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(2) 集合入門 — 2012 年改訂版 酒井 克郎, 集合と写像の基礎概念 Katsuro Sakai, Basic Concepts of Sets and Maps c 2012 K. Sakai.
(3) 集合と写像の基礎概念. はじめに 集合と写像の概念は , 現代数学の土台である. 何故なら , 集合の上に様々な数学的 構造を導入することにより, 数学の理論が展開されるからである. 「集合入門」の 講義では , 集合と写像に関する基礎的な概念や性質などを学び , 集合の濃度や整列 集合といった新しい概念に関しても学ぶが , こうした概念の理解や知識の習得だけ が目標なのではなく, 集合や写像に関する命題の証明が書けるようになること , 商 集合の扱いになれ , well-definedness に対する認識を持てるようになることも大切 な目標となっている. それによって , 数学の様々な理論がきちんと理解できるよう になるからである. こうした目標は , 講義や演習で板書されたものをノートに写す だけでは達成できない. 学生自身が自分で考えて, 自分で証明を書き上げるといっ た能動的な学習が不可欠である. このために , 講義と演習の両方で用いる学習帳と して準備された. —「本書の用い方」を参照. 4 章までに , 集合と写像に関する基礎的事項を扱い, 集合や写像に関する命題を どのように証明するかを学ぶ. 現代数学を学ぶ上で , 集合族と商集合の概念は不可 欠であり, 2.3, 4.1, 4.2, 4.4 節ではこれらの概念を扱う. 5 章では , 自然数から始め て , 整数, 有理数, 実数, 複素数がど のように構成できるか示す. この章では , 目的 に応じて取捨選択して扱うことができる. 商集合の扱いに慣れさせることが目的 ならば , 5.3, 5.4, 5.5 節から 1 節だけを扱ってもよい. 6 章以降は , 集合論の初等的 部分であり, 集合の濃度, 整列集合, 順序数などを扱う. 7 章で扱うツォルンの補題 や超限帰納法は , 数学の様々な分野で用いる重要な道具である. 8 章では , 順序数 を扱っているが , 省いてもよい . 本書は講義と演習において , 実際に何度か用いながら改訂を重ねて作られたもの である. 演習を担当された先生方をはじめ多くの方々から , 様々なご意見を頂き感 謝致します. 特に , 渕野 昌 氏, 塩谷 真弘 氏, 嶺 幸太郎 氏からは建設的で有益なご 意見を頂き感謝致します. 非力のために頂いたご意見が , まだ十分に反映されてい ないところもあり, 思わぬ間違いなどもあるかもしれません . さらに改善のための ご意見やご提案あれば , 心から歓迎致します.. 2011 年 8 月 c 2011 K. Sakai. i. 酒井 克郎.
(4) 本書の用い方 本書は , 「はじめに」で述べたように , 「集合入門」の講義と演習の両方で用い る学習帳として準備された. 普通の教科書とは違い, 定理や補題などの証明の多く は , その方針や概略にとどめ, 簡単な命題は演習としてある. 学生各自が詳細な証 明を与え, 自分自身の講義録を完成させることを意図している. 定理や補題などの 証明の詳細は講義で行うが , まず自分自身で証明を試みることをお勧めする. 少な くとも証明しようとしている命題は何を主張しているのか , 関係する概念はど の ような定義であったか , どんな方針で証明を行うのか , など 予め考えて講義に臨む なら , 講義で行う証明が複雑であっても, それについて行くことが出来るであろう. 演習は必ず自分で証明を試みて頂きたい. ヒントがあるものでも, まずヒントを見 ずに考えて, ど のように考えたらよいのか , 何をしたらよいか , 見当のつかない時 に参照すべきである. ヒントはある証明を念頭において書かれていること, また別 の証明もあり得ることを思いに留めておくべきである. 講義で時間が許せば , 演習 のヒントを扱い, 証明のポイントを説明する.1 講義を行う教師が , 学生や目的や状況に応じて , 講義で扱う内容を取捨選択して 用いることも意図している. 場合によっては , 講義で定理や補題などの証明を概略 に留め, 詳細な証明は演習にまわしてもよいし , 逆に , 演習を講義で詳細な証明を 与えてもよい. 発展事項や補足事項は , 関心のある学生や細かいことが気になる学 生のためのものであり, 講義では一般に扱わない. 本書の内容は , 5 章を除き, 松坂和夫 著「集合・位相入門」の前半部分に対応し ているので , この本を参照すれば , 証明の詳細が分かる. この本以外にも, 同じ範囲 を扱った多くの教科書が出版されている. 演習を行う場合や予習, 復習を行う場合 に , そうした本を活用できる. 田中・鈴木 共著の「数学のロジックと集合論」は 5 章の参考になる. 5.7 節は 吉永悦男 著「初等解析学」を参照すれば , 証明の詳細が 分かる. また, 証明を自分のノートにまとめる際には , 一楽重雄 監修「集合と位相 そのまま使える答えの書き方」は参考になる. よく理解できないところは , 一人で 悩まず躊躇せずに先輩や教師などに相談すべきである. 参考書. • 一楽重雄 (監修) : 集合と位相 — そのまま使える答えの書き方, 講談社サイエンティ フィク, 2001. • 松坂和夫 : 集合・位相入門, 岩波書店, 1968. • 田中一之, 鈴木登志雄 : 数学のロジックと集合論, 培風館, 2003. • 吉永悦男 : 初等解析学 — 実数+イプシロン・デルタ+積分, 培風館, 1994. • J.M. ヘンレ( 一松 信 [訳] ): 集合論問題ゼミ, シュプリンガー・フェアラーク, 東 京, 1992; [原書] James M. Henle, An Outline of Set Theory, Springer-Verlag, New York, 1986; 1. J.M. ヘンレ の「集合論問題ゼミ」のような用い方をしてもよい. — 同書の序文を参照.. ii.
(5) 目次 1. 2. 3. 4. 5. 6. 集合と条件 . . . . . . . . . . . . . . . . . 1.1 集合と要素 . . . . . . . . . . . . . 1.2 条件および “ならば ” とその否定 . 1.3 全称記号と存在記号 . . . . . . . . 集合の演算 . . . . . . . . . . . . . . . . . 2.1 和集合, 共通部分, 差集合, 補集合 . 2.2 直積集合 . . . . . . . . . . . . . . . 2.3 巾集合と集合族 . . . . . . . . . . . 写像 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 3.1 写像の概念 . . . . . . . . . . . . . 3.2 写像による像および逆像 (原像) . . 3.3 全射, 単射, 全単射 . . . . . . . . . 3.4 写像の合成 . . . . . . . . . . . . . 選出公理 (選択公理), 順序, 同値関係 . . . 4.1 無限直積集合 . . . . . . . . . . . . 4.2 選出公理 (選択公理) . . . . . . . . 4.3 順序 . . . . . . . . . . . . . . . . . 4.4 同値関係と商集合 . . . . . . . . . . 数の体系 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 5.1 代数的構造 . . . . . . . . . . . . . 5.2 自然数 — ペアノの公理 . . . . . . 5.3 整数 . . . . . . . . . . . . . . . . . 5.4 有理数 . . . . . . . . . . . . . . . . 5.5 実数 — コーシー列 . . . . . . . . . 5.6 複素数 . . . . . . . . . . . . . . . . 5.7 デデキントの切断による実数の構成 集合の濃度 (基数) . . . . . . . . . . . . . . 6.1 集合の対等, 濃度 . . . . . . . . . . 6.2 濃度の大小関係 . . . . . . . . . . . 6.3 可算集合と非可算集合 . . . . . . . 6.4 濃度の演算 . . . . . . . . . . . . .. iii. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .. 1 1 2 4 7 7 9 11 16 16 18 19 21 24 24 25 28 32 34 34 36 42 45 47 52 52 55 55 56 58 61.
(6) 7. 8. 整列集合とツォルンの補題 . . . . 7.1 順序同型 . . . . . . . . . . 7.2 整列集合 . . . . . . . . . . 7.3 ツォルンの補題と整列定理 7.4 ツォルンの補題の応用 . . 順序数 (序数) . . . . . . . . . . . 8.1 順序数の大小関係 . . . . . 8.2 順序数の演算 . . . . . . .. . . . . . . . .. . . . . . . . .. . . . . . . . .. . . . . . . . .. . . . . . . . .. . . . . . . . .. . . . . . . . .. . . . . . . . .. . . . . . . . .. . . . . . . . .. . . . . . . . .. . . . . . . . .. . . . . . . . .. . . . . . . . .. . . . . . . . .. 前半部分における達成目標 1, 2 章 : 集合算に関する命題の証明を書けるようになること 3, 4 章 : 写像に関する命題の証明を書けるようになること 5 章 : 商集合に慣れ , well-definedness を調べる必要性を理解すること (5 章は状況に応じて取捨選択して扱ってよい.). iv. . . . . . . . .. . . . . . . . .. . . . . . . . .. . . . . . . . .. 66 66 67 70 71 74 74 76.
(7) 1 1.1. 集合と条件 集合と要素. 集合 [set] とは , “範囲のはっきりしているものの集まり” のことであり, “どんな ものをとっても, それがその集まりの中にあるかないかが判定できる” ようなもの でなければならない. 一般に , 集合は英語のアルファベットの大文字 A, B, . . . , M, N, . . . , X, Y , . . . で表す. A という集合に入っている個々の “もの” を , A の元 (または要素)[element] と呼ぶ. 一般に , 元は小文字 a, b, . . . , x, y, . . . で表す. 注意: 集合に関して, 正確な議論を厳密に行うには , 数理論理学上の公理的な 議論は避けられないが , ここでは数理論理学の使用や公理的議論は避け直観的 な立場で扱う.. 元 a, b, c, x, y から成る集合を {a, b, c, x, y} と表す. ここで , 元の順序を変えて {y, x, a, c, b} と書いても, また同じ元を繰り返して {a, a, a, b, c, x, x, y} と書いても 同じ 集合を表す. さらに , 同じ 元であっても異なる文字を用いて表す場合もある ので , 注意が必要である. 例えば , a = b であれば {a, b, c} = {a, c} であり, 逆に {a, b, c} = {a, c} であれば , a = b または b = c である. 元が a だけから成る集合 は {a} となる. このとき, 一般に a = {a} であることに注意せよ. 何も集めていな くても集合と考え , 空集合 [empty set] と呼び , { } または ∅ と表す. すなわち, 空 集合は元を持たない集合である. “a が集合 A の元である” ということをつぎのように表す:. a ∈ A (または , A ∋ a) このとき, “a は A に属す”, “a は A に含まれる”, “A は a を含む” などとも言う. 上記の否定をつぎのように表す:. a ∈ A (または , A ∋ a) 2つの集合 A, B に対して , B の元がすべて A の元になっているとき, すなわち, B が A の元以外の元を持たないとき, B は A の部分集合 [subset] であるといい, つぎのように表す: B ⊂ A (または , A ⊃ B) このとき, “B は A に含まれる”, “A は B を含む” などとも言う. この否定をつぎ のように表す: B ⊂ A (または , A ⊃ B) どんな集合 A に対しても, 空集合 ∅ は A の元以外の元を含まないので , ∅ ⊂ A と なる. 同じ元から成っている集合は同じものであるので , A ⊂ B かつ B ⊂ A であ るとき, A = B となる. また, a ∈ A と {a} ⊂ A は同じことを意味する. A ⊂ B. 1.
(8) かつ A = B であるとき, A は B の真部分集合 [proper subset] であるといい, つぎ のように表す: A B (または , B A) 数学の各分野で頻繁に現れるいくつかの基本的な集合は , 固有の記号で表される.. • 自然数全体2 — N • 整数全体 — Z • 有理数全体 — Q • 実数全体 — R • 複素数全体 — C. (natural numbers の頭文字) ;. ω = N ∪ {0}. (Zahlen [独語:数 (複数)] の頭文字, 英語では integers) (quotient [商] の頭文字か (?), 英語では rational numbers) (real numbers の頭文字) (complex numbers の頭文字). このとき, N ω Z Q R C. 無からの創生: 空集合 ∅ を集合であると認定すれば , 元が1つから成る集合 1 = {∅} が定義できる. ∅ = 1 であるから , 2 = {∅, 1} は2つの元からなる 集合である. さらに , 自然数 n に対応する集合 n が n = {∅, 1, . . . , n − 1} と 定義できる. (∅ = { } と表せば , 1 = {{ }}, 2 = {{ }, {{ }}}, . . . と括弧だ らけ !) この様にして , 得られる n 全体を N と表す. 零を 0 = ∅ と定義して, N ∪ {0} = ω と書く. この N (または ω) から Z, Q, R, C を構成することが でき, まさに無 (空集合) からすべてが生まれる. この構成法は 5 章で学ぶ.. 1.2. 条件および “ならば ” とその否定. 条件 P の否定を ¬P と書く. 例えば , ¬(a ∈ A) は a ∈ A のことである. 2つの 条件 P , Q に対して , “P ならば Q である” ということをつぎのように書く:. P ⇒ Q (または , Q ⇐ P ) このとき, P は Q であるための十分条件 [sufficient condition], Q は P であるた めの必要条件 [necessary condition] であるという. これは “P が成立するときには , 必ず Q も成立する” という意味であり, “Q が成立しないなら P も成立していな い” ということになるので , P ⇒ Q と ¬Q ⇒ ¬P は同じことを意味している.3 後 者は前者の対偶 [contraposition, contrapositive] と呼ぶ . また , Q ⇒ P を P ⇒ Q の逆 [converse], ¬P ⇒ ¬Q を P ⇒ Q の裏 [inverse] と呼ぶが , 裏は逆の対偶であ り, 同じことを意味している. ここで , P ⇒ Q が真であっても, その逆 (裏) は必ず しも真であるとは限らないことに注意せよ. P ⇒ Q と Q ⇒ P が共に真であると 2. 自然数を 0 から始めるか 1 から始めるか意見の分かれるところだが , 本書では , N には 0 を含 めず , 0 を含めたい場合には ω で表す. 3 記号論理学においては , P と Q は無関係な条件であってもよい. すなわち, P と Q の間に特 別な関係を要求しない.. 2.
(9) き, P と Q は互いに同値 [equivalent] であるとか , P は Q であるための必要十分 条件 [necessary and sufficient condition] であるといい , つぎのように書く:4. P ⇔Q P ⇒ Q の否定 ¬(P ⇒ Q) は , P ⇒ Q とも書くが , “P が成立するときには , 必 ず Q も成立する” ということの否定なので , “P が成立しても Q が成立しない” ということ, すなわち, “P と ¬Q が共に成立する” ということを意味する. さら に , P ⇔ Q の否定は P ⇒ Q または Q ⇒ P のことであり, P ⇔ Q と書く. まと めると , つぎのようになる: • P ⇒ Q は “P と ¬Q が共に成立する” という意味である. • P ⇔ Q は “[P かつ ¬Q] または [Q かつ ¬P ] が成立する” という意味である. 注意: P ⇒ Q は P ⇒ Q の否定なので , “P と ¬Q が共に成立することはない” ということ, 言い換えれば , “¬P または Q が成立する” ということを意味するが , このことは , “P が成立するときには , 必ず Q も成立する” というとき, “P が成立 しないときには , Q に関して (成立するかしないか ) 何も言及していない” という ことに注意すれば理解できることである.5 同じ陳述や式であっても, 一般には複数の対象が関係しているので , どの対象に 注目するかで見方が変わる. それで , 議論している条件が , どの対象に関する条件 なのか識別することは大切である. 例えば , “同じ 元から成っている集合は同じも のである” ということを示すつぎの記述について考える:. . A=B ⇔ x∈A⇔x∈B. 右側の [ ] の中は , x に関する2つの条件が同値であることを示していて , 全体とし て A と B に関する条件となり, それが左側の [ ] の中の A と B に関する条件と 同値になるということを示している. つぎの部分集合に関する記述も同様である:. . A⊂B ⇔ x∈A⇒x∈B. 集合 M の元 x に関する条件 P (x) に対し , P (x) を満たす x ∈ M 全体からなる M の部分集合をつぎのように書く:. {x ∈ M | P (x)} 4. 日常会話において “P ならば Q である” というとき, 暗黙のうちに , “P でなければ Q でな い” (裏) ということまで意味することが多いが , これは “Q ならば P である” (逆) と同じことを 意味するので , P が Q であるための必要十分条件であると言っていることになる. 英語で ⇔ を正 確に言い表すには , “if and only if” と言えばよい. 数学用の造語で “iff” と書くこともある. 5 脚注 3 を参照.. 3.
(10) 実数 a < b に対して , a, b を端点とする閉区間, 開区間, 右半開区間, 左半開区間は それぞれつぎのように定義できる:. [a, b] = {x ∈ R | a x b}, (a, b) = {x ∈ R | a < x < b},. [a, b) = {x ∈ R | a x < b}, (a, b] = {x ∈ R | a < x b}.. さらに , a ∈ R に対して , つぎのような区間も定義できる:. [a, ∞) = {x ∈ R | x a}, (a, ∞) = {x ∈ R | x > a},. (−∞, a] = {x ∈ R | x a}, (−∞, a) = {x ∈ R | x < a}. 集合 M の元 x に関する条件 P (x), Q(x) によって,. A = {x ∈ M | P (x)}, B = {x ∈ M | Q(x)} と定義されているとき, つぎが成り立つ:. A ⊂ B ⇔ P (x) ⇒ Q(x) ラッセル 6 の逆理 [Russell’s Paradox]: “すべての集合の集まり” を Ω とする. もし Ω が集合ならば Ω ∈ Ω となる. 自分自身を元として含まない集合を第 I 種と呼び , 第 I 種でない集合, すなわち自分自身を元として含む集合を第 II 種と呼ぶことにする. このとき, 空集合 ∅ は第 I 種, Ω は第 II 種の集合とい うことになる. 第 I 種の集合全体を A とすると , A は Ω の部分集合となり, 第 I 種であるか第 II 種である. A が第 I 種なら A の定義から A ∈ A となり, 第 II 種となってしまう. A が第 II 種なら A の定義から A ∈ A となり, 第 I 種となってしまう. この様に , 単に “ものの集まりが集合である” という定義 では , 矛盾が生じてしまう. そこで, 集合と認定できるものから始めて , ある 確かな操作で作れるもののみを集合として扱うならば , このような問題が生じ ない.7. 1.3. 全称記号と存在記号. 集合 M の元 x に関する条件を P (x) とするとき, “すべての x ∈ M に対して , P (x) が成立する” あるいは “すべての x ∈ M は P (x) を満たす” ということをつ ぎのように書く:8 ∀x ∈ M, P (x) 6. Bertrand Arthur William Russell, 1892–1970. 上で述べた A (第 I 種の集合全体) のように集合やものを集めたものが , 集合とみなせないと き, これを (真の) クラス [(proper) class] という. 集合もクラスと考えられるが , 集合が他の集合 の要素になることができるのに対して, 真のクラスは他の集合の要素 (あるいは自分自身の要素) に なることはできない. 真のクラスの例としては , 上の A の他にも, 群全体からなるクラスや, 8 章 で扱う順序数の全体からなるクラスなどがある. 8 For all x ∈ M , P (x). 7. 4.
(11) また, “P (x) が成立するような x ∈ M が存在する” あるいは “P (x) を満たす x ∈ M が存在する” ということをつぎのように書く:9. ∃x ∈ M, P (x) (または , ∃x ∈ M such that P (x)) 記号 ∀ を全称記号 [universal quantifier], ∃ を存在記号 [existential quantifier] と呼 ぶ. 集合の言葉で表現するなら , ∀x ∈ M, P (x) は {x ∈ M | P (x)} = M を意味 し , ∃x ∈ M, P (x) は {x ∈ M | P (x)} = ∅ を意味する. それぞれの否定はつぎの ようになる: • ∀x ∈ M, P (x) の否定は ∃x ∈ M, ¬P (x) • ∃x ∈ M, P (x) の否定は ∀x ∈ M, ¬P (x). 集合 M の元 x に関する条件 P (x), Q(x) に対して , P (x) ⇒ Q(x) の否定は P (x) かつ ¬Q(x) であったので , • ∀x ∈ M, (P (x) ⇒ Q(x)) の否定は , ∃x ∈ M such that P (x) and ¬Q(x) ということになる.. 注意: 板書や書籍では , [∀x ∈ M, (P (x) ⇒ Q(x))] と書くべきところを省略して 単に [P (x) ⇒ Q(x)] と書くことが多い . 本来, P (x) ⇒ Q(x) は集合 M の元 x に 関する条件であって , x ∈ M によって P (x) ⇒ Q(x) の真偽は変わり得る. 実際,. {x ∈ M | P (x) ⇒ Q(x)} = {x ∈ M | Q(x) かつ ¬P (x)} は M に等しいとは限らない. 一方, [∀x ∈ M, (P (x) ⇒ Q(x))] は上の集合が M に等しくなること , すなわち. {x ∈ M | P (x)} ⊂ {x ∈ M | Q(x)} となることを意味している. それで , 厳密には , ∀x ∈ M は省略すべきではないが , 文脈から P (x) ⇒ Q(x) が x に関する条件なのか , ∀x ∈ M, (P (x) ⇒ Q(x)) から ∀x ∈ M を省略したものなのかが判断できる. 板書や書籍で P (x) ⇒ Q(x) と出て きたら , ∀x ∈ M が省略されたものなのか , 本来のものなのか , 文脈を考慮して見 極め, 必要に応じて ∀x ∈ M を補う必要がある. このような訳で , ∀x ∈ M が付い ていなくても, P (x) ⇒ Q(x) の否定には , ∃x ∈ M を付け ∃x ∈ M such that P (x), ¬Q(x) としなければならないことも多い. 集合 {1, 2, . . . , n} や実数の区間 (0, ∞), [a, b], . . . , などに対して全称記号や存在 記号が用いられる場合が多いが , つぎのように略記することが多い:. ∀i = 1, . . . , n; ∃i = 1, . . . , n; ∀ε > 0; ∃δ > 0; a ∀t b; a ∃s b.. 9. There exists x ∈ M such that P (x).. 5.
(12) 全称記号 ∀ と存在記号 ∃ を含む陳述は , ∀ と ∃ の順序が違えば意味がまったく 異なる. 例えば , A, B ⊂ N に関する次の 2 つ陳述を考えよ:. ∀n ∈ A, ∃m ∈ B, n < m,. ∃m ∈ B, ∀n ∈ A, n < m.. (1) (2). (1) における m はその前に書かれている n に依存しており, 別の n に対しては別 の m で条件を満たせばよいが , (2) における m はその後に書かれている n に依 存しておらず , どんな n に対しても同じ m で条件を満たさなければならない. (1) は , A を偶数全体とし B を奇数全体としても成り立つので , A の元の数が無限個 であってもよいが , (2) では , A の元の数は有限個でなければならない.. 微積分と線形代数の復習 以下の演習問題は微積分と線形代数で学んだ事柄の復習である.. 演習 1.1 以下の定義とその否定を記号 (∀, ∃, ⇒ etc.) を用いて表せ. (1) 実数列 (xn )∞ n=1 が x0 ∈ R に収束する. (limn→∞ xn = x0 ) ∞ (2) 実数列 (xn )n=1 が ∞ に発散する. (limn→∞ xn = ∞) (3) 実数列 (xn )∞ n=1 はコーシー列である. (4) 部分集合 A ⊂ R は上に有界である. (5) x0 ∈ R は A ⊂ R の上限である. (sup A = x0 ) (6) 関数 f : R → R が x0 ∈ R において連続である. (7) 関数 f : R → R が一様連続である. 演習 1.2 以下の定義とその否定を記号 (∀, ∃, ⇒ etc.) を用いて表せ. (1) x1 , . . . , xk ∈ Rn が一次独立である. (2) x1 , . . . , xk ∈ Rn が Rn の基底である. (3) 写像 f : Rn → Rm が線形写像である.. 6.
(13) 2 2.1. 集合の演算 和集合, 共通部分, 差集合, 補集合. 集合 A と B の元全体からなる集合を A ∪ B と表し , A と B の和集合 [union] と呼ぶ. このとき, x ∈ A ∪ B ⇔ x ∈ A または x ∈ B 和集合 A ∪ B は A と B を共に含む最小の集合である. すなわち,. A ⊂ A ∪ B, B ⊂ A ∪ B;. A ⊂ C, B ⊂ C ⇒ A ∪ B ⊂ C. (最小性). 最小性の証明 x ∈ A ∪ B とすると , x ∈ A または x ∈ B x ∈ A のとき, A ⊂ C より x ∈ C ; x ∈ B のとき, B ⊂ C より x ∈ C ど ちらにしても, x ∈ C ∴ A ∪ B ⊂ C. また , A と B に共通に含まれる元全体からなる集合を A ∩ B と表し , A と B の 共通部分 [intersection] と呼ぶ. このとき,. x ∈ A ∩ B ⇔ x ∈ A かつ x ∈ B 共通部分 A ∩ B は A と B に共に含まれる最大の集合である. すなわち,. A ∩ B ⊂ A, A ∩ B ⊂ B;. C ⊂ A, C ⊂ B ⇒ C ⊂ A ∩ B. (最大性). 最大性の証明 x ∈ C とすると , C ⊂ A より x ∈ A, また C ⊂ B より x ∈ B これは x ∈ A ∩ B を意味する ∴ C ⊂ A ∩ B. 一般に , A ∩ B = ∅ のとき, A と B は交わる [meet, intersect] といい, A ∩ B = ∅ のとき , A と B は交わらない [miss, disjoint] あるいは互いに素であるという. な お, 記号 ∪ はカップ [cup] と呼び , ∩ はキャップ [cap] と呼ぶ. 以下の基本的な性質が成り立つ:. (1) A ∪ A = A; A ∩ A = A — 巾等律 [idempotent law] (2) A ∪ B = B ∪ A; A ∩ B = B ∩ A — 可換律 [commutative law] (3) (A ∪ B) ∪ C = A ∪ (B ∪ C); (A ∩ B) ∩ C = A ∩ (B ∩ C) — 結合律 [accosiative law] (4) (A ∪ B) ∩ C = (A ∩ C) ∪ (B ∩ C); (A ∩ B) ∪ C = (A ∪ C) ∩ (B ∪ C) — 分配律 [distributive law] (5) (A ∪ B) ∩ A = A; (A ∩ B) ∪ A = A — 吸収律 [absorptive law] 上の (3) の和集合と共通部分は , それぞれ A ∪ B ∪ C, A ∩ B ∩ C と書いてもよい.. 7.
(14) 証明10 (1)–(3) は定義より明らか .. (4) (前半の分配律) x ∈ (A ∪ B) ∩ C とすると , x ∈ C さらに x ∈ A ∪ B より, x ∈ A または x ∈ B x ∈ A のとき, x ∈ C より x ∈ A ∩ C; x ∈ B のとき, x ∈ C より x ∈ B ∩ C ∴ x ∈ (A ∩ C) ∪ (B ∩ C) ∴ (A ∪ B) ∩ C ⊂ (A ∩ C) ∪ (B ∩ C). A ∩ C ⊂ A, B ∩ C ⊂ B より, (A ∩ C) ∪ (B ∩ C) ⊂ A ∪ B A ∩ C ⊂ C, B ∩ C ⊂ C より, (A ∩ C) ∪ (B ∩ C) ⊂ C ∴ (A ∩ C) ∪ (B ∩ C) ⊂ (A ∪ B) ∩ C. ∴ (A ∪ B) ∩ C = (A ∩ C) ∪ (B ∩ C). (4) (後半の分配律) x ∈ (A ∪ C) ∩ (B ∪ C) とすると , x ∈ A ∪ C かつ x ∈ B ∪ C x ∈ C のとき, x ∈ A かつ x ∈ B より x ∈ A ∩ B すなわち, x ∈ A ∩ B または x ∈ C となるので , x ∈ (A ∩ B) ∪ C ∴ (A ∪ C) ∩ (B ∪ C) ⊂ (A ∩ B) ∪ C A ⊂ A ∪ C, B ⊂ B ∪ C より, A ∩ B ⊂ (A ∪ C) ∩ (B ∪ C) C ⊂ A ∪ C, C ⊂ B ∪ C より, C ⊂ (A ∪ C) ∩ (B ∪ C) ∴ (A ∩ B) ∪ C ⊂ (A ∪ C) ∩ (B ∪ C) ∴ (A ∩ B) ∪ C = (A ∪ C) ∩ (B ∪ C). (5) 分配律, 巾等律, 交換律により, (A ∪ B) ∩ A = A ∪ (B ∩ A) = (A ∩ B) ∪ A A ⊂ A ∪ B より, A ⊂ (A ∪ B) ∩ A; A ∩ B ⊂ A より, (A ∩ B) ∪ A ⊂ A ∴ (A ∪ B) ∩ A = (A ∩ B) ∪ A = A. 集合 A の元で B に属さないもの全体からなる集合を A \ B と表し , A と B の 差集合 [difference] と呼ぶ.11 すなわち,. x ∈ A \ B ⇔ x ∈ A かつ x ∈ B 特に , B ⊂ A の場合, A \ B は B の A における補集合 [complement] と呼ぶ.. 演習 2.1 以下を証明せよ: (1) A \ B = A ⇔ A ∩ B = ∅ (2) A \ B = ∅ ⇔ A ⊂ B (3) (A \ B) \ C = A \ (B ∪ C) (4) A \ (B \ C) = (A \ B) ∪ (A ∩ C) 集合 X の部分集合のみを対象とする場合, X を普遍集合 [universal set] と呼ぶ. この場合には , A (⊂ X) の X における補集合を単に A の補集合といい, Ac と表 す. このとき , A, B ⊂ X に対して , A \ B = A ∩ B c となる. つぎのド ・モルガン 12 の法則 [De Morgan’s laws] が成り立つ:. (A ∪ B)c = Ac ∩ B c ;. (A ∩ B)c = Ac ∪ B c. 10. 論理式で書き換えただけの証明をあえて避け , 論理的思考の訓練となるような証明を心がけた. 差集合を A − B と表す文献もあるが , 代数的な演算と同時に使用する場合には, 混乱を避ける ためには , A \ B と表した方がよい. 12 Augustus De Morgan, 1806–71. 11. 8.
(15) 一般に n 個の集合 A1 , A2 , . . . , An の和集合と共通部分は , つぎのように帰納的 に定義できる:. A1 ∪ A2 ∪ · · · ∪ An = (A1 ∪ · · · ∪ An−1 ) ∪ An ;. A1 ∩ A2 ∩ · · · ∩ An = (A1 ∩ · · · ∩ An−1 ) ∩ An .. これらの和集合と共通部分に対して ,. n. i=1. Ai および. n. i=1. Ai という表記も用いる.. 演習 2.2 A1 , . . . , An , B ⊂ X に対して , 以下を証明せよ: n ∩ B = ni=1 (Ai ∩ B) A (1) i ni=1 (2) Ai ∪ B = ni=1 (Ai ∪ B) i=1 c n (3) Ai = ni=1 Aci i=1 c n Ai = ni=1 Aci (4) i=1 (5) ni=1 Ai = (A1 \ A2 ) ∪ · · · ∪ (An−1 \ An ) ∪ (An \ A1 ) ∪ ni=1 Ai. n ヒント (1) – (4) は帰納法. (5) の ⊃ は容易. (5) の ⊂ を示すために, x ∈ i=1 Ai n とする. x ∈ i=1 Ai の場合を考えればよい. x ∈ Ai となる最後の番号を m とし , x ∈ Ai となる最初の番号を k とする. m < n の場合, k > 1 の場合, m = n かつ k = 1 の場合とに分けて考えよ.. 2.2. 直積集合. 順序対 [ordered pair] とは , 2 つのものの順序付けられた組 (a, b) のことであり,13 2 つの順序対 (a, b), (a′ , b′ ) が等しいとは , つぎのように定義される:. (a, b) = (a′ , b′ ) ⇔ a = a′ , b = b′ def. したがって , (a, b) = (b, a) ⇔ a = b となる. 順序対 (a, b) に対して , a をその第 1 座標 [the first coordinate] といい, b をその第 2 座標 [the second coordinate] と いう. 集合による順序対の定義: 集合の言葉だけを用いて , (a, b) = {{a}, {a, b}} と 順序対を定義できる.14 実際, 以下が成立する.. {{a}, {a, b}} = {{a′ }, {a′ , b′ }} ⇔ a = a′ , b = b′ 証明 ⇐ は明らかなので , ⇒ を示せばよい a = a′ とすると , {a} = {a′ } より {a} = {a′ , b′ } ′ ′ このとき, a = b = a となり, 矛盾 ∴ a = a′ a = b のとき, {a′ , b′ } = {a} となり a′ = b′ = a ∴ b = b′ a = b のとき, {a, b} = {a′ , b′ } となり a = a′ より b = a′ ∴ b = b ′ 13. a, b と表わせることもある. この定義は , クラトフスキー [Kazimierz Kuratowski, 1896–1980] による. ウィナー [Norbert Wiener, 1894–1964] による定義では , (a, b) = {{∅, a}, {{b}}}. 14. 9.
(16) 集合 A の元を第 1 座標, 集合 B の元を第 2 座標とする順序対全体からなる集 合を A × B と表し , A と B の直積 [direct product] と呼ぶ. 直積 A × B の元は (a, b) という形をしていて , a ∈ A, b ∈ B となっている. 集合 A, B のど ちらか一 方が空集合のとき, それらの直積も空集合である. すなわち, A × ∅ = ∅ × B = ∅. 空でない集合 A, B に対しては , 一般に A × B = B × A であり, A × B = B × A となるのは A = B に限る. 実際, A = ∅ より ∃a ∈ A, B = ∅ より ∃b ∈ B ∀x ∈ A, (x, b) ∈ A × B = B × A ∴ x ∈ B ∀x ∈ B, (a, x) ∈ A × B = B × A ∴ x ∈ A これより, A = B を得る. 集合 A と A 自身の直積 A × A を A2 と書く. 特に , R2 は座標平面を表す. 注意: 直積集合を表す記号 A × B とその元 (a, b) を表す記号が異なるので , 混 同しないように注意せよ. 有限集合の場合, A の元の数が m 個, B の元の数が n 個であれば , A × B の元 の数は mn 個である. 特に , 1 つの元からなる集合の場合には , {a} × {b} = {(a, b)} となる.. 演習 2.3 以下の基本的な性質を証明せよ: (1) A × (B ∪ C) = (A × B) ∪ (A × C) (2) A × (B ∩ C) = (A × B) ∩ (A × C) (3) A × (B \ C) = (A × B) \ (A × C) (4) (A × B) ∩ (A′ × B ′ ) = (A ∩ A′ ) × (B ∩ B ′ ) (5) (A × B) \ (A′ × B ′ ) = ((A \ A′ ) × B) ∪ (A × (B \ B ′ )) (6) (A × B) ∪ (A′ × B ′ ) = (A ∪ A′ ) × (B ∪ B ′ ) \ (A \ A′ ) × (B ′ \ B) ∪ (A′ \ A) × (B \ B ′ ). 同様に , n 個のものの順序付けられた組 (a1 , a2 , . . . , an ) を考える. 順序付けられ た組 (a1 , a2 , . . . , an ), (a′1 , a′2 , . . . , a′n ) が等しいとは , つぎのように定義される:. (a1 , a2 , . . . , an ) = (a′1 , a′2 , . . . , a′n ) ⇔ a1 = a′1 , a2 = a′2 , . . . , an = a′n def. 順序付けられた組 (a1 , a2 , . . . , an ) に対して, ai をその第 i 座標 [i-th coordinate] と いう. n 個の集合 A1 , A2 , . . . , An の直積 は , Ai の元を第 i 座標とする順序付けられた 組 (a1 , a2 , . . . , an ) 全体からなる集合であり, つぎのように表される:. A1 × A2 × · · · × An または. 10. n. i=1. Ai.
(17) 各 Ai が同じ集合 A の時には , An と書く. このとき, A の元の数が m 個であれば , An の元の数は mn 個である. 注意: 厳密にいえば , (A × B) × C, A × (B × C), A × B × C は互いに異なる. 実 際, (a, b, c) は 3 つのものの組であるが , ((a, b), c) と (a, (b, c)) は 2 つのものの組 であり, (a, b) = a かつ c = (b, c) である. しかし , これらは括弧 ( ) のつけ方の違 いを無視して同一視することが多い.. 演習 2.4 以下を証明せよ:. (1) ni=1 Ai ∩ ni=1 Bi = ni=1 (Ai ∩ Bi )
(18). (2) ni=1 Xi \ ni=1 Ai = (xi )ni=1 ∈ ni=1 Xi
(19) ∃i = 1, . . . , n, xi ∈ Ai. 2.3. 巾集合と集合族. 集合を元とする集合, すなわち “集合の集合” を集合族 [family of sets] という. 集 合族をアルファベットの大文字スクリプト体 A, B, C, . . . , M, N , . . . , X , Y, . . . やド イツ大文字 A, B, C, . . . , M, N, . . . , X, Y, . . . で表すなら , その元である集合と区 別ができ, 混乱を避けられる. 集合 X のすべての部分集合から成る集合を X の巾 集合 [power set] と呼び , P(X) と表す. すなわち,. A ∈ P(X) ⇔ A ⊂ X 常に , ∅ と X は P(X) の元である. 空集合 ∅ の巾集合 P(∅) はただ 1 個の元 ∅ の みからなる集合, すなわち P(∅) = {∅} となり, P(∅) = ∅ であることに注意せよ.. • 元の数が n 個の集合 X の巾集合 P(X) の元の数は 2n である. X = {a, b, c} の場合に , 巾集合 P(X) の元を列挙して, 元の数が 8 個 (= 23 個) あることを確認せよ. 15 演習 2.5 巾集合に関して , 以下を示せ: (1) P(X) ⊂ P(Y ) ⇔ X ⊂ Y (2) P(X ∩ Y ) = P(X) ∩ P(Y ) (3) P(X ∪ Y ) ⊃ P(X) ∪ P(Y ) (4) P(X ∪ Y ) = P(X) ∪ P(Y ) ⇔ X ⊂ Y または Y ⊂ X (5) P(X \ Y ) ⊃ P(X) \ P(Y ) ⇔ X ∩ Y = ∅ または X ⊂ Y (6) P(X \ Y ) ⊂ P(X) \ P(Y ) は常に成立しない (7) P(X × Y ) ⊃ {A × B | A ∈ P(X), B ∈ P(Y )} X と Y が共に 2 つ以上の元を持てば , = は成立しない. 15. X や ∅ を忘れないこと.. 11.
(20) ヒント (4) の ⇒ は , 巾集合の元として X ∪ Y を考えよ. (5) の ⇒ を示すには , 一 方の条件を否定すれば , 他方の条件が成立することを示すか , あるいは背理法による. (6) は ∅ を考えよ.. 集合族 A が集合族 M に含まれるとき, A を M の部分集合族 [subfamily of M] と呼ぶ. また, P(X) の部分集合族を X の部分集合族 [family of subsets of X] と呼 ぶ. 日本語では , ど ちらも “部分集合族” であるが , 前者は部分族, 後者は部分集合 の族の意味であり, 文脈に注意すれば混乱しない. 集合族 A に対して , A に属する集合のどれかに含まれる元全体からなる集合を A または A∈ A と表し , A の和集合と呼ぶ. このとき,. x∈. 和集合. . . A ⇔ ∃A ∈ A, x ∈ A. A は A に属するすべての集合を共に含む最小の集合である. すなわち, ∀A ∈ A, A ⊂ A, (∀A ∈ A, A ⊂ C) ⇒ A ⊂ C (最小性). 最小性の証明 x ∈ A とすると , ∃A ∈ A, x ∈ A このとき, A ⊂ C より x ∈ C ∴ A ⊂ C. また , A に属する集合すべてに共通に含まれる元全体からなる集合を は A∈ A と表し , A の共通部分と呼ぶ. このとき,. x∈. 共通部分 なわち,. . . . A また. A ⇔ ∀A ∈ A, x ∈ A. A は A に属するすべての集合に共に含まれる最大の集合である. す ∀A ∈ A, A ⊂ A,. (∀A ∈ A, C ⊂ A) ⇒ C ⊂. . A (最大性). 最大性の証明 x ∈ C とすると , ∀A ∈ A, C ⊂ A より x ∈ A 従って, x ∈ A ∴ C ⊂ A. 注意: 空である集合族 (集合を何も含まない集合族) の共通部分は扱いが面倒な ので , ここでは集合族は空でない場合だけを考える. 集合族が空の場合: 空集合 ∅ は要素となる集合を 1 つも持たない集合族と 考えられる. すなわち, ∅ は空集合族 [the empty family of sets] とも呼べる が , ∅ と ∅ はつぎのように見なせる: どんな集合も ∅ には属さないので, 条件 “∃A ∈ ∅, x ∈ A” はどんな x に対しても成立しない. すなわち, 条件 “∃A ∈ ∅, x ∈ A” を満たす x は存在しないので, ∅ = ∅ となる. また, 条件 “∀A ∈ ∅, x ∈ A” は “A ∈ ∅ ⇒ x ∈ A” を意味するので , どんな x に対して も成立する. 普遍集合を X として考えている場合には , ∅ = X となる. し かし , 一般に共通部分を考えるには , 集合族は空でない必要がある.. 12.
(21) 集合族 A が集合 Λ の元を添字として用いて, A = {Aλ | λ ∈ Λ} と表されてい る場合には , A = λ∈Λ Aλ , A = λ∈Λ Aλ と書く. このとき,. x∈. x∈. . λ∈Λ. . λ∈Λ. Aλ ⇔ ∃λ ∈ Λ, x ∈ Aλ. Aλ ⇔ ∀λ ∈ Λ, x ∈ Aλ. 添字の集合が N の場合には , 次のように書くことも多い:. . Ai =. なお, A =. a∈A {a},. A=. . Ai ,. i=1. i∈. . ∞ . . Ai =. i∈. ∞ . Ai. i=1. P(A) となっていることに注意せよ.. 演習 2.6 つぎを示せ: − n−1 , 1 + n−1 = − n−1 , 1 + n−1 = [0, 1] (1) n∈ . . −n. −n. . n∈ −n = 2 , 1 − 2−n = (0, 1). 2 ,1− 2 n∈ n∈ n [(−1) m, ∞) = [0, ∞) (3) n∈ m∈ [(−1)n m, ∞) = ∅ (4). (2). n∈ m∈. 演習 2.7 空でない 集合族の和集合と共通部分に関して , つぎを証明せよ: (1) A ⊂ B ⇒ A ⊂ B, A ⊃ B (注意: 最後の包含関係は ⊂ ではない) (2) A ∪ B = (A ∪ B) (3) A ∩ B = (A ∪ B) (注意: 右辺は A ∩ B ではない) (4) Aλ ∪ Bγ = (Aλ ∪ Bγ ) (5) (6) (7). λ∈Λ . λ∈Λ . λ∈Λ . Aλ. . Aλ. . Aλ. . Aλ. . λ∈Λ. (8). . . λ∈Λ. ∩ ∩ ∪ ×. γ∈Γ . γ∈Γ . γ∈Γ . γ∈Γ. . . γ∈Γ. (λ,γ)∈Λ×Γ. Bγ. . =. Bγ. . =. Bγ. . =. . =. Bγ. . (Aλ ∩ Bγ ). . (Aλ ∩ Bγ ). . (Aλ ∪ Bγ ). . (Aλ × Bγ ). (λ,γ)∈Λ×Γ. (λ,γ)∈Λ×Γ. (λ,γ)∈Λ×Γ. (λ,γ)∈Λ×Γ. 13.
(22) (9). . . Aλ. λ∈Λ. (10) X \. . . . ×. . Aλ. . λ∈Λ. . Bγ. γ∈Γ. =. . . =. . (λ,γ)∈Λ×Γ. (Aλ × Bγ ). (X \ Aλ ) ; X \. λ∈Λ. . . Aλ. λ∈Λ. . =. . (X \ Aλ ). λ∈Λ. ヒント (1) は定義に従えばよい. (2) の ⊂ および (3) の ⊃ は , (1) を適用すれば簡 単. (4) の ⊂ および (5) と (9) の ⊃ を示すには , Λ と Γ が空でないことを用いる. (7) の ⊃ の証明は , 背理法が考えやすい.. 注意: 上の演習の (7) において , Aλ ∪ Bγ • x∈ λ∈Λ. γ∈Γ. ⇔. • x∈. . (λ,γ)∈Λ×Γ. . ∀λ ∈ Λ, x ∈ Aλ. . or. . ∀γ ∈ Γ, x ∈ Bγ. . (Aλ ∪ Bγ ) ⇔ ∀(λ, γ) ∈ Λ × Γ, x ∈ Aλ or x ∈ Bγ. 下段の右辺は (λ, γ) ∈ Λ × Γ を取るたびに , “x ∈ Aλ ” または “x ∈ Bγ ” のど ち らかが成立することを意味する. これが上段の右辺の “∀λ ∈ Λ, x ∈ Aλ ” または “∀γ ∈ Γ, x ∈ Bγ ” が成立することと同値であることは , 自明とは言えない. 上段 が成立すれば下段も成立することは明らかだが , 逆が問題となる. 双方の条件の否定を考えれば , 同値であることは明らかになる.. 演習 2.8 ai < bj ∈ R (i, j ∈ N) に対して, inf an = a− sup an = a+ inf bn = b− sup bn = b+. n∈. n∈. n∈. n∈. とするとき, 以下を証明し , 一般に = が成立しないものには , その反例を与えよ: (1) n∈ (an , bn ) = (a− , b+ ) (2) n∈ [an , bn ] ⊂ [a− , b+ ] (一般に = は成立しない) (3) n∈ (an , bn ) ⊃ (a+ , b− ) (一般に = は成立しない) (4) n∈ [an , bn ] = [a+ , b− ] ヒント (1) の ⊃ を示すには , x ∈ (a− , b+ ) とすれば , 下限と上限の定義より, an < x, bm > x となる n, m ∈ N が取れるが , n = m とは限らない. an < bm (あるいは , am < bn ) となっていることに注意せよ. (2) と (3) において = の成立しない例は , b+ , b− がどの bn にも等しくない場合と a− , a+ がどの an にも等しくない場合を考 えよ.. 14.
(23) [発展事項] 集合列の上極限と下極限: 集合の列 A1 , A2 , . . . の上極限 [limit superior] と呼ばれる集合 lim sup An および下極限 [limit inferior] と呼ばれる集合 lim inf An を , つぎのように定義 する: ∞ ∞ ∞ ∞ Ai Ai , lim inf An = lim sup An = n=1. n=1. i=n. i=n. このとき, つぎが成立する:. x ∈ lim sup An ⇔ ∀n ∈ N, ∃i n such that x ∈ Ai ⇔ 無限個の i ∈ N に対して , x ∈ Ai ;. x ∈ lim inf An ⇔ ∃n ∈ N such that ∀i n, x ∈ Ai ⇔ 有限個の i ∈ N を除いて , x ∈ Ai. これより, つぎの包含関係が常に成立する:. lim inf An ⊂ lim sup An 上極限 lim sup An と下極限 lim inf An がどんな集合になるか具体例をあげる. つぎの ように A1 , A2 , · · · ⊂ R を定義する: − 1 − n−1 , 1 − n−1 if n is odd, An = − 1 + n−1 , 1 + n−1 if n is even.. −2. 0 − 43 6 −5 −1. 3 2 5 4. 1. このとき, lim sup An = [−1, 1], lim inf An = (−1, 1) となる. 実際, lim sup An = − 2, 23 ∩ − 34 , 32 ∩ − 43 , 45 ∩ − 65 , 54 ∩ · · · , lim inf An = − 21 , 0 ∪ − 21 , 23 ∪ − 34 , 32 ∪ − 34 , 45 ∪ · · ·. 発展問題 集合の列 A1 , A2 , . . . の上極限と下極限に関して , 以下の証明を与え, 一般に = が成立しないものには , その反例を与えよ: (1) lim sup An ∪ lim sup Bn = lim sup(An ∪ Bn ) (2) lim sup An ∩ lim sup Bn ⊃ lim sup(An ∩ Bn ) (一般に = は成立しない) (3) lim inf An ∪ lim inf Bn ⊂ lim inf(An ∪ Bn ) (一般に = は成立しない) (4) lim inf An ∩ lim inf Bn = lim inf(An ∩ Bn ) (5) A1 ⊂ A2 ⊂ · · · または A1 ⊃ A2 ⊃ · · · であれば , lim sup An = lim inf An . ヒント (1) の ⊃ は背理法. (2), (3) の反例は , An = [−1, (−2)n ), Bn = [(−2)n , 1].. 15.
(24) 3. 写像. 3.1. 写像の概念. 集合 X から集合 Y への写像 [map] (または 関数 [function]) とは , 各 x ∈ X に 対して, ある y ∈ Y をただ 1 通りに定める定め方のことである. 一般に , 写像は f, g, h, . . . や ϕ, ψ, . . . , などの文字を用い, f が X から Y への写像であることを f : X → Y と表す. また , つぎのように書くこともある: f. X. //. Y. あるいは. X. f. //. Y. このとき, X を f の定義域 [domain] または始集合 [initial set], Y を終集合 [terminal set] という. 写像 f : X → Y によって , 各 x ∈ X に対してただ 1 通りに定ま る y ∈ Y を f (x) と書き, x の値 [value] または像 [image] と呼ぶ. また, f は x を f (x) に写すあるいは対応させるといい, このことを x → f (x) と表す. つぎの X × Y の部分集合 Gr(f ) を f のグラフ [graph] という:. Gr(f ) = {(x, f (x)) | x ∈ X} 写像 f : X → Y , g : U → V に対して , f = g をつぎのように定義する:. f = g ⇔ X = U, ∀x ∈ X, f (x) = g(x) def. このとき, つぎが成り立つ:. f = g ⇔ Gr(f ) = Gr(g) • X × Y の部分集合 Γ がある写像 f : X → Y のグラフとなるための必要十 分条件は , 各 x ∈ X に対して , {x} × Y ∩ Γ がただ 1 つの元をもつ集合とな ることである. すなわち, ∀x ∈ X, ∃1 y ∈ Y such that (x, y) ∈ Γ. 集合による写像の定義: 集合の言葉だけを用いるなら , 写像をそのグラフと同 一視して , 上の Γ のような X × Y の部分集合が写像であると定義できる. こ の同一視により, 集合と写像の存在を別々に扱う必要がなくなり, 集合の存在 のみ議論すればよいことになる.. 集合 X の各元にそれ自身を対応させる X から X 自身への写像を X の恒等写 像 [identity] といい, idX と表す. すなわち,. ∀x ∈ X, idX (x) = x 16.
(25) 恒等写像 idX のグラフは X の対角線集合 [diagonal] と呼ばれる以下の集合である:. ∆X = {(x, x) | x ∈ X} 集合 Y の元 y0 が 1 つ与えられ , X の任意の元 x を y0 に写す写像を (値 y0 の) 定 値写像 [constant map] という. 値 y0 の定値写像のグラフは X × {y0 } となる. 写像 f : X → Y の定義域を X の部分集合 A に換えた写像を f の A への制限 [restriction] といい, f |A と表す. このとき, f |A のグラフに関して以下が成り立つ:. Gr(f |A) = Gr(f ) ∩ (A × Y ) 集合 X の恒等写像 idX の A ⊂ X への制限を A の X への包含写像 [inclusion map] という. 包含写像 i : A → X と恒等写像 idA の違いは , 終集合 X であるか A であるかの違いだけである. 直積集合 X × Y から X, Y への射影 [projection] prX : X × Y → X, prY : X × Y → Y を , つぎのように定義する:. ∀(x, y) ∈ X × Y, prX (x, y) = x, prY (x, y) = y それぞれ第 1, 2 座標 (第 1, 2 成分) への射影とも呼び , pr1 , pr2 とも表す. 代数的演算: 代数的な演算も写像とみなせる. 例えば , R 上の加法と乗法は , それぞれ (x, y) → x + y, (x, y) → x·y という R2 (= R × R) から R への写 像である.. 集合 X から Y への写像全体の成す集合を F(X, Y ) または Y X と表す. X と Y がそれぞれ m 写像 個, n 個の元からなれば , X から Y への写像は全部で nm 個, すなわち F(X, Y ) = Y X の元の個数は nm 個である. 実数列 (ai )∞ i=1 は各自然 数 i ∈ N に実数 ai ∈ R を対応させる写像 a : N → R (i → ai ) とみなすことがで きるので , R は実数列全体の集合といえる. 定義域や終集合が空集合の場合: X = ∅ や Y = ∅ の場合には , 写像をグラフ と同一視することにより, つぎのように考えることができる. (1) X = ∅ のときは , ∅ × Y の部分集合は ∅ のみであるが , X は元を 1 つも 含まないので x ∈ X に関するどんな条件も満たされるので , ∅ × Y の部 分集合である ∅ は写像とみなせる. このとき, ∅ ⊂ Y なので , この写像は 包含写像といえる. (2) X = ∅ かつ Y = ∅ のときは , X × ∅ の部分集合は ∅ のみで , X は少なく とも 1 つの元 x を含むが , この x ∈ X に対して , ({x} × Y ) ∩ ∅ = ∅ と なるので , X × ∅ の部分集合である ∅ は写像とはみなせない. すなわち, Y ∅ = {∅} であり Y ∅ の元の個数は 1 個 (n0 = 1)16 となるが , X = ∅ であれば ∅X = ∅ であり ∅X の元の個数は 0 個 (m = 0 ⇒ 0m = 0) となる.. 16. このように考えると 00 = 1 とみなすのは自然である.. 17.
(26) 3.2. 写像による像および逆像 (原像). 集合 X から Y への写像を f : X → Y とする. X の部分集合 A に対して, f による A の元の値全体から成る Y の部分集合を f による A の像 [image] といい, f (A) と表す. すなわち,. f (A) = {f (x) | x ∈ A}. y ∈ f (A) ⇔ ∃x ∈ A such that y = f (x) 特に , f (X) を f の像 [image] または値域 [range] という. Y の部分集合 B に対し て , f によって B の元に写される X の元全体からなる X の部分集合を f による B の逆像 [inverse image] または原像 [preimage] といい, f −1 (B) と表す. すなわち,. f −1 (B) = {x ∈ X | f (x) ∈ B} x ∈ f −1 (B) ⇔ f (x) ∈ B. 常に , f −1 (Y ) = X である. 各 y ∈ Y に対して , f −1 (y) = f −1 ({y}) と定義する. 各 x ∈ X に対しては , f (x) は Y の元であるが , f −1 (y) は X の部分集合であること に注意せよ. また , y ∈ f (X) であれば f −1 (y) = ∅ であることにも注意せよ.. y ∈ f (X) ⇔ f −1 (y) = ∅ 射影 prX : X × Y → X, prY : X × Y → Y による A ⊂ X と B ⊂ Y の逆像は , −1 それぞれ pr−1 X (A) = A × Y および prY (B) = X × B となる.. 演習 3.1 写像 f : X → Y による像と逆像に関して, A, B ⊂ X, C, D ⊂ Y およ び X の部分集合族 {Aλ | λ ∈ Λ} と Y の部分集合族 {Cγ | γ ∈ Γ} に対して , 以下 の証明を与え , 一般に = が成立しないものには , その反例を与えよ: (1) A ⊂ f −1 (f (A)) (一般に = は成立しない) (2) f (f −1 (C)) ⊂ C (一般に = は成立しない) (3) f (A ∪ B) = f (A) ∪ f (B) (4) f (A ∩ B) ⊂ f (A) ∩ f (B) (一般に = は成立しない) (5) f (A \ B) ⊃ f (A) \ f (B) (一般に = は成立しない) (6) 一般に , f (X \ A) と Y \ f (A) の包含関係はど ちらも成立しない (7) f −1 (C ∪ D) = f −1 (C) ∪ f −1 (D) (8) f −1 (C ∩ D) = f −1 (C) ∩ f −1 (D) (9) f −1 (C \ D) = f −1 (C) \ f −1 (D) (10) f −1 (Y \ C) = X \ f −1 (C) (11) f ( λ∈Λ Aλ ) = λ∈Λ f (Aλ ) (12) f ( λ∈Λ Aλ ) ⊂ λ∈Λ f (Aλ ) (一般に = は成立しない) (13) f −1 ( γ∈Γ Cγ ) = γ∈Γ f −1 (Cγ ) 18.
(27) (14) f −1 (. . γ∈Γ. Cγ ) =. . γ∈Γ. f −1 (Cγ ). なお, (4) に対する = が成立しない例は (12) に対する例でもある.. 3.3. 全射, 単射, 全単射. 写像 f : X → Y は , f (X) = Y となるとき, 全射 [surjection, surjective map] (ま たは , 上への写像 [onto map]) であるという. つぎの条件は f (X) = Y と同値で ある: ∀y ∈ Y, ∃x ∈ X such that f (x) = y どんな写像も終集合をその写像の像に限れば全射となるので , 全射であるかど う かは , 写像の終集合が何であるかによって異なる. また, つぎの条件を満たすとき, f : X → Y は単射 [injection, injective map] (または , 1 対 1 の写像 [one-to-one map]) であるという: ∀x, x′ ∈ X, x = x′ ⇒ f (x) = f (x′ ) 対偶をとれば , この条件はつぎと同値である: ∀x, x′ ∈ X, f (x) = f (x′ ) ⇒ x = x′. 写像 f : X → Y が全射でないことは , つぎのように表せる:. ∃y ∈ Y such that ∀x ∈ X, f (x) = y 一方, f が単射でないことは , つぎのように表せる:. ∃x, x′ ∈ X such that x = x′ , f (x) = f (x′ ) 全射かつ単射である写像を全単射 [bijection, bijective map] (または , 1 対 1 上へ の写像 [one-to-one onto map]) という. 全単射 f : X → Y に関しては , 各 y ∈ Y に 対して , f (x) = y となる x ∈ X が一意的に決まるので , 各 y ∈ Y に対して , こう して決まる x ∈ X を対応させることにより, Y から X への写像が定まる. この写 像を f の逆写像 [inverse map] といい , f −1 : Y → X と表す. このとき, 逆写像 f −1 も全単射であり, (f −1 )−1 = f となる. 全単射 f の逆写像 f −1 のグラフ Gr(f −1 ) は , f のグラフ Gr(f ) の第 1, 第 2 座標を入れ替えたものとなる.
(28). Gr(f −1 ) = (y, x)
(29) (x, y) ∈ Gr(f ) . 注意: 全単射 f に対しては , f による y ∈ Y の逆像 (原像) と逆写像 f −1 による y ∈ Y の値は同じ記号 f −1 (y) で表される. 前者であれば , 1 つの元からなる X の 部分集合であり, 後者であれば , X の元である. 文脈でど ちらか判断する. しかし , B ⊂ Y に対して , f −1 (B) は写像 f による逆像とみても, 逆写像 f −1 による像と みても同じである.. 19.
(30) 特殊な場合に関する注意: 空でない部分集合からの包含写像は明らかに単射 であるが , 空集合は元を持たないので, 空集合からの包含写像も単射の定義の 条件を満たしているといえる.. 演習 3.2 演習 3.1 (1), (2), (4), (5) に関連して , つぎを証明せよ: (1) f (2) f (3) f (4) f. が単射 が全射 が単射 が単射. ⇔ ⇔ ⇔ ⇔. ∀A ⊂ X, f −1 (f (A)) = A (⊃ は無条件で成立) ∀C ⊂ Y, f (f −1(C)) = C (⊂ は無条件で成立) ∀A, B ⊂ X, f (A ∩ B) = f (A) ∩ f (B) (⊂ は無条件で成立) ∀A, B ⊂ X, f (A \ B) = f (A) \ f (B) (⊃ は無条件で成立). ヒント ⇐ を示すのに , つぎの場合に右側の条件をあてはめよ: (1) x = x′ ∈ X に対して, A = {x}. (2) y ∈ Y に対して, C = {y}. または C = Y . (3), (4) x = x′ ∈ X に対して, A = {x}, B = {x′ }.. 特に , 0 と 1 の 2 つの元から成る集合を 2 と表す. すなわち, 2 = {0, 1} と書く. 集合 X の部分集合 A の特性関数 [characteristic function] χA : X → 2 をつぎの ように定義する: 0 if x ∈ A, χA (x) = 1 if x ∈ A. 関数 χA は集合 X の元が部分集合 A に入るか入らないかを判断する関数である. ここで , A = χ−1 A (1) に注意せよ. 特性関数 χX と χ∅ は , それぞれ値 1 と 0 の定値 関数である. 定理 3.1 写像 ϕ : P(X) → 2X を ϕ(A) = χA と定義すれば , ϕ は全単射となる. 証明 (全射) f ∈ 2X に対して, A = f −1 (1) ∈ P(X) とすれば , ∀x ∈ X, χA (x) = f (x) ∴ ϕ(A) = χA = f. (単射) A, B ∈ P(X) に対して, ϕ(A) = ϕ(B) とすれば , χA = χB より ∀x ∈ X [x ∈ A ⇔ x ∈ B] ∴ A = B. この定理より, m 個の元からなる集合 X の巾集合 P(X) の元の個数が 2m 個で あることが分かる.. 演習 3.3 集合 X の部分集合 A, B の特性関数に関して , つぎを証明せよ: (1) A ⊂ B ⇔ ∀x ∈ X, χA (x) χB (x) (2) ∀x ∈ X, χA∩B (x) = χA (x)χB (x) (3) ∀x ∈ X, χA∪B (x) = χA (x) + χB (x) − χA (x)χB (x) (4) ∀x ∈ X, χX\A (x) = 1 − χA (x) (5) ∀x ∈ X, χA\B (x) = χA (x)(1 − χB (x)). 20.
(31) 発展問題 写像 f : X → Y に対して, 写像 f∗ : P(X) → P(Y ), f ∗ : P(Y ) → P(X) を つぎのように定義する: ∀A ∈ P(X), f∗ (A) = f (A); ∀B ∈ P(Y ), f ∗ (B) = f −1 (B) このとき, つぎが成り立つことを示せ:. (1) f が単射 ⇔ f∗ は単射 ⇔ f ∗ は全射 (2) f が全射 ⇔ f∗ は全射 ⇔ f ∗ は単射 ヒント “f が単射 ⇒ f∗ は単射, f ∗ は全射” と “f∗ は全射 ⇒ f が全射” は演習 3.2(1) を参照; “f が全射 ⇒ f∗ は全射, f ∗ は単射” と “f∗ が単射 ⇒ f は単射” は 演習 3.2(2) を参照. “f ∗ が全射 ⇒ f は単射” は {x} = f ∗ (C) が意味することを考 えよ. “f ∗ は単射 ⇒ f が全射” は f ∗ (f (X)) と f ∗ (Y ) を比較せよ.. 3.4. 写像の合成. 一方の終集合ともう一方の定義域が一致する 2 つの写像 f : X → Y と g : Y → Z に対して , f と g の合成 [composition] g◦f : X → Z を x → g◦f (x) = g(f (x)) に より定義する. 合成写像 g◦f を gf と ◦ を省略して書くことも多い.. X. f. //. Y. g. 99. //. Z. gf. 写像 f : X → Y の A ⊂ X への制限 f |A は , A の X への包含写像 i : A → X と f の合成 f ◦i に他ならない. 写像の合成に関して , 結合律が成り立つ. すなわち, 写像 f : X → Y , g : Y → Z, h : Z → W に対して ,. h◦(g◦f ) = (h◦g)◦f. このとき, h◦g◦f または hgf と書く. また , 任意の写像 f : X → Y に対して, f ◦idX = f かつ idY ◦f = f であり, f が全単射であれば , f −1 ◦f = idX かつ f ◦f −1 = idY である.. 演習 3.4 写像 f, f ′ : X → Y , g, g ′ : Y → Z の合成に関して , つぎを証明せよ: (1) ∀A ⊂ X, (g◦f )(A) = g(f (A)) (2) ∀C ⊂ Z, (g◦f )−1 (C) = f −1 (g −1(C)) (3) g◦f が全射 ⇒ g が全射 (4) g◦f が単射 ⇒ f が単射 (5) f が全射, g◦f = g ′ ◦f ⇒ g = g ′ (6) g が単射, g◦f = g◦f ′ ⇒ f = f ′ (7) g◦f が全射, g が単射 ⇒ f が全射 (8) g◦f が単射, f が全射 ⇒ g が単射 21.
(32) 演習 3.5 写像 f : X → Y に対して, つぎを示せ: f が全単射 ⇔ ∃g, g ′ : Y → X such that g◦f = idX and f ◦g ′ = idY また, このとき g = g ′ = f −1 となることを示せ.. 演習 3.6 集合 X から有限集合 Y への全射 f : X → Y に対して, 単射 g : Y → X で f ◦g = idY となるものが存在することを Y の元の個数による帰納法で示せ. 演習 3.7 共に n 個の元からなる集合 X, Y の間の写像 f : X → Y に対して, つぎを示せ: f : 単射 ⇔ f : 全射 ⇔ f : 全単射 ヒント 最初の ⇔ を示せば 十分. まず , ⇒ を n に関する帰納法で示す. ⇐ は演習 3.6 と ⇒ および 3.4(8) を適用.. [発展事項] 有限集合間の単射と全射の総数: 元の個数が m の集合 X から元の個数が n の集合 Y へ の単射が存在するためには , m n となることが必要十分であり, 全射が存在するために は , m n となることが必要十分である. ここでは , X から Y への単射の総数と全射の総 数を求める. 特別な場合として , m = 0 (i.e., X = ∅) のときは , X から Y への単射の総数 は 1 であり, 全射の総数は 0 である. また, m = 0 で n = 0 (i.e., X = ∅, Y = ∅) のとき は , X から Y への写像そのものが存在しない.. I. m n のとき, X から Y への単射の総数はつぎのようになる: = n(n − 1) · · · (n − m + 1) =. n Pm. n! (n − m)!. 証明 X から Y への単射を定義することは , Y の元を m 個取り出して順番に並べる ことと同じである.. II. k n のとき, k 個の元からなる Y の部分集合の総数は , つぎのようになる: n Ck. =. n! n(n − 1) · · · (n − k + 1) = k! k!(n − k)!. 証明 Y から k 個の元を取り出す方法の総数である.. III. n Ck に関して, つぎの公式が成立する:17 (1). n (−1)k n Ck = 0 ; k=0. 17. ここでは使わないが ,. n. k=0 n Ck. (2). n Ck. · k Cj = n Cj · n−j Ck−j. (j k n). = 2n (両辺は共に Y の部分集合の総数).. 22.
(33) 証明 (1) Y の部分集合で奇数個の元を持つものと偶数個の元を持つものの総数が等 しいこと表すが , つぎの性質を持つ全単射 ϕ : P(Y ) → P(Y ) の存在を示せばよい:. B の元の個数は奇数 ⇔ ϕ(B) の元の個数は偶数 このような ϕ は y0 ∈ Y を固定して, つぎのように定義できる: B \ {y0 } if y0 ∈ B, ϕ(B) = B ∪ {y0 } if y0 ∈ B.. (2) n Ck · k Cj =. k! n! (n − j)! n! · = · = n Cj · n−j Ck−j k!(n − k)! j!(k − j)! j!(n − j)! (k − j)!(n − k)!. IV. m n のとき, X から Y への全射の総数 S(m, n) の値はつぎのようになる: S(m, n) =. n k=0. (−1)n−k n Ck · km. 証明 (1), (2) および帰納法の仮定を用いて, X から Y への写像で全射でないものの 総数は , つぎのように計算できる: n−1 k=1. n Ck. · S(m, k) = =. n−1 k k=1 j=0. n−1 k k=1 j=0. =. n−1 . (−1)k−j n Ck · k Cj · j m (−1)k−j n Cj · n−j Ck−j · j m · jm. n Cj. j=0. =. n−1 . · jm. n Cj. j=0. =. n−1 j=0. n−1 . (−1)k−j n−j Ck−j. k=j. n−j−1 . (−1)i n−j Ci. i=0. (−1)n−j−1 n Cj · j m. X から Y への写像の総数は nm であるから , つぎのように計算できる: S(m, n) = nm −. n−1 k=1. n Ck. · S(m, k). = (−1)0 n Cn · nm + =. n j=0. n−1 j=0. (−1)n−j n Cj · j m. 23. (−1)n−j n Cj · j m.
(34) 4. 選出公理 (選択公理), 順序, 同値関係 この章において , 直積集合を無限の場合への拡張を行うが , そのためには 選出公理 (あるいは選択公理) と呼ばれる集合論の公理が必要となる. また, 数 学では , 集合をまとめて 1 つの元と見なすというアイデアが , 非常に広く, ま た深く浸透しているが , その基本的な概念である同値関係と商集合を導入す る. さらに , 数学において, 順序構造, 代数構造, 位相構造という 3 つの基本的 構造があるが , ここでは順序という概念を定義する.. 4.1. 無限直積集合. 集合 X の部分集合 A1 , A2 , . . . , An の直積集合. a = (a1 , a2 . . . , an ) ∈. n. i=1. n. Ai = A1 × A2 × · · · × An は ,. Ai. i=1. を , i → ai ∈ Ai ⊂ X により定義される写像. a : {1, 2, . . . , n} → X と同一視することにより, つぎのようにみなせる: n. i=1. Ai = a ∈ X {1,2,...,n} | ∀i = 1, . . . , n, a(i) ∈ Ai. ここで , X Y は Y から X への写像全体の成す集合である. 一般に , 集合 Λ の元 λ によって添字付けられた X の部分集合 Aλ の直積 [direct. product] λ∈Λ Aλ を , つぎのように定義する:.
(35). Aλ = a ∈ X Λ
(36) ∀λ ∈ Λ, a(λ) ∈ Aλ λ∈Λ. このとき, a ∈ λ∈Λ Aλ を (aλ )λ∈Λ と表し , aλ を a の λ 座標 [λ-coordinate] また は λ 成分 [λ-factor] という. このとき, 各 λ ∈ Λ に対して, (aλ )λ∈Λ → aλ により定. 義される λ∈Λ Aλ から Aλ への写像を prλ と表し , λ∈Λ Aλ の λ 座標 (または λ 成分) への射影 [projection] という. すなわち,. Aλ , prλ (a) = aλ ∀λ ∈ Λ, ∀a = (aλ )λ∈Λ ∈ λ∈Λ. 直積 λ∈Λ Aλ の定義において , 集合の集合である {Aλ | λ ∈ Λ} ではなく, 各 λ ∈ Λ にどんな集合 Aλ が対応しているかが問題となり, {Aλ | λ ∈ Λ} = {Bλ |. λ ∈ Λ} であっても λ∈Λ Aλ = λ∈Λ Bλ とは限らない. 実際, §2.2 で見たように , A, B = ∅, A = B ⇒ A × B = B × A. 24.
(37) この対応のさせ方 λ → Aλ は , Λ から P(X) への写像を定義するが , これを (Aλ )λ∈Λ と表し , Λ により (添字付けられた) 集合族 [indexed family of sets] といい, Λ を添 字集合 [index set] という. 添字集合が N のときには , (Ai )i∈ を集合列 [sequence of. ∞. sets] といい, (Ai )i∈ は (Ai )∞ A は A と書き , (a ) ∈ i i i i∈ i=1 と , i∈ i∈ Ai i=1 ∞ は (ai )i=1 あるいは (a1 , a2 , . . . ) と書くこともある. 各 λ ∈ Λ に対して , Aλ = A の. ときは , λ∈Λ Aλ は Λ から A への写像全体の成す集合 AΛ となる. また, A は A∞ と書くこともあるが , A の元の列全体の成す集合といえる. R (= R∞ ) は実 数列全体の成す集合といえる. 注意: 集合 X を意識せずに集合族 (Aλ )λ∈Λ を扱う場合には , X = λ∈Λ Aλ と考 えればよい. 命題 4.1 同じ添字集合を持つ X の部分集合の族 (Aλ )λ∈Λ , (Bλ )λ∈Λ に対して , つ ぎが成り立つ:. (1) (∀λ ∈ Λ, Aλ ⊂ Bλ ) ⇒ Aλ ⊂ Bλ λ∈Λ λ∈Λ . (2) Aλ ∩ Bλ = (Aλ ∩ Bλ ) λ∈Λ. λ∈Λ. λ∈Λ. 証明 (1) は定義より明らか .. (2): (⊃) ∀λ. ∈ Λ, Aλ ∩ Bλ ⊂ Aλ であるので, (1) より , λ∈Λ Aλ λ∈Λ (Aλ ∩ Bλ ) ⊂. 同様に , λ∈Λ (Aλ ∩ Bλ ) ⊂ λ∈Λ Bλ . . ∴ λ∈Λ (Aλ ∩ Bλ ) ⊂ λ∈Λ Bλ λ∈Λ Aλ ∩ . . B とすると , A (⊂) (xλ )λ∈Λ ∈ ∩ λ λ λ∈Λ λ∈Λ. ∀λ ∈ Λ, (xλ )λ∈Λ ∈ λ∈Λ Aλ より, xλ ∈ Aλ また (xλ )λ∈Λ ∈ λ∈Λ Bλ より, xλ ∈ Bλ ∴ xλ ∈ Aλ ∩ Bλ. これより, (xλ )λ∈Λ ∈ λ∈Λ (Aλ ∩ Bλ ) . . . ∴ λ∈Λ (Aλ ∩ Bλ ) λ∈Λ Bλ ⊂ λ∈Λ Aλ ∩. 4.2. 選出公理 (選択公理). 直積集合. λ∈Λ. Aλ に関するつぎの命題は自明である: (∃λ ∈ Λ such that Aλ = ∅) ⇒. λ∈Λ. Aλ = ∅. つぎの命題はこの命題の裏 (=逆の対偶) であるが , λ∈Λ Aλ の定義において , 本質 的な意味を持つ:. (∀λ ∈ Λ, Aλ = ∅) ⇒ Aλ = ∅ λ∈Λ. 25.
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この設定では、管理サーバ(Control Center)自体に更新された Windows 用の Dr.Web Agent のコンポ ーネントがダウンロードされませんので、当該 Control Center で管理される全ての Dr.Web
つの表が報告されているが︑その表題を示すと次のとおりである︒ 森秀雄 ︵北海道大学 ・当時︶によって発表されている ︒そこでは ︑五
れをもって関税法第 70 条に規定する他の法令の証明とされたい。. 3
Q-Flash Plus では、システムの電源が切れているとき(S5シャットダウン状態)に BIOS を更新する ことができます。最新の BIOS を USB
最愛の隣人・中国と、相互理解を深める友愛のこころ