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曲げ剛さの異方性が大きい布のドレープ性

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Academic year: 2021

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(1)

曲げ剛さの異方性が大きい布のドレープ性

著者 山田 民子

雑誌名 東京家政大学研究紀要 2 自然科学

40

ページ 149‑156

発行年 2000

出版者 東京家政大学

URL http://id.nii.ac.jp/1653/00010688/

(2)

曲げ剛さの異方性が大きい布のドレープ性

  山田 民子

(平成11年9月21日受理)

Drapability of Fabrics Having Highly Anisotropic Flexural Rigidity

  Tamiko YAMADA

(Received on September 21,1999)

1.緒 言

 着用した状態においてフレアースカートが作り出す形 態は,スカートの設計上の因子及び着用者の体形に大き

く依存する.

 また,これらの因子に加えて布地の材料特性としての ドレープ性も大きく関係し,ドレープが描くシルエット によって美しさが定まる.

 ドレープの形態は,ドレープのノードと波高によって,

計量化されるが,これらの形態因子は,布地の力学的因 子として計測される剛軟性と関連させて解析される.

 筆者は,フレアースカートのフレアー効果を明らかに するために,たて糸方向とよこ糸方向とで曲げ剛さの異 方性が比較的小さい布地にっいて,ドレープ性と曲げ剛 さの関係を検討したD.

本報では,曲げ剛さの異方性が比較的大きい布地を用い て,ドレープ性と曲げ剛さの検討を行った.

2.実験方法 2・1 試料

 前報では,布地の剛軟性を表す尺度として,短冊状の 試験片にっいて測定した曲げ剛さEIと重量Wの比EI/

Wとして表した係数に着目し,この係数の値がたて糸方 向とよこ糸方向とで20%以内の差にある布地にっいて,

ドレープ性を検討した.

 本報では,たて糸方向とよこ糸方向とで,係数EI/

Wが20%よりも大きな差を持っ布地について検討した.

 素材,重量,曲げ剛さが広い範囲で異なる市販の織物 から,たて糸方向,よこ糸方向とで係数EI/Wの差が

20%以上の値を示した9種類を選んで試料とした.これ ら試料の諸元を表1に示す.

2・2 測定  1)曲げ剛さ

 曲げ剛さの測定はJIS L1096の曲げ試験B法に採 用されているスライド型試験機を用いた.試験機の概要 を図1に示す.

   ウエイト

z・ b−一

服飾美術科 被服構成学研究室

図1 スライド形試験機

 まず試験機本体と移動台の上面が一致するようにし,

試験片を本体の境界から移動台に4cm突き出るように置 く.本報では,突き出した長さを試験片の長さと呼び,

記号Lで表す.

 次いで移動台を降下させ,試験片の自由端が移動台か

(3)

山田 民子

表1 試料の諸元

I  S、mpl, ・…ural…ld・…E

│   EI/・

紹度

{/cm 厚さ

NO Materia1 Weave

Weight

@ w i9/c㎡)

Warp i9・cm)

Weft i9・cm)

紬ean i9・cm)

Warp l野,f、

ic㎡)  (c虹)

出ean ic㎡)

Dlff.

i忽) Warp Weft

・・・…n・1・0・・P1・…eave@…13 i・・49・・2・ 0.345     37.64     15.10     26.37 83.6 21,721.0 36.23 B Cotton  (100%) Plain weave     O,011    0.20

・,・5・.12517.854.53111.19119.・27.72・.224.8・       巳

・i・・k・1・…lpl・・…ave i…15・・54 ・・・… 44・35.872… 29・364…136・52…13L・・

・…1(・・…PI・・n we・・・ …1・・…1…7…806・・7・・6… 41128ユ2…i・8・332・90

i

・8

1

b・・・・・・…−ll・e・v

│…231・171…9・・6305・・993・7627・38

1725 p26・−154・26

1 1 1

i・・・…n・1・㈱R・b・eave ・・。・… 681…5・・36534・232…18…

1 }

・82・・151・−179・99

G Polyester(59完)

qayon  (25鬼)

̀cetate  (16毘)

Plain weave 0,018 0.15 0.10 0,125     8.53

P

5.48 7.01 47.2 15.8 ・4.・15・.68

H Polyester (75%)

aast fiber(25X》

P且ain weave 0,013 0.32 0.15 0.235124.49

11.34 17.92 73.4 19.0

1

16・4@   im41・25

      l

h  胃ool      (100弩)  P!ain weave        O.016      0.25      0.09      0.17      13.23      5.00      9.13 90.4 20.624.8 45.73

ら離れる時のたわみを測る.

 測定は,たて糸方向,よこ糸方向5枚の試験片表裏に っいて行い,これらの測定値の平均値を持って試料のた わみδとした.

 曲げ剛さEIは,材料力学において比較的たわみの小 さい範囲にっいて知られている次式を適用して求めた.

   EI==WL4/8δ (gf・cm)

 ここで,Wは試験片の単位面積当たりの重量(gh.c㎡)

である.

 2)ドレープ

 ドレープの測定は直径25. 4 cm及び30.5・cmに裁断した 2種類の円形試験片について行った.

  本報では,円形試験片を直径12.7cmの夕一ンテー ブルに支持して垂下させた時のドレープを解析するため にエンコーダを応用したドレープトレーサを試作して測 定を行った.

 夕一ンテーブルに置いた試験片を2°ずっ回転させ,

試験片の射影先端の座標(計180点)を測定した.

 ターンテーブルを2°回転させた時のテーブル外周の 円弧とこれらの回転角で求めた射影先端の座標によって 囲まれる射影が台形であるとみなして,面積を算出した.

この様にして得た微小面積を射影の全周に渡って積算し て,射影面積を求めた.

 ドレープの形を表す因子としての垂下角は,ターンテー ブル端部と円形試料の先端とを結ぶ線がターンテーブル

の水平面となす角と定義する.この垂下角を試験片の回 転角2°おきに測定し,それらの平均値θをもって試料 の垂下角とした.

3.実験結果と考察 3。1 たわみ曲線

 短冊型試験片の曲げ試験において,試験片の長さに沿っ た各部のたわみを測定して得たたわみ曲線を図2−1,

図2−2,図2−3に示す.試験片端部のたわみが大き いほど曲げ剛さは小さいが,係数EI/Wも小さな値と なる.また,いずれの試料においてもよこ糸方向の方が たて糸方向よりもたわみが大きく,したがって曲げ剛さ は小さい傾向にある.

3・2 ドレープ

 図3及び図4に直径25.4・cm(10inch)及び30.5cm

(12inch)の円形試験片にっいて得た代表的なドレープ 形状を示す.ドレープのノード数は,10回の測定の平均 値である.

 試料C,D, Gは,たて糸方向,よこ糸方向の曲げ剛 さEIの異方性が小さいが,これらの試料ではドレープ 射影の形状が比較的均一であった.これに対して曲げ剛 さの異方性が大きい試料では,ドレープが不均一な形を とることが観察された.

 直径30.5cmの試験片は直径25. 4 cmの場合よりもドレー

(4)

言罫こ料 ・A

言式料・B

入力値:し=4.20, u・3.913,  ソ・9.96 出力頒:El=e.49,E1桐富37.64,di (deg)=18.②5

1 1

たて方向のたわみ曲線

 入力値:し=a.ee  u=e.gn,  り=1.r5  出力値:El=e.20 EIXw=1?,85,ψ deg}=34.32

X

ψ    yl

入力値:L=4.②②, w=e.el3,  り=1.8?

出力値;Ei=e.2e,Eレ・w 315.le,ψ deg}啓38。86

w

ψ    yi

よこ方向のたわみ曲纏

 入力値:し=a.ee, w=e,el1,  り富3.e1 出力fe:El・・e.e5.El・w =4.53.th Cd・g)・ 68.le

@yi

?。…

言式料・C

試料・−:)

たて方向のたわみ曲繍

入力値:Ltt 4.ee, w=e.el5   ソ量e.9S  出力埴:EI;2.54,Eレv=35。8?。ψ(deg}=18.86

         y

h

たて方向のたわみ曲線

 入力値;L=A.ee, w=邑,914   り・2.83  出力値:El;②.99 Eレ日=6.17,ψ{deg}・63.62

ψ yi

xi

よこ方向のたわみ曲線  入力値:L;a.ee,

 出力短:EI・②.34,

 L」菖9.915 ,    リ昌 1.as EIノ」13 22.85   ψ(deg}轟 28.13

X ψ   y;

o・

よこ方向のたわみ曲線  入力値:L;4.ee,

 出プつ{直:Ei 二9.巴7

 w冨9.914      リ= 3,②6

Eレw呂 4,65,ψ(deg)冨72.98

ψyi

xi

図2−1 サンプルのたわみ曲線

(5)

山田 民子

賦料・F

×i

1

たて方向のたわみ曲線

 入力埴:し・4.ee. w e.e2e   y。e.99 出力te i Et・e.68.El・w =3a.23.di・Cd,9)・tg.69

      yi

Xi

yi

よこ方向のたわみ曲線  入力値:し;a.ee,

 出力値:EI=0.es,

 り ; ∈う.G20 ,      り = 3.38 El!w; 2.6d , ψ{deg};82.44

y

ψ

xi

言式料・G

言式料・壬≒1

たて方向のたわみ山綴

 入力値:いa,ea  w・e.el9、  り・2.6e  出力値:∈1=O.15,Eレu=8.53,th Cdeg}=55.12

ψi

@ yi

)くr畠

たて方向のたわみ曲線

 入力値:し=n.ee, w昌e.e13   り.1.44 出力値:El・②.29 t EI・w ・ 22.61.di・(d,g}.28.38

×

ψ   yi

よこ方向のたわみ曲線  入力値:し=a.②e,

 出力値;EI 3②。11,

 w 8 巳.Ol8 ,     り 3 2.87

Elノ日; 6.16,ψ(deg}審64.33

ψyi

xi

よこ方向のたわみ曲線

入力埴:し・4.ee, w・e.e13, y・2.35  出力値:El=O.14,白/w=1②.41 ψCdeg)=49.A3

ψ  yi

xi

図2−2 サンプルのたわみ曲線

(6)

試料・ −

たて方向のたわみ曲線

入力値:L=3.09, v=e.019。  り 9.81 出力値:El;②.25.E1 w=13、25,ψ deg)=21.2B

xi

     1 C

よこ方向のたわみ曲線

入力値;し=3.ea,  冨e.el9.  V=1.66 出力値:Et=e.99,Eltw= S.ee,ψ{deg)=45.?2

Xl yi

図2−3 サンプルのたわみ曲線 プの波高が大きい.言い換えれば丈の長い試料ほど,波

高は大きくなる傾向にある.また曲げ剛さの異方性が大 きい試料は,波高が大きくなる.

3・3 曲げ剛さとドレープの関係

 各試料にっいて得た係数EI/W,ドレープ面積,平 均垂下角θを表2に示す.一般に係数EI/Wの値が小 さい試料ほど垂下角が大きく,ドレープ面積は小さい.

 ドレープ面積と垂下角との間には,図5に示すように 直線的関係が認められる.両者の関係は,試験片の直径 によって大きくは変わらないと見られる.

表2 サンプルにおけるEI/W, Drepe Area,θの関係

 たて糸方向とよこ糸方向とで曲げ剛さの異方性が小さ い試料では,ドレープ面積と3VET7rwの間に,直線的

な関係が認められた1).

 本報で用いた異方性の大きい試料では,図6に示す ように3VET7TWが大きいほどドレープ面積は大きく なる傾向にある.しかし,試料によってドレープ面積と 3価7Wの関係は,比較的広い範囲に分布することが

分かる.

4.まとめ

Sample

Dia.(cm)  No.

EI/w

(cdi)

Drape area

(c㎡)

θ

(deg.)

444444444555555555 222222222 ABCDEFGHI

26.37

11.19 29.36 5.41 27.38 18. 44 7.01 17.92 9.13

413,00 368.31 382.26 295.10 373.37 322.45 290.33 337.19 287.09

31.03 43.28 40.36 57.94 41.35 51.85 58.73 49.17 59.37

30.48 30.48 30.48 30.48 30.48 30.48 30.48 30.48 30.48

ABCDEFGHI

26,37

11.19 29.36 5.41 27.38 18.44 7.01 17.92 9.13

479.97 460.70 431.40 289.45 475.]4 359.23 283.38 385.96 301.50

24.21 31.73 30、61 58.34 24,04 44.41 59.20 57.59 67.45

 たて糸方向,よこ糸方向のEI/W値の比が28%〜

180%の範囲にわたる9種の試料にっいて,曲げ剛さの 測定及び試作ドレープトレーサを用いたドレープの測定 を行った.その結果

 1)剛軟度大の布地では,ドレープの波高が大きく,

素材特性の影響が大きいこと,及び直径の大きいものの 方が波高が大きいことがわかった.自重による影響が大 きいと考えられる.試料の大きさによるノード数の変化 は見られなかった.

 2)ドレープ面積と平均垂下角との間に直線的な関係 が認められた.

 3)ノード数は,同一試料でもある範囲以内で,様々 に変化していた.ノード形態は,試料によって美しい対 称性を示すものがあるが,いびっな形態を示すものがあ

り,複雑な変化をする.

 今後の課題として,試料片の大きさを変化させる等,

本実験の方法を拡張し,引き続きフレアースカートのフ レアー効果について検討することが必要である.

(7)

山田 民子

ユ00    A

(ノード数 4.0)0

   B

(ノード数

   C

(ノード数

   D

(ノード数

一100

100

5・8) 0

一100 一100

100

6.0) 0

一100

ユ00

6.3)0

一100

100    E

(ノード数 6.0)0

一ユ00

0 ユ00

一100 0

100

一100 0 100

一ユ00 0 100

   F

(ノード数

   G

(ノード数

   H

(ノード数

   1

(ノード数

100

5.5)0

一100

100

6.5)0

一ユ00

100

5.4)0

一ユ00

100

6.1)0

一100

一100 0

100

一100 0

100

_100 0

100

一100 0

100

一100   0   100

   図3 サンプルにおけるドレープ形状(10inch)

(8)

100

   A

(ノード数 5.4) 0

一100

         100   、B

(ノード数 4.0) 0

        −100

100

   C

(ノード数 5.9) 0

一100

ユ00    D

(ノード数 7.1)0

一100

         100    E

(ノード数 6.1)0

        一ユ00

一100 0

100

一一

P00

0

100

一100 0 ユ00

一一

P00

0 ユ00

   F

(ノード数

  G

(ノード数

   H

(ノード数

   1

(ノード数

100

5.8) 0

一100

ユ00

6.2)O

一100

ユ00

6.2) 0

一100

ユ00

6.7) 0

一100

一100 0

100

一一P00 0 ユ00

一100 0

100

一100 0 100

一100  0  ユ00

 図4 サンプルにおけるドレープ形状(12inch)

(9)

山田 民子

0 0 5

0 5 4

0 0 4

0 35

0 0 3

0 25

︵5笛o﹂o−o氏9ー﹄Q

  500

  460CE

雷42°

&38・ Q 340

  300

  260

20         30         40         50         60       70

      θ(deg)

   ・  25.4cm  (10inch)

  ▲  30,48cu  (12inch)

図5 Drepe Areaとθ(deg)の関係

  1.6         2.0         2.,1         2.8         3.2

         3㎝

     ●  25.4cm  (10inch)

     ▲  30,48cm  (12inch)

  図6 Drepe Areaと3ynt7TW(cm)の関係       文  献

1)山田民子,中里喜子,赤見仁,徐廷権;繊消誌,

  36,495 (1994)

2)中山晃,稲垣勝彦;繊学誌,40,T−44(1984)

参照

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