Title
移民に関する新聞記事−明治三八・三九年−
Author(s)
田港, 朝和
Citation
史料編集室紀要(17): 62-146
Issue Date
1992-03-30
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12001/7373
Rights
沖縄県立図書館史料編集室
〈 史 料 紹 介 〉
移
民
に
関
す
る
新
聞
記
事
1
明
治
三
入
・
三
九
年
1
田
港
朝
和
今 回 は 明 治 三 八 ・ 三 九 両 年 の 『 琉 球 新 報 』 の 記 事 の 中 か ら 移 民 に 関 す る 記 事 を 見 落 し の な い よ う に し な が ら 全 部 収 録 す る こ と に つ と め た 。移
民
統
計
(
『
沖
縄
県
史
』
7
「
移
民
」
収
録
)
を
み
る
と
移
民
の 数 は 明 治 三 八 年 に は 前 年 の 二 倍 に 急 増 し 、 三 九 年 に は 沖 縄 移 民 史 上 最 高 の 四 、 六 七 〇 人 に 達 し て い る こ と が わ か る 。 こ の 移 民 の 増 加 は 、 移 民 会 社 ( 移 民 の 募 集 業 務 を 一 任 さ れ た 業 務 代 理 人 ) の 増 加 と も 関 係 す る も の で 、 明 治 三 八 年 に 沖 縄 に や っ て 来 た 移 民 会 社 は 、 帝 国 殖 民 合 資 会 社 、 東 京 移 民 合 資 会 社 、 皇 国 殖 民 株 式 会 社 、 山 陽 移 民 合 資 会 社 、 熊 本 移 民 合 資 会 社 、 海 外 渡 航 株 式 会 社 、 仙 台 移 民 合 資 会 社 、 大 陸 殖 民 合 資 会 社 、 日 本 殖 民 株 式 会 社 の 九 社 、 三 九 年 に は 右 の ほ か に 、 防 長 移 民 合 名 会 社 、 神 戸 渡 航 合 資 会 社 、 中 国 移 民 合 資 会 社 、 金 尾 雅 敏 、 晩 成 移 民 合 資 会 社 、 合 資 会 社 三 丸 商 会 、 森 岡 真 、 大 野 傳 栄 、 明 治 植 民 合 資 会 社 の 九 社 が 加 わ っ て ( 計 一 八 社 ) 移 民 獲 得 に し の ぎ を け ず っ て い る 。 こ の 移 民 獲 得 の 競 争 の 様 子 は 、 毎 日 の よ う に 掲 載 さ れ る 新 聞 の 「 移 民 募 集 広 告 」 に よ っ て 容 易 に 理 解 で き る で 一 62 一移 民 に 関 す る 新 聞 記 事 一 明 治38・39年 一 (田 港) あ ろ う 。 ま た 、 移 民 統 計 上 ( 前 記 統 計 ) で は 、 明 治 三 九 年 に は メ キ シ コ 移 民 の 送 り 出 し は な い が 、 新 聞 の 記 事 で は 確 か に メ キ シ コ 移 民 が あ っ た こ と が わ か る 。 な お 、 収 録 に あ た っ て は 旧 漢 字 を 新 漢 字 に あ ら た め た 以 外 は そ の ま ま と し 、 必 要 に 応 じ ( 注 ) を 付 し て お い た 。
明
治
三
十
八
年
ω
広
告
〔
一
月
五
日
〕
米
領
布
畦
行
自
由
移
民
取
扱
候
那 覇 区 字 久 茂 地 二 一ご 四 八 番 地 小 沢 店東
横
小
路
吉
川
方
海
外
渡
航
株
式
会
社
業
務
代
理
人
岩
永
慶
次
郎
( 注 ) 七 日 、 九 日 、 十 一 日 、 十 三 日 に も 掲 載 。②
広
告
〔
一
月
五
日
〕
小 生 今 般 外 務 省 ヨ リ 左 ノ 通 リ 移 民 取 扱 代 理 人 ノ 許 可 ヲ 得 候 二 付 目 今 此 ノ 業 二 従 事 ス中
城
間
切
喜
舎
場
村
比
嘉
昌
輝
送
第
一
七
二
号
大
陸
殖
民
合
資
会
社
業
務
担
当
社
員
副
社
長
日
向
輝
武
明 治 三 十 七 年 十 月 二 十 五 日 附 願 沖 縄 県 平 民 比 嘉 昌 輝 ヲ シ テ 内 地 二 於 テ 業 務 代 理 ヲ 為 サ シ ム ル 件 許 可 ス明
治
三
十
七
年
十
二
月
九
日
外
務
大
臣
男
爵
小
村
寿
太
郎
圃
送
第
一
六
七
五
号
帝
国
殖
民
合
資
会
社
業
務
執
行
社
員
竹
内
正
志
明 治 三 十 七 年 八 月 三 十 日 附 願 沖 縄 県 平 民 比 嘉 昌 輝 ヲ シ テ 内 地 二 於 テ 業 務 代 理 ヲ 為 サ シ ム ル 件 許 可 ス明
治
三
十
七
年
十
一
月
廿
五
日
一 63 一外
務
大
臣
男
爵
小
村
寿
太
郎
團
( 注 ) 九 日 に も 掲 載 。⑧
特
別
広
告
〔
一
月
五
日
〕
本 月 分 移 民 人 員 不 足 ス 希 望 者 ハ 速 二 申 込 ミ ア レ當
山
久
三
( 注 ) 七 日 に も 掲 載 。㈱
特
別
広
告
〔
一
月
一
五
日
〕
二 月 分 移 民 北 米 合 衆 国 テ キ サ ス 行 三 十 名 布 畦 行 二 百 名 以 内 募 集 ス當
山
久
三
( 注 ) 一 七 日 に も 掲 載 。⑤
広
告
〔
一
月
一
五
日
〕
自 三 六 年 九 月至
三
七
年
十
月
金
額
円 里 一 〇 、 四 五 二 、 八 一 三内
円 里 七 、 一 一 一 、 八 一 五 二 、 九 七 五 、 二 八 〇 三 六 五 、 七 一 八 一 〇 、 四 五 二 、 八 一 三 ( 注 ) 一 七 日 に 掲 載 。㈲
特
別
広
告
〔
一
月
一
七
日
〕
拾 四 ヶ 月 間 布 畦 出 稼 者 送 金 決 算 報 告備
考
出
稼
者
四
十
名
送
金
高
平
尾
送
金
高
父 兄 、 渡 高 組 合 、 貸 付 高沖
縄
殖
民
同
志
会
金
武
村
支
部
会
計
係
米
領
布
畦
行
自
由
移
民
御
取
扱
候
事
那 覇 区 久 茂 地 二 三 四 八仙
台
移
民
合
資
会
社
業
務
代
理
人
林
田
茂
太
郎
海
外
渡
航
株
式
会
社
業
務
代
理
人
岩
永
慶
次
郎
一 64 一移 民 に 関 す る 新 聞 記 事 一 明 治38・ 39 年 一 (田 港) ( 注 ) ; 二 日 に も 掲 載 。
ω
広
告
〔
二
月
五
日
〕
二
月
分
布
畦
行
御
取
扱
候
事
那
覇
区
久
茂
地
吉
川
方
海
外
渡
航
株
式
会
社
出
張
所
岩
永
慶
次
郎
( 注 ) 七 日 、 九 日 に も 掲 載 。㈹
布
畦
行
労
働
者
の
出
発
〔
二
月
一
八
日
〕
当 山 久 三 氏 の 取 扱 ひ に 係 る 布 睦 行 き 労 働 者 の 一 行 は 一 昨 日 出 港 の 広 運 丸 よ り 神 戸 へ 向 け 出 発 せ り ⑨ 布 畦 た よ り〔
二
月
一
八
日
〕
在 布 畦 本 県 人 よ り の 私 信 に 拠 れ は 旅 順 陥 落 の 電 報 に 接 す る や 各 耕 地 労 働 人 一 同 は 休 業 し 一 定 の 場 所 に 集 合 し て 祝 捷 会 を 開 き 昼 は 相 撲 其 他 の 余 興 を 催 ふ し 夜 は 煙 火 を 打 揚 け 口 口 し 口 口 盛 な り し と い ふ ㈹ マ ニ ラ 移 民 に 就 て〔
三
月
一
七
日
〕
全 国 の 海 外 移 民 取 扱 人 は 嚢 日 神 戸 に 於 て 麻 尼 拉 移 民 取 扱 に 関 す る 制 限 を 協 定 し 普 通 の 比 律 賓 渡 航 労 働 者 は 之 を 二 . 月 二 十 八 日 限 り 取 扱 は ざ る こ と と し 尚 ほ 他 日 機 会 を 待 ち て 同 移 民 取 扱 を 開 始 す る 場 合 及 び 現 在 各 会 社 の 手 を 経 て 彼 地 に 労 働 せ る も の に 対 す る 事 務 を 取 扱 は ん 為 各 社 協 同 の 支 配 人 を 置 く 事 は 目 下 其 候 補 者 選 定 中 の 由 に て 又 已 に 彼 地 よ り 注 文 を 受 け た る 我 労 働 者 中 大 工 左 官 其 他 建 築 工 夫 に 限 り 同 盟 会 は 来 る 四 月 中 迄 渡 航 せ し む る こ と を 協 定 し 去 一 日 よ り 之 を 実 行 せ り と ㈲ 海 外 移 民 に 就 き〔
三
月
一
七
日
〕
外 務 省 書 記 生 酒 向 新 氏 当 地 の 出 張 を 命 せ ら れ 近 便 に て 来 着 の 筈 一 65 一⑰
米
国
と
本
邦
移
民
〔
四
月
三
日
〕
一 八 八 〇 年 の 人 口 調 査 に よ れ ぼ 在 米 日 本 人 は 唯 カ リ ホ ル ニ ヤ 州 に 於 て 八 十 六 人 を 数 へ し の み な り し が 最 近 の 調 査 に よ れ ば 実 に 全 国 を 通 じ 十 万 人 を 超 ゆ る に 到 り 殊 に 其 智 識 労 力 の 点 に 於 て 支 那 人 よ り も 優 等 に し て 且 つ 直 に 米 人 的 生 活 に 馴 る 〉 性 質 あ る を 以 て 其 増 加 は 非 常 に 考 慮 を 要 す る 問 題 と な り 来 り 殊 に 戦 後 に 於 け る 移 民 の 「 黄 な る 潮 流 」 の 濫 入 に 関 し て 議 論 紛 々 と し て 起 り 排 斥 論 は 浴 々 と し て 地 歩 を 占 め つ 》 あ る 模 様 な り と 近 刊 米 国 新 聞 に 見 ゆ㈹
特
別
広
告
〔
四
月
七
日
〕
送 第 二 九 四 号謙
墾
鰺
、
社
出
熊
野
明 治 晋 七 年 十 二 月 十 六 日 附 願 沖 縄 県 平 民 大 城 兼 義 ヲ シ テ 内 地 二 於 テ 業 務 代 理 二 為 サ シ ム ル 件 許 可 ス明
治
晋
八
年
三
月
十
三
日
外
務
大
臣
男
爵
小
村
寿
太
郎
圃
右 二 付 左 記 ノ 所 二 於 テ 布 畦 行 移 民 取 扱 候那
覇
区
字
久
茂
地
二
三
四
六
番
地
小 沢 書 籍 店 ノ 前繋
驚
縄
馨
我
( 注 ) 九 日 、 一 三 日 、 一 五 日 、 一 七 日 に も 掲 載 。 ㈹ 布 畦 行 移 民 の 用 意 金〔
四
月
一
七
日
〕
近 時 当 地 人 の 海 外 に 出 稼 す る 者 益 々 多 き に 際 し 今 移 民 会 社 の 周 旋 を 経 て 布 畦 に 渡 航 す る 者 の 用 意 金 を 詳 細 に 記 せば
金 五 拾 銭 旅 券 下 附 領 収 証 に 要 す る 印 紙 料 全 九 円 那 覇 よ り 神 戸 迄 の 汽 船 賃 全 四 円 五 十 銭 神 戸 よ り 横 浜 迄 の 汽 車 賃 、 及 通 行 税 、 弁当
代
共
全 壱 円 五 十 銭 横 浜 に 於 け る 三 日 間 の 宿 泊 料全
弐
円
検
疫
費
全
二
拾
円
移
民
会
社
手
数
料
一 66 一移 民 に 関 す る 新 聞 記 事 一 明 治38・39年 一 (田 港) 全 六 拾 壱 円 横 浜 よ り 布 畦 迄 の 汽 船 賃 全 壱 円 各 港 に 於 け る 船 賃
全
五
拾
銭
登
録
料
全 五 十 銭 戸 籍 謄 本 願 、 及 総 て 書 類 に 要 す る 印 紙 料全
十
二
円
五
十
銭
銀
行
利
子
及
び
公
正
証
書
作
製
費
等
但
し
銀
行 利 子 と は 移 民 は 布 畦 上 陸 の 際 携 帯 金 即 ち 見 せ 金 に 充 つ る 金 員 を 銀 行 よ り 借 り 入 れ を 要 す る が 為 め な り合
計
壱
百
拾
三
円
先 つ 大 体 に 於 て は 右 の 通 り な る が 時 に 或 は 横 浜 に 於 て 出 帆 船 の 延 期 の 為 め 余 計 の 入 費 を 要 す る 事 あ れ は 総 金 百 三 四 十 円 位 を 所 持 す る が 安 全 な る べ し 出 稼 人 の 参 考 迄 に 布 畦 労 働 の 概 況 を 記 す れ は 同 地 本 県 人 よ り の 私 信 に 拠 れ は 同 地 の 労 働 に は ウ ケ ハ ン バ イ 及 び ブ ン テ イ ス の 二 種 あ り て ブ ン テ イ ス は 直 接 に 雇 は る 〉 も 〔 の 〕 に し て 月 給 三 十 二 円 、 ウ ケ ハ ン バ イ は 一 定 の 仕 事 を 受 負 ふ も の に し て 月 給 五 十 二 円 に し て 労 働 時 間 は 何 れ も 十 時 間 な り ウ ケ ハ ン バ イ は 割 の よ い 方 な れ ど も 余 程 労 働 に 馴 れ た る 人 に あ ら さ れ は 出 来 す 又 た ブ ン テ イ ス の 方 に て も 那 覇 首 里 に 住 し て 労 働 に 経 験 な き 人 な れ は 身 体 強 壮 の も の に て も 一 二 ヶ 月 間 は 非 常 の 苦 痛 を 感 す る 実 況 な れ は 渡 航 前 に 予 め 其 覚 悟 あ る を 要 す と な り 又 た 気 候 は 夏 は 沖 縄 よ り は 少 し 暑 き も 冬 は 九 十 月 頃 の 気 候 の 如 く 暖 国 の 人 に 適 せ り と い ふ㈲
特
別
広
告
〔
四
月
二
一
日
〕
五 月 分 移 民 不 足 す 渡 航 諸 雑 費 総 金 百 拾 三 円 其 外 別 に 予 備金
弐
拾
円
を
要
す
那 覇 区 字 久 茂 地 二 三 四 六 小 沢 書 籍 店 の 前熊
本
移
民
合
資
会
社
業
務
代
理
人
大
城
兼
義
( 注 ) 廿 三 日 、 廿 五 日 に も 掲 載 。㈹
広
告
〔
四
月
二
九
日
〕
移 民 夫 婦 連 ハ 必 ズ 五 月 分 二 其 后 モ 尚 ホ 可 成 的 夫 婦 連 御 取 ( 注 ・ 五 月 五 日 の 広 告 か ら 補 促 )扱
ヒ
候
〔
携
帯
児
十
五
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手
数
料
〕
那
覇
区
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久
茂
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二
三
四
六
小
沢
書
籍
一 67 一( 注 ) 五 月 三 日 、 店 ノ 前
熊
本
移
民
合
資
会
社
出
張
所
業
務
代
理
人
大
城
兼
義
五 日 、 七 日 に も 掲 載 。㈲
広
告
〔
四
月
二
九
日
〕
鯵 米 国 行 自 由 渡 航 希 望 者 に 旅 費 資 金 低 利 貸 付 及 渡 米 に 関 す る 諸 般 の 便 宜 を 与 規 則 望 方 は 印 刷 費 郵 券 十 二 銭 送 れ 詳 報 す 鯵 東 京 今 川 小 路 東 京 交 誠 社 ( 注 ) 五 月 一 日 、 三 日 、 五 日 、 七 日 、 九 日 に も 掲 載 。 ㈹ 墨 国 移 民 の 惨 状 ( 一 )〔
六
月
一
一
日
〕
墨 国 移 民 の 惨 状 に 就 き て は 昨 年 の 紙 上 に 掲 く る 所 あ り し に 当 局 に 於 て は 事 実 相 違 な り と 弁 明 せ り き 然 る に 当 便 に て 在 桑 港 在 本 県 人 よ り 寄 送 し 来 れ る 「 新 世 界 」 新 聞 五 月 一 日 の 発 行 の 紙 上 に 左 の 如 き 本 県 人 の 軽 々 に 看 過 し か た き 記 事 あ り メ キ シ コ に 於 け る 移 民 の 惨 状 に 就 て は 吾 人 の 屡 々 耳 に せ る 処 な る が 一 昨 年 七 月 中 東 洋 移 民 会 社 取 扱 に 係 る 沖 縄 県 人 二 百 余 名 並 に 熊 本 移 民 会 社 に 属 す る 福 島 県 人 二 百 余 名 が 石 炭 採 掘 に 従 事 し 居 る 墨 国 カ ワ ウ ラ 州 ラ ス 、 エ ス ペ ラ ン サ ス 炭 磯 に 於 る 雇 主 と 移 民 会 社 の 圧 制 暴 状 に よ り 四 百 余 名 の 同 胞 か 涙 を 含 ん で 労 働 し 居 る の 惨 状 は 近 来 同 地 を 逃 れ 来 れ る 移 民 の 多 数 が 語 る 所 に 依 り 梢 や 其 真 相 を 審 か に す る を 得 た れ ぼ 汎 く 之 れ を 読 者 に 紹 介 す る 者 な り 目 下 同 炭 磧 に は 七 坑 区 あ り て 日 本 移 民 は コ ン キ ス タ と 称 す る 地 の 第 三 号 四 号 六 号 の 三 坑 区 に 採 炭 し つ 〉 あ る 者 な る が 同 地 は 山 間 の 僻 隅 に し て 不 便 利 極 ま る 土 地 な れ ば 諸 物 価 の 割 合 に 高 く し て 労 働 賃 銀 と の 釣 り 合 ひ 得 ざ る た め 是 れ 迄 幾 組 か の 労 働 者 を 送 り た る も 何 れ も 逃 走 し 白 人 労 働 者 の 如 き は 僅 々 一 両 日 就 業 し た る の み に て 尽 く 逃 亡 し 去 り た る を 見 て も 如 何 な る 場 処 な る か は 想 像 す る に 難 か ら ざ る べ く 現 に 米 国 に あ る 日 本 人 に し て 斯 の 炭 磯 に 関 係 し て 失 敗 し た る 人 あ る が 如 き は 之 れ が 例 証 し て 余 り あ る な り 然 る に 無 責 任 な る 移 民 会 社 は 濠 州 及 び 其 他 の 地 方 に 移 民 の 途 杜 絶 さ れ ん と す る や 強 て 墨 国 に 移 民 を 送 り 込 み 同 胞 一 68 一移 民 に 関 す る 新 聞 記 事 一 明 治 38・ 39 年 一(田 港) の 膏 血 を 吸 ふ て 自 己 の 懐 中 を 肥 や さ ん と す る の 状 量 僧 む べ き の 次 第 な ら ず や 然 か も 移 民 会 社 が 移 民 募 集 の 際 に 於 け る や 甘 言 を 以 て 之 れ を 誘 ひ 状 況 書 な る も の を 配 布 し て 少 な く と も 毎 月 二 三 十 円 の 剰 余 金 を 得 可 し と 吹 聴 し 外 国 の 事 情 に 通 ぜ ざ る 彼 等 を 隔 着 し て 最 愛 の 父 母 妻 子 に 離 れ し め 遠 く 墨 国 に 渡 り て 比 較 的 危 険 多 き 採 炭 業 に 従 事 せ し め 其 の 得 る 所 の 賃 銀 幾 何 な り や と 云 ふ に 毎 月 の 収 入 墨 銀 貨 の 四 五 十 弗 に 過 ぎ ず し て 彼 等 は 漸 く 其 日 の 生 計 を 営 む の 外 何 等 の 余 裕 あ ら ざ る な り 今 薮 に 一 ケ 月 八 十 噸 を 採 掘 す る 労 働 者 あ り と し て 一 噸 の 採 掘 賃 六 十 仙 な れ ぼ 一 ヶ 月 四 十 八 弗 を 得 る も の に 就 て 如 何 な る 残 余 金 を 得 る か を 示 さ ん に 盒 備 考 一 人 一 ケ 月 八 十 噸 内 外 を 以 て 目 下 の 採 掘 平 均 噸 数 な り と 云 ふ 四 弗 八 十 仙
九
十
六
仙
五
十
仙
十
弗
二
弗
移
民
会
社
手
数
料
器
具
修
繕
費
家
賃
渡
航
費
弁
償
保
証
金
と
し
て
積
立
( 同 盟 罷 工 等 の 場 合 に は 損 害 と し て 没 収 さ る も の な り )一
弗
器
械
損
料
五
弗
採
掘
用
火
薬
費
三
弗
同
磧
油
十
五
弗
食
料
( 食 物 の 粗 悪 な る 事 言 語 に 絶 し 味 噌 醤 油 等 は 一 切 用 ひ ず 一 日 に 一 度 は ビ ス ケ ッ ト と 水 の み な り )十
五
仙
風
呂
賃
総 計 四 十 二 弗 四 十 一 仙差
引
残
金
五
弗
五
十
九
仙
備 考 総 て 墨 国 銀 貨 の 弗 に し て 米 貨 弗 の 半 額 に 相 当 し 日 本 の 円 と 大 差 な き も の と 知 る 可 し 右 の 表 に 於 け る が 如 く 彼 等 の 余 す 処 僅 々 五 弗 五 十 九 仙 の 少 額 に 於 て 煙 草 代 郵 便 賃 を 支 払 ふ 時 は 故 国 に 於 け る 家 族 を 養 ふ は お ろ か 十 円 の 金 を 貯 金 し 得 る に は 一 ケ 年 を 要 す る な り 而 か も 一 ケ 月 八 十 噸 を 採 掘 し 得 る 者 は 強 壮 な る 磧 夫 に し て 其 過 半 は 夫 れ 程 の 収 入 を 得 さ る な り さ れ ば こ そ 彼 等 が 走 逃 を 企 て 又 は 同 盟 罷 工 を 為 す は 実 に 已 む を 得 さ 一 69 一る の 結 果 に し て 而 か も 是 等 四 百 の 労 働 者 が 如 何 な る 憂 き 目 に 逢 ひ 如 何 な る 圧 制 の 下 に 就 き 働 き つ 〉 あ る か 磯 山 会
社
の
暴
悪
酷
薄
な
る
移
民
会
社
出
張
員
の
残
忍
冷
酷
な
る
等
読
者
の 戦 傑 す 可 き 事 実 は 序 を 逐 ふ て 記 せ ん ( 注 ) 『 沖 縄 県 史 』 第 19 巻 収 録 。㈲
墨
国
移
民
の
惨
状
(
二
)
〔
六
月
一
三
日
〕
( 米 国 通 信 、 五 月 一 日 新 世 界 所 報 ) 移 民 か 就 働 を 拒 む が 如 き 事 あ れ ば 会 社 は 直 に 巡 査 を 派 し て 無 理 や り に 就 働 せ し む る も の に し て 若 し 其 巡 査 の 命 令 に 抵 抗 せ ん が 同 地 一 帯 は 炭 磯 会 社 の 所 有 に し て 巡 査 の 如 き も 政 府 の 公 吏 に あ ら ず し て 会 社 が 特 に 雇 ひ 置 く 特 別 巡 査 の 事 な れ ば 炭 磯 会 社 の 命 令 あ る 時 は 殺 人 を も 辞 せ ざ る 程 の 勢 ひ を 以 て 鞭 燵 を 加 へ つ 》 尚 ほ 夫 れ に 応 ぜ ざ る 事 あ れ ば 是 れ を 獄 中 に 投 じ 食 物 を 与 え ず 飢 の 到 る を 待 ち て 就 業 を 強 ゆ る 等 全 然 奴 隷 を 遇 す る と 同 一 に し て 文 明 を 誇 る 西 大 陸 下 に 於 て 又 見 る 可 ら ざ る の 暴 虐 を 演 じ つ 〉 あ る 也 今 其 一 例 を 挙 げ ん に 去 る 一 月 十 九 日 の 夜 小 野 条 蔵 な る 広 島 県 の 移 民 が 逃 亡 の 意 志 を 其 友 に 告 げ て 暗 か に 其 計 を め ぐ ら し つ 〉 あ る 事 を 移 民 会 社 出 張 員 の 探 知 す る 処 と な り 是 れ を 事 務 処 に 招 喚 し 其 事 実 を 糺 問 し た る も 実 を 吐 か ざ り し よ り 金 沢 某 吉 田 某 の 両 移 民 を 使 嚥 し て 移 民 会 社 事 務 員 大 浦 某 桑 原 某 と 共 に 知 覚 を 失 す る 迄 に 乱 打 し 尚 ほ 飽 き 足 ら ず し て 是 を 獄 に 投 じ た る か 翌 日 に 至 り 移 民 全 体 の 知 る 処 と な り 移 民 の 奮 慨 一 方 な ら ず 斯 か る 場 所 に 於 て 苛 責 の 鞭 に 死 な ん よ り は 寧 ろ 就 働 せ ず し て 死 を 待 つ に 如 か ず と 死 を 決 し て 同 盟 罷 工 す る に 至 り た る よ り 会 社 側 も 大 に 周 章 狼 狽 を 極 め 早 速 小 野 某 を 出 獄 せ し め 全 移 民 を 慰 諭 し て 再 び 就 働 す る 事 と な り た る が 斯 の 罷 工 の 口 る と 同 時 に 十 二 名 の 移 民 逃 走 を 企 て 首 尾 克 く 坑 区 を 逃 げ 去 り た る が 何 れ も ア ー ギ ー パ ク 移 民 局 に 於 て 捕 へ ら れ 移 民 会 社 よ り は 佐 藤 某 出 張 し て 是 れ を 受 取 り 帰 り た る が 炭 膿 会 社 は 移 民 会 社 と 協 議 し て 其 内 四 名 を ロ ス マ ス ク エ ス の 獄 に 送 り て 苦 役 に 服 せ し め 他 の 八 名 は 入 獄 一 ヶ 月 間 の 苦 役 に 処 せ ら れ 出 獄 後 も 常 囚 人 の 如 く 巡 査 監 視 の 下 に 従 働 せ り 超 え て 三 月 廿 日 広 島 県 移 民 が 再 ひ 同 盟 罷 工 を 企 て た る や 四 十 名 の 巡 査 は 抜 剣 に て 移 民 の 家 屋 を 襲 ひ 移 民 会 社 の 指 名 し 一 70 一移 民 に 関 す る 新 聞 記 事 一 明 治38・39年 一 (田 港) た る 人 々 を 逮 捕 せ ん と す る や 他 室 に 在 り た る 移 民 は 何 事 の 起 れ る か 至 急 現 場 に 赴 か ん と す る を 逮 捕 に 抵 抗 す る も の と 誤 解 し 之 れ に 発 砲 し て 数 人 を 傷 け 遂 に 十 五 名 の 移 民 を 拉 し 去 り た る が 其 後 是 等 十 五 名 の 消 息 杳 と し て 知 る に 由 な く 何 れ か に 投 獄 せ ら れ て 苦 役 し つ 〉 あ る や 将 た 殺 害 の 非 命 に 殖 れ て 地 下 に 恨 を 呑 み つ 〉 あ る や 更 に 知 る 可 き の 手 か 〉 り な き よ り 残 余 の 移 民 が 種 々 な る 協 議 の 結 果 如 何 な る 事 を 為 し た る か は 是 れ を 次 号 の 紙 上 に 紹 介 す 可 し ( 注 ) 『 沖 縄 県 史 』 第 19 巻 収 録 。 ⑳ 墨 国 移 民 の 惨 状 ( 三 )
〔
六
月
一
五
日
〕
( 米 国 通 信 、 五 月 三 日 新 世 界 所 報 ) 彼 等 十 五 名 の 拉 し 去 ら る 〉 に 臨 み 彼 等 中 の 江 川 某 高 畑 某 は 大 声 を 挙 け て 暴 虐 な る 会 社 の 為 め 捕 へ 去 ら る れ ば 今 後 如 何 な る 運 命 に 遭 遇 す る や を 予 知 し 難 け れ は 君 等 は 誓 っ て 吾 等 を 救 ひ 出 す の 手 段 を 講 ぜ よ と 云 ひ 残 し た る よ り 残 余 の 移 民 は 内 々 協 議 あ り て 移 民 中 の 白 井 某 翌 夜 密 か に 墨 国 公 使 館 に 向 け て 出 発 し メ キ シ コ 市 に 於 て 公 使 兼 領 事 なる
杉
村
氏
に
面
会
し
種
々
事
情
を
陳
述
し
不
法
監
禁
の
処
置
を
訴
へ た る を 以 て 公 使 は 電 報 に て 其 理 由 を 照 会 せ ら れ た る 処 移 民 会 社 の 返 電 に 依 れ は 移 民 中 不 当 の 挙 動 あ り た る を 以 て 監 禁 し た る 迄 な り と の 単 純 な る も の な り し よ り 公 使 は更
に
熊
本
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民
会
社
代
理
人
桑
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義
に
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府
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等
の
間
に 如 何 な る 問 答 あ り し や は 知 ら ざ れ ど も 其 後 彼 等 に 就 て 再 き く 処 あ ら ず 今 果 し て 何 処 に あ る や 鳴 呼 思 へ ば 憐 れ な る 移 民 の 現 況 に し て 暴 戻 極 ま る 移 民 会 社 の 奴 輩 ・ こ そ 憎 て も 余 あ る 事 と 云 ふ 可 き 也 沖 縄 移 民 に て 大 城 五 正 、 小 橋 川 我 甘 と 呼 ぶ 輩 ら の 昨 年 逃 亡 し て 行 衛 不 明 な り し が 去 る 二 月 四 日 ヱ ル パ フ 移 民 局 の 手 に 捕 は れ 労 働 地 へ 送 り 戻 さ る 〉 や 移 民 会 社 代 理 人 は 直 ち に 是 れ を モ ス キ ス の 獄 舎 に 送 り 非 常 な る 苦 役 に 服 せ し め 現 在 尚 ほ 服 役 中 な る が 食 物 は 粗 悪 に し て 労 働 は 過 度 な る よ り 身 心 衰 弱 し て 昔 日 の 面 影 を 止 め ず と 折 角 外 国 ま で 来 り て 幾 分 か の 金 銭 を 貯 蓄 せ ん と の 希 望 を 懐 き し も の 〉 斯 か る 不 幸 に 陥 り 居 る 彼 等 の 胸 中 果 し て 何 物 か 往 来 し 居 る か 吾 人 も 亦 書 し て 弦 に 到 り 転 た 断 腸 の 念 に 堪 へ ざ る も の あ り 墨 国 の 法 律 制 度 か 不 完 全 な る は 今 更 云 ふ 迄 も な き 事 な る が 該 地 土 民 間 に 行 は る 〉 ヒ 一 71 一ヨ ネ ー ジ な る 法 律 こ そ 直 ち に 日 本 移 民 に 適 用 さ る 〉 も の に し て 裁 判 な く 宣 告 な く 唯 だ 移 民 会 社 一 片 の 通 知 に 依 り 直 ち に 彼 等 は 罪 人 と な り て 自 由 を 束 縛 さ る 〉 者 に し て 権 利 も 自 由 も 何 も な く 今 其 一 例 を 挙 げ ん に 大 兼 久 某 東 江 某 が 苦 役 中 の 友 人 を 見 舞 は ん と て 獄 を 訪 ひ し に 巡 査 は 直 ち に 是 れ を 監 禁 し 数 日 の 苦 役 に 服 せ し め た る 事 あ り て 漸 く 書 を 移 民 会 社 の 代 理 人 に 送 り 代 理 人 よ り 炭 磯 会 社 に 交 渉 し 炭 磯 会 社 よ り 監 獄 に 通 諜 し 始 め て 出 獄 す る を 得 た る 如 き 如 何 に 彼 等 が 其 内 外 よ り 圧 制 さ れ つ 〉 あ る か を 想 像 し 得 る な り 日 本 移 民 保 護 法 に 徴 せ ぼ 移 民 が 移 民 地 に 於 て 困 難 す る 場 合 に は 移 民 会 社 は 充 分 の 保 護 を 与 ふ 可 き 規 定 な る に も 関 は ら ず 彼 等 は 却 っ て 移 民 会 社 の 為 め に 困 し め ら れ つ 〉 あ る は 如 何 に 日 本 政 府 の 監 督 範 囲 外 に あ り し と は 云 へ 余 り に 人 道 を 無 視 す る も の な ら ず や ( 注 ) 『 沖 縄 県 史 』 第 19 巻 収 録 。 ω 墨 国 移 民 の 惨 状 ( 四 )
〔
六
月
十
七
日
〕
( 米 国 通 信 、 五 月 三 日 新 世 界 所 報 ) 移 民 会 社 の 悪 徳 中 特 筆 大 書 す 可 き も の は 移 民 中 に て 渡 航 費 を 自 弁 し 来 り た る も の よ り も 尚 ほ 毎 月 十 弗 宛 を 引 去 る 事 に し て 是 等 は 移 民 よ り 再 々 の 苦 情 あ れ ど も 事 務 員 は 言 を 左 右 に 托 し て 頑 と し て 之 れ に 応 ぜ ず 偶 ま 移 民 の 勇 を 鼓 し て 領 収 書 を 以 て 之 れ に 逼 る も の あ れ ぼ 夫 れ 等 は 在 日 本 の 本 社 に 支 払 ひ た る も の に し て 本 社 よ り 通 知 あ ら ざ る 以 上 は 一 切 の 責 任 な し 若 し 強 ひ て 是 れ を 取 り 戻 さ ん と 欲 せ ぼ 帰 国 の 上 本 社 に 直 接 談 判 さ る へ し と 鳴 呼 何 等 無 情 の 言 ぞ 彼 等 は 渡 航 費 を 炭 磯 会 社 よ り 得 且 つ 又 移 民 よ り 二 重 に 徴 収 し 尚 ほ 飽 き 足 ら ず し て 一 端 渡 航 費 を 支 弁 し た る も の よ り も 更 ら に 強 奪 す る こ そ 実 に 言 語 に 絶 し た る 所 業 と 云 は ざ る 可 ら ず 彼 等 は 何 の 為 め に 賃 銀 の 一 割 宛 を バ ネ 居 る か 若 し 斯 か る 行 き 違 ひ あ ら ん に は 早 速 本 社 に 照 会 し て 適 当 の 処 置 を 取 ら ざ る 可 ら ざ る に 関 ら す 渡 航 後 既 に 一 ケ 年 に 垂 ん と す る 今 日 尚 ほ 要 領 を 得 ざ る が 如 き は 彼 等 が 故 意 に 為 し つ 》 あ る を 証 明 し 得 る な り 更 ら に 彼 等 の 悪 事 を 列 む む む む む む む む む む 挙 せ ん に 彼 等 は 無 断 に し て 移 民 宛 の 信 書 を 開 封 し 或 は 焼 む む む む き 棄 つ る 等 天 下 の 公 法 を 無 視 し 居 る に あ り 移 民 会 社 は 家 族 に 移 民 地 の 名 宛 を 印 刷 に 附 し て 配 布 し あ る を 以 て 一 見 一 72 一移 民 に 関 す る 新 聞 記 事 一 明 治 38・ 39 年 一 (田 港) 甚 だ 行 き 届 き 居 る が 如 き も 其 実 彼 等 は 斯 く の 如 く に し て 移 民 の 通 信 機 関 を 掌 握 し 自 由 勝 手 の 事 を 為 し つ 〉 あ る な む む む む む む む む む む む む む む む む む り 殊 に 移 民 か 其 窮 状 を 在 米 の 友 人 知 己 に 書 き 送 り た る 書 む む む む む む む む む む む む む む む む 簡 の 返 書 の 如 き は 一 と し て 移 民 の 手 に 入 り た る 者 な く 悉 む む む む む む む く 移 民 会 社 員 の 掌 裡 に 落 ち て 点 検 さ る 〉 な り 又 移 民 会 社 は 移 民 が 疾 病 に 罹 り 若 し く は 他 の 事 故 の 為 め 労 働 に 服 す る 能 は さ る 時 は 相 当 の 保 護 を 与 へ 且 つ 場 合 に 依 り て は 本 国 に 送 還 す る の 義 務 あ る に も 拘 は ら す 疾 病 の 際 彼 等 を 遇 す る に 冷 澹 を 極 め 移 民 は 漸 く 其 朋 友 よ り 補 助 せ ら れ て 辛 く も 全 癒 を 待 つ の み な る を 以 て 療 養 の 不 充 分 な る は 往 々 む む む む む む む む む に し て 死 亡 者 を 生 ず る こ と に し て 移 民 会 社 は 移 民 の 瀕 死 む む む む む む む む む む む の 機 に 至 り 始 め て 義 務 的 に 是 を 病 院 へ 送 り 込 む の 故 を 以 て 生 き て 病 院 を 出 つ る も の 殆 ん ど 稀 な る 事 な れ ぼ 病 者 は 常 に 万 一 の 天 運 を 僥 倖 す る の 望 み の 外 死 を 覚 悟 し 居 る と い ふ 以 て 其 一 斑 を 窺 ふ に 足 る べ し 大 陸 移 民 会 社 が 移 民 を 送 り た る 地 方 の 如 き は 単 に 飲 料 水 の 粗 悪 な る の み な ら ず 蚊 の 如 き 害 虫 日 夜 共 に 蝟 集 し て 顔 面 四 肢 の 嫌 ひ な く 刺 す よ り 其 毒 の た め に 腫 れ 上 り て 痘 の 如 く な り 到 底 労 働 に 従 事 し 能 は ざ る よ り 彼 等 は 監 督 者 に 迫 り て 労 働 地 を 替 ゆ る か 若 し く は 本 国 に 送 還 す る か を 要 求 し た る に 独 り 是 れ を 採 用 せ ざ る の み な ら ず 兵 力 を 以 て 圧 迫 し 首 謀 者 を 捕 へ て 投 獄 し て 鞭 燵 を 壇 に し て 使 役 し つ 〉 あ り 然 か も 其 賃 金 は 一 日 十 時 間 を 使 役 し て 僅 か に 五 十 仙 を 支 払 ふ に 過 ぎ ず 如 斯 は 皆 移 民 会 社 が 中 間 に 立 っ て 悪 徳 を 恣 に す る の 結 果 に し て 幾 多 秘 密 の 存 す る あ る は 何 人 も 想 像 す る に 難 か ら ざ る 可 し ( 注 ) 『 沖 縄 県 史 』 第 19 巻 収 録 。 ㈹ 近 年 中 の 外 国 移 民 〔 六 月 二 九 [ 口 〕
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合 計 六 七 九 二 三 、 九 〇 三 即 ち 昨 年 中 の 現 在 人 員 総 数 六 百 七 十 九 名 に し て 総 金 額 二 万 三 千 九 百 三 円 な り 之 を 出 稼 地 別 に す れ ば 左 の 如 し 人 人 ハ ワ イ ニ 九 九 マ ニ ラ 一 九 八 人 メ キ シ コ 一 八 二 と な る 因 に 上 記 送 金 額 は 去 三 十 二 年 よ り 昨 三 十 七 年 迄 の も の に し て 之 を 年 額 に す れ は 三 千 九 百 八 十 三 円 余 と な る な り 又 本 年 一 月 よ り 五 月 迄 の 布 畦 行 自 由 移 民 は 三 百 二 十 名 な り と ㈲ 移 民 大 同 盟 罷 工〔
七
月
五
日
〕
△
日
本
労
働
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二
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遣
△
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働
者
の
要
求
容
れ ら る △ 陳 情 書 《 大 体 の 顛 末 場 所 は ワ イ ル ク 及 ラ ハ イ ナ 両 耕 地 に 跨 り 日 本 労 働 者 数 二 千 八 百 人 に 達 せ り 其 主 た る 要 求 は 監 督 者 ル ナ 排 斥 、 賃 銀 増 給 、 薪 炭 水 の 供 給 増 加 其 他 十 ニ ケ 条 ヲ 提 起 し 群 集 一 時 に 蜂 起 し て 耕 主 プ ラ ン テ ー シ ョ ン の 事 務 所 を 取 囲 み 形 勢 極 て 不 穏 に し て 警 報 ホ ノ ル ル 府 に 頻 々 た り し か ぼ 政 庁 に て は 警 官 隊 を 派 遣 し て 鎮 撫 せ し め ん と した
り
し
が
其
効
な
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戦
砲
隊
一
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国
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事
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に て は 森 、 山 口 両 書 記 生 、 ハ ッ ク フ ィ ル ド 会 社 よ り は 重 役 一 名 臨 時 船 を 擬 し て 急 行 し た り 同 島 は ホ ノ ル ル を 距 る 海 上 百 八 十 哩 な る を 以 て 通 信 … 機 関 は 無 線 電 信 を 応 用 し 一 時 は 全 島 の 人 心 淘 々 た り し が 紛 擾 の 間 日 本 労 働 者 一 名 は 警 官 の 発 せ し ピ ス ト ル の 為 に 殺 さ れ 二 名 は 重 傷 を 受 け たり
斯
く
て
日
本
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二
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名
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代
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者
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ハ ッ ク フ ィ ル ド 会 社 代 表 者 領 事 館 員 等 に 会 見 を 遂 げ 其 問 二 昼 夜 に 亙 り 屡 談 判 破 裂 せ ん と せ し が 終 に 円 満 の 協 定 を 遂 ぐ る に 至 り ( こ の さ わ ぎ の 起 り は 五 月 廿 七 日 終 り は 三 十 日 ) 労 働 者 の 正 当 要 求 は 会 社 耕 主 の 容 る 〉 所 と な れ り 尤 も 右 の 排 斥 監 督 者 ル ナ は 露 西 亜 人 を り し よ り 之 が 一 面 の 原 因 と な り し も 此 排 斥 は 労 働 者 の 譲 歩 よ り 交 迭 せ ざ る こ と と な れ り 此 の 監 督 者 は 名 を ト ロ ス キ ー 年 齢 三 十 五 と 云 ひ 生 地 は 露 国 な り し が 今 は 米 国 に 帰 化 し 市 民 と な り し も の な り と A 移 民 の 陳 情 上 記 布 畦 に 起 り た る 本 邦 移 民 同 盟 罷 工 の 一 74 一移 民 に 関 す る 新 聞 記 事 一 明 治 38 ・39年 一 (田 港) 煽 動 者 を 以 て 目 せ ら る 〉 革 新 同 志 会 は 評 議 員 百 十 三 名 連
著
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て
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の
陳
情 書 を 郵 送 し た り 同 会 は 総 領 事 排 斥 を 標 榜 し 居 る を 以 て 特 に 直 送 し た る も の な り と 一 布 畦 移 民 を し て 真 正 自 由 移 民 た る の 実 を 挙 げ し む る 事 一 布 畦 移 民 携 帯 金 保 護 の 為 特 別 の 規 定 を 設 け ら れ た き 事 一 布 瞳 の 現 況 視 察 と し て 吏 員 を 派 遣 せ ら れ た き 事 該 陳 情 書 中 他 の 注 意 す へ き 記 事 あ り 試 に 之 を 摘 記 す へ し 曰 く 布 畦 移 民 ハ 最 初 布 畦 に 渡 航 な さ ん と す る と き は 移 民 保 護 法 に よ り 是 非 と も 移 民 会 社 の 手 を 歴 ざ る 可 ら ざ る が 会 社 は 先 づ 二 十 円 の 法 定 手 数 料 を 先 取 り 致 す も の に 有 之 斯 く し て 約 一 二 ヶ 月 の 後 会 社 の 保 証 に よ り 各 府 県 庁 よ り 自 己 の 旅 券 を 下 附 せ ら れ 候 も 会 社 は 之 を 本 人 に 渡 し 不 申 只 渡 航 費 を 調 達 し て 横 浜 に 来 る べ し と 命 令 を 下 す の み に て 移 民 各 自 は 其 命 に 従 ひ 少 き も 二 百 五 十 円 、 多 き は 三 百 円 位 を 調 達 仕 り 指 定 の 地 に 赴 き 指 定 の 旅 宿 に 宿 泊 致 す も の に 御 座 候 然 る 処 此 旅 宿 と 申 す は 予 て 会 社 と 結 託 し て 移 民 の 宿 泊 を 業 と 致 す 者 な れ ば 其 雇 人 を し て 先 づ 移 民 の 所 持 金 を 調 査 せ し め 携 帯 金 百 円 と 船 賃 六 十 円 の 外 に 移 民 会 社 が 設 け し め た る 消 毒 所 に て の 消 毒 料 二 円 五 十 銭 を 差 引 其 残 金 は 種 々 の 名 義 を 附 し て 無 智 の 移 民 よ り 欺 き 取 る を 営 業 と 致 す も の に 御 座 候 而 し て 移 民 会 社 と 京 浜 銀 行 と の 関 係 に つ き て は 更 に 曰 く 如 斯 し て 彌 出 船 の 間 際 に 至 れ ば 移 民 会 社 の 代 理 人 な る も の 一 々 移 民 に 説 き て は 携 帯 金 を 京 浜 銀 行 に 預 け 入 る べ し と 迫 り 之 を 拒 め ぼ 乗 船 切 符 を 渡 さ ず と 称 し 或 は 又 預 金 証 な き も の に は 会 社 に て 切 符 を 売 り 渡 さ ず 杯 と 脅 か し 如 何 な る 手 段 に て も 之 を 銀 行 の 預 金 と せ し め ざ れ ぼ 措 か ざ る を 例 と 致 候 勿 論 之 を 預 金 と 致 し た る に せ よ 着 布 の 上 何 時 た り と も 取 付 け 得 る も の な り せ ば 別 に 差 支 へ も 無 之 勧 誘 者 の 申 通 り 却 て 渡 航 中 賭 博 、 詐 欺 、 窃 盗 な ど に 罹 る の 虞 な き が 故 に 尤 も 安 全 の も の に 相 違 な き も 一 度 同 銀 行 に 預 け 入 れ た る 以 上 は 最 早 再 び 手 に す る 事 能 は ざ る 次 第 に 候 最 後 に 布 畦 に 移 民 保 護 法 を 適 用 す る の 点 に 就 き て は 種 々 議 論 も あ る 事 な る か 之 に 関 し て は 左 の 如 く 日 へ り 御 賢 知 の 通 り 市 畦 の 地 た る 四 季 を 通 じ て 砂 糖 の 耕 転 に 一 75 一忙 は し く 円 一 年 間 一 日 も 労 働 の 需 要 を 欠 く が 如 き 事 無 之 土 地 柄 な る の み な ら ず 米 国 資 本 家 が 起 業 の 予 算 は 比
較
的
賃
銀
の
低
廉
な
る
本
邦
労
働
者
を
基
礎
と
し
て
計
上
致
し
た る も の に 候 へ ば 本 邦 労 働 者 の 需 要 は 永 久 に 絶 ゆ る こ と 無 之 何 人 と 錐 ど も 一 日 能 く 十 時 間 の 労 働 に 堪 へ 得 る も の な り せ ば 業 を 得 る こ と は 水 を 飲 む の 易 き よ り も 易 く 着 布 早 々 一 時 の 猶 予 も 無 之 直 に 耕 地 に 赴 く 者 に 候 へ ぼ 携 帯 金 の 如 き 殆 ど 全 く 不 必 要 の 感 も 有 之 候 へ 共 斯 の 義 他 国 の 規 定 と あ れ ぼ 是 非 も 無 く 之 が 準 備 も 必 要 に は 候 へ 共 移 民 法 の 精 神 た る 移 民 の 職 を 得 せ し む る の 周 旋 心 配 は 移 民 取 扱 人 た る 移 民 会 社 の 手 を 要 せ ざ る の み な ら ず 本 邦 移 民 の 数 既 に 七 万 に 達 し 各 耕 地 と も 到 る 処 邦 人 の 部 落 有 之 道 路 相 逢 の 人 悉 く 邦 人 な ら ざ る は な く 隣 保 相 扶 け 相 養 ひ つ 〉 あ る 今 日 と な り て は 移 民 が 本 国 に 在 り て 農 業 に 従 事 す る も 何 の 異 な る 所 無 之 従 つ て 移 民 保 護 法 の 所 謂 移 民 取 扱 人 の 必 要 は 絶 対 的 に 無 用 と 相 成申
候
⑳
布
畦
移
民
革
新
同
志
会
〔
七
月
一
七
日
〕
布 暁 移 民 革 新 同 志 会 は 嚢 に 外 務 大 臣 へ 請 願 書 を 提 出 せ し が 今 度 の 便 に て 更 に 第 二 の 請 願 書 を 差 出 し た り 要 点 左 の 如 し 一 布 畦 移 民 を し て 真 正 の 自 由 移 民 た ら し む る 事 一 移 民 携 帯 金 保 証 に 関 す る 特 別 の 規 定 を 設 ら れ た き 事 一 現 任 布 畦 総 領 事 斎 藤 幹 氏 の 転 任 を 望 む 事 ㈲ 墨 国 移 民 に 関 す る 東 洋 移 民 会 社 の 弁 解 ( 一 )〔
八
月
五
日
〕
本 年 六 月 十 一 日 よ り 十 七 日 に 渉 り 墨 国 移 民 の 惨 状 と 題 す る 新 世 界 の 記 事 を 貴 紙 上 に 転 載 せ ら る 日 露 戦 争 連 勝 の 結 果 今 や 将 に 大 和 民 族 膨 張 の 一 大 機 運 に 向 は ん と し 移 民 事 業 拡 張 急 を 告 く る の 秋 に 当 り 移 民 思 想 発 達 上 妨 害 と な る べ き 記 事 を 見 て 之 を 黙 過 す る に 忍 び す 且 つ 其 出 稼 地 に 於 け る 移 民 の 真 相 が 彼 等 の 郷 里 た る 沖 縄 県 に 伝 は り 居 ら ざ る を 遺 撚 と し 弦 に 其 大 要 を 述 べ 併 せ て 新 世 界 の 記 事 が 其 事 実 を 誤 れ る 事 を 弁 明 す べ し 但 し 本 社 の 取 扱 に 係 る も の は 沖 縄 県 人 二 百 名 に し て 其 他 の 移 民 は 他 の 移 民 会 社 の 取 一 76 −一移 民 に 関 す る 新 聞 記 事 一 明 治38・39年 一 (田 港) 扱 に 属 す る も の な れ ぼ 其 取 扱 に 付 て は 本 社 の 与 か り 知 ら さ る 所 な り 抑 新 世 界 の 記 事 の 事 実 と し て 挙 く る 所 は 多 く は 我 社 に 関 せ ず 且 其 材 料 の 出 所 は 同 記 者 の 云 ふ 如 く な れ ば 逃 亡 移 民 の 陳 述 に 拠 る も の に し て 既 に 信 を 置 く へ き 値 な き こ と は 彼 等 逃 亡 移 民 は 己 の 非 を 掩 ふ が 為 め に 其 土 地 の 状 況 及 び 取 扱 会 社 の 事 を 悪 口 す る は 既 往 其 例 に 乏 し か ら ざ る に て 知 る べ く 況 ん や 此 の 記 事 が 嘗 て 本 社 が 通 弁 と し て 雇 入 れ 彼 地 に 派 遣 し 其 後 不 都 合 の 廉 あ り て 解 傭 し た る 其 の 手 に 成 れ る の 事 実 あ る こ と を 信 す べ き 事 由 あ る に 於 て お や 彼 は 移 民 の 通 訳 と し て 昨 年 七 月 よ り 同 年 三 月 下 旬 ま で 当 社 の 移 民 地 「 ラ ス 、 エ ス ペ ラ ン ザ ス 」 炭 山 に あ り し も の に し て 其 移 民 に 対 す る 不 親 切 な る の 故 を 以 て 昨 年 十 二 月 本 社 代 理 人 巡 回 の 際 解 傭 し た る も の に し て 其 後 熊 本 移 民 会 社 取 扱 移 民 の 通 訳 に し て 炭 坑 会 社 よ り 雇 は れ 居 り し も 其 移 民 を 煽 動 し 同 盟 罷 工 を 起 さ し め 又 在 墨 府 本
邦
公
使
館
に
趣
き
熊
本
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民
会
社
の
事
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諦
謳
し
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国
に
逃
亡 し た る も の な る が 故 に 此 の 記 事 も 亦 同 社 及 び 本 社 を 諜 謳 し 損 害 を 与 へ ん が 為 め に 掲 載 せ し め し こ と を 察 す べ く 本 社 が 移 民 の 安 寧 を 重 ん じ 其 福 利 を 増 進 せ ん こ と を 力 む る は 其 不 親 切 な り と 信 ず る 通 訳 を 解 雇 し 他 の 適 当 に し て 懇 切 な る 者 を し て 之 れ に 代 ら し め た る に て も 其 一 端 を 窺 ふ を 得 べ し こ れ 沖 縄 移 民 全 体 の 知 悉 す る 所 な り 左 れ ば 是 等 小 人 の 言 は 海 外 に 於 て は 信 せ ら れ ざ る も 移 民 の 郷 国 に 其 語 を 伝 播 せ し む る と き は 其 父 兄 の 移 民 を 思 ふ 切 な る が 為 め に 或 は 徒 ら に 憂 慮 す る あ ら ん こ と を 慮 り 著 し き 事 実 相 違 の 点 は 弁 明 す る の 止 む を 得 ざ る に 至 る 第 一 移 民 逃 亡 の 原 因 を 以 て 諸 物 価 の 高 き と 賃 金 の 割 合 に 廉 な り と に 帰 し 而 し て 従 来 幾 組 か の 労 働 者 を 送 り た る も 何 れ も 逃 亡 し た り と 云 ふ 是 れ 大 な る 誤 謬 な り 初 め て 「 エ ス ペ ラ ン サ ス 」 炭 坑 に 至 り し も の は 現 時 北 米 合 衆 国 「 ユ タ 」 州 「 ソ ル ト レ ー キ 」 に 住 す る 橋 口 某 と 云 ふ 者 に し て 同 人 は 同 炭 坑 に 運 動 し て 若 干 の 日 本 移 民 の 使 用 を 承 諾 せ し め 其 の 注 文 を 齎 ら し て 本 邦 に 帰 来 し 熊 本 移 民 会 社 を し て 所 要 の 移 民 を 送 ら し め 自 分 も 移 民 と 共 に 炭 山 に 着 す る や 否 や 言 語 不 通 な る 移 民 を 委 棄 し て 米 国 に 逃 亡 せ り 是 か れ を 以 て 直 に 失 敗 の 例 証 と は な す 可 ら ず 而 も 其 後 の 移 民 は 着 々 其 緒 に 就 き 今 日 に 於 て は 稻 や 大 成 の 域 に 近 つ き つ 〉 あ る に 於 て お や 一 77 一第 二 移 民 会 社 は 移 民 募 集 に 際 し 甘 言 を 以 て 彼 等 を 誘 惑 し 状 況 書 を 配 布 し て 之 れ を 欺 く と な せ り 他 の 移 民 会 社 は い ざ 知 ら ず 本 社 は 移 民 募 集 に 際 し 状 況 其 他 の 要 件 を 記 述 せ る 応 募 心 得 書 を 発 し 移 民 志 望 者 に 出 稼 地 の 状 況 を 知 悉 せ し む る こ と に 力 を 尽 せ り 「 エ ス ペ ラ ン サ ス 」 炭 坑 に 移 民 を 募 り た る と き の 如 き も 例 に よ り 詳 密 な る 応 募 心 得 書 を 発 し た る こ と は 県 下 一 般 の 知 る 所 に し て 其 事 項 は 一 々 本 社 の 代 理 人 が 親 し く 実 査 し た る 所 に し て 行 く 者 を し て 失 望 せ し め ざ り し の み な ら ず 大 に 其 業 に 安 せ し む る 所 以 な り ( 注 ) 『 沖 縄 県 史 』 第 19 巻 収 録 。 ㈹ 墨 国 移 民 に 関 す る 東 洋 移 民 会 社 の 弁 解 ( 二 )
〔
八
月
七
日
〕
第 三 収 得 支 出 を 示 し て 貯 蓄 を な し 得 ず と 云 ふ 其 の 表 の 示 す 所 に よ れ ぼ 一 見 余 財 な き も の 〉 如 し 然 れ ど も 仔 細 に 之 を 吟 味 す れ ぼ 項 目 金 高 に も 誤 あ る を 発 見 す る を 得 べ し 記 事 に は 一 ケ 月 一 人 の 採 炭 高 を 八 十 噸 内 外 と す れ と も 移 民 は 業 務 に 慣 る 〉 に 従 ひ 一 ケ 月 百 屯 以 上 を 採 掘 す る は 頗 る 容 易 の 業 な り と す 而 し て 今 仮 り に 一 歩 を 譲 り 一 ケ 月 八 十 噸 以 上 を 採 炭 し 得 さ る も の と す る も 其 項 中 十 弗 渡 航 費 弁 償 二 弗 保 証 金 と し て 積 立 と あ り 素 よ り 此 金 額 は 目 下 移 民 の 手 よ り 積 立 金 と し て 差 引 か れ あ る は 実 際 の 事 実 な る も 十 弗 は 本 社 が 先 き に 立 替 へ た る 渡 航 船 賃 其 他 雑 費 を 弁 償 す る も の に し て 永 久 の も の に 非 ら ず 立 替 金 額 に 達 す れ ぼ 其 上 は 差 引 か れ ざ る こ と は 素 よ り の こ と に て 就 業 後 十 八 ヶ 月 に 至 れ ば 全 然 差 引 か る 〉 こ と な し 尚 ほ 読 者 の 注 意 せ ら れ ん こ と を 望 む は 此 弁 償 船 賃 は 契 約 年 限 間 満 足 に 就 業 し た る も の に は 返 却 さ る 》 特 典 あ る こ と な り 然 れ ば 則 ち 移 民 の 貯 金 と し て 之 を 見 る へ き も の な り 又 二 弗 の 金 も 満 期 後 は 相 当 の 利 子 を 附 加 せ ら れ 全 額 返 却 を 受 く る も の な り 但 逃 亡 等 の 場 合 に は 没 収 さ る 〉 も の な る も 是 れ 当 然 の 事 に し て 会 社 の 蒙 む る 損 害 の 弁 償 の 一 部 だ に も 足 ら ざ る な り 然 れ ど も 約 を 守 り て 満 足 に 就 業 し 期 後 に 至 れ ば 前 述 の 如 く 往 航 船 賃 と 同 額 な る 金 員 と 共 に 返 却 を 受 け る を 以 て 純 然 た る 貯 蓄 に し て 移 民 の 所 得 た る や 明 か な り 古 特 典 の 如 き は 我 社 が 移 民 の 為 め に 利 益 を 計 り 尽 力 し た る 結 果 の 一 な り 一 78 一移 民 に 関 す る 新 聞 記 事 一 明 治 38 ・39 年 一 (田 港) 火 薬 料 と し て 五 弗 と 算 出 し あ る も 過 大 の 計 算 た る を 免 れ ず 始 め 不 馴 の 坑 夫 は 火 薬 を 使 用 す る の 途 を 知 ら ず 此 に 少 の 炭 塊 を 得 る に も 火 薬 を 用 ひ た る も 漸 次 其 使 途 を 知 る に 従 ひ 之 を 用 ふ る こ と 少 な く 今 や 八 十 噸 内 外 の 採 炭 に は 三 弗 以 内 に て 充 分 な り と す 且 腕 力 の 強 き も の に あ り て は 一 日 三 四 屯 を 掘 る に は 火 薬 を 用 ひ ざ る も の さ へ あ り 食 料 と し て 十 五 弗 を 費 す は 是 亦 誇 大 な り 墨 国 に て 割 合 に 不 廉 な る 米 と 肉 を 食 す る も 拾 弐 弗 内 外 に て 足 れ り 琉 球 移 民 に あ り て は 麦 粉 肉 等 を 常 用 と し 六 弗 乃 至 七 弗 位 に て 生 活 し つ 〉 あ り 入 浴 賃 の 如 き は 我 が 社 移 民 に あ り て は 全 然 雇 主 に 払 ひ 居 ら ざ る も 雇 主 は 日 本 風 の 入 浴 場 を 設 け 鉄 管 を 以 て 温 湯 を 送 付 す 然 れ ど も 移 民 中 虚 弱 の 者 あ る を 利 用 し 之 を し て 風 呂 場 の 掃 除 等 を な さ し め 其 賃 金 と し て 移 民 一 名 よ り 壱 ヶ 月 十 五 仙 宛 を 醸 出 し つ 〉 あ り 右 計 算 に よ る と き は 一 ケ 月 少 く と も 十 五 弗 を 余 し 得 て 加 ふ る に 他 に 十 二 弗 を 貯 蓄 し つ 〉 あ る な り 量 に 少 し と 云 ふ を 得 ん や 宜 な り 彼 等 移 民 は 続 々 我 社 の 手 を 経 て 家 族 に 送 金 す る も の あ る 也 彼 等 事 業 に 馴 る 〉 将 来 に 於 て は 随 分 多 額 の 収 入 あ る や 疑 を 容 れ ざ る な り 第 四 移 民 が 就 働 を 拒 む と き は 巡 査 は 鞭 捷 を 加 へ 移 民 を 奴 隷 視 す と な せ り 移 民 の 休 業 す る を 許 さ れ あ る は 日 曜 日 其 他 国 祭 日 病 気 の 場 合 等 な る も 病 気 の 際 に は 附 属 医 師 の 証 票 を 受 く る の 規 定 に し て 移 民 の 怠 慢 を 防 ぎ 規 律 を 守 ら し む る 為 な り 決 し て 記 事 に 云 ふ 如 く 直 に 巡 査 を 派 し て 無 理 に 就 働 せ し む る と 云 ふ 如 き こ と な し 移 民 の 故 な く 就 働 を 拒 む も の あ る と き は 通 訳 亦 は 監 督 を し て 移 民 に 懇 諭 せ し め 其 れ に て も 就 働 に 応 せ ざ る と き は 始 め て 相 当 の 手 続 を 踏 み て 巡 査 を し て 之 を 処 置 せ し む る な り 蓋 雇 主 が 当 然 採 る べ き 順 序 に し て 決 し て 移 民 を 虐 待 す る 意 思 あ る に 非 ら ず 又 鞭 燵 等 を 加 ふ る 事 決 し て 無 之 嘗 て 「 エ ス ペ ラ ン ザ ス 」 に 不 正 不 親 切 な る 巡 査 あ り し を 発 見 し て 会 社 代 理 人 は 直 に 炭 坑 会 社 に 厳 談 し 巡 査 の 職 を 解 か し め た る 程 に て 本 社 が 如 何 に 移 民 の 人 権 を 尊 重 す る か は 此 の 一 事 を 以 て す る も 知 る べ き な り
第
五
移
民
会
社
事
務
員
大
浦
某
桑
原
某
と
共
に
知
覚
を
失
ふ
迄
移 民 を 虐 待 し た り 是 れ 本 社 の 与 か り 知 ら さ る 所 に し て 大 浦 氏 桑 原 氏 な ど 果 し て 何 れ の 移 民 会 社 員 な る や 十 分 に 知 ら ざ れ ど も 兎 に 角 一 79 一当 社 移 民 に 干 与 す る の 権 な き 人 々 よ り 素 よ り 記 載 の 事 実 も 之 れ な き を 信 ず れ と も 若 し 万 々 一 に も 之 れ あ り た る と す れ ば 口 本 社 よ り 相 当 の 処 置 を 為 せ し な る べ く 移 民 に 於 て も 如 此 き 場 合 に は 墨 国 法 廷 に 訴 出 つ る こ と を 得 る の 権 あ る も の な り ( 注 ) 『 沖 縄 県 史 』 第 19 巻 収 録 。 ⑳ 墨 国 移 民 に 関 す る 東 洋 移 民 会 社 の 弁 解 ( 三 )
〔
八
月
一
一
日
〕
第 六 沖 縄 県 移 民 大 城 五 正 等 「 モ ス キ ス 」 牢 獄 に 送 り 粗 食 を 与 へ て 身 心 衰 弱 せ り と な せ り 逃 亡 者 を 牢 獄 に 投 す る は 墨 国 法 律 の 許 す 所 に し て 何 人 と 錐 も 其 国 に 入 る と き は 其 の 国 法 に 服 役 せ さ る 可 か ら ず 彼 等 の 罪 を 犯 し た る の 報 と し て 「 モ ス キ ス 」 に 送 ら る 〉 は 正 当 な り と す 彼 等 は 本 社 代 理 人 の 報 告 す る 所 に よ れ ば 彼 等 帰 坑 後 は 他 の 移 民 を 煽 動 し 逃 亡 を 企 つ る の 計 画 あ り し を 認 め た る を 以 て 他 の 移 民 と 混 合 せ し む の 危 険 な る を 感 じ 逃 亡 の 罪 を 以 て 殊 に 「 モ ス キ ス 」 の 獄 に 投 し た る も の な る も 本 社 の 代 理 人 か 同 獄 舎 の 模 様 を 取 調 べ た る に 「 モ ス キ ス 」 は 新 炭 山 の 所 在 地 に し て ( 現 今 日 本 移 民 の 就 業 せ る 炭 山 地 は コ ン キ ス タ と 称 し て 全 く 地 を 異 に す ) 樹 木欝
蒼
た
る
健
康
地
な
る
上
獄
舎
の
設
備
食
物
の
供
給
等
良
好
な
り
又 労 働 の 如 き も 甚 だ 困 難 な ら ず 其 取 扱 方 却 て 懲 戒 の 実 を 挙 ぐ る 能 は ざ る な き か の 虞 あ り と 云 ふ 此 事 は 弊 社 か 夙 に 聞 く 処 な り し も 囚 人 に 対 す る 取 扱 に し て 如 此 き は 固 と 事 理 を 失 せ る の み な ら ず 懲 戒 の 意 に も 違 ふ も の あ る を 以 て 心 窃 か に 其 実 否 を 疑 ひ 居 た る に 不 幸 前 記 の 如 く 其 の 事 実 を 認 め た る を 奈 何 せ ん 是 れ 労 働 者 矯 正 の 為 め に は 実 に 憂 ふ べ き こ と な る も 弊 社 は 不 得 止 此 の 例 規 に 従 は し め つ 〉 あ り 随 て 移 民 か 心 身 衰 弱 昔 日 の 面 影 を 止 め ず な ど 云 ふ は 荒 唐 無 稽 の 言 に し て 深 く 其 真 相 を 究 め ざ る 者 た る を 知 る べ し 第 七 ピ オ ネ ー ジ 法 律 を 行 は る と な せ り ピ オ ネ ー ジ 法 は 十 数 年 前 ま で は 行 は れ た る も の な る も 今 日 は 現 存 せ ず 現 今 は 移 民 と 錐 も 独 立 不 麗 の 人 民 に し て 日 本 人 は 墨 国 に 於 け る 白 人 及 び 墨 人 と 同 等 な る 権 利 を 有 す る も の に し て 決 し て 不 法 に 監 禁 さ る 〉 等 の こ と な し 従 て 記 事 に 在 る 如 き 事 実 の あ る べ き 理 な し 一 80 一移 民 に 関 す る 新 聞 記 事 一 明 治38・39年 一 (田 港) 第 八 移 民 会 社 の 悪 徳 と し て 自 弁 移 民 に 対 し て 毎 月 七 弗 を 弁 償 せ し め た り と せ り 本 社 が 昨 年 本 県 移 民 を 募 集 す る や 移 民 各 自 に 渡 航 費 の み な ら す 支 度 金 ま で を も 貸 与 し た り 自 弁 移 民 の 如 き 二 百 名 中 一 名 も な か り し は 明 か な る 事 実 に し て 之 れ に 対 し て 毎 月 十 弗 宛 差 引 く は 約 束 上 当 然 に し て 又 移 民 が 病 気 等 に し て 所 得 金 少 な き 時 は 彼 等 の 食 料 等 其 他 の 費 用 を 支 出 せ し め 残 余 あ れ ぼ 弁 償 金 を 納 れ し む る 故 移 民 は 毫 も 苦 痛 を 感 す る こ と な し 何 者 の 姦 徒 ぞ 無 根 の 事 実 を 構 造 し 移 民 会 社 を 中 傷 す る 思 ふ に 我 社 の 先 き に 解 雇 し た る を 含 み て 如 此 き 挙 に 及 び た る な ら ん 第 九 移 民 会 社 員 は 移 民 の 信 書 を 私 か に 開 封 す る も の と な せ り 移 民 は 直 接 に 郵 便 局 に 至 り 信 書 を 受 取 る こ と を 得 る 故 に 開 封 せ ら る 〉 恐 れ な し 又 信 書 を 発 せ ん と す る と き は 監 督 は 之 れ が 封 筒 を 書 き や り 万 事 の 世 話 を な せ り 監 督 は 務 め て 移 民 の 父 兄 に 其 土 地 の 実 状 を 知 ら し め ん と 欲 し 通 信 の 頻 繁 な ら ん こ と を 勧 誘 す 監 督 は 其 土 地 の 情 況 に 満 足 し 且 は 彼 等 の 自 身 の 移 民 取 扱 振 等 に 自 信 あ る も の 何 を 苦 ん で か 信 書 を 私 か に 開 封 す る の 要 あ ら ん や ( 注 ) 『 沖 縄 県 史 』 第 19 巻 収 録 。
㈲
墨
国
移
民
に
関
す
る
東
洋
移
民
会
社
の
弁
解
(
四
)
〔
八
月
一
三
日
〕
第 十 移 民 疾 病 の 際 冷 遇 す と な せ り 他 社 の 事 は 知 ら ず 本 社 は 移 民 の 為 め 特 に 雇 主 の 請 に 応 じ 日 本 医 師 を 送 り 移 民 の 診 察 治 療 に 従 事 せ し む 故 に 彼 等 を 冷 遇 す る こ と 断 じ て あ る 筈 な し 療 養 の 不 充 分 に し て 死 亡 者 を 出 す と 云 ふ 如 き 虚 構 も 亦 甚 だ し と 云 ふ べ し 見 よ 我 社 の 統 計 を 見 る に 沖 縄 県 移 民 に あ り て は 昨 年 出 稼 の 二 百 名 中 僅 々 二 名 の 死 亡 者 あ る の み 此 二 名 は 日 本 出 発 前 よ り 弱 身 の 輩 た り し な り 以 て 我 が 社 の 移 民 が 如 何 に 医 師 の 注 意 を 受 く る か を 知 る べ し 第 十 一 病 者 は 病 院 を 出 つ る も の 稀 な り と な せ り由
来
移
民
の
多
数
は
衛
生
思
想
発
達
せ
ず
動
も
す
れ
ば
摂
生
を
怠
り 医 師 の 注 意 に 背 き 為 め に 病 を 重 か ら し め 治 療 に 数 日 を 費 す こ と あ る も 医 師 の 冷 遇 な ど 夢 に だ も な き 所 な り 本 社 は 新 世 界 の 記 事 に 対 す る 誤 謬 の 点 を 正 す 為 め に 弁 明 一 81 一せ り と 信 ず る 故 に 是 れ よ り 沖 縄 県 人 移 民 の 目 下 働 き つ 〉 あ る エ ス ペ ラ ン ザ ス の 実 況 に 就 き 移 民 の 生 活 状 態 を 写 出 し 移 民 父 兄 諸 君 並 に 世 人 に 紹 介 す べ し 現 下 沖 縄 県 移 民 の 居 住 す る 個 所 は 坑 外 の 気 候 は 梢 温 和 の 方 に し て 家 居 は 弐 百 名 に 対 し 十 四 軒 あ り 内 弐 軒 は 他 の 者 よ り 広 大 に し て 両 側 に 寝 所 を 設 け 中 央 に 食 堂 あ り て 通 路 は 中 央 を 横 に 貫 通 し 各 軒 六 十 名 を 容 る 〉 を 得 他 は 五 間 に 二 間 半 に し て 外 側 に 炊 事 場 を 設 け 其 ス ト ー ブ の 如 き も 雇 主 よ り 之 を 供 給 せ り 而 し て 沖 縄 県 人 は 其 部 落 を 異 に す る 者 は 一 所 に 集 ら ざ る の 習 慣 あ る 故 漸 く 六 七 名 宛 団 樂 す る に 止 る の み 移 民 は 甚 だ 衛 生 思 想 に 乏 し く 医 師 及 び 監 督 の 注 意 を 与 ふ る 事 屡 ぼ な る も 之 れ を 怠 る の 癖 あ り 然 れ と も 漸 次 其 風 を 改 良 し つ 〉 あ る も の 》 如 し 早 起 晩 臥 は 彼 等 に 望 む 可 か ら ざ る 所 に し て 毎 朝 六 時 の 定 時 に 就 業 す る は 稀 に し て 多 く は 七 時 後 な ら で は 坑 に 入 る 能 は ず 而 し て 午 後 五 時 に 休 働 す る は 常 規 な る も 二 三 時 頃 に 至 れ は 坑 外 に 出 で 規 律 を 重 ん ぜ ざ る の 風 あ り 若 し 果 し て 定 時 間 通 り 就 働 す る と き は 現 今 採 炭 高 二 四 割 を 増 加 す る は 容 易 の 事 な り と す 唯 彼 等 は 仕 事 上 に 於 て は 規 則 正 し く 就 働 し 採 掘 の 方 法 の 如 き 教 導 せ ら れ た る 如 く し 敢 て 我 意 を 挾 ま ず 此 点 に 於 て は 彼 等 は 至 る 所 好 評 を 博 せ り 労 働 を 止 め て 帰 り 来 れ ば 先 づ 入 浴 し て 食 事 を な し 三 味 線 な と 弾 き 戯 れ 又 は 公 園 等 に 出 掛 け て 墨 国 人 と 親 し く 散 策 を 試 み 又 は 酒 屋 に 至 り 麦 酒 を 傾 け 微 醸 を 帯 び て 楽 し そ う に 還 家 す る も の あ り 以 て 其 生 活 に 安 ん す る の 情 を 知 る を 得 べ し 彼 等 は 家 に あ り て 常 食 と す る は 米 麦 粉 豆 山 羊 肉 に し て 山 羊 は 一 頭 弐 円 乃 至 弐 円 五 拾 仙 位 な る を 以 て 他 に 比 し て 廉 な る か 故 常 に 之 を 用 ふ る に 難 か ら ず 殊 に 其 腸 の 如 き は 彼 等 の 最 も 好 む 所 に し て 一 箇 十 銭 位 に て 購 ひ 得 ら れ 七 八 名 に て 食 す る に 足 り 食 費 も 比 較 的 廉 価 に て 支 る を 得 知 る べ し 壱 ケ 月 拾 五 弗 な ど の 巨 額 に 達 す る こ と な き を 本 県 移 民 の 特 色 と も 云 ふ べ き は 性 至 極 柔 順 に し て 概 し て 腕 力 強 く 採 掘 坑 業 に 適 す る に あ り 然 れ ど も 其 欠 点 と し て は 未 だ 慣 れ ざ る 故 か 坑 内 作 業 も 他 府 県 人 の 如 く 巧 妙 な ら ず 危 険 に 対 す る 準 備 等 も 其 眼 前 に 迫 る に 非 さ れ ぼ 之 れ が 設 備 を な さ ず 為 め に 往 々 危 険 に 瀕 す る こ と さ へ あ り た り 是 れ 等 は 将 来 本 県 移 民 の 特 に 注 意 を 払 は れ ん 一 82 一