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脳微小血管内皮細胞の透過性に対する advanced glycation end products cD

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 新 谷 好 正

学 位 論 文 題 名

脳微小血管内皮細胞の透過性に対する advanced glycation end products cD

学位論文内容の要旨

  糖尿病は全身の様々な臓器の障害に関連しているが,その病態はそれそれの臓 器における血管病変が主体となっている.動脈硬化性血管病変を主体とした虚血 性脳血管障害や虚血性心疾患の原因となるほか,血管増殖性変化に伴う網膜症や 硬化性変化による腎症と関連していることが知られている.さらに,中枢神経系 では糖尿病状態において血液脳関門(blood―brain barrier:BBB)の透過性が 亢進していることが報告されており,認知症と関連することもなど指摘されてい るが,その詳細についてはあまり言及されていない.

  糖尿病性血管病変の形成の原因に関しては,持続する高血糖状態により生体内 で 過 剰 産 生 さ れ るadvanced glycation end products(AGEs) が 近 年 童 要視 され てきて いる .AGEsは グルコ ―ス など の還 元糖と 蛋白 質が 非酵素的に 結 合 し て 生 成 さ れ る 多 様 な 分 子 の 総 称 で あ る ,AGEsは .AGEレ セ プ タ −

(receptor for AGE:RAGE) と の 相 互 作 用 に よ って ,NADPHオ キ シ ダ ー ゼ の活性亢進による細胞内酸化ストレスの亢進を介して種々の遺伝子の発現の変動 を起こし,動脈硬化症や糖尿病性網膜症,腎障害などの血管障害を引き起こすと 考え られ ている ,し かし ,脳 血管障 害におけるAGEの役割については未だ明ら かでない点が多い.

本研 究で は種々 のAGEsの なか でも強 い生 理活 性を 持つこ とが 知ら れている.

glyceraldehyde由 来AGEを 使 用 し , 培 養 細 胞 系 で脳 微 小 血 管 内 皮 細 胞 の 透 過性に対する影響を検討した.内皮細胞を多孔性メンブレンにより上室と下室に 区 画 さ れ たウ ェ ル に 培 養 し, 上室 のみ にHRP標 繊ヒ ツジlgG加え,4時間後 に 下 室 の 培 養液 中 のHRP活 性 を測 定した ,こ の活 性値 が透過 したIgGtと考え 、 透 過 性 の 指標 と し た . ま た , 血 管 透 過性 亢 進 作 用 を 持 つ 血管 内皮 増殖因 子

(vascular endothelial growth factor:VEGF) の 遺 伝 子発 現を 測定し た ほか,細胞内の活性酸素の変化も測定し,透過性や遺伝子発現との関連を検討し た.

ウシ脳微小血管内皮細胞(bovine  brain  mic rovessel  endothelial  cell: BBMEC) 及 び , ウ シ 大動 脈 内 皮 細 胞 (bovine aortic endothelial cell: BAEC)を 培養し ,そ れそ れにAGEを負 荷して,透過性の変化を調べたところ,

図1に 示 す よ う に ,BBMECの 透 過 性 の 基 礎 値 はBAECと 比 較 し て 有 意 に 低 値 を 示 し た , し か し ,BBMECで はAGElOOpg/m| の 負 荷 に よ り , 透 過 性 は 基

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礎値の1.25倍ま で上昇した, これに対し,BAECで は,AGEの負荷を行って も透過性には有意な変化は見られなかった.

  BBMECに100pg/mlのAGEを 負 荷 す る 際 に エ ダ ラ ボ ン 20,lOOpMを 同時に加え透過性を測定したところ,図2のようにAGEのみを負荷した群では,

何も加えないコントロ―ル群と比ペ透過性は1.24倍に亢進した.一方,エダラ ポンを同時に加えた群では,透過性は亢進せずAGEのみを投与した群との比較 では有意な差があった.

BBMEC,BMECに そ れ そ れ , 透過 性 実験 と 同様 にAGEの 負荷 を 行い ,VEGF mRNAの 発 現 の 変 化 を 検 討 し た と こ ろ ,BBMECに お い て はVEGFのmRNA 発 現 は50,100pg/mlのAGEの 負 荷 に よ り 増 強 し た が ,BAECで は変 化 は 見 ら れ な か っ た . ま た ,BBMECに AGE 100りg/mlを 負 荷 す る 際 に , 20〜100pMのエダラポ ンを同時に加 え,VEGF mRNA発現を評価したところ.

VEGF mRNAの発現上昇は見られなかった.

  AGEの投与による細胞内活性酸素産生の変動を測定したところ,いずれの内 皮細胞においても活性酸素産生量は有意に増加したが,BBMECにおいてより 高値を示した,また,これらのAGEによる作用は,エダラボンの同時投与によ り抑制された.

  以上の結果より,まずAGEに対する内皮細胞の応答に脳微小血管と大血管で 違いがあることが明らかとなったが,内皮細胞の由来の差によるAGEに対する 反応性に違いについて言及した報告は今まで無い.このように血管透過性の亢進 に関してBBMECの感受性が大血管の内皮細胞に比ペ高いことは,糖尿病性脳 血管障害の病態に影響を与えていることが考えられた,

  VEGFは血管透過性に関して童要な分子である,今回の研究で,AGEの負荷 に よ りBBMECの 透 過 性 は 亢 進 し ,同 時にVEGF mRNAの 発現 も亢 進 した . し か し ,BAECで は 透 過 性 の 変化 もVEGF発 現 の増 加 も見 ら れな かっ た . AGEの 負 荷 に よ りBBMECで のVEGF産 生が 亢 進し ,オ ― 卜ク ラ イン と して BBMEC自体に作用することにより透過性が亢進したものと推察された.また,

BBMEC,BAECでAGEに よ るVEGFの 発 現 の 変 化 に 差 異 が 存 在 す る こ と は こ れま で 報告 され て おら ず ,BBMECにおいてAGEに 対する感受性が ,VEGF 発現に関して高いことが糖尿病性の血管障害の発生パ夕―ンに影響を与えている 可能性が考えられた.

  AGEによる細胞応答のシグナル伝達において活性酸素の存在が重要視されて い る. AGEsはRAGEに 結 合しNADPHオキシダーゼ の活性を亢進 させ,細胞 内酸化ス トレスの亢進 を起こす.これに引き続きNF‑KbやAP―1等のレドッ クス感受性の転写因子を活性化し,組織因子やVCAM1,IL‑6等の発現を亢進 させる.同様にAGEによるVEGFの発現亢進が活性酸素を介して起こることが 報告され ており,今回 の研究ではエ ダラポンによりAGEによるsuperoxide の産生亢進と透過性の亢進は抑制されたことから,今回観察されたBBMECに お け るA.GEに よ るVEGFの 亢 進 も同 様 の機 序 によ る もの と 推測 され た .   糖尿病が危険因子となる脳梗塞は動脈硬化性血管病変であることが良く知られ ている.臨床的にも糖尿病で脳微小血管の透過性が亢進していることを示唆する 報告があり,糖尿病患者や高齢者でよく見られる大脳半球のび漫性の白質変化で

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あ るleucoaraiosisで はBBBの 透過 性が 亢進し てい るこ とが 指摘さ れて いる これら の透 過性が亢進した脳の病態は,今回の研究で見られたAGEによる透過 性亢進と関連した現象である可能性が考えられる.そのような病態が,持続的な 高血糖 状態 で過 剰産 生され るAGEsに よっ てもたらされる事はこれまで強調さ れてい ない .今後、AGEsがヨ1き起こす脳微小血管障害という病態を認識する ことが重要であると考えられた.

  AGEはBBMECの 透 過 性 を 亢 進 さ せ た . こ の 反 応 に はVEGFの 関 与 が 考 え られた .AGEによる 透過 性の 亢進とVEGFの発 現亢 進はエ ダラ ポン によ り完全 に抑制され,細胞内活性酸素の変動と一致しており,これらの反応の信号伝達経 路 に は 細 胞 内 酸 化 ス ト レ スが 強 く 関 与 し て い る も の と思 わ れ た , ま た , BBMECのAGEに よ る 透 過 性 亢 進 作用 に対 する感 受性 が大 血管 の内皮 細胞 に比 ベ高いという事実は、糖尿病性脳血管障害の病態に影響を与えているものと考え られた,

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学位論文審査の要旨 主 査    教授    岩 崎喜信 副 査    教授    小 池隆夫 副査   教授   佐々木秀直

学 位 論 文 題 名

脳微小血管内皮細胞の透過性に対する advanced glycation end products の影響

糖尿 病の中枢神経系の合併症では動脈硬化性変化に伴う脳梗塞についてはよく知られているが,

その ほかに糖尿病状態で血液脳関門の透過性が亢進していることや大脳の萎縮,び漫性の自質変 化毅 どに関連することが指摘されており,従来の動脈硬化性病変だけでは説明できをい病態が存 在すると考えられる.また,advanced glycation endproducts (AGEs)が糖尿病性血管病変の形成に 関 与 す る こ と が 知 ら れ て い る が , 脳 血 管 障 害 に ぁ け る 作 用 は 不 明 の 点 が 多 い .   このようを背景から本論文では,advanced glycation endproducts (AGEs)が,脳微小血管   皮細 胞の透過性に与える影響が検討されている.同時に,血管透過性に強い影響を持つVEGFの発 現変化と,これを調節していると考えられる細胞内活性酸素を測定し,それらを大動脈内皮細胞と 比較し検討している.また,フリ―ラジカルスカベソジャ―であるエダラボソを同時投与することに よりAGEの作用を抑制できるかどうかが調べられた.

その 結果 ,脳 微小 血管 内皮 細胞 では,AGEの負 荷で 透過 性の 亢進とVEGF mRNAの産生亢進とスー ノヾ―才キシドの上昇が見られたのに対し,大動脈ではス―/ヾ―才キシドの小さを上昇しか見られをい ことがわかった.また脳微小血管内皮細胞にぉけるAGEの作用は,エダラボソの同時投与によりす ぺて抑制されることがわがった.

  これらのことから,AGEは脳微小血管内皮細胞の透過性を亢進させ,この反応にはVEGFが関与し ていると考えられた.また,透過性の亢進とVEGFの発現亢進は,エダラポソにより抑制されることか ら,細胞内酸化ストレスの関与が考えられた.さらに,これらの反応に関して脳微小血管内皮細胞が,

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他 の部位の 内皮細胞 よりも感 受性が高 いということは、糖尿病性脳血管障害の病態に影響を与え ているものと推察された.また,糖尿病合併症としての脳病変を考える上で,脳微小血管の障害の存 在を認識することが重要であるという結論が得られた.

質 疑応答で は.AGEの作 用とその 細胞内シ グナル伝達 経路や内 皮細胞の 部位による反応の違いに 関する質問や細胞培養に関する質問があり,いずれの質問に対しても,申請者は実験結果と論文で の考察や文献を引用し解答した.

  こ の論文は ,AGEが脳微小血管内皮細胞の透過性を亢進させることに関して,他の部位の内皮細 胞よりも感受性が高いという新規の知見を示した点で高く評価され,今後糖尿病の脳合併症の研究 に貢献することが期待される.

審査員一同は,これらの成果を高く評価し,大学院課程にぁける研鑽や取得単位蕨ども併せ申請者 が 博 士 ( 医 学 ) の 学 位 を 受 け る の に 充 分 を 資 格 を 有 す る も の と 判 定 し た .

参照

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