• 検索結果がありません。

子どもの統制感の発達的変化

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "子どもの統制感の発達的変化"

Copied!
8
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

子 どもの統制 感 の発 達 的変化

1神

田 信 彦*

Development

Change

of Perceived

Control

in Children

Nubuhiko Kanda

Abstract: The present study investigated developmental change of children's perceived control by cross-sectional analysis. The data were captured in 1989, 1991, 1993 and 1999 school years. 1202 elementary school children with upper grade and 959 junior high school students completed generalized perceived control for chlidren scale. Children's perceived control scores were found to be significantly different from elementary school children to junior high school children in each school year. Junior high school students had significantly less perceived control scores than elemenary school children. But there was not liner developmental trend that was one grade group to the next. The reasons for these results were discussed. Key Words: elementary school children, junior high school students, locus of control, developmental change, perceived control

人 が何 らか の 問 題 事 態 に 置 か れ た 時,自 分 の 力 で 対 処 で き る と考 え れ ば,そ の 問題 を解 決 す る た め に行 動 を起 こ す 可 能 性 が 高 い で あ ろ う.こ の 行 動 の 生 起 に とっ て 重 要 な認 知 的 変 数 にLocus ofcontrol(以 下LOC)・ が あ る.LOCはRotter,J.B.(1966)の 提 唱 した概 念 で あ り,個 人 の 中 で 比 較 的安 定 した 認 知 的 傾 向 で あ る.LOCは 結 果 や成 果 と,自 分 の努 力 ・能 力 や そ の 他 の特 性 に 基 づ い た 自分 の 行 動 との 関係 につ い て の 一 般 的 期 待 で あ る.あ る個 人 が,自 分 の行 動 が 結 果 を も た らす と強 く期 待 す る時,内 的LOCが 高 い と呼 ぶ.そ の 反 対 に 自分 の 行 動 が 結 果 を も た ら さ な い とす る期 待 が 強 い 場 合,外 的LOCと 呼 ぶ.LOCは そ の個 人 の そ れ ま で の 多 くの 経 験 に よ っ て ー主 に形 成 さ れ る .し た が っ て 自分 の行 動 に よ って 結 果 や成 果 を得 る経 験 を多 く持 つ ほ ど高 い 内 的 LOCを 持 つ と考 え られ る. こ れ ま で の研 究 か らLOCは さ ま ざ ま な行 動 と関 連 を 持 つ こ とが 明 らか に な っ て い る.例 え ば, 子 ど もの 学 業 成 績 との 関係(鎌 原 ・樋 口 ・清 水,1982;神 田,1993,1999),適 応 感 ・不 適 応 感 との 関係(神 田,『1991,1993)や ス トレス 対 処 との 関係(神 田 ・大 木,1998)な どが 検 討 され て お り, 内 的LOCが 高 い ほ ど そ れ ら との 間 に 肯 定 的 な 関 係 が あ る との結 果 を得 て い る(国 外 の 研 究 につ *か んだ の ぶ ひ ご 文教 大学 人 間科 学部

(2)

い て は,神 田,1990を 参 照).し た が っ てLOCは 子 ど もた ち の 日常 生 活 へ の 関 わ りを推 測 す る 一 つ の 変 数 で あ る と言 え,子 ど もた ち のLOCが 加 齢 あ る い は 学 年 の 上 昇 に伴 っ て どの よ う に変 化 す る か を探 る こ と は興 味 深 い 問題 で あ る. そ れ で は 子 ど も のLOCは 年 齢 の 変 化 と ど の よ う な 関 係 に あ るの だ ろ う か.LOCの 研 究 者 た ち (例 え ばLefcourt,1976)はLOCが 年 齢 と共 に上 昇 して い く と主 張 して い る.そ の理 由 と して子 ど もは成 長 と共 に 自分 の 実 際 の 能 力 が 高 ま り,自 分 一 人 で行 え る こ とが 多 くな る こ と を次 第 に 自覚 す る よ う に な る点 を挙 げ て い る.こ れ が 結 果 的 に 自身 のLOCを 増 大 させ て い くこ と に な る と考 え る の で あ る. これ に対 し,年 齢 の 上 昇 と共 にLOCは 下 降 す る と考 え る こ と も可 能 で あ る.こ れ はPiaget的 視 点 か ら の も の で あ る.Piaget&Inhelder(1975)は,幼 児 は あ る事 象 に 影 響 を 与 え る 自己 の価 値 を過 大 に評 価 す る と した.ま た可 逆 的 操 作 が 可 能 に な る前 段 階 の子 ど もた ち は,ラ ン ダ ム事 象 の 原 因 推 論 や,不 正 行 為 と偶 然 事 象 との 間 の 随伴 関 係 を誤 って 知 覚 す る 傾 向 が あ る と され る.し か し形 式 操 作 の 出 現 に伴 い,こ う した 誤 っ た 随伴 関 係 の知 覚 は徐 々 に 消 失 し,自 己 の 行 為 と結 果 と の 間 の 過 剰 な 結 び つ きが 次 第 に訂 正 され る と考 え る の で あ る.こ の こ と をLOCに 関 連 づ け れ ば, 子 ど もた ち は,年 齢 の 上 昇 と共 に 自 己 中心 性 か ら次 第 に 解 き放 た れLOCは 徐 々 に下 降 す る こ と が 予 測 さ れ る. で は,こ れ ま で の 研 究 は子 ど も の 加 齢 とLOCと の 関 係 に つ い て どの よ う な結 果 を得 て い る の で あ ろ う か.米 国 に お け る研 究 をみ る と,結 果 は必 ず し も一 致 して い ない が,多 くは年 齢 や 学 年 の 上 昇 と共 にLOCも 上 昇 す る とい う結 果(例 え ば,Nowicki,&Strickland,1973;Sherman,1984;他) を得 て い る.一 方 で 有 意 な差 は み ら れ な い とい う結 果(例 え ば,Shriberg,1970)も 報 告 され て い る.Shermanは8∼13歳 の 子 ど も を対 象 に3年 間 に わ た り横 断 的 ・縦 断 的検 討 を行 い,年 齢 の 上 昇 と共 にLOCが 上 昇 す る とい う結 果 を得 て い る.た だ し横 断 的 デ ー タ に関 して は12歳 か ら13歳 でLOCは 減 少 を示 した.一 方,LOCの 減 少 を 報 告 した研 究 は み ら れ な い. ま た,加 齢 に伴 うLOCの 発 達 的 変 化 に 関 す る2つ の 視 点 の 矛 盾 を解 決 す べ くSkinner& Champman(1987)は 高LOC(internality)と 低LOC(externality)と を別 次 元 と仮 定 し,両 次 元

と も加 齢 と共 に 減 少 す るが,intemalityの 減 少 の方 が 少 な い とす れ ば,intemalityか らeXtemalityを 減 じた相 対 的intemalityは 上 昇 す る と し,仮 説 を支 持 す る結 果 を得 て い る. 次 に わ が 国 の子 ど もた ち を対 象 に した研 究 を み る と,そ れ らは い ず れ も横 断 的研 究 で あ る.ま ず 樋 口 ・鎌 原 ・清 水(1978)は 小 学3年 生 か ら6年 生 まで の子 ど も を対 象 にLOCの 測 定 を行 っ た. そ の結 果,5年 生 ま で はLOCは 上 昇 し,6年 生 は5年 生 に比 較 しLOCの 減 少 が み られ た こ と を報 告 して い る.ま た,鎌 原 ・樋 口(1987)は 中学 生,高 校 生 お よび 大 学 生 を対 象 に し,中 学,高 校, 大 学 と進 む に した が いLOCが 減 少 す る こ と を報 告 して い る.森(1990)は 小 学4年 生 か ら中 学3 年 生 ま で を対 象 に,6年 生 まで のLOCの 上 昇 と,以 後 中 学3年 生 ま で のLOCの 減 少 を報 告 して い る.さ ら に神 田(1993)は,小 学 生(4∼6年 生)と 中 学 生(1∼3年 生)と を比 較 し,中 学 生 の LOCが 小 学 生 のLOCに 比 較 し低 い こ と を報 告 して い る.こ れ らの 結 果 か ら 中学 生 以 降 に な る と LOCが 減 少 す る傾 向 が うか が わ れ る. 先 に示 し た よ う に 米 国 の研 究 結 果 は 一 貫 して は い な い が,加 齢 と共 にLOCが 上 昇 す る 傾 向 を 示 して お り,わ が 国 の子 ど も た ち の 変 化 は これ と反 対 の傾 向 を示 して い る.こ の 相 違 は,上 述 し たLOCの 発 達 的 変 化 に 関 す る2つ の 説 明 が い ず れ も普 遍 的 で な い こ と を示 す も の で あ る.LOC の形 成 に は,子 ど もた ち の 育 つ 環 境,す な わ ち社 会 ・文 化 状 況 の差 異 を考 慮 す る必 要 もあ る だ ろ

(3)

う. しか し,わ が 国 のLOCの 発 達 的 変 化 に つ い て加 齢 に伴 い 下 降 す る と断 定 す る に は研 究 数 が 少 な い.さ ら に 同 一 の尺 度 を用 い て小 学 生 か ら 中学 生 にか け て のLOCの 発 達 的 変 化 を複 数 年 に つ い て 比 較 で き る先 行 研 究 も行 わ れ て い な い.そ こで 本 研 究 で は,わ が 国 の 子 ど も の 加 齢 に伴 う LOCの 発 達 的 変 化 を複 数 年 の 比 較 に よ っ て 明 らか にす る こ と を 目的 と した. なお 筆 者 はLOCに つ い て,自 分 の行 動 と"結 果 や 成 果"と の 関 係 を よ り限定 的 に捉 え,"自 分 の 望 ん だ 結 果 や 成 果"と の 関 係 に 関 す る一 般 的 期 待 と考 え て い る.以 下 で は概 念 上 の 混 乱 を避 け る た めLOCと 区別 し,コ ン トロ ー ル の 感 覚 を意 味 す る 語 と して 統 制 感(perceivedcontrol)を 用 い る.こ こで は統 制 感 をあ る個 人 が 望 む結 果 あ る い は 成 果 を 自分 の 才 能,資 質,属 性 に基 づ く行 動 に よ っ て 生 み 出 す こ とが で き る との 期 待 な い し信 念 とす る.ま た,内 的LOCに 対 応 す る もの は高 統 制 感,外 的LOCに 対 応 す る もの は低 統 制 感 で あ る.

調 査 対 象 及 び 調 査 実 施 の 時 期 ①1989年7月 実 施:東 京 都 内 の 小 学 生156名(男 子73名,女 子83名),中 学 生197名(男 子100 名,女 子97名),小 計353名1(男 子173名,女 子180名). ②1991年9月 実 施:千 葉 県 内 の 小 学 生350名(男 子196名,女 子154名),中 学 生307名1)(男 子 154名,女 子153名),小 計657名(男 子350名,女 子307名). ③1993年7月 実 施:千 葉 県 内 の 小 学 生273名2)(男 子139名,女 子131名),中 学 生168名(男 子90 名,女 子78名),小 計429名(男 子229名,女 子200名). Table1調 査 対 象 の 学 年 、 性 別 及 び 年 度 別 人 数 年度 小学4年 小 学5年 小 学6年 中学1年 中学2年 中学3年 合 計 男 子 1989女 子 合 計 男 子 1991女 子 合 計 男 子 1993女 子 合 計 男 子 1999女 子 合 計 男子 全体 女子 合計 14 15 29 65 45 110 51 49 100 96 77 173 226 186 412 28 35 63 65 56 121 41 42 83 58 48 106 192 181 373 31 34 65 66 53 119 47 40 87 73 73 146 217 200 417 38 32 70 50 48 98 18 17 35 51 57 108 157 154 311 42 44 86 48 49 97 42 34 76 42 48 90 174 175 349 20 20 40 56 56 112 30 18 48 57 42 99 163 136 299 173 180 353 350 307 657 229 200 429 377 345 722 1129 1032 2161

(4)

④1999年11∼12月 実 施:東 京 都 内 の 小 学 生425名(男 子227名,女 子198名),中 学 生297名3) (男 子150名,女 子147名),合 計722名(男 子377名,女 子345名). 小 学 生 合 計1202名(男 子635名,女 子567名),中 学 生 合 計959名(男 子494名,女 子465名), 小 中 合 計2161名(男 子1129名,1032名).な お 各 年 度 の 学 年 ご と の 男 女 別 人 数 はTable1の 通 り で あ る. 調 査 票 の 構 成 子 ど も用 主 観 的統 制 感 尺 度 本 尺 度 は神 田(1993)に よる もの で26項 目 か ら成 り,各 項 目 につ い て 「よ くあ て は まる 」,「あ て は ま る」,「す こ しあ て は ま る」,「あ て は ま らな い 」 の4件 法 で 回 答 を求 め る もの で あ る.尺 度 得 点 が 高 い ほ ど統 制 感 が 高 い こ と を意 味 す る.こ の ほ か ,学 年, お よび 性 別 を たず ね た. 調 査 方 法 各 学 年 各 ク ラス の授 業 時 間 中 に教 師 の 教 示 に 基 づ き集 団 実 施 した.

統 制 感 の 測 度 の 内 的 一 貫 性 子 ど も 用 主 観 的 統 制 感 尺 度 の26項 目 に よ るCronbachの α係 数 は 調 査 対 象 全 体 で は,.79(1989 年 度.78,1991年 度.77,1993年 度.74,1999年 度.79)で あ り,一 定 の 内 的 一 貫 性 が 保 証 さ れ た. し た が っ て 以 下 の 分 析 に 当 て る こ と が 可 能 で あ る. 学 年 の 上 昇 と統 制 感 得 点 の 関 係 Table2に 年 度 別,学 年 別 及 び男 女 別 の統 制 感 得 点 を示 した.こ れ につ い て 統 制 感 得 点 が 学 年 の 上 昇 や性 別 に よっ て 影 響 を受 け て い る か 否 か を検 討 す る た め に,年 度 ご と に学 年 と性 別 を独 立 変 数 と し統 制 感 得 点 を従 属 変 数 とす る2要 因12水 準 の 分 散 分 析 を行 っ た.結 果 はTable3の 通 り で あ る が,各 年 度 と も有 意 な 交 互 作 用 は み ら れ な か っ た.1993年 度 以 外 は 学 年 の 主 効 果 が 有 意 で あ っ た.Tukey法 に よ る多 重 比 較 の 結 果 をみ る と,中 学2年 生,3年 生 が 下 位 の 学 年,特 に小 学 生 の 学 年 よ り も統 制 感 得 点 が低 い こ とが うか が え る. さ ら に学 年 の 上 昇 か ら統 制 感 得 点 の 予 測 が可 能 で あ る か 否 か を検 討 す る た め に,年 度 別 及 び調 査 対 象 全 体 を対 象 に そ れ ぞ れ学 年 を説 明 変 数,統 制 感 得 点 を基 準 変 数 とす る単 回 帰 分 析 を行 っ た. Table4に そ れ ぞ れ の 分 析 の単 回 帰 係 数 を示 し た.1993年 度 以 外 は 有 意 で 負 の 単 回帰 係 数 を得 た が い ず れ も非 常 に低 い 数値 で あ っ た.こ れ は学 年 の 上 昇 か ら統 制 感 を予 測 す る こ と は難 しい こ と を示 して い る. 小 学 生 ・中 学 生 別 の 統 制 感 得 点 次 に 小 学 生 と 中 学 生 の 統 制 感 得 点 に 違 い が 見 ら れ る か 否 か を検 討 す る た め に,小 中 別 と性 別 を 独 立 変 数,統 制 感 得 点 を 従 属 変 数 と す る2要 因4水 準 の 分 散 分 析 を 各 年 度 ご と に 行 っ た.そ の 結 果,1989年 度 は 小 中 別 の 主 効 果(F(1)=27.02,p<.01)が 有 意 で あ っ た.1991年 度 は 小 中 別 の 主 効 果(F(1)=18.08,P<.01)と 性 別 の 主 効 果(F(1)=15.28,P<.01)で あ っ た.1993年 度 は 小 中 別 の 主 効 果(F(1)=3.87,p<.05)と 性 別 の 主 効 果(F(1)ニ11.81,pぐ01)が 有 意 で あ っ た.1999

(5)

Table2統 制 感 の 平 均 得 点 年度 小学生 中学生 4年 生 5年 生 6年 生 小 学 生 全体1年 生 2年 生 3年 生 中学生全体 男 子 1989女 子 合 計 76.77(12.19)77.46(9.34)76.90(8.50)77.06(8.32)74.74(7.85)69.48(9.93)73.75(7.91)72.33(7.84) 77.40(8.32)78.14(7.35)80.12(9.25)78.89(8.88)75.03(10.10)72.52(8.25)73.45(9.32)73.55(8.01) 77.10(10.10)77.84(8.22)78.58(8.98)78.04(9.01)74.87(8.88)71.03(9.18)73.60(8.53)72.93(9.58) 男 子 1991女 子 合 計 72.28(8.95)71.55(10.08)72.34(10.81)72.06(9.93)72.26(10.23)67.65(8.50)69.59(9.52)69.85(9.58) 77.73(8.33)76.68(11.63)74.15(9.10)76.12(9.97)74.50-(9.70)71.27(9.08)69.95(9.62)71.79(9.61) 74.50(9.07)73.93(11.11)73.15(10.01)73.85(10.13)73.36(9.99)69.47(8.95)69.77(9.53)70.82(9.63) 男子 1993女 子 合計 71.94(9.08)75.31(8.71)70.36(10.29)72.42(9.54)73.83(9.12)72.67(6.60)69.67(8.59)71.90(7.92) 78.69(9.09)75.12(6.50)75.53-(8.69)76.58(8.31)74.12(6.46)73.59(9.28)73.50(7.29)73.70(8.06) 75.25(9.66)75.21(7.64)72.74(9.88)74.43(9.20).73.97(7.82)73.08(7.87)71.10(8.26)72.68(8.01) 男子 1999女 子 合 計 78.06(11.61)76.95(.8.22)75.97(9.05)77.10(10.03)74.39(9.24)71.62(10.99)70.30(10.04)72.06(10.14) 77.58(12.03)76.60(9.08)75.97(9.05)76.43(10.91)71.56(12.37)71.62(10.99)74.52(9.20)71.83(10.25) 77.85(11.77)76.79(8.59)75.49)(9.88)76.79(1,0.44)72.89(11.05)70.66(9.43)72.09(9.87)71.94(10.18) 男子 全体 女子 合計 74.93(10.72)74.85(9.41)73:79(10.06)74.51(10.11)73.73(9.22)70.26(9.27)70.36(9.37)71.40(9.41) 77.90(10.14)76.58(9.17)75.76(9.80)76.72(9.74)74.48(10.59)71.63(8.63)72.35(.9.31)72.45(9.52) 76.27(10.55)75.69(9.32)74.73(9.97)75.56(9.99)73.61(9.91)70.95(8.96)71.26(9.38)71.79(.9.47) 注)括 弧 内 は標準 偏差 。 Table3学 年 、性 別 を独立 変 数 、統 制 感 得点 を従 属変 数 とす る分 散分 析 の結果 独 立変 数 自由度F値 多 重 比 較(Tukey法)の 結 果 Table4学 年 を説 明変 数 、統 制 感得 点 を基 準 変数 と した年 度 ご との単 回帰 分析 の結 果 1989 1991 1993 1999 全体 学 年 性 別 学 年 性 別 学 年 性 別 学年 性別 学年 性別 5 1 5 1 5 1 4 1 7.18**中2<小4,5,6 1.51 6.03**中2,3<、 小5,6 16.41** 1.95 9.87** 8.37**中1,2,3<・ 小4;中2,3<小5;中2<小6 .04 19.35**中2,3<小4,5,6,中1;中1<小4 14.95** 年 度 1989 1991 1993 1999 全 体 標 準 化 単 回 帰 係 数 一.25** 一.18** 一.OS 16** 一.20** 5 1 **p< .Ol **p< .01 年 度 は小 中別 の主 効 果(F(1)=37.92,pく.01)が 有 意 で あ っ た.こ れ らの結 果 はTable2か ら明 ら か な よ う に,小 中 別 の主 効 果 に 関 し て は1993年 度 以 外 は小 学 生 よ り も中 学 生 の 統 制 感 得 点 の 方 が 低 い こ と を示 す もの で あ り.性 別 の 主 効 果 につ い て み る と,1991年 度 と1993年 度 で は,男 子 よ り も女 子 の統 制 感 得 点 の 方 が 高 い こ と を示 す もの で あ る.

(6)

Tables年 度 別 を独立 変数 、統 制感 得 点 を従属 変数 と した分 散 分 析 の結 果 学 別 学 年 性 別F値 多 重 比 較(Tukey法)の 結 果 4年 生 小 学 生5年 生 6年 生 男 子5.87** 女 子.20 男 子4.63** 女 子.69 男 子4.63** 女 子2.94* 1991<1993,1999 1991<1989,1999 1993<1989,1999 1991<1989 1年 生 中学生2年 生 3年 生 男 子.66 女 子.39 男 子2.69*1991<1993 女 子1.49 男 子1.05 女 子2.26 注)自 由 度 は3**pぐ01,*p<.05 年 度 間 の 統 制 感 得 点 の 比 較 次 に各 年 度 ご と の各 学 年 の統 制 感 得 点 に差 が あ るか 否 か を検 討 す る た め に,各 学 年 ご と,男 女 別 に 年 度 を独 立 変 数,統 制 感 得 点 を従 属 変 数 とす る1要 因分 散 分 析 を行 っ た.そ の結 果 はTable5 の通 りで あ る.中 学1年 生 と 中学3年 生 で は 男 女 と も有 意 差 は 見 られ な か っ た が ,小 学6年 生 で は男 女 と も に,小 学4,5年 生 と 中学2年 生 で は 男 子 に有 意 差 を得 た.こ の 結 果 は統 制 感 得 点 は学 年 は 同 じで も年 次 に よ っ て 変 動 す る 可 能 性 を示 して い る.

統 制 感 は学 年 の 上 昇 に伴 っ て 単 調 に変 化 す る もの で は な か っ た.し か し これ ま で の1989年 度 の デ ー タ に加 え1991,1993お よび1999年 度 の デ ー タに お い て も,中 学 生 は小 学 生 に比 較 し統 制 感 が 有 意 に低 か っ た.子 ど もた ち の 統 制 感 は,単 年 単 位 で 比 較 で きる ほ ど大 きな 変 化 で は な く,ま た 単 調 下 降 で もな く,よ り長 い 間 隔 で捉 え る 時 に そ の低 下 を確 認 で き る と考 え ら れ る.こ れ に 関 連 して 小 学 校 高 学 年 の 統 制 感 の水 準 との分 岐 点 と な る の は 中学2年 生 で あ る可 能性 も示 され た. こ う した結 果 は,我 が 国 の子 ど も た ち を対 象 に した先 行 研 究 の結 果 を支 持 し,強 化す る もの で あ る.そ れ で は 加 齢 に伴 う子 ど もの 統 制 感 の 下 降 は どの よ う に説 明 され る の で あ ろ う か.先 述 し た よ う に米 国 の 子 ど もた ち を対 象 に した研 究 で は,日 本 と反 対 の結 果 を得 た もの が 多 く見 られ る. こ の こ と は統 制 感 の発 達 的 変 化 の 説 明 を考 え る場 合 ,LOC的 観 点 やPiaget的 観 点 に よ る説 明 は 困 難 で あ る こ と を示 す もの で あ る.確 か に小 学 生 か ら 中学 生 の 時 期 に か け て,子 ど も た ち の 身 体 的 能 力 や 知 的 能 力 は 飛 躍 的 な 高 ま り を見 せ る.こ の こ とは統 制 感 の形 成 に寄 与 す る 要 因 とな る で あ ろ うが,日 米 に お け る統 制 感 の発 達 的 変 化 の違 い を明 らか にで きな い ば か りか ,実 際 にそれぞれ の 要 因 の 影 響 を取 り出 し統 制 感 に対 す る関 係 を 明確 化 す る こ と は 困難 に思 わ れ る .日 米 の差 を明 らか にす る た め に 重 要 で あ る と思 わ れ るの は,心 身 能 力 の高 ま りを 自覚 し,客 観 的 な検 討 能 力 を

(7)

高 め た子 ど も た ち が,現 実 に暮 ら し関 わ りを持 つ 社 会 や 文 化 な どの 環 境 要 因 に注 目す る こ とで あ る.例 え ば 子 ど も た ち の 自立 を促 進 す る雰 囲 気 の 強 弱,親 の 養 育 態 度 な どで あ る 。 鎌 原 ・樋 口 (1987)は 中 学 生 か ら大 学 生 ま で のLOCの 減 少 傾 向 を捉 え,「 日本 の 教 育 環 境 にお い て,こ の 時 期 に努 力 を して もそ れ に応 じた 結 果 が 得 られ な い よ う な経 験 を す る 機 会 が 多 い とい っ た こ とが あ る の か も しれ な い」 と指 摘 して い る.つ ま り学 校 を進 む に した が って 自分 の行 動 の 成 果 を確 認 し に くい状 況 が あ っ た り,困 難 な こ とが 多 く存 在 す る よ う に な る 点 を指 摘 して い るの で あ る.お そ ら く これ は教 育 場 面 に限 らず,い じめ に み ら れ る よ う に子 ど もた ち 自身 が 作 り出 して い る 環 境 も 含 め て 捉 え るべ きで あ ろ う. 鎌 原 ・樋 口(1987)の 考 え を 裏 付 け る た め の1つ の 方 法 は,統 制 感 と不 適 応 との 関係 を検 討 す る こ とで あ る.こ こで は そ の 中 の 不 登 校 を取 り上 げ 考 察 を試 み る こ とにす る.文 部 科 学 省 の 学 校 基 本 調 査 に よ る と2000年 度 に不 登 校(年 間30日 以 上 学 校 を欠 席)の み ら れ た小 学 生 は26,372人 で全 小 学 生 に 占 め る比 率 は.36%で あ っ た.ま た不 登 校 の 中 学 生 は107,910人 で 全 中学 生 に 占め る 比 率 は2.63%で あ った.中 学 生 は不 登 校 の数 が 小 学 生 よ り多 い だ け で な く,全 体 に 占 め る 比 率 に お い て は約7倍 に上 っ て い る.こ れ は 中学 生 は小 学 生 に較 べ 圧倒 的 に不 登 校 に 陥 る生 徒 が 多 い こ と を示 してお り,こ う した傾 向 は長 年 に わ た り続 い て い る.不 登 校 に陥 る原 因 は多 様 で あ ろ うが, そ の 背 景 に友 人 問 題 や 学 業 問題 な どで多 くの 挫 折 経 験 や失 敗 経 験 を持 つ 場 合 が 多 い こ とが 示 さ れ て い る(神 田,1991;本 間,2000).実 際 に不 登 校 に陥 っ た子 ど もた ち の 統 制 感 を検 討 した研 究 は 見 られ な いが,一 般 の 小 中 学 生 を対 象 に そ の 関係 を検 討 した研 究 と して,神 田(199Dや 神 田 ・ 大 木(2001)が あ る.神 田 は小 学 生 に お い て,神 田 ・大 木 は 中 学 生 に お い て 統 制 感 が低 い ほ ど不 登 校 欲 求 を強 く抱 き,あ る い は不 登 校 行 動 を行 う傾 向が あ る とい う結 果 を得 て い る.こ れ にみ ら れ る よ う に意 識 レベ ル や行 動 レベ ル の不 適 応 と,統 制 感 とは 関 係 を有 して い る こ とは 明 らか で あ り.不 適 応 の 一 つ で あ る不 登 校 が,小 学 生 よ りも 中学 生 に多 く見 られ る事 実 か ら,統 制 感 が 中学 生 で 低 下 して い る と考 え る こ と は可 能 で あ ろ う.し た が っ て 今 日の 日本 の 子 ど もた ち を取 り巻 く 生 活 状 況 は,加 齢 と共 に統 制 感 を低 下 させ る 方 向 に作 用 して い る と考 え られ る.こ の よ う に捉 え る こ と に よっ て 子 ど もた ち の 統 制 感 の発 達 的 変 化 の理 解 が 可 能 に な る と思 わ れ る. ま た,本 研 究 にお い て 統 制 感 を各 学 年 ご と に年 度 間 で 比 較 を行 っ た と こ ろ,中 学1年 生 と3年 生 以 外 で は男 女 あ る い は男 子 に 年 度 間 に差 が 見 られ た.さ ら に1993年 度 の デ ー タ は他 の 年 度 の デ ー タ と異 な る傾 向 を見 せ た.こ れ らの 背 景 に は コ ー ホ ー ト効 果 や,子 ど も た ち の 生 活 環 境 に 反 映 す る地 域 差 が あ る の か も しれ な い.こ れ につ い て は さ ら に多 くの デ ー タ を蓄 積 し検 討 を行 う必 要 が あ る. 最 後 に本 研 究 は,従 来 の 研 究 と同 様 に統 制 感 の発 達 的 変 化 を横 断 的 方 法 に よっ て 検 討 を行 っ た. 加 齢 に伴 う統 制 感 の発 達 的 変 化 を さ らに 明確 にす る た め に は縦 断 的 方 法 に よ る研 究 が 求 め られ る. 引 用 文 献 樋 ロ ー 辰 ・鎌 原 雅 彦 ・清 水 直 治1978児 童 用LocusofControl尺 度 の 検 討 日本 教 育 心 理 学 会 第20回 総 会 発 表 論 文 集,409-410. 本 間 友 巳2000中 学 生 の 登 校 を巡 る意 識 の 変 化 と欠 席 や 欠 席 願 望 を抑 制 す る 要 因 の 分 析 教 育 心 理 学 研 究,48,32-41. 鎌 原 雅 彦 ・樋 ロ ー 辰 ・清 水 直 治1982Locusofcontrol尺 度 の 作 成 と信 頼 性,妥 当 性 の 検 討 教 育 心 理 学 研 究,30,302-307.

(8)

/ ・ 鎌 原 雅 彦 ・樋 ロ ー 辰1987LocusofControlの 年 齢 的 変 化 に 関 す る 研 究 教 育 心 理 学 研 究35,177-183. 神 田 信 彦1990子 ど も のLocusofcontrolに 関 す る 研 究 の 動 向(1)立 教 大 学 心 理 学 科 研 究 年 報33,21-31. 神 田 信 彦1991小 学 生 の 主 観 的LOCと 不 適 応 の 関 係 の 分 析 不 登 校 欲 求 と の 関 連 立 教 大 学 心 理 学 科 研 究 年 報34,57-62. 神 田 信 彦1993子 ど も 用 主 観 的LOC尺 度 の 作 成 と 妥 当 性 の 検 討 教 育 心 理 学 研 究,41,275-283. 神 田 信 彦1999小 学 生 の 学 業 成 績 へ の 一 般 統 制 感 の 影 響 白 梅 学 園 短 期 大 学 紀 要,35,45-51. 神 田 信 彦 ・大 木 桃 代1998中 学 生 の ス ト レ ス 対 処 一 統 制 感 と 感 情 的 反 応 の 機 能 一 健 康 心 理 学 研 究, 11,39-47. 神 田 信 彦 ・大 木 桃 代2002中 学 生 の 不 登 校 の 背 景 要 因 の 検 討 文 教 大 学 人 間 科 学 研 究,23,181-190. Lefcourt,J.1976Locusofcontrol:currenttrendsintheoryandresearch.Erbaum:Hillsdale. 森 美 奈 子1990小 ・中 学 生 の 社 会 的 認 知 に 関 す る 研 究1989年 度 立 教 大 学 卒 業 論 文(未 公 刊) Nowicki,S.,&Strckland,B.1973LocusofControlscaleforchildren.JournalofCounsultingandClincal Psychology,40,148-154. Piaget,J.&Inhelder,B1975Theoriginoftheideaofchanceinchildren.NewYork:Norton. Rotter,J.B.1966Genaralizedexpectanciesforinternalversusexternalcontrolofreinforcement.psychological Monographs,80(WholeNo.609),1-28. Sherman,L.W.1984Developmentofchildren'sperceptionofinternallocusofcontrol.JouranlofPersondlity,52, 338-354. Shriberg,L.1974Descriptivestatisticsfortwochildren'ssocialdesirabilityscales,generalandtestanxiety,and locusofcontrolinelementaryschoolchildren.PsychologicalReports,34,863-870. Skinner,E.A.,&Champman,M.1987Resolutionofadevelopmentparadox:HowcanperceivedInternality increse,decrease,andremainthesameacrossmiddleage.DevelopmentalPsychology,23,44-48.

参照

関連したドキュメント

(2017) identified eight different perceived sensory dimensions of forest environments in urban areas (i.e., serenity, nature, species richness, space, prospect,

Required environmental education in junior high school for pro-environmental behavior in Indonesia:.. a perspective on parents’ household sanitation situations and teachers’

Compared to working adults, junior high school students, and high school students who have a 

どんな分野の学習もつまずく時期がある。うちの

 親権者等の同意に関して COPPA 及び COPPA 規 則が定めるこうした仕組みに対しては、現実的に機

key words : children with medical complexity, home care medicine for children, neonatal intensive care unit, community based integrated care system, community based

(no-change) group as shown in Figures 6 and 7. In this study, almost all significant nonverbal adjustments showed the compensation mentioned above. Considering the

一高 龍司 主な担当科目 現 職 税法.