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結 論

ドキュメント内 食品系廃棄物を対象とした (ページ 102-108)

第 6 章 結論および今後の展望

6.1 結 論

食品系廃棄物の有効利用を図ることを目的に,平成 13 年 5 月に「食品循環資源の 再生利用等の促進に関する法律」(以下,「食品リサイクル法」と呼ぶ.)が施行された.

同法は,食品系廃棄物に含まれる再生利用可能資源は食品関連事業所の責任にお いて循環利用を進めなければならないことを定めている.こうした取り組みによって,

食品系廃棄物の発生量は増加傾向にあるものの,食品産業全体の再生利用等実施 率は着実に向上し,一定の成果が得られている.

また,食品リサイクル法施行時点では,肥料,飼料,油脂・油脂製品およびメタン発 酵の 4 手法が再生利用方法として規定されていたが,再生利用を促進する上でこの 4 手法に優先順位は決められていなかった.しかし,平成 19 年 12 月に改正された「食 品循環資源の再生利用等の促進に関する法律の一部を改正する法律」(以下,「改 正食品リサイクル法」と呼ぶ)によって,成分やカロリーの有効利用および飼料自給率 にも寄与できるという観点から,飼料化が最優先に位置づけられたが,飼料化の主流 である乾燥飼料化は多大なエネルギーを消費している.現在は,補助金によって,化 石燃料が高騰するなかも乾燥飼料化による再生利用率の向上が図られているが,エ ネルギー消費量や CO2 排出量の削減が求められる情勢のなかで,食品系廃棄物の 再生利用時の環境負荷低減への取り組みは今後,重要性が増すと考える.

しかし,食品系廃棄物を対象としたリサイクル事業を継続していくのに難しさも存在 する.代表的な事例として,食品小売業の最大手であるセブンイレブンの食品系廃棄 物を対象とした飼料化において,食品系廃棄物が想定してよりも集まらず,生成され た飼料の質の悪さや,はけ口が見当たらないなどの問題が生じ,倒産に追い込まれ た.

そこで,本研究においては,食品系廃棄物を対象とした最適な処理を提案するた めに,環境面・経済面を考慮した Best Availables System(以下,BAS と呼ぶ)評価手 法の開発を行うとともに,事業体系や地域特性といったパラメーターをも考慮したソフ トの開発とその活用について講じる.

6.1.1 食品系廃棄物のリサイクルの DB の構築と事業成功要件に関する考察

食品系廃 棄物のリサイクル事業の現状把握や問題点の抽出,事業 継 続のための知見を 得るために,DB の開発と構築を行い,以下の結論を得た.

・DB のフォーマットの検討を行い,食品系廃棄物の排出事業所の情報と処理事業所 の情報,事業体型の 3 つに大きく区分し,傾向分析や現状把握が行いやすい設計 となった.

・DB の構築事例数は 110 件となっており,55 件が堆肥化,26 件が飼料化のようなリ サイクル技術の割合となった.

・DB を活用することによって,リサイクル技術に向いた性状調査把握や,各地域にお

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6-2 けるリサイクル技術の割合がわかった.

・動脈施設での対策を調査し,事業設計や事業見直しを行う上で要する食品系廃棄 物のリサイクル事業の三原則(原料の安定確保,品質の管理,マーケティング)の確 認を行った.

6.1.2 食品系廃棄物のリサイクル技術における環境性・経済性評価

食品リサイクル法において定められているリサイクル技術の環境性・経済性評価の 行える評価ソフトの開発を行い,以下の結論を得た.

・食品系廃棄物の性状が変化にも対応した環境負荷とコストの算出が可能となってお り,目的にあった評価が行えるソフトを開発した.

・エタノール化施設やメタン発酵施設に関しては単独での運営管理は環境性・経済性 ともに優れていないことがわかった.

・乾燥飼料化や堆肥化が単独設置での実施する場合には適している.

・乾燥飼料化や堆肥化に関しては,地域のニーズを把握し,適した価格設定を行わな いと事業継続が危ぶまれる可能性がある.

6.1.3 食品系廃棄物と畜産事業との連携によるビジネスエコシステムの構築と評価 ビジネスエコシステムであるキッドフィーディングシステムに関して,環境面と経済面 の両面から評価を行い,以下の結論を得た.

・酒粕処理の乾燥処理工程において膨大なエネルギーを消費しており,酒造メーカー に対しては処理費の負担が重くのしかかるという問題が発生し,ビジネスエコシステ ムの必要が要される.

・ビジネスエコシステムを構築するために,操業変更を行うポイントや新たな設備投与 が必要であることがわかった.

・経済性の観点から,ビジネスエコシステムを導入することによって各プレーヤーに優 位性が示された.

・全て乾燥飼料を用いた場合よりも経済性は劣るが,LFS は環境的・経済的に優れて いる.

6.1.4 食品系廃棄物のビジネスエコシステムに対応した設計支援ツールの開発

ビジネスエコシステムの構築に向けた事業設計支援ツールに開発とツール活用による ケーススタディの実施を行い,以下の結論を得た.

・事業性,環境性,経済性の評価が簡易的に行える事業設計支援ツールの開発を行 った.

・事業設計を行うにあたって,食品 系廃棄 物 の排出量の把握の必 要があり,各業 種 別の排出量の把握と人口ベースの排出量把握手法を確立した.

・都市部の事業系の食品系廃棄物に関して最適処理の検討を行い,雑多なごみが含 まれているためメタン発酵の有効利用を検討した.

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・メタン発酵施設は既存インフラの下水処理施設や清掃工場と併設した場合に関して 環境負荷が削減されることが示された.

6.2 今後の展望

6.2.1 食品系廃棄物の評価ソフトの高度化の検討

本研究で開発したリサイクル技術の環境性・経済性の評価ソフトに関しては,食品系 廃棄物を対象とした場合における,その他技術との比較検討が行える点が最大の特 徴である.しかし,世の中で問題されている未利用資源は食品系廃棄物のみにとどま らない.そこで,以下の 2 点が今後の向上点が考えられる.

① 適用バイオマスの拡充

食品系廃棄物のみの対象技術を剪定枝や下水汚泥などに範囲を広げるとともに,

食品系廃棄物の品質をも考慮した評価手法にする.

② 技術の拡充

現状では 4 技術を対象としているため,その他の炭化や油脂化,熱回収までも幅 を広げ,検討領域を拡充する.

6.2.2 設計支援ツールの活用による再生利用事業のアドバイザー育成

本研究では設計支援ツールの開発を行ったが,その使いやすさや効果に関しての追求はさ れておらず,その普及方法も検討されていない.

そこで,以下のユーザーを対象に設計支援ツールを活用して頂き,問題点の抽出と改善と 人材育成を行う.

① 食品リサイクル事業所

既に食品リサイクル事業を行っている方を対象に,現在のリサイクル事業の判定 を行ってもらい,事業継続や再建の検討に活用してもらう.その際に,設計支援ツ ールの問題点に関して伺い改善を検討する.

② プラントメーカー

事業設計を行う際に,プラントメーカーが事業設計の着手の手がかりがわからず,

技術を持て余している場合がある.そこで,原料の安定確保に役立てたり,既存イ ンフラとの連携を検討して頂く.その知見を活かして,食品リサイクルの事業検討 する人材育成を行う.

③ 食品系廃棄物の排出事業所

食品系廃棄物の排出事業所の見学を行った際に,どのリサイクル技術を活用した ら環 境 に本 当 に良いのか分からないという意 見を多 く頂いた.そこで,このような 方々に対して,知識の構築を行うとともに,新たな項目の必要性の確認を行う.

また,ビジネスエコシステムを実現するためには,イノベーションを誘発する人 材育 成が必 要です.現在,本 研究で得られた成果と私自 身 の経験に基づいた人材 育成プログラムの実 践を構想する.

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地域におけるビジネスエコシステムの構成員になりうる産学官民の各プレイヤーを対象とし,

図 6.1 に示すカリキュラムを実践的に展開していく計画です.基礎編では,社会起業家として の基礎的な知識を習得し,スキルアップ編において,ビジネスエコシステムを創造するための 実践 的なスキルを習得 する.具 体的には,本 研 究で示した三原 則や設 計支 援ツールによる 演習に加え,地 域ニーズを把握するためのマーケティングや実践の場 づくりを行う産学 官連 携コンソーシアムの組成や,その事業化に向けたプロセス設計までをプログラムとして提供し ます.さらに,専門編では、地域ニーズに応じた専門分野に関する知識・ノウハウを習得する.

本研究で題材にした食品系廃棄物はもちろんのこと,近年,注目を集めているスマートコミュ ニティや再生可能エネルギー,次世代モビリティシステムに関するニーズも大きくなっていくと 思われる.

こうしたプログラムを明年度以降に本庄や熊本等で試験的に展開し,これらをパッケージ化 することで,全国に展開していきたいと考えられる.

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