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全文

(1)

プラスチッ ク廃棄物を骨材 として用いた

モ ル タル お よび コン ク リー ト

山 崎 英 樹*

1 . ま え

我国におけるプラスチ ックの総生産量は,昭和

47

年度に

690

t

,その廃棄量は

320

t

と 推定 され,さらに昭和

50

年には生産量

1

千万

t

, 廃棄量はそ

ゐ50%

強の

510

t

に及ぶ もの

と予測 されている.

このプラスチ ック廃棄物は都市系のものと産業系のものの両者を合計 した量であるが, こ れの処理に当っては,種 々の公害を生 じて重要な問題 とな ってい る こ と は周知の通 りであ る. また, これを単なるゴミとして処分す るのはもったいないことで, これの資源 としての 再利用に関す る研究が広範囲にわた って行なわれ,実用化 されているものもあるが廃棄量全 体に対する比率は微 々たるものである.

再利用方法の うち廃棄物を粒状に破砕 して骨材 として用い るのが,もっとも簡便な手段で あ り, これに関 しては特定の種類 ( た とえば発泡スチ ロール)を対象 として研究 されている が,都市系の種 々のプラスチ ックの混在 したものを対象 とした文献は見当 らない よ うで あ

る.

本報文は雑多なプラスチ ック成形品の破砕物をセ メソ トモル タルおよび コンク リー トの骨 材 として使用 した とき, これが まだ固まらない状態な らびに硬化後のモル タルお よび コンク

リー トの

2, 3

の性質にお よぼす影響について調査 した ものである.

2.

プラスチック破砕物について

教程の廃棄 された プラスチ ック成形品を破砕機にかけて生 じた粒状物の粒度分布を調査 し た.試料はポ リスチ レソ,ポ リエチ レソ

,ABS,AS

,アクリル, メラ ミソの各種であ り その 1部を図‑ 1に示す.

試料は徳利や盃な どの小物が多 く,また破砕機の性能に よ り破砕 されたプラスチ ック粒は 直径

8mm

以下 とな った.試料の粒度分布は骨材フルイ分け試験方法に準 じて行ない,その 結果を図

‑ 2

に示 した. これ よりわかるように破砕物は

2.5mm

フルイに

80%

程度 とゞま り,

0.6mm

以下の粒がきわめて少ない粒度分布であ り,粗粒率は平均 して

4.68

であ った.通常 用い られ る細骨材の粗粒率が

2‑ 3

であ るのに比較 してかな り大 きな値で, これは原料のプ

ラスチ ック成形品の肉厚に よって大いに影響され るものである.

*土木工学科

昭和4

8

7

9日受理

(2)

132 長野工菜高等専門学校紀要 ・第5

1

不良プラスチック成形品

7

ル イ

細 る 耶 =.

( % )

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0

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0

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12 25 5 1 0 2 0 4 0

ノI llH̲ 川H r n m

2

プラスチック破砕物の粒度

3.

プ ラスチッ ク破砕 物混 入モ ル タル

破砕 した プラスチ ックを骨判 と して用いたモル タル供試体を作製 し,圧縮,曲げ強度,蛋 立寄について川砂を用いた供試 体のそれ らと比較 した.

3・1

供試体

使用 した材料は,普通 ボル トラソ ドセメソ ト ( 比重3.15)杏,細骨材 ( 川砂)は長野市犀 川産 ( 比重2

.65

,粗粒率2.

72)の もの を 用 い た (

粒度分布 ま図‑ 2 参照) . プラスチ ックは 成形不良品の徳利 ( アク リル と

AS

樹脂の組合せ) と盃 (メラ ミン)を破砕 した ものを混合

して用いた.

我 国におけ るプラスチ ックの生産 を見 ると熱可塑性樹脂 と熱硬化性樹脂 との割合がお ゝよ そ

3

1

とな ってお り, これ よ りその廃棄物の割合 もは ゞ同率 とな っている もの と思 わ れ る.以上のことを考慮 して熱可塑性樹脂のアク リルと

AS

の破砕物 と熱硬化性樹脂の メラ ミ

ソの破砕物 とを重量で

3:1

の割令で混合 したものを骨材 として用意 した.

モル タルの配合は水セ メソ ト比を

45%

か ら

5%

きざみで

60%

まで変え, 各 W/C ごとに セ

(3)

プラスチ ック廃棄物を骨材 として用いたモルタルおよび コンク リー ト

2

2

1▲

l

1 1

11l

●.▲ ‑ 1 フ ロ ー 肌 比

図3 フ ロ ー 値 と 重 畳

1 0

20

3 0

4

0 5 0 6 0 7 0 8 0 9 0 1 0 0 p/ S( %)

4

圧 縮 強 さ

133

(4)

134

長野工業高等専門学校紀要 ・第

5

号 メソ ト重量お よび骨材容積を一

定 として,その一定の骨材容積 内で,川砂 とプラスチ ック粒 と の容積比

P/S

0‑100

まで

10

% きざみに変化 させた.なおプ ラスチ ック粒の比 重 は 可 塑 性

1.03

,硬化性

1.50

で両者 を

3:

1

で混合 した もの を

1.15

と し た.

モルタル供試体は

JIS R 52

01セメン トの強 さ試験に準 じ て成形 し,材令 28 日まで水中養 生 した.モル タルの混合は手練

りで,各材料を一度に繰鉢に 入れて混練 したが, どの配合で も

0 . 9 0 . 8 0 . 7 0 0 . . 6

5

強 げ i i 比

01 0

20

3 0 4 0 5 0 6 0 7 0 8 0 9 0 1 0 0 p / S( %) 図

5

曲 げ 強 さ

P/S

90%

以上では,が さが さしたものとな り分離がひ どく成形困難であった.

フロー試験では

,P/S

80%

までは

W/C

に無関係にほ とん ど分離 しなか ったが

,90%

以 上ではプラスチ ック粒が フローテーブル中央に残 りセメソ トペース トが周辺に拡がった. ワ ーカビリチーか ら判断す ると

,W/C

45%

では水量が少ないため練 りに くく

,60%

では分 離が 目立ち

,50‑55%

の ものが一般に作業性がよいことが経験 された.

3・2

強度試験および考察

材令 28 日で曲げ,圧縮試験を行ないその結果を

P/S‑0%

の場合を基準に して表わ した ものが図

‑ 3‑ 5

である.

‑ 3

にみ られるようにプラスチ ック粒混入モルタルは,無混入のもの よりいずれ もフロ ー値が大 きく

P/S

60%

程度の ときピークを示 している.

P/S

90%

以上のときは分離が 極度にみ られたが

80%

以下では,ほとん どみ られず プラスチ ックで ウォーカブルなモルタル が得 られた.

重量の変化については

,P/

Sが

40%

以下で約

10%

の軽量化

P/S‑60%

で約

15%,P/S

‑100%

で約

30%

軽量化 されている.

‑ 4,5

か ら強度についてみ ると,曲げ,圧縮 とも水セメソ ト比が

55%

以下の場合,お ゝよそ

P/S‑80%

までは,プラスチ ック粒を混入 したモル タルは無混入モル タルと同程 度 かそれ以上の値を示 している.

以上に より綜合的に考察す ると,プラスチ ック粒混入モル タルの性質は,水セメン ト比 と

P/S

に よって影響 され るが

,W/C‑50‑55%

P/S‑40‑80%

の モル タル は,ワーカビ リチー,強度,重量に関 して無混入モルタル よりも優れた点がみ られ ると思われ る. しか し ここで注意すべ きは,上記の

W/C

P/S

の範囲は使用す るプラスチ ックの種頬によって変 化す ることが考え られることである.破砕 された粒の表面が発泡スチ ロールのようにセメン

トペース トとな じみのよいものと,硬質のプラスチ ックのようにな じみの悪いものとでは当

然上記の範囲が異なるだろう.

(5)

プラスチ ック廃棄物を骨材として用いたモルタルおよびコ ン

リー ト

135

産業系の プラスチ ック廃棄物 の場合は比較的品質の一定な同種塀の材料が得 られ るので, これを用いたモル タルの品質管理は容易であるが,都市系の ものを取 り扱 う場合は様 々な問 題が存在す る.すなわち,都市系廃棄物か らプラスチ ック廃棄物を抜きだ して収集す ること は,各種 の産業お よび家庭 の協力があれば可能であ るが, この中には熱可塑性の もの熱硬化 性のもの,肉厚の うすい ものか ら厚い もの まで千差万別であ り, また各種の薬品や土等 の汚 れ もあ り, これ らの洗浄,仕分け,破砕な どさらに一定 の品質の材質に保つ ことができない

ことなどである.

4.

プラスチック破砕物混入コンクリー ト

プラスチ ック粒を細骨材 として 用い

セ メン トコ ンク リー トについて, ワ ー カビ リ

チ ー ,

重 量 ,強度等について調査 した.

4・

1 材料

ン トは普通 ポル ト ラ ン ド セ メ ン ト ,骨材 は粗 ,細骨材 とも長野 市 犀川 産 の もの

,粗 骨材の比重,吸水率,粗粒率 は そ れ ぞ れ2 . 5 9, 1 . 5 % ,6. 83,細骨材は そ れぞ れ 2. 63 ,

1.

2%, 2. 72であ った. プラスチ ック 粒 は モ ル タルの 場 合 と 同様に熱可塑性 3 に 対 し て 熱硬 化 性 1の 割合で混合 した ものを使用 した ( 図‑ 1参 照).

4 ・2 配合 と供試体 配合設計にあた っては, プラ スチ ック粒無混入 コソク リー ト の配合を基準に して,細骨材の 容積を一定に してその構成 ( 川 砂 と プラスチ ッ ク 粒 との 容 積 比)を変化 させた.すなわ ちW /Cを5 0, 55 % の 2種 と し,プ ラスチ ック粒は細骨材 の 1部 と して用いた.

テス トピースは直径 1 0c m,高 さ 2 0 c m の シ リソダーを各配合 ごと に 3本成形 し , 2本にひず み ゲージをは って応力ひずみ測 定用 とした.

4 ・ 3 実験値と考察 プラスチ ック粒無混入 コソク リー トの値を基準に して各配合 のものの測定値を表わ したのが 図 ‑ 6であ る.図 ‑ 7 , 8は応 力ひずみ曲線で, これは圧縮強 度の約70% まで載荷 したのち除 荷 し,ふたたび破壊 まで載荷 し

0 0 0 000 5 413 2 1 吸 水 率 比

2重 W′ C

:

5

5g

完 ( a) 一 。 /

。 ・・

( C )

' 1 < = =I ( a ) I ̲

(6)

(.u3Jan

39

NE 2L) 00

J<

b

U 150

100

、50

0

5

00

〟/ C‑5 5 %

1000

1

5

0 0 2 g

O(Oxl0‑6)

7 q一g 曲 線

500 1

0 0

0 1500

8

0

‑e 曲 線

て求めた.

コンク リー トの混練は, アイ リッヒ ミキサーを用いた.混練にあた っては

, P/S

60%

を こえるとプラスチ ック粒が表面 に浮 きだ してモルタル との まざ り具合が悪 くなることが見

られた. これは

W/C

が大 きい もの程 この傾向が強 く

,W/C

55%

の場合

P/S‑80%

以上 では,一応均一な混練はできてもスラ' ソプ試験時やモール ドへの損売時に完全に分離 して し まった. この結果モール ド上方に プラスチ ック粒が集積 しがちで, ワ‑カビ 1 )チ‑が極めて 悪 くな り,成形 されたテス トピースの表面は凹凸の多い もの とな った.

これは,硬質で表面がなめ らかなプラスチ ック粒を用いたため,セメン トペ ース トとの付 着があ るいこと, プラスチ ック粒が粒径のかた寄 った分布を しているため徽細な粒子が少な

く, このために骨材問の間隙を十分に填充できないことが原田 と思われ る.

‑9

は圧縮試験後のテス トピースの多観であ るが

P/S

90‑100%

の ものは極度に表面

状態がわ るい.

(7)

プラスチ ック廃棄物を骨材として用いたモルタルおよびコンクリート

137

号 0 10 20 30 40

50

6

0

7

0

80 90

1 0 0( %) 図

9

供 試 体 の 外 観

‑6

のス ランプ比をみ ると

P/S

0%

100%

の場 令 とでは

,W/C‑55%

において,ほ ゞ同一の値を示 してい るが, 実態は

P/S‑60%

以上の場令は完全な材料 の分離がな され て い るし, また

,W/C‑50%

では

P/S‑70%

以上で大 きなス ラソプを示 しているが, これ も 材料分離の結果生 じた ものであ る. プラスチ ック粒 とセメン トペ ース トとの付着がわ るいた めに きわめて不安定 な状態にあ るといえる.

前述のモル タル試験においては

,W/C

にか ゝわ らず

P/S

40‑70%

で フロー値が大 き く な ったが この場合は材料の分離はな くウォーカブルな ものであ った.

テス トピース脱わ く時の重丑 と水中養生終了後の並立の差を吸水量 として図‑ 6(b)に示 した

.P/

Sの増加 とともに増大す る傾向がみ られ るが,これは,プラスチ ック粒の吸水 はな いか らワ‑カビ 1 )チー不良に もとず くテス トt i . ‑ス内の空隙の増加に よるものと思われ る.

軽量化についてみ ると

P/S‑100%

で約20

%軽 くな っている.施工上安全 な限度 (

材料 の 分離 を生 じない)である

P/S‑60%

においては約

10

割 壁減 したにす ぎない.

重畳の軽量化に比較 して圧縮強

度の減少率は 大 き く

P/S‑60% 1.0

で約

40%

減少

,P/S‑100%

の と

0・9

60%

低下を示 した ( 図

‑6(d) 0・8 0.7

参照).

図‑ 7, 8 は応力ひずみ曲線で あ るが, プラスチ ックの混入率が 大 き くな るに従い,応力は少 さ く な りその反面ひずみが増加す る憤 向がある.すなわちプラスチ ック 粒の もつ塑性的性質が混入率の増

0 6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1

A

O ▲ A

0

0

l〃C‑50%

A

‑5 5 %

4

10 20

3 U 4 0 5 0 6 0 7 0 8 0 9 0 1 00 p/

s q/a

図1 0

ソ 〆 係 数

(8)

艮野工業高等専門学校紀要 ・第5

I.r:b.h萄1. I..I.rTT.:3I

90 100%

1 1 供 試 体 の 断 簡

8

0

讐 孝 L J F

(9)

プラスチ ック廃棄物を骨材として用いたモルタルおよびコソクリート

139

加 とともに強 くあ らわれて くる. これに関 しては,応力ひずみ曲線か らセカン トヤソグ係数 を求めてみると明白で ( 図

‑1

0

),P/S‑100%

のときのそれは

W/C‑50,55%

のときそれ ぞれ

85,000,43,000kg/c

m2 で無混入 コンク1 )‑ トに対 して約

80%

の減少を示 してい る. こ の減少率は重量や強度のそれに比較 してもっとも大 きいもので, この面においてプラスチ ッ ケ粒混入の効果が大 きい ことがわかる.

以上か らコンクリー トに関 して綜合的に考察 してみ ると,プラスチ ック粒を細骨材 として 使用す る場合は

,P/S‑60%

以上では施工上困難で,重量の軽減率に く らべ て強度および

ソグ係数の減少がいち ゞるしく不利な面が多 くあ らわれ る. しか し,テス トピースを切断 してみると ( 図‑11 参照) ,その断面は各種のプラスチ ック粒がい りまじって い るた め色彩 に富んでお り, コソクリー ト特有の冷たい感覚がない点は長所 といえよう.

5.

ま と め

廃棄物 としてのプラスチ ック成形品を破砕 した ものを骨材 として,それ単味の場合および 川砂さらに川砂利 と混用 した場合のセメン トモル タル,セメソ トコソク リー トに関す る本研 究 の範囲において,つ ぎのように結論 され る.

( 1 ) プラスチ ック破砕物を混入 したモルタルは

,W/C

P/S

によって諸性質が大き く 影響され るが

,W/C‑50‑55%,P/S‑40‑80%

の範囲において,ワーカビリチー,強度, 重量に関 して無混入モル タルよ り優れた性質を示す ようである.

(2)

プラスチ ック破砕物を細骨材の一部あるいは全部 とした コンク 1 )‑ トにあ っては, 一般に材料分離を生 じやす く,混入率

P/S‑60%

が限度で,重量の軽減化に く らべ て強度

とヤソグ係数の低下がいち じる しくみ られ る.

(3)

色彩の変化に富んだ各種のプラスチ ック破砕物を用いたモルタルや コソク リー トの 切断面は美観にす ぐれてお り, コソク リー ト特有の冷た さがない.

6.

あ と が き

種 々のプラスチ ック廃棄物の資源 としての再利用の一方法 として破砕物をモル タルおよび コンクリー トの骨材 として用い,川砂,川砂利 との混用に よる効果を調査 してみた.産業系 の場合は同一晶質の破砕物を得 られ るが,都市系の場合には多 くの問題を含んでいるので, セメソ ト製品に活用す るのは容易でない.筆者の用いた材料に関 していえば,さらに耐熱性 や遮音性について検討 しなければな らないが,強度を問題に しなければかな り広い分野で利 用できるものと思われる.

参 考 文 献

(1)

&' 内雄三郎,新版ブラスチp /ク技術読本,工業調査会

(2)

セキスイプラスチック ノート,若水化学工業 ( 秩)

(3)

前田慶之助,固形廃棄物と公害対策,理工図書

( 4 ) 山崎英樹,土木学会中部支部研究発表会講済概要,昭和

47

参照

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