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190 東京医科大学雑誌第 72 巻第 3 号 東医大誌 72 3 : , 2014 The Current State and the Prospects for the Future of Center for Health Surveillance and Preventive

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東医大誌 72(3): 190-200, 2014

最 終 講 義

東京医科大学病院健診予防医学センターの

現状と今後の展望

The Current State and the Prospects for

the Future of Center for Health Surveillance

and Preventive Medicine,

Tokyo Medical University Hospital

代 田 常 道

Tsunemichi SHIROTA

東京医科大学病院健診予防医学センター

Center for Health Surveillance and Preventive Medicine, Tokyo Medical University Hospital

は じ め に 私は昭和 49 年に東京医科大学を卒業後、直ちに 内科学第三講座に入局し、平成 17 年までの 31 年間 同講座に在籍したのち、平成 17 年から 9 年間は東 京医科大学病院健診予防医学センターの運営を担っ てきた。本稿では健診予防医学センターの現状、課 題と今後の展望について述べる。 1. 健診予防医学センターの歴史 健診予防医学センターは昭和 61 年 4 月に現在の 病院が竣工された際、病院内に総合健診部として開 設された。これは新病院の開院に伴い、予防医学の 一端を担う部門として新設されたものであった1) そして総合健診部の初代部長には内科学第一講座ご 出身の伊藤健次郎教授が就任された。開設された当 初の受診者数は一日 10 数名ほどであり、創設期の 部長として大変ご苦労されたと伺っている。 平成 8 年 4 年からは第二代部長として内科学第二 講座の山澤堉宏助教授(その後教授)が就任され、 同年 5 月には現在の新宿アイランドタワー 7 階に移 動して現在に至っている。 2. 健診予防医学センターの現況 健診予防医学センターでは東京医科大学職員の定 期健診および採用時健診と一般健診(人間ドック) を行っている。一般健診(人間ドック)は 30 歳以 上の東京医科大学職員とその扶養家族のうちの希望 者および一般の企業・個人(企業の健康保険組合員 および個人)を対象としている。一般健診(人間ドッ ク)の検査項目は受診者全員に実施する基本検査項 目と希望者のみが受けられるオプション検査とから なっている(表 1)。 定期検診、採用時健診および一般健診(人間ドッ ク)の年間受診者数は図 1 に示すとおりである。一 般健診(人間ドック)受診者数は 10,000 人から 11,000 人前後で推移しているが(平成 25 年度で 1 日当たり平均 45 人)、この人数は健診の契約を結ん *本論文は平成 26 年 1 月 17 日に行われた最終講義の要旨である。 (別冊請求先 : 〒 180-0013 東京都武蔵野市西久保 1-6-16)

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代田 : 東京医科大学病院健診予防医学センターの現状と今後の展望 ─191─ 2014 年 7 月 表 1 一般健診(人間ドック)の検査項目 基 本 検 査 項 目 身体検査 身長 体重 肥満度 BMI 腹囲 生理検査 血圧測定 心電図 心拍数 視力 眼圧 眼底 聴力 呼吸機能 X 線・超音波 胸部 X 線 2 方向 上部消化管 X 線  食道・胃・十二指腸 腹部超音波    対象臓器は胆のう、肝臓、総胆管、脾臓、膵臓、腎臓 尿 PH 蛋白 糖 潜血 比重 沈渣 (蛋白、潜血反応が陰性であれば省略してよい) 末梢血液 赤血球 白血球 血色素 ヘマトクリット 血小板 網赤血球 MCV MCH MCHC 血液生化学 総蛋白 蛋白分画 A/G 比 尿酸 尿素窒素 クレアチニン 総コレステロール LDL コレステロール HDL コレステロール L/H 比 中性脂肪 GOT GPT γGTP ALP LDH 総ビリルビン 血清鉄 TIBC 鉄飽和率 フェリチン P アミラーゼ CPK FT3 FT4 TSH ナトリウム カリウム クロール 血糖 インスリン HbA1c HOMA-IR 血清学 血液型(ABO)  血液型(Rh) CRP HBs 抗原 PRP 法    TPHA 便 潜血(2 回) 喀痰細胞診 診察 オ プ シ ョ ン 検 査 項 目 胸部 CT (肺がん検診および内臓脂肪量測定) 骨密度 ヘリコバクタ・ピロリ菌およびペプシノーゲン測定 婦人科検診(内診・頸部細胞診) マンモグラフィー 腫瘍マーカー 婦人科(CA125) 前立腺(PSA)

消化器(AFP, CEA, CA19-9)

BNP

腎機能精密検査 尿アルブミン、尿 α1MG C 型肝炎ウイルス抗体

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でいる企業の事情および健診予防医学センター内の さまざまな事由・状況によって左右される。面談・ 結果説明・生活指導を担当する医師の充足数や看護 師および中央検査部技師の数がその主な要因であ る。健診センター内の事由の中では面談を担当する 医師数が日々の受診者数を規定するもっとも大きな ファクターである。常勤医師の定員は元来 5 名と定 められているが、平成25年度は7名が在籍していた。 しかし 7 名でも 4 室の面談室を毎日埋めることが困 難なため、数名の兼任医師(非常勤医師)にもお願 いしているのが現状である。現在の健診予防医学セ ンターは前述したように今から 28 年前に開設され たが、その当時 1 日の受け入れ人数を 40 人に設定 して面談室の数(4 室)や検査室、ロッカールーム などが設計されており、そのまま現在に至っている。 しかしその後受診者数は順調に増加し、現在では 50 人を超えることも普通である。1 日当たりの予約 枠は現在 54 人までとしているが、毎年 9 月∼ 12 月 は満杯のために 2 ∼ 3 か月待っていただくことも稀 ではない。また、日本総合健診医学会や日本人間ドッ ク学会で推奨されている、医師の検査結果説明や指 導に掛けるべき時間は受診者ひとり当り 10 分以上 とされていること、医師 1 人が 1 日に担当する受診 者の適正な数は 10 人程度であること、更にひとり の受診者の健診所要時間は受付からすべて終了する まで半日程度が望ましいとされていることなどを考 慮すると、常勤医師の定員 5 名は現状に合わず、専 任医師の増員と面談室の増設を図らない限り、これ 以上の受診者受け入れは質の低下や医療過誤のリス クが増すことにつながりかねないと思われる。 受診者の男女比をみると、平成 24 年度では男性 5,725 人(53%)に対し、女性 5,135 人(47%)であ り、近年女性の受診者が増加している印象を受ける。 また受診者の職業別内訳は図 2 に示すとおりで、男 性では管理的業務従事者が、女性では事務従事者が 第 1 位を占めている。当健診予防医学センターは国 内の様々な職種の企業健保と健診(人間ドック)の 契約をしており、この契約に基づいた受診者が全受 診者の 70% 前後を占めることから、この内訳はそ ういった事情を反映していると思われる。 3. 一般健診(人間ドック)受診者の異常の頻度 一般健診(人間ドック)の結果の判定・事後処理 は次に示すカテゴリーに拠って行われている。 A. 正常 B. 軽度の異常があるが問題ない C. 要注意 D. 要治療 E. 治療中 F. 要再検査 G. 要精密検査 H. 要経過観察 これらのカテゴリーは表 1 に示したすべての検査 の項目ごとに、日本人間ドック学会などの判定基準 に準拠して設定されており、担当医師が診察結果や 経年変化などを踏まえたうえで、個々に判定してい 図 1 健診予防医学センターの現況-1    健診受診者数(平成 20 年∼24 年度)

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代田 : 東京医科大学病院健診予防医学センターの現状と今後の展望 ─193─ 2014 年 7 月 る。すなわち検査項目ごとに一定の判定基準はある ものの、最終的な判定は受診者個々の状況に応じて 担当医師が判断していることになる。 平成 24 年度(平成 24 年 4 月 1 日∼平成 25 年 3 月 31 日)の統計では受診者 10,860 名のうち、すべ ての検査項目に全く異常を認めなかったもの(すな わちすべての検査が A 判定)は男性 5,725 名中 5 名、 女性 5,135 名中 7 名の合計 12 名(0.11%)に過ぎな かった。全項目で異常の認められなかった者を super normal と呼ぶが、この頻度は日本人間ドック 学会が報告した全国平均で男性 6.2%、女性 8.6%、 男女合計で 7.2% であり(平成 24 年度統計2))、当 センター受診者における頻度が全国平均に比べて有 意に低いことが窺われるが、この理由は不明である。 また、1 項目でも要再検査、要精密検査または要治 療と判定されたものの合計は当センターでは男性 5,731 名中 2,175 名(38.0%)、女性 3,542 名中 1,105 名(31.2%)、男女合計で 9,273 名中 3,280 名(35.3%) であった(平成 24 年 1 月 1 日∼ 12 月 31 日の受診 者合計)。この数値に関しては平成 24 年度全国統計 の集計方法が異なるため、比較はできなかった。 各検査項目の異常の頻度は図 3∼13 に示すとおり である。以下主な検査項目ごとに全国集計との比較、 検討をしたい。 肥満の頻度(BMI)については全国統計では男性 37.5%、女性 24.6% であり、男女とも全国平均が当 センターの結果よりも高かった。これは当センター 受診者の健康に対する意識が全般に高く、生活習慣 について注意しているひとが多いことを示唆してい るかもしれない。またメタボリック症候群該当者の

図3 一般健診受診者の異常の頻度-1

30 60 男 女 男 女 男 女 男 女 男 女 男 女 男 女 25以上 18.5未満 20%以30%以10%未20%未100cm2以上 基準該当 予備郡該当 BMI 体脂肪率 CTでの内臓脂肪量 メタボリックシンドローム 29.4  12.4  2.6  16.1  57.4  21.9  1.4  15.3  3.2  0.5  19.3  3.0  18.6  3.9  % 図 3 一般健診受診者の異常の頻度-1

図2 健診予防医学センターの現況-2

職業別一般健診受診者数(平成24年度)

管理的職業 41% 事務従事者 21% 販売従事者 10% 専門技術者 10% 技能生産工 0% 運輸従事者 0% 主婦 0% 学生 0% 保安職員 0% 自由業 1% サービス業 4% 教職員 3% 引退後 5% その他 4% 記入なし 1% 職業別受診者数(男性) 管理的職業 事務従事者 販売従事者 専門技術者 技能生産工 運輸従事者 主婦 学生 保安職員 自由業 サービス業 教職員 引退後 その他 記入なし 管理的職業 8% 事務従事者 36% 販売従事者 7% 専門技術者 14% 技能生産工 0% 運輸従事者 0% 主婦 18% 学生 0% 保安職員 0% 自由業 1% サービス業 6% 教職員 2% 引退後 1% その他 5% 記入なし2% 職業別受診者数(女性) 管理的職業 事務従事者 販売従事者 専門技術者 技能生産工 運輸従事者 主婦 学生 保安職員 自由業 サービス業 教職員 引退後 その他 記入なし 図 2 健診予防医学センターの現況-2    職業別一般健診受診者数(平成 24 年度)

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0.0 0.4 0.8 1.2 男 女 男 女 男 女 22mmHg以上 要再検・精検 要精検 眼圧 眼底 聴力検査 0.2  0.2  1.0  0.5  0.2  0.1  %

図5 一般健診受診者の異常の頻度-3

4 8 12 16 20 男 女 男 女 男 女 男 女 男 女 男 女 正常心電図以外 要精検 収縮期140以上or拡 張期90以上 BNP 40以上 HsCRP 0.05以上 BNP 40以上かつHsCRP0.05以上 心電図 血圧 BNP、HsCRP 16.0  10.8  0.8  0.4  18.4  7.2  1.0  1.0  8.0  4.5  0.5  0.4  % 図 4 一般健診受診者の異常の頻度-2

図6 一般健診受診者の異常の頻度-4

2 4 6 8 男 女 男 女 男 女 男 女 男 女 要再検または要精検 22.7以上 1.2以上 0.9以上 BUN及びクレアチニン異常 陽性 尿検査 BUN クレアチニン BUN及びクレアチニン 便潜血 3.6  4.2  2.1  1.0  1.5  0.5  0.5  0.2  7.0  5.2  % 図 5 一般健診受診者の異常の頻度-3 図 6 一般健診受診者の異常の頻度-4

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代田 : 東京医科大学病院健診予防医学センターの現状と今後の展望 ─195─ 2014 年 7 月 頻度は全国集計では記載がなく、不明である。心電 図異常に関しては全国集計で「医療を要す」および 「二次精密検査を要す」と判定された頻度は男性 5.0%、女性 2.9% であり、全国平均の数値のほうが 高い。高血圧については全国集計では男性 28.9%、 女性で 17.1% の受診者が要医療または要二次精密 検査と判定されており、この項目でも全国集計のほ うが、当センターより異常者の頻度が高いことを示 している。便潜血陽性者は、全国統計は男性 7.1%、 女性 5.9% で我々の成績とほぼ同様である。脂質異 常症および糖尿病に関しては、当センターと全国集 計とでは統計の取り方に差異があり、比較はできな かった。ちなみに全国集計では、高コレステロール 血症該当者で要再検査または要医療と判定されたも のは男性 36.9%、女性 34.8%、高中性脂肪該当者は 同様に、男性 24.6%、女性 10.9% であった。また、 糖尿病ないしその疑いで要再・精密検査または要治 療と判定されたものは男性 29.2%、女性 18.6% で あ っ た。 高 尿 酸 に 関 し て は 全 国 平 均 で は 男 性 20.0%、女性 1.8% と当センターとほぼ同様であった。 肝機能異常については全国調査では腹部エコー検査 で脂肪肝と判定されたケースも含んでいるが、男性 42.5%、女性 23.5% であり、男性では同等、女性で は全国平均のほうが約 10% 高いという結果であっ た。末梢血液検査に関しては全国集計では単に「血 液疾患」該当者として扱われているために比較がで

図7 一般健診受診者の異常の頻度-5

5 10 15 20 25 30 35 40 45 男 女 男 女 男 女 男 女 男 女 男 女 HDL34未満またはL DL140以上またはT150以上 空腹時血糖110以上 HbA1c5.9以上 空腹時血糖110以上 かつHbA1c5.9以上 7.0以上 GOT>30またはGPT>30または γGTP>50 脂質 血糖 尿酸 肝機能 43.3  22.4  13.3  4.0  8.8  2.9  7.8  2.1  22.8  1.3  43.0  12.0  %

図8

一般健診受診者の異常の頻度-6

2 4 6 8 10 12 14 男 女 男 女 男 女 男 女 男 女 男 女 男 女 男 女 3000未満 8900以上 異常細胞陽性者 18.0g/dl 以上 16.0g/dl 以上 13.0g/dl 未満 12.0g/dl 未満 10万未満 40万以上 白血球 ヘモグロビン 血小板 M蛋白血症疑い 0.5  1.8  5.4  2.3  0.0  0.0  0.2  0.2  2.3  12.6  0.3  0.1  0.3  1.0  1.0  0.7  % 図 7 一般健診受診者の異常の頻度-5 図 8 一般健診受診者の異常の頻度-6

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きなかった。 胸部 X 線については全国統計では「呼吸器疾患」 というくくりでの数値であるため、我々との比較は できなかったが、要精密検査および要医療の頻度は 全国集計では男性 4.3%、女性 3.2% であった。また、 上部消化管 X 線検査については、全国集計では食 道の要精密検査および要医療は男性 2.5%、女性 1.4%、胃では男性 6.1%、女性 4.5%、十二指腸では 男性 1.7%、女性 0.9% であった。これらの結果から 食道、胃、十二指腸のいずれでも全国平均のほうが 高いことがわかる。画像の読影・判定については判 定医の質や考え方も関係しており、単純に比較する ことは危険であるが、要精密検査と判定される割合 があまりに高率な場合は判定医の質を問われること になりかねない。今回の検討では当センターではそ のようなことはなかったが、今後も読影医と連携し ながら注意深い観察を行っていく必要がある。胸部 X 線や上部消化管 X 線検査で大切なことは健診担 当医が何らかの疾患を疑ったとき、その読影が正し かったか否かを知ることである。当センターでは担 当医が画像検査において再検査・精密検査を必要と する異常を認めたときは必ず、画像のコピーまたは 2 4 6 男 女 男 女 男 女 男 女 男 女 男 女 40未満 6未満 54以上 1.71以上 0.90未満 3.6未満 5.3以上 フェリチン Pアミラーゼ FT4 カリウム 1.7  5.0  4.9  4.5  1.9  0.9  0.3  1.3  1.5  1.8  0.3  0.2  % 図 9 一般健診受診者の異常の頻度-7

図10 一般健診受診者の異常の頻度-8

0.0 0.5 1.0 1.5 男 女 男 女 男 女 HBs陽性 HCV陽性 TPHAまたはRPR陽性 HBs HCV 梅毒陽性者 1.1  0.6  0.05  0.10  0.6  0.2  % 図 10 一般健診受診者の異常の頻度-8

(8)

代田 : 東京医科大学病院健診予防医学センターの現状と今後の展望 ─197─ 2014 年 7 月 画像を取り込んだ CD-R を添付した紹介状を発行し ているが、受診者が再受診する医療機関は東京医大 病院とは限らないために、返事を頂けないことがあ ること、また東京医大を受診された場合でも、最終 診断を記載した返事が戻ってこないことも稀ではな いために、年間にがんをどのくらい発見しているの か分らないことは非常に残念なことである。また返 事が戻ってこないケースは受診者が再検査・精密検 査を受けていないこともあり、そのような場合その 受診者が翌年も当センターで健診を受ければ経過を 知ることができるが、そうでない場合は当センター の判定が正しかったか否かを検証することは現状で は不可能である。 婦人科検診の異常は全国集計では 6.2% であるが、 これは細胞診のみの異常か内診も含めての異常か不 明のため当センターとの厳密な比較はできないが、 両者の数値は近似している。マンモグラフィー検査 で要精密検査と判定された頻度は全国集計では 6.2% で、当センターと同様であった。 次に当センターのデータを基にして行った研究結 果について述べる。 循環器内科の Matsumoto らは当センター受診者

図11 一般健診受診者の異常の頻度-9

2 4 男 女 男 女 男 女 男 女 男 女 男 女 男 女 要精検 食道要精検 胃要精検 十二指腸要精検 2箇所以上要精 検 要精検 ClassⅢ以上 腹部エコー 上部消化管検査 胸部レントゲン 喀痰細胞診 3.3  3.6  0.6  0.4  3.6  3.2  0.3  0.1  0.1  0.1  1.2  1.2  0.00  0.02  %

図12 一般健診受診者の異常の頻度-10

3 6 女 女 女 男 女 細胞診要再検・精検 内診要精検・再検査・治 療 要精検 若年比70%未満 婦人科検診 マンモグラフィ 骨密度 5.1  1.3  6.0  0.1  1.3  % 図 11 一般健診受診者の異常の頻度-9 図 12 一般健診受診者の異常の頻度-10

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の検査結果の解析から、収縮期後方血圧は上腕動脈 圧とは独立して、心血管疾患発症高リスク群だけで なく低リスク群の判別が可能であることが示唆され ること、また収縮期後方血圧は高齢者よりも若年者 の心血管疾患発症のリスク評価に、より有用である ことが示唆されたと報告している3) 健康増進スポーツ医学講座の村瀬らは、高血圧、 耐糖能異常、脂質異常に対する、肥満や現在および 過去の運動習慣の影響を検討した。その結果男性で は過去に定期的に運動を実施していたが、現在は 行っていないものは肥満になりやすいことが示唆さ れること、また高血圧、脂質異常、耐糖能異常の予 防には男女を問わず、肥満を予防することが有用で あるが、男性においては週 2 回以上の全身運動を実 施することが肥満の予防に重要であることを報告し た4) 4. 健診予防医学センターの今後の展望と課題 健診予防医学センターは前述したように、開設か らすでに 28 年経過しているが施設の広さなどは開 設当時のままであり、受診者数の増加に見合った改 築は行われておらず、このままではこれ以上の発展 を期待するのは困難と言わざるを得ない。現在健診 予防医学センターは収益面において病院におおいに 貢献しているが、更なる増収・増益を図るためには 医師、検査技師および看護師の増員も必要である。 また著者がセンター長に就任後、2006 年に胸部 CT 検査とマンモグラフィーを導入することができ たが、それ以外のいくつかの検査については実施に 向けて関係者と協議してきたが、様々な理由により まだ導入するに至っていない。受診者の要望が多い 脳ドック、上部消化管内視鏡検査、乳房超音波検査、 経膣超音波検査などである。これらの検査は健診の 質を高めるうえで有用であり、また増収を期待でき る検査でもある。したがって多くの健診機関でルー チンに実施されているものであるが、大学病院の付 属機関である当センターで何故行っていないのかと いう、利用者からの問い合わせも多い。またこれら の検査ができないために、当センターでの人間ドッ クを希望しているにも拘らず、やむを得ず他の医療 機関へ流れている受診者が存在することも確かであ る。当センターが病院から離れているために設備や 人員の配置などの点で実施不可能となっている検査 が多いが、将来新病院がオープンする際には健診部 門は新病院の中に移動することが決定しているの で、是非これら検査が実施できるように準備をお願 いしたい。 なお、胃がんの検診に関しては 2006 年に発表さ れた厚生労働省の研究に基く報告では、X 線検査は 胃がんによる死亡率を減少させる効果が認められる が、内視鏡検査はその効果を示す証拠が不十分とさ れている5)。しかしその後内視鏡検査が X 線検査に くらべ早期胃がんの発見率が高く、5 年生存率も有 意に高いとの報告もされており6)、受診者の希望が 1 2 男 女 男 女 男 女 男 女

CEA 5.1以上 AFP 10.1以上 CA19‐9 37.1以上 PSA 4.1以上 CA125 36以上

消化器系腫瘍マーカー 前立腺腫瘍 マーカー 卵巣腫瘍マー カー 1.4  0.4  0.5  0.8  0.2  0.4  1.7  1.0  % 図 13 一般健診受診者の異常の頻度-11

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代田 : 東京医科大学病院健診予防医学センターの現状と今後の展望 ─199─ 2014 年 7 月 あれば上部消化管検査として、内視鏡検査を行うこ とは医学的に問題ないと考えられる。 なお上部消化管の検査については、日本総合健診 医学会では「原則として X 線検査とする。本人か ら X 線検査が困難との申し出があり医師が必要と 認めた場合、内視鏡検査に変更することも可」とし ている7) 健診関連学会では、他の多くの学会と同様に専門 医制度や研修制度を創設し、すでに全国で運用され ている。当センターは日本総合健診医学会の優良健 診施設および専門医育成のための研修施設に認定さ れているが、これを維持するためには、日々の業務 に不備や欠陥がないかを恒常的に見直したり、検査 結果の判定に誤りがないかをチェックするなどの、 健診の質の更なる向上を図る仕組みの構築が必要で ある。胸部 X 線などの画像検査に関しては二重 チェックや検討会を行っており、また日々の業務に 関してはスタッフ全体のミーティングが定期的に開 かれており、その機能を果たしてはいるがより一層 の充実を望みたい。大学病院付属の健診機関である から、安心して健診が受けられるという受診者や健 康保険組合も多く、そういった人たちの期待を裏切 らないためにもこのことは重要である。 健診センターが新病院に移動すると、今まで以上 に多くの診療科との連携による予防医学研究の推進 が期待できる。当健診センターの年間受診者は 1 万 人を超え、男女比もほぼ 1 : 1 で、年齢や職業もさ まざまであり、疫学調査や予防医学研究を行う際の 母集団として不適切な要件は見当たらないと思われ るので、是非有効に活用してほしいものである。 最近は遺伝子を解析して疾病やがんの発症予測が 行われているのは周知のとおりである。わずかの量 の唾液を検体として用いて遺伝子解析し、発がん予 測をする会社もアメリカには出現している。この仕 組みには倫理的に問題があり、政府から中止勧告を 受けているとの報道もある。しかし自分の遺伝子を 調べ、がんを含めた何らかの疾病が将来発症するリ スクがどのくらいあるかを知りたいという欲求が湧 くのは自然であり、我が国でも方法論や倫理面で問 題がなければ、この検査を受けてみたいというひと は増えてくると思われる。したがって大学病院の健 診機関として遺伝子診断というテーマにどう取り組 むか決定を迫られる時期もそう遠くはないと思われ る。遺伝子解析は発がんや疾病発症の予測だけでな く、薬剤反応性の予測なども含めて様々な利用のし かたがあり、遺伝子解析のみならずプロテオーム解 析やメタボローム解析についても同様のことが言え よう。 お わ り に 予防医学研究はこれまで医学のなかで、どちらか といえばあまり注目されて来なかった分野である。 最近になって疾病予防や疾病の早期発見および早期 治療の重要性が認識されてきている。また、特にこ の数年は急速に遺伝子診断やプロテオーム解析、メ タボローム解析が進歩し、これらの技術を利用した 診断法の開発が進められているのは周知のとおりで ある。またこれらの結果についても IT 分野のめざ ましい発展に伴い、瞬く間に全世界に情報が伝達さ れる時代になった。 大学病院の付属機関である当健診予防医学セン ターにおいてもこうした現状を踏まえ、時代を先取 りした予防医学研究とその臨床での応用が進展する ことを願ってやまない。 謝   辞 最終講義を終えるにあたり、これまでご支援、ご 鞭撻をいただきました大学理事会、同窓会の諸先生 方をはじめ、大学ならびに大学病院の教職員各位に 衷心より御礼申し上げますとともに、皆様方の益々 のご発展、ご健勝と我が母校東京医科大学の更なる 隆盛をお祈り申し上げます。 文   献 1) 野呂光子 : 総合健診センター 東京医科大学 八十年史 p. 273, 1996 2) 伊藤千賀子、笹森 斉、高橋英孝、山門 實 : 2012 人間ドック全国集計成績報告。人間ドック 28(4): 678-690, 2013

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38) Comi G, et al : European/Canadian multicenter, double-blind, randomized, placebo-controlled study of the effects of glatiramer acetate on magnetic resonance imaging-measured

mentofintercostalmuscle,andl5%inthepatientswiththeinvolvementofribormore(parietal

信心辮口無窄症一〇例・心筋磁性一〇例・血管疾患︵狡心症ノ有無二關セズ︶四例︒動脈瘤︵胸部動脈︶一例︒腎臓疾患

   ︵大阪讐學會雑誌第十五巻第七號︶