奈良教育大学学術リポジトリNEAR
編地の圧縮変形特性に関する研究
著者 柳川 良樹, 小椋 務, 熨斗 秀夫
雑誌名 奈良教育大学紀要. 自然科学
巻 35
号 2
ページ 123‑131
発行年 1986‑11‑25
その他のタイトル Experimental Study on the Compressional Property of Knitted Fabrics
URL http://hdl.handle.net/10105/2102
奈良教育大学紀要 第35巻 第2号(自然)噸和61年 Bull. Nara Univ. Educ, Vol.35, No.2 (Nat.). 1聯
編地の圧縮変形特性に関する研究
柳 川 良 樹・小 椋 務*・慰 斗 秀 夫**
(奈艮教育大学家政学教室) (京都工芸繊維大学 繊維学部) (昭和61年4月28日受理)
Experimental Study on the Compressional Property of Knitted Fabrics
Yoshiki Yanagawa
(Department of Home Economic, Nara University of Education, Nara 630, Japan)
Tsutomu Ogura and Hideo Nosh工
{Faculty of Textile Science, Kyoto University of Industrial Arts and Textile Fibers, Kyoto 606, Japan)
(Received April 28, 1986)
Abstract
An experimental investigation of compressional property of weft and warp knitted fabrics is reported. When the thickness‑compressional load curves for several knitted fabrics are drawn in semilog graph paper, the straight lines which bend at two or three points are found. The mechanisms of compressional deformation of knitted fabrics are discussed in detail, and made it clear that the deformation is divided into two main parts, that is, the deformation due to change of loop shape to be in a plane normal to the plane of fabric which dominates the initial compression, and the compressional deformation of yarns at crossover point which occupies the major portion of the compression under high pressure. This result is verified with experiment in the case of hand‑knitted fabric.
Finally, the validity for the values of thickness of knitted fabrics measured by JIS method is examined by comparing with the values already obtained when the compres‑
sional property was measured.
1.緒 言
布の厚さ,圧縮のしやすさを示す圧縮変形特性は,保温性,透湿性,通気性などの布の消費性 能も支配する基本特性の一つである.糸のループを立体的に連結して構成される福地は,織物に 比べ一般にかさ高く,大きな圧縮変形を示すものが多く,圧縮変形特性は福地にとってその性質 を特徴づける重要な因子である.
* 現在.林テレンプ株式会社(Present address: Hayashi Telempu Co. Ltd., Toyota, Aichi 470‑03, Japan)
紳 現在.夙川学院短期大学(Present address : Syukugawa Gakuin Junior College, Nishinomiya, Hyogo
662, Japan)
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福地の厚さは構成糸の太さと糸の幾何学的な形態により定まる.繊物のような単純な構造でな いため,編地内での糸形態を表現するのに田難な点が多いが,これまでに次のような編目モデル が提案されている.よこ福地に関しては, J. Chamberlain"の平面モデルをはじめ,これを改良
したF.T. Peirce2', G.A. Leaf とA. Glaskin3'のモデル,さらに弾性棒を曲げたときの形状, エラスチカを編目に通用したG.A. Leaf4'のモデルなどがある.しかし変形しやすい糸の太さ の取扱いなどの問題は残されている.一方,たて福地に関しては,構造がよこ福地より複雑であ るため,研究は少ないが, P. Grosberg5*6'のモデル,柳川ら7,8)の研究においての編目構造の解 析などがみられる.これらは平面的な編目形状に主眼が置かれているため,厚さに関しては正確
さを欠いている.
編地の厚さについて,以上のように解明は不十分であるが,圧縮した時の変形特性については 研究がさらに少なく,その理論的な取扱いの面においては大部分が未解決のまま残されている.
このため,本研究では編地の圧縮変形機構について実験的に解明することを目的とする.まず各 種のよこ編地とたて福地の厚さ‑圧縮荷重曲線を実測する.そして,構成糸のそれとの比較,梶 組織による相違などから,それぞれの変形挙動を考察し,編構造をもつ布の圧縮変形機構につい て検討を加える.
なお,福地の厚さに関しては,圧縮変形が容易なため,測定条件が問題となる.寛在用いられ ているJISの測定方法が適当であるかどうかについても,厚さ‑圧縮荷重曲線の測定結果を用
いて検討する.
[^^^^^^K^ff^^^^^^^^^mL‑ヨ 2.1試 料
実験に用いたよこ編試料とたて編試料の諸元をそれぞれ表1, 2に示す.よこ編試料は綿糸を 用いて編成された乎編地と1×1ゴム編地,ポリエステル加工糸使いのインターロック編地で, 編目密度をできるだけ広範囲に変化させて試料を作製した.たて編試料では,構成糸としてナイ
ロンを中心にポリエステル,ポリプロピレンのフィラメント糸とアクリル,ポリエステル,綿の 紡績糸を用い,編組織はプレーン,ハーフ,逆ハーフ,シャークスキンで,広く実用されている 主要な福地をそろえた.
なお,表1のよこ編地の糸の曲げ剛性Bは振動リード法で測定した値であり,表2のたて福 地の場合は,別報9)の二軸伸長特性の研究で用いたのと同じ方法,すなわちフィラメント糸では 単繊維のヤング率E′と断面を円と近似した断面2次モーメントI′よりE′I′を求め,それに 糸の構成繊維本数を乗じ,紡績糸では円環糸法により測定した値である.
2.2 測定方法
福地及び構成糸の厚さ一圧縮荷重曲線は,つぎのようにインストロン型引張試験機(島津製作 所製,オートグラフIM‑100型)を利用して測定した.引張試験機クロスヘッドの下部つかみ にプレッシャー7‑トを取付け,試験機底部に圧縮荷重センサ(共和電業社製, LM‑1KA)を設 置する.そして,荷重センサ上に試料を置き,プレッシャーフートの下降により試料を圧縮した.
この下降速度(圧縮速度)は2mm/min,最大圧縮荷重は100g/cm2 (一部は1000g/cm2)に
設定した.プレッシャーフートの変位は変位計(新興通信社製, IDS型)で検出し,荷重センサ
編地の圧縮変形特性に関する研究
表1 よ こ 編 試 料
125
棉 棉
* ♯25は手偏 表2 た て 編 試 料
で検出した圧縮荷重と共にⅩ‑Y記録計で記録し,変位(厚さ) ‑圧縮荷重曲線を得た.
加圧面は,編地試料の場合,面積2cm2の円形のものを用いた・糸の場合は,糸1本での測 定は検出が困難なため,つぎの2通りの方法を用いた. 1つは,幅2cm内にn本(10‑20本)
の糸を平行に並べ, 2cmx0.5cmの長方形の加圧面を用い,長方形の長さ方向が糸軸に垂直に
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なるように配置した.したがって,この場合の糸の加圧長は0.5×ncmである.他の方法は, n本(10‑20本)の糸を平行に並べたものを2組作って,これを直交させ, 1辺が2cmの正方 形の加圧面で圧縮した.このとき, n2個の直交する交差部の糸の圧縮曲線が得られる.
3.実験結果及び考察
3.1よこ編地について
平編地, 1×1ゴム編地,インターロック福地それぞれの代表的な厚さ‑圧縮荷重曲線を図1 に示す.一般に福地の圧縮挙動は,たて編地も含めて,図のように小さい圧縮荷重領域において 急激に厚さが減少し言活荷重になるにしたがって,その減少率はしだいに小さくなり,指数関数 的な変化を示すのが普通である.いま荷重軸を対数にとって厚さ一圧縮荷重曲線を書き直すと図
2となる.いずれの福地も片対数グラフにおいては2‑3つの直線部よりなる折れ線グラフにな ることがわかる.このように勾配の異なる直線のつながりで近似できることは,それぞれの直線 部の圧縮荷重領域において,主たる変形機構が異なることを示唆するものと考えられる.そこで 迫線部A膏,白C, CDそれぞれの勾配をβ1, β2, β。として,編目密度及び編目長との関係を求め た.結果を図3, 4に示す.
・編地(#1‑#8)は30S前後の太さの綿糸で編成された福地であるが,編目密度の増加にと もないβ1, β2, β3いずれも増加する傾向が認められる.その増加の割合はβ1, β2, β。の順で小さ くなっている.これより圧縮変形初期の厚さの変化は編目密度の影響が大であるが,高圧縮荷重 ではその影響の小さいことがわかる.また編目長に対しては,編目密度の場合とは逆に,編目長 の増加にともなってβ1, β2, β。いずれも減少する傾向にある.十分弛緩させた平編地においては, 編目密度は編目長の2乗に逆比例することが,これまでの多くの報告10)によって明らかにされて
いる.本研究で用いた試料においても,ほぼこの関係を活している.したがって,この編目密度 と編目長との関係を考慮すれば,編目長に対するβ1, β2, β。の変化は編目密度に関する場合と同 じことを意味するものであり,また編目長に対して2次曲線的な減少を示すのもこのためと考え られる.
つぎにゴム福地(#9‑#13)についてみると,左用己β1, β2, β,いずれも編目密度に対して大き なばらつきを示し,一定の傾向を認めにくく,その影響を読み取ることは困難である.使用糸が
2
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50 100 Pressure ( g/cm^ )
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1 10 Pressure (g/cm21
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図1よこ福地の厚さ一圧縮荷重曲線例 図2 荷重軸を対数にとった厚さ一圧縮荷重曲線例
福地の圧縮変形特性に関する研究 127
03
Stitch Length ( cm) SH
図3 編目密度と勾配βとの関係(よこ編地) 図4 編目長と勾配βとの関係(よこ編地) 40‑42Sと異なるが,その太さの差は小さい.このため,ゴム福地は表目と裏目が交互に並んだ
立体的構造を有し,圧縮によりループの座屈,糸相互間の滑り移動,はまり込みなどが生じやす く,平編地より変形のメカニズムが複雑なことが推測される.これは勾配β1の直線部の圧縮荷 重域が平編地の場合より大きいことからも推察される.なお,図4の編目長の関係においてみる と,平編地の延長線上にあるように思われる.しかし,ばらつきがやはり大きく,今後のさらに 詳細な実験,解析が必要である.
一方,加工糸を用いたインターロック編地では,図2においてもみられたように,全ての試料 において直線AMBの勾配β1が非常に大きく,又この荷重域が広く,この部分の変形が全変形 量の大部分を占めた.インターロック編はハーフゲージのゴム編を2枚結合した組織であり, 2 枚のゴム編が相互に拘束しあう構造をもつ.ゴム編より撤密で安定性が優れており,圧縮に対し てもゴム編地より変形しにくいのが普通である.上記のように本実験で圧縮変形が非常に容易で あるのは,バルキーな加工糸の特性のためであることは明らかである.これは,又圧縮変形の容 易な糸を用いた場合,編構造より構成糸の圧縮変形特性に支配されることを示すものである.
3.2 たて編地について
たて編地試料(826‑#35)の厚さ一圧縮荷重曲線の片対数グラフを図5に示す.たて編地にお いては構成糸の圧縮変形特性と共に構成糸の曲げ剛性の影響が比較的明瞭に現れている.例えば,
‡26プレーン福地はポリエステル20デニールと本実験試料内で最も細い糸で編成されているが, モノフィラメント糸であるため,糸の曲げ剛性Bは0.244g‑mm2と他の試料の構成糸に比べ大 きく,それに比例するように厚さ一圧縮荷重曲線の初期の勾配β1も大きい.これは次の理由に よるものと考えられる.
たて福地の編目はニードルループ部とシンカール‑プ部よりなる.本実験に用いたような2枚
おきの編地の場合,ニードルループ部はいずれの組織でも同じ構造で,布面にほぼ平行なループ
面を形作っており,この部分の厚さ,圧縮変形特性は構成糸の太さと圧縮変形特性によって定ま
る.これに対し,シンカーループ部は布面に垂直なループ面を形成し,前おさと後おさのアンダ
ラップのふりの数,すなわち編組織によって長さやループ閲の拘束の程度が異なる.したがって
たて編地の厚さ,圧縮変形特性には,構成糸の太さと圧縮変形特性と共にシンカーループ部の形
柳川艮樹・小椋務・喪斗秀夫
図5 たて絹地の厚さ一圧縮荷重曲線
状及び性質が支配的に働くことが容 易に推察される.上記のように,糸 の曲げ剛性が大きい場合は,糸が曲 がりにくくなるため,シンカールー プは布面に垂前に,高さの大きい円 孤形態をとる.この円孤部分は変形 が容易であるため,福地の圧縮変形 の初期特性を支配し,変形初期の厚 さの変化率が大となる.これが糸の 曲げ剛性の影響の大きい理由と考え られる.
次に,糸使いが同じで編組織が異 なる#28, #31, #32の3つを比較す ると,前おきのふりの数n′と後 おきのふりの数nb との和n/+nサ の最も少ない‡28プレーン福地では 伸WiJi'i域の直線ni>の勾配β.が小さ く,また編地の厚さも小さい. #31 サテン福地と‡32シャークスキン編 地とはふりの数の和nf十nbは同じ であるが, S32シャークスキン編地 はri/‑l, n6‑3で,前おきのシンカループが後おきの長いシンカーループをしっかり保持して いるため,糸の浮きが少ない.このための差が図5のように両者の圧縮変形特性の差となってい るものと考えられる.
一方, 833, #34, #35の‑ーフ編地は紡績糸使いの編地であるため,他のフィラメント糸偏地 より圧縮変形量が大きく,直線部の勾配が大である.これは,ニードルループ部で糸は5層に∋巨 なり,糸の圧縮変形量が大きく拡大されて現れ
50 Pressure ( g/cm2)
図6 編目密度による厚さ一圧縮荷重曲 線の変化(♯34試料)
るためである.
ここで,厚さ‑圧縮荷重曲線の初期特性の変 形機構をさらに明らかにするために, #34の試 料について表3に示す異なる3種類の編目密度 をもつ福地を編成し,実験を行った.結果を図
6に示す.これらの編地は同じ構成糸,同じ組 表3 編目密度の異なる♯34試料
‑ト言'‑:・!.㌫t∴ih.;,iv.
rin2'・一一鵠十 蝣'intn,incm'̲It(cm)̲
32 22 ' 112.53 1. 0265
35 3922 20 l l
119. 35 1. 0240
福地の圧縮変形特性に関する研究 129
織であるので,高い圧縮荷重領域ではいずれもほぼ同じ厚さを示すが,初期債域では差が認めら れる.この差は紡績糸使いの福地であるため,全変形量に対してはわずかであるが,構造定数の 影響が明確に現れており,編目密度の大きいほど初期の厚さの減少率が大きい.編目密度が大で あると,圧縮荷重を支える文点数も多くなり,それだけ圧縮抵抗は増加するはずであるが,逆の 結果が得られている.この原因は編目長にあると考えられる.表3に示したように,前述のよこ 編地とは異なり,編目密度の最も大きい試料Cは編目長も最も長く,試料AとBでは編目密度 には差があるが編目長はほぼ等しい.布面に対して垂直方向にあるシンカーループの形状変化が 編地の圧縮の初期特性を支配することは前述した通りであるが,編目密度が大となってシンカー ループの両端間隔が小さくなり,その上,ループ長が長くなるか同じであると,ループ高が大き
くなり,圧縮変形が容易となることは明らかである.これが図6に示した初期特性の相違となっ て現れているものと考えられる.
3.3 圧縮変形特性の支配因子
以上のように,福地の厚さ一圧縮荷重曲線は片対数グラフにおいて2‑3つの直線部をもつ折 れ線で表される.そして,それぞれの起線部領域の変形機構は,本実験の結果より次のように2 つのケースに大別して考えることができる.
1つは,加工糸使いを除くよこ福地(平及びゴム福地)とフィラメント糸使いのたて編地に共 通してみられるもので,初期領域において編目長あるいは糸の曲げ剛性の影響が大きい場合であ る.これは布蘭より垂直に立ったループの変形が支配的に働くためと考えられる.又この場合は 圧縮荷重が大きくなるにしたがい糸白身の圧縮変形特性がしだいに大きく寛れてくるはずである.
そこで,このような変形機構を検証するため, #25の手偏の平編地,その構成糸及び十字に交差 させた構成糸,それぞれの厚さ一圧縮荷重曲線を実測し,比較した.結果を図7に示す.なお, この図の糸の場合の値は,圧縮全長5cmで測定して,次の方法で換算したものである. 1編目 内4ヶ所の糸交差部で糸が圧縮されるものとし,各交差部で加圧される長さは糸の太さD に等 しいと仮定する.このとき,編地1cm2当りで糸長4mD (m: 1cm2当り編目数)に圧縮荷重 がかかることになる.よって,測定値の荷重に4mD/5を乗じた.又,交差させた糸の測定値 も1cm2当りの編地内の交差部数と同じ数に換算して示してある.図7からわかるように,福 地の厚さと交差糸の厚さとの問には,圧縮荷重が小さいとき,かなりの差が認められるが,圧縮 荷重が大きくなるにしたがい,その差はしだ
いに小さくなり, 100g/cm2以上の高荷重域 では両者はほとんど一致し,同じ値を示す.
この交差させた糸と編地内での糸交差部分の 圧縮挙動はほぼ同じとみなせるので,図にみ られる両者の差(斜線部分)は,糸自身の圧 縮以外の変形によるもの,編構造から考えて 主として布の厚さ方向に立っている糸の曲が り部分の形状変化によることは明らかである.
したがって編地の圧縮変形は糸の曲がり形状 の変化と交差部での糸の圧縮変形とからなり, 前者は主として圧縮の初期領域を,後者は高
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図7 編地と構成糸の厚さ一圧縮荷重曲
線(♯25試料)
130 柳川艮樹・小椋務・奥斗秀夫
荷重領域を支配していることがわかる.しかしゴム福地のような立体的構造のものは,前述のよ うに,これらの他に糸相互のはまり込みなどが生じ,いくらかその圧縮変形挙動を複雑にしてい る.なお,図7において糸の厚さ(点線)を2倍すると交差させた場合の値にほぼ一致するが, 圧縮荷重が小さい部分では交差糸の方が小さく,圧縮荷重が大きくなると交差糸の方が大きくな る.交差させるだけで糸はいくらか変形し,これが圧縮荷重の小さい時に現れ,圧縮荷重の大き い時は交差部での糸相互の拘束により変形しにくくなるためである.この結果からも,編地内に おいて受ける糸間の拘束の程度が編地の圧縮変形特性に影響を与えることがわかる.
他のケースは,圧縮変形の大きい糸を用いた場合である.糸の圧縮変形が容易であると,上記 のような糸の曲がりの形状変化や編構造の変化の影響は相対的に小さくなり,糸の圧縮変形が大 きく現れてくるもので,よこ編では加工糸使いのインターロック編地においてみられる.また, たて編地では交差部での糸の重なり数が多いので,よこ福地より糸の圧縮変形の影響が大きく, 一般の紡績糸使いの福地においては糸の曲がりの影響は認められるものの,全般にわたって糸の 圧縮変形が支配的である.
3.4 JIS試験法による厚さの測定値について
日本工業規格JIS LIO18によれば,福地の厚さは普通の福地で7g/cm2,有毛福地で3g/
cm2の初荷重のもとで一定時間(約10秒)後の測定値を用いることと規定している.本実験で は厚さと圧縮荷重の関係を連続して測定しているので,この結果からJIS法の厚さ測定値の検 討を行う.
実験に用いた試料は普通編地であるので,測定した厚さ‑圧縮荷重曲線より 7g/cm2圧縮荷 重の厚さ T7を求め,さらによこ編地については0.25g/cm2,たて福地については薄手の試料 を含むため測定精度の関係から0.5g/cm2圧縮荷重の厚さTo (これを無荷重時の厚さとする) を読み取り,両者を比較した.結果を図8に両者の比(T7/TO)として示す. JIS法に基づく編 地の厚さT7は無荷重時の厚さ T。に対して,平編地とゴム福地で50‑70#,たて編地では65‑
90%の範囲にかなり広く分散し,特にインターロック編地は分布の範囲が40‑80^と広い.した
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