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博 士 ( 医 学 ) 三 澤 一 仁

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 三 澤 一 仁

学 ′ 位 論 文 題 名

Role of Sialyl Lewisx in Total Hepatic Ischemia‑and Reperfusion

(全 肝虚血再 還流障害 におけるSialy|Lewis の役 割)

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

    I.緒  言

Selection familyは虚血再 還流後障 害に関与 する細胞 接着分子の 一群に分 類される 。その ーつ で あ るP−selecionは 血 管内 皮 細胞 上 に 発現 し 多 核自血 球(PML)の 血管内皮 細胞へ の接 着 に 重要 な 役割 を 演 じる 。 一方 、Sialyl Lewisx oligosaccharide(SLex)はP−se lectionの ligardで あ りPMLに 存 在 す る こ と か ら 、 投 与 さ れ たSLe はPMN上 のSL e のP―selectionと 結 合 を競合 阻害し、 それに弓1き続くPMNの組 織への浸 潤、障害 を抑 制す る と 考え ら れる 。 本 研究 では外因 性SLe のラヅ ト全肝虚 血再還流 障害での 効果を検 討した。

    II.材料及ぴ方法

1. 実験 モデル実 験動物と して雄性Sprague−Daeleyラヅト (250−275g)を用い た。術前12 hrは絶食としたが」、飲水は自由摂取とした。ケタラール(100mg/Kg,jp)全身麻酔下に開腹 後 肝に 流入出す る側副血 行路を全 て結紮し 、腸管うっ 血を防止 するため 対外門脈 大循環シ ヤ ント を設置し た。即ち 上腸管膜 静脈の枝 である盲腸 静脈を輸 出血管と し右外勁 静脈を輸 入血管として両者を内径0.86mmのポリエチレンチュープで連結した。ヘノ`リン(200 IU/Kg) を投与 し肝門部 において 肝動脈、 肝静脈、 胆曹を一 括してマイ クロクリヅプでclampし90分 間 の 虚 血 を 与 え た 。 虚 血 終 了 後 開 腹 し6時 間 の 再 還 流 後 に 標 本 を 摂 取 し た 。 2. 実 験 群再 還 流時 に 生 食を 投 与 したcontrol群、 肝 門 部のclampの み を行 わ なか っ たsh am群,SLe (25mg/Kg)を再還流5分前に投与したSL(5)群、再還流と同時に投与したSL(O) 群の4群に分類した。

3.生化学的検査血清AST、ALT、LDHを測定した。

4. 肝 組 織 中Myeloperoxidase(MPO) の 測 定Bradleyら 、Mullaneら の 方 法に 準 じ た。

即ち、50mMpotassium phosphate bufferをpH6.0に調 整した溶 液に0.5%exadecyltrimety 1 ammonium bromideと0.146%EDTAを 加え、肝 組織0.5gを4℃でhomozenizeした。これを液 体 窒素 と37℃の温 水槽に交 互に3回ず つ侵入後 、3℃におい て30分間、12、500gで遠心 し上 清を60℃ で2時間保 温した。 このサン プルにpH6.Oに調整し た50mM phosphate bufferと0・ 167mg/ml0ーdianisodine dihydrochloridelとO.005% hydrogen peroxideを加え、 分光高 度 計 で460nmに お け る 急 光 度 の 変 化 を 測 定 しMPO活 性 を 求 め た 。1MPOUnitは25℃ で 1分間に1肛molのperoxideを変性させる量とした。

‑ 272 ‑

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5. 組 織 学 的 分 析HE染 色 に よ り 肝 組 織 のnecrosisの 程 度 を 、O=none、l=single cell necrosis、2=30%以下necrosis、3=30〜60%neceosis、4=60%超necrosisの5段階に分類した。

ま たWoloneyら によ るNaphthol AS―D−Chloroacetate asterase techniqueによりPMNを 染 色し陽 性細胞を400倍にて50視 野観察しPMN数をcountした。

6. 統 計学 的 分析 測 定 値は 全 てMEAN土SEMで 示し た。 有意差検 定にはANOVA(student―New man−Keuls)を 用い、p<0.05を有意と した。

    m.結  果

1. 生 化学 的 検査 血 清AST、ALT、LDH(IU/L) 濃度はsham群で それそれ208土35、74土13、 453土80と低 値であっ た。90分の虚 血を加え たcontrol群では5843土316、5051土600、4273 73土4324と著 名に上昇 したが、SL(5)群では2700土389、2711土527、17680土7183に、また SL(0)群 では3167土498、2982土535、14120土5013にい ずれも有 意差を持 って低下した。

2. 肝 組織 中MPO活 性sham群 のMPO活 性(U/lOOmg tissue) はO.74土O.34であ った が、

control群に比ベ有意差をもって低下した。

3. 組 織学 的 分析HE染色 :sham群で は 肝sinusoid内の う っ血 と 広 範囲 ナ ょ肝 葉 壊死 が認 め られ 、neceosisの程 度は3.2土0.2であ った。SLeXの投 与により うっ血は 軽減しnecro SISはperiportal、pericental域に限局した。necrosisの程度はいずれも2.3土O.2でcontr 01群 と 比ペ 有 意 に低 下 し た。Naphthol染 色:sham群 にお け るPMN数 は88土12で あ ったが control群では543土54と増加した。SL(5)群では373土57、SL(0)群では308土39とcontrol群 と比べいずれも有意差を持って減少した。

    W.考  察

本研究で はsialyl LewisX(25mg/Kg)の投 与がラヅ トの重篤詮全肝虚血再還流モデルにおい て肝 機 能 、多 核 自血 球 浸 潤、 肝 組織 所 見 でい ず れも 改 善 した と い うこ と を示 し た 。SLe Xのin vivoでの炎 症、虚血 再還流障 害での研究 はわずか にコブラ 毒による 肺炎症モ デル、

ラヅト下 肢虚血モ デルでの 遠心肺組織 障害、猫 及ぴ犬の 心筋虚血 再還流障 害モデル で行わ れている にすぎナ ぃヽが、 いずれの研究においても炎症あるいは障害の軽減が確認されてい る。 こ の 薬剤 の 投与 時 期 に関 し ては 、 こ れら の 研究 の うち 心筋虚血 モデルで はSLeXは再 還流の5分 か10分前に 、遠隔組 織障害モデ ルでは1〜3 hr後に投与 されてい る。また これら の研 究 で はSLeXの 類 似体 で あ るnon fucoslatedある い はnon sialylated oligosacchar ideがcontrol薬剤 と し て投 与 さ れて い るが 、 改 善効 果 は認め られてい ない。外 因性のSL eXの 障 害 抑 制 作 用 の メ カ ニ ズ ム は 明 確 に は 述 ぺ ら れ て い 詮 い が 、 外 因 性 のSLeXはPM N上 に存 在 するSLeXが 血 管内 皮 や血 小 板 に発 現 さ れたselect.ionと 結 合 する の を競 合 阻 害 し 、 そ れ に 引 き 続 く PMNの 細 胞 接 着 や 浸 潤 を 押 さ え る と 考 え ら れ る 。

    V.結  語

1.Sialyl LewisX(25mg/Kg)の再 還流5分前 あるいは 同時投与 はPMNの肝組織 浸潤並ぴ に 肝虚血再 還流障害 を改善さ せだ。

2.sialyl LewisXの肝虚 血再還流 障害の初 期における 役割が考 えられ臨 床応用の 可能性が 示唆され た。

273−

(3)

学 位 論 文 審 査 の 要 旨 主 査

副 査 副 査

教 授 教 授 教 授

内野純一 石橋輝雄 北畠   顯

学 位 論文 題 名

Role of Sialyl Lewisx in Total Hepatic Ischemla and Reperfusion

(全肝虚血再還流障害におけるSialyl Lewisxの役割)

  Selectin familyは 虚 血再 還流 障害 に関 与す る細 胞接 着分 子の 一群 に分類される。そのー つであるP−selectinは血 管内皮細胞上に発現し、多核自血球(PHN)の血管内皮細胞への接着 に重 要な 役割 を演じ る。―方Sialyl Lewisx(SLex)はP―selectinのligandでありPHN上に存 在す るこ とか ら、 外的 に投 与さ れたSLexはPHN上にある既存のSLexのP−selectinとの結合を 競合 阻害 し、 それ に引 き続 くPHNの組 織へ の浸 潤を 抑制 する と考 えら れる。本研究では外因 性SLexのrat全肝虚血再還流障害モデルでの効果を検討した。

  材 料と 方法 :実験 動物として雄性のSprague Dawley系rat(250‑275g)を用い、鈴木らによ る門 脈大 循環 シャ ント を併 用し た全 肝虚 血再 還流 障 害モ デル を作 成した。 ケタラール(100 mg/Kg、ip) 全身 麻酔 下 に右 外頚 静脈 に内 径0.86mmのポリエチレンチュブを挿入し、ヘパリ ン200IU/Kgを 投与 後開 腹し 肝 の側 副血 行を 結紮 、ポ リエ チレ ンチ ュー ブの 他端 を門 脈 の末 梢 で ある 盲腸 枝に 挿入 しシ ャ ント を完 成し た。 肝門 部で 肝動 脈、 門脈 、胆 管を 一括 し てマ イク ロク ・リ ップ でclampし 、90分聞 の虚 血を 与え 、6時 間の 再還 流後標本 を採取した。SLe xはCytel Corp. (San Diego)よりSLexのanalogであるCY‑1503を得た。実験群は再還流時に 生理 食塩 水を 投与 したcontrol群 、肝 門部clampだ け を行 わな かっ たsham群 、CY‑1503(25mg /Kg) を 再 還 流 の5分 前 あ る い は 再還 流と 同時 に投 与し た もの の4群に 分類 した 。肝 障 害の 評価 とし て血 漿中AST、ALT、LDHを測 定し た。PMN浸潤の指標として肝組織中のHYelOPeroxid ase(IdPO) の測 定はBradleyら 、Mullaneらの 方法 に準 じた 。組 織学 的分析としてHE染色で 肝壊 死の 程度 を、O=none、l=single cell necrosis、2=30X以下nec rosis、3=30ー60Snecro SIS、4=60X超necros isと分 類し 評価 した 。ま たHoloneyらのNaphthol AS‑D chloroacetate techniqueに よ りPHNを 染 色 し 、 陽性 細胞 を400倍で50視 野観 察し てPHN数をcountし た 。統 計学的分析はAnalysis of variance(Student Newman Keuls)で行い、危険率pく0.05を有意 差ありとした。測定値はすぺてhfean土SEHで示した。

  結果:血漿中AST、ALT、しDHはSham群でそれぞれ208土35(IU/L)、74土13(IU/L)、453土80(IU 儿)と低値であった。90分の虚血を与えたcontrol群では5.843士316、5.051土600、42,373土 4,324と 著明 に上 昇し たが 、CY‑1503投与 群で は再 還流 の5分 前に 投与 した もの は2700士38 9、2711土527、17,680土7.183に、また再還流と同時に投与したものでは3.167土498、2.982土 535、14,120土5.013といづれも有意差をもって低下した。肝組織中のHPO活性量はsham群で は0.74士0.34(U/100mg tissue)であったが、control群では3.58土0.28と増加した。CY‑ 15 03投 与群 では 再還 流の5分前 に投 与し たも ので は2.46士0.28、再 還流 と同 時に 投与 し たも

(4)

のでは2.15土0.28とcontrol群に比ぺ有意差をもって低下した。HE染色によるnec rosisの程 度はsham群ではnecrosisは認められなかったが、control群ではnecrosis scoreは3.2土0. 2であるのに対し、CY‑1503投与辞ではともに2.3土0.2と有意に低値を示した。Naphthol染色 によるPHN数はsham群では88土12であったが、control群では543土54と増加した。CY−1503 投与群では再還流の5分前に投与したものでは373土57、また再還流と同時に投与したもの で は 308土 39とcontrol群 に 比 ぺ い づ れ も 有 意 差 を も っ て 低 下 し て い た 。   以上よりSLexのanalogであるCY一1503(25mg/Kg)を再還流の5分前あるいは同時に投与す ることによルラットの全肝虚血再置流障害モデルにおいて肝障害および肝の多核自血球浸 潤が軽減されたことが示された。CY‑1503の肝虚血再還流障害の初期における効果よりこの 化学物質の臨床応用の可能性が示唆された。

  副査の北畠教授からcontrol drU9であるシアリル化あるいはフコシル化されていない01 jgosaccharideの効果、他の抗細胞接着分子抗体の効果、薬剤投与時期、side effect等に ついて、また石橋教授から臨床での薬剤投与時期、CY−1503の化学構造、生物学的な有効性 に関しての質問があった。申請者は文献的にシアリル化あるいはフコシル化されていない Oligosaccharideでは効果が認められないこと、抗ICAH−1抗体、抗P−selectin抗体、抗SLe

抗体などの抗細胞接着分子抗体では有効性が認められていること、SLe の半減期とP‑sel ectinの発現時期から薬剤投与時期を決めたこと、局所投与によるside effect軽減の可能 性などを回答した。また臨床での薬剤投与の時期、CY−1503の化学構造、肝組織所見からみ た生物学的な効果についても回答した。

  審査員一同は、これら研究の成果を高く評価し、また研究者として誠実かつ熱心であり、

申 請 者 が 博 士 ( 医 学 )の 学 位 を 受 け る の に 充 分 な 資 格 を 有す るも のと 判定し た。

275ー

参照

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