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表面吸水試験

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Academic year: 2022

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表面吸水試験装置と目視評価を用いた 既存コンクリート構造物の表層品質調査

長岡工業高等専門学校専攻科 学生会員 ◯品川 彰 長岡工業高等専門学校 正会員 井林 康

1.

はじめに

鉄筋コンクリートにおけるかぶり部分のコンクリ ートの品質は,塩害や凍害,中性化などに対するコ ンクリート構造物の耐久性に大きな影響を及ぼすた め,表層部の品質を確保することは重要である.本 研究では,非破壊でコンクリート構造物の吸水速度 を測定することが可能な表面吸水試験装置と,表層 品質を評価するために非常に簡易で有効な,目視評 価法をタブレット端末化したものの2つを用いて,

既存コンクリート構造物の表層品質の調査を行い,

将来的には設計や施工に反映させることを目的とし た.

2.

調査対象

調査対象は長岡市にある,フェニックス大橋(信 濃川橋梁,渋海川橋梁)を中心とした,国道404号 長岡東西道路にある,ボックスカルバート(以下ボッ クス)12基,橋脚17基,橋台9基であり,対象構造 物の施工年は,平成19年から平成26年までである.

調査を行ったのは平成26年8月~12月で,今回 調査を行ったのは河川内などになく,近くまで接近 できたボックス12基,橋脚6基,橋台1基である.

測定箇所は路面から高さ 1m程度の比較的表面状態 の良好そうな箇所を選んで測定を行った.

3.

表面吸水試験

3.1 表面吸水試験装置

表面吸水試験装置は図-1のような形状となってい る.測定時間は10分間,設置と撤去を含めても 30 分程度で行うことが可能であり,破壊を伴わないこ とから,後日全く同じ位置で,再測定を行うことも 可能である.10 分時点での表面吸水速度(以下,表 面吸水速度)を測定し,得られた表面吸水速度を文献

図-1 表面吸水試験装置の各部の名称

1)の標準の閾値である 0.50(ml/m2/s)と比較検討した.

3.2 結果

測定結果の一覧を表-1に示した.英数字はBがボ ックス,P が橋脚,Aが橋台で番号は川東側から順 につけてあり,N,Sはそれぞれ北と南を示す.表-1 より,橋台・橋脚は全て0.25未満で収まっているが,

要因としては雨がかりの有無による違いが大きいと 考えられる.また,ボックスについては0.50を超え たものが8基あり,測定中に見えた変化としては,

吸水カップの内側から続くひび割れによって外側に 染みだしているもの,ひび割れが吸水カップの内側 にあり水が減るものがあった.

施工時期による違いを検討したところ,今回の結 果からは図-2のようにボックスは1~3月の表面吸水 速度が低くなる傾向があるように思われた.まだ,

データが少なく断定はできないが,データが増えれ ば,さらに傾向が判明するのではないかと考えられ る.また,図-3のように冬などの気温が低い日に表 面吸水試験を行うと表面吸水速度が低くなる傾向が みられ,測定時期を考慮に入れて測定を行う必要が ある.

今回の結果から,測定したボックス,橋台・橋脚 それぞれの表層品質のはっきりとした評価は若干難

キーワード コンクリート,表層品質,表面吸水試験装置,目視評価

連絡先 〒940-8532 新潟県長岡市西片貝町888 長岡工業高等専門学校環境都市工学科 TEL 0258-34-9271 土木学会第70回年次学術講演会(平成27年9月)

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しいと考えている.理由としては,測定したポイントが 1~2点のため,表-1のB1N,B7,B1S,B2のように一 つの構造物でも吸水カップの左右で違う表面吸水速度 が出てしまうことがあり,また,吸水カップの締め付け ボルトの締め方の強さによって表面吸水速度に影響が でてしまう傾向が見られたことが挙げられる.

4.

目視評価のタブレットシステムによる評価

表層品質の目視評価の評価項目は文献2)を参考に7つ 設定し,「①沈みひび割れ」「②表面気泡」「③打重ね線」

「④型枠継ぎ目の砂すじ」「⑤面的な砂すじ」「⑥微細な 収縮ひび割れ」「⑦豆板」である.回答の選択肢は,1.0 から4.0まで0.5点刻みとなっており,今回は目視評価 をタブレット化したシステム3)を用いた.これは多数の 構造物を評価した場合に,結果をまとめて管理できる ことや,多人数で目視評価を行った場合に集計が簡単 にできるメリットがある.

結果として,目視評価を行ったボックス,橋台,橋脚 の構造物の種類ごとの点数の差は見られなかった.表 面吸水試験の結果の比較では,目視評価の総合点が低 くても表面吸水速度が遅いなどの結果や逆もあった.

しかし,表-1のB11のような表面吸水速度が他のより 速かったものに関しては,図-4 のように,目視評価の 点数が全体的に低くなる傾向が見られた.これより,目 視評価は表面吸水速度に大きな違いがあるものを判別 することに適していると思われる.

また,今回の測定とは別に,建設後17年経過した道 路トンネルの覆工コンクリートにおいて18箇所の測定 を行ったが,ひび割れのない壁面の表層品質が悪い箇 所と良い箇所では,表面吸水速度に大きな違いは見ら れず,表面吸水速度はひび割れの有無による要因が大 きいと思われるが,今後さらなる検討が必要である.

5.

まとめ

表層品質調査を行った結果,表面吸水試験では構造 物の種類で表面吸水速度の大きな違いがあり,他にも 施工時期,測定回数,気温,ボルトの締め方の差が考え られる.目視評価では明らかに違いがあるものに関し て効果があることが分かった.今後も測定および検討 を進めていく予定である.

表-1 表面吸水速度の2つの平均値順

図-2 各ボックスの表面吸水速度と施工時期

図-3 気温と表面吸水速度の関係

図-4 各ボックスの設問ごとの目視評価点

参考文献 1)林和彦ら,表面吸水試験によるコンクリート構造物の

表層品質の評価方法に関する基礎的研究,土木学会論文集E2,Vol.69,

No.1,82-97,2013.2)細田暁ら,目視評価を活用した山口県のひび 割れ抑制システムによる表層品質向上の分析,コンクリート工学年次 論文集,Vol.35,No.1,2013.3)井林康ら,コンクリートの施工状況把 握チェックシートおよび施工後目視評価のタブレット端末への適用,

「データベースを核としたコンクリート構造物の品質確保」に関する シンポジウム,2013.9.

種類 吸水カップ左 吸水カップ右 平均値

渋海川P7 0.005 0.005 0.005

渋海川P6 0.011 0.004 0.008

渋海川P4 0.034 0.007 0.021

信濃川P8 0.004 0.062 0.033

渋海川A2 0.063 0.044 0.054

渋海川P5 0.057 0.083 0.070

B8 0.077 0.168 0.122

B4 0.195 0.131 0.163

信濃川P9 0.134 0.209 0.172

B10 0.328 0.315 0.322

B1N 0.501 0.213 0.357

B7 0.306 0.549 0.427

B1S 0.310 0.659 0.485

B5 0.533 0.876 0.705

B3 0.969 0.688 0.829

B6 1.091 0.622 0.856

B2 0.298 1.533 0.916

B11 0.949 1.070 1.010

B9 0.544 2.433 1.489

土木学会第70回年次学術講演会(平成27年9月)

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参照

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