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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2022

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(1)

氏 名 森 守正

授与した学位 博 士

専攻分野の名称 工 学

学位授与番号 博甲第 6501 号

学位授与の日付 2021年 9月 24日

学位授与の要件 環境生命科学研究科 環境科学専攻

(学位規則第4条第1項該当)

学位論文の題目 データ同化手法と深層学習を併用したトンネル施工時の湧水量予測に関する基礎的研究

論文審査委員 教授 小松 満 准教授 吉田 圭介 教授 西山 哲

学位論文内容の要旨

山岳トンネル工事においては,事前調査により得られた地質特性を基に詳細設計を行うのが一般的である が,我が国はその立地条件により,断層や割れ目が発達した非常に複雑な地質構成となっている場合が多 い。ゆえに,山岳トンネル工事においては事前の想定通りに施工が進むことはまれであり,施工時の切羽観 察や各種計測により地山の分布を把握し,適時施工方法の見直しを行っているのが現状である。また,我が 国において河川は短く急峻であり,降水量も世界平均の 2 倍と多く,地下水位が高いという特徴が挙げられ る。

以上のような背景より,トンネル工事における大量湧水に伴う切羽崩壊や周辺環境への影響などの地下水 問題に対応するため,データ同化手法を用いることで迅速な地下水情報化施工が可能な SDA-SWING 法が利用 されている。しかし,Dupuit の準一様流を前提とした Bear の式を前提条件としているため,モデル化に伴 う解析誤差を内在することが問題点として挙げられる。また,既施工区間の実績を未施工区間の将来予測に 反映するシステムが整備されておらず,将来予測精度に問題があった。上記問題を解決するため,本研究で はトンネル工事における一般的な湧水予測手法の説明を行い,その中で SDA-SWING 法の立ち位置を明らかに した。そのうえで,SDA-SWING 法に対して2種類の改善案を適用した DeepSWING 法を開発し,その解析精度 の向上を図った。

改善案1として,Dupuit の準一様流を基とした Bear の式に対し,二次元流れを考慮できるように拡張し た西垣式を実装した。更に,SDA-SWING 法では考慮していなかった切羽前方の水位低下の影響を考慮するこ とにより,三次元流れを考慮できるように拡張した。

改善案2として,データ同化手法により同定精度の向上を図っている SDA-SWING 法に対し,既施工区間の 各種地盤定数と同定後の地山透水係数との相関を学習データとした深層学習機能を追加することで,将来予 測精度の向上を図った。

改善案を実際のトンネル工事3例から得られたデータに適用した結果,比較的地質が一様な地山区間に対 しては精度の良い予測を行うことが出来たが,局所的な突発湧水については学習に用いた地質特性との相関 性が悪く,予測を行うことが出来なかった。これを受けて,突発湧水と相関性の高い地山特性を把握するた めの前方探査手法の考察と,それを踏まえた地下水情報化施工の方針に対する提案を行った。

(2)

論文審査結果の要旨

山岳トンネル工事においては,事前調査により得られた地質特性を基に詳細設計を行うのが一般的であるが,

我が国はその立地条件により,断層や割れ目が発達した非常に複雑な地質構成となっている場合が多い。ゆえ に,山岳トンネル工事においては事前の想定通りに施工が進むことはまれであり,施工時の切羽観察や各種計 測により地山の分布を把握し,適時施工方法の見直しを行っているのが現状である。また我が国において河川 は短く急峻であり,降水量も世界平均の 2 倍と多く,地下水位が高いという特徴が挙げられる。以上のような 背景より,トンネル工事における大量湧水に伴う切羽崩壊や周辺環境への影響などの地下水問題に対応するた め,データ同化手法を用いる地下水情報を事前に予測する手法(以下 SWING 法と称する)が利用されている。

しかし,Dupuit の準一様流を前提とした Bear の式を前提条件としているため,モデル化に伴う解析誤差を内 在することが問題点として挙げられている。さらに既施工区間の実績を未施工区間の将来予測に反映するシス テムが整備されていないので,地下水情報の予測精度に問題があった。このような背景を鑑み,本研究では現 状の SWING 法に対する次の改善案を適用し,トンネル工事における地下水の事前情報の精度向上に取り組ん だ。

・これまでの準一様流を基とした Bear の式に対し,二次元流れを考慮できるように拡張した式を実装した。

さらに SWING 法では考慮していなかった切羽前方の水位低下の影響を考慮することにより,三次元流れを考 慮できるように拡張した。

・データ同化手法を用いている SWING 法に,既施工区間の各種地盤定数と同定後の地山透水係数との相関を学 習データとした深層学習機能を追加することで,将来予測精度の向上を図った。

これらの考え方を実際のトンネル工事から得られたデータに適用した結果,比較的地質が一様な地山区間に 対しては精度の良い予測を行うことが出来ることを実証した。このように実現場への適用する有用性を実証し た本研究の成果は,学術的あるいは工学的な価値の高いものであり,学位を与えることに相応しいものと判断 した。

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