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TiNi形状記憶合金の曲げ疲労特性

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愛総研ー研究報告 第10号 2008年

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形状記憶合金の曲げ疲労特性

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t t Absiract Tensile deformation properties and pulsating-plane bending, altemating-plane bending and rotatl時四bendingfatigue prop出iesof a superelastic thin tube (SE-tube) and a highelastic thin wireσHP-wire) of

T

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i alloy were investigated experimentally. The main results obtain巴dare as follows. (1) The stress-strain curve of

SE同tubein tension draws a large hysteresis loop and elastic modulus is 35GPa. Therefore, SE-tube is superior as a

medical catheter tube withf1exibility and shape recove巧T.The stress-strain curve of FHP陶wireis close to a straight

line up to strain of 4% and stress of 1500MPa and elastic modulus is 50GPa. ThereforeコFHP-wireis superior as a

medical guide wire withf1exibility, high pushability and torque transmission performance. (2) W此hrespect to fatigue

properties of NT-tube and FHP-wire, the fatigue life in pulsating-plane bending is longer than those in altemating-plane bending and rotating bending. The difference in the fatigue life between alternating-plane bending and rotating bending is small. The relationship between maximum bending strain and the number of cycles to failure in low-cycle fatigue can b巴expressedby a power funιtion in every b巴ndingfatigue. (3) The maximum bending strain

at the fatigue limit of SE-tube is 0.8%ー1.0%which is close to a starting strain of stress-induced martensitic transformation. The ma氾mumbending strain at the fatigue limit ofFHP-wire is 0.7%-0.8%

1.緒言

形状記憶合金 (shapememory alloy, SMA)は形状記憶効果 (shapem巴moryeffect, SME)と超弾性 (superelasticity,SE)の

2つの特性を示す(1)-(5) SMEでは大きな回復変形と回復応力 が発生する SEでは大きな回復ひずみおよびひずみエネルギ ーの貯蔵と散逸仕事を利用することができる.SMAではこれ らの機能を有する為にスマート材料あるいはインテリジェン ト材料としての応用が期待されている.現在まで多くのSMA が開発されているが,疲労強度などの機械的性質の優れた T剖iSMAが最も多く実用化されている. 疲労特性の研究報告はない. 本研究においては,T.削1合金の SE細管および E琵細線の 平面曲げ疲労特性を明らかにする このために,まず材料の 基本変形特性として,引張変形特性を示す.次に,平面曲げ 疲労特性を調べるために,片振りと両振りの平面曲げ疲労試 験を行い,疲労寿命特性を明らかにする.また,破断面の観 察により,疲労き裂の進展過程を調べる.さらに,平面曲げ 疲労と回転曲げ疲労の寿命特性を比較し,両者の関係を明ら かにする. 上記の特性を医療分野で応用するために,カテーテノレチュ 2. 実験方法 一ブとして SE細管およびガイドワイヤーとして高弾性 (highelasticity, HE)細線が開発されている.ガイドワイヤー 2. 1 併長f;f./{:j.'3J:: [矛椴方 としてのHE細線は応力 ひずみ曲線の直線性と狭いヒステ リシスノレープ幅,および押込みにおける高い屈曲抵抗 (high pushab出引が要求される.これらの応用において, SE細管 およびHE細線は主に平面曲げを受ける.医療応用において これらの素子は繰返し変形を受けるので,それらの信頼性を 評価する上で,材料の疲労特性は非常に重要である(買η.これ らの材料の疲労特性については,回転曲げ疲労特性は調べら れている(めが,実際の使用状態に対応する平面曲げに関する T 愛知工業大学工学部機械学科(豊田市) t t 愛 知 工 業 大 学 大 学 院 (豊田市) 供試材は古河テクノマテリアル械のT.i-50.85a仇Ni合金で 超弾性を示す細管NT.-E9(SE剖be)と高弾性を示す細線 FHP-NT.σHP陶wire)であった SE-tubeのタ付圭は0.9mm,内径 は0.7mmであった.FHP-wireの外イ至は 0.5mmで、あった SE-ωbe は 803K で 2~3 分間の索1処理により直線形状を記憶 した F田-Wlreは高弾性特性を得るために,機械的に直線状 に矯正して作製した.示差走査熱量測定 DSC試験で求めた SE-tubeの逆変態終了温度Afは321Kで、あった.FHP-wireの 変態温度については, DSC試験では明瞭な相変態のピークは 確認できなかった.調

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片は一様形状の細管と細線で、あった. 試験片の長さは引張試験では 100mmで、あった.曲げ疲労試 75

(2)

76 愛知工業大学総合技術研究所研究報告,第 10号, 2008年 験での試験片の長さは 70~150mm であり,曲げひずみが大 きいほど短い試験片を用いた. 2. 2 実験装置 引張試験には形状記憶合金特性試験装置(9)を用いた.試験 片の変位は標点距離20mmの伸び計により測定した. 疲労試験には片振り平面曲げ疲労試験装置(10) 両振り平面 曲げ疲労試験装置(11)および回転曲げ疲労試験装置(12)を用い た.実験では試験片表面の最大曲げひずみを規定し,一定の 繰返し速度で曲げ疲労試験を行い,破断繰返し数を求めた。 試験片の破断面の観察には走査電子顕微鏡(SEM)を用いた. 2. 3 実験手VlI震 引張試験は一定のひずみ速度の下で、行った 片振りと両振り平面曲げおよび回転曲げの疲労試験は,室 温の大気中で行った.試験片は支点聞の中央部で破断した. 試験片表面の最大曲げひずみらaxは破断部の曲率半径より求 めた.繰返し速度

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は8.33Hz(500cpm)とした.最大曲げひ ずみに対する最小曲げひずみの割合で、規定されるひずみ比は, 片振り平面曲げでは0であり,両振り平面曲げおよび回転曲 げでは回lである. 3.実験結果および考察 3. 1 超弾也纏管と高弾性結線の号開設源相生 3. 1. 1 超弾性総管の応力一ひずみ関係 超弾性細管SE市lbeについて温度T=303Kでひずみ速度1.67 500 1 8 4 0 υ 咽 A X 巧 f r o 4 曽 A リ ぬ 団 = 泊 t 3 U 3 引 =

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ー ト 1 0 0 0 0 0 0 0 U 0 0 0 0 4 守 句 3 今 a 守向冨 }b 曲四目﹄お Loading -ー一一一一守ーヤ 100 ぐlfnloading

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2 4 6 8 Strain s [%] Fig.1.Stress-sむamcぽveofSE剛tube X 1O-4s.1の引張言丸験で得られた応力一ひずみ曲線をFig. 1

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こ 示す Fig.lからわかるように,応力一ひずみ曲線の初期の傾 きで定まる枠性係数は35GPaである.この値はステンレス銅 の弾性係数190GPaの18%である したがって, SE-tubeの曲 げ洞リ性はステンレス鋼に比べて低く,柔軟性が必要な医療用 カテーテルチューブの性能に優れている.また,ひずみが1% を超えると応力一ひずみ曲線rT.傾きは大きくなり, 1.5%を超 えると応力水平段が現れる.水平段の応力は3万50悶 aである こ の 応 力 水 平 段 は 応 カ 誘 起 マ ル テ ン サ イ ト 変 態 ( 銑町re悶s回回s岳シ-也-骨 この水平段の応カはステンレス鋼の降伏応力と同じレベ/ルレでで、 ある.したがって, SE-tubeでは大きなひずみが一定応力下で 生じるので,曲げによる大きなたわみが容易に得られる.さ らに,除荷過程で同志力 160MPaの水平段が現れ,ひずみは 回復し,超弾性 (SE)の特性を示す. したがって, SE却be は医療用カテーテルチューブに必要な柔軟性およひ形状回復 性に優れていることがわかる.一方,負荷・除荷で応力 ひず み曲線は大きなヒステリシスループを描く このヒステリシ スノレープで固まれた部分の面積と除荷曲線の下の面積は,そ れぞれ単位体積当りの散逸仕事とひずみエネルギーを表す したがって,SE-tubeは防振材料および、エネノレギー貯蔵材料と しての機能にも優れている 3. 1. 2 高弾性細綜の応力一ひずみ関係 温度T=303Kにおけるひずみ速度1.67X lQAs-1の引張試験に より得られた高弾性細線FHP田叩r巴の応力 ひずみ曲線をFig 2に示す.Fig.2からわかるように,初期の応力一ひずみ曲線 の傾きで定まる弾性係数は50GPaである.この値はステンレ ス鋼の弾性係数190GPaの26%である.したがって,FHP-wire の曲げ剛性はステンレス鋼に比べて低く3 柔軟性が必要な医 療用ガイドワイヤーの性能に優れている.また,応力一ひず 1800 1500 守 ~1加。 b 900 -4.-1 ds /dt=1.67X1lf"s T=303K 向 り の ひ 仙 0 0 0 ζ リ 句 3 m 田 副 ﹄ ] 古 田 10

1 2 3 4 5 Strain s [%] Fig.2. S仕ess-straincぽveofFHP-wire

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77 T剖i形状記憶合金の曲げ疲労特性 、 ﹄ ノ 唱 EA J ' t 、 、 ここで, βとαはそれぞ、れ 10gEffiax-10g

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f曲線の傾きと l

=1 で、のら町の値を表す.片振り平面曲げ疲労でのβは0.86であ り,両振り平面曲げ疲労でのβは 0.25である. 片振り平面曲げ疲労と両振り平面曲げ疲労において材料の 受ける疲労損傷の特性を考察する.このために,各々の試験 において試験片の表面要素がlサイクル中に受ける曲げの応 力一ひずみ線図を Fig.4に示す.Fig.4では圧縮における応力 一ひずみ関係が引張りの場合と対称であることを仮定してい る(13) 片振り平面曲げでは曲げた細管の凸側の表面要素には 引闘志力が,凹側の表面要素には圧縮応力が作用する Fig.4 に示すように,応力一ひずみ曲線のヒステリシスノレープで固 まれた面積は単位体積当りの散逸仕事院を表す.1サイクノレ E国JNIP=α み曲線(0傾きはひずみが大きくなると徐々に小さくなるが, 応力 1500MPaでひずみ 4%まで明瞭な降伏点は現れず,直線 からのずれは小さい.また3 除荷によりひずみは回復する. 負荷・除荷により応力 ひずみ曲線はヒステリシスループを 描くが3 そのヒステリシスループの幅は小さい ガイドワイ ヤーでは押込みにおいて高い屈曲抵抗を有し,医者の手元で の回転操作に対して患者の体内でガイドワイヤーの先端が同 じ角度で回転することにの特性はトノレク伝達性と呼ばれる) が望ましい上述の考察からわかるように, FHP-WITeはこの ような医療用ガイドワイヤーに必要な機能に優れている 超 弾

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卦国管の歯げ疲労相生 3. 2 平面告げ疲労特性 3. 2.1 持Td : Dissipated worl{ Er : Recoverable s甘alnenergy 一 今 呂 田 玄 (a) Pu1sating-p1ane bending 時ヤ:Dissipated work Er : Recoverable stram energy ~ S甘 田ns OM b 盟 ω L 同 担 凶 疲労寿命特性 超枠性細管 SE~旬be の片振り平面曲げ疲労試験および両振 り平面曲げ疲労試験により得られた最大曲げひずみら町と破 断繰返し数λ?との関係を Fig.3に示す.本研究では,1時が 1

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ぴ回を超える最大ひずみを疲労限として扱う. Fig.3の疲労寿命曲線からわかるように,低サイクル漉労域 では片振り平面白げ疲労および両振り平面曲げ疲労ともに, 6ir聞の減少に伴い時は増大する.片振り平面曲げ疲労では N;=lX 104付近で,両振り平面曲げ疲労では時戸1X 105付近で 疲労寿命曲線に折れ曲がりが現れ,この点以下のら匹で

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は 急に大きくなる. 低サイクノレ疲労域の疲労寿命曲線は一定の傾きを持った直 線で近似することができる.したがって,この疲労寿命曲線 は両対数グラフにおいて直線で表されるので, Effiaxと Nfとの 関係は次式で表される. (1) S位a担ε f=8.33Hz T=RT +争 @ 争 Pulsating-plane bending

2 1 1 0 4 刊 の り の 0 0 リ 4 H A 4 E A 4 目 A { 認 可 E 句国語﹄協同回想

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自国自明暗甲同 ぐ -Alternating-plane bending (b) Altemating闘p1anebending Fig. 4. Stress-s佐aindiagrarn of surface element in bending showing dissipatedwork Wd and recoverab1e sむainenergyEr du巴toSE 107 6 0 り 咽A rJ N ρ i u r 且 u l g z 白 色

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υ 4 t s ρ u w l ρ 札 v e p、 d ' F 宵 且 6 0 4 m A V 且 ρ も 恥 M m u N 3

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咽 且 Fig. 3. Relationship between maximum bending strain and number of cycles to failure of SE-tube in p1ane bending

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愛知工業大学総合技術研究所研究報告,第 10号, 2008年 で受ける馬の値は両振り平面曲げの方が片振り平面曲げの 2 倍になる 繰返し変形を受けると叫により試験片表面要素 の温度は高くなり(1の,この為,

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変態応力も高くなり,疲労 損傷はより大きくなる この結果,片振り平面曲げに比べて 両振り平面曲げの方が疲労寿命が短くなる この効果はら慌 が大きいほど大きくなるので¥白血が大きくなると疲労寿命 の差はより大きくなる.ら闘が1.5%以下になると,片振り平 面出げと両振り平面曲げにおける疲労寿命の差は小さくなり, Nfはほぼ同じ値を示す• Fig.1 で観察された様に,ひずみ 1~ 1.5%は応力水平段の開始前で、あり,再は小さく,片振り平面 曲げと両振り平面曲げで疲労寿命の差が明瞭に現れない. 高サイクノレ疲労域で、は疲労寿命曲線は水平段で表される. 疲労限のらaxは片振り平面曲げ疲労では1.0%であり,両振り 平面曲げ疲労では 0.8%である. Fig 1の応力一ひずみ曲線か らわかるように,これらのひずみはS島町の開始点近傍の値 であり,この点で応力一ひずみ曲線の傾きが大きくなる. し たがって,これ以下のひずみでは主に枠性変形であり, SIMT に基づく院による疲労損傷は少なく ,1貯が大きくなる.疲 労限の詳細については,さらに多くの実験を行い,検討する 必要がある. 。) 破断面観察

0)

片振り平面曲げ疲労 SE-tubeの片振り平面曲げ疲労試験により得られた破断面 の SEM写真を Fig5に示す. Fig.5(め, (b), (のはそれぞれ破 断面の全体図,疲労き裂起点部の拡大図,最終破断部の拡大 図を示す.この写真はら国=1.38%,Nf= 53494で得られた破断 面である. Fig 5(a)からわかるように,ひずみが最大になる外表面から 疲労き裂が発生し,内表面まで貫通し,その後最終破断が円 周に沿って両側で、進展する. Fig.5(札(b)からわかるように, 疲労き裂は外表面の一点、から発生し,き裂の起点部から放射 線状に進展し,き裂長さ 120μmの位置に疲労き裂進展領域と 最終破断領域の境界がある.SMA線材の平面曲げ疲労の破断 面では同様の扇形の疲労き裂進展領域が明瞭に観察される (15)ー Fig.5(c)からわかるように,最終破断部では直径 1~5μm のデ、インプノレが確認できる. (孟) 平証言出げ疲労 SE~加be の両振り平面曲げ疲労試験により得られた破断面 の SEM写真を Fig.6に示す. Fig.6(吟, (b), (のはそれぞれ破 (a)税局10le企acturesぽface (b) Fracture surface of fatigue-crack initiation part ( c) F racture su由ceof unstable fracωre Fig.5. SEM photographs of仕acturesurface for SE-tubein pulsating-plane bending fatigue

(5)

TiNi形状記憶合金の曲げ疲労特性 (めWholerracture surface (b)Fracture surface of fatigue-crack initiation part (ι) Frac札旺esurface ofunstable企ac旬re Fig. 6. SEM photographs of企aιωresurface for SE-tube in altemating-plane bending fatigue

7

9

断面の全体図,疲労き裂起点部の拡大図,最終破断部の拡大 図を示す.この写真はら広=l.05%,Nf =7078で得られた破断 面である. Fig. 6(ゆからわかるように,疲労き裂は内表面から発生し, 外表面まで貫通し,その後最終破断が円周に沿って両側で、進 展する Fig. 6(a)ョ(b)からわかるように,疲労き裂は内表面の 一点ではなく幅200μmの位置で発生し,外表面に向かって進 展する.両振り平面曲げにおける疲労き裂の内表面からの発 生と外表面に向かっての進展の過程は,Fig5で観察された片 振り平面曲げにおける疲労き裂の外表面からの発生と内表面 に向かつての進展過程と異なる.両振り平面曲げにおける疲 労き裂の内表面からの発生と外表面への進展の過程は,回転 曲げにおける疲労き裂の発生と進展の過程と同じである(8) 回転曲げでは平面曲げと同様にひずみ比は」である.疲労き 裂が内面で発生するのは,内表面の粗さに起因している.細 管の成形においては内側は拘束されていない為に内表面は粗 い.細管の軸方向に沿って測った十点平均粗さは外表面では 3.4μm,内表面では1l.2μmである.内表面の方が約3倍粒く, 内表面の要素では局所的な応力集中がより大きくなる.この 為,ひずみ比ー1で引張りと圧縮の曲げ応力を交互に繰返し受 ける回転曲げと両振り平面白げの場合,疲労き裂は内表面で 発生するものと考えられる したがって,両振り平面曲げと 回転曲げの疲労寿命を長くするためには,細管の内表面の粗 さを小さくする成形法を開発する必要がある. Fig.6(c)からわかるように,最終破断部ではディンプノレが 確認でき,両側から進展してきた破面が出会った所で段差が 現れる.

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10 1 f=8.33Hz PlIlsating-plane bending J

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ぱ "" 102 Rotating bending 103 104 105 106 107 Nllmber of cycles to failllreN J

Fig. 7. Relationship between maximum bending s回inand number of cycles to failぽeof SE-tube in plane bending and rotating

(6)

80 愛知工業大学総合技術研究所研究報告,第 10号, 2008年 3. 2. 2 平面出げと回転曲げの疲労寿命の比較 Fig.3に示した片振りと両振りの平面曲げ疲労試験で得ら れた疲労寿命曲線と回転出げ疲労試験で得られた疲労寿命曲 線を同時に Fig.7に示す Fig.7の疲労寿命曲線は最大出げひ ずみら国と破断繰返し数Nfとの関係で整理してある. Fig.7からわかるように,低サイクル漉労域においては片振 り平面曲げ疲労寿命に比べて両振り平面曲げと回転曲げにお ける疲労寿命は短い.ひずみ比は片振り平面曲げ疲労では 0 であり,両振り平面曲げ疲労と回転曲げ疲労ではー1である. 両振り平面曲げ疲労と回転曲げ疲労では細管の表面要素は引 張応力と圧縮応力を交互に受け,このために疲労寿命は短く なる.T剖iSMAの超弾性細線で、はらm が大きくなると回転曲 げ疲労のめのほうが若干短くなる傾向にある(15) Fig. 7の SE-tubeについては,ら国の小さい範囲で回転出げの疲労寿命 が短い.回転曲げ疲労では全円周の表面要素が繰返し SIMT を受けるので,試

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験片の温度上昇が大きくなり,対応して変 態応力も高くなり,疲労損傷が大きく,1貯は小さくなると考 えられる.弓聞が大きくなると疲労寿命は短くなり,両振り 王子面曲げと回転曲げ疲労寿命に明瞭な差は現れなくなる.Fig. 7において, 3種類の疲労寿命のバラツキを比較すると,回転 曲げと両振り平面曲げでのバラツキが大きい.回転曲げと両 振り平面曲げでは内表面から疲労き裂が発生する.これは内 表面の粗さに起因しており,表面粗さは不均質である.この ため,疲労き裂の発生は一様ではなく,疲労寿命のバラツキ が大きくなると考えられる. 3.3 高弾性細線の出げ疲労特性 3. 3. 1 平面曲げ疲労特性 (1)疲労寿命特性 高弾性細線 FHP-叩reの片振り平面曲げ疲労試験および両 振り平面曲げ疲労試験により得られた最大曲げひずみら阻と 破断繰返し数

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との関係を Fig.8に示す Fig.8の疲労寿命曲線からわかるように,低サイクル疲労域 では片振り平面曲げの疲労寿命の方が両振り平面曲げの疲労 寿命より長い.いずれの場合にも, Sma.,"(の減少にイ料、持は増 大する.片振り平面曲げ疲労試験では時ヰX104付近で,両 振り平面曲げ疲労では Nr2X104付近で疲労寿命曲線に折れ 曲がりが現れ,この点以下の品目では

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は急に大きくなる. 低サイクノレ疲労域の疲労寿命曲線は一定の傾きを持った直 線で近似することができる.したがって,ら血と時の関係は SE-tubeの場合と同様に式(1)で表すことができる 直線の傾 きを表すβは片振り平面曲げ疲労では 0.50であり,両振り平 面曲げ疲労では 032である 高サイクノレ疲労域では疲労寿命曲線は水平段で、表される“ 疲労限のら闘は片振り平面曲げ疲労では 0.8%であり,両振り 平面曲げ疲労では 0.7%である. Fig. 3で示した SE-tubeの疲 労限に比べて FHP-wireの疲労限は、片振り平面曲げと両振り 平面曲げでそれぞれ 0.2%と 0.1%小さい.この理由は次のよ うに考えられる.Fig. 1とFig.2の応力一ひずみ曲線で示した ように, FHP-wireの疲労限のら臨時線形弾性の範囲にあり, 同じらmでは応力が高い.このために FHP-wireで、は小さいらm でも疲労損傷が大きい したがって, FHP-wireの疲労限の方 がィ、さくなる. Fig.8において疲労寿命曲線を比較すると,片振り平面曲げ 疲労の曲線が両振り平面曲げ疲労の曲線の上側(高ひずみ側) に位置するー Fig4の応力一ひずみ線図で示した様に,両振り 平面曲げでは線材の表面要素には引張応力と圧縮応力が交互 に作用する. 1サイクノレの応力一ひずみ曲線のヒステリシス ノレーフ。で、規定されるひずみ変動幅Llc=e;uax-弓m は片振り平面 曲げ疲労に比べて両振り平面曲げ疲労の方が2倍大きい.し たがって,両振り平面曲げ疲労の方が疲労損傷が大きく,短 寿命になる.この為に,両振り平面曲げ疲労の疲労寿命曲線 は下側(低ひずみ側)に位置する. (2) 破断面観察 日王P酬明reの片振り平面曲げ疲労試験により得られた破断 面の SEM写真を Fig.9に示す. Fig.9(め, (b), (c)はそれぞれ 破断面の全体図,疲労き裂起点部の拡大図,最終破断部の拡 大図を示す.この写真はら旧=1.5%,N

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846で得られた破断 面を示す目 ::o'101

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10“ Pulsating-pl組 ebending f=8.33Hz _. / T=RT

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。 芯 Alternating帽planebending 1~ 1~ 1~ 1~ 107 Number of cycles to failureN I Fig. 8. Relationship between maximum bending strain and number of cycies to failure ofFHP-wire wire in plane bending

(7)

8

1

TiNi形状記憶合金の曲げ疲労特性 Fig.9(めからわかるように,ひずみが最大になる表面の一点 から疲労き裂が発生し,疲労き裂は扇形に進展し,最終破断 する.Fig. 9( a), (b)からわかるように,疲労き裂は扇形に進展 し,き裂長さ 100~m で最終破断する Fig. 9(c)からわかるよ うに,最終破断部では直径 1~3μm のディンプルが確認でき る. 両振り平面曲げ疲労および回転曲げ疲労についても,疲労 き裂は表面の一点から発生し,扇形に進展し,最終破断する (8) 3. 3. 2 平面曲げと回転出げの疲労寿命の比較 Fig. 8に示した片振りと両振りの平面曲げ疲労試験で得ら れた疲労寿命曲線と回転曲げ疲労試験で得られた疲労寿命曲 線を同時にFig10に示す.Fig. 10の疲労寿命曲線は最大曲げ ひずみら日と破断繰返し数時との関係で示す. Fig. 10からわかるように,片振り平面出げ疲労に比べて両 振り平面曲げ疲労と回転曲げ疲労のめは小さい.また,両振 り平面曲げと回転曲げ疲労における疲労寿命はほぼ同じにな る両振り平面曲げと回転出げではひずみ比が共に剛Iであり, 引張応力と圧縮応力が交互に作用する 試験片表面要素は引 張りと圧縮の同じ変形履歴を繰返し受けるため,両者の疲労 寿命はほぼ同じになる.品目が大きくなると回転曲げの持の ほうが若干短くなる傾向になる.こ沈傾向はTiNiSMAの超 弾+封回線でも現れる(15) 回転曲げ疲労では全円周の表面要素 が同じ変形履歴を受け,ら広が大きくなると疲労き裂の進展 が容易になり, 11子が小さくなると考えられる. (的Whole白 血resurface (b) Fracture surface offatigue-crack initiation p副 107 6 0 υ 4 E A " r J N

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図10.Relationship between maximum bending s回inand number

of cycles to failure ofFHP-wire wire in plane bending and rotating bending

(c) Fracture surface ofunstable企ac印re

図 9. SEM photographs offracture surface for FHP-wire in pulsating-plane b巴ndingfatigue

(8)

82 愛知工業大学総合技術研究所研究報告,第10号, 2008年 4. 結 言 T

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i合 金 の 超 弾 性 細 管 (SE-tube) お よ び 高 弾 性 細 線 田王P-wire) の引張変形特性および片振りと両振りの平面曲 げおよび回転曲げの疲労特性を実験的に調べた.得られた主 要な結果は次の通りである. (1) 引張りにおける SE-tubeの応力一ひずみ曲線は負荷・除 荷でヒステリシスループを描き超弾性を示す.弾性係数 は35GPaであり,ステンレス鋼のそれと比べて小さい. したがって, SE-tubeは医療用カテーテルチューブに必 要な柔軟性と形状回復性に優れている .FHP-叩reの応力 一ひずみ曲線はひずみ4%,応力 1500恥1Paまで畠線に近 く,負荷・除荷でのヒステリシスループの幅が狭い.弾 性係数は50GPaである. したがって, FHP-叩reは医療 用ガイドワイヤーに必要な柔軟性,押込みの高屈曲抵抗 およびトルク伝達性に優れている. ο) SE-tubeの疲労寿命曲線を最大曲げひずみら日と破断繰 返し数J時の関係で表すと,ひずみ比0の片振り平面曲 げの疲労寿命は長く,ひずみ比ーlの両振り平面曲げと回 転曲げの疲労寿命は短い.両振り平面曲げと回転曲げの 疲労寿命の差異は小さい.いずれの曲げ疲労においても, 低サイクノレ疲労域の品目と喝の関係はべき関数で表され る.疲労限の最大曲げひずみはSIMT開始点近傍の 0.8 ~10% である.疲労き裂は片振り平面曲げ疲労では外 表面の一点、から発生し,内表面に貫通後に最終破断する. 回転曲げ疲労および両振り平面曲げ疲労では,疲労き裂 は内表面の幅200μmの位置から発生し,外表面に貫通 後に最終破断する. (3) FHP-wir巴の疲労寿命についても,片振り平面曲げの疲労 寿命が長く,両振り平面曲げの疲労寿命と回転曲げの疲 労寿命が短い.両振り平面曲げと回転曲げ疲労寿命の差 異は小さい.いずれの曲げ疲労においても,低サイクノレ 疲労域の品目と時の関係はべき関数で表され,疲労限の 最大曲げひずみは 0.7~0.8% である.片振り平面曲げ疲 労,両振り平面曲げ疲労および田転出げ疲労のいずれの 場合にも,疲労き裂は外表面の一点から発生し,扇形に 進展し,最終破断する且 終わりに,本研究を行うに当り,実験に協力された愛知工 業大学の学生諸君に感謝する また,本研究の一部は日本学 術振興会科学研究費補助金基盤研究

(

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の補助を受けたこと を記し,謝意を表す. 参考文献 (1) H. Funakubo ed, Shape M巴moryAlloys, (198

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図 9 . SEM  p h o t o g r a p h s  o f f r a c t u r e  s u r f a c e  f o r  FHP‑wire i n   p u l s a t i n g ‑ p l a n e  b 巴 n d i n gf a t i g u e 

参照

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