第1章 地球温暖化に関わる海洋の長期変化 23
第1章 地球温暖化に関わる海洋の長期変化
世界の年平均気温(陸域における地表付近の気温と海面水温の平均)は、1891年から2012年ま での122年間で、100年あたり0.68℃の割合で上昇しており、特に1990年代半ば以降、高温となる 年 が 頻 出 し て い る ( 図1‐ 1) 。 こ の よ う な 気 温 の 長 期 上 昇 傾 向 に 対 し て 、 気 候 変 動 に 関 す る 政 府 間 パ ネ ル (IPCC) 第 4 次 評 価 報 告 書 (2007 ) は 、 20 世 紀 半 ば 以 降 に 観 測 さ れ た 世 界 の 平 均 気 温 の 上 昇 の ほ と ん ど は 、 人 間 活 動 に 伴 う 温 室 効 果 ガ ス の 増 加 に よ っ て も た ら さ れ た 可 能 性 が 非 常 に 高 い と 結論づけている。 海 洋 は 、 熱 や 水 蒸 気 、 温 室 効 果 ガ ス な ど の 交 換 を 通 じ て 大 気 と 相 互 に 影 響 を 及 ぼ し あ っ て い る 。 ま た 、 海 洋 は 地 球表面の約7割を占め、大気の 約1000 倍 と い う 大 き な 熱 容 量 を も っ て い る 。 こ の た め 、 1961 年 以 降 に 気 候 シ ス テ ム に 加 え ら れ た 熱 の80 % を 超 え る 部 分 は 海 洋 が 吸 収 し て い る と 考えられている(図1-2;IPCC, 2007 ) 。 し か し 、 大 気 と 比 べ て 非 常 に 多 く の 熱 を 海 洋 が 吸 収 し て い る に も か か わ ら ず 、 海 洋 の 温 度 変 化 は 大 気 に 比 べ て 緩 や か で あ り 、 上 述 の 世 界 の 平 均 気 温 に お い て も 、 北 半 球 と 南 半 球 に 分 け て み る と 、 海 洋 の 割 合 が 大 き い 南 半 球 の 上 昇 率 が 小 さ い と い う 結 果 が 得 ら れ て お り 、 海 洋 は 大 気 の 温 暖 化 の 進 行 を 大 き く 緩 和 し ていると考えられる。 図1-1 世界の年平均気温偏差 細線(黒)は各年の基準値からの偏差を示している。太線(青)は 偏差の5年移動平均、直線(赤)は変化傾向を示している。基準値は 1981~2010 年の30 年平均値。 図1-2 気候システムの各構成要素別の貯エネルギー変化量 1961年 か ら 2003年 ( 青 ) と 1993年 か ら 2003年 ( 赤 紫 色 ) に お け る 地 球 上 の 様 々 な 構 成 要 素 に 蓄 え ら れ た エ ネ ル ギ ー の 変 化 量 。 黒 太 線 で 示 さ れている誤差推定は90%信頼区間を表す。IPCC(2007)より引用。24 地球温暖化の海洋への影響には、海水の温度上昇による熱膨張や、陸上の氷の融解などに 起因する海面水位の上昇などがある。海面水位の上昇により、砂浜の消失や海岸の侵食、高 潮・高波による被害の増加、低地の水没、沿岸の農地・湖沼・地下水への塩害の増加などが考え られ、我が国も例外ではない。また、島しょ国などでは低地の水没によって、国土を大きく失う ことも懸念されている。IPCC第4次評価報告書(2007)によると、世界の平均海面水位は1961 年から2003年にかけて、年間1.8±0.5mmの割合で上昇しており、21世紀末(2090~2099年)に は、1980~1999年の平均海面水位に対して、0.18~0.59m上昇すると予測されている。 また、地球温暖化の影響は、海氷域や陸上における雪氷域の縮小にも現れる。IPCC第4次評 価報告書(2007)によると、北極の年平均海氷域面積は10年当たり2.7±0.6%縮小しており、気 候モデルによる予測では、北極と南極の海氷は縮小すると予測されている。海氷域や雪氷面は、 太陽放射の反射率が海面や陸面に比べて大きいことから、これらの縮小によって、太陽放射の吸 収量が増加し、温暖化を加速することが懸念されている。 海洋は、温室効果ガスのなかでも地球温暖化への影響が最も大きい二酸化炭素を大気中から吸 収しており、大気中の二酸化炭素濃度の変化に深く関与している。1990年代の平均では、年間約 64億トン炭素が人為的に大気中に放出されている。このうち、約22億トン炭素を海洋が吸収して いると考えられている(IPCC, 2007)。 この章では、地球温暖化に関わる海洋の長期変化として、海面水温、海面水位、海氷、海洋 の温室効果ガス(二酸化炭素)等について診断する。
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参考文献
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第1章 地球温暖化に関わる海洋の長期変化 世界の海面水温・表層水温 第1章 地球温暖化に関わる海洋の長期変化 1.1 海水温 1.1.1 世界の海面水温・表層水温
世界の海面水温・表層水温
診断概要
診断内容 世 界 の 年 平 均 気 温 ( 陸 域 に お け る 地 表 付 近 の 気 温 と 海 面 水 温 の 平 均 ) は 、 1891年 か ら 2012年までの122年間で100年あたり約0.68℃の割合で上昇しており、二酸化炭素などの温 室効果ガスの増加に伴う地球温暖化が大きく寄与していると考えられている。地球表面の 7割の面積を占め大気の約1000倍もの熱容量をもつ海洋は、地球温暖化において大きな役 割を果している。ここでは、世界の海面水温と表層水温について、2012年までの長期変化 傾向を診断する。 診断結果 世界の年平均海面水温は、1891年から2012年の122年間に100年あたり0.51℃上昇してい た 。 こ れ は 世 界 の 陸 上 気 温 ( 陸 域 に お け る 地 表 付 近 の 気 温 ) の 上 昇 率 ( 100 年 あ た り 0.83 ℃ ) よ り 小 さ か っ た 。 ま た 、 半 球 別 に 海 面 水 温 の 長 期 変 化 傾 向 を み る と 、 北 半 球 (100年あたり0.55℃)のほうが南半球(100年あたり0.48℃)より上昇率が大きかった。 世界の年平均表層水温(海面から深さ700mまでの平均水温) は1950年から2012年の63年 間に10年あたり0.021℃上昇していた。これらの事実は、地球温暖化予測実験で利用す る 気候モデルと呼ばれる数値モデルによる再現結果と符合している。海面水温や表層水温の 長期的な上昇傾向には、地球温暖化の影響が現れている可能性が高い。1 海面水温・表層水温の基礎知識
(1)海面水温の平均分布 海 面 水 温 と は 、 大 気 と 海 洋 の 境 界 ( 海 面 ) の水温のこ とである。 現実には海 面そのもの の温度を測 定すること は不可能で あり、手法 によって観 測する深さ が異なるが 、通常深さ 10m程 度 ま で の 水 温 観 測 値 を 海 面 水 温 と し て いる。 地 球 が 球 形 で あ る た め に 、 海 洋 が 太 陽 か ら 受け取る熱 量(日射量 )は緯度に よって異な る 。 図1.1.1-1(a) に 年 平 均 海 面 水 温 の 平 年 値 (1981~2010年の30年平均値)の分布を示す。 全体として は、低緯度 で高く、高 緯度で低い という水温 分布になっ ている。ま た、地球の 自転軸が公 転面に対し て傾いてい るため、海 面が受ける 日射量は季 節によって 異なり、海 面水 温の 分 布は 季節 変 化す る。 図1.1.1-1(b)、 (c)に1月、7月の海面水温の分布を示す。中高 緯度においては、年平均と比較して、1月の水 温は北半球側で低く、南半球側で高い。一方、 7月の水温は北半球側で高く、南半球側で低く なっている。 ま た 、 海 面 水 温 は 、 大 気 の 運 動 の 影 響 も 受 けている。 例えば、太 平洋赤道域 の海面付近 では、貿易 風と呼ばれ る東風が吹 いている。 この東風に よって海面 付近の暖か い水が太平 洋の西部に 吹き寄せら れ、それを 補償するよ うに東部の 南米沖では 、深いとこ ろから冷た 25い 水 が 海 面 近 く に 湧 き 上 っ て い る 。 図 1.1.1-1(a)を み る と 、 太 平 洋 赤 道 域 の 海 面 水 温 は 西 部で高く、 東部で低く なっている ことがわか る。また、 北半球(南 半球)の大 陸の西岸付 近では、岸 に沿って南 向き(北向 き)の風が 吹くと、海 面付近の暖 かい海水は 風の方向に 力を受ける とともに、 地球自転に よるみかけ の力である コリオリ力 を受け、沖 側へ流され る。それを 補償するよ うに、深い ところから 冷たい水が 海面近くに 湧き上って くることが ある。例えば、7月の北米西岸付近 の海面水 温が周囲よ り低い原因 の一つもこ の湧き上が りだと考えられる(図1.1.1-1(c))。 こ の よ う に 、 海 面 水 温 は 、 日 射 、 大 気 の 運 (a)年平均 (b)1月 (c)7月 図1.1.1-1 海面水温の平年値の分布(単位:℃) (a)年平均、(b)1月、(c)7月、平均値は1981~2010年の30年平均値。
第1章 地球温暖化に関わる海洋の長期変化 世界の海面水温・表層水温 動、海水の 運動、地形 といった様 々な要因に よって、複雑な分布をしている。 (2)気候変動と海面水温の変動 気 温 や 降 水 量 な ど の 平 均 状 態 と そ の 変 動 に 直接影響を 及ぼすのは 大気である が、大気や 水の循環の 変動には海 洋・陸面・ 雪氷の変動 が 深 く か か わ っ て い る 。 そ こ で 、 大 気 ・ 海 洋・陸面・ 雪氷を相互 に関連する 一つのシス テムとして 捉えて「気 候システム 」と呼ぶ。 気候システ ムを十分長 い時間平均 した平均的 な状態を気候状態と呼ぶ。 海 面 水 温 の 分 布 は 、 気 候 状 態 の 決 定 に 重 要 な役割を果 たしている 。海面水温 が与えられ ると、熱帯 では積乱雲 の分布(大 気を駆動す る熱源の分 布)が大体 決まり、中 緯度では低 気圧の急速 な発達など に影響を与 えることに なる。 し か し な が ら 、 ( 1 ) で 述 べ た よ う に 、 海 面水温は日 射や大気の 運動などの 影響を受け るので、気 候状態は、 実際には、 大気と海洋 の相互作用 の結果とし て決まる。 大気-海洋 相互作用は 気候状態を 形成するの みならず、 気 候 変 動 ( 気 候 状 態 か ら の ず れ で 、 時 間 ス ケールの長いもの)も引き起こしている。 大 気 - 海 洋 相 互 作 用 に よ っ て 引 き 起 こ さ れ ると考えら れる気候変 動には、数 年規模で変 動するエルニーニョ/ラニーニャ現象、十年か ら数十年規 模で変動す る太平洋十 年規模振動 などがある。これらは海面水温の変動を伴い、 大 気 と 海 洋 が 連 動 し た 自 然 変 動 で あ る 。 図 1.1.1-2、 図 1.1.1-3に そ れ ぞ れ の 現 象 時 の 典 型 的 な 海 面 水 温 の 変 動 パ タ ー ン を 示 す 。 エ ル ニーニョ/ラニーニャ現象、太平洋十年規模振 動の詳細は2.3、2.1.1をそれぞれ参照されたい。 (3)地球 温暖化と海 面水温・表 層水温の変 化 世界 各地 の 陸上 の観 測 所で 観測 さ れた 地上 気温から求 めた世界の 平均気温に は、年々か ら数十年規 模の自然変 動と、期間 全体を通し た上昇の傾向が現れている(図1-1参照)。こ の上昇傾向は地球温暖化の現れであり、IPCC は第4次評価報告書で、20世紀半ば以降に観測 された世界 の平均気温 の上昇のほ とんどは、 人間活動に 伴う温室効 果ガスの増 加によって もたらされ た可能性が 非常に高い と結論づけ て い る (IPCC, 2007)。過去約50年間に地球 温暖化によ って気候シ ステムに貯 えられた熱 量の大部分 は海洋の貯 熱量の増加 となってい 図1.1.1-2 エルニーニョ現象時の典型的な海面水温平年差の空間分布(単位:℃) 27
ると見積もられており(図1.1.1-4参照)、その 約3分の2が海面から深さ700mまでに蓄えら れているとされている。地球の表面の7割を占 め、 大気 の およ そ1000倍もの熱容量をもつ海 洋は、大気 の温暖化に 大きな影響 を及ぼして いると考えられる。 気候 モデ ル と呼 ばれ る 数値 モデ ル で地 球温 暖化につい て計算した 予測結果で は、海上の 気温より陸 上の気温の 上昇が大き くなってい る。この理 由には、① 陸面は海面 より蒸発に よる冷却効 果が小さい こと、②大 陸は海洋よ り 熱 容 量 が 小 さ い こ と 、 が 指 摘 さ れ て い る (真 鍋,2001)。また、南半球より北半球の 気温の上昇 が大きくな っている。 これは、北 半球のほう が大陸の占 める割合が 大きいから である。 気候 モデ ル の予 測結 果 は、 大気 の 温暖 化に 海洋の存在 が影響を及 ぼすことと ともに、地 球 温 暖 化 に よ っ て 海 面 水 温 に 現 れ る 変 化1 が 陸上気温のそれとは異なることを示している。 以下では、100年以上の期間にわたる歴史的な 1海面水 温の 長 期変動 が船 舶 などで 観測 さ れた海 上 の 気 温 の 長 期 変 動 と 同 様 な 振 る 舞 い を す る こ と が 示 さ れている(浅井,1988など)。 観測データ をもとに作 成した時間 的・空間的 に均質な海 面水温デー タベースや50年以上に わたる表層 水温データ ベースを用 いて、世界 の海面水温と表層水温の長期変化傾向を示す。
2 海面水温の監視
(1)100年以上の期間にわたる海面水温の客 観解析 気 候 の 長 期 変 動 や 地 球 温 暖 化 の 監 視 の た め には、長期 にわたる観 測データが 不可欠であ る。また、 観測のない 領域の値を 適切に推定 するには、 時間的・空 間的に不規 則に分布す る観測データを合理的に内挿する必要がある。 船舶 が観 測 ・通 報す る 海面 水温 を はじ めと する海洋気 象データが 、長年にわ たって蓄積 されてきた が、近年、 それらが電 子媒体化さ れ、容易に 多量のデー タを扱える ようになっ てきた。こ うしたデー タとして、 米国海洋大 気 庁 (NOAA ) 作 成 の ICOADS ( International Comprehensive Ocean-Atmosphere Data Set)や、 神戸コレク ション(神 戸海洋気象 台(現 神 戸 地 方 気 象 台 ) が 収 集 し た 過 去 の 海 洋 気 象 図 1.1.1-3 太 平 洋 十 年 規 模 振 動 の 指 数 が 正 の と き の 典 型 的 な 海 面 水 温 平 年 差 の 空 間 分 布 ( 単第1章 地球温暖化に関わる海洋の長期変化 世界の海面水温・表層水温 データ)を 気象庁と日 本気象協会 がデジタル 化したものがある。 気象 庁で は 、こ の二 つ のデ ータ や 現業 的に 収集している近年のデータなどを合わせた100 年以上にわたる歴史的な観測データを用いて、 客観解析( 観測データ から規則的 に配列され た格子点上 の値を合理 的に推定す る作業)を 行い、1891年から現在までの100年以上にわた る1度格子の海面水温と海上気象要素の格子点 データを整備した(COBE :Centennial in-situ Observation-Based Estimates of the variability of sea surface temperatures and marine meteorological variables)。このうち、海面水 温 の デ ー タ セ ッ ト をCOBE-SST( Sea Surface Temperature) と 呼 ぶ 。 COBE-SSTは 、 19 世 紀 末から現在 までの世界 全体を対象 にした客観 解析値で、空間の分解能は、経度、緯度とも1 度となっている。 客観 解析 の 前に 観測 デ ータ には 品 質管 理が 施さ れる が 、そ の際 、 1950年以 前 のデ ータ に は観測方法 の違いによ る観測誤差 が比較的大 きいため、 それらを補 正している 。また、客 観解析には 、最適内挿 法と呼ばれ る方法を用 いている。詳しくは、Ishii et al.(2005)や石 井ほか(2003)を参照されたい。 こ こ で は 、 1891 ~ 2012 年 のCOBE-SSTを 用 いて海面水温の長期変化傾向を診断する。 (2)海面水温の長期変化傾向 図1.1.1-5に 世 界 の 年 平 均 海 面 水 温 平 年 差 の 図1.1.1-4 気候システムの各構成要素別の貯エネ ルギー変化量 青 色 は1961~ 2003年 、 紫 色 は 1993~ 2003年 の 期 間における変化量を示す。IPCC(2007)より。 図1.1.1-5 世界の年平均海面水温平年差の経年変化(1891~2012年) 各年の値を黒い実線、5年移動平均値を青い実線、長期変化傾向を赤い実線で示す。平年値は1981 ~2010年の30年平均値。 29
時 系 列 を 示 す 。5年 移 動 平 均 値 ( 図 の 青 い 曲 線 ) では 、1910年頃に極小、1940年代初頭に 極大となっ ている。そ れ以降、し ばらく横ば い傾 向で あ った が、1970年代半ば以降、再び 上昇 傾向 と なっ た。2000年代に入ってからは 上昇傾向は 鈍っている 。このよう に、世界の 年 平 均 海 面 水 温 は 、 十 年 ~ 数 十 年 の 時 間 ス ケールで変動しつつ上昇している。 こ う し た 海 面 水 温 の 長 期 変 動 は 陸 上 気 温 (陸域にお ける地表付 近の気温) とおおまか に は 同 じ パ タ ー ン と な っ て い る ( 図1.1.1-6)。 ま た 、1891年から2012年までの海面水温の長 期変化傾向(図1.1.1-5の赤の直線)は100年あ たり0.51±0.05℃の上昇で、上昇率は陸上気温 (同じ期間に100年あたり0.83℃上昇)より小 さな値とな っている( 上昇率は線 形回帰から 求め たも の で、95%の信頼限界を±を付記し た数値で示 している) 。これら陸 上気温と海 面水温を平 均した世界 全体の年平 均地上気温 の上昇率は、100年あたり0.68℃となっている。 半球 別に 海 面水 温の 長 期変 化傾 向 をみ てみ ると、北半球では100年あたり0.55℃の上昇、 南半球では100年あたり0.48℃の上昇であった。 海 面 水 温 の 長 期 変 化 傾 向 の 分 布 を 図1.1.1-7 に示す。相 対的に大西 洋とインド 洋での上昇 が大きく、 南太平洋で の上昇が小 さい。時間 的 な 変 化 を 海 域 ご と に 見 る た め に 、 図1.1.1-8 のように、 南北太平洋 、南北大西 洋、インド 洋の5海域に区分して、図1.1.1-9に、それぞれ の海域の海面水温平年差の時系列を示す。5年 移動 平均 値 (図 の青 い 曲線 )で は 、1910年頃 に 極 小、1940年代初頭に極大、1970年代半ば 以降再び上 昇傾向、と いった特徴 が、ほぼ全 ての海域に 共通してみ られる。北 大西洋の海 面水温の変 動について は、大西洋 数十年周期 振動(Atlantic Multi-decadal Oscillation)と呼 ばれる、海 面水温の温 暖な時期と 寒冷な時期 が数十年規 模で交互に 発生するよ うな数十年 規模 の自 然 変動 が存 在 して おり 、1990年代半 ば以降の海 面水温の急 激な上昇に ついては、 長期的な海 面水温の上 昇に加え、 この自然変 動 の 影 響 に よ る も の と 考 え ら れ る (IPCC , 2007)。5海域の海面水温の長期変化傾向(図 の赤の直線 )は100年あたり0.4~0.7℃の上昇 であった。 図1.1.1-6 世界の年平均陸上気温の平年差の経年変化(1880~2012年) 各年の平均気温の基準値からの偏差を黒い実線、偏差の5年移動平均を青い実線、長期的な変化傾向 を赤い実線で示す。基準値は1981~2010年の30年平均値。
第1章 地球温暖化に関わる海洋の長期変化 世界の海面水温・表層水温
3 表層水温の監視
(1)50年以上の期間 にわたる表 層水温の客 観解析 海 洋 表 層 は 海 面 を 通 じ て 大 気 と 直 接 熱 を や り取りし、海洋に蓄えられた熱量の3分の2が 海面 から 深 さ700mまでに吸収されていると見 積もられて いる。この ため、海洋 表層は気候 変動において重要な役割を果たしている。 表層水温 についても 、海面水温 と同様に観 測データを 客観解析し て格子点上 の解析値を 作成し、長 期変化傾向 を診断する 。海洋内部 の観測は海 面水温に比 べて観測数 が少なく、 時代をさか のぼるにつ れて、ある いは観測深 度が深くな るにつれて 観測数が少 なくなる。 これらの事 情を考慮し て、ここで は海面から 深 さ700mまでの海洋表層について、1950年か ら2012 年 ま で の 63 年 間 を 対 象 に 客 観 解 析 を 行った。客観解析は、Ishii and Kimoto(2009)の手 法に従い、世界全体の緯度経度それぞれ1度ご 図1.1.1-7 年平均海面水温の長期変化傾向(1891~2012年) 1891~2012年における100年当たりの変化傾向。変化が90%以上の信頼度で統計的に有意な領域に+を付 けた。 図1.1.1-8 海域区分 1:北太平洋、2:南太平洋、3:北大西洋、4:南大西洋、5:インド洋。 31
と、海面から深さ700mまでに16層の格子を対 図1.1.1-9 各海域の年平均海面水温平年差の経年変化(1891~2012年) 各 年 の 値 を 黒 い 実 線 、5年 移 動 平 均 値 を 青 い 実 線 、 長 期 変 化 傾 向 を 赤 い 実 線 で 示 す 。 平 年 値 は 1981~2010年の30年平均値。 北太平洋 南太平洋 インド洋 南大西洋 北大西洋 32
第1章 地球温暖化に関わる海洋の長期変化 世界の海面水温・表層水温 と、海面から深さ700mまでに16層の格子を対 象に、1950年1月から1か月ごとに行っている。 また、観測 方法の違い による誤差 も補正して いる。この 客観解析値 を用いて、 表層水温の 長期変化傾向を診断する。 (2)表層水温の長期変化傾向 図1.1.1-10に世界の年平均表層水温平年差の 時系列を示 す。世界全 体で平均し た表層水温 は年 ごと に 上昇 下降 を 繰り 返し つ つも1950年 以 降 長 期 的 に 上 昇 傾 向 に あ り 、1950 年 か ら 2012 年 の 63 年 間 に 10 年 あ た り 0.021±0.003 ℃ (±は95%の信頼区間)の割合で上昇していた。 近 年 では1990年代半ばから2000年代初めにか けて特に大 きな昇温が みられ、そ の後も水温 が高 い状 態 が続 いて い る。2000年代に入って から、上昇 傾向が鈍っ ている様子 が見られる が 、 引 き 続 き 有 意 に 上 昇 し て い る 。700mよ りも 深い 層 では2000年代以降も水温の上昇が 続い て い る とい う 研 究 があ り (Levitus et al., 2012;Balmaseda et al., 2013)、地球温暖化の 監視におい て海洋内部 の水温の把 握が重要で あ る こと を 示 し てい る 。1950年から2012年の 間に、海面水温は10年あたり0.072℃の割合で 上昇してお り、上昇率 は表層水温 のほうが小 さくなっている。 海面水温と同じく図1.1.1-8の5海域に区分し た表層水温平年差の時系列を図1.1.1-11に示す。 上昇率は海 域によって 異なり、北 大西洋の上 昇 率 が10年 あ た り 0.051±0.007℃ で 、 5海 域 中 最も大きい値となった。
4 診断
世界 の年 平 均海 面水 温 は、 年々 か ら数 十年 規 模 の自 然 変 動 を伴 い つ つ 、1891年から2012 年 ま で の122年 間 で 100年 あ た り 0.51℃ の 割 合 で上昇して いた。これ は、陸上気 温の上昇率 (100年あたり0.83℃)より小さかった。また、 北半球の海 面水温の上 昇率のほう が南半球よ り大きかった。 世界の表層水温(海面から深さ700mまでの 平均水温) も、海面水 温と同様に 様々な時間 図1.1.1-10 世界の年平均表層水温平年差の経年変化(1950~2012年) 丸付きの実線は年々の値、陰影は各年の解析値の95%信頼区間を表す。 平年値は1981~2010年の30年平均値。 33スケ ール の 自然 変動 を 伴い つつ も 、1950年か ら2012年までの63年間で10年あたり0.021℃の 割合で上昇 していた。 この上昇率 は同じ期間 の海面水温の上昇率(10年あたり0.072℃の上 昇)よりも小さかった。 これ らの 事 実は 、地 球 温暖 化予 測 実験 で利 (a) 北太平洋 (c) 北大西洋 (b) 南太平洋 (d) 南大西洋 (e) インド洋 図1.1.1-11 各海域の年平均表層水温平年差の経年変化(1950~2012年) (a) 北太平洋、(b) 南太平洋、(c) 北大西洋、(d) 南大西洋、(e)インド洋。 実線は年々の値、陰影は各年の値の95%信頼区間を表す。 平年値は1981~2010年の30年平均値。 34
第1章 地球温暖化に関わる海洋の長期変化 世界の海面水温・表層水温 用する気候 モデルと呼 ばれる数値 モデルによ る再現結果 と符合して おり、陸面 は海面より 蒸発による 冷却効果が 小さいこと や、大陸は 海洋より熱 容量が小さ いことに起 因している と考えられ る。海面水 温と表層水 温の長期的 な上昇傾向 には、地球 温暖化の影 響が現れて いる可能性が高い。
参考文献
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第1章 地球温暖化に関わる海洋の長期変化 1.1 海水温 1.1.2 北西太平洋の底層の水温変化
北西太平洋の底層の水温変化
診断概要
診断内容 北大西洋のグリーンランド沖や南極海の南極大陸陸棚周辺で表層の海水が冷却され形成 される低水温、高塩分の重たい水が、海洋の底層にまで沈み込み、北太平洋やインド洋な どで上昇して、再び高緯度域へと戻っていくという約1000年の時間スケールで海洋全体を 巡る循環を深層循環という。この深層循環は、高緯度域に運ばれた暖かい海水が冷却され る際、大量の熱を大気に放出するため、気候の形成に大きな役割を担っており、気候変動 においても重要な役割を果たしてしていると考えられる。 近年、太平洋における底層水の経路に沿って、水温上昇が観測されており、深層循環の 変化が示唆されている。ここでは、北西太平洋の底層の水温変化の状況を診断する。 診断結果 2010~ 2012年 の 観 測 と 1980~ 1990年 代 の 観 測 の 比 較 か ら 、 北 西 太 平 洋 の 底 層 の 水 温 に 0.004~0.005℃の上昇がみられる。太平洋では、1990年代以降、他の海域においても同程 度の底層の水温上昇が確認されている。これらの観測結果や数値モデルによる解析結果か ら、北西太平洋の底層での水温上昇は、南極周辺の海域における海水の冷却が弱まり、沈 み込む海水が減少した影響が海底地形に沿って数十年かけて北西太平洋まで伝播し、水温 の上昇として現れたものであることが示されている。このような底層の水温上昇が地球温 暖化に伴うものかどうかについては、継続的な観測データによる検証が必要である。1 深層循環の基礎知識
(1)深層循環 北 大 西 洋 の グ リ ー ン ラ ン ド 沖 や 南 極 海 の 南 極大陸陸棚 周辺の海域 で、表層の 海水は大気 による強い 冷却を受け るため低水 温、高塩分 の密度の大 きい(重い )海水が形 成され、海 底 ま で 沈 み 込 み 、 海 洋 の 底 層 ( 水 深 約4000m 以深)を地 球全体に広 がっていく 。この密度 の大きい水 が形成され る過程は、 両海域で異 なる。北大 西洋のグリ ーンランド 沖では、高 塩分の水が 湾流によっ て南から運 ばれている ため強い冷 却によって 形成される のに対し、 南 極 大 陸 陸 棚 周 辺 の 海 域 で は 、 水 温 が 低 く なって海水 が凍る際に 真水だけが 凍り、凍ら ずに残った 海水の塩分 が高くなる ことによっ て形成される。 沈 み 込 ん だ 海 水 は 、 海 中 を 移 動 す る う ち に 周囲の海水 と混合した り、海底か らの地熱に より暖めら れたりする ことで軽く なり、再び 浮 き 上 が っ て く る 。 南 極 大 陸 陸 棚 周 辺 や グ リーンランド周辺で形成された重たい海水は、 やがてインド洋や太平洋の海底付近を北上し、第1章 地球温暖化に関わる海洋の長期変化 北西太平洋の底層の水温変化 図1.1.2-2 太平洋における深層循環の模式図 西 経165 度 に 沿 っ た ポ テ ン シ ャ ル 水 温 ( 単 位 : ℃ ) の 鉛 直 分 布 に 深 層 循 環 の 模 式 図 を 重 ね た。北太平洋における底層水とその上層にある深 層 水 の 境 界 は ポ テ ン シ ャ ル 水 温1.2℃ と さ れ て い る (Johnson and Toole, 1993; Fukasawa et al., 2004)。ポテンシャル水温は、米国海洋大気庁海 洋データセンター作成のWorld Ocean Atlas 2009の 気候値データ(Locarnini et al., 2010; Antonov et al., 2010)から算出。 図1.1.2-1 海洋の深層循環の模式図 海 洋 の 循 環 を 表 層 と 深 層 の2層に単純化したもの で 、 赤 線 は 表 層 流 、 青 線 は 深 層 流 を 示 す (IPCC (2001)をもとに作成)。 北上しなが ら軽くなっ た海水はゆ っくりと上 昇し、海洋深層(水深約2000m~4000m)を南 下す る。 こ れら の循 環 は、 約1000年の時間ス ケ ー ル で 海 洋 全 体 を 循 環 し て い る ( 図 1.1.2-1)。海洋の深層循環は、非常にゆっくりとし ているが、 膨大な量の 海水を運ぶ ため、地球 全体の南北 の熱バラン スに大きく 寄与してお り、気候変動に重要な役割を果たしている。 深 層 循 環 は 高 緯 度 域 で 表 層 の 海 水 が 沈 み 込 むことによ って維持さ れているこ とから、地 球温暖化に 伴って、海 水の沈み込 みが起こる 高緯度域の 海水温が上 昇した場合 、氷河や氷 床 と い っ た 氷 の 融 解 及 び 降 水 の 増 加 な ど に よって低塩 分化した場 合には、表 層の海水が 軽くなるた めに深層へ 沈み込む量 が減少し、 深層循環が 一時的であ れ弱まるこ とが考えら れる。気候 モデルによ るシミュレ ーション結 果などから 、深層循環 が弱まった 場合には、 世界各地の 気候を変え る可能性が 指摘されて いる。例えば、1万年以上前には氷期の終了に 伴う温暖化 が進行する 時期に温暖 な亜間氷期 から突然寒 冷化し、亜 氷期になっ たヤンガー ドリアスと 呼ばれる時 期があった 。この気候 の変化は深 層循環の大 きな変化が 原因という 説が有力といわれている。 (2)太平洋における深層循環 太 平 洋 で は 、 南 極 周 辺 の 海 域 で の 冷 却 に よ っ て 形 成 さ れ た 底 層 水 ( 周 極 底 層 水 、 Circumpolar Deep Water)が海底に沿って北太 平洋まで北 上する間に 海底からの 地熱や上層 の海水との 混合により 水温が上昇 して軽くな り、 北太 平 洋深 層水 と して 太平 洋 の深 さ2000 ~3000mの 深 層 を 南 へ 戻 る と 考 え ら れ て い る (図1.1.2-2)。 底 層 水 は 、 形 成 域 に 近 い ほ ど 、 形 成 さ れ た 時 の 海 水 の 特 徴 ( 低 温 、 高 塩 分 、 高 酸 素 な ど)を強く 残している 。また、底 層水の流れ は海底地形 の影響を強 く受けるた め、これま でに得られ た観測結果 と海底地形 から底層水 の経路を推定することができる。 太 平 洋 の 底 層 水 は 、 南 太 平 洋 で は 海 盆 の 西 岸 に 沿 っ て 北 上 し 、 サ モ ア 水 路 ( 図1.1.2-3中 の 「S」 マ ー ク で 示 し た 地 点 ) を 通 過 す る と 中央太平洋 海盆を北へ 進む東側分 枝流とメラ ネシア海盆 へと進む西 側分枝流に 分かれる。 東側分枝流 は、北緯10度付近で更に分岐して 東に流れ、 ハワイ島南 方を通って 北東太平洋 海盆に入る 。それ以外 の東側分枝 流は北に流 れ ウ ェ ー ク 島 水 路 ( 図1.1.2-3中 の 「 W」 マ ー クで示した 地点)を通 過して、日 本列島の東 に達する。 西側分枝流 は、東マリ アナ海盆を 北上して、 日本列島東 方で東側分 枝流と合流 し、北海道 、千島列島 、アリュー シャン列島 37
の沖合を通って北東太平洋海盆に入る。なお、 東マリアナ 海盆を通る 西側分枝流 の一部は、 マリアナ海 嶺とヤップ 海嶺の間に ある狭い谷 の よ う な 地 形 ( 図1.1.2-3中 の 「 M」 マ ー ク で 示した地点 )を通って 日本の南の フィリピン 海底 層 部 へ 流入 し て い る(Kawabe and Fujio, 2010)。
1990年代に、世界各国の協力のもとで、各 大洋におい て、東西・ 南北方向に 岸から岸ま でに及ぶ、 海面から海 底までの水 温や塩分な どの高精度 な観測が実 施された( 世界海洋循 環 実 験 計 画 ( World Ocean Circulation Experiment, WOCE))。近年、当時行った観 測 ラ イ ン に お い て 再 観 測 が 行 わ れ 、WOCEで の観測との 比較から、 太平洋の底 層水の水温 が約10~15年間で0.005~0.01℃上昇したこと が 報 告 さ れ て い る (Fukasawa et al., 2004; Kawano et al., 2006; Johnson et al., 2007)。こ の変化のメ カニズムに ついて、海 洋データ同 化手法を用 いた数値モ デルによる 数値実験の 結果、南極 アデリー海 岸沖での海 水の沈み込 みの減少に 起因する深 層循環の変 動が、深層 循環 の約1000年という時間スケールに比べて はるかに短 い約40年で北太平洋まで伝播し、 北太平洋底 層での水温 上昇をもた らしたこと が示されている(Masuda et al., 2010)。これ らの結果か ら、北太平 洋の底層で は、これま で考えられ ていた約千 年という時 間スケール よりも短い 時間スケー ルでの変動 があること がわかり、 気候変動の 予測におい て海洋深層 循環の変動 による影響 についても 考慮するこ とがより重要になっている。
2 北西太平洋の底層水温の監視
(1)診断に用いるデータ 図1.1.2-4に 北西 太 平 洋 にお け る 底 層の 水 温 変 化 の 比 較 を 行 う 観 測 線 を 示 し 、 表1.1.2-1に 観測線の範 囲、観測を 行った年及 び観測船を 示す 。気 象 庁で はこ れ らの 海域 に おい て1994 年 (A 、 B 、 C 海 域 ) 、 2010 年 ( A 、 B 、 C 海 域)、2011年(C、D、E海域)、2012年(C、 F海 域 ) に 海 面 か ら 海 底 ま で の 高 精 度 な 海 洋 観測を行っている。 診断には、これらの海域における水温1.2℃ 以下の領域 での平均水 温を用いる 。また、水 図 1.1.2-4 北 西 太 平 洋 に お け る 底 層 の 水 温 変 化 の 比較を行う観測線 薄 い 灰 色 で 示 し た 部 分 は 、 水 深 が4000mより浅い 海域を示す。 図 1.1.2-3 太 平 洋 に お け る 底 層 水 が 流 れ る 主 な 経 路 海底地形に太平洋における底層水が流れる主な経 路 ( 曲 線 ) を 重 ね た 。 「S」 、 「 W」 及 び 「 M」 は、それぞれサモア諸島、ウェーク島及びマリア ナ海溝最深部を示す。水深は、米国海洋大気庁地 球物理データセンター作成のETOPO1による。 38第1章 地球温暖化に関わる海洋の長期変化 北西太平洋の底層の水温変化 温は、水圧 による水温 上昇分を除 いたポテン シャル水温で表す。 (2)北西太平洋の底層の水温変化 北 西 太 平 洋 に お け る 底 層 の 水 温 変 化 を 表 1.1.2-2に示 す。北西太 平洋の底層 の平均水温 は、東経137度線の海域Aにおいて1994年と比 較 し て2010年 は 0.004℃ 、 同 じ く 東 経 137度 線 の 海 域Cで1994年と比較して2010年は0.005℃、 千 島 列 島 南 東 の 海 域Dに お い て 1985年 と 比 較 し て1999 年 は 0.004 ℃ 、 2007 年 及 び 2011 年 は 0.005℃上昇している。その他の海域及び期間 で底層の平 均水温を比 較した場合 、使用した 測器の精度1を考慮すると有意な変化とはなっ 1 1980年代~1990年代前半における水温の測定精度 は ±0.003~ 0.005℃ 、 1990年 代 後 半 以 降 は ±0.001~ 0.002℃と報告されている。従って、観測時期の異な る水温の差が0.004~0.006℃以上ある場合、有意な変 化があるといえる。 表1.1.2-2 北西太平洋における底層の水温変化 平 均 水 温 の 差 の ( ) 値 は 有 意 な 変 化 で な い こ と を 示 す 。 端 数 を 四 捨 五 入 し て い る た め 、 表 記 し た 数 値 の 差 は 「 平 均 水 温 の 差 」 と 値 が 一 致 し ない場合がある。 海域 A 年 平均水温(℃) 1994 年との差 1994 1.187 - 2010 1.191 +0.004 海域 B 年 平均水温(℃) 1994 年との差 1994 1.180 - 2010 1.182 (+0.002) 海域 C 年 平均水温(℃) 1994 年との差 1994 1.152 - 2010 1.157 +0.005 2011 1.154 (+0.002) 2012 1.154 (+0.002) 海域 D 年 平均水温(℃) 1985 年との差 1985 1.109 - 1999 1.113 +0.004 2007 1.114 +0.005 2011 1.114 +0.005 海域 E 年 平均水温(℃) 1992 年との差 1992 1.113 - 2011 1.117 (+0.004) 海域 F 年 平均水温(℃) 1992 年との差 2011 1.069 - 2012 1.066 (-0.003) 表 1.1.2-1 北 西 太 平 洋 の 底 層 の 水 温 変 化 の 診 断 に 用いるデータ 北 西 太 平 洋 の 底 層 の 水 温 変 化 に つ い て 比 較 を 行 っ た 海 域 の 範 囲 、 観 測 を 行 っ た 年 と 観 測 船 を 示す。 海域 A 北緯 24 度·東経 137 度~北緯 34 度·東経 137 度 年 観測船 所属機関 1994 凌風丸 気象庁 2010 凌風丸 気象庁 海域 B 北緯 20 度·東経 137 度~北緯 24 度·東経 137 度 年 観測船 所属機関 1994 凌風丸 気象庁 2010 凌風丸 気象庁 海域 C 北緯 10 度·東経 137 度~北緯 20 度·東経 137 度 年 観測船 所属機関 1994 凌風丸 気象庁 2010 凌風丸 気象庁 2011 啓風丸 気象庁 2012 啓風丸 気象庁 海域 D 北緯 39 度 40 分·東経 147 度 52 分 ~北緯 46 度 34 分·東経 159 度 13 分 年 観測船 所属機関 1985 R/V Thomas G. Thompson UW*1 1999 開洋丸 水産庁 2007 みらい 海洋研究開発機構 2011 凌風丸 気象庁 海域 E 北緯 39 度·東経 165 度~北緯 50 度·東経 165 度 年 観測船 所属機関
1992 R/V John Vickers USC*2
2011 凌風丸 気象庁 海域 F 北緯 3 度·東経 165 度~北緯 12 度·東経 164 度 30 分 年 観測船 所属機関 2011 凌風丸 気象庁 2012 啓風丸 気象庁 *1 University of Washington(米国)の略 *2 University of Southern California(米国)の略
ていない。
3 診断
2010~2012年 の 観 測 と 1980~1990年 代 の 観 測 の 比 較 か ら 、 北 西 太 平 洋 の 底 層 の 水 温 に 0.004~0.005℃の上昇がみられる。太平洋では、 1990年代以降、他の海域においても同程度の 底層の水温 上昇が確認 されている 。これらの 観測結果や 数値モデル による解析 結果から、 北西太平洋 の底層での 水温上昇は 、南極周辺 の海域にお ける海水の 冷却が弱ま り、沈み込 む海水が減 少した影響 が海底地形 に沿って数 十年かけて 北西太平洋 まで伝播し 、水温の上 昇として現 れたもので あることが 示されてい る。 深 層 循 環 の 変 化 は 気 候 に 大 き な 影 響 を 与 え るため、こ れらの底層 の水温上昇 が地球温暖 化に伴うも のかどうか については 、継続的な 観測データによる検証が必要である。そして、 南極周辺の 海域を起源 とした深層 循環の状態 がどのよう に変化する のか、長期 的に監視を 続ける必要がある。参考文献
Antonov, J. I., D. Seidov, T. P. Boyer, R. A. Locarnini, A. V. Mishonov, H. E. Garcia, O. K. Baranova, M. M. Zweng, and D. R. Johnson, 2010: World Ocean Atlas 2009, Volume 2: Salinity. S. Levitus, Ed., NOAA Atlas NESDIS 69, U.S. Government Printing Office, Washington, D.C., 184 pp.
Fukasawa, M., H. Freeland, R. Perkin, T. Watanabe, H, Uchida, and A. Nishina, 2004: Bottom water warming in the North Pacific Ocean. Nature, 427, 825-827.
IPCC, 2001 : Climate Change 2001 : Synthesis Report. A Contribution of Working Groups I, II, and III to the Third Assessment Report of the
Intergovernmental Panel on Climate Change [Watson, R.T. and the Core Writing Team (eds.)]. Cambridge University Press, Cambridge, United Kingdom and New York, NY, USA, 398 pp. Johnson, G. C., and J. M. Toole, 1993: Flow of deep
and bottom water in the Pacific at 10°N. Deep Sea Res., Part I, 40, 371-394.
Johnson, G.C., S. Mecking, B.M. Sloyan and S.E. Wijffels, 2007: Recent Bottom Water Warming in the Pacific Ocean. J. Climate, 20, 5365-5375. Kawabe, M., and S. Fujio, 2010: Pacific Ocean
Circulation Based on Observation. J. O., 66, 389-403.
Kawano, T., M. Fukasawa, S. Kouketsu, H. Uchida, T. Doi, I. Kaneko, M. Aoyama, and W. Schneider, 2006: Bottom water warming along the pathway of lower circumpolar deep water in the Pacific Ocean. Geophys. Res. Lett., 33, L23613, 10.1029/2006GL027933.
Locarnini, R. A., A. V. Mishonov, J. I. Antonov, T. P. Boyer, H. E. Garcia, O. K. Baranova, M. M. Zweng, and D. R. Johnson, 2010: World Ocean Atlas 2009, Volume 1: Temperature. S. Levitus, Ed., NOAA Atlas NESDIS 68, U.S. Government Printing Office, Washington, D.C., 184 pp. Masuda, S., T. Awaji, N. Sufiura, J. P. Matthews, T.
Toyoda, Y. Kawai, T. Doi, S. Kouketsue, H. Igarashi, K. Katsumata, H. Uchida, T. Kawano, and M. Fukasawa, 2010: Simulated Rapid Warming of Abyssal North Pacific Waters. Science, 329, 319-322.
第1章 地球温暖化に関わる海洋の長期変化 北西太平洋の底層の水温変化 ていない。
3 診断
2010~2012年の観測と1980~1990年代の観 測 の 比 較 か ら 、 北 西 太 平 洋 の 底 層 の 水 温 に 0.004~0.005℃の上昇がみられる。太平洋では、 1990年代以降、他の海域においても同程度の 底層の水温上昇が確認 されている。これら の 観測結果や数値モデル による解析結果から 、 北西太平洋の底層での 水温上昇は、南極周 辺 の海域における海水の 冷却が弱まり、沈み 込 む海水が減少した影響 が海底地形に沿って 数 十年かけて北西太平洋 まで伝播し、水温の 上 昇として現れたもので あることが示されて い る。 深層 循環 の 変化 は気 候 に大 きな 影 響を 与え るため、これらの底層 の水温上昇が地球温 暖 化に伴うものかどうか については、継続的 な 観測データによる検証が必要である。そして、 南極周辺の海域を起源 とした深層循環の状 態 がどのように変化する のか、長期的に監視 を 続ける必要がある。参考文献
Antonov, J. I., D. Seidov, T. P. Boyer, R. A. Locarnini, A. V. Mishonov, H. E. Garcia, O. K. Baranova, M. M. Zweng, and D. R. Johnson, 2010: World Ocean Atlas 2009, Volume 2: Salinity. S. Levitus, Ed., NOAA Atlas NESDIS 69, U.S. Government Printing Office, Washington, D.C., 184 pp.
Fukasawa, M., H. Freeland, R. Perkin, T. Watanabe, H, Uchida, and A. Nishina, 2004: Bottom water warming in the North Pacific Ocean. Nature, 427, 825-827.
IPCC, 2001 : Climate Change 2001 : Synthesis Report. A Contribution of Working Groups I, II, and III to the Third Assessment Report of the
Intergovernmental Panel on Climate Change [Watson, R.T. and the Core Writing Team (eds.)]. Cambridge University Press, Cambridge, United Kingdom and New York, NY, USA, 398 pp. Johnson, G. C., and J. M. Toole, 1993: Flow of deep
and bottom water in the Pacific at 10°N. Deep Sea Res., Part I, 40, 371-394.
Johnson, G.C., S. Mecking, B.M. Sloyan and S.E. Wijffels, 2007: Recent Bottom Water Warming in the Pacific Ocean. J. Climate, 20, 5365-5375. Kawabe, M., and S. Fujio, 2010: Pacific Ocean
Circulation Based on Observation. J. O., 66, 389-403.
Kawano, T., M. Fukasawa, S. Kouketsu, H. Uchida, T. Doi, I. Kaneko, M. Aoyama, and W. Schneider, 2006: Bottom water warming along the pathway of lower circumpolar deep water in the Pacific Ocean. Geophys. Res. Lett., 33, L23613, 10.1029/2006GL027933.
Locarnini, R. A., A. V. Mishonov, J. I. Antonov, T. P. Boyer, H. E. Garcia, O. K. Baranova, M. M. Zweng, and D. R. Johnson, 2010: World Ocean Atlas 2009, Volume 1: Temperature. S. Levitus, Ed., NOAA Atlas NESDIS 68, U.S. Government Printing Office, Washington, D.C., 184 pp. Masuda, S., T. Awaji, N. Sufiura, J. P. Matthews, T.
Toyoda, Y. Kawai, T. Doi, S. Kouketsue, H. Igarashi, K. Katsumata, H. Uchida, T. Kawano, and M. Fukasawa, 2010: Simulated Rapid Warming of Abyssal North Pacific Waters. Science, 329, 319-322. 40 第1章 地球温暖化に関わる海洋の長期変化 日本近海の海面水温 第1章 地球温暖化に関わる海洋の長期変化 1.1 海水温 1.1.3 日本近海の海面水温
日本近海の海面水温
診断概要
診断内容 日本周辺には、東シナ海、日本海やオホーツク海など陸地や島で囲まれた縁辺海があり、 また太平洋側においても亜熱帯循環域や亜寒帯循環域に大きく分けられ、海面水温の上昇 は一様ではない。ここでは日本近海を13海域に分け、それぞれの平均海面水温について、 100年間にわたる長期変化傾向を診断する。 診断結果 日本近海の13海域平均海面水温を加重平均した全海域平均海面水温(年平均)の上昇率 は+1.08℃/100年で、世界全体で平均した海面水温の上昇率(+0.51℃/100年)よりも大き な値である。海域別にみると、黄海、東シナ海、日本海南部、四国・東海沖北部では日本 の気温の上昇率(+1.15℃/100年)と同程度となっている。日本海北東部では、海域平均 海面水温(年平均)に統計的に有意な長期変化傾向は見出せない。 海 面 水 温 の 基 礎 知 識 に つ い て は 、 「 第 1 章 地 球 温 暖 化 に 関 わ る 海 洋 の 長 期 変 化 」 の 「1.1 海 面 水 温 1.1.1 世 界 の 海 面 水 温 」や 「 第 2 章 気 候 に 関 連 す る 海 洋 の 変 動 」 の 「2.2 日 本 近 海 の 海 洋 変 動 2.2.1 日本 近海 の海 面水 温」 を参 照さ れた い。1 日本近海の海面水温の監視
( 1 ) 100年 以 上 の 期 間 に わ た る 日 本 近 海 の 海面 水温 の解 析 気象 庁 は、 船 舶か ら 通 報さ れ た海 面 水温 を 含む 海 上気 象 観測 資 料 を品 質 管理 し て客 観解 析を 行 うこ と によ り 、1891年から現在までの 100年以上にわたる1度格子の海面水温格子点 デ ー タ ( COBE-SST : Centennial in situ Observation-Based Estimates of the variabilityof sea surface temperature and marine meteorological variables - Sea Surface Temperature 。 COBE-SST の 詳 細 つ い て は 「1.1.1 世 界 の 海 面 水 温 」を 参 照 さ れ た い ) (Ishii et al., 2005) を整備した。更に、こ の デ ー タ を 用 い て 日 本 近 海 に お け る100年 あ た り の 海 面 水 温 上 昇 率 を 、 +0.97℃ /100年と 見積 もっ た( 倉賀 野ほ か,2007)。 しか し 、こ の 海面 水 温 格子 点 デー タ は全 球 規模 の 気候 変 動の 監 視 や数 値 モデ ル の境 界値 とし て 用い る こと を 目 的と し てお り 、大 きな 空間 ス ケー ル で解 析 さ れて い る。 こ のた め、 日本 近 海の 細 かい 空 間 スケ ー ルと 海 域特 性に 起因 す る海 域 ごと の 海 面水 温 の長 期 変化 傾向 の相 違 を診 断 する た め には 適 切で は ない 。そ こで 、 日本 近 海を 海 域 特性 に 応じ て 区分 し、 そ れ ぞ れ の 海 域 に お け る 現 場 観 測 デ ー タ を 使っ て 海域 平 均海 面 水 温を 算 出し 、 その 上昇 41 41
率 を 求 め る こ と と し た 。 詳 細 は 、 高 槻 ほ か (2007)を参照されたい。 ア 解 析に 使 用す るデ ー タ 解析 に 使用 す るデ ー タ は、 前 述の 海 面水 温 格 子 点 デ ー タ (COBE-SST)と現場観測デー タ で あ る 。 前 者 の 空 間 解 像 度 は 緯 経 度1度、 時間 解 像度 は 月平 均 値 とな っ てお り 、「 海洋 の 健 康 診 断 表 」1の 定 期 診 断 表 「 海 面 水 温 の 長期 変 化傾 向 (全 球 平 均) 」 、「 全 球の 海面 水 温 の 変 動 」 、 及 び 総 合 診 断 表 の 「1.1.1 世 界の 海 面水 温 」は 、 こ れを 用 いて 診 断し てい る 。 後 者 は 、 ICOADS ( International
Comprehensive Ocean and Atmosphere Data Set)(Woodruff et al., 2011)及び神戸コレ ク シ ョ ン (Manabe, 1999 ; 岡 田 ・ 坂 井 , 1 http://www.data.kishou.go.jp/kaiyou/shindan/index.html 2003)を中心とした歴史的な観測データ及び 全 球 通 信 シ ス テ ム (GTS)を通じて収集され た海 上 実況 気 象通 報 な どか ら 、北 緯20~50度、 東経110~160度の範囲の海面水温観測値を抽 出し た もの で 、2011年までの全データ数は約 2050万通である。抽出されたデータ数の年別 推 移 を 図1.1.3-1に示す。1900年以前及び1945 年 を 除 く1942~1948年 は年2万通 未満 であ る が 、 第 二 次 世 界 大 戦 前 の1911~1941年は 年5 万通 以 上、1953年以降は年10万通以上のデー タが 得ら れて いる 。 イ 海 域区 分 日本 周 辺に は 、東 シ ナ 海、 日 本海 や オホ ー ツク 海 など 陸 地や 島 で 囲ま れ た縁 辺 海が あ り 、 また 太 平洋 側 にお い て も亜 熱 帯循 環 域や 亜寒 図 1.1.3- 1 年 ご と の 海 面 水 温 の 現 場 観 測 デ ー タ 数 の 推 移 ( 単 位 : 1000通 ) 上 図 は 全 期 間 、 下 図 は 1890-1950年 の 期 間 を 拡 大 し た も の 。 42
第1章 地球温暖化に関わる海洋の長期変化 日本近海の海面水温 率 を 求 め る こ と と し た 。 詳 細 は 、 高 槻 ほ か (2007)を参照されたい。 ア 解 析に 使 用す るデ ー タ 解析 に 使用 す るデ ー タ は、 前 述の 海 面水 温 格 子 点 デ ー タ (COBE-SST)と現場観測デー タ で あ る 。 前 者 の 空 間 解 像 度 は 緯 経 度1度、 時間 解 像度 は 月平 均 値 とな っ てお り 、「 海洋 の 健 康 診 断 表 」1の 定 期 診 断 表 「 海 面 水 温 の 長期 変 化傾 向 (全 球 平 均) 」 、「 全 球の 海面 水 温 の 変 動 」 、 及 び 総 合 診 断 表 の 「1.1.1 世 界の 海 面水 温 」は 、 こ れを 用 いて 診 断し てい る 。 後 者 は 、 ICOADS ( International
Comprehensive Ocean and Atmosphere Data Set)(Woodruff et al., 2011)及び神戸コレ ク シ ョ ン (Manabe, 1999 ; 岡 田 ・ 坂 井 , 1 http://www.data.kishou.go.jp/kaiyou/shindan/index.html 2003)を中心とした歴史的な観測データ及び 全 球 通 信 シ ス テ ム (GTS)を通じて収集され た海 上 実況 気 象通 報 な どか ら 、北 緯20~50度、 東経110~160度の範囲の海面水温観測値を抽 出し た もの で 、2011年までの全データ数は約 2050万通である。抽出されたデータ数の年別 推 移 を 図1.1.3-1に示す。1900年以前及び1945 年 を 除 く1942~1948年 は年2万通 未満 であ る が 、 第 二 次 世 界 大 戦 前 の1911~1941年は 年5 万通 以 上、1953年以降は年10万通以上のデー タが 得ら れて いる 。 イ 海 域区 分 日本 周 辺に は 、東 シ ナ 海、 日 本海 や オホ ー ツク 海 など 陸 地や 島 で 囲ま れ た縁 辺 海が あ り 、 また 太 平洋 側 にお い て も亜 熱 帯循 環 域や 亜寒 図 1.1.3- 1 年 ご と の 海 面 水 温 の 現 場 観 測 デ ー タ 数 の 推 移 ( 単 位 : 1000通 ) 上 図 は 全 期 間 、 下 図 は 1890-1950年 の 期 間 を 拡 大 し た も の 。 42 第1章 地球温暖化に関わる海洋の長期変化 日本近海の海面水温 帯循 環 域に 大 きく 分 け られ る こと か ら、 海面 水温 の 変動 傾 向が 類 似 して い る海 域 を抽 出し て海 域区 分を 設定 する こと とし た。 この た め、1951~2000年の50年間の海面水 温 格 子 点 デ ー タ を 用 い て ク ラ ス タ ー 解 析 を 行っ た 。ク ラ スタ ー 解 析の 手 法は ウ ォー ド法 (ク ラ スタ ー 内の 各 点 から ク ラス タ ー重 心点 まで の 距離 の 二乗 和 が 最小 に なる よ うに クラ スタ ー を分 類 する 方 法 )を 用 いた 。 この と き 、 周 期 が1年以下の 短期 変動の影響を除 くため に、 あ らか じ め海 面 水 温格 子 点デ ー タに12か 月移 動平 均を 施し た資 料を 用い た。 クラ ス ター 解 析の 結 果 と、 デ ータ の 分布 状 況 を 考 慮 し て 、 図1.1.3-2で示す13の海域を設 定 し た 。 オ ホ ー ツ ク 海 域 は1960年 代 以 前 の デー タ数 が少 ない ため 解析 の対 象外 とし た。 ウ 月 平均 の 海域 平均 海 面水 温の 計算 前節 で 設定 し た13個の海域を対象として、 1900年から2011年までの月平均海面水温平年 差を 次の 手順 によ って 求め た。 図 1.1.3- 2 海 域 区 分 と 海 域 名 称 43 43
まず 、 対象 海 域の 現 場 観測 海 面水 温 デー タ それ ぞ れに つ いて 、 そ の観 測 日及 び 観測 位置 にお け る海 面 水温 格 子 点デ ー タか ら の偏 差を 求 め る 。 次 に 月 ご と 、1度格子ごとに偏 差の 平 均 値 を 求 め る 。 更 に1度格子の偏差の 平均 値を 対 象海 域 全体 で 平 均し て 、月 平 均の 海域 平均 偏 差と す る。 こ の よう に する の は、 海域 内の 現 場観 測 海面 水 温 デー タ を単 純 に算 術平 均す る と、 そ れぞ れ の デー タ の観 測 日や 観測 点の 偏 りに よ って バ イ アス 誤 差が 生 じる 可能 性が ある ため であ る。 1941年以前の現場観測海面水温データには、 観測 手 法の 違 いに よ る 系統 的 な誤 差 があ るた め、 ここ では 、Folland and Parker(1995)によ る補 正 値を 加 えて い る 。ま た 気候 値 から の偏 差 が 標 準 偏 差 の3.5倍 を 超 え て い る 観 測 デ ー タ は 除 外 し て い る 。1度格子内で観測 値のば らつ き が極 端 に大 き い 場合 は 現場 観 測海 面水 図 1.1.3-3 日 本 近 海 の 海 域 平 均 海 面 水 温 ( 年 平 均 ) の 長 期 変 化 傾 向 ( ℃ /100年 ) 図 中 の 無 印 の 上 昇 率 は 統 計 的 に99%有意 な値を、 『* 』および『 **』を 付加し た値はそれ ぞれ 95% 、 90% 有 意 な 値 を 示 す 。 上 昇 率 が 『 [ # ] 』 と あ る も の は 、 統 計 的 に 有 意 な 長 期 変 化 傾 向 が 見 出 せ な い こ と を 示 す 。 統 計 期 間 は1900年から2012年 。 44
第1章 地球温暖化に関わる海洋の長期変化 日本近海の海面水温 まず 、 対象 海 域の 現 場 観測 海 面水 温 デー タ それ ぞ れに つ いて 、 そ の観 測 日及 び 観測 位置 にお け る海 面 水温 格 子 点デ ー タか ら の偏 差を 求 め る 。 次 に 月 ご と 、1度格子ごとに偏 差の 平 均 値 を 求 め る 。 更 に1度格子の偏差の 平均 値を 対 象海 域 全体 で 平 均し て 、月 平 均の 海域 平均 偏 差と す る。 こ の よう に する の は、 海域 内の 現 場観 測 海面 水 温 デー タ を単 純 に算 術平 均す る と、 そ れぞ れ の デー タ の観 測 日や 観測 点の 偏 りに よ って バ イ アス 誤 差が 生 じる 可能 性が ある ため であ る。 1941年以前の現場観測海面水温データには、 観測 手 法の 違 いに よ る 系統 的 な誤 差 があ るた め、 ここ では 、Folland and Parker(1995)によ る補 正 値を 加 えて い る 。ま た 気候 値 から の偏 差 が 標 準 偏 差 の3.5倍 を 超 え て い る 観 測 デ ー タ は 除 外 し て い る 。1度格子内で観測 値のば らつ き が極 端 に大 き い 場合 は 現場 観 測海 面水 図 1.1.3-3 日 本 近 海 の 海 域 平 均 海 面 水 温 ( 年 平 均 ) の 長 期 変 化 傾 向 ( ℃ /100年 ) 図 中 の 無 印 の 上 昇 率 は 統 計 的 に99%有意 な値を、 『* 』および『 **』を 付加し た値はそれ ぞれ 95% 、 90% 有 意 な 値 を 示 す 。 上 昇 率 が 『 [ # ] 』 と あ る も の は 、 統 計 的 に 有 意 な 長 期 変 化 傾 向 が 見 出 せ な い こ と を 示 す 。 統 計 期 間 は1900年から2012年 。 44 第1章 地球温暖化に関わる海洋の長期変化 日本近海の海面水温 温デ ー タの も とと な る 海上 実 況気 象 通報 など に 立 ち 戻 っ て 品 質 管 理 を 行 っ た 。 な お 、1度 格 子 内 の 観 測 デ ー タ が2通以下の場合は 海域 平均 を算 出す る際 に除 外し てい る。 この よ うに し て求 め た 海域 平 均偏 差 に、 海 面水 温 格子 点 デー タ の 海域 平 均値 を 加え るこ とで 、 月平 均 の海 域 平 均海 面 水温 と した 。そ して1981~2010年の30年平均値からの差を、 月平 均 の海 域 平均 海 面 水温 の 平年 差 とし 、小 数 第2位までを海 域平 均海面水温とし た。こ のよ う にし て 求め た1981~2010年の30年間の 各月 の 平均 値 から の 差 を海 域 平均 海 面水 温の 月 平 均 の 平 年 差 と し 、 小 数 第2位を四捨 五入 して 小数 第1位まで求めている。 また 、13の海域平均海面水温を海域の面積 に応 じ て加 重 平均 し た 全海 域 平均 海 面水 温を 求め た。 エ 年 平 均 及 び 季 節 平 均 の 海 域 平 均 海 面 水 温 年平 均 の海 域 平均 海 面 水温 の 平年 差 は、 当 該年 に 含ま れ る月 平 均 の海 域 平均 海 面水 温の 平年 差 を平 均 する こ と で求 め てお り 、そ の 際 、 月 平 均 の 平 年 差 が5か 月以上算出され ている こと を条 件と した 。 季節 平 均の 海 域平 均 海 面水 温 の平 年 差は 、 当該 季 節に 含 まれ る 月 平均 の 海域 平 均海 面水 温の 平 年差 を 平均 す る こと で 求め て おり 、そ の 際 、 月 平 均 の 平 年 差 が2か月以上算出 され てい るこ とを 条件 とし た。 なお 、 日本 近 海に お け る海 面 水温 は 、南 西 諸島 を 除い て2月下旬から3月下旬に最も低く なり 、8月下旬から9月上旬に最も高くなるこ と か ら 、1-3月 を冬、 4-6月を春 、7-9月を夏 、 10-12月を秋としている。 オ 上 昇率 の 求め 方と 有 意性 の検 定方 法 年平 均 と季 節 平均 の 海 域平 均 海面 水 温の 平 年 差 を 一 次 回 帰 分 析 す る こ と に よ り 、100年 間あ た りの 上 昇率 を 求 めた 。 もと め られ た長 期変 化 傾向 が 統計 的 に 有意 で ある か どう かの 検定 は 、一 次 回帰 分 析 によ る 検定 と 母集 団か ら大 き く外 れ た値 が 含 まれ て いる 場 合や デー タの 無 い期 間 の影 響 を 受け に くい 方 法と され て い るMann-Kendallトレンド検定を用いた。 こ の2種類の検定をそれぞれ1%、5%、10% の 異 な る3つの危 険率 について行い、 有意性 を判 定 した 。 本文 中 で はそ の 有意 性 に応 じて 以 下 の よ う な 表 現 を 使 用 し た 。2種類の 検定 に お い て 、 ど ち ら も 危 険 率1%で統計的 に有 意な 場 合は 、 「上 昇 ( 下降 ) して い る」 と表 現 し 、 同 様 に5% 、10%で有意な場合 はそれ ぞれ 、 「上 昇 (下 降 ) 傾向 が 明瞭 に 現れ てい る」 、 「上 昇 (下 降 ) 傾向 が 現れ て いる 」と 表現 し た。 ま た、 危 険 率が10%より大きい場 合は 、 「変 化 傾向 は み られ な い」 と 表現 し た 。 (2 )日 本近 海の 海面 水温 の長 期変 化傾 向 図1.1.3-3 に 日 本 近 海 の 海 域 平 均 海 面 水 温 (年 平 均) の1900年から2012年までの長期変 化傾 向 を示 す 。各 海 域 にお け る上 昇 率は 、+ 0.63~ + 1.72℃ /100年 で あ る 。 世 界 全 体 で 平 均 し た 海 面 水 温 の 上 昇 率 は 、 +0.51℃ /100年 であ り (気 象 庁,2013)、日本近海の海面水 温の 上昇 率は それ より も大 きい 。 気 候 変 動 に 関 す る 政 府 間 パ ネ ル (IPCC) の報 告 によ る と世 界 の 年平 均 気温 の 長期 変化 傾 向 は一様でな く、 アジアの内陸部 などで 上 昇 傾 向 が 大 き い (IPCC, 2007) 。 日 本 の 年 平 均 気 温 の 上 昇 率 ( +1.15℃ /100年(気 象 庁,2013))や日本近海の海面水温の上昇率 は、 この 影響 を受 けて いる 可能 性が ある 。 45 45
季 節 別 の 上 昇 率 は 、 釧 路 沖 、 日 本 海 中 部 、 黄海 、 東シ ナ 海北 部 、 東シ ナ 海南 部 、四 国・ 東海 沖 北部 、 関東 の 南 では 冬 季に 、 日本 海南 部、 先 島諸 島 周辺 、 四 国東 海 沖南 部 では 秋季 に最 も 大き く なっ て い る。 日 本海 中 ・南 部、 黄海 、 東シ ナ 海、 関 東 の南 で は夏 季 に最 も小 さく なっ てい る( 図1.1.3-4)。 以 下 に 、 海 域 ご と の 変 化 傾 向 の 特 徴 を 述 べ る。 ア 北 海 道 周 辺 ・ 日 本 東 方 海 域 の 変 化 傾 向の 特徴 北 海 道 周 辺 ・ 日 本 東 方 海 域 に お け る 海 域 平 均海 面 水温 ( 年平 均 ) は、 釧 路沖 で は明 瞭な 上 昇 傾 向 が 現 れ ( +0.98℃/100年)三 陸沖で 上 昇 傾 向 が 現 れ て い る ( +0.63 ℃ /100 年 ) (図1.1.3-3)。 図 1.1.3-4 日 本 近 海 の 海 域 平 均 海 面 水 温 ( 季 節 平 均 ) の 長 期 変 化 傾 向 ( ℃ /100年 ) 図 中 の 無 印 の 上 昇 率 は 統 計 的 に99%有意 な値を、 『* 』および『 **』を 付加し た値はそれ ぞれ 95% 、 90% 有 意 な 値 を 示 す 。 上 昇 率 が 『 [ # ] 』 と あ る も の は 、 統 計 的 に 有 意 な 長 期 変 化 傾 向 が 見 出 せ な い こ と を 示 す 。 統 計 期 間 は1900年から2012年 。 46
第1章 地球温暖化に関わる海洋の長期変化 日本近海の海面水温 季 節 別 の 上 昇 率 は 、 釧 路 沖 、 日 本 海 中 部 、 黄海 、 東シ ナ 海北 部 、 東シ ナ 海南 部 、四 国・ 東海 沖 北部 、 関東 の 南 では 冬 季に 、 日本 海南 部、 先 島諸 島 周辺 、 四 国東 海 沖南 部 では 秋季 に最 も 大き く なっ て い る。 日 本海 中 ・南 部、 黄海 、 東シ ナ 海、 関 東 の南 で は夏 季 に最 も小 さく なっ てい る( 図1.1.3-4)。 以 下 に 、 海 域 ご と の 変 化 傾 向 の 特 徴 を 述 べ る。 ア 北 海 道 周 辺 ・ 日 本 東 方 海 域 の 変 化 傾 向の 特徴 北 海 道 周 辺 ・ 日 本 東 方 海 域 に お け る 海 域 平 均海 面 水温 ( 年平 均 ) は、 釧 路沖 で は明 瞭な 上 昇 傾 向 が 現 れ ( +0.98℃/100年)三 陸沖で 上 昇 傾 向 が 現 れ て い る ( +0.63 ℃ /100 年 ) (図1.1.3-3)。 図 1.1.3-4 日 本 近 海 の 海 域 平 均 海 面 水 温 ( 季 節 平 均 ) の 長 期 変 化 傾 向 ( ℃ /100年 ) 図 中 の 無 印 の 上 昇 率 は 統 計 的 に99%有意 な値を、 『* 』および『 **』を 付加し た値はそれ ぞれ 95% 、 90% 有 意 な 値 を 示 す 。 上 昇 率 が 『 [ # ] 』 と あ る も の は 、 統 計 的 に 有 意 な 長 期 変 化 傾 向 が 見 出 せ な い こ と を 示 す 。 統 計 期 間 は1900年から2012年 。 46 第1章 地球温暖化に関わる海洋の長期変化 日本近海の海面水温 図1.1.3-5に北海道周辺・日本東方海域の平 均海 面 水温 平 年差 の 長 期変 化 を示 す 。ど ちら の海 域 にお い ても 十 年 から 数 十年 程 度の 時間 規模 の 変動 が 大き い 。 北太 平 洋で は 、約20年 周期 で 北太 平 洋中 部 ( 東日 本 周辺 ま で及 ぶ広 い範 囲 )の 海 面水 温 が 高く ( 低く ) なる と、 北 太 平 洋 東 部 や 赤道 域で低く(高く )なる とい う 自然 変 動現 象 ( 太平 洋 十年 規 模振 動: PDO)がみられる(総合診断表「2.1.1北太平 洋 の 海 面 水 温 ・表 層 水 温 」 参 照 ) 。 北 海 道 周 辺・ 日 本東 方 海域 の 海 域平 均 海面 水 温の 十年 から 数 十年 程 度の 時 間 規模 の 変動 に は、 この よう な 変動 が 大き く 影 響し て いる と 考え られ る。 三陸 沖 では 、1940年前後の欠測期を境に水 温が 上 昇し て いる 。 こ の傾 向 は、 江 ノ島 (宮 城県 ) や宮 古 の沿 岸 水 温観 測 デー タ にも みら れる (高 槻ほ か,2007)。 季 節 別 で は 、 釧 路 沖 の 冬 季 の 海 面 水 温 は 上昇 し てお り 、釧 路 沖 の春 季 、三 陸 沖の 冬 季 、 三陸 沖 の秋 季 では 、 上 昇傾 向 が明 瞭 に現 れて いる 。( 図1.1.3-4) イ 関東 沖海 域の 変化 傾向 の特 徴 関 東 沖 海 域 に お け る 海 域 平 均 海 面 水 温 ( 年 平 均 ) は 、 関 東 の 南 で 上 昇 し て お り ( + 0.96℃ /100年)、 関東 の東では上昇傾向が現 れて いる (+0.67℃/100年)。 図1.1.3-5に関東沖海域の平均海面水温平年 差の 長 期変 化 を示 す 。 関東 の 東の 海 域平 均海 面水 温 の変 動 は、 関 東 の南 に くら べ て大 きく なっ て おり 、 十年 か ら 数十 年 程度 の 時間 規模 の変 動 がみ ら れる 。 関 東の 東 は黒 潮 続流 の流 域に あ たり 、 黒潮 の 流 路が 北 上す る と黒 潮系 の暖 か い海 水 の占 め る 割合 が 増大 し 、海 面水 温は 上昇 する 。関 東の 東の 海域 平均 海面 水温 の変 動 には 、 黒潮 流 路 の変 動 や( ア )で 述べ た太 平 洋十 年 規模 変 動 が大 き く影 響 して いる と考 えら れる 。 一方 、 関東 の 南で は 、 関東 の 東に 比 べ年 々 の変 動 幅が 小 さく 、1960年代後半から1970年 代に か けて 低 温期 が み られ 、1950年代前半と 1990年代後半以降に高温期がみられる。また、 1940年代の欠測期をはさんで、昇温がみられ る。 な お、 こ の海 域 内 に位 置 する 八 丈島 の沿 岸水 温 は、 黒 潮の 変 動 の影 響 が強 く 、海 域平 均 海 面 水 温 の 傾 向 と 異 な る ( 高 槻 ほ か , 2007)。 季 節 別で は 、関 東 の 南で は 全て の 季節 にお いて 海 面水 温 が上 昇 し てお り 、冬 季 の上 昇率 が最 も 大き い 。関 東 の 東で は 、秋 季 の海 面水 温に 明 瞭な 上 昇傾 向 が みら れ 、春 季 には 上昇 傾向 が 現れ て いる も の の、 夏 季と 冬 季に は変 化傾 向が みら れな い。 ウ 日本 海の 変化 傾向 の特 徴 日 本 海 に お け る 海 域 平 均 海 面 水 温 ( 年 平 均 ) は 、 日 本 海 中 部 ( +1.72℃ /100年)及 び 日 本 海 南 部 ( +1.26℃/100年)で上昇して い る。 こ れら は 、世 界 全 体で 平 均し た 海面 水温 の 上 昇 率 ( +0.51℃/100年)のおよそ2~3倍 の大 き さで あ り、 特 に 日本 海 中部 の 上昇 率は 日 本 近 海 で 最 も 大 き な 上 昇 率 と な っ て い る (図1.1.3-3)。 日 本 全 国 の 年 平 均 気 温 の 上 昇 率 は +1.15℃ /100年で、日本海南部の海域平均海面水温の 上昇 率 とは 同 程度 だ が 、日 本 海中 部 の上 昇率 は気 温の 上昇 率よ り大 きく なっ てい る。 日本 海 中部 で 気温 よ り 上昇 率 が大 き い理 由 はよ く わか っ てい な い が、 ユ ーラ シ ア大 陸の 中 国 東 北 部 で は 、 年 平 均 気 温 の 上 昇 率 は 約 2℃/100年、冬季の気温の上昇率は約3℃/100 47 47
北 海 道 周 辺 ・ 日 本 東 方 海 域 日 本 海 関 東 沖 海 域 日 本 南 方 海 域 九 州 ・ 沖 縄 海 域 図 1.1.3-5 日 本 近 海 13海 域 の 海 域 平 均 海 面 水 温 平 年 差 ( 年 平 均 ) の 長 期 変 化 青 丸 は 各 年 の 値 、 青 太 線 は5年 移 動 平 均 値 、 赤 線 は 長 期 変 化 傾 向 を 示 す 。 平 年 値 は1981年~2010年の 30年間の平均値。 48