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日本内科学会雑誌第107巻第1号

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Academic year: 2021

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はじめに

 C型肝炎に対する抗ウイルス治療は,これま で主体であったインターフェロン(interferon: IFN)治療に代わり,直接,C型肝炎ウイルス (hepatitis C virus:HCV)を標的とする,直接作 用型抗ウイルス薬(direct-acting antiviral:DAA) による治療が主流となっている.現在,薬剤の 標的となっているのは,非構造(Non-nonstruc-tural:NS)蛋白のHCV NS3/4 プロテアーゼ, NS5A蛋白,NS5Bポリメラーゼであり,それぞ れに対する,HCV NS3/4 プロテアーゼ阻害薬, NS5A阻害薬,NS5Bポリメラーゼ阻害薬が使用 可能である(図).1989 年のHCV発見以来,長 きにわたり,IFN単独,ないしIFNにリバビリン (ribavirin:RBV)やDAAを併用する治療法が行 われてきたが,ウイルス排除(sustained virolog-ical response:SVR)率は必ずしも高くなく,長 期にわたる治療期間を要し,多くの副作用が存 在した.しかし,2014年7月に,わが国で最初 にIFNを使用せずDAAのみで治療する,いわゆる 「IFNフリー」治療が開始された.

1.C型肝炎に対する治療の現状

 IFNフ リ ー 治 療 と し て 最 初 に 承 認 さ れ た の は,プロテアーゼ阻害薬のアスナプレビル(asu-naprevir:ASV)とNS5A阻害薬のダクラタスビ ル(daclatasvir:DCV)の併用療法である.この 治療はゲノタイプ(genotype)1 型のHCVを対 象とし,IFN無効例やIFN治療不適格・不耐容例 に対し最初に認可され,後に初回治療例にも適

C型肝炎治療の現状と

今後の展開,残された課題

要 旨 坂本 穣1) 榎本 信幸2)  C型肝炎に対する抗ウイルス治療は,直接,C型肝炎ウイルス(hepatitis C virus:HCV)を標的とする,直接作用型抗ウイルス薬(direct-acting antiviral:DAA)による治療が主流となっている.現在,HCVのプロテ アーゼ,NS5A蛋白,NS5Bポリメラーゼを標的にした 3 種類の薬剤が開 発され,短期間での安全なウイルス排除が可能となった.しかし,薬剤耐 性変異ウイルスの存在や,現在,非代償性肝硬変例や肝癌症例には不適応 である等の問題点も残っており,今後の展開が期待される. 〔日内会誌 107:38~43,2018〕 Key words DAA,薬剤耐性変異(RASs),HCV eradication

1)山梨大学附属病院肝疾患センター,2)山梨大学大学院総合研究部・医学部内科学講座第1教室

Basics and Clinics on Viral Hepatitis in the era of Viral Elimination. Topics:V. Current status and future of hepatitis C treatment, remaining problems.

Minoru Sakamoto1) and Nobuyuki Enomoto2)1)Center for Liver Disease, University of Yamanashi, Japan and 2)First Department of Internal Med-icine, University of Yamanashi, Graduate School of MedMed-icine, Japan.

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応拡大された.その後,2015年6月には,核酸 型のNS5Bポリメラーゼ阻害薬のソホスブビル (sofosbuvir:SOF)にNS5A阻害薬のレジパスビ ル(ledipasvir:LDV)を加えた合剤ハーボニーⓇ 9月には,NS5A阻害薬のオムビタスビル(ombi-tasvir:OBV)にプロテアーゼ阻害薬のパリタプ レビル(paritaprevir:PTV)とリトナビル(ritona-vir:r)を加えて合剤としたヴィキラックスⓇ 合錠,2016 年には,NS5A阻害薬のエルバスビ ル(elbasvir:EBV)とプロテアーゼ阻害薬のグ ラゾプレビル(grazoprevir:GZR)による治療, 2017年2月には,ASV,DCVに非核酸型のNS5B ポリメラーゼ阻害薬のベクラブビル(beclabu-vir:BCV)を加えたジメンシーⓇ配合錠が保険 適用された.一方,ゲノタイプ2型に対しては, 2015 年 3 月にSOFにRBVを併用する治療法が認 可され,2016 年 3 月には,ゲノタイプ 1 または ゲノタイプ 2 のいずれにも該当しない場合にも 使用可能となった.また,2016年9月にはヴィ キラックスⓇ配合錠もゲノタイプ 2 型に対して 適応追加された.  さらに,2017年9月には,HCVゲノタイプ1~ 6全ての遺伝子型を対象とする「パンジェノ」型 プロテアーゼ阻害薬グレカプレビル(glecapre-vir:GLE)とNS5A阻害薬のピブレンタスビル (pibrentasvir:PIB)の合剤であるマヴィレットⓇ 配合錠が認可された. 1)ゲノタイプ1 (1)ASV+DCV併用療法  この治療法は,ASV(100 mg)を 1 日 2 回, DCV(60 mg)を 1 日 1 回,24 週内服するもの で,IFNのような副作用もなく,慢性肝炎及び代 償性肝硬変を対象とした国内開発試験で 85% もの高いSVR率を達成した.しかし,この薬剤 は,発熱やtransaminase上昇等の副作用が若干 みられるほか,HCVの「自然獲得」薬剤耐性変 異(resistance-associated substitutions:RASs) 図 C 型肝炎ウイルスと直接作用型抗ウイルス薬(DAA) E2 E1 C NS2 NS4A NS4B NS5A NS5B IRES コア エンベロープ プロテアーゼ ポリメラーゼ 5‘非翻訳 領域 3‘非翻訳領域 構造蛋白 非構造蛋白 シグナルペプチド ペプチダーゼ シグナル ペプチダーゼ NS2-3 プロテアーゼ NS3-4 プロテアーゼ NS5 RNA依存性 RNAポリメラーゼ NS5A NS3/4プロテアーゼ阻害薬 第1世代 テラプレビル(TVR) 第2世代 シメプレビル(SMV) バニプレビル(VAN) アスナプレビル(ASV) パリタプレビル(PTV) グラゾプレビル(GZV) グレカプレビル(GLE) NS5A阻害薬 第1世代 ダクラタスビル(DCV) レジパスビル(LDV) オムビタスビル(OBV) 第2世代 エルバスビル(EBV) ピブレンタスビル(PIB) NS5ポリメラーゼ阻害薬 核酸型 ソホスブビル(SOF) 非核酸型 ベクラブビル(BCV) IFN併用 (U)n NS3

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が問題となった.すなわち,HCVは1本鎖のRNA (ribonucleic acid)ウイルスであり,ウイルスゲ ノムの修復機構を持たないため,複製・増殖の 過程で高率にアミノ酸変異が出現し,ウイルス ゲノムが変化する.薬剤の暴露があると,薬剤 存在下でも増殖可能なウイルスが選択もしくは 誘導されて容易に薬剤耐性を獲得するが,薬剤 の暴露がなくとも,もともと薬剤に結合能が弱 い等の理由による,「自然獲得」耐性変異が一定 の頻度で存在する.特に,NS5A領域に存在する NS5A-L31M/VやY93H変異が存在すると治療効 果が劣ることが明らかになっており,特にY93H 変異は,日本人では14%ほど存在し,これらで はSVR 12(治療後12週間後のSVR率)は43.3% に低下し,耐性がない症例の91.3%に比して大 きく減弱することが明らかになっている1).そ こで,この治療前には,この薬剤RASsを測定 し,変異がないことを確認して用いることが推 奨され,変異がある場合は治療適応については 慎重に考慮することが求められた. (2)SOF/LDV(ハーボニーⓇ  SOFは核酸型のNS5Bポリメラーゼ阻害薬で, HCV RNA伸長の際にヌクレオチドの代わりに 基質として活性部位に取り込まれ,RNA鎖の伸 長を停止させる「チェーンターミネーター」と して働き,ウイルスの増殖を阻止する.このた め,ウイルス蛋白の構造によらず,耐性変異が 生じにくい.in vitroでは,NS5B S282 変異が知 られているが,自然耐性獲得変異はほとんどみ られない.一方,NS5A阻害薬のLDVは,NS5A Y93H変異にも有効とされるが,市販後の実臨床 では治療不成功例も散見され,Y93Hを含む薬剤 耐 性 ウ イ ル ス が 若 干 治 療 中 に 増 殖 し や す い (breakthroughしやすい)ことが指摘されてい る.SOF/LDVの合剤(ハーボニーⓇ)治療につ いては,1 日 1 回 1 錠,12 週間の治療で,国内 第III相開発試験では,治療歴,代償性肝硬変の 有無,年齢および投与前のNS5A耐性変異の有無 にかかわらず,SVR 12 は 100%であった2).た だし,配合されているSOFのために,腎機能低 下例(eGFR<30 ml/分/1.73 m2)や,催不整脈 作用には注意が必要である. (3)OBT/PTV/r(ヴィキラックスⓇ配合錠)  ヴィキラックスⓇ配合錠は,1 日 2 錠 12 週間 服 用 す る.NS5A阻 害 薬 のOBTはDCVに 比 較 し て,自然獲得薬剤耐性の影響は受けにくいとさ れ, 国 内 開 発 試 験 のSVR 12 はY93Hに 耐 性 が あっても83.0%,耐性変異がなければ99.0%の SVR 12を達成し,慢性肝炎全体では96.0%,代 償性肝硬変では 90.5%のSVR 12 であった3).し かし,PTVの血中濃度を高めるために配合され ているリトナビル(r)のため,併用禁忌薬剤が 他の薬剤に比較して多い.特にCa拮抗薬との併 用が禁忌もしくは注意となっている.また,こ の薬剤は腎代謝であるため,理論的には腎機能 異常例にも用いることができるが,腎不全が進 行した症例も報告されている. (4)EBR+GZR併用療法  NS5A阻害薬のEBR(エレルサⓇ)50 mgを1日 1回,とプロテアーゼ阻害薬のGZR(グラジナⓇ 50 mg錠を1回2錠,1日1回,12週間内服する 治療である.海外では合剤(ZepatierⓇ)として 発売されたが,わが国では単剤で発売された. 国 内 開 発 試 験 のSVR 12 は, 慢 性 肝 炎 例 で 96.5%,非代償性肝硬変例で 97.1%であった. RASsのある症例でもSVR 12 は 93.1%と報告さ れており,RASsに対しても有効性が高まってい る.また,重度腎機能障害合併患者を対象とし た海外第II/III相臨床試験(C-SURFER)でのSVR 12は99.1%と報告されており4),CKD 4~5,血 液透析例でも使用可能と考えられる. (5)BCV/DCV/ASV(ジメンシーⓇ配合錠)  ジメンシーⓇ配合錠 1 錠中には,DCV 15 mg, ASV 100 mg,BCV 37.5 mgが含まれ,1 回 2 錠, 1 日 2 回食後に 12 週間内服する.年齢,性別, 肝線維化の程度,前治療歴,代償性肝硬変の有 無,IL28B遺伝子型等の背景因子,NS5A領域の L31 またはY93 のRASsの有無にかかわらず,良

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好な抗ウイルス効果が示され,国内開発試験で は,ゲノタイプ 1bで未治療のC型慢性肝炎患者 におけるSVR 12は95.9%と報告されている.こ れはASV+DCV療法におけるRASsの問題点の解 決を図ったものであるが,治療効果との関連を 示したエビデンスはない.またALT増加や高血 症等の肝機能障害等の副作用が多く,投与中は 毎週,肝機能検査を行うことが求められている. (6)GLE/PIB(マヴィレットⓇ配合錠)  マ ヴ ィ レ ッ トⓇ配 合 錠 は,1 錠 中 にGLP 100 mg,PIB 40 mgを含み,1 回 3 錠,1 日 1 回 食後に投与する.この薬剤はゲノタイプ1~6型 に有効性を示し,パンジェノタイプの薬剤であ る.治療期間は,慢性肝炎ではゲノタイプ 1 型 または 2 型では 8 週間,いずれにも該当しない 場合は12週間である.また,代償性肝硬変では 12 週間が治療期間である.国内開発試験のSVR 12 は,慢性肝炎 8 週間治療で,ジェノタイプ 1 で99.1%,ジェノタイプ2で97.8%であり,DAA 未治療の代償性肝硬変の 12 週治療のSVR 12 は 100%であった.また,DAA既治療例でも93.9% のSVR 12を示し,RASsのある症例の有効性が示 されているほか,添付文書に「前治療歴に応じ て投与期間は12週間とすることができる」と記 載されているため,主治医の判断で,慢性肝炎 でも治療期間を 12 週とすることも可能である. さらに,Child-Pugh分類Cの肝機能障害のある患 者には禁忌とされるが,代償性肝硬変であれば Child-Pugh分類A~Bの症例で用いることが可能 である.また,薬剤相互作用も少なく,腎障害 例を含めて比較的安全に使用可能であるほか, 副作用も少なく,今後の第一選択薬となること が期待されている. 2)ゲノタイプ2 (1)SOF+RBV併用療法  ジェノタイプ2型のHCVに対して,SOFはソバ ルディⓇとしてRBVと併用して用いられる.SOF は1日1回400 mg,RBVは体重に応じ,600 mg~ 1,000 mgを 1 日 2 回に分服する.国内開発試験 のSVR 12 は 97%と良好であったが5),RBVに貧 血や腎障害の副作用があることから注意が必要 である. (2) OBT/PTV/r(ヴィキラックスⓇ配合錠)+RBV 併用療法  OBT/PTV/rは,ゲノタイプ 2 型にも用いられ るが,この場合もRBVの併用が必要である.国 内開発試験では,未治療の非肝硬変例で12週間 治療のSVR 12 は 75.0%であったのに対し,16 週間治療では91.5%であったため,治療期間は 16週間となった.しかし,詳細にゲノタイプを 検討すると,2a型は93.9%,2b型は70.0%であ り,2a型に限定して用いることが望まれる. (3)GLE/PIB(マヴィレットⓇ配合錠)  前述のように,GLE/PIBはパンジェノタイプ に有効な薬剤であるため,ゲノタイプ 2 型にも 用いられ,国内開発試験のSVR 12 は 97.8%で あった.

2. DAA治療の今後と治療困難例への対応

―残された課題

 DAAの国内上市わずか 3 年余りで,種々の薬 剤が使用可能となり,当初懸念された問題点も 解決されつつある.しかし,依然として,我が 国では治療困難例も存在している.特に問題な のは薬剤RASsであり,自然獲得RASsに対しては 強力な薬剤により克服されつつあるが,DAA既 治療例でのRASsに対しては未だ問題が残って いる. 1)DAAに対するRASsへの対応  DAAに対する自然獲得RASsは,薬剤の治療効 果を弱めるだけでなく,SVRが達成できなかっ た場合に薬剤暴露による新たな耐性を出現させ てしまうという問題点がある.現在用いられて いるDAA治療法の多くは 95%以上のSVRを達成 す る が, 初 期 に 用 い たASV+DCVのSVR 12 は

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85%程度であり,自然耐性Y93H変異では 40% でウイルス排除が可能であったに過ぎない.こ のような症例では,Y93Hに加え,プロテアーゼ 阻害薬にも耐性を生じるほか,NS5Aにも新たな RASsを生じる可能性が高い.特にIFN+RBV+プ ロテアーゼ阻害薬のシメプレビル(simeprevir: SMV) で のASV+DCV治 療 不 成 功 例 にNS5A-A92KやP32 delの変異は,NS5A阻害薬に対して 極めて高い耐性能を有することが報告されてい る6).DAA既治療例に対する対策は,RASsを詳 細に検討し,以前使用しなかったクラスの薬剤 を選択することや,遺伝子障壁の高い薬剤を使 うことは望ましい.我が国では,ASV+DCV治 療の不成功例が少なからず存在し,これにSOF/ LDVを使用した成績は71%のSVR 12であった7) が,GLE/PIBでは93.9%(30/33)であり,この 薬剤に対する期待が高まっている.しかし,GIB/ PIBでの治療不成功例では,P32L/P32del,L31F/ P32delが治療前に検出されており,このような 症例では,やはり治療困難な可能性が高い.ま た,海外では,OBT/PTVに非核酸型のNS5Bポリ メラーゼ阻害薬のDasabuvirを加えた治療法, SOF/VELにプロテアーゼ阻害薬のベルパタスビ ル(velpatasvir:VEL) を併用した治療法や, GZRに 新 規NS5A阻 害 薬 のruzasvirと 非 核 酸 型 NS5B阻害薬のuprifosbuvirを加えた治療法が開 発中であるが,これら薬剤は,DAA不成功例に 有効であることが示されているが,ASV+DCV 治療不成功例や上記の高度耐性変異に対して有 効かどうかは不明である.従って,現在は治療 開始前にRASsを測定し,治療適応について慎重 に検討することが必要である. 2)非代償性肝硬変に対する対応  現在,我が国では,DAA治療の抵抗は慢性肝 炎および代償性肝硬変に限られている.これ は,我が国では,非代償性肝硬変やChild-Pugh 分類BやC症例に対する安全性が確認されてい ないためであるが,海外では非代償性肝硬変対 するDAAの有効性が報告されている8).特に第2 世代のNS5A阻害薬であるVELをSOFと併用した ASTRAL-4試験では,SOF/VEL 12週で83%,24 週 で 86%,SOF/VEL+RBV 12 週 で 94% のSVR 12 と報告されており,ゲノタイプ 1 に限ると, それぞれ 88%,92%,96%と極めて高い効果 が指摘されている9).このため,我が国でも現 在開発試験が進行中である. 3)腎機能異常例・血液透析例への対応  慢性腎臓病患者のHCV感染率は一般より高 く,約10%と報告されており,HCV感染が腎障 害の進展にも影響する可能性が指摘されてい る.また,腎移植時にはHCV感染がないことが 好ましいことや,血液透析例では感染管理の観 点からもHCV排除が好ましいと考えられる.そ こで,DAAを有効に使うことが必要である.現 在用いられる薬剤のうち,SOFは腎排泄のため, 使用が困難であるが,ASV+DCV,OBT/PTV/r, EBR+GZR療法では,いずれの薬剤も肝排泄であ るため,使用が制限されない.特に我が国では, ASV+DCVで 95.5~100%のSVR 12 が得られた ことが報告されている10).また,GLE/PIBも国 内開発試験に血液透析例も含まれており,安全 に使用できることが示されている. 4)HBV共感染例への対応  B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus:HBV)共 感染例では,HCV単独感染例よりも線維化進展 が速いことが指摘され,積極的な治療が望まし い.しかし,我が国ではHBs抗原陽性例にASV+ DCV治療を行ったところ,HCV RNAが低下する 一方で,HBVが再活性化した症例が報告されて おり,死亡例も報告された.このため,各種DAA 製剤の添付文書にはHBV再活性化に対する注意 喚起が追記された.従って,DAA治療時にはHBV の共感染の有無を確認し,HBV関連マーカーを 注意深く観察し,HBV DNA量の増加があった場 合には,HBVに対する核酸アナログ製剤を投与

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する等の対策が必要である.

3. C型肝炎撲滅への道標

―HCV eliminationからeradicationへ

 C型肝炎の治療の目標は,ウイルス排除とこ れに伴う肝線維化進展抑制,肝発癌予防であ る.このために,DAAを有効に用いることが重 要で,わが国ではその目標に近づきつつある. しかし,現行の治療法の恩恵を享受できない症 例も多く存在する.特に肝線維化の進行した非 代償性肝硬変や発癌例等である.今後はこのよ うな症例に対し,安全かつ有効な治療法の開発 は喫緊の課題である.また,DAA治療不成功例 にみられる複雑な高度耐性変異は多剤耐性とな り,このようなRASsに対する有効な治療法や DAAの開発も重要である.そして,何よりもDAA によるウイルスの排除は「HCV感染症」の治療 に過ぎず,C型肝炎という疾患が撲滅されたわ けではない.また,今後,ウイルス排除後にも 肝発癌する症例が増加することが予測される が,これらも含めた対策や管理が重要である. 著者のCOI(conflicts of interest)開示:坂本 穣;研究 費・助成金(アッヴィ,イーピーエス,MSD,塩野義製 薬),榎本信幸;講演料(アッヴィ,MSD,ギリアド・ サイエンシズ,ブリストル・マイヤーズ スクイブ),寄 附金(アステラス製薬,エーザイ,MSD,大塚製薬,ギ リアド・サイエンシズ,大正富山医薬品,ブリストル・ マイヤーズ スクイブ) 文 献

1) Kumada H, et al : Daclatasvir plus asunaprevir for chronic HCV genotype 1b infection. Hepatology 59 : 2083― 2091, 2014.

2) Mizokami M, et al : Ledipasvir and sofosbuvir fixed-dose combination with and without ribavirin for 12 weeks in treatment-naive and previously treated Japanese patients with genotype 1 hepatitis C : an open-label, ran-domised, phase 3 trial. Lancet Infect Dis 15 : 645―653, 2015.

3) Kumada H, et al : Randomized phase 3 trial of ombitasvir/paritaprevir/ritonavir for hepatitis C virus genotype 1b-infected Japanese patients with or without cirrhosis. Hepatology 62 : 1037―1046, 2015.

4) Roth D, et al : Grazoprevir plus elbasvir in treatment-naive and treatment-experienced patients with hepatitis C virus genotype 1 infection and stage 4―5 chronic kidney disease(the C-SURFER study):a combination phase 3 study. Lancet 386 : 1537―1545, 2015.

5) Omata M, et al : Sofosbuvir plus ribavirin in Japanese patients with chronic genotype 2 HCV infection : an open-label, phase 3 trial. J Viral Hepat 21 : 762―768, 2014.

6) Uchida Y, et al : Development of rare resistance-associated variants that are extremely tolerant against NS5A inhibitors during daclatasvir/asunaprevir therapy by a two-hit mechanism. Hepatol res 46 : 1234―1246, 2016. 7) Akuta N, et al : Retreatment efficacy and predictors of ledipasvir plus sofosbuvir to HCV genotype 1 in Japan. J

Med Virol 89 : 284―290, 2017.

8) Aqel BA, et al : Multicenter experience using simeprevir and sofosbuvir with or without ribavirin to treat hepati-tis C genotype 1 in patients with cirrhosis. Hepatology 62 : 1004―1012, 2015

9) Curry MP, et al : Sofosbuvir and Velpatasvir for HCV in Patients with Decompensated Cirrhosis. N Engl J Med 373 : 2618―2628, 2015.

10) Suda G, et al : Efficacy and safety of daclatasvir and asunaprevir combination therapy in chronic hemodialysis patients with chronic hepatitis C. J Gastroenterol 51 : 733―740, 2016.

参照

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, Kanazawa University Hospital 13-1 Takara-machi, Kanazawa 920-8641, Japan *2 Clinical Trial Control Center , Kanazawa University Hospital *3 Division of Pharmacy and Health Science

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