(東京:女医大誌第23巻第1号頁9−11昭和28年3月)
入工的家兎肋膜炎について
東京女子医科大学内科敏室(圭任三神美乳教授) (受付昭和27年3月17日)笹 井 順
サtr ヰ スナ 子 コ Valey Me唾inはテルペンチン油1.5CCmを 犬の胸腔内に注入して入工的肋膜炎を起こさせ, その滲出液からNecrosinその他を抽出して,こ れらの物質は炎症局所から血流中へ流れ込んで, 生物学的な作用を現わし炎症の像を決定するとい っている。 本研究は人工的に家兎にテルペン肋膜:炎をおこ させ,その場合の血漿と滲幽液の蛋白量及び蛋白 分劃を測定し両者の闘係について調べた。叉テル ペン肋膜炎を起した家兎の滲出液及び人間の滲出 性肋膜炎の滲出液から抽出したNecrosin(30G∼ 50Gmg)を家兎の静脈内に注入して,それによっ ておこる血漿蛋白の変化を観察した。 実験方法 前処置として,実験前の家兎の血漿蛋白分劃を測定 し,ついで人工的にテルペンチン油1ccmを胸腔内に 注入し,その後の経過を通じて血漿と滲出液について 蛋白量と蛋白分前を測定したQ一方Necrosinを静脈 内に注入して血漿各蛋白竜馬を測是したQ測定は蛋白 量は硫酸銅法により,蛋白分劃は劃1い斎藤の方法に 従った。 実験成績 テルペン肋膜炎第1例
人工的肋膜炎をおこすと廊漿アルブミンが滅少 し,αグロブリン及びγグロブリンの増加があ る。血漿比重は滲出液潴溜前と潴溜後に於て殆ん ど差をみない。滲出液については大体健康家兎血 漿と同じ組成比を示す。アルブミンについては, 両者の蛋白分劃の割合は肋膜滲出液は血漿に比し て大である。第2例
最:初より蛋白商の低い家兎について人工的肋膜 炎をおこすと,血漿アルブミンは低下しβ及び 7グロブリンが梢く増加する。血漿比重は施行前 に比して低下する。滲出液については,血漿と略 く同じような組成比を示すが,同時に採取した血 漿アルブミンより高い分劃値を示している。第3例
滲出液潴溜がおこると血漿アルブミンは低下し β及びγグロブリンの増加が著しい。滲出液は 血漿組成比と似ているが,血漿アルブミンに比し て高い値を示している。血漿比重は施行前に比し て低下している。 Necrosin静脈注入成績第1例
家兎のテルペン肋膜炎の滲出液から抽出した Necrosinを注入すると,血漿アルブミンは低下 し,γグロブリンの増加が著しく,血漿蛋白量は 施行前と同じ値を示している。第2例
第1例と略く同様な変化を示している。第3例
入間の滲出性肋膜炎の滲出液から抽出したNe− crosinを注入すると,血漿アルブミンは低下し, α及びγグロブリンが増加し,血漿比篁には変 化は認められない。 考 察 テルペン肋膜炎の時の血漿アルブミンの低下は 薦血による影響とは考えられない。少量の三三で は蛋白分劃等には変化のない事は竹下等も認め, 一一一 9 一一一10 テルペンチン油注入による家兎人工的肋膜炎 竜注
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Necrosin注射実験 50(箔) 40 30 20第1例
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健康家兎蛋自分劃(%)及び比重 N・Alb擁し l・.9・. 1・・.・・1比重 1 2 3 4 5 6 6捌 42 l g?1 器} 3 18 且3 11 15 14 19[ izi 16 6 ’11 r7 12 27 26 30 1.0242 1,0248 1.0244 1.0256 1.0256 1,0256平均値1・3「,・ 11・i・ll・・25・
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私も健康家兎について心血20ccm,を採り蟷血の 影響を調べたが,総蛋白量,アルブミン量には変 化がなく,グ・プリン分劃がかなり動揺する事を 認めた。滲出液潴溜という現象を薦血漿とのみ考 えると,家兎テルペシ肋膜炎では大体 10∼20 ccm.位の滲出液がたまるので,その蛋白量(滲出 液の蛋白量を4.59/d1として)から計算すると, (血漿蛋白量6.59/dlとして)7∼14ccm.程の 血漿が血液から失われて肋膜腔に出た事になる。 一一 10一11 テルペン肋膜炎の血漿と.滲出液の変化は大休はこ の現象に似ているのであるが,薦血漿なら族復し ていると思われる第9病日でもアルブミンがつよ く減少している事は,滲出だけでは到底説明出来 ないことを明示している。蛋白分劃から見た本研
究はMenkinのいっているNecrosinその他に
よる影響ではないかと考えるQこれを確める意味 に於いて家兎のテルペン肋膜炎の滲出液人閤の滲 出性肋膜炎から抽出したNecrosinを健康i家兎の 静脈内に注入した所,血漿アルブミンの低下,r グnプリンの増加を実験的に認めた。Menkinは 犬の血流中へNecrosinの浮遊液を入れてやると 一回の注射でよく肝臓障害を惹起せしめ得ると報 告している又血清アルブミンが肝臓で生成される 事は多くの学者により略1確定されている。Ne− crosin注入後の血漿アルブミンの低下は肝臓 障害と関係がある様に思われる。テルペン肋膜:炎 で血漿総蛋白量の減少が著明でない事は,Addis の云うように易動性に富む肝臓などがその大いな る源をなしているのではないかと考える。滲出液: アルブミンの割合より高いという事については, アルブミンはグロブリンに比して分子量が少いの で,透過性の高まった血管から滲出しやすい事が 考慮される。 御指導;御校閲炬頂い7こ前東京:女子医科大学敏授岩崎 i秀之先生,東京大学1教授島薗順雄先生並びに種々御助 力為頂い7こ東京汝子医科大学激授三神美和先生,慶応 大学講師岡本彰砧先生に感謝する。 丈 献 1.竹下:京都府立医科大学誌46912、1934 2. Addis et al: J. Biol. chem 115. 111. 19363. Menkin:Dynamics of lnf1amtion’N. Y. 1940
4。、斎藤:アメリカ医学3.8.194S 5.斎藤:アメリカ医学3.9.1948. 6.吉川:硫酸銅法1948. 7L吉川,斎藤:アメリカ医学3,10,1948. 8.吉川,斎藤:アメリカ医学3,12,1948・ 9.吉川,斎藤:B本医事新趨1277,1948. 10.吉川,斎藤・:日本医事新報1278,1948. 一 11 一一