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成長ホルモン(GH)産生腺腫におけるDNAメチル化異常の解析

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Academic year: 2021

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成長ホルモン(GH )産生腺腫におけるDNA メチル化異常の解析 はじめに 徳島大学大学院ヘルスパイオサイエンス研究部分子薬理学分野 徳島大学大学院ヘルスパイオサイエンス研究部人体病理学分野 徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部人体病理学分野 虎の門病院内分泌センタ一間脳下垂体外科 吉本勝彦 銭 志 栄 佐野毒昭 山田正三 最近、癌抑制遺伝子の不活化の新たな機構として、 DNA のメチル化の関与が注目を 集めている1)。我々は下垂体腺腫におけるRASSFIA 遺伝子発現低下がプロモーター領 域のメチル化によることを明らかにした2)。本研究においては、接着因子である

-

H

c a d h e r i n 遺伝子(CDH13 )およびnirehdac-E 遺伝子(CDHI )を対象として、 GH 産生 腺腫を含めた下垂体腺腫におけるDNA メチル化による不活化機構と腺腫の臨床病理学 的特徴との関連性を検討した。 研究方法 1 . CDH13 とCDHI のプロモーター領域のメチル化の解析 2 4 例のGH 産生腺腫および2例の・GH プロラクチン産生腺腫を含む69 例の下垂体腺 腫におけるCDH13 とCDHI のプロモーターのメチル化を解析した。 5例の正常下垂 体および下垂体腺腫より抽出したゲノムDNA を、 CpGenome DNA noitacfiidom tik

( I n t e r g e n 社)で処理した。処理済みゲノムDNA を鋳型にして、メチル化を認識する プライマー対および非メチル化を認識するプライマ一対を用いてPCR を行った(メチ ル化感受性PCR 法)。ヒトゲノムDNA をCpG メチラーゼでメチル化したものを陽性 コントロールとして用いた。またバイサルファイトで処理済みゲノムDNA を鋳型とし たPCR 産物をベクターにクローニングし、数個のクローンの塩基配列を決定すること により、両遺伝子プロモーター領域のCpG アイランドのメチル化について検討した(バ イサルファイト.塩基配列決定法)。それぞれのプライマーの塩基配列は既報に従った

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2 . 半定量的RT-PCR 法によるCDH13 mRNA の解析 正常下垂体および腺腫より抽出したRNA を用いて、RT-PCR を行い、 CDH13 mRNA 量を半定量 した。プライマーの塩基配列は既報に従った3.4。 内部コントロールとして、) グリセアルデヒドー3-リン酸 脱水素酵素(GAPDH )を用いた。 PCR 産物をアガロー ス電気泳動にて分離後、エチジウム ブロマイドにて染色した。それぞれのmRNA レ ベルはNIH image にて定量を行い、 CDH13 mRNA とGAPDH mRNA の比(CDH13

mRNA /GAPDH mRNA )として表示した。

3 . 免疫組織化学におけるinhercadE- の発現の検討 ホルマリン固定パラフイン包埋標本について、モノクロナル抗E-cadherin 抗体 ( T r a n s d u c t i o n esioratorabL 社)を用いて免疫組織化学をおこなった。陽性コントロー ルとして正常表皮を用いた。正常表皮で認められるように、シグナルが細胞膜に局在 した場合を陽性細胞とした。 また、シグナル強度および陽性細胞の割合を半定量的に 表した。腺腫における陽性細胞の分布は5段階に、シグナル強度は3段階に分類した。 両者を組み合わせて0から 6に表示し、 3-1 のスコアを発現減少とした。 結果 1 . CDH13 とCDHl のプロモーター領域のメチル化の解析 メチル化感受性PCR の代表的な結果を図1に示す。CDH13 とCDHl のプロモーター 領域のメチル化状況と69 名の下垂体腺腫患者の臨床病理学的特徴の関連性を表1に示 す。 CDH13 とCDHl のメチル化は、それぞれ下垂体腺腫の30% および69% に認めら れた 。正常下垂体においては、いずれもメチル化は認めなかった。 このうちGH 産生腺腫においては、 CDH13 では25% に、 CDHl では21% にメチル化 を認めた。機能性腺腫(CDH13 、31%; CDHl 、31% )と非機能性腺腫(CDH13 、29 % ; CDHl 、46% )間では、メチル化の頻度に差異を認めなかった。 CDH13 のメチル化は、非浸潤性増殖を示す腺腫(19% )よりも浸潤性増殖を示す腺 腫(42% )で高頻度に認められた(表2)。また、 CDHl のメチル化は、グレードIを示 す腺腫よりもグレードIV を示す腺腫(42% )で高頻度に認められた。CDH13 あるい はCDHl のいずれかにメチル化を認めるのは51% で、グレードIあるいは非浸潤性腺 腫よりもグレードIV あるいは浸潤性腺腫で高頻度に認められた。

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一部の腺腫において、メチル化感受性PCR の結果とバイサルファイトー塩基配列決 定法の結果を比較検討したところ、 2 つの方法の結果は一致していることを確認したO

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図I CDH13 (A )およびCDHl (B )遺伝子プロモータ一部位のメチル化感受性PCR A 下垂体腺腫2、.7 21 でCDH13 遺伝子プロモータ一部位のメチル化を認める。

B

下垂体腺腫.4 .71 .63 15 でCDHl 遺伝子プロモータ一部位のメチル化を認める 。 M はCpG がメチル化されている場合に増幅するプライマーを、 U は非メチル化され ている場合に増幅するプライマーを用いた 。PC はメチル化の陽性コントロールを、 Nl 、N4 は正常下垂体を示す。 2 . CDH13 mRNA の解析 5例の正常下垂体においては、いずれも高い発現レベル(CDH13 mRNA

I

GAPDH mRNA 58.0 9・0.1 、平均0.97 )を認めた(表3)。個々の下垂体腺腫に対応する正常下垂

体は得られないため、 CDH13 mRNA /GAPDH mRNA が84.0 以下を、 CDH13 の発現 量の減少と判定した。発現消失と発現減少は、それぞれ6例、 61 例の腺腫に認められ た。 CDH13 mRNA の減少は非浸潤性増殖を示す腺腫(27% )よりも浸潤性増殖を示す 腺腫(61% )で高頻度に認められた。 』 i E I - - T 町 i l i 1 t e ’ l lj j i - - H i i i l i - - - - 1

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3 . nrihedcaE- の発現の検討 5例の正常下垂体においてnrihedcaE- はほとんど全てのホルモン産生細胞の細胞膜 に発現が認められた。nierdha-cE の発現は、 30% の腺腫で消失を、 32% の腺腫で減少 を認めた。軽度の発現減少あるいは正常発現は-38% の腺腫に認められた。また、非浸 潤性でミクロの腺腫よりも、浸潤性(グレードIV およびIII )およびマクロ(グレード I I ) の腺腫で有意に発現減少が認められた。しかし、グレードIV 、III およびII 間では 差異は認められなかった。 E -c a d h e r i n の発現はsuorbif body を有する8例のGH 腺腫では全てにおいて発現が 低下していた。一方、suorbif body を有さない61 例のGH 腺腫では、 1例を除いて発現 が認められた。またプロラクチノーマにおいては女性よりも男性患者で発現が低下し ている傾向を認めた。 4 . CDH13 とCDHl のプロモーター領域のメチル化と発現低下との関連 両遺伝子ともにメチル化を受けていない正常下垂体においては、高い発現レベルを 有していた(表4。)CDH13 の低メチル化を示した70% の腺腫において、発現レベルは 正常で、あったO 逆にCDH13 のメチル化を有する69% の腺腫に発現の低下を認めた。 CDHl の低メチル化を示した52% の腺腫において、発現レベルは正常であったO CDHl のメチル化を有する88% の腺腫に発現の低下を認めた。 考察 細胞接着因子は、細胞聞の機械的な接着のみならず、細胞の増殖、分化、アポトー シスなどの基本的な細胞活動に関与している。細胞問あるいは細胞・細胞外マトリッ クス問での変化は、浸潤性や転移に関与することが知られている5)。これまでに、種々 の腫蕩でCDH13 とCDHl のプロモーター領域のメチル化による発現異常が報告され、 腫蕩化・浸潤性との関連が検討されている7.4.3 。) 下垂体腺腫におけるCDH13 とCDHl のプロモ}ター領域のメチル化は、それぞれ03 %および 36% に認められた。両遺伝子のメチル化はGH 産生腺腫を含めた全てのタイ プの腺腫および全ての腫蕩ステージで認められた。これらのメチル化と発現減少の有 無については有意な相関が認められた。これまでの報告および本研究結果より、下垂 体の腫蕩化においてメチル化の異常が大きく関与していることが明らかとなった。

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CDH13 のメチル化は浸潤性の高い腺腫で、高頻度に認められ、グレードの程度とも関 連が認められた。また、発現低下も腺腫の浸潤性との関連がみとめられた。これらの 結果から、 CDH13 のメチル化による発現低下は、他の種類の腫蕩と同様に下垂体の腫 蕩化に関与していると考えられる. S401. )。ただし、

H

-カドヘリンは細胞内ドメインを欠 いているため、細胞間接着とは別の機構で腫蕩化に関与している可能性がある。 E-カドヘリンに関して、我々はプロラクチノーマにおける発現低下が腫蕩サイズや 浸潤性と関連があること11、)suorbif body を有するGH 腺腫では発現が低下しているこ とを報告している21)。本研究においては、 CDHl のメチル化はグレードIV の腺腫で高 頻度に認められること、発現低下は全てのタイプの腺腫で認められ、腫蕩のサイズや 浸潤性と関連があることを明らかにした。 CDH13 とCDHl のプロモーター領域のメ チル化が両方の遺伝子に認められたのは11 個存在し、いずれもグレードII、LII IV の ステージであった。 以上の結果より、 CDH13 とCDHl 遺伝子のメチル化による発現低下が、 GH 産生腺 腫を含めた下垂体腺腫の伸展に関与している可能性が示唆されるとともに、腺腫の伸 展性の予知因子となりうる可能性を有することが明らかとなった。 文献 1

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(6)

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表L 下垂体腺腫におけるCDH13 およびCDHI プロモーターのメチル化 V a r i a b l e o.N CDH13 noitlayhtem CDH I meth oitaly n + p + p P a t i e n t s 96 (12 0 % ) 3 48 ()%07 25 (6 %) 3 44 (臼)% Age )ry( 43 .6 ± 2.3 4.84 ± 3.2 52.0 7.74 ± 6.3 5.64 ± 2.2 57.0 Gender 82.0 06.0 Male 33 8 (2 4% ) 5 (2 )%67 (31 )%40 20 約0%) Female 36 (31 6 % ) 3 3 (2 )%46 2 (1 3 %) 3 24 (7 % ) 6 Funct noi al adenomas GH 24 6 (25% ) (18 7 5%) 5 (21%) (91 )9%7 GH /PRL 2 I ()0%5 I (50% )

2 ()%001 PRL 21 4 ()3%3 8 ()%67 6 (0 %) 5 6 (0 %) 5 ACTH 4 I (5 % ) 2 3 (7 5%) I (25% ) 3 (7 5% ) TSH 3 2 (7 % ) 6 I ()%33 2 ()7%6 I ()3%3 T o t a l 45 (31% ) 41 (31 9 % ) 6 4 (113 % ) 31 (69%) N o n -f u n c t noi al adenomas Tota l 24 )9%27( (7117 % ) (11 )6%4 (54%) 31 Norma yrl patiuti 5

5 (001 % )

5 (001 % ) 表.2 CDH13 およびCDHI プロモーターのメチル化とグレード・浸潤性との関連 V a r i a b l e .No CDH13 latmethy ion CDH I mnioatylthe 6 9 + p + p Grade 9 I ()1%1 8 ()%98 11(1 % ) 8(89%) I I 72 6 (2 2% ) (78%) 21 4.0 • (37% ) 1OI (7 )%63 1.0 , I I I 25 (OI )%04 5 (1 )%60 1.0 h 9 (6 % ) 3 (61 )4%6 1.0 b IV 8 4 (0 % ) 5 4 (0 % ) 5 80.0 C 5 ()3%6 3 (7 % ) 3 く50.0 C I n v a s i o n く. 050 0.31 I n v a s i v e 33 (4124 % ) 19 (85 % ) 14 (2 % ) 14 (58%) 9 N o n i n v a s i v e 36 7 (9 % ) 1 29 (18 % ) (11 )%31 25 (9 % ) 6 a : II vs I・ :bIII vs I・:c IV VS .I

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表.3 下垂体腺腫におけるCDH13 発現 CDH13 mRNA niosesrxpe No. ー±• + p I n v a s i v e 32 3 (%)31 11 )%84( 9 ()%93 < 050. N o n i n v a s i v e 92 3 ()%01 5 (%)71 (12 %)37 a土:線腫におけるCDH13 mRNA レベルが正常下垂体に比べて優位に低下している 。 表.4 CDH13 およびCDHI プロモーターのメチル化と遺伝子発現との関連 CDH13 mRNA .oN CDH13 noitalyhtem nirhedac-E .oN CDHl onitlaythme RT-PCR 25 + p IHC 96 + p 6 5 ()%38 1 < .005 12 (41 )%76 7 500.0< ±• 61 6 ()%83 01 三b3 22 8 ()%36 41 + 03 5 ()7%1 25 ~4 62 3 ()%12 32 • ±: CDH13 mRNA の有意な低下 . 円: E3nirehdac- 蛋白の有意な低下, IHC :免疫組織化学.

表 L 下垂体腺腫における CDH13 および CDHI プロモーターのメチル化 Variable o. N CDH13  n oit la yht em CDH  I meth o i t a l y n  +  p  +  p  Patients 9 6   (12 0 % ) 3 48  ()%07 25  ( 6 %) 3 4 4 ( 臼 )% Age  ) r y ( 43 .6  ± 2

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