キーワード:乾燥収縮,粗骨材,石灰石砕石,硬質砂岩砕石,骨材物性
〒285-8655 千葉県佐倉市大作2-4-2 太平洋セメント中央研究所 043-498-3804
粗骨材の乾燥収縮特性に関する検討
太平洋セメント(株) 正会員 ○谷村 充 兵頭 彦次 中崎 豪士
同 井坂 幸俊
1.はじめに
コンクリートの乾燥収縮ひずみが骨材の影響によっ て大きく異なることが再認識されてきている.骨材が 乾燥収縮ひずみに与える影響因子として骨材自体の乾 燥収縮ひずみや弾性係数が挙げられており1),それらを 加味した予測手法も提示されている2).この中で骨材の 収縮挙動は,岩種によって多種多様であることが報告 されており1),3),その特性を適切に評価する必要がある.
骨材自体の収縮測定は,現在まで様々な方法で行われ ている.この中で骨材粒にひずみゲージを貼り付けて 収縮ひずみを測定する方法1),3)は,試料入手が容易であ り,コンクリートに使う骨材そのものの収縮を把握で きる利点を有している.そこで,本検討において,こ のひずみゲージを用いて骨材の収縮ひずみを測定し,
骨材物性との関係を検討した結果を報告する.
2.実験概要 2.1実験概要
試験に用いた粗骨材の物性値を表-1に示す.粗骨材 の種類は,石灰石砕石
1
種類(GL),産地が異なる硬質 砂岩砕石6
種類(GS1
~6
)を用意した.最大寸法はいず れも20mm
である.絶乾密度・吸水率はJIS A 1110(粗
骨材の密度および吸水率試験方法),安定性損失質量はJIS A 1122(硫酸ナトリウムによる骨材の安定性試験方
法)に準じた値である.骨材の静弾性係数は,母岩から 採 取 し た コ ア ( φ32×64mm) に ひ ず み ゲ ー ジ ( 検 長 30mm
)を貼付し、圧縮載荷時の縦ひずみより算出した (50×10-6時と最大荷重の1/3
応力時のひずみの勾配).2.2骨材の収縮ひずみ測定方法
粗骨材の乾燥収縮ひずみは,粗骨材自体にひずみゲ ージ(検長:
2mm
)を1
枚貼り付けて測定した.試料数 は各粗骨材で5
個とした.防水を目的として,粗骨材 の一部を滑面処理した後,ポリエステル系接着剤で下 地処理した.その後,ひずみゲージを貼り付け,さら に表面をブチルゴム系のコーティング剤で被覆した.ひずみの測定条件は,7 日間
20℃水中で保管し,以後 12
日間20
℃-60R.H.%
で保管した.本検討では,水中保 管7
日時点を基準とし,それ以降のひずみ変化量を粗 骨材の乾燥収縮ひずみとした.ひずみ測定は同じ試料 を用いて2
回繰り返し実施した.3.実験結果および考察
3.1粗骨材の乾燥収縮ひずみ特性
粗骨材のひずみ測定結果(
2
回目)の一部(GL
,GS2
,GS4)を図-1
に示す.すべての骨材において水中で膨張し,乾燥過程で収縮した.乾燥過程における収縮ひず みの進行速度は粗骨材の種類によって異なったが,12 日の時点ではいずれの骨材も概ね安定した値を示した.
図-2に,乾燥期間
12
日における乾燥収縮ひずみ(平 均値・最大値・最小値)および変動係数を示す。2 回の 試験結果を比較すると,粗骨材種類ごとの乾燥収縮ひ ず み の 大 小 関 係 は 一 致 し て お り , 平 均 値 の 差 異 は45×10
-6以下であった.骨材粒個々での2
回の結果の差 は±15%
以内の範囲に入っており,2 回繰り返しの結果 は概ね一致していた.表-1 粗骨材の物理的性質
. .
図-1 粗骨材の膨張・収縮ひずみの測定結果 岩種 記号 絶乾密度
(g/cm3)
吸水率 (%)
安定性 損失質量
(%)
静弾性 係数 (kN/mm2) 石灰石 GL 2.69 0.43 1.7 78.1
GS1 2.64 0.74 2.5 68.6 GS2 2.56 1.88 18.7 44.7 GS3 2.64 0.96 12.5 66.0 GS4 2.72 0.55 1.0 81.0 GS5 2.71 0.88 11.5 64.5 硬質
砂岩
GS6 2.64 0.70 1.4 71.6
GL
-200 0 200 400 600 800
ひずみ(×10-6 )
GL平均GL
GS2
-200 0 200 400 600 800
ひずみ(×10-6 )
GS2平均 GS2
GS4
-200 0 200 400 600 800
0 5 10 15 20
経過日数(日) ひずみ(×10-6 )
GS4平均 GS4 20℃水中 20℃-60R.H. %
土木学会第65回年次学術講演会(平成22年9月)
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Ⅴ‑160
粗骨材種類別に見ると,乾燥収縮ひずみ(2 回の試験 の平均値)は,石灰石(
GL
)が最も小さく69×10
-6程度で あった.一方,砂岩砕石は産地によって収縮ひずみが 大きく異なった.最も小さいものはGS4
であり107×10
-6 であった.最も大きいものはGS2
で461×10
-6となった.また,同じ骨材種類であっても骨材粒毎に収縮ひずみ は異なり,最大値と最小値の差は最大で
642×10
-6(GS2),
変動係数は最大で
86%
(GL
)となった.骨材粒毎の収縮 ひずみの最大値と最小値の差は,乾燥収縮ひずみの平 均値が大きくなるほど大きくなる傾向であった.一方,変動係数は乾燥収縮ひずみの平均値と関連性が認めら れなかった.上記の結果については,試料採取条件や ロットの違いなどの検討を重ね,総合的に評価する必 要があると考えている.
3.2骨材の乾燥収縮ひずみと物理的性質の関係 乾燥収縮ひずみ(
2
回の試験の平均値)と骨材の絶乾 密度,吸水率,安定性損失質量および静弾性係数との 比較、およびそれらの関係を直線回帰した結果を図-3 に示す.骨材の絶乾密度との関係は,絶乾密度が小さくなる ほど骨材の乾燥収縮ひずみが大きくなる傾向を示した.
ただし,ほぼ同じ絶乾密度であっても乾燥収縮ひずみ は大幅に異なるものもあり,必ずしも両者の相関は高 いとはいえなかった.
骨材の吸水率との関係は,吸水率が大きくなるほど 乾燥収縮ひずみが大きくなる傾向が認められた.特に,
吸水率が
1%以下の範囲では概ね線形関係が認められ
たが,吸水率が高い
GS2
では,この線形関係から乖離 する傾向となった.骨材の安定性損失質量との関係は,安定性損失質量 が大きくなるほど,乾燥収縮ひずみが大きくなった.
コンクリートの乾燥収縮ひずみと骨材の安定性損失質 量が比較的高い相関関係が得られることが報告されて いるが4),骨材の収縮においても同様の傾向といえる.
骨材の静弾性係数との関係は,静弾性係数が大きい ほど乾燥収縮ひずみが小さくなる傾向であった.本検 討では石灰石,砂岩といった堆積岩の範囲ではあるが,
両者には比較的良好な関係性が認められた.
4.まとめ
本検討の範囲で得られた知見を以下に示す.
・ 石灰石砕石の乾燥収縮ひずみは砂岩砕石に比べ小 さくなった.また砂岩砕石の乾燥収縮ひずみは,岩 種が同じでも物理特性・産地によって大きく異なる 結果となった.
・ 骨材粒個々の乾燥収縮ひずみは,同一産地のもので も大きく異なり,ひずみの平均値が大きくなるほど,
最大値と最小値の差が大きくなる結果となった.
・ 骨材の乾燥収縮ひずみは,骨材の吸水率,安定性損 失質量が大きくなるほど,絶乾密度,静弾性係数が 小さくなるほど大きくなる傾向を示した.
参考文献
1)
後藤幸正・藤原忠司:コンクリートの乾燥収縮に 及ぼす骨材の影響,
土木学会論文報告集,第286
号,pp.125-137(1979)2)
寺西浩司・佐藤嘉昭:複合モデルを基盤としたコ ンクリートの乾燥収縮予測式-3 相モデルへの展 開および外的要因の影響の考慮-,日本建築学会 構造系論文集,第602
号,pp.21-28(2006)3)
田中博一・橋田浩:
骨材の種類がコンクリートの乾燥収縮に及ぼす影響,コンクリート工学年次論 文集,Vol.31,No.1,pp.553-558(2009)
4)
片平博・渡辺博志:骨材がコンクリートの乾燥収縮率に与える影響の簡易推定手法に関する研究, コンクリート工学年次論文集,Vol.31,No.1,
pp.97-102(2009)
図-2 粗骨材の乾燥収縮ひずみ 図-3 粗骨材の乾燥収縮ひずみと物性値の比較
1回目
-100 0 100 200 300 400 500 600 700 800
乾燥収縮ひずみ (×10-6)
0 30 60 90
変動係数(%)
変動係数
GL GS1 GS2 GS2 GS4 GS5 GS6
2回目
-100 0 100 200 300 400 500 600 700 800
乾燥収縮ひずみ (×10-6)
0 30 60 90
変動係数(%)
変動係数
GL GS1 GS2 GS2 GS4 GS5 GS6 最大値 平均値 最小値 最大値 平均値 最小値
安定性損失質量
R2 = 0.8746
0 100 200 300 400 500 600
0 5 10 15 20
安定性損失質量(%)
乾燥収縮ひずみ(×10-6) 静弾性係数
R2 = 0.6926
0 100 200 300 400 500 600
40 50 60 70 80 90 骨材の静弾性係数(kN/mm2) 乾燥収縮ひずみ(×10-6)
絶乾密度
R2 = 0.3004
0 100 200 300 400 500 600
2.55 2.60 2.65 2.70 2.75 絶乾密度(g/cm3)
乾燥収縮ひずみ(×10-6) 吸水率
R2 = 0.6306
0 100 200 300 400 500 600
0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 吸水率(%) 乾燥収縮ひずみ(×10-6)
GL GS1 GS2 GS3 GS4 GS5 GS6
土木学会第65回年次学術講演会(平成22年9月)
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