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肝炎慢性化に関わるHLAとHCVの相互作用の解析

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Academic year: 2021

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(1)情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2015-BIO-41 No.2 2015/3/20. 肝炎慢性化に関わる HLA と HCV の相互作用の解析 三浦直人 北海道大学院. 情報科学研究科. 遠藤俊徳. 生命人間情報科学専攻. 情報生物学研究室. 背景 C 型肝炎とは, C 型肝炎ウイルス(Hepatitis C Virus; HCV). ロファイル HMM から作成した配列と比較して慢性化配列. の感染によって引き起こされる病気で, HCV キャリアは世. によく見られる特定のアミノ酸サイトを置換させてモデリ. 界で 1.7 億人と推定されている[1]. HCV は血液を介して感. ングを行った. ホモロジーモデリングには SWISS-MODEL. 染し, 急性及び慢性の感染症を引き起こす. 急性 HCV 感染. を用いた.. は通常無症候性であり, 約 30%程度の感染者では,治療を受. 4.. ドッキングシュミレーションによるエピトープとの結. けなくても感染後 6 か月以内に自然にウイルスが排除され. 合力の評価. る. 残りの約 70%は持続感染して慢性肝炎となり, そのう. 慢性化配列の HLA のアミノ酸の置換がエピトープとの. ち約 30%は 20 年以内に肝硬変, さらにその内の約 70%は. 結合力にどの程度影響するか評価するために, まずエピト. 肝がんへと進行する[2]. 最近の報告によると, 慢性化確率. ープデータベースである The Immune Epitope Database で. は, ヒト白血球型抗原(Human Leukocyte Antigen; HLA)の. HCV の NS3 領域にあるものとして報告されているエピト. 型との関連が示されている[3]. HLA はウイルスペプチド. ープを7種取得した. 取得したエピトープとホモロジーモ. (エピトープ)と結合し, 細胞表面に提示し, この複合体を. デリングで作成した立体構造とドッキングシュミレーショ. CD4⁺ヘルパーT 細胞または CD8⁺細胞傷害性 T 細胞が認識. ンを行いエピトープと HLA の相互作用エネルギーを評価. することで免疫応答に結びつく. HLA の抗原認識部位は多. した. ドッキングシュミレーションには AutoDock Vina[5]. 様性が高いため, HLA 型によって免疫応答性に違いが生じ. を用いた.. 得る.. 研究の目的. 結果と考察 1.. アリル毎のオッズ比. HCV のウイルス抗原と結合する HLA の抗原認識部位に. アリル毎の OR を再計算した結果、HLA Class1 において. 着目し, HCV 感染による肝疾患の重症度を HLA 遺伝子か. 73 種の OR が得られ,健常群に多いとされるアリル 19 種. ら予測することを目的として慢性化に関わるアミノ酸変異. (OR>1.6)を健常配列とし, 慢性患者に多いとされるアリ. の特定を行った.. ル 14 種(OR<0.75)を慢性化配列とした.. 材料・方法. 2.. 1.. HLA 型毎の C 型肝炎慢性化のオッズ比 HLA 型毎の C 型肝炎慢性化患者数と健常者数によって. オッズ比(OR)は求められ, 10 報の論文から HLA 型毎の C 型肝炎慢性化の OR を得た. 論文毎に OR 値が異なるた. 慢性化群に多いアミノ酸サイトの置換 プロファイル HMM と慢性化配列を比較した結果, 慢性. 化配列の抗原認識部位において保守的置換ではない箇所が 5 ヶ所確認でき, L180W(5/14), T187L(5/14), E70A(3/14), R103G(3/14), E69G(2/14)において置換が存在した.. め,アリル毎に検体数を考慮した加重平均により, OR 値を 再計算した. これに基づき健常群に多いアリル 19 種(OR> 1.6)の健常配列と慢性化群に多いアリル 14 種(OR<0.75) の慢性化配列を取得した. HLA の配列は HLA のデータベ ースである IMGT(The International IⅿMunoGeneTics Info rmation System)から取得した. 2.. 慢性化群のアミノ酸サイトの置換位置 配列の特徴を明らかにするため,HMMER[4]を用いてプ. ロファイル HMM を健常配列に対して作成し, 慢性化配列 の各配列のアミノ酸サイト毎に比較した. 3.. HLA のホモロジーモデリング 健常配列より作成したプロファイル HMM を用いて, ホ. 図 1. 抗原認識部位において置換がよく見られた箇所. 置換した箇所を黄緑で色付けして示した. モロジーモデリングにより立体構造を作成した. また, プ. ⓒ 2015 Information Processing Society of Japan. 1.

(2) 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2015-BIO-41 No.2 2015/3/20. 性化において重要な NS3 に関わる L180W が慢性化につな 3.. 立体構造とエピトープの相互作用エネルギーの評価. がる可能性が示唆された.. プロファイル HMM の 1 種とその配列から特定のアミノ 酸サイトのみ置換した立体構造 5 種の計 6 種の立体構造を 作成し, NS3 タンパク質のエピトープとの結合エネルギー. 結論 HMMER を 用 いて 健 常 群 の アリ ル か ら プ ロフ ァ イル. を計算した.. HMM を作製し, そこから特定のアミノ酸サイトのみ置換 表1. させた構造とエピトープとの結合エネルギーを比較した.. 結合エネルギー. エピトープ CINGVCWTV YLVTRHADV LLCPAGHAV ITYSTYGKF IPFYGKAI KLVALGINAV YLVAYQATV. サイト番号 1073-1081 1131-1139 1169-1176 1291-1299 1373-1380 1406-1416 1585-1593. HMMc lass1 -8.5 -8.1 -7.7 -8.7 -8.3 -7.3 -7.6. L1 8 0 W -7.3 -7.6 -7.4 -8.7 -8.3 -7.5 -9.5. 置換型 T1 8 7 L E7 0 A -8.2 -7.9 -7.9 -8.2 -7.1 -7.7 -8.5 -8.3 -8.1 -8.2 -7.3 -7.6 -8.4 -8.6. その結果, NS3 領域の CINNGVCWTV エピトープは, どの R1 0 3 G -8.3 -8.3 -7.8 -8.5 -8.2 -7.1 -8. E6 9 G -7.3 -7.9 -7.8 -7.3 -7.9 -7.4 -8.5. 置換した構造においても結合力が小さくなり, また L180W の立体構造とセリンプロテアーゼ領域のエピトープの結合 力より, L180W が慢性化につながる可能性のある HLA の 置換として同定した.. HMMclass1:プロファイル HMM の配列より作成した立体構造. 結合エネルギーが HMMclass1 の構造より低いものを赤文字で示した.. アミノ酸置換により多くのエピトープとの結合が弱くなっ た. 特にエピトープ CINGVCWTV はどの置換型も結合エ ネルギーが低くなった. ウイルスタンパク質はポリプロテ インとして翻訳合成される. 自己複製に必須な非構造蛋白 質 NS5B にコードされた RNA 依存性 RNA ポリメラーゼ は,NS3 の N 端三分の一(1056-1204)にコードされている. 参考文献 1) C 型肝炎治療ガイドライン(第 3.2 版) http://www.jsh.or.jp/files/uploads/HCV_GL_ver3.2_Dec17_final.pdf 2) WHO http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs164/en/ 3) Fanning et al.: Hum Immunol 65:745-51(2004) 4) HMMER http://hmmer.janelia.org/ 5) O. Trott, A. J. Olson.: Journal of Computational Chemistry 31 (2010) 455-461 6) Kolykhalov et al.: J Virol 74(2000). セリンプロテアーゼ活性により切り出され活性化する[6]. そのため, NS3 が抑制されることでウイルスは発現できな くなる.. (http://www.sbsp.jp/sbsp/Sb/sb33/016.html より). 図2. HCV ゲノムのプロセッシング. 翻訳された HCV ゲノムのポリプロテインは、宿主細胞由来, また はウイルスによってもプロセスを受ける.. 慢性化群に多い HLA 型に共通するどの置換も, NS3 領域 に含まれる CINGVCWTV エピトープとの結合エネルギー を低下させてしまうことがドッキングシュミレーションに より示された. この置換によりウイルス増殖抑制効果が弱 まり, 慢性化に結びつくと考えられる. また, 慢性化配列によく見られた 180 番目のアミノ酸残 基がリシンからトリプトファンへの置換が起きると, 他の 置換型より結合力が小さくなる傾向が, CINGVCWTV, LL CPGAGHAV,YLVTRHADV エピトープのセリンプロテアー ゼ領域に存在する 3 種類のみで見られた. このことから慢. ⓒ 2015 Information Processing Society of Japan. 2.

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