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食品系廃棄物のビジネスエコシステムに対応した設計支援ツール の開発

ドキュメント内 食品系廃棄物を対象とした (ページ 73-102)

5.1 目的

食品系廃棄物は人が生活する際に必ず生じる未利用資源ではあるが,その有効 利用システムとなると事業設計のプロセスや考慮すべき要因の把握,それをコーディ ネートできる能力を持ち合わせた人材が非常に少ないのが現状である.

そこで,本研究においては,リサイクル事業への取組みを検討されている事業所や 事業再建を検討している事業所を対象に,地域特性を活用したいくつかの事業モデ ルの提案と,それぞれに対する事業性,環境性,経済性の評価が簡易的に行える事 業設計支援ツールの開発を行った.

事業性評価に関しては,第 2 章であげた食品系廃棄物のリサイクル事業における三 原則を基に,チェックリストの作成を行 うとともに,食品 系廃 棄物 のリサイクル事業を 検討する上で,最も重要な要因は原料の確保であることも前述に示したため,対象と なる食品系廃棄物やエリアでの排出量の推定は不可欠である.設計支援ツールにお いては,各 業 種の食 品系 廃 棄 物の排 出 原 単位の活 用による推 定や,人 口にからの 推定方法などの把握方法を確立する必要性が生じる.事業モデルの提案に関しては,

それぞれの地域によってニーズのあるリサイクル製品や,既存のインフラ,立地状況,

対象とする食品系廃棄物などによって適したリサイクル技術は異なる.そこで,地域特 性を活用したシナリオ評価を行い,それぞれに対して,環境負荷の算出やコストの算 出が行えるように包括的なソフトの開発を目指す.

そして,開発されて設計支援ツールを用いて,実際にビジネスエコシステムを展開し ていくための手法を開示し,今後の食品系廃棄物を対象とした資源循環型社会に貢 献することを目的とする.

5.2 食品系廃棄物のビジネスエコシステムに対応した設計支援ツールのニーズの 整理

5.2.1 食品事業所の排出実態に関するアンケート調査 (1) アンケート対象企業と回収状況

調査対象として,さいたま市を選定したのは,後述するようにビジネスエコシステム として食品系廃棄物の受入の可能性があると考えられる消化槽を有する下水処理施 設が立地していることによる.アンケート調査対象とした企業と調査における対応に関 して表 5-1 に示す.さいたま市内に立地する食品小売業,外食産業の調査対象を選 定した.後述のアンケート調査結果に関しては,各種データの記載状況において全て 記載している企業と一部記載があった企業を対象とした.

① 電話でのアンケートの依頼(○:依頼受理, ×:依頼拒否)

② アンケート回収の有無 (○:回答あり, ×:回答なし)

③ 各種データの記載状況 (○:全て記載, △:一部記載 ×:記載なし)

5章 食品系廃棄物のビジネスエコシステムに対応した設計支援ツールの開発

5-2

表 5-1 食品廃棄物等の発生状況に関するアンケート調査の対象と各社の対応状

(2) アンケート調査結果

アンケートの調査内容は表 5.2 の通りである.

表5.2 アンケート調査内容 Q1 食品リサイクル法の対象企業ですか?

Q2 食品廃棄物を下水処理施設やし尿処理施設への投入実績はありますか?

Q3 食品廃棄物の発生量に関しては月毎に把握していますか?

Q4 食品廃棄物の発生量はどのくらいですか?(t/年)

Q5 食品廃棄物の再生利用率は何%ですか?

Q6 食品リサイクルにかかるコストはいくらですか?(円/kg)

Q7 食品廃棄物もしくは食品廃棄物を含む可燃ごみの処理コストはいくらですか?(リ

サイクル以外)(円/kg)

Q8 貴事業所における食品廃棄物の処理状況として最も当てはまるものを選択してく

ださい.

Q9 貴事業所での食品廃棄物の処理にあてはまるものを選択してください.

5章 食品系廃棄物のビジネスエコシステムに対応した設計支援ツールの開発

5-3 (a) 食品リサイクル法の対象企業

食品リサイクル法の対象企業であるかについての回答結果を図 5.1 に示す.

約 67%の回答企業が「Yes」と回答しており,食品リサイクル法を行わなければ ならない食品事業所が多いということがわかる.なお,以下,得られた有効回答数 を N として図中に表記する.

図 5.1 食品リサイクル法の対象企業の割合(N=12)

(b) 食品系廃棄物を下水処理施設やし尿処理施設への投入実績

食品系 廃棄 物を下水 処理施 設やし尿処 理 施設への投入実 績があるかについ ての回答結果を図 5.2 に示す.約 90 の回答企業が「No」と回答しており,このよう な既存の施設を活用する企業は少ないことがわかった.

図 5.2 下水処理施設やし尿処理施設への投入実績(N=12)

(c) 食品系廃棄物の発生量に関しては月毎に把握

食品系廃棄物の発生量に関しては月毎に把握しているかについての回答結果 を図 5.3 に示す.約 75%の回答企業が「Yes」と回答しており,食品リサイクル法の 対象企業となっている企業は把握していることがわかった.

5章 食品系廃棄物のビジネスエコシステムに対応した設計支援ツールの開発

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図 5.3 食品系廃棄物の発生量の把握(N=12)

(d) 食品系廃棄物の発生量

食品系廃棄物の発生量に関する回答結果を図 5.4 に示す.年間の発生量を把 握している企業は 30 社の内,8 社という結果が得られた.PARCO や三越伊勢丹 のような大型 店 舗に関しては食 品系 廃 棄 物の排 出 量も非 常に多い傾 向にある . 一般飲食店に関してはガストのみとなっており,店舗ごとに把握している企業は少 ないことがわかった.

図 5.4 食品系廃棄物の発生量

(e) 食品系廃棄物の再生利用率

食品系廃棄物の再生利用率に関する回答結果を図 5.5 に示す.

再生利用率に関しては業種によって傾向があるとは言い難く,企業ごとの環境意 識の差によってリサイクルの実施度が異なっていると思われる.

5章 食品系廃棄物のビジネスエコシステムに対応した設計支援ツールの開発

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図 5.5 食品系廃棄物の再生利用率 (f) 食品リサイクルにかかるコスト

食品リサイクルにかかるコストに関する回答結果を図 5.6 に示す.

企業によって異なるが,浦和 PARCO を例にすると 25 円/kg が処理費となってお り,8 円/kg が運搬費となっている.また,それぞれのリサイクル方法としては以下 のようになっている.

・浦和 PARCO…堆肥化

・イトーヨーカドー浦和店…飼料化と堆肥化

・居酒屋「和民」大宮東口駅前店…堆肥化

図 5.6 食品リサイクルにかかるコスト (g) 食品系廃棄物もしくは食品系廃棄物を含む可燃ごみの処理コスト

食品系廃棄物もしくは食品系廃棄物を含む可燃ごみの処理コスト

食品系廃 棄物もしくは食品系廃 棄物を含む可燃ごみの処理コストに関して ,さ いたま市においては可燃物の処理費が 17 円/kg となっているため,大半の企業が

5章 食品系廃棄物のビジネスエコシステムに対応した設計支援ツールの開発

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17 円/kg との回答が得られた.また,浦和 PARCO は運搬費込みで 25 円/kg とな っている.この処理費は食品リサイクルにかかるコストに比べて安くなっているので,

この状況ではリサイクルが促進されにくいと考えられる.

(h) 食品系廃棄物の分別状況

食品系廃棄物の分別状況に関する回答結果を図 5.7 に示す.

食品系廃棄物の分別状況は約 64%の企業で分別して排出していることがわか った.また,食品系廃棄物を分別しているにも関わらず,焼却処理を行っている企 業が 2 社あることもわかった.

図 5.7 食品系廃棄物の分別状況(N=12)

(i) 食品系廃棄物の処理方法

食品系廃棄物の処理方法に関する回答結果を図 5.8 に示す.

食品リサイクルとして多く利用されているのが,堆肥化であることがわかった.しか し,食品系廃棄物の焼却処理も一定の割合を占めていることがわかる.このように 焼却処理されている食品系廃棄物の有効利用に関して検討を進めていく必要が ある.

図 5.8 食品系廃棄物の処理方法

7社 2

2

1社

食品廃棄物を分別・リサイクルしており、夾雑物は含まれていない。

食品廃棄物を分別・リサイクルしているが、夾雑物が一定の割合で含まれている。

食品廃棄物の分別・リサイクルは実施おらず可燃ごみ等とともに処理している。

記載なし

5章 食品系廃棄物のビジネスエコシステムに対応した設計支援ツールの開発

5-7 (j) アンケート結果のまとめ

以上のアンケート結果より,関する食品系廃棄物の排出量とその再生利用量 , 焼却処理量を図 5.9 に示す.また,それぞれの詳細データを表 5.2 に示す.

図 5.9 食品系廃棄物の処理量の内訳 表 5.3 アンケート協力企業の詳細データ

分類 企業名

食品リサイ クル法の対 象企業

排出 量 t/Y

再生利 用量 t /Y

焼却 量 t/Y

従業員 数 人

食品 小売

浦和 PARCO ○ 267.3 267.3 0 1000

浦和コルソ × ― ― ― 200

三越伊勢丹浦和店 ○ 448 367.36 80.64 750

アピタ岩槻店 ○ 99 34.65 64.35 120

イトーヨーカドー浦和店 ○ 80 60 20 200

ビッグエー宮原店 ○ 130 0 130 12.5

外食 産業

東横インさいたま新都

心 × ― ― ― ―

スーパーホテルさいた

ま・大宮 × ― ― ― 5

パレスホテル大宮 × 90 54 36 120

浦和ロイヤルパインズ

ホテル ○ 170 0 170 200

ガスト大宮大成店 ○ 14 0.266 13.734 20

居食屋「和民」大宮東

口駅前店 ○ ― ― ― ―

54 60 35

367 267.3

14 170 36 130

20 64

80

0 100 200 300 400 500

居食屋「和民」大宮東口駅前店 ガスト大宮大成店 浦和ロイヤルパインズホテル

パレスホテル大宮 スーパーホテルさいたま・大宮 東横インさいたま新都心 ビッグエー宮原店 イトーヨーカドー浦和店 アピタ岩槻店 三越伊勢丹浦和店 浦和コルソ 浦和PARCO

食品系廃棄物の排出量 t/Y

再生利用量 焼却量

データなし

データなし データなし

データなし

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