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食品系廃棄物のリサイクル技術における環境性・経済性評価

ドキュメント内 食品系廃棄物を対象とした (ページ 36-52)

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第 3 章 食品系廃棄物のリサイクル技術における環境性・経済性評価

3.1 目的

食品系廃棄物の有効利用を図ることを目的に,平成 13 年 5 月に「食品循環資源の 再生利用等の促進に関する法律」(以下,「食品リサイクル法」と呼ぶ.)が施行された.

同法は,食品系廃棄物に含まれる再生利用可能資源は食品関連事業所の責任にお いて循環利用を進めなければならないことを定めている.こうした取り組みによって,

食品系廃棄物の発生量は増加傾向にあるものの,食品産業全体の再生利用等実施 率は着実に向上し,一定の成果が得られている.

その一方で, 食品リサイクル法施行時点では,肥料,飼料,油脂・油脂製品およ びメタン発酵の 4 手法が再生利用方法として規定されていたが,再生利用を促進する 上でこの 4 手法に優先順位は決められていなかった.しかし,平成 19 年 12 月に改正 された「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律の一部を改正する法律」

(以下,「改正食品リサイクル法」と呼ぶ)によって,成分やカロリーの有効利用および 飼料自給率にも寄与できるという観点から,飼料化が最優先に位置づけられた.

その一方で,各リサイクル技術に対する環境負荷や経済性評価を統括的に行った 研究や評価ソフトが現状では存在しない.そこで,本研究においては客観的にそれぞ れの技術に対する環境負荷と経済性評価の把握と比較を行える評価ソフトの開発を 行うことで,今後の事業設計の際のツールとしての活用や,環境意識の高い排出事 業所がリサイクル事業所を選択する際に環境負荷の低いリサイクル技術を選択する 際の手助けに寄与することを目的とする.

本章では食品リサイクル技術の普及度の解明に加えて,本研究で開発した評価ソ フトの概要,その評価ソフトの詳細,各技術の比較評価を通して,リサイクル技術を客 観的かつ包括的に理解する.

3.2 食品系廃棄物のリサイクル法における対象技術の概要

食 品リサイクル法の対象 技術に関して,農林水産省統計部が公開している食品循 環資源の再生利用等実態調査報告書を基に,現在のリサイクル状況の把握を行った.

表 3.1 から,食品製造業においての再生利用率が高く,飼料化に向けられる量が多い ことがわかる.その一方で,食品 卸売 業,食 品小売 業,外 食産 業 における再生利 用 率が低く,飼料化の仕向量が少ないことがわかる.

さらに,表 3.2 農林水産省に認定登録されている登録事業所に関しては,堆肥化の 割合が非常に高く,食品リサイクル法において飼料化が促進されているものの,反映 されていないことがわかる.

3章 食品系廃棄物のリサイクル技術における環境性・経済性評価

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表 3.1 食品循環資源の再生利用等実施率 (平成 22 年度)

業種

年間 発生 量

(万 t)

業種 別実 施率 目標

(%)

再生利用等実施率(%)

発生 抑制

再生 利用

(用途別仕向量)

熱回収 減量 飼料 肥料 その

他 食品

製造業 1715 85 94 10 71 77 16 7 3 11 食品

卸売業 22 70 53 9 43 36 47 17 0 1

食品

小売業 119 45 37 8 29 46 32 22 0 1

外食産業 229 40 17 4 10 33 41 27 0 2

食品産業計 2086 - 82 9 62 76 17 7 2 9

表 3.2 登録再生利用事業所数 (平成 23 年度)

技術分類 堆肥化 飼料化 炭化 油脂化 油脂製品化 メタン化 合 計 事業所数 122 55 1 20 2 8 208 割合(%) 59 26 0 10 1 4 100

3.3 食品系廃棄物を対象とした環境性・経済性の評価ソフトの開発

図 3.1 に示すように,食品リサイクル法において飼料化が優先されているが,客観的 に各リサイクル技術の環境性・経済性の評価がされていない.また,地球温暖化対策 が注目を浴びている現状に対して,環境面の評価も今後さらなる需要が高まると考え られる.そこで,実際の事業設計を想定し,対象となる食品系廃棄物の性状とリサイ クル技術の組合せに対する,環境負荷の算出とコストの算出を簡易的に行えるように なる必要がある.

また,今回の評価ソフトの対象技術は食品リサイクル法の対象技術の中でも,乾燥 飼料化,堆肥化,メタン発酵,エタノール化を対象とした.

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図 3.1 評価ソフト開発の必要性 3.3.1 評価ソフトの概要

(1) 評価ソフトのフロー

本研究で開発を行う評価ソフトは簡易的に環境負荷の試算とコスト算出を行うことを 目的としているため,フローに関してはシンプルなものとした.図 3.2 に示すように,使 用者は廃棄物の情報(処理量と性状)を入力することによって,各リサイクル技術の環 境負荷の算出とコストの推定値を把握することが可能となるとともに,全技術の比較 評価も行えるものとなっている.

また,図 3.3 は評価ソフトにおける乾燥飼料化の算出シートのものとなっている.この ように,使用者はフローの把握と,環境負荷,コストに関してもどの資源においての負 荷が高いかがわかるものとした.

図 3.2 評価ソフトのフロー

飼料化 堆肥化 メタン発酵 エタノール化

リサイクル技術

食品系廃棄物のリサイクルに関する原則論は第2章で述べた。

飼料化が優先されているが、客観的に各技術の環境面・経済面の評価がされていない。

事業開始などにおいてリスクマネジメントのみならず、地球温暖化対策が注目を浴びている現状に おいては環境面の評価も必要である。

簡易的に環境負荷や経済性評価を行えるソフトの必要性がある。

対象となる食品系廃棄物 再生利用技術

環境負荷(CO2排出量) + コストの算出

廃棄物の情報

乾燥飼料化 堆肥化 メタン発酵 エタノール化

各技術の環境性・経済性評価

全技術の比較評価

3章 食品系廃棄物のリサイクル技術における環境性・経済性評価

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図 3.3 評価ソフトの算出シート

(2) 評価指標

本研究で開発した評価ソフトの特徴としては,環境負荷の算出は CO2 排出量によ って,コストの算出に関してはユーティリティのコストとリサイクルした後の生成物の販 売価格を評価範囲とする.

表 3.3 に環境負荷の算出に用いた CO2 排出係数を示す.基本的には,「温室効果 ガス算定・報告・公表制度」で定められたデータ(12)を用いた.配合飼料の CO2 排出係 数は,社団法人産業環境管理協会が公開しているカーボンフットプリントのデータ(13)を 用いた.

評価に用いたコストを表 3.4 に示す.エネルギー資源に関しては資源エネルギー庁 で公開されている統計情報を参考にした.電力に関しては電力会社の大口需要家へ の販売価格を参考にしている.

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表 3.3 環境性の評価指標の一覧

項 目 単 位 CO2 排出係数(kg-CO2)

電力 kWh 5.55E-01

灯油 L 2.49E-00

重油 L 2.71E-00

LPG Kg 3.00E-00

ガソリン L 2.32E-00

軽油 L 2.62E-00

配合飼料(削減分用) t 3.12E+02

下水処理 t 9.40E+02

単純焼却 t 1.35E+02

配合肥料(削減分用) t 5.89E+02

表 3.4 経済性の評価指標の一覧 項 目 単 位 コスト 円

電力 kWh 10

灯油 L 90.9

重油 L 84.5

LPG Kg 134

ガソリン L 147

軽油 L 127

乾燥飼料(販売価格) t 61300 配合肥料(販売価格) t 10000

3.3.2 評価ソフトの前提条件

評価ソフトの対象廃棄物として,事業系の食品系廃棄物を選定したため,表 3.5 と表 3.6 に示す性状をデフォルト値とした.また,これらの性状は使用者のニーズに応える ように,性状を変化した場合における環境負荷やコストの変化も対応している.そのた め,使用者は検討したい処理量に加え,性状の指定を行なう場合には性状の変更を input のシートにて変更を行う仕様とした.

表 3.5 食品系廃棄物と夾雑物の割合 項 目 割 合 %

食品系廃棄物 83

夾雑物 17

合計 100

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表 3.6 食品系廃棄物の組成 項目 割合 %

水分 71.2

可燃分 26.4

灰分 2.4

合計 100

3.4 乾燥飼料化の環境性・経済性評価 3.4.1 乾燥飼料化工場の施設概要

評価ソフトの開発において,本研究では実測値を参考に作成していることを特徴とす る.乾燥飼料 化のデータ入手にあたって調査を行った施設は宮 崎県西 都市にある,

西都リサイクル協同組合である.当施設においては焼酎粕を対象に乾燥飼料化を行 っており,図 3.4 には処理フローを示す.

図 3.4 乾燥飼料化のフロー 3.4.2 乾燥飼料化運営時における各種データの入手方法

アンケートによって得られたデータを基にインベントリデータを作成した.その際に,得 られたデータの対象廃棄物は焼酎粕であったため,含水率が高く,このままのデータ を使用すると環境負荷が高くなり,また,汎用性を持たせられなくなる.そこで,焼酎粕 の乾燥飼料化(含水率 10%)の際に使用されるエネルギー資源の熱量と水分の蒸発 分の熱量を計算した.

その結果,乾燥飼料化で用いられるエネルギー資源は水分の蒸発分に比例するこ とがわかった.よって,事業系の食品系廃棄物の含水率から乾燥飼料の含水率 10%

まで乾燥させるためのエネルギー資源の量を算出できるようにした.表 3.7 には事業 系の食品系廃棄物を乾燥飼料化する際のインベントリデータである.

表 3.7 乾燥飼料化のインベトリーデータ

項 目 単 位 数 値

処理量 t 1

消費電力量(前処理) kWh 60.8 消費電力量(乾燥工程) kWh 98.3

LPG L 0.03

乾燥飼料 t 0.38

夾雑物 t 0.16

破砕選別 乾燥工程

夾雑物 電力・LPG

乾燥飼料

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