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アルゴリズミック・コンポジションの(不)可能性

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Academic year: 2021

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(1)Vol.2011-MUS-93 No.7 2011/12/11. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. 音楽というものに対するこの「信仰」を今でも無根拠に受け入れるべきなのだろうか?「方 法主義」、「逆シミュレーション音楽」、「新調性主義」などのキーワードで私が試みてきた. 特別講演:アルゴリズミック・コンポジションの(不)可能性. アルゴリズミック・コンポジションにおける様々な活動は、一貫してこの「信仰」に対する 異議申立てであった。今回は、それらのコンセプトのみならず、近年試みてきた「新調性主. 三. 輪. 眞. 弘†1. 義」やその拡張としての 17 音平均律アルゴリズムなどの実例を紹介したい。 科学と音楽/芸術、俗にいうなら理系と文系と言っても構わないが、音楽情報科学研究会 もまたそうであるように、これらふたつの領域の接点を見出し、ある種の「融合」を目指し た取り組みが、当然のことながら、数多く試みられてきた。しかし、おそらくまったく異な るこれらの人間の「知のあり方」に接点など本当にあり得るのだろうか?いや、そのように. Special talk: (Im)possibility of Algorithmic Composition. 問うことはとても滑稽なことに違いない。なぜなら、西欧の語源を調べるまでもなく、ぼく. Masahiro. Miwa†1. らの誰もが個々人において総合的な「ひとつの知」を頼りに日々を生きているのだから。な らば、なぜ人間の知は分断され、互いに「まったく異なる」もののように思考されなくては ならなかったのか?その理由はさておき、おそらく、先に述べた音楽に対する強固な現代人 の「信仰」もまた、そのことと深く関わっているに違いない。. 「作曲」という概念はおそらく西洋音楽固有のものであり、今風に言えば「音楽における. アルゴリズミック・コンポジションという論理学と音楽用語が組み合わされた、あり得な. イベント・シークエンスをある個人が決定し記述する行為」のことを示している。音楽創造. いような造語がまさにそのような事態を超克すべく生まれてきたと感じているのは、私だ. の領域におけるデジタル技術の援用例では、「アルゴリズミック・コンポジション」という. けかもしれない。しかしどちらにせよ、論理的であることと人間的であることの間を埋め. 言葉で呼ばれる、「イベント・シークエンスの決定」を人間ではなく、コンピュータを使っ. る新しい言葉(概念)をぼくらは今、何としても必要としていることを、放射性物質と共. て行う試みが昔(コンピュータの誕生以来)から知られてきた。しかし、その可能性を「真. に暮らし始めた日本人の誰もが感じているのではないだろうか?(もちろん、それは「人間. に受ける」作曲家や聴衆は世界中、皆無に等しいと言えるだろう。なぜなら音楽作品におい. 的であること」とはそもそもどのようなことなのかを確認していくことでもある)そして、. て、ある音が選ばれた理由すなわち音の起源は、必ず作曲家の精神性や感性に求めるしか. 私にとってそれは、全面的にテクノロジーに依存して生存を始めた人間にとっての「音楽」. なく、論理演算によって選ばれた音など「音楽」と呼ぶに値するはずがないと固く信じられ. そのものを再定義することであり、今回紹介する、その実証実験としての「音楽」の実践に. てきたからである。この「信仰」に従えば、音楽創造におけるコンピュータの位置づけは必. 他ならない。. 然的に、主体的に思考する人間(作曲家)を助ける「道具」ということになる。事実、「コ ンピュータ音楽」と呼ばれる分野の主流は今も昔もデジタル信号処理、すなわち音色(音声 信号)に関する様々な試みである。言い換えればそれは、人間が近年初めて手にした新しい 「道具」の可能性に違いない。 しかし、そうなのだろうか?現代に生きるぼくらはたかだか 200 年前の西欧で生まれた. †1 情報科学芸術大学院大学 IAMAS. 1. c 2011 Information Processing Society of Japan ⃝.

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