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ヒンジ支承部の摩擦低減実験

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Academic year: 2022

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ヒンジ支承部の摩擦低減実験

(財)電力中央研究所 正会員 塩竈 裕三

1.はじめに

発電用ダムに設置されるゲートは,ダム本体およ びダム下流域の安全性確保上重要な設備である.ラ ジアルゲート(図 1)その主要な構造形式のひとつで あり,ヒンジ支承部を中心にワイヤーロープ等を用 いてゲート全体を回転させることにより,水位を調 整する.

ラジアルゲートの維持管理においては,過去の損 壊事例からヒンジ支承部の摩擦抵抗が特に注意を払 うべき項目となっており,設計値を超える摩擦抵抗 の発生により,ゲートの一部あるいは全体を取替え た事例も存在する.

本研究では,既設ラジアルゲートにおける安全性 向上と取替え等のコスト削減のため,ヒンジ支承部 摩擦抵抗の低減技術の開発に取り組んだ.

2.実験概要

本研究では,超音波振動による摩擦低減手法に着 目し,同手法をヒンジ支承部へ応用すべく,図 2 に 示す摩擦低減試験装置を製作した.

試験装置は,①供試部,②載荷部,③駆動部,④ 振動部で構成される.

供試部はヒンジ支承部を模擬したもので,円柱状 の供試軸および円筒状の供試軸受で構成される.

供試軸には直径 100mm のクロムモリブデン鋼

(SCM440)を用いた.

供試軸受にはりん青銅鋳物(CAC502)を用い,そ の形状は,外径 120mm,長さ 170mm の円筒で,長 さ方向の中央,幅40mmの部分が内径100mm,それ 以外は内径104mmである.

載荷部は供試軸受の外面より荷重を与え供試軸と 供試軸受の内面を接触させる部分であり,油圧ジャ ッキ(最大荷重200kN,ストローク75mm)と油圧シ リンダ,これらの荷重を供試軸受に伝達するための 支持枠,および荷重測定のためのロードセルから構

成される.

駆動部は供試軸を揺動させる部分であり,駆動源 となる減速器付モータ(回転数0.686~6.86rpm可変,

最大トルク:501N・m)と,モータの回転数,回転角 の制御装置,揺動時のトルク検出器から構成される.

最後に,振動部は供試軸受に超音波振動を付加す る部分であり,振動源としては超音波プラスチック 接合に用いられる超音波ウェルダを使用した.超音 波ウェルダの諸元を以下に示す.

・最大出力:600W

・発振周波数:19.15±0.15kHz

・最大振幅:18μm

同試験装置を用い,載荷荷重,超音波ウェルダの 図 1 ラジアルゲート

図 2 試験装置の概要

キーワード ラジアルゲート,超音波振動,摩擦係数,維持管理,トライボロジー

連絡先 〒270-1194千葉県我孫子市我孫子1646 ()電力中央研究所 地球工学研究所 構造工学領域 Tel070-5877-5542Fax04-7183-2962E-mail[email protected]

土木学会第64回年次学術講演会(平成21年9月)

‑219‑

Ⅰ‑110

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押し当て力,そして超音波ウェルダの振幅を変化さ せながら計69ケースの摩擦低減実験を実施した.

3.実験結果

図 3に実験結果の一例を示す.供試軸を揺動させ ると供試軸-供試軸受間で摩擦が生じ,これがトル クとして測定される.揺動の正転,反転に応じてト ルクの正負が逆転する.図 3 では,正転時を狙って 超音波振動を付加しており,無付加時に対して最大 静止摩擦時のトルクが低減している.

図 4に,載荷荷重と超音波振動付加による最大静 止摩擦力の低減量の関係を示す.ここで,最大静止 摩擦力は,最大静止摩擦時のトルクを,供試軸の半 径(50mm)で除した値である.

同図によれば,摩擦低減実験69ケース全てについ て摩擦力の低減効果が得られている.また,載荷荷

重が増大しても最大静止摩擦力の低減効果が低下す るような傾向はみられず,さらに大きな荷重条件に おいても摩擦力の低減効果が期待できると考える.

図 5 に,超音波振動無付加時の最大静止摩擦係数 と,超音波振動付加による摩擦係数の低減量の関係 を示す.ここで,摩擦係数は,最大静止摩擦力を載 荷荷重で除した値である.

同図によれば,最大静止摩擦係数が大きくなるほ ど,摩擦係数の低減効果が大きくなる傾向がみられ る.支承部の機能が劣化し摩擦抵抗が増加したラジ アルゲートヒンジ支承部ほど摩擦低減技術が望まれ ることから,摩擦低減技術の実構造物への適用が期 待される結果といえる.

4.今後の課題

最大静止摩擦力の低減量は,付加する超音波振動 の振幅に応じて増加する傾向にあったが,振動源で ある超音波ウェルダと,振動の入力先である供試軸 受けとの接触状態に大きく影響を受けて著しく減少 した.このことから,低減効果が得られる状態にあ るかどうかを判定する方法が必要である.

参考文献

・加藤光吉,片岡征二:超音波とトライボロジー=

超音波振動で摩擦・摩耗を制御する=,超音波 TECHNO,Vol.14,No.1,pp.86-92,2002.

・日本塑性加工学会:超音波応用加工,森北出版,

pp.174-183,2004.

0 1 2 3 4 5

0 5 10 15 20 25

大静止摩低減(kN)

平均載荷荷重(kN)

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4

0 1 2 3 4 5

最大静止係数

超音波振動無付加時の最大静止摩擦係数

図 5 超音波振動無付加時の最大静止摩擦係数と摩 擦係数の低減量

図 4 載荷荷重と最大静止摩擦力低減量

超音波振動付加 無付加時の最大静止摩擦

によるトルク 超音波振動付加時の 最大静止摩擦によるトルク

動摩擦力によるトルク

図 3 実験結果の例

土木学会第64回年次学術講演会(平成21年9月)

‑220‑

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参照

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