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食品系廃棄物を対象とした

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早稲田大学大学院環境・エネルギー研究科 博士学位論文

食品系廃棄物を対象とした

ビジネスエコシステムの開発・実証に関する研究

A Study on the Development and Demonstration of the Business Ecosystem for Food Waste

2013 年 2月

早稲田大学大学院環境・エネルギー研究科 環境配慮デザイン研究

清水 康

(2)

目 次

目次-1

目 次

第 1 章 序 論 ... 1 1.1 本研究の背景 ... 1-1 1.1.1 食品系廃棄物の処理状況 ... 1-1 1.1.2 ビジネスエコシステムに関する社会動向 ... 1-4 1.1.3 食品系廃棄物のリサイクルとビジネスエコシステムに関する従来研究 ... 1-5 1.2 研究目的 ... 1-8 1.3 本論文の構成 ... 1-8 第 2 章 食 品 系 廃 棄 物 のリサイクルのデータベースの構 築 と事 業 成 功 要 件 に関 する考

察 1

2.1 目的 ... 2-1 2.2 食品系廃棄物のリサイクル事業に関する事例収集とデータベースの構築 ... 2-1 2.2.1 食品系廃棄物のリサイクル事業の事例収集 ... 2-1 2.2.2 DB のフォーマットの検討 ... 2-2 2.3 食品系廃棄物のリサイクル事業 DB の分析 ... 2-5 2.3.1 リサイクル技術における処理量と性状の分析 ... 2-5 2.3.2 都道府県別のリサイクル技術の割合 ... 2-6 2.4 食品系廃棄物のリサイクル事業としての成功要因の分析とその考察 ... 2-7 2.4.1 動脈施設における SCM の調査 ... 2-7 2.4.2 失敗事例とその特徴 ... 2-9 2.4.3 成功要因としての原則論の提案 ... 2-10 2.5 まとめ ... 2-12 第 3 章 食品系廃棄物のリサイクル技術における環境性・経済性評価 ... 1 3.1 目的 ... 3-2 3.2 食品系廃棄物のリサイクル法における対象技術の概要 ... 3-2 3.3 食品系廃棄物を対象とした環境性・経済性の評価ソフトの開発 ... 3-3 3.3.1 評価ソフトの概要 ... 3-4 3.3.2 評価ソフトの前提条件 ... 3-6 3.4 乾燥飼料化の環境性・経済性評価 ... 3-7 3.4.1 乾燥飼料化工場の施設概要 ... 3-7 3.4.2 乾燥飼料化運営時における各種データの入手方法 ... 3-7 3.4.3 乾燥飼料化の環境負荷・経済性評価 ... 3-8 3.5 メタン発酵の環境性・経済性評価 ... 3-8 3.5.1 メタン発酵の施設概要 ... 3-8 3.5.2 メタン発酵運営時における各種データの入手方法 ... 3-9 3.5.3 メタン発酵の環境負荷・経済性評価 ... 3-9

(3)

目 次

目次-2

3.6 堆肥化の環境性・経済性評価 ... 3-10 3.6.1 堆肥化の施設概要 ... 3-10 3.6.2 堆肥化運営時における各種データの入手方法 ... 3-10 3.6.3 堆肥化の環境負荷・経済性評価 ... 3-10 3.7 エタノール化の環境性・経済性評価 ... 3-11 3.7.1 エタノール化の施設概要 ... 3-11 3.7.2 エタノール化運営時における各種データの入手方法 ... 3-11 3.7.3 エタノール化の環境負荷・経済性評価 ... 3-12 3.8 全技術の環境性・経済性評価 ... 3-12 3.9 まとめ ... 3-14 第 4 章 食品系廃棄物と畜産事業との連携によるビジネスエコシステムの構築と評価 ... 1 4.1 目的 ... 4-2 4.2 鹿児島県の地域特性 ... 4-2 4.3 焼酎粕を畜産系に適応させたビジネスエコシステムのフレームワーク ... 4-4 4.3.1 全国における食品系廃棄物の養豚場への適用事例 ... 4-5 4.3.2 焼酎造りに関する概要 ... 4-7 4.3.3 養豚業に関する概要 ... 4-7 4.4 ビジネスエコシステムにおれるリキッドフィーディング(LFS)の適用 ... 4-8 4.4.1 LFS 導入の背景 ... 4-8 4.4.2 LFS の全体像 ... 4-8 4.5 酒造メーカーにおける環境負荷・経済性評価 ... 4-9 4.5.1 酒造メーカー運営時における各種データの入手方法 ... 4-9 4.5.2 酒造メーカーの環境負荷の試算 ... 4-9 4.5.3 酒造メーカーの経済性評価 ... 4-10 4.6 養豚場における環境負荷・経済性評価 ... 4-10 4.6.1 養豚場運営時における各種データの入手方法 ... 4-10 4.6.2 養豚場の環境負荷の試算 ... 4-11 4.6.3 養豚場の経済性評価 ... 4-11 4.7 LFS 導入によるビジネスエコシステムの構築とその評価 ... 4-12 4.7.1 LFS によるビジネスエコシステムの構築と各施設の変更点 ... 4-12 4.7.2 LFS の環境負荷・経済性評価 ... 4-12 4.8 まとめ ... 4-18

第 5 章 食品品系廃棄物のビジネスエコシステムに対応した設計支援ツールの開発 ... 1 5.1 目的 ... 5-2

5.2 食品系廃棄物のビジネスエコシステムに対応した設計支援ツールのニーズの整理 5-2

5.2.1 食品事業所の排出実態に関するアンケート調査 ... 5-2 5.2.2 食品事業所の現場見学による課題点の抽出 ... 5-9 5.3 設計支援ツールの特長 ... 5-10 5.3.1 設計支援ツールの評価範囲 ... 5-10

(4)

目 次

目次-3

5.3.2 設計支援ツールの概要 ... 5-11 5.4 設計支援ツールの機能構築 ... 5-12 5.4.1 各食品事業所から排出される食品系廃棄物の排出原単位の作成 ... 5-12 5.4.2 再生利用技術の構築... 5-15 5.4.3 事業性評価のチェックリスト ... 5-15 5.5 設計支援ツールを活用したケーススタディ ... 5-16 5.6 まとめ ... 5-28 第 6 章 結論および今後の展望 ... 1 6.1 結 論 ... 6-2 6.1.1 食品系廃棄物のリサイクルの DB の構築と事業成功要件に関する考察 ... 6-2 6.1.2 食品系廃棄物のリサイクル技術における環境性・経済性評価 ... 6-3 6.1.3 食品系廃棄物と畜産事業との連携によるビジネスエコシステムの構築と評価 .. 6-3 6.1.4 食品系廃棄物のビジネスエコシステムに対応した設計支援ツールの開発 ... 6-3 6.2 今後の展望 ... 6-4 6.2.1 食品系廃棄物の評価ソフトの高度化の検討 ... 6-4 6.2.2 設計支援ツールの活用による再生利用事業のアドバイザー育成 ... 6-4 参考文献

謝辞 Appendix

(5)

第1章

第 1 章

序 論

(6)

第 1 章 序 論 ... 1 1.1 本研究の背景 ... 1-1 1.1.1 食品系廃棄物の処理状況 ... 1-1 1.1.2 ビジネスエコシステムに関する社会動向 ... 1-4 1.1.3 食品系廃棄物のリサイクルとビジネスエコシステムに関する従来研究 ... 1-5 1.2 研究目的 ... 1-8 1.3 本論文の構成 ... 1-8

図 1.1 改正ポイント要約

図 1.2 日本の食品系廃棄物の処理状況 図 1.3 ビジネスエコシステムの概念図 図 1.4 環境問題への取り組み状況の推移 図 1.5 本論文の目的と構成

表 1.1 業種別の再生利用率

表 1.2 食品循環資源の再生利用等実施率(平成 22 年度)

表 1.3 登録再生利用事業所数(平成 23 年度)

表 1.4 食品系廃棄物のリサイクルに関する従来研究 表 1.5 ビジネスエコシステムに関する従来研究

(7)

1章 序

1-1

第 1 章 序論

1.1 本研究の背景

1.1.1 食品系廃棄物の処理状況

近年、地球温暖化、エネルギー枯渇や大気汚染等の環境問題が地球規模で指摘 され、先進国のみではなく発展途上国においてもサステナブル発展あるいは循環型社 会の構築が目標として掲げられている。

日本では、1970 年代からの大量生産・大量消費 さらに大量廃棄 の高度な成長期 時代を経て、廃棄物の複雑化・多様化等に伴うさまざまな問題が顕在化してきた。狭 隘な国土や高い人口密度からヨーロッパや中国等の他国と比べ、埋立処分場が不足 しており、最終処分ではなく 3R(Reduce、Reuse、Recycle)の推進、さらに焼却処理に よるごみの減容化が進められている。

そのような我が国の現状に対して,廃棄物処理の技術分野において,一般的なスト ーカ式焼却炉だけではなく、さらに灰溶融、ガス化溶融といった新しい技術も開発・普 及されてきた。減容化のみではなくメタルの資源回収も可能になってきている。さらに 近年、溶融プロセスのあとに出てくる溶融飛 灰の埋立により重金 属類の流出に起因 する生態系への影響や環境汚染の懸念から、溶融飛灰の山元還元技術が開発・推 進されてきた。飛灰中のレアメタル等の有価金属を回収して再利用することにより、資 源循環が実現されるとともに有害物質の適切な管理システムが構築されている。また、

資源枯渇の問題に対応して、携帯電話やパソコンなど都市生活において大量に廃棄 される電子機器中の希少資源を回収する技術開発が盛んに行われ、「都市鉱山」の 概念が提唱・評価されてきた。また、温暖化対策やエネルギー枯渇の問題に対応して カーボンニュートラルの観点からバイオエタノールやバイオディーゼルといったバイオマ スを利用した新しい技術開発が行われている。

そこで,本研究においては,廃棄物処理問題の中でも食品系廃棄物の循環型社会 の構築を中心に研究する.まずは,我が国における食品系廃棄物に関する法体系の 整理を行う.

食品系廃棄物の有効利用を図ることを目的に,平成 13 年 5 月に「食品循環資源 の再生利用等の促進に関する法律」(以下,「食品リサイクル法」と呼ぶ.)が施行され た.同法は,食品系廃棄物に含まれる再生利用可能資源は食品関連事業所の責任 において循環利用を進めなければならないことを定めている.こうした取り組みによっ て,食品系廃棄物の発生量は増加傾向にあるものの,食品産業全体の再生利用等 実施率は着実に向上し,一定の成果が得られている.また,各業種の再生利用実施 率に関しては定められており,表 1.1 に示す.業種別に再生利用等の実施率目標が 設定されました。実施率目標は食品関連事業者に個別に義務づけるものではなく、そ れぞれの事業者が、判断基準省令に従い、食品循環資源の再生利用等に計画的に 取り組んだ場合に、平成 24 年度までに、その業種全体での達成が見込まれる目標と されている。

(8)

1章 序

1-2

表 1.1 業種別の再生実施率

業 種 目標実施率 %

食品製造業 85

食品卸売業 70

食品小売業 45

外食産業 40

その一方で, 食品リサイクル法施行時点では,肥料,飼料,油脂・油脂製品および メタン発酵の 4 手法が再生利用方法として規定されていたが,再生利用を促進する上 でこの 4 手法に優先順位は決められていなかった.しかし,平成 19 年 12 月に改正さ れた「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律の一部を改正する法律」(以 下,「改正食品リサイクル法」と呼ぶ)によって,成分やカロリーの有効利用および飼料 自給率にも寄与できるという観点から,飼料化が最優先に位置づけられた.図 1.1 に 改正ポイントの概要を示す.

図 1.1 改正ポイントの要約

さらに,飼料化のなかで主流となっているのが乾燥飼料化である.内田らの調査結 果において,大半の食品事業所から排出される食品系廃棄物は乾燥飼料化されてい ることが述べられているが,乾燥飼料化は遠方への輸送や保存には適している一方,

乾燥の際に多大なエネルギーを消費している.現在は,補助金によって,化石燃料が 高騰するなかも乾燥飼料化による再生利用率の向上が図られているが,エネルギー 消費量や CO2 排出量の削減が求められる情勢のなかで,食品系廃棄物の再生利用 時の環境負荷低減への取り組みは今後,重要性が増すと考える.

この食品リサイクル法に基づいて,現状の食品系廃棄物の現状を図 1.2 に示す.

食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律の一部を改正する法律 (平成19年12月1日 施行)

指導監督の強化 食品関連事業所の取組の円滑化 その他

定期報告義務の創設

食品関連事業所のあり方

再生利用事業計画の

認定制度の見直し 再生利用技術の追加

「中央環境審議会」の追加 年間100t以上の食品事業所は定

期報告を行う。

フランチャイズチェーン事業所は 加盟店を含めた発生量とする。

循環型の再生利用事業計画を作 成し、認定を受けた場合は、食品 循環資源の収集運搬について、

一般廃棄物に係わる廃棄物処理 上の許可を不要とする。

飼料、肥料、油脂化、メタンに加え て、炭化燃料とエタノール化、熱回 収を追加する。

(9)

1章 序

1-3

図 1.2 日本の食品系廃棄物の処理状況

そして,この上述の再 生利用 量の内訳を詳 細に調査し,食品系 廃棄物のリサイク ルの課題抽出を行う.食品リサイクル法の対象技術に関して,農林水産省統計部が 公開している食品循環資源の再生利用等実態調査報告書を基に,現在のリサイクル 状況の把握を行った.表 1.2 から,食品製造業においての再生利用率が高く,飼料化 に向けられる量が多いことがわかる.その一方で,食品卸売業,食品小売業,外食産 業における再生利用率が低く,飼料化の仕向量が少ないことがわかる.

表 1.2 食品循環資源の再生利用等実施率 (平成 22 年度)

業種

年間 発生 量

(万 t)

業種 別実 施率 目標

(%)

再生利用等実施率(%)

発生 抑制

再生 利用

(用途別仕向量)

熱回収 減量 飼料 肥料 その

他 食品

製造業 1715 85 94 10 71 77 16 7 3 11 食品

卸売業 22 70 53 9 43 36 47 17 0 1

食品

小売業 119 45 37 8 29 46 32 22 0 1

外食産業 229 40 17 4 10 33 41 27 0 2

食品産業計 2086 - 82 9 62 76 17 7 2 9

食品産業の流通工程

・畜産食料品製造業

・酒類製造業

・パン・菓子製造業

・調味料製造業 等

再生利用量 約420万 t/Y

食品の流れ 廃棄物の流れ

焼却・埋立量 約1508万 t/Y

飼料化

約77%

約23%

約2%

約20%

1189万 t/Y 427万 t/Y

1845万 t/Y

外食産業

・食堂レストラン

・旅館・簡易宿所 等 食品卸売業

・食料・飲料卸売業

・食肉卸売業 等

食品小売業

・各種商品小売業

・料理品小売業 等

一般家庭

約98%

堆肥化 メタン発酵

食品製造業

約80%

生産系

・農業

・漁業

・畜産業 等

食品事業所

食品系廃棄物の排出量

(10)

1章 序

1-4

さらに,食品系廃棄物の再生利用の方法が表 1.3 に示すように,国に登録されてい る事業所数の大半が堆肥化施設となっており,生成された堆肥が有効利用されてい ないという問題や,リサイクル事業の競合の把握を怠り経営状況の悪化と言った事例 も生じている.さらに,食品リサイクル法において飼料化が促進されているものの,反 映されていないことがわかる.さらなる促進を図る必要がある.

表 1.3 登録再生利用事業所数(平成 23 年度)

技術分類 堆肥化 飼料化 炭化 油脂化 油脂製

品 メタン 合計 事業所数 122 55 1 20 2 8 208

割合 % 59 26 0 10 1 4 100 1.1.2 ビジネスエコシステムに関する社会動向

(1) ビジネスエコシステムの定義

業界の再 編や統 合が目まぐるしく行われる現代 社会において,事業を継 続させて いくことや,新たなビジネスを立ち上げることが非常に難しい世の中に直面している.こ のような現状に対して,新たなビジネスモデルである,ビジネスエコシステムが着目さ れつつある.このビジネスエコシステムに関する定義はキーストン戦略のイノベーショ ンを持続させるビジネスエコシステムに記載されており,以下の 2 つの軸を持っている ことがわかる.この著書を基に,図 1.3 にビジネスエコシステムの概念図を示す.

① 多様性をもった多数のビジネスプレイヤー間の相互依存関係からなるネットワ ーク構造が安定性をもち、そこからイノベーションを持続させる「生態系」を模し たしくみである。

② 産業間を連携させ、地域の問題を解決する効果がある。

図 1.3 ビジネスエコシステムの概念図 (2) ビジネスエコシステムの必要性

近年,環境問題に対する企業の取組は図 1.4 に示すように 77.7%の企業が取組を 行っており、意識の向上が伺える。しかし,未だに企業もありその問題点の調査を行っ

【コア・ビジネス】

【拡大企業】

【ビジネスエコシステム】

サプライヤー 中心・製品/サービス 消費者 サプライヤーの

サプライヤー

標準体制 サプライヤーの

サービスと製品

顧客の顧客 自然災害

天然資源

貿易 政府機関および

その他機関

市場に参加する 競合相手

投資家と金融機関 戦争と社会的勢力

軍事産業

経済と市場

(11)

1章 序

1-5 た.

その結果,特に中小企業における環境問題への取組が非常以下の 3 点より難しい ことがわかった.

① コスト増加

② 人員の不足

③ 経営・事業活動の自由度の低下

このような理由から,中小企業のような規模では 1 社単体での環境への取り組みが 厳しい状況にある。よって,産業間のフレキシブルな連携であるビジネスエコシステム の構築が必要であると考えられる.

図 1.4 環境問題への取り組み状況の推移

1.1.3 食品系廃棄物のリサイクルとビジネスエコシステムに関する従来研究

食品系廃棄物のリサイクルに関する研究は様々な面から行われている.表 1.4 はそ の代表的な事例である.

三津橋の研究成果 から有機性廃棄 物の再資源化およびエネルギー回収に関する 技術を調査及び試験検討し、結果を技術情報としてデータベース化しているが,食品 リサイクル法の対象技術 全 般に対する検討はなされておらず,システム全体としての LCA を行うことはできない.

満石の研究成果から食品工場から排出される食品系廃棄物のメタン発酵を行った 場合の CO2 排出量の算出と、おからと廃油の乾燥飼料化における CO2 排出量の算 出を行っているが,特定の食品系廃棄物に対する評価しかされておらず,一概にどの 技術が適しているかは判断できないものとなっている。

長 谷川 の研究成果から,都市部における最適処理方法の比較検討を行っており、

CO2 排出量や経済性評価を行っているが、一般解を見出すことはできず,さらなる研 究の深化が必要である.このように,食品系廃棄物の最適化に関しては検討の余地 や,さらなる可能性を秘めている.

0 20 40 60 80 100

201020092008年 200720062005

取組割合 %

積極的に取り組んでいる

積極的ではないが取り組ん でいる

取り組んでいない

分からない

(12)

1章 序

1-6

表 1.4 食品系廃棄物のリサイクルに関する従来研究

題名 研究者 年度 概要

バイオマス系 廃 棄 物 の 組 成 デ ー タ ベ ー ス と そ の利用

井上雄三

山田正人 2007

地 域 における組 成 ベースでの食 品 廃 棄 物 の地 理 的 な発 生 量 が予 測 でき、技 術 側 の最 適 な規 模や拠 点 立 地 の条 件 、製 品のニーズ等の情 報 と付 き合 わせることで、地 域 循 環 資 源 化 システ ムの合 理 的 な 計 画 ・ 設 計 、維 持 管 理 が 可 能 と なる。

有 機 性 廃 棄 物 の 再 資 源 化 ・ エ ネ ル ギ ー 回 収 技術情報データベース

三津橋 浩 2002

有 機 性 廃 棄 物 の再 資 源 化 およびエネルギー回 収 に関 する技 術 を調 査 及 び試 験 検 討 し、結 果 を技術情報としてデータベース化している。

食 品 廃 棄 物 の 堆 肥 化 と植 物 の育 成 に及 ぼす 堆肥の影響

半田智史

西山英二 2003

食 品 系 廃 棄 物 から堆 肥 の調 整 を行 い、化 学 肥 料 との比 較 評 価 を行 っている。その結 果 、取 扱 う廃 棄 物 の選 定 や調 整 を行 えば、長 期 的 な土 壌の保持に繋がると述べている。

食 品 残 渣 リ サイクル 飼 料 を利 用 した養 豚 事 業 と地産地消

内田宏

紺屋直樹 2005

食 品 系 廃 棄 物 を養 豚 場 の飼 料 として提 供 する ための飼 料 化の方 法や、生 産コスト、肥 育 豚の 肉 質 などを調 査 し、飼 料 化 の今 後 の課 題 や方 向しに関して検討している。

食 品 廃 棄 物 の 有 効 利 用 に よ る ゼ ロ エ ミ ッ シ ョ ンへの挑戦

満石良三 2007

食 品 工 場 から排 出 さ れる食 品 系 廃 棄 物 のメタ ン発酵を行った場合の CO2 排出量の算出と、

おからと廃油の乾燥飼料 化における CO2 排出 量の算出を行っている。

廃 棄 物 系 バイ オマスを 利 用 した地 区 内 エネル ギ ー シ ス テ ム に 関 す る 研究

檜佐有希

中島裕輔 2004

近年、地球 温暖 化対 策としてバイオマスの利活 用 が注 目 を浴 びており、食 品 系 廃 棄 物 の有 効 利用としてメタン発酵施設 の建設を排出量の高 密度の地域で CO2 排出量の削減見込みの算 出を行っている。

都 市 で 発 生 す る 有 機 性 廃 棄 物 を 資 源 と し て 活 用 す る 循 環 型 社 会 の 構 築 ‐ 地 域 に 適 し た 処理方法の検討

長谷川幸教 2008

都市 部における最適 処理 方法の比 較検 討を行 っており、CO2 排出量や経済性評価を行ってい るが、一 般 解を見 出 すことはできなかった。しか し、メタン発酵によるガス発電や飼料、肥 料によ る地 域 の自 立 性 には貢 献 できる可 能 性 がある と述べられている。

ビジネスエコシステムに関しては新しいビジネスモデルのため,研究の深堀はあまり されておらず,ビジネスモデルの紹介が大半である.表 1.5 に一例を記載する.

銭らの研究成果に関しても,異業種である農商工連携において、ビジネスエコシステム

の理論を用いて、各プレーヤーの役割を重視した実際の事例の紹介に内容がとどま る。

(13)

1章 序

1-7

久保らの研究成果より,分析方法の検討はされているが,定量的な LCA による評価 検討はなされていない.

表 1.5 ビジネスエコシステムに関する従来研究

題名 研究者 年度 概要

キーストーン戦 略 ~イ ノベーションを持 続 させ る ビ ジ ネ ス ・ エ コ シ ス テ ム~

マルコ・

イアンシティ 2007

経 営 戦 略 論 の外 部 環 境 とされてきた「産 業 」や

「市場」に対して、企 業の内 外のシームレスに結 びついた ビジ ネス・ エコシ ステムと いうフレーム ワークから、事 例 を参 考 に戦 略 パターンを提 示 している。

農 商 工 連 携 事 業 を 支 え る 理 論 的 枠 組 み ‐ ビ ジ ネ ス エ コ シ ス テ ム の 視点から‐

銭 峰 2009

異 業 種 である農 商 工 連 携 において、ビジネスエ コシステムの理 論 を用 いて、各 プレーヤーの役 割 を重 視した実 際 の事 例 の紹 介と、今 後さらな る発展のための最適戦略に関して述べている。

グローバル市場の産 業 構造 転換とビジネス・エ コシ ステムの 中 の 知 財 マネージメント

小川紘一

(東京大学) 2012

産 業 構 造 の転 換 を人 工 物 の設 計 という視 点 か ら捉 え、デジ タル化 と 国 際 標 準 化 によってグロ ーバル市 場 がビジネスエコシステム型 へと転 換 するプロセスを解説している。

ビ ジ ネ ス シ ス テ ム の 新 し い 視 点 ‐ 価 値 創 造 と 配 分 に関 するルールの 束 と 自 生 秩 序 的 な 仕 組み‐

井上達彦

(早稲田 大学)

2008

ビ ジ ネス シ ステ ム の 研 究 の 課 題 と 可 能 性 を 探 り、その上 で,「価 値 創 造 と配 分 (共 有 )に関 す るルールの束」という切 り口 から接 近 することの 有効性について述べており、その 1 つとしてビジ ネスエコシステムが取り上げられている。

系 列 型 エ コ シ ス テ ム の 形 成 と プ レ イ ヤ ー の 役

具 承桓

( 京 都 産 業 大 学)

2008

自動車 産業のシステム的な部分でのイノベーシ ョンが結 果 として系 列 外 のサプライヤーを志 向 する可 能 性 があり、一 方 要 素 技 術 でのイノベー ションが既 存 の系 列 サプライヤーにとって優 位 になるという結果を示している。

ビジ ネス・ エ コシ ステ ム 生成における中 核的 企 業の役割

椙山泰生

(京都大学) 2008

画 期 的 なイノベーションを企 業 間 のネットワーク で実 行 する 際 の 強 い 紐 帯 の重 要 性 を 光 ファ イ バの技 術 開 発 における実 証 試 験 と分 析 から示 している。ただ、計 量 分 析 の点 においては改 善 の余地が残っている。

知識 移 転 研究における 分 析 方 法 の 検 討 : ビ ジネス・ エコシステムの 分析に向けて

久保 亮一

( 京 都 産 業 大 学)

2008

イ ノ ベ ー シ ョ ン に 関 わ る 知 識 の 概 念 整 理 を 行 い、知識移 転のプロセスをとらえ直すことを試み た。そのために先 行 研究で述べられている分 析 手法の検 討を行 い、「ビジネス・エコシステム」を 調 査 する際 に、どのような分 析 方 法 が適 してい るのかを述べている。

(14)

1章 序

1-8 1.2 研究目的

重要な社会問題のひとつである廃棄物問題への国民的関心の高まりは,資源循 環型社会へ向けた動きを加速させている.廃棄物の中でも食品系廃棄物などの未利 用資源は,資源循環やエネルギー利用の観点からその有効利用が求められており,

飼料化(1)(2),堆肥化(3),メタン発酵(4)といった再資源化が行われている.しかし,これら の技術に対応するには排出実態を明らかにし,新たな分別・収集回収システムの構 築を必要とすること,再資源化・エネルギー利用等に関わる技術の優位性が客観的 に評価されていないこと,地域特性によってシステム構築に求められる条件が異なる こと等により,十分な取り組みが進んでいるとは言い難い状況にある.

本研究においては食品系廃棄物を対象とした排出実態を明確にするとともに,LCA の考え方を廃棄物処理・リサイクルシステムに応用した TLCA(Technology Life Cycle Assessment)や LCCO2 といった環境負荷指標と LCC(Life Cycle Costing)を考慮した 包括的な評価方法 CLCA(Comprehensive Life Cycle Assessment)を導入し,食品系 廃棄物の処理に関して環境面と経済面の両面で最適なシステム(BAS:Best

Available System)に加えて,事業性の評価をも実施より,実際のビジネスでの活用を 目的としたシナリオ評価を行うことによって社会貢献としての役割を導き出す.

本研究は特に各食業種の食品系廃棄物の排出原単位の作成と並行して,各種処 理技術に対応できる処理量やごみの性状の調査,有効利用を目的とした既存インフ ラの調査を行っている.そして,食品リサイクル事業の現状把握や新たなビジネス体 型であるビジネスエコシステムの構築と評価を通して,これら事 業に携わる 人々を支 援することを目的とした設計支援ツールの開発を行う.さらには,設計支援ツールを活 用して都市部であるさいたま市をフィールドとした場合の最適処理のシナリオ評価や,

各種処理技 術に対する最適エリアや最適な事業所の検討を行い,今後の自治体や 企業の施策反映に役立てることを目的とする.図 1.5 に本論文の構成と伴に,目的を 示す.

1.3 本論文の構成

本論文は,6 章から構成される.

第 1 章では,本研究の背景、目的を明らかにするとともに、日本国内の食品系廃棄 物の処理状況を明らかにするとともに,食品系廃棄物の資源循環システムや生態系 の仕組みのように産業間がフレキシブルに絡み合う今後のビジネスモデルであるビジ ネスエコシステムに関する従来研究を整理し,本研究の新規性・独自性・必要性を示 した.

第 2 章では,食品系廃棄物に関するリサイクル DB の開発とその分析に関して述べ ている.

食品 系廃 棄物のリサイクル事業の現状 把握や問 題点の抽出 ,事業 継続のための 知見を得るために,DB の開発と構築を行った.DB の開発に向けて,フォーマットの検 討から行った.フォーマットに関しては,食品系廃棄物の排出事業所の情報(企業情 報,食品系廃棄物の性状など)と処理事業所の情報(企業情報,処理情報,生成物 の情報など),事業体型の 3 つに大きく区分し,傾向分析や現状把握が行いやすい設 計となっている.DB の構築事例数は 110 件となっており,55 件が堆肥化,26 件が飼

(15)

1章 序

1-9

料化のようなリサイクル技術の割合となっている.この DB を活用することによって,リ サイクル技術に向いた性状調査把握や,各地域におけるリサイクル技術の割合,事 業設計や事業見直しを行う上で要する食品系廃棄物のリサイクル事業の三原則 の確 認を行った.

第 3 章においては,食品リサイクル法において定められているリサイクル技術の環境 性・経済性評価の行える評価ソフトの開発について述べている.

まず,リサイクル技術の中でも本研究で対象としたのは,乾燥飼料化,堆肥化,メタ ン発酵,エタノール化の 4 技術とした.これら技術によるリサイクルが推進されているが,

それぞれの環境負荷の算出を比較した事例やその特性の比較に関して集約はされて いない.

そこで本研究では,各技術のインベントリーデータを,ヒヤリング情報から入手した ものをベースとして,事業系の食 品系廃 棄 物の性状を処理した場合の環境 負荷とコ ストの算出が行える評価ソフトとなっている.さらに,食品系廃棄物の性状が変化にも 対応した環境負荷とコストの算出が可能となっており,目的にあった評価が行えるよう にした.

また,環境負荷の算出に関しては CO2 排出量による評価結果の提示となっており,

経済性評価に関してはランニングコストを提示するものとした.評価範囲に関しては,

それぞれの処理施設の単独設置を前提条件とし,食品系廃棄物の投入から,生成物 における環境負荷の削減効果までを含んでいる.

さらに,全技術の比 較を行ったところ,清掃工場等との併設を前提としているエタノ ール化施設やメタン発酵施設に関しては単独での運営管理は環境性・経済性ともに 優れているとは言い難く,乾燥飼料化や堆肥化の方が単独設置での実施する場合に は適していることを示した.

第 4 章においては,食品系廃棄物を対象としたビジネスエコシステムの代表とも言え る養 豚 場と酒 造メーカーの産 業 間 連 携であるリキッドフィーディングシステム(以 下,

LFS と呼ぶ)に関して,環境面と経済面の両面から評価を行い,その優位性に関して 述べている.

本研究の対象エリアである鹿児島県の主要産 業のひとつである焼酎の製造工程か らは多くの焼酒粕が発生し,その排出量は,県内だけでも年間約 40 万 t におよぶ.従 来は,海洋投棄による処理が行われていたが,ロンドン条約によって全面禁止となり,

乾燥飼料化が行われるようになった.しかし,焼酒粕は含水率が約 95%もあるため,

乾燥処理工程において膨大なエネルギーを消費しており,酒造メーカーに対しては処 理費の負担が重くのしかかるという問題が発生している.

そこで本研究は,LFS に対応するための操業変更のポイントや,事業継続性や 競争戦略面における有効性に関してまとめるとともに,LFS と乾燥飼料化に関するシ ナリオ評価を CO2 排出量の面から実施した.そして,酒造メーカーと養豚場のそれぞ れの立場から LFS を導入したことによる,経済性の評価に関して示した.

さらに,乾燥飼料化が主流である焼酎粕の処理に対して,メタン発酵を導入している 事例もあったため,焼酎粕の投入から生成物の製造までは評価範囲として 3 技術で の比較評価を行い,LCA の観点から技術の優位性を示した.これより,近隣に養豚場 などの畜産地域の確保が重要となるが,立地条件が整えば LFS を用いることで環境

(16)

1章 序

1-10

的にも経済的にも有効なシステムの構築が行える.

第 5 章においては,前述の第 2 章から 4 章までの全ての要素を取り入れた,ビジネ スエコシステムの構築に向けた事業設計支援ツールの開発とツール活用によるケー ススタディの実施を行った.

食品系廃棄物は人が生活する際に必ず生じる未利用資源ではあるが,その有効利 用システムとなると事業設計のプロセスや考慮すべき要因の把握,それをコーディネ ートできる能力を持ち合わせた人材が非常に少ないのが現状である.

そこで,本研究においては,リサイクル事業への取組みを検討されている事業所や 事業再建を検討している事業所を対象に,地域特性を活用したいくつかの事業モデ ルの提案と,それぞれに対する事業性,環境性,経済性の評価が簡易的に行える事 業設計支援ツールの開発を行った.

事業性評価に関しては,第 2 章であげた食品系廃棄物のリサイクル事業における三 原則を基に,チェックリストの作成を行った.チェックリストを活用することによって,検 討内容の不足に対する早期発見等に寄与できるものとなった.

そして,食 品 系 廃棄 物 のリサイクル事 業を検 討する上で,最も重要 な要 因は原 料 の確保であるため,対象となる食品系廃棄物やエリアでの排出量 の推定は不可欠で ある.設計支援ツールにおいては,各業種の食品系廃棄物の排出原単位の活用によ る推定や,人口にからの推定方法などの把握方法を可能にした.

事業モデルの提案に関しては,それぞれの地域によってニーズのあるリサイクル製 品や,既存のインフラ,立地状況,対象とする食品系廃棄物などによって適したリサイ クル技術は異なる.そこで,地域特性を活用したシナリオ評価を行い,それぞれに対し て,環境負荷の算出やコストの算出が行えるように設計した.

最後に,設計支援ツールを活用して,さいたま市などの都市部におけるシナリオ評 価を行い,下水処理施設と併設した場合のメタン発酵施設が事業として現実的であり,

環境負荷の面においても有効であることを示した.

第 6 章においては,本論文のまとめとして,本研究で得られた成果を要約するととも に,設計支 援ツールの活用方法や高度 化などの今後の研究展望 について述べてい る.

(17)

1章 序

1-11

図 1.5 本論文の目的と構成

設計支援ツールの開発

地域密着型ビジネスモデルの提案 第3章:食品系廃棄物のリサイクル技術に

おける環境性・経済性評価

事業モデルの提案 地域特性の活用 各種処理技術の環境負荷・経済性評価

飼料化・メタン発酵・堆肥化・エタノール化

第4章:食品系廃棄物と畜産事業との連携 によるビジネスエコシステムの構築と評価

LFS(リキッドフィーディングシステム)

環境負荷評価 経済性評価 環境負荷評価 経済性評価

ビジネスエコシステム 食品リサイクル法の概要

第1章:序論

事業計画の支援5章:食品系廃棄物のビジネスエコシステムに対応した設計支援ツールの開発

食品系廃棄物に関する再生利用DB

食品系廃棄物の循環システムに必要な評価項目の作成

静脈施設のボトルネック 動脈施設のSCM

第2章:食品系廃棄物の有効利用に関するデータベースの構築と事業成功要件に関する考察

(18)

第1章 第2章

第 2 章

食品系廃棄物のリサイクルのデータベースの構築と事

業成功要件に関する考察

(19)

第 2 章 食品系廃棄物のリサイクルのデータベースの構築と事業成功要件に関する考察 1

2.1 目的 ... 2-1 2.2 食品系廃棄物のリサイクル事業に関する事例収集とデータベースの構築 ... 2-1 2.2.1 食品系廃棄物のリサイクル事業の事例収集 ... 2-1 2.2.2 DB のフォーマットの検討 ... 2-2 2.3 食品系廃棄物のリサイクル事業 DB の分析 ... 2-5 2.3.1 リサイクル技術における処理量と性状の分析... 2-5 2.3.2 都道府県別のリサイクル技術の割合 ... 2-6 2.4 食品系廃棄物のリサイクル事業としての成功要因の分析とその考察 ... 2-7 2.4.1 動脈施設における SCM の調査 ... 2-7 2.4.2 失敗事例とその特徴 ... 2-9 2.4.3 成功要因としての原則論の提案 ... 2-10 2.5 まとめ ... 2-12 図 2.1 処理技術別の構築件数

図 2.2 排出事業所に関する DB の一部抜粋 図 2.3 処理事業所に関する DB の一部抜粋

図 2.4 生成物に関する情報とその他の項目の一部抜粋 図 2.5 処理技術と食品系廃棄物の性状

図 2.6 都道府県別の食品系廃棄物の処理量に関するマッピング 図 2.7 動脈施設における SCM の概要

図 2.8 成功事例に関する三原則の分析結果 表 2.1 登録再生利用事業所数(平成 23 年)

表 2.2 排出事業所の情報 表 2.3 処理事業所の情報 表 2.4 その他

表 2.5 事業モデルの分類内容 表 2.6 参考文献

表 2.7 動脈施設での SCM の調査結果 表 2.8 動脈施設における失敗事例の要因

表 2.9 食品系廃棄物のリサイクル事業の成功要因となる三原則 表 2.10 原則論の調査結果

(20)

2章 食品系廃棄物のリサイクルのデータベースの構築と事業成功要件に関する考察

2-1

第 2 章 食品系廃棄物のリサイクルのデータベースの構築と事業成功要 件に関する考察

2.1 目的

食品系廃棄物の有効利用を図ることを目的に,平成 13 年 5 月に「食品循環資源の 再生利用等の促進に関する法律」が施行された.同法は,食品系廃棄物に含まれる 再生利用可能資源は食品関連事業所の責任において循環利用を進めなければなら ないことを定めている.こうした取り組みによって,食品系廃棄物の発生量は増加傾 向にあるものの,食品産業全体の再生利用等実施率は着実に向上し,一定の成果 が得られている.

その一方で,食品系廃棄物の再生利用の方法が表 2-1 に示すように,国に登録さ れている事業所数の大半が堆肥化施設となっており,生成された堆肥が有効利用さ れていないという問題や,リサイクル事業の競合の把握を怠り経営状況の悪化と言っ た事例も生じている.

そこで,我が国で行われている食品系廃 棄物のリサイクル事業の事例収集を行い,

事例を分析することによって現状把握や原因追求,さらには対策方法に関して提案を 行うことで,食品系廃棄物の循環型社会の構築に寄与することを目的とする.

表 2-1 登録再生利用事業所数(平成 23 年度)

技術分類 堆肥化 飼料化 炭化 油脂化 油脂製

品 メタン 合計 事業所数 122 55 1 20 2 8 208

割合 % 59 26 0 10 1 4 100

2.2 食品系廃棄物のリサイクル事業に関する事例収集とデータベースの構築

食品系廃棄物のリサイクル DB の構築に向けて,食品系廃棄物のリサイクル事業に関する 事例収集 DB のフォーマットの検討を行った.

2.2.1 食品系廃棄物のリサイクル事業の事例収集

食品系廃棄物のリサイクル DB を構築するにあたって食品系廃棄物のリサイクル事 業に関する事例収集を行った.調査方法としては,WEB サイトから自治体やリサイク ル事業の情報収集する方法と,農林水産省の認定登録を受けた事業所一覧(一部,

事業所のみ記載)を調査することによって,110 件の事例を構築した.収集した事例の 技術割合は図 2-1 に示す.堆肥化がやはり大半を占めており,もっとも導入しやすい 技術だと想定できる.それに比べ,メタン発酵や炭化のエネルギー利用の技術事例に 関しては,取り組まれている事業所が少ないことや,情報が公開されていないなどの 問題点もあり,このような構築結果となった.

(21)

2章 食品系廃棄物のリサイクルのデータベースの構築と事業成功要件に関する考察

2-2

図 2-1 処理技術別の構築件数 2.2.2 DB のフォーマットの検討

(1) フォーマット項目

DB 構築の際に,各食品リサイクル事例内容に関して,排出事業所関連,処 理事業所関連といった要素ごとに整理を行っている.排出事業所項目について は排出事業所の企業情報の記載と排出される食品系廃棄物の分類を行い,処 理事業所項目では処理事業所の企業情報の記載,食品系廃棄物の処理方法 の分類,処理情報,生成物の情報を記載する.

これらに加えて,事 業 における補 助金 交 付 の有無 ,事業モデルの分類 等の 項目を設け,事業継続性判 定の分析の効率化を図っている.排出事業所の詳 細情報に関しては表 2-2,処理事業所の情報に関しては表 2-3,その他に関し ては表 2-4 に示す.

表 2-2 排出事業所の情報

情報 項目

企業情報

企業名 都道府県 従業員数 資本金

食品系廃棄物

の分類 分類項目

大分類 製造系,事業系,家庭系,その他

中分類 加工残渣,食べ残し,賞味期限切れ,農業 系 など

小分類 お弁当,酒粕,水産系 など 55

26 8 2

19

堆肥化 飼料化 メタン発酵

エタノール化 その他

(22)

2章 食品系廃棄物のリサイクルのデータベースの構築と事業成功要件に関する考察

2-3

表 2-3 処理事業所の情報

情報 項目

処理方法

大分類 マテリアル,サーマル,ケミカル

中分類 メタン発酵,飼料化,堆肥化,エタノール化,炭化燃料,油 化,熱回収

小分類 乾式メタン,混合メタン,乾燥飼料化

処理情報

処理規模 処理量 処理費 処理単価

生成物の 情報

利用先 利用用途

生成量 販売量 販売価格 表 2-4 その他 情報 項 目 事例情報 事例年度

参考文献 その他の要素 補助金金額

事業モデル

(2) DB の構築状況

食品系廃棄物のリサイクル事業 DB のフォーマットに則り DB の構築を Excel にて進めている.排 出事業 所 項目に関してはどの事 例でも情報 の記載率が高 いため,埋めやすくなっているのに対し,処理事業所項目については企業情報 や処理方法の分類は進んでいるが,処理費や処理規模といった処理情報につ いて事例収集の際に得られる情報が少なく,空欄が多く生じている.

処理情報と同様に,生成物の情報に関しても価格や販売量などの情報を得 るのが難しく,事業継続性について,処理費や販売価格といったコスト面だけで 判断するのは困難であるといえる.

そこで,収集した事例の事業モデルの類型化,さらに事業継続のために動脈 施設で行われている対策や収集事例の失敗事例の要因をもとに食品系廃棄物 リサイクルに必要な原則論を検討し,これらを絡めた事業設計 を行う.

(23)

2章 食品系廃棄物のリサイクルのデータベースの構築と事業成功要件に関する考察

2-4

図 2-2 排出事業所に関する DB の一部抜粋

図 2-3 処理事業所に関する DB の一部抜粋

図 2-4 生成物に関する情報とその他の項目の一部抜粋

(3) 事業モデルの類型化

事業モデルの類型化として 6 つのパターンを検討した.類型の検討の際には,

これまでの見学対象事業所の状況,アンケートによって得られたリサイクル事業 所の情報,そして,事例集の傾向から分類した.事業モデルの名前とその内容 に関しては以下の表 2-5 に示す.

(24)

2章 食品系廃棄物のリサイクルのデータベースの構築と事業成功要件に関する考察

2-5

表 2-5 事業モデルの分類内容

モデル名 内 容

集中大量排出型 1 社の排出事業と 1 社の処理事業所での産業間連 携で完結するケースを示す.

組合形式型

排出事業所が組合を作り,1 社の処理事業所で請 け負ってもらうケースを示す.排出事業 所 は数社程 度のものである.

拡散少量排出型 不 特 定 多 数 の排 出 事 業 所 の食 品 系 廃 棄 物 を処 理 事業所 1 社で請け負うケースを示す.

組合依存型

組合の排出事業所から排出される食品系廃棄物を 組合が管 理する処理 事業 所で処理するケースを示 す.

リスク分散型

1 社の排出事業所から排出される食品系廃棄物を 不特定多数の処理事業所に請け負ってもらうケース を示す.

自社完結型 自社から排出される食品系廃棄物を自社の処理事 業所で処理するケースを示す.

2.3 食品系廃棄物のリサイクル事業 DB の分析

収集した情報から得られた結果や傾向に関して明らかにし,現状把握に役立てる.

2.3.1 リサイクル技術における処理量と性状の分析

DB から得られる情報の分析として,各処理技術に対する処理量と食品系廃棄物 の性状の関係性を分析した.上記にも述べたように,処理情報が明確になっていない 事例もあるため,この分析においては処理量のわかっている事例を対象に分析を行っ た.また,食品系廃棄物の性状の分類に関しては以下のように定義する.そして,分 析の際に対象となっている食品系廃棄物の性状がそれぞれの定義で分類した項目の 双方を兼ね備えている場合はその中間に属するものとする(割合等に関しては考慮し ない).

分析した結果を図 2-5 に示す.この結果から,飼料化に関しては比較的,性状が安 定したものが対象となっており,50t/D 前後のものが多い.堆肥化とメタン発酵に関し ては,性状の幅も処理量の幅も広く,適用範囲が広いことが伺える.

(25)

2章 食品系廃棄物のリサイクルのデータベースの構築と事業成功要件に関する考察

2-6 (a) 均一性状

食品工場などの性状が安定 しており,夾雑物も含まれてい ないもの

(b) 事業系性状

外食産業や小売業の食品系 廃棄物

(c) 家庭系性状

一般家庭から収集した食品 系廃棄物

(d) 混合性状

汚泥や剪定枝などのその他 の廃棄物が含まれる

2.3.2 都道府県別のリサイクル技術の割合

食品系廃棄物のリサイクル DB の項目における,処理事業所の処理量を基に都道 府県別に振り分けを行い,都道府県別の食品系廃棄物処理量の合計のマッピングを 行った.また,都道府県ごとの処理技術の割合も同時にグラフ化 も行えるようになる.

その結果を図 2-6 に示す.

このように DB を活用することによって,地域別の処理量の現状や,適用されている 処理技術の傾向等に関しても可視化を可能とし,新規参入を検討している事業所の 選定技術の参考や,地域特性の把握を行うことの手助けとなる.

図 2-6 都道府県別の食品系廃棄物の処理量に関するマッピング

図 2-5 処理技術と食品系廃棄物の性状

混合 家庭系 事業系

均一

食品系廃棄物の性状 0

50 100 150 200 250 300 350 400 450

処理量t/D

堆肥化 飼料化 メタン発酵

(26)

2章 食品系廃棄物のリサイクルのデータベースの構築と事業成功要件に関する考察

2-7

2.4 食品系廃棄物のリサイクル事業としての成功要因の分析とその考察

2007 年に事業開始を行ったアグリアガイアは大手コンビニのセブンイレブンから排出 される食品系廃棄物を回収し堆肥化する事業を行ったが,倒産に追い込まれてしまう という事態に陥った.

そこで,食品系廃棄物のリサイクル事業を継続していく上で必要となる要因の整理 を行うことを目的とする.

2.4.1 動脈施設における SCM の調査

動脈施設においては食品系廃棄物のリサイクル事業のような静脈施設よりも事業 継続における対策が進んでいると想定でき,その対策が応用できると思われる.そこ で,動脈施設の SCM を調査した.

(1) 調査方法

本調査に関しては,書籍と WEB により,9 つの参考文献から調査した.調査した 文献名を以下の表 2-6 に示す.また,調査内容としては主に,SCM における対策 方法に関して調査した.

(2) 調査結果

書籍と WEB での調査により,動脈施設においては部品調達から,製造物の品 質の管理,また製造物のニーズの把握を行っており,川上から川下までの管理と 対策が多く行われていることがわかった.表 2-7 には,それぞれの業種によって取 り組まれている内容に関してまとめたものである.

製造前段階としては部品の調達と競合の把握を行うことを重要事項としている 業界が多く,製造中に関しては生産能力や品質の向上を重要事項としている.さ らに,製造されたものの販売網を確保するための手法が取られている.このように,

川上から川下までの対策が動脈施設では行われている.

(27)

2章 食品系廃棄物のリサイクルのデータベースの構築と事業成功要件に関する考察

2-8

表 2-6 参考文献

著 者 ・編 者 ・訳 者 等

題 名 ・書 名

発 表 箇 所 URL

出 版 年 月 検 索 日

出 版 元 業 界 要 点

ア ナ ン ・ V ・ ア イ アー

西 宮 久 雄

ト ヨ タ サ プ ラ イチェーン マ ネ ジ メ ン ト

2010 年 9 月

日 本 経 済 新 聞 出 版 社

自 動 車 業 界

(トヨタ)

部 品 調 達 、生 産 工 程 、 販 売 戦 略 における SCM を工 程 別 に記 載

ア ナ ン ・ V ・ ア イ アー

西 宮 久 雄

ト ヨ タ サ プ ラ イチェーン マ ネ ジ メ ン ト

2010 年 9 月 日 本 経 済 新 聞 出 版 社

自 動 車 業 界

(トヨタ)

緊 急 時 における対 策 案 や対 策 事 例 の記 載

商 品 開 発 部 門 品 質 へ の こ だわり

http://www.aj inomoto.co.jp /activity/anz en/kodawari/i ndex.html

2012 年 10 月

(検 索 日 )

食 品 業 界

(味の素 )

価 格 と質 を衰 えさせな いための原 料 調 達 と生 産 工 程 に関 して記 載

赤 坂 直 樹 畑 憲 司

リ ス ク 対 応 型 の 次 世 代 サプ ライチェ ーンマネジメ ント

http://fas-gr oup.kpmg.or.j p/knowledge/

fas-group-ne wsletter/201 2/pdf/201205

_ts.pdf

2012 年 5 月

化 学 加 工 業

原 料 調 達 から販 売 先 の 確 保 に関 してまで記 載

電 気 機 器

競 争 の激 しい部 品 を避 け、安 定 した SCM に関

して記 載

素 材 産 業

サプライヤーとしての立 場 から販 売 先 の分 散 や 品 質 改 善 に関 して記 載

松 本 卓 夫

雪 印 乳 業 に おける SCM 改 革 お よ び シ ス テ ム 開

オペレーション ズ・リサーチ、

経 営 の科 学

2009 年 9 月

食 品 業 界

(雪 印 乳 業 )

原 料 と品 質 の安 定 性 関 して調 査 しており、各 地 で展 開 する手 法 が記 載

電 力 /ガスソリュ ーション部 門

イ ン テ リ ジ ェ ン ト ・ ユ ー テ ィリティ・ネッ トワーク

http://www-0 6.ibm.com/ind

ust

2012 年 10 月

(検 索 日 )

電 力 会 社

(IBM 支 援 )

安 定 した電 力 の供 給 方 法 から販 売 価 格 の決 定 に関 してまで記 載

(28)

2章 食品系廃棄物のリサイクルのデータベースの構築と事業成功要件に関する考察

2-9

表 2-7 動脈施設での SCM の調査結果

動脈企業名・業界 対策内容 総 称

トヨタ 緊急時にはその他サプライヤーからの調達ルートの 確保すること.

部品調達 化学加工業界 調達ルートの分散化させることで事業継続の安定化

を図ること.

電気機器 紛争鉱物の使用制限を試みること.

エネルギー業界 代替となるエネルギー資源の価格の把握や新エネ

ルギーの動向調査を行うこと. 競合の把握

味の素 需給バランスを考慮したスケジュール管理常に行

い,生産能力向上と問題発見の早期化を促すこと. 生産能力の向 トヨタ 毎日の生産台数のバラつきをなくし,安定した生産 上

を行うこと.

トヨタ 生産工程における複雑性をなくし,ミスの削減を行う こと.

品質の向上 素材産業 消費者の需要に応えた品質改善を行い,適した製

品を提供すること.

雪印乳業 商品の鮮度やブランド力を向上をさせ,他社より優 位にたつこと.

電気機器 製品の性能や効用に対して,同業他社の同製品と の比較を実施.費用対効果を良くすること.

販売戦略 電力会社 電力生成の際のコスト向上により,家庭や企業での

電気代の値上げを行うことで経営を保つこと.

トヨタ 地域の需要の把握を行い,適した車種,オプション の販売を行うこと.

市場調査 エネルギー業界 各国で使用されているエネルギー資源の調査と,各

国での売れ行き予想を実施

図 2-7 動脈施設における SCM の概要

販売先

販売店

サプライヤーの競合 自社の競合 競合先や代替品

サプライヤー 工場

把握

把握 生産能力の向上

品質の向上

把握 部品調達

の管理

販売戦略 の提案

利用者

(29)

2章 食品系廃棄物のリサイクルのデータベースの構築と事業成功要件に関する考察

2-10 2.4.2 失敗事例とその特徴

食品系廃棄物に関するリサイクル DB から経営不振に陥った事例や倒産した事例を 抽出した.表 2-8 には,抽出した事例の処理事業所名の記載,さらに経営状況の詳 細に関しては WEB にて調査を行い,失敗の要因を導き出したものを記載する.そして,

前述に述べた,動脈施設での SCM の対策に対応する項目をも記載した.

これより,失敗事例の共通事項として原料の確保に問題があると言える.また,食品 系廃棄物のリサイクル事業として成功を収めている,バイオエナジーとフジコーのヒア リング情報によると,生成物の質を安定させることを最低条件とし,常に向上を目指し ているという意見を得た.

表 2-8 静脈施設における失敗事例の要因

企業名 経営状況 失敗要因

対応する動 脈施設の対

応 小田急フードエコ

ロジーセンター

焼却手数料が安すぎることなどが 原因で,再生利用ビジネスの採算 が合いにくい現状

処理業の競合 競合の把握

九州食品工場リ サイクル協同組 合

再生コストの高さ,食品残渣の大 口供給元が県内近辺にないこと によるエコフィード促進の低調

処理量の安定確保 部品調達

クリーンサポート ヒラタ

安定的な回収が困難,堆肥工場 までごみを運ぶ際の運搬費がかさ む

処理量の安定確保 部品調達

アグリガイアシス テム

コンビニ店からの廃棄食品が想定 より集まらず,生成物のはけ口も なかったため経営難に陥った.

処理量の安定確保 ニーズの把握

部品調達 市場調査

2.4.3 成功要因としての原則論の提案

(1) 食品系廃棄物のリサイクル事業における三原則

動脈施設における SCM としての対策と,静脈施設における失敗の要因から静 脈施 設に適 用した対 策方 法を検討した.以 下に食 品系 廃 棄物のリサイクル事 業 の成 功 要 因 となる三 原 則 の概 要 に関 して述 べる. 三 原 則 のまとめに関 しては表 2-9 に示す.

(a) 原料の安定確保

動脈施設の SCM において該当する項目は,「部品調達」と「競合の把握」である.

静脈施設においては,食品系廃棄物を安定的に収集回収するための対策が講じ られているかを判断する項目である.具体例として,食品製造業のように大量に排 出する事業所を対象としているか,自治体の焼却処理施設や近隣のリサイクル事

表 4.7  養豚場の各種データ
表 5.11  埼玉県内の焼却処理施設
図 5.26  メタン発酵を導入した各ケースの比較

参照

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