環状き裂による破壊について
眞武友一*今井康文*
Brittle Fracture Induced By An External Circular Crack
by
Tomokazu MATAKE and Yasufumi IMAI
(Mechanical Engineering)
Strain energy release rates were evaluated for an externaI circular crack subjected to a combination of a uniform tension and a bendillg stress at infinity。 The value dgpends on the shape of the propagating crack and the realistic propagation path would release the greatest strain energy. Considering va亡ious shapes for the propagating crack such as circle alld ellipse, the most preferential shape is found to be the circular one which is tangent to the original border at the point where the smallest nominal stress arises、
Adiscussion of the distinction between a fracture criterion based on the strain energy release rat6 and one based on the stress intensity factor is presellted. For the externa亘circular crack under a cirtain stress state, the former criterion predicts the fracture Ioad about 26%Iarger than the latter do6s。
1.緒 言
前報ωで,一般的な3次元き裂では応力拡大係数が,
き裂縁の場所の関数となり,ひずみエネルギ解放率と 応力拡大係数は一般にその性質が異なるので,き裂の 不安定進展に対して両者はそれぞれ独立のクライテリ オンを与えるようになることを,円板状き裂について 示した.そして,円板状き裂を含む材料について,き 裂進展仮想経路によりひずみエネルギ解放率が異なる 場合は,最大のひずみエネルギ解放率を示す仮想経路 でき裂進展が起り破壊すると考えられるから,曲げと 引張りの組合せ応力場にある円板状き裂のき裂縁で最 大の応力拡大係数が,材料の破壊靱性値KKに達したか らといって,直ちに破壊が生じるとは考えられないこ とを示した.円板状き裂(2)やだ円板状き裂(3)が引張り や引張りとせん断の組合せを受ける場合についても同 様の考えから破壊開始の条件が考察されている.さて,
同様のことは,環状き裂についても適用されるはずで
ある.本論文では,環状き裂を含む材料が曲げと引張 りの組合せ応力を受ける場合について,き裂進展経路,
ひずみエネルギ解放率,応力拡大係数および無限遠で の拘束状態の影響を論じた.
2.曲げと引張りの組合せ応力場にある 円環状き裂とだ円環状き裂
円柱座標(ρ,0,ど)で表わされる3次元弾性体の応力場 を,之=0面でτ。。;τ,.=0であるような場合に限定す れば,変位は1つの調和関数を使って表わすことがで
き,ζ=O面での応力と変位はつぎのようになる圃.
τρ。=τθ。=0
ら=∂φ/∂ど (1)
η・=(1一レ)ψ/G
▽2φ=O (2)
こ・で,G,ンはそれぞれ材料の横弾性係数とポアソン
比である.そこで,円板状き裂に対する小林によって
曽機械工学科
得られたポテンシャル(5)から類推して,z≧0半無限体
で,
ロリ ご
の(ρ,θ,9)=・ΣΣ(、4残COS〃Zθ+B易sin〃Zθ)
海ヨOn=0
×∫..庶墨蹟(・ξ)〆喋(3)・
なる関数を考える.これは(2)式を満足し,(1)式に代 入して積分を実行すれば(6),
の の
σ2L。=一ΣΣ(!鑑COS〃Zθ+jB蕩sin〃Zθ)
糀=0π=0
》7ρ加∬7(〃z十η十1)
×凶(%+・)ア(・+告)
×F(翻+1壱剛1・ρ・/・2)、
0≦ρ<o ko ρ≧c(4)
1一ン。。。。
ωレ=
酒♂+÷1「(幽光1)1「(η+1) ×
×F(吻+・+券一耀+・・誓)
0≦:ρ<c 1ま離(ノ1残cos〃zθ十β魏sin〃zθ)
・一町(翻+壱)
0温嵩鵬…彫θ+β競・i・吻θ)
・・r(吻+%+■ 2)
×泥,一+・P(彿+2・+号)八麦一・)
×F(翻+参・+参m+2・+号・差)
ρ≧C こ〜で八・)はガンマ関数F(αβ・γ;・)!まガウスの超 幾何関数である.これから,(3)式で表わされる関数は,
円柱の底が任意形状の剛体スタンプを摩擦のない弾性 半無限体(z≧0)におしつけた時の応力関数であるこ
とがわかる.
(3)式で、姐と、鵤のみ0でない応力関数に,g方向の 剛体変位δと〃軸まわりの剛体回転εたを表わす応力関 数
碁所1ξ。(δ+号・) (6)
を組合わせると,g=0面での応力と変位はつぎのよう
になる.
躍レ=o= 0 0≦ρ≦c 号[δarCC・・(号)+(を){・・CC・・(音)
+音〉「夢}・…θ]
ρ≧c (8)
こ〉でガウスの超幾何関数を初等関数に書き換え(η,
〃1。=oが0≦ρ〈cで0になるように
Aト1ξ、〜縛δ (9)
殴ト1雲、2⑫霧・ (1・)
とおいた.これらの結果は別の方法で解かれたもの⑧ と一致する.
Z
o
y
ρ
C θ
X
Fig。1 Extemal circular crack ill a cylindrical coordinate.
(7)式,(8)式を利用して円環状き裂を含む弾性体の ひずみエネルギを求めることができる.すなわち,無 限遠での変位と応力を取り扱うかわりに,無限遠の変 位を固定した半無限体で,g=0面での変位と応力を考 える..そうすると,z=0面の変位は0≦ρ<oでは剛体 変位と剛体回転による成分δ+ερCOSθたになる.所 定の形状に変形させるのに要した仕事の2倍が無限体 のひずみエネルギであり
研一2凱2鴨1ξ、π≒
×(δ十2一皇ρcosθ)(δ十一藍ρcosθ)
O C ×ρ・琢)・4θ
一篶(δ・+号♂) (1・)
また,き裂縁での応力拡大係数は(7)式から
κ(θ)一篶湯(δ+2εc・・θ) (・2)
となり,θニ0すなわちκ=c点で最大となる.
だ円環解き裂を含む弾性体のひずみエネルギも同様
に,g=0面で外力がなした仕事を計算することにより
求められる.平面図がだ円で表わされる剛体スタンプ で半無限体(z≧0)のz=0面,
蓄+葦≦1・・≧∂
の範囲に,
…1…一一(δ+筆+号・) (13)
なる変位を与えた場合の応力関数がわかっている(9).z
=0面の応力は少し煩雑な計算ののち,
蜘=1鯖1才=葦 Kl々)
・(δ+ρ筆匂εか)
1
箭釜≦1
・ 》+・簑>1
と得られる.こ〉で
ρ≡々2κ(々)/{κ(々)一E(々)}
σ≡々2K(々)/{E㈲一々 2K(々)}
々2二1一(∂2/α2),ん 2=1一々2
(14)
であり,κ(々),E(々)はそれぞれ第1種,第2種の完全だ 円積分である.変形に要した仕事の2倍が無限体のひず みエネルギだから
門真2・÷∬6・(一 )鋤 2G πo
一1一レ κ(々)
のように得られる.
(δ・+÷卿÷・・釜) (15)
3.ひずみエネルギ解放率
環状き裂を含む無限体にz=±。。でπ=±(δ+ερ COSθ/α)なる変位を与え,変位を固定した状態でき裂 が進展する場合を考える.このようにするとひずみエ ネルギ解放率はき裂の仮想進展前後のひずみエネルギ の変化率
9=_∂σ ∂A
=lim{照ε)一W(c一∠lc)}/乙4 (16)
4!4→0
として,あるいは,応力拡大係数とひずみエネルギと の関係から
五。κ2朋
9−1 ハ鵜
加
のように求められる.
(17)
3−1 進展経路が同心円環状き裂の場合
wl,。。
1
一C
δトヨhc
■
ξ δ
Fig.2 Concentric circUlar boundary of a propagating crack.
図2に示すように,き裂縁が表わす円の中心が変らな いような進展経路を仮想すると,乃だけき裂の寸法が 増加した時の弾性体のひずみエネルギは,(11)式で c→c−12
δ→δ ε→ε一一i乃
c
とおきかえて,
確( 4G(c一乃。一勿= 1一レ){δ・+号♂(1一喜)・}
また,き裂面積の増分はつぎのようになる.
朋一。。・{1一(・一血)・}
よってひずみエネルギ解放率は,
9一。藷)(δ2+2 ) (18)
応力拡大係数(12)式を(17)式に代入し,
oU=c4θ4ξ 0≦ξ≦ぬ,一π≦θ≦π としても(18)式が得られる.
3−2 進展経路が偏心円環状き裂の場合
図3に示すように,き裂の寸法は乃だけ増加するが円 の中心がずれ,最小の応力拡大係数を与える点κ=一ご 点で接するような進展経路を仮想すると,ひずみエネ ルギは(11)式で
6→c一乃 δ→δ一i乃 c
ε→ε一亙乃
c
とおきかえて,
4G(c一〃)
w(c一ぬ)=
1一レ
×{(δ一罰+号♂(1二争}
と得られるので,ひずみエネルギ解放率は,(16)式か
ら
9一。(2G P一ソ)。(δ・+2δ・+2の・「 @(・9)
中心がずれないとした時より,40δε/πc(1一のだけ余 分にひずみエネルギが解放される.
応力拡大係数:(12)式を利用する場合は,積分範囲が 複雑になるが,
6〃k=(o+ξ)4θ・4ξ
0≦ξ≦1z(1+cosθ)+0(1z2),一π≦θ≦π として同様に(19)式が得られる.
とする.
wl、.。
δ
。C 一ho C
Fig 4 Elliptical boundary of a propagating crack.
W』.。 ξ
δ
●