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岩塊形状取得用空撮測量システムの検討 

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Academic year: 2022

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(1)

岩塊形状取得用空撮測量システムの検討 

 

鉄道総合技術研究所  正会員  ○上半  文昭  鉄道総合技術研究所  正会員    箕浦慎太郎      

1.はじめに  

筆者らは,鉄道の落石被害の予防を目的として,沿線斜面に存在する崩落する危険のある不安定な岩盤ブロックを遠隔非接触 計測で検出する手法の開発に取り組んでいる。同手法は,図1に示すように,鉄道総研が開発したレーザを用いた非接触振動測 定システムUドップラーで計測した岩塊の振動特性からその力学的安定性の推定を試みるものであり1),推定精度を向上するため には,岩塊のスケールや支持状態の情報が必要である。そこで,斜面下方からの視認・測量が難しい岩塊の外観情報を簡易に把 握することができる空撮測量システムの開発に取り組んだ。先に開発したラジコン模型ヘリコプター(以下,模型ヘリ)を用いたレー ザ計測用の反射ターゲット形成装置 1)に防振化したステレオビデオカメラ

を搭載した空撮システムを構築し,屋外撮影実験を実施して撮影機能およ び画像相関法による 3 次元形状推定性能を調査した。 

2.システムの概要と活用目的 

(1)システム構成:図2(a)に空撮測量システムの概要を示す。空撮装置は,

自動操縦化を図った全長1.6m,機体重量8kg,搭載重量約7kgの26cc ガソリンエンジン模型ヘリにステレオビデオカメラを搭載したものである。約 15 分の連続飛行が可能で,地上局で撮影画像のリアルタイムでの確認,

撮影の開始・停止を行える。岩塊に接近して様々な方向から動画を撮影し,

死角(データの抜け)がない岩塊の概略形状を取得することを目的として おり,接近撮影時に誤差数mm程度,撮影距離10m程度で誤差数cm程 度を目標として開発に取り組んだ。

(2)ステレオ画像相関法:取り扱いの容易な平行ステレオカメラを例にとり,

ステレオ画像相関法の概要を説明する。計測パラメータが等しく既知のカ メラを図 2(b)のように光軸を平行にして基線長 b の間隔で配置すると,あ る点Pを撮影した際に,焦点距離fの位置にある各カメラの画像に写る点P の位置を各カメラ座標上の点P1(u,v),P2(u’,v’)とするとき,三角測量の要 領で点Pの座標(X,Y,Z )が式(1)で求められる。ここで,点Pの座標は左 側カメラの座標系を基準にしている。

, ,     ・・・・・・・・・ (1) 本システムでは,2 台のカメラの相対的な位置関係やカメラの投影モデ ルに必要なパラメータなどの幾何学情報を,特定のパターンを持ったキャ リブレーション板を撮影して画像データを解析することにより事前に求め,

左右画面上の対応点をエピポーラ線上の自動探索によって検出し,撮影 対象の 3 次元点群データを自動で算出することができる。システム上で,

岩塊形状の3 次元表示,手動指示による任意点間距離の計算などを行え る。複数の点群データの貼り合わせによる岩塊の死角の無い 3 次元形状 データの作成が今後の課題である。

(3)活用目的:得られた岩塊形状データは,振動計測による岩塊崩落危険 度評価手法の評価精度向上に用いる。まず,3 次元点群データからの岩 塊の質量と重心を推定して,岩塊の転倒安全率1)による評価の精度向上を 図る。次のステップとして,点群データから 3 次元の数値解析モデルを自 動作成するシステムを構築し,現地での遠隔非接触計測によって取得した 振動データ,固有振動数などをパラメータとした逆解析によって岩塊の支 持状態をより正確に推定する手法を検討する計画である。

図 1  岩盤斜面の遠隔非接触計測システム   

図 2 システムの概要とその活用目的  キーワード:  岩盤斜面,安定性評価,ステレオカメラ,画像相関法,空撮測量 

連  絡  先  :  〒185-8540 東京都国分寺市光町 2-8-38  鉄道総合技術研究所  鉄道力学研究部(構造力学)  E-mail: uehan@rtri.or.jp  土木学会第68回年次学術講演会(平成25年9月)

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(2)

         

    図 3  ステレオカメラユニット   

 

       図 6  機体とカメラ近傍のセンサ位置 

          

       

図 4  模型ヘリの振動計測状況   

 

         

         

3.ステレオカメラユニットおよびその防振化  

(1)ステレオカメラユニット:図3にステレオカメラユニットを示す。ステレオカメラは,

基線長を500mmと700mmに変更でき,130万画素のステレオカラー画像を撮影速度

15fpsで撮影する仕様とした。事前に市販ステレオカメラを同模型ヘリの前頭部に設置し

て予備実験を行ったところ,模型ヘリの振動の作用による不具合が発生したため,図4のように模型ヘリ機体脚部および前頭部に 小型加速度センサを設置し,飛行時の振動を1kHzサンプリングで計測した。図5の通り約190Hzの振動が卓越すること,前頭部 より脚部の振動が小さいことを確認し,ステレオカメラユニットを4個の防振材を介して模型ヘリ脚部に取り付ける構造とした。

(2)飛行実験による防振効果の確認:図 6 に示す模型ヘリの脚部とカメラ近傍の 2 箇所の飛行中の振動を同時計測した。図 7 に 加速度波形とそのスペクトルを示す。模型ヘリ脚部に対してカメラ近傍の振動が十分に低減されていることが確認できた。 

4.空撮測量精度の確認  

図8のように,地上4mの位置に設置した寸法が既知のダミー岩塊模型の空撮実験を実施した。振動によるカメラの不 具合が発生せずエピポーラ条件を満たす画像が撮影でき,自動探索で測距および3次元点群データの算出が可能であった。

測距誤差は,撮影距離2.6m以下の地上撮影で平均0.1%,距離3〜11mの空撮時で平均1.3%であり,撮影距離約10mの空撮 でも誤差10〜20mm程度で測距できたことから,岩塊形状の概算を目的とする場合,十分な精度を有しているものと考えられる。

5.現地計測実験 

実岩盤斜面において空撮実験を実施した。特徴的な形状の岩塊を測量対象とし,3〜10m程度離れた位置からその形状を撮影 し,対象岩塊の外観形状の3次元点群データを算出した。図9に空撮状況および算出された3次元点群データを斜面の斜め上 方からの視点で2次元表示した結果を示す。岩塊の3次元点群データを良好に算出でき,斜面下方から視認できない背面クラッ クの把握,岩塊スケールの推定に活用できることが確認できた。別途実施した測量結果に対する測距誤差は1.6%程度であった。

6.おわりに 

今後は,複数画像の貼り合わせによる岩塊形状の完全な3次元点群データの作成および数値モデルの自動作成方法を検討し,

岩塊崩落危険度の評価精度向上に応用する計画である。なお,本研究は,国土交通省技術開発補助金を受けて実施した。

文献 1)上半他:非接触振動計測による岩塊崩落危険度の定量評価手法の検討,鉄道総研報告, Vol.26,No.8,pp.47-52, 2012

X方向

Y方向

Z方向

100 200 300 400 500

0 0.6

0.8

0.4 0

0

0

周波数(Hz

フーリgsec

Z Y

X カメラ

カメラ部 センサ 脚(取付)部

センサ

図 8  実験状況および撮影画像例 

図 9  空撮状況および点群データ例    図 5  模型ヘリ脚部の振動周波数特性    図 7  防振機構による振動の低減効果 

測量対象岩塊

空撮装置 (a) 空撮実験状況

500mm

Y Z

X (b) 3次元

点群データ

100 200 300 400 500

0 周波数(Hz)

1.5

1.5

0.7

0 0 0

リエ振幅(gsec

模型ヘリ脚部 左カメラ付近

模型ヘリ脚部 左カメラ付近

左カメラ付近

模型ヘリ脚部 0 (b) フーリエ

スペクトル 15

10 20 30 40 50

0 0

周波数(Hz60 70 80 90 100

0 0

‐15

‐15

15 20

加速度(g‐20 X方向 Y方向

Z方向

左カメラ付近 模型ヘリ脚部

模型ヘリ脚部 左カメラ付近

左カメラ付近 (a) 加速度波形 模型ヘリ脚部

(カメラ取付部)

模型ヘリ脚部 センサ取付位置

模型ヘリ前頭部 センサ取付位置

Z

Y(手前)

(a) 空撮実験状況

(b) ステレオ画像例

左右画像対応点

エピポーラ線 防振材

防振材 模型ヘリ脚部

への取付治具

基線長可変 角度可変

土木学会第68回年次学術講演会(平成25年9月)

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参照

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