:2,156件 981件 1,175件

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5.

市場動向  再生医療に関係する企業について、その所在、参入分 野(業種)について分類を行い表4にまとめました。「業種」 は、「細胞治療」、「医薬」、「材料、器具」、「人工臓器」、「支 援」の 5 区分としました。  米国が約半数(49%)を占めており、欧州がその半分 (26%)、日本が欧州のさらに半分(12%)となっています。 業種別では「細胞治療」が166社で55%、「材料、器具」が 69社で23%、「医薬」が44社で15%となっています。米国 の146社中、83社(57%)が「細胞治療」であるのに対して 日本は46%、欧州は47%が「細胞治療」となっています。「材 料、器具」は米国が20%であるのに対して、日本は27%、 欧州は30%で米国に比べて、比率が高くなっています。  また、再生医療関連企業の多くが大学・公的研究機関 の研究成果をベースに研究開発を行なっており、大学・ 公的研究機関のシーズが企業に技術移転され実用化に大 きな役割を果たしています。

6.

政策動向 (1)日本  日本では、ライフサイエンスの方向性と予算を規定す る「第3期科学技術基本計画」、経済産業省がまとめてい る「新産業創造戦略」、2007年に制定された「革新的医薬 品・医療機器創出のための5か年戦略」などにおいて、幹 細胞研究と再生医療への応用推進が謳われています。再 生医療の拠点形成に対する国家プロジェクトも近年設定 され、iPS細胞技術の発展をはじめ、基礎研究と応用研 究がますます強化されています。さらに、スーパー特区の 適用等、臨床研究の推進に関して大きな動きがあります。 (2)米国  米国では国立衛生研究所(NIH)を中心に、国防総省、 国立標準技術研究所、国立科学財団などの連邦政府機関 から幹細胞・再生医療関連の研究に助成が行われていま す。NIH の再生医療関連の支出は 2007 年だけでも $600 million 以上とされています。さらに州レベルでも幹細 胞・再生医療研究における競争力強化による産業化推進 のために戦略的な投資が行われています。例えばカリ フォルニア州は州内の大学・研究機関の幹細胞・再生医 療研究に 30 億ドルの資金を提供するという方針を決め California Institute for Regenerative Medicine を 通 じ て、これまでに 253 件、総額 $635 million 以上の研究助 成を行っています。 (3)欧州  欧州でも Framework Programme を中心に複数国が参 加して、大学・研究機関のみならず民間企業を巻き込ん だ幹細胞・再生医療関連プロジェクトが多数行われてい 表4 再生医療関連企業の内訳 業種 国・地域 細胞治療 医薬 材料、器具 人工臓器 支援 合計 日本 17 7 10 1 2 37 米国 83 20 30 5 8 146 欧州 36 13 23 0 5 77 中国 1 0 0 0 0 1 韓国 5 0 2 0 0 7 その他 24 4 4 0 0 32 合計 166 44 69 6 15 300 「細胞治療」:各種の体細胞、幹(前駆)細胞あるいはそれに派生する細胞を用いた再生医療、スカフォールド・細胞カプセル化を用いていても細胞 が主であると考えられるもの、細胞を用いた遺伝子治療も含む 「医薬」:パイプラインの少なくとも一部に体内の細胞に作用して再生機能を発揮する医薬品の開発を含むもの 「材料、器具」:再生医療用スカフォールドの開発・製造、インプラント等、それを用いた再生医療技術の開発など、材料に特色のあるもの 「人工臓器」:細胞をデバイスと組合わせた人工肝臓などの開発 「支援」:再生医療に使用する細胞の受託製造・提供事業、細胞の抽出・培養等の装置・システムの開発・製造、再生医療関連のコンサルティング事業等

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(1)基礎技術の研究開発の蓄積を無駄にすることなく、 応用技術へ展開  我が国は研究者所属機関国籍別論文発表件数が米国に ついで 2 位にあるなど、研究開発の蓄積は十分にありま す。しかしながら、応用技術に目を転じると、再生医療 の出口であるヒトへの適用に直結するヒト細胞の利用に 関する論文発表において、米欧中韓諸国が論文発表件数 を増やしているのに対して、我が国だけが減少しており、 これまで築いてきた基礎研究の高いレベルが応用技術に 展開できていない状況にあります。  我が国が再生医療において今後も高い技術レベルを維 持しつつ、応用技術に展開していくには、世界各国の状 況をフォローしつつ、規制・指針を含めた制度運用上の 諸問題を検討して迅速にフィードバックさせ、応用技術 に向けた研究開発をより効率的にサポートしていく柔軟 な体制が求められています。  研究成果を産業化に結びつけていくためには、基盤と なる研究開発を促進するための体制作りだけでなく、研 究成果を産業化に発展させるための一貫した仕組みが必 要となります。特に、産業化の担い手となる企業が再生 医療の研究開発に参入しやすくするための環境作りが重 要だと考えられます。 (2)大学・研究機関の研究成果を知的財産として確実 に確保  論文発表動向からわかるように、再生医療の研究開発 の中心はいずれの国においても大学・研究機関です。他 方で、特許出願動向を見ると、我が国は米国に次ぐ特許 出願件数を有するものの、企業からの出願が中心で大 学・研究機関からの出願比率が欧米に比べると低く、欧 州・米国籍出願人に比べて応用技術に関する出願が少な くなっています。そのため我が国における大学・研究機 関の産業応用を目指した動きは活発とは言いがたい状況 といえるでしょう。  再生医療における研究成果を、今後、国民へ還元してい くためには、再生医療の研究開発の中心である大学・研究 機関の研究成果を再生医療の応用分野へ活かし、知的財産 として確実に確保し、産業化へ結びつけていくことが重要 です。そのためには、研究者自身の意識改革とそれを支援 する体制の改革の双方が必要であることが指摘されていま ます。参加国も欧州域内にとどまらずイスラエルなど域 外の国も参加しており、この分野における欧州域の競争 力強化に力を注いでいます。

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提言  今回の調査の結果から、再生医療の特許出願、論文発 表において、我が国はいずれも米国に次ぐ出願件数、発 表件数を有し、十分な研究開発力を保有していることが 明らかとなりました。  しかしながら、米国では再生医療製品が既に 20 年前 から発売されていますが、我が国では 2007 年に自家培 養表皮が製造承認を取得し、我が国初の細胞利用再生医 療製品としてようやく販売が開始されたという状況で す。さらに、樹立(1998 年)から 10 年が経過し、産業化 への期待が高まるものの癌化などの懸念から最も製品化 が難しいと考えられていたヒト ES 細胞研究において、 米国ではベンチャー企業 Geron 社によりヒト ES 細胞を 用いた脊髄損傷患者に対する細胞移植の臨床試験が始ま ろうとしています。研究成果の産業化という点からは、 欧米と大きな差がついている状況です。  一方で、我が国発の世界的技術開発もいくつか認めら れます。成体から誘導することに成功した ES 細胞様の 万能細胞である iPS 細胞は、患者自身の体から種々の細 胞を作り出すことを可能にする革新的技術であり、再生 医療に大きな可能性をもたらします。さらに、細胞シー ト技術により角膜上皮幹細胞疲弊症、拡張型心筋症など 各組織の再生医療を成功させるなど、世界に先駆けた臨 床研究が始まっています。  iPS 細胞の創出や細胞シート技術による再生医療の成 功など、充分な研究開発力を有している我が国において、 健康で快適な生活を送ることを可能とする「根本治療」技 術である再生医療に寄せる国民の期待は大きくなってい ます。我が国発の再生医療技術の恩恵を国民が享受でき、 さらには世界に貢献できるよう発信していくためにも、 我が国における研究開発の成果が再生医療産業として実 用化される道筋を明確にしておくことが重要だと考えて います。本調査結果から導き出された我が国の再生医療 に関する提言を以下のとおりご紹介させていただきます。

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菅原 洋平(すがはら ようへい) 平成13年4月 特許庁入庁(特許審査第三部有機化学) 平成18年7月 総務課中小企業等支援係長(現:普及支援課) 総務課調整班業務係長(併任) 平成19年7月 特許審査第三部有機化学(塗料・接着剤) 平成20年7月 調整課審査企画室(併任) 平成21年5月より現職 対して、横断的なアプローチを可能にする研究体制を整 備し、ベンチャー企業の創出や支援を強力に進めていま す。一方、我が国では従来の医療システムの域を超えず、 横断的アプローチを可能とする仕組みが充分ではないと 指摘されています。  我が国においても、医学と工学との連携を通じた横断 的なアプローチにより再生医療技術を実現するプロジェ クトの推進や、充分な技術力、開発力を備えたベンチャー 企業の創出を促すとともに、これらの企業が再生医療の 実用化の過程における様々なリスクを克服することがで きるよう、支援策を強化し、再生医療産業をより一層充 実させていくことが重要だと考えられます。

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おわりに  現在、世界各国の研究者が iPS 細胞を中心にして再生 医療に関する研究に取り組んでおり、その発展はめざま しいものがあります。また、再生医療は医薬等による対 症療法と異なり、機能を根本的に回復する医療として注 目を集めており、この調査終了後も iPS 細胞等に関する 報道発表が多く見られることから、我が国における再生 医療に対する期待の大きさや関心の高さがうかがえます。  iPS 細胞は京都大学の山中伸弥教授が世界で初めて作 製した日本発の技術であるものの、これに関連する研究 開発競争は激しく、今後とも日本がこの分野でリードし ていくためには、戦略的な研究開発費の配分や各研究機 関の連携等に加えて、新たな技術を特許で適切に保護し ていく必要もあると考えられます。iPS 細胞に関する技 術を含め、再生医療に関しては目が離せない状況であり、 今後も革新的な技術が出てくることが期待されます。 す。すなわち、研究者は、自身の研究を応用レベルへ展開 していくことを目指し、実際に患者が恩恵を受けるに至る までの過程を意識した研究開発を行うことが求められ、ま た、そうした研究開発成果を戦略的に知的財産として確保 していくための支援体制が必要とされています。  そのためには、研究開発の初期の段階から研究成果を どのように活用していくのか具体的な応用を想定した上 で、コアとなる技術だけでなく関連する周辺技術を含め た知財ポートフォリオを構築していくことが重要です。 再生医療を構成する技術は、生物学、工学、医学など複 数の領域にまたがり多様化・複雑化しており、一つの企 業、大学・研究機関のみで産業化を想定した研究開発を 行い、かつ、その成果を知的財産として戦略的に取得し ていくことは困難と言わざるを得ません。  今後は、企業、大学・研究機関の枠を超えた横断的な 連携を進め、応用分野を想定した研究開発、効果的な知 的財産の確保、さらには円滑な知的財産の活用が行われ るような連携体制が必要です。  また、大学 ・ 研究機関の知的財産体制では未だに、的 確な権利確保のための出願戦略を立案できる人材や海外 を含めた出願と権利確保・維持のための資金的裏付けが、 十分とはいえない状況にあると指摘されています。引き 続き、大学・研究機関に対しては、知的財産に関する体 制の整備を進めることが望まれています。 (3)ベンチャー企業の育成や産学の複合的プロジェク トの支援による再生医療産業の充実  再生医療に関連する企業は欧米に多く、特に米国、欧 州のベンチャー企業が多くなっています。これらの企業 の多くが、大学・研究機関の研究成果である知的財産を 活用しています。  我が国の再生医療関連企業は大手企業の比率が欧米に 比べて多く、ベンチャー企業もありますが、治験を行う だけの技術力と開発力を備えた企業は一握りです。既に 上市されている再生医療製品も、欧米が中心であり、我 が国では 1 件(培養表皮)に過ぎません。このように我 が国は多数の特許出願、論文発表を行っていますが、製 品という最終出口との間に大きなギャップがあります。  欧米では、従来型の大手企業による産学共同システム や医学部のみで必ずしも対応することのできない課題に

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