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LAT1アミノ酸トランスポーターを標的とした抗癌抗体療法に関する基礎研究

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Academic year: 2021

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目次

第一章 要約 ... 3 第二章 序論 ... 6 第三章 実験材料及び方法 ... 9 細胞培養 ... 9 第一節 カニクイザルLAT1 cDNA のクローニング ... 9 第二節 GFP 融合カニクイザル LAT1 発現トランスフェクタントの樹立 .. 9 第三節 一次抗体とポリクローナル抗体 ... 10 第四節 動物 ... 10 第五節 フローサイトメトリー ... 11 第六節 新規抗ヒトLAT1 ラットモノクローナル抗体およびラット ヒト 第七節 キメラモノクローナル抗体の作製 ... 11 抗 LAT1 モノクローナル抗体のインターナリゼーション活性の 第八節 解析 ... 12 In vivo 抗腫瘍効果の解析 ... 13 第九節 分岐鎖アミノ酸取り込みに対する抗 LAT1 モノクローナル抗体 第十節 の効果の解析 ... 13 抗LAT1 モノクローナル抗体による癌細胞に対する In vitro 細 第十一節 胞増殖阻害活性の検討 ... 14 ADCC 活性の測定 ... 14 第十二節 LAT1 のノックダウン ... 15 第十三節 免疫沈降... 15 第十四節 スキャッチャードプロット解析... 16 第十五節

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2 統計解析... 17 第十六節 第四章 結果 ... 18 新規(第二世代)抗ヒトLAT1 モノクローナル抗体 ... 18 第一節 第一世代と第二世代抗LAT1 モノクローナル抗体の比較 ... 19 第二節 モノクローナル抗体のインターナリゼーション活性 ... 19 第三節 異種移植ヒト癌細胞に対するモノクローナル抗体の抗腫瘍効果 20 第四節 ヒト癌細胞の BCAA 取り込みと増殖に対する抗 LAT1 モノクロ 第五節 ーナル抗体の in vitro 効果 ... 20 ラットモノクローナル抗体およびヒト ラットキメラ化モノク 第六節 ローナル抗体による抗体依存性細胞性細胞障害(ADCC) ... 21 抗ヒトLAT1 モノクローナル抗体のカニクイザル LAT1 タンパク 第七節 質への交差反応性 ... 21 新規モノクローナル抗体はヒトおよびカニクイザル LAT1 タン 第八節 パク質を特異的に認識する ... 22 モノクローナル抗体のGFP 融合カニクイザル LAT1 トランスフ 第九節 ェクタントとの反応性 ... 22 導入されたカニクイザルLAT1 の内在性 CD98hc との結合 ... 23 第十節 抗ヒトLAT1 mAb の二重結合活性モード ... 23 第十一節 結果の基礎となる図表 ... 25 第十二節 第五章 考察 ... 36 引用文献 ... 40 謝辞

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第一章 要約

現在、抗体医薬品は癌治療における中心的な医薬品の一つとなっており、 増殖因子受容体や分化マーカー、免疫チェックポイントなどを標的とした 抗体医薬品が癌治療に用いられ、従来得られなかったような良好な治療成 績を示している。

本研究にて着目したL型アミノ酸トランスポーター1(L-type amino acid transporter 1; LAT1)は CD98 重鎖(heavy chain; hc)にジスルフィド結合し たアミノ酸トランスポーターであるが、ほとんどの癌細胞において高発現 である一方、正常細胞においては低発現であり、その発現特異性より抗癌 抗体医薬品の標的として優れた分子であると考えられる。しかしながら、 LAT1 タンパク質は 12 回膜貫通タンパク質であり、抗体のエピトープとな り得る細胞外領域がわずかであるため、従来、生細胞と反応するモノクロ ーナル抗体の作製は困難であった。 以前に、我々の研究室では、LAT1 発現トランスフェクタント細胞をマウ スに比べ抗体多様性の期待されるラットに免疫することにより第一世代抗 LAT1 モノクローナル抗体(SOL22、SOL69)の作製に成功したことを報告 しているが、これらの抗体は癌細胞に対する結合性が不十分であった。本 研究では、新たに作製した癌細胞との結合活性が高い、第二世代抗 LAT1 モノクローナル抗体(Ab1, Ab2, Ab3, Ab4)を開発し、その性状解析を行っ た。

インターナリゼーション活性の検討を行った結果、第二世代抗LAT1 モノ クローナル抗体の全てが、その活性を有することが明らかとなった。 また、Ab1 がヌードマウス移植ヒト大腸癌 LS-174T 異種移植モデルにて、 in vivo 抗腫瘍効果を示すことを明らかにした。

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In vivo 抗腫瘍効果の機序を解析するため、アミノ酸取り込み、および細 胞増殖に及ぼす影響を検討した結果、抗 LAT1 モノクローナル抗体 Ab1 に よる分岐鎖アミノ酸の取り込み抑制及び細胞増殖抑制効果が認められた。

ま た 、 抗 体 依 存 性 細 胞 性 細 胞 傷 害 活 性 (Antibody-dependent cellular cytotoxicity; ADCC)も認められたことから、Ab1 の in vivo 抗腫瘍効果は、 LAT1 の機能的阻害活性(一部はインターナリゼーション活性に起因すると 思われる)による細胞増殖抑制及び免疫細胞を介したADCC 活性が寄与す ることが示された。さらに、臨床応用を考慮し、抗LAT1 ヒト ラットキメ ラ抗体への変換(遺伝子組み換え)を行い、そのADCC 活性を検討した結 果、すでに臨床で用いられている抗体医薬品である抗 EGFR キメラ抗体に 比べ、より高いレベルのADCC 活性を有することが明らかとなった。 また、本研究においては、臨床試験において予期される抗ヒトLAT1 モノ クローナル抗体の副作用を評価するために、カニクイザルLAT1 とモノクロ ーナル抗体の反応性を調べた。抗ヒト LAT1 モノクローナル抗体は ACHN ヒトおよび MK.P3 カニクイザル腎臓由来細胞のいずれとも反応性を示し、 この反応性はLAT1 に対する small interfering RNA(siRNA) によって顕著 に減少した。また、カニクイザルLAT1 cDNA を MK.P3 からクローニング した結果、カニクイザルLAT1 はヒト LAT1 と比べて2アミノ酸のみの違い だった。カニクイザル LAT1 安定発現 RH7777 ラット肝癌細胞株および HEK293 ヒト胎児由来腎細胞株を樹立し、抗ヒト LAT1 モノクローナル抗体 の反応性を検討したところ、ヒトまたはカニクイザルLAT1 発現トランスフ ェクタントに対して同等の反応性を示した。より詳細に抗LAT1 モノクロー ナル抗体の反応性を解析するため、結合親和性の解析を行った結果、MK.P3、 ACHN および HCT116 ヒト大腸癌細胞、カニクイザル LAT1 発現トランスフ

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5 ェクタントにおいて二重(高親和性および低親和性)の結合性が認められ、 また、この結合性は抗CD98hc 抗体共存の影響を受けたことから、抗 LAT1 モノクローナル抗体がLAT1-CD98hc 複合体上の LAT1 エピトープを検出す ることが示唆された。これらの結果より、LAT1 は有望な抗癌標的であり、 カニクイザルは抗ヒト LAT1 モノクローナル抗体を用いた前臨床試験に使 用することができることが強く示された。

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第二章 序論

CD98 は 4F2 モノクローナル抗体1の認識抗原として、リンパ球の活性化 に関連する細胞表面マーカーとして報告され、その後、多数の癌細胞に発 現する分子として同定された2-4。分子量(MW)120 140 kDa(gp1252,3) のCD98 は、分子量 80 100 kDa のグリコシル化重鎖(CD98 heavy chain; CD98hc)および分子量 35 55 kDa1-4の非グリコシル化軽鎖(CD98 light chains; CD98lcs)のヘテロ 2 量体で構成されている。CD98hc は Solute carrier (SLC)3A2 によりコードされる II 型膜タンパク質であり、6 種類の 12 回 膜貫通型のSLC7A アミノ酸トランスポーターファミリー(SLC7A5; LAT1、 7A8; LAT2、7A7; y + LAT1、7A6; y + LAT2、7A10; asc1 および 7A11; xCT)

5-11とヘテロ2 量体を形成する。

SLC7A11(xCT)は、癌幹細胞(Cancer stem cell; CSC)の維持に必要な分 子として同定された12。特に、変異型CD44(CD44 variant; CD44v)12-17ま たはヒト上皮成長因子受容体1(Human epidermal growth factor receptor 1; HER1)18は、それぞれ上皮癌または脳腫瘍のxCT と結合し、細胞膜上で安 定化することで、抗癌剤や肺への遠隔転移など、高レベルの酸化ストレス にさらされるような条件下においてCSC の生存に有利に働く。これに関連 した成果として、我々は、CSC によって発現される xCT と結合した CD44v を認識する完全ヒト抗CD44v モノクローナル抗体 GV5 の in vivo 抗腫瘍効 果を報告した19。 L型アミノ酸トランスポーター1(LAT1)5,6は最初に同定された CD98lc であり、多くの組織由来の癌はCD98hc2,3,20-25とLAT125-29の両タンパク質を 発現する。CD98 の発癌活性は、CD98lc に結合する野生型 CD98hc30-33で確 認されたが、CD98lc との結合に必要なシステイン残基を欠損させた変異型

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7 CD98hc32では確認されなかった。 これらの結果より、CD98hc と何らかの CD98lc の分子複合体が発癌活性を 有することが示唆された。これに関して、研究室では最近、ニワトリ由来 細胞DT40 における LAT1 遺伝子のノックアウトによって CD98hc-LAT1 が 発癌性複合体であること同定した 34。それゆえ、CD98-LAT1 は癌治療の有 望な標的として考えられる。 既存の抗癌治療用抗体の主な標的は受容体型チロシンキナーゼであるが、 HER1 および HER2 の過剰発現においてはそれぞれ扁平上皮35,36または腺由 来37,38上皮癌に限定される。一方、CD98 / LAT1 は組織の由来に関係なくほ とんどすべての癌で発現するので2,3,20-29、抗CD98 / LAT1 治療用抗体は多数 のヒト悪性腫瘍に対して理想的である可能性がある。 CD98 を標的とした癌治療については、抗 CD98hc 治療用抗体(KHK2898 および IGN523)を用いた臨床試験が最近開始された39が、LAT1 の癌特異 性は CD98hc よりも優れていることが知られている 40,41。しかしながら、 LAT1 は 12 回膜貫通タンパク質であり、抗体のエピトープとなり得る細胞 外ドメインが乏しいため、生きた癌細胞に反応する抗LAT1 モノクローナル 抗体を作製することは困難であった。我々は以前に、抗 LAT1 モノクロー ナル抗体の作製(第一世代抗LAT1 モノクローナル抗体)40,41およびハイブ リドーマ治療モデルシステムを用いた抗 LAT1 モノクローナル抗体の抗腫 瘍効果 34 を報告した。また、最近、より癌細胞に対する結合活性が高い新 規抗LAT1 モノクローナル抗体を作製し(第二世代抗 LAT1 モノクローナル 抗体)、ヒト癌細胞異種移植モデルを用いて、LAT1 を標的とした Immuno PET 検出について報告した42。 本研究では、癌細胞に対する第一世代と第二世代の抗 LAT1 モノクロー

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8 ナル抗体の反応性を比較し、第二世代モノクローナル抗体のインターナリ ゼーション活性、アミノ酸取り込みおよび細胞増殖の阻害を解析した。次 いで、エフェクター細胞としてヌードマウス由来の脾細胞を用いたラット モノクローナル抗体、およびエフェクター細胞として末梢血由来ヒト単核 球を用いたラット ヒトキメラ抗 LAT1 モノクローナル抗体の抗体依存性細 胞傷害(Antibody-dependent cellular cytotoxicity; ADCC)を解析した。さらに、 抗ヒト LAT1 モノクローナル抗体の臨床試験において起こり得る副作用を 評価するため、抗ヒト LAT1 モノクローナル抗体のカニクイザル細胞とカ ニクイザルLAT1 発現トランスフェクタントとの反応性を詳細に調べた。

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第三章 実験材料及び方法

細胞培養 第一節 ヒト大腸(LS-174T、HCT116)、胃(KATOIII)、腎(ACHN)、肺(NCI-H292、 NCI-H1944、A549)子宮(HeLa)癌細胞株およびマウスミエローマ細胞株 P3X63Ag8.563 は ATCC(Manassas, VA, USA)より、ヒト卵巣癌細胞株 OVTOKO およびカニクイザル腎細胞株 MK.P3 は JCRB Cell Bank(Osaka, Japan)より、ヒト胎児腎細胞株 HEK293F は Invitrogen(Carlsbad, CA, USA) より、hMNC-PB は PromoCell(Heidelberg, Germany)より入手した。ラット 肝癌細胞株RH7777 は田辺三菱製薬の千葉健治博士のご厚意により分与し て頂いた。すべての細胞はDMEM 培地と RPMI-1640 培地(Nissui

Pharmaceutical Co., Ltd, Tokyo, Japan)を 1:1 で混合し、7%の非働化した FBS (Nichirei Biosciences, Tokyo, Japan)を加えた RD 培地を用い、37 の加湿 CO2インキュベータ(5% CO2)中で培養した。

カニクイザルLAT1 cDNA のクローニング 第二節

カニクイザルLAT1 の cDNA は MK.P3 細胞より Isogen II(Nippon Gene, Toyama, Japan)を用いて抽出した RNA より First Strand cDNA Synthesis kit (GE Healthcare, Uppsala, Sweden) を用いて逆転写し、また、全長の LAT1 遺 伝子を増幅できるプライマーセットにてQ5 DNA polymerase (New England BioLabs, Tokyo, Japan)を使用して増幅した

GFP 融合カニクイザル LAT1 発現トランスフェクタントの樹立 第三節

GFP は pAcGFP ベクター(BD Biosciences, Mountain View, CA, USA)にて全 長カニクイザルLAT1 と融合させた。RH7777 細胞または HEK293 細胞への

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GFP 融合カニクイザル LAT1 発現ベクターのトランスフェクションは Lipofectamine 3000(Invitrogen)を用いて行った。その後、400 μg/mL の G418 (Nacalai Tesque, Kyoto, Japan)を含む培地にて選択を行い、JSAN セルソー ター(Bay Bioscience, Kobe, Japan)を用いて細胞の緑色蛍光陽性の細胞クロ ーンを分取した。

一次抗体とポリクローナル抗体 第四節

本研究において、第一世代(SOL22、SOL69)34,40,41および第二世代(Ab1、 Ab242、Ab3、Ab4)の抗ヒト LAT1 ラットモノクローナル抗、Ab1 および Ab3 を組み替えた抗ヒト LAT1 ラット ヒトキメラ抗体(ChAb1、ChAb3)、 抗HER1 キメラ抗体(Cetuximab, MerckSerono, Tokyo, Japan)、抗ヒト CD98 ラットモノクローナル抗(HR3540,41)、抗ヒトxCT ラットモノクローナル抗 体(Ab3118)、抗ヒトCD98 マウスモノクローナル抗体(HBJ1273,43-45)、抗 ラットCD98 マウスモノクローナル抗体(B32,43)、抗マウスCD98 ラットモ ノクローナル抗体(MB87232)、抗マウスCD44v ラットモノクローナル抗体 (RM112-14)、抗HER2 マウスモノクローナル抗体(SER446,47)、抗GFP ウサ ギポリクローナ抗体(当研究室にて作製)を用いた。 動物 第五節 F344/N ラットおよび KSN ヌードマウスは清水実験材料株式会社(Kyoto, Japan)より入手し、近畿大学の動物施設にて維持した。すべての動物は Specific pathogen-free(SPF)条件下で維持した。通常の明暗サイクル条件下 (7:00 開始の 12 時間サイクル)、23±1 の室温にて、自由に餌と水を摂取で

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きる状態のプラスチックケージで飼育した。すべての実験は近畿大学動物 実験委員会の承認を得て行った(KAPS-23-004 and KAPS-26-019)。

フローサイトメトリー 第六節

細胞(1~5 × 105 個)を一次抗体(10 μg/mL)存在下、氷上で 1 時間インキ ュベートした。その後、0.2%の BSA を含む PBS で 2 回洗浄し、フィコエリ スリン(PE)結合ロバ抗ラット IgG(H+L)二次抗体(Jackson ImmunoResearch, West Grove, PA, USA)と氷上で 45 分間反応させた。その後、0.2%の BSA を含むPBS にて細胞を 3 回洗い、各細胞の蛍光強度を Accuri C6 もしくは LSR-Fortessa フローサイトメトリー(Becton-Dickinson, Franklin Lakes, NJ, USA)にて測定した。一次抗体非存在下及び存在下における蛍光強度の平 均値(Men fluorescence intensity; MFI)より MFI の差(ΔMFI)または MFI の比(+mAb/-mAb; rMFI)を計算した。 新規抗ヒトLAT1 ラットモノクローナル抗体およびラット ヒト 第七節 キメラモノクローナル抗体の作製 皮下、腹腔もしくは静脈内にGFP 融合ヒト LAT1 発現 RH7777 細胞(3 × 107 個)を2 週間間隔で 6 回投与することにより免疫した。最終免疫の 3 日後、 免疫ラットより脾臓を摘出し、脾細胞(1 × 108 個)と P3X63Ag8.653 マウ スミエローマ細胞(2 × 107 個)を 50%ポリエチレングリコール 1540(Roche, Penzberg, Germany)を用いて細胞融合した。樹立したハイブリドーマを 10 枚の96 ウェルに播種し、ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン(HAT, Thermo Fisher Scientific Inc., Waltham, MA, USA)を含む 7% FBS 添加 RD 培 地にて選択した。ハイブリドーマ分泌抗体のLAT1-GFP 発現 HEK293 細胞

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への反応性をフローサイトメトリーを用いて解析した。選択したハイブリ ドーマを限外希釈法にてクローン化し、その後、PBS に懸濁した 5 × 106 個 のハイブリドーマを、事前に2,6,10,14-テトラメチルペンタデカン(Pristane; Wako Pure Chemical Industries, Osaka, Japan)を投与した KSN ヌードマウス の腹腔内に投与した。ハイブリドーマ投与おおよそ10 から 14 日後、腹水 を回収し、プロテインG セファロース(GE Healthcare)を用いてモノクロ ーナル抗体を精製した。

抗LAT1 ラット ヒトキメラ抗体の作製においては、ラット IgG 分泌ハイブ リドーマRNA よりクローニングした、Ab1 と Ab3 の重鎖および軽鎖可変領 域のcDNA を遺伝子工学的にヒト IgG1 に組み替え、pBud4.1 ベクター (Invitrogen)のそれぞれ独立したプロモーターの下流に重鎖および軽鎖を クローニングした。その後、作製したベクターを293fectin(Invitrogen)を 用いてHEK293 細胞にトランスフェクトした。ラット-ヒトキメラ抗体を含 む培養上清2 L を回収し、遠心濃縮装置(Millipore, Corporation, Billerica, MA, USA)を用いて 20 mL 濃縮し、50% 飽和硫酸アンモニウムにて塩析した。 さらに、プロテインG セファロースを用いたアフィニティークロマトグラ フィーにて精製を行った。 抗LAT1 モノクローナル抗体のインターナリゼーション活性の解析 第八節 6 ウェルプレートにて、サブコンフルエントの GFP 融合ヒト LAT1 発現 HEK293 細胞に抗 LAT1 モノクローナル抗体存在、あるいは非存在下、37 で24 時間培養した。その後、4% パラホルムアルデヒド(Wako)を含む PBS にて 15 分間固定し、PBS で 3 回洗い、Biozero 蛍光顕微鏡(Keyence, Osaka Japan)にて細胞の蛍光を観察した。

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HCT116 または NCI-H1944 細胞(1 × 105 個)を抗 LAT1 モノクローナル抗 体(10 μg/mL)を含むもしくは含まない 100 μL の 7% FBS 添加 RD 培地に 懸濁し、37 で図示された時間インキュベートした。PBS にて洗った後、1% BSA-PBS にて 300 倍希釈した PE 結合抗ラット IgG 抗体(Jackson)と 30 分 間、氷上で反応させた。PBS にて洗浄した後、各細胞の蛍光強度をフロー サイトメトリーにて解析した。

In vivo 抗腫瘍効果の解析 第九節

6 週齢の KSN マウスを無作為に二つのグループ(RM1 アイソタイプコント ロールラットIgG2a 抗体投与群及び Ab1 抗 LAT1 ラット IgG2a 投与群)に 分け、LS-174T ヒト大腸癌細胞株(PBS 200 μL 中 5 ×106 個)をマウス皮下 に移植し、視覚的に腫瘍が形成されれていることを確認した。この時点を0 日目とし、抗LAT1 モノクローナル抗体(Ab1)またはアイソタイプコント ロールモノクローナル抗体(500 μL の PBS 中に 100 μg)を腹腔内投与し、 さらに8 日目および 15 日目に同量のモノクローナル抗体を投与した。腫瘍 サイズは定期的に測定し、腫瘍体積(mm3)は0.4 ×(長径)×(短径)2と して計算した。 分岐鎖アミノ酸取り込みに対する抗 LAT1 モノクローナル抗体の 第十節 効果の解析 サブコンフルエントの状態のHeLa および HCT116 細胞を抗 LAT1 モノクロ ーナル抗体を含むもしくは含まない血清無添加RD 培地にて 12 時間培養し た後、細胞を回収し、細胞内の分岐差アミノ酸含量をBCAA (Leu, Ile, Val) Colorimetric Assay Kit(BioVision, Milipitas, CA, USA)を用い、通常のプロト

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コールに従って定量した。すなわち、2 × 106 個の細胞を 100 μL のアッセイ バッファーにてホモジナイズし、BCAA に対して酸化的脱アミノ化反応を 行う酵素反応を行った。上記酵素反応はその反応に伴ってNADH を産生し、 また、NADH はプローブを還元することにより有色の物質(λmax = 450 nm) を産生する。Model 550 microplate reader(Bio-Rad, Hercules, CA, USA)を用 いて450 nm の吸光度を測定し、細胞内 BCAA 濃度をロイシン標準曲線より 計算した。 抗LAT1 モノクローナル抗体による癌細胞に対する In vitro 細胞増殖 第十一節 阻害活性の検討 HeLa、KATOIII または NCI-H1944 細胞(96 ウェルプレート各ウェルに対し て1 × 103個)を抗体無添加またはアイソタイプコントロールラットIgG2a (RM1)、抗ヒト CD98hc 抗体(HR35)、抗ヒトxCT ラット IgG2a(Ab31) または抗LAT1 モノクローナル抗体(SOL69、Ab1 または Ab3)(0.02 ~ 20 μg/mL)を添加した 100 μL の血清無添加 RD 培地中で 4 から 7 日間、37 で培養した。その後、WST-8-based Cell Counting Kit-8(Dojin, Chemicals, Kumamoto, Japan)を 5 μL/well で添加し、Model 550 microplate reader (Bio-Rad)を用いて 450 nm の吸光度を測定した。

ADCC 活性の測定 第十二節

ADCC 活性は 7% FBS 添加フェノールレッド不含 RD 培地と CytoTox 96 non-Radioactive Cytotoxicity Assay kit(Promega Corporation, Madison, WI, USA) を用いて、乳酸脱水素酵素(Lactate dehydrogenase; LDH)放出アッセイにて 測定した。標的細胞(各サンプル1 × 104 個)をラットまたはラット ヒト

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15 キメラ抗体(10 μg/mL)存在下、4 で 15 分間反応させた。洗浄後、標的細 胞と、エフェクター細胞としてヌードマウス脾細胞(5 × 104 個)または hMNC-PB(5 × 105 個)を 4~12 時間 37 にて共培養した。Model 550 microplate reader(Bio-Rad)にて 490 nm の吸光度を測定することにより培養上清中の LDH 活性を測定することで細胞障害性を検討した。最大の LDH リリースは 0.2%の Triton-X100 による細胞の可溶化にて決定した。細胞障害性は以下の 計算式にて計算した:細胞障害性(%)=[(サンプルにおける LDH リリー ス)-(エフェクター細胞の定常性LDH リリース)-(標的細胞の定常性 LDH リリース)]/(標的細胞の最大リリース) - (標的細胞の定常性リ リース)]× 100。 LAT1 のノックダウン 第十三節 サブコンフルエントのACHN および MK.P3 細胞を 6 ウェルプレートに 1 ウ ェルあたり3 × 105 個で播種し、LAT1 に対する small interfering (si) RNA (30 pmol)を 2 mL の培地中で Lipofectamine RNAi MAX(Invitrogen)を用 いてトランスフェクトした。72 時間のインキュベートの後、ヒトおよびカ ニクイザル細胞におけるLAT1 および CD98hc タンパク質発現に対する RNA 干渉の効果を解析した。モック(スクランブル)またはLAT1 に対する siRNA (#1、 #2、 #3)にて細胞を処理し、ヒト LAT1(Ab1)または CD98hc(HR35) に対する抗体と反応させたのち、PE 結合抗ラット IgG 抗体反応させ、フロ ーサイトメトリーにてタンパク質発現量の解析を行った。 免疫沈降 第十四節

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16 10 cm 培養ディッシュにてサブコンフルエントの細胞を PBS で洗浄し、1% ノニデットP-40 およびプロテアーゼ阻害剤カクテル(Nacalai)を含む細胞 溶解バッファー3 mL にて氷上で 30 分間溶解した。その後、19,000 × g にて 10 分間、4 で遠心分離し、その上清をプロテイン G セファロースにて 1 時 間、プレクリアした。得られたライセートは抗ラットCD98hc 抗体(B3) または抗ヒトCD98hc 抗体(HBJ127)と 6 時間室温にて反応させ、その後、 プロテインG セファロースを加えてさらに 2 時間インキュベートした。セ ファロースビーズに結合したタンパク質を1% ノニデット P-40 含有 PBS に て3 回洗浄した後、1 × SDS-PAGE ローディングバッファーにて懸濁し、5 分間ボイルし、遠心分離にて上清を回収した。イムノブロット解析におい ては、ローディングバッファーにてタンパク質を可溶化し、SDS-PAGE(8% ゲル)とImmobilon-P(Millipore)への転写を行い、ウサギ抗 GFP ポリクロ ーナル抗体と反応させた。免疫複合体は西洋わさびペルオキシダーゼ結合 VeriBlot(ab131366, Abcam, Cambridge, UK)と Chemi-Super(Nacalai)を用 いて検出した。 スキャッチャードプロット解析 第十五節 異なる細胞での抗ヒトLAT1 モノクローナル抗体の親和性はスキャッチャ ードプロット解析にて評価した。細胞をテスト抗体(100 μg/mL)存在ある いは非存在下で様々な濃度のモノクローナル抗体(3 ng ~ 100 μg/mL)と 1 時間、氷上で反応させた。その後、非結合抗体を0.2% BSA-PBS での洗浄に より除き、PE 結合抗ラット IgG 抗体と氷上で 45 分間反応させ、フローサ イトメトリーにて解析した。一次抗体存在または非存在条件でのMFI の数 値より、MFI の差(ΔMFI)を計算した。ΔMFI に対して ΔMFI / 抗体濃度を

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プロットし、解離定数KD(nM)と親和定数 KA(M-1)を線形回帰の傾きよ

り決定した。

統計解析 第十六節

実験データはWindows 版 Prism7(GraphPad Software, San Diego, CA, USA) を用いて解析した。有意性の基準はP > 0.05(*)、0.01(**)、0.001(***) とした。

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第四章 結果

新規(第二世代)抗ヒトLAT1 モノクローナル抗体 第一節 我々は以前に SOL22 および SOL69(第一世代モノクローナル抗体)と命 名した抗 LAT1 モノクローナル抗体の作製を報告した 40,41。また、最近、 LAT1 を標的とした癌治療の発展のため、GFP 融合ヒト LAT1 発現トランス フェクタントを免疫原として新規モノクローナル抗体(Ab1~4、第二世代モ ノクローナル抗体)を開発し、抗LAT1 モノクローナル抗体(Ab2)を応用 したImmunoPET の基礎的解析を報告した42。6種類の抗LAT1 モノクロー ナル抗体は全てラットIgG2a重鎖サブクラスとκ 型軽鎖から構成される。モ ノクローナル抗体作製についての詳細は我々の以前の報告で述べている 40,41。第一世代と第二世代モノクローナル抗体の間で相補性決定領域(CDR) のアミノ酸配列は異なるが、各世代内のモノクローナル抗体間ではCDR の アミノ酸配列はほんの少しの違いしかない。CDR におけるごくわずかなア ミノ酸の相違。新規モノクローナル抗体の詳細は、特許(米国特許第9,725, 519 号および日本国特許第 6,421,371 号)に記載されている。

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第一世代と第二世代抗LAT1 モノクローナル抗体の比較 第二節

GFP 融合ヒト LAT1 発現 HEK293 細胞及び RH7777 細胞と抗 LAT1 mAb (SOL22、SOL69、Ab1 および Ab2)の反応性を検討したところ、いずれに おいてもGFP 強度依存的な反応性を示し、4 種の抗 LAT1 モノクローナル抗 体はヒトLAT1 に特異的に反応していることが示された(FIGURE 1A)。Ab1 およびAb2 は、HCT116 および LS-174T ヒト結腸癌に対して SOL22 および SOL69 よりも強い反応性を示し(FIGURE 1B)、これにより第二世代モノク ローナル抗体が第一世代モノクローナル抗体と比較して癌細胞に対する反 応性が優れていることが示された。 モノクローナル抗体のインターナリゼーション活性 第三節 GFP 融合ヒト LAT1 発現 HEK293 をモノクローナル抗体と共培養し、GFP 融合LAT1 のインターナリゼーションを解析した(FIGURE 2A)。4 種類全 ての抗 LAT1 モノクローナル抗体によって細胞表面 GFP 融合 LAT1 タンパ ク質は減少し、細胞内にGFP 融合 LAT1 タンパク質の局在が観察された(白 矢印)。 LAT1 タンパク質のインターナリゼーションは、抗 LAT1 モノクローナル抗 体でHCT116 ヒト結腸癌細胞株(FIGURE 2B)および NCI-H1944 肺癌細胞 株(FIGURE 2C)においても確認された。LAT1 タンパク質のインターナリ ゼーションは抗体反応開始15 分より観察され、細胞表面 LAT1 タンパク質 はモノクローナル抗体添加後 120 分まで時間依存的に減少した(FIGURE 2C)。

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20 異種移植ヒト癌細胞に対するモノクローナル抗体の抗腫瘍効果 第四節 確立された腫瘍モデルである LS-174T ヒト結腸癌細胞株異種移植モデルに 対する Ab1 の抗腫瘍効果について評価した 19,48。このモデルにおいて、モ ノクローナル抗体の投与法として、各マウスに正確な量のモノクローナル 抗体を投与するために腹腔内投与を採用した。コントロールと比較して、 Ab1 投与マウスにおいて腫瘍増殖が有意に阻害された(FIGURE 3)。 ヒト癌細胞の BCAA 取り込みと増殖に対する抗 LAT1 第五節 モノクローナル抗体の in vitro 効果 抗 LAT1 モノクローナル抗体による in vivo 抗腫瘍効果の機序を解明するた めに、ヒト癌細胞での BCAA 取り込みおよび増殖に対するモノクローナル 抗体 in vitro 阻害効果を解析した(FIGURE 4)。細胞内 BCAA 量は、抗 LAT1 モノクローナル抗体処置によって HeLa 細胞で有意に減少した(FIGURE 4A)。また、HeLa に対して in vitro において抗 LAT1 モノクローナル抗体、 抗CD98hc モノクローナル抗体および抗 xCT モノクローナル抗体を添加し、 細胞増殖への影響を検討した結果、抗 CD98hc(SLC3A2)モノクローナル 抗体とAb1(第二世代モノクローナル抗体)は、SOL69(第一世代モノクロ ーナル抗体) より優れた増殖抑制効果を示した。一方、抗 xCT モノクロー ナル抗体 Ab31 は増殖抑制効果を示さなかった(FIGURE 4B)。さらに、 KATOIII(C)、および NCI-H1944(D)ヒト癌細胞に対しても抗 LAT1 モノ クローナル抗体(Ab1 および Ab3)は増殖抑制効果を示した(FIGURE 4B)。 以上の結果より、抗 LAT1 モノクローナル抗体 Ab1 は抗腫瘍効果を示す機 序の一つとして、アミノ酸取り込み阻害による増殖抑制効果を持つことが 示唆された。

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21

ラットモノクローナル抗体およびヒト ラットキメラ化モノクローナ 第六節

ル抗体による抗体依存性細胞性細胞障害(ADCC)

In vivo 抗腫瘍効果の機序の一部として抗 LAT1 ラットモノクローナル抗体 を介したADCC 活性の有無を調べた(FIGURE 4E)。LS-174T および HeLa ヒト癌細胞において、Ab1 とヌードマウス由来脾細胞を共培養したところ、 Ab1 は顕著な ADCC 活性を示した。以上の結果より、抗 LAT1 モノクロー ナル抗体Ab1 の in vivo 抗腫瘍効果に ADCC 活性が寄与していることが示 唆された。次に、ラットモノクローナル抗体であるAb1 と Ab3 をラット ヒトキメラモノクローナル抗体ChAb1 と ChAb3 に変換し、hMNC-PB (ヒ トリンパ球) と共培養した場合の ADCC 活性を評価した。キメラ化抗 LAT1 モノクローナル抗体は、結腸、子宮、肺、および卵巣由来の多くのヒト癌 細胞株に対して強いADCC 活性を示した(FIGURE 5A)。また、キメラ化 抗LAT1 モノクローナル抗体 ChAb1 および ChAb3 の HCT116 細胞に対する ADCC 活性はキメラ化抗 HER1 モノクローナル抗体であるセツキシマブよ りも著しく優れていた(FIGURE 5B)。 抗ヒトLAT1 モノクローナル抗体のカニクイザル LAT1 タンパク質へ 第七節 の交差反応性 治療用モノクローナル抗体の副作用評価は臨床で使用するにあたって重 要である。しかしながら、ある一定のヒトタンパク質 (例えば X とすると) に対するモノクローナル抗体は他の種のXと反応しないことがしばしばあ る。実際、抗ヒトLAT1 モノクローナル抗体はヒト LAT1 とは特異的に反応 するが、他のヒトCD98lcs40,41またはマウスLAT142とは反応しない。そのた め、全臨床試験段階における副作用の評価にマウスを使用することができ

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ない。そのため、我々は一般的に前臨床試験の副作用評価に用いられる非 ヒト霊長類であるカニクイザルのLAT1 と Ab1 および Ab2 の反応性を調べ た。Ab1 および Ab2 は、MK.P3 カニクイザル腎臓由来細胞と反応すること を確認し、この反応性はACHN ヒト腎臓由来細胞に対する反応性と同等で あった(FIGURE 6A)。 新規モノクローナル抗体はヒトおよびカニクイザル LAT1 タンパク 第八節 質を特異的に認識する 抗ヒト LAT1 モノクローナル抗体がカニクイザル細胞上のカニクイザル LAT1 に特異的に反応していることを確認するため、LAT1 siRNA による抗 ヒトLAT1 モノクローナル抗体の ACHN および MK.P3 細胞との反応性への 影響を解析した。LAT1 ノックダウンによって、抗ヒト LAT1 モノクローナ ル抗体とヒトおよびカニクイザル細胞との反応性は減少した。 ACHN およ びMK.P3 細胞の両方において、LAT1 siRNA のトランスフェクションによ るLAT1 のノックダウンによって、コントロールと比較して CD98hc の細胞 表面発現の減少が見られた(FIGURE 6B)。これらの結果より、抗ヒト LAT1 モノクローナル抗体がカニクイザル LAT1 と特異的に反応していること及 びLAT1 の発現変化は CD98hc の発現も変化させる可能性があることが示唆 された。 モノクローナル抗体のGFP 融合カニクイザル LAT1 トランスフェク 第九節 タントとの反応性 抗ヒト LAT1 モノクローナル抗体のヒトおよびカニクイザル LAT1 に対す る反応の同等性を実証するため、GFP 融合ヒトまたはカニクイザル LAT1

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23 発現RH7777 細胞を樹立した。抗ヒト LAT1 モノクローナル抗体である Ab1 は、ヒトおよびカニクイザル両方の RH7777 トランスフェクタントと GFP 強度依存的に結合し、細胞と結合した抗LAT1 モノクローナル抗体の相対的 な量を反映する rMFI は、両方の RH7777 細胞においてほぼ同等であった (FIGURE 6C)。 導入されたカニクイザルLAT1 の内在性 CD98hc との結合 第十節 GFP 融合カニクイザル LAT1 タンパク質と内因性 CD98hc タンパク質との 結合を抗LAT1 または抗 CD98hc モノクローナル抗体を用いた免疫沈降、次 いで抗GFP ポリクローナル抗体を用いたウエスタンブロッティングにより 調べた。外因性に発現させたカニクイザルLAT1 は、RH7777 ラット細胞上 のラットCD98hc および HEK293 ヒト細胞上のヒト CD98hc と結合していた (FIGURE 6D)。 抗ヒトLAT1 mAb の二重結合活性モード 第十一節 抗ヒト LAT1 モノクローナル抗体の結合性を詳細に調べるため、抗ヒト LAT1 モノクローナル抗体のカニクイザルおよびヒト LAT1 に対する解離定 数KDおよび親和定数KAをMK.P3 カニクイザルおよび ACHN ヒト腎臓由来 細胞を用いて解析した。抗ヒトLAT1 モノクローナル抗体 (Ab1) は MK.P3 カニクイザル細胞に対して二重 (高親和性: 3.1 × 109 M-1 低親和性: 3.9 × 106 M-1) 親和性が見られ(FIGURE 7A)、ACHN ヒト細胞においても同様であ った(FIGURE 7B)。 次に、カニクイザル LAT1 タンパク質に対する抗 LAT1 モノクローナル抗 体の結合性に対する抗CD98hc モノクローナル抗体の影響を評価するため、

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RH7777 (FIGURE 7C) または HEK293 (FIGURE 7D) 細胞上に発現させたカ ニクイザル LAT1 タンパク質に対する抗ヒト LAT1 モノクローナル抗体の KAを内在性CD98hc タンパク質を認識するモノクローナル抗体を存在下(右) または非存在下(左)で解析した。KA値によって示されるように、RH7777 ラット細胞において抗ラット CD98hc モノクローナル抗体存在下で高親和 性と低親和性の両方において結合性が増加した。 また、HEK293 ヒト細胞 に対しても抗ヒト CD98hc モノクローナル抗体存在下で同様であった。 FIGURE 8 に示すように、HCT116 ヒト結腸癌細胞に対する抗ヒト LAT1 モ ノクローナル抗体のKAを他抗体非存在化(FIGURE 8A)、HER2 認識モノク ローナル抗体存在化(FIGURE 8B)、抗ラット CD98hc モノクローナル抗体 存在化(FIGURE 8C)、または抗ヒト CD98 モノクローナル抗体存在化 (FIGURE 8D)において解析した。抗 LAT1 モノクローナル抗体 (Ab1) は 高親和性KA値(1.5 × 1010 M-1)と低親和性KA値(6.7 × 107 M-1)の二重親

和性が観察され(FIGURE 8A)、これによって抗 LAT1 モノクローナル抗体 がLAT1 タンパク質と複合体と関連する多量体 LAT1 タンパク質のエピトー プを認識する可能性が示される。これらの二重親和性は、抗ヒト CD98hc モノクローナル抗体存在下で高親和性(3.3 × 1010 M-1)および低親和性(1.5 × 108 M-1)(FIGURE 8D)において結合性が増加したが、抗 HER2 モノクロ ーナル抗体存在下(FIGURE 8B)または抗ラット CD98hc モノクローナル抗 体存在下(FIGURE 8C)による影響は受けなかった。これらの結果より、 少なくとも一部ではLAT1 と CD98hc の結合が二重親和性の出現に関与して いると示唆された。

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25 結 第十二節 果 の 基 礎 と な る 図 F I G U R E 1 抗 L 型アミノ酸トランスポーター1(LAT1)モノクローナル抗体の特 異性と反応性 抗 LAT1 ラットモノクローナル抗体(SOL22、SOL69、Ab1、Ab2)を GFP 融合ヒトLAT1 発現 HEK293 と RH7777 細胞(A)と HCT116 と LS-174T ヒ ト大腸癌細胞(B)への結合活性を比較した。一次抗体として抗 LAT1 ラッ トモノクローナル抗体で細胞を染色し、続いて二次抗体としてPE 標識抗ラ ット IgG 抗体で染色しフローサイトメトリー解析した。(B)では蛍光強度

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FIGURE 2 抗 LAT1 モノクローナル抗体による L 型アミノ酸トランスポー ター1(LAT1)タンパク質のインターナリゼーション

A、GFP 融合ヒト LAT1 発現 HEK293 細胞を 37℃で 24 時間、抗 LAT1 モノ クローナル抗体で処置し、蛍光顕微鏡で解析した。スケールバーは 20 µm を表す。B、HCT116 細胞を抗 LAT1 ラットモノクローナル抗体で 4℃また は37℃条件下で 1 時間処置し、PE 標識ラット IgG 抗体を氷上で染色後、フ ローサイトメトリー解析した。C、NCI-H1944 細胞を抗 LAT1 モノクローナ ル抗体を、37℃条件下、図示した時間処置し、続いて氷上で PE 標識抗ラッ ト IgG 抗体にて染色後フローサイトメトリー解析した。MFI は蛍光強度値 である。

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28 FIGURE 3 異種移植腫瘍モデルにおける抗 L 型アミノ酸トランスポータ ー1(LAT1)モノクローナル抗体の抗腫瘍効果 LS-174T ヒト大腸癌細胞(5 × 106 個)をヌードマウスに皮下移植し、6 日 後、全てのマウスで移植した腫瘍が目視で確認できた。この時点を 0 日目 とし、抗LAT1 モノクローナル抗体(Ab1)もしくはアイソタイプコントロ ール IgG モノクローナル抗体 100 µg を腹腔内投与し、続いて 8 日目と 15 日目も同様の条件で抗体を投与した。データは平均値 ± 標準誤差で表し、 統計解析は二元配置分散分析を用いた。

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29 FIGURE 4 抗 L 型アミノ酸トランスポーター1 モノクローナル抗体によ る分岐鎖アミノ酸(BCAA)取り込み、細胞増殖、マウスエフェクター細 胞存在下抗体依存性細胞性細胞障害への影響 A、HeLa および HCT116 癌細胞をコントロール抗体(RM1)または抗 LAT1 モノクローナル抗体(Ab1)20 µg/mL と 12 時間共培養し BCAA 量を評価し た。HeLa(B)、KATOⅢ(C)および NCI-H1944(D)における抗 LAT1 モ ノクローナル抗体による増殖抑制をWST-8 アッセイで評価した。(B)では、 抗LAT1 モノクローナル抗体(SOL69 と Ab1)または抗 CD98hc モノクロー ナル抗体(HR35)または抗 xCT モノクローナル抗体(Ab31)それぞれ 20 µg/mL の増殖抑制効果をアイソタイプコントロールラットモノクローナル 抗体(RM1)を用いて評価した。E、ヌードマウス由来碑細胞を用いた抗

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30 LAT1 ラットモノクローナル抗体(Ab1)の抗体依存性細胞性細胞障害活性 をLS-174T と HeLa 細胞で評価した。エフェクター細胞:細胞比は 5:1 で 行った。縦棒は標準誤差を表し、データは両側スチューデントt 検定による 統計解析を行った。LDH; 乳酸脱水素酵素。 ns; 有意差なし。*P < 0.05、 **P < 0.01、***P < 0.001.

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FIGURE 5 キメラ化抗 L 型アミノ酸トランスポーター1(LAT1)モノク ローナル抗体のヒトエフェクター細胞を用いた抗体依存性細胞性細胞障害 A、ヒトリンパ球を用いたラット-ヒトキメラ化抗 LAT1 モノクローナル抗体 (ChAb1 と ChAb3)の ADCC 活性を複数のヒト癌細胞株で評価した。B、 キメラ化抗 LAT1 モノクローナル抗体の ADCC をキメラ化抗ヒト上皮成長 因子受容体1 モノクローナル抗体であるセツキシマブと比較した。E/T 比は 50:1 で行った。縦棒は標準誤差を表し、両側スチューデント t 検定による 統計解析を行った。LDH は乳酸脱水素酵素のことである。

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FIGURE 6 抗ヒト L 型アミノ酸トランスポーター1 モノクローナル抗体 のヒトとカニクイザル細胞への特異性

A、ACHN ヒトおよび MK.P3 カニクイザル細胞を抗ヒト LAT1 モノクロー ナル抗体(Ab1 または Ab2)で染色し、続いて PE 標識抗ラット IgG 抗体で 染色しフローサイトメトリー解析を行った。表記している値は抗体染色有 と未染色の蛍光強度値の比である。B、ヒトとカニクイザル細胞上のヒト LAT1 と CD98 重鎖(CD98hc)タンパク質発現への RNA 干渉の影響を解析 した。細胞をモック(スクランブル)RNA または LAT1 siRNA(#1、#2 ま たは#3)で 72 時間処置し、抗 LAT1 ラットモノクローナル抗体(Ab1)ま

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33 たは抗 CD98 ラットモノクローナル抗体(HR35)で染色し、続いて PE 標 識抗ラット IgG 抗体で染色後、フローサイトメトリーによってタンパク質 発現を解析した。C、抗ヒト LAT1 モノクローナル抗体(Ab1)の GFP 融合 カニクイザル LAT1(左)またはヒト LAT1(右)発現 RH7777 ラット細胞 に対する反応性を評価した。D、導入した GFP 融合カニクイザル LAT1 と内 在性のラットまたはヒトCD98hc の結合を調べた。カニクイザル LAT1 発現 RH7777(上)または HEK293(下)由来のライセートを用いてコントロー ル IgG、抗 LAT1 モノクローナル抗体または抗 CD98hc 抗体で免疫沈降し、 沈降物と元のライセート(input)に対して抗 GFP ウサギポリクローナル抗 体を用いたウエスタンブロットを行った。

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FIGURE 7 抗ヒト L 型アミノ酸トランスポーター1(LAT1)モノクローナ ル抗体のヒトとカニクイザル細胞に対するスキャッチャ-ドプロット解析 カニクイザルMK.P3(A)とヒト ACHN(B)腎臓由来細胞を濃度段階別に 抗ヒトLAT1 モノクローナル抗体と反応させ、PE 標識抗ラット IgG 抗体で 染色しフローサイトメトリー解析した。一次抗体存在下または非存在下の 蛍光強度値より蛍光強度値の差(ΔMFI)を算出した。ΔMFI をモノクロー ナル抗体濃度で割りそれをΔMFI に対してプロットし、線形回帰の傾きより KD(nmol/L)と KA(M-1)を算出した。カニクイザルLAT1 タンパク質への 抗 LAT1 モノクローナル抗体の親和性への抗 CD98 重鎖(CD98hc)モノク ローナル抗体の影響を評価するため、抗ヒトLAT1 モノクローナル抗体のカ ニクイザルLAT1 発現 RH7777 細胞(C)または HEK293 細胞(D)への KA を、内因性CD98hc を認識するモノクローナル抗体の存在下または非存在下 において解析した。値(赤または青)はそれぞれ抗LAT1 モノクローナル抗 体の高親和性または低親和性のKA(M-1)を表す。

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35 FIGURE 8 HCT116 細胞を用いた抗 L 型アミノ酸トランスポーター1 (LAT1)モノクローナル抗体のスキャッチャードプロット解析 抗LAT1 モノクローナル抗体のみ(A)または抗ヒト上皮成長因子受容体 2 (HER2)モノクローナル抗体(B)、抗ラット CD98 重鎖(CD98hc)モノク ローナル抗体(C)または抗ヒト CD98hc モノクローナル抗体(D)存在下 におけるHCT116 細胞に対する抗 LAT1 モノクローナル抗体の KAをスキャ チャードプロットより算出した。HCT116 細胞を様々な濃度の抗 LAT1 モノ クローナル抗体と反応させ、続いてPE 標識抗ラット IgG 抗体で染色しフロ ーサイトメトリー解析した。MFI は蛍光強度値である。

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36

第五章 考察

CD98hc-LAT1 複合体は癌治療の有望な分子標的とされており、CD98hc に 対する抗体治療臨床試験は現在進行している39。我々は以前に、第一世代抗 LAT1 モノクローナル抗体を用いた解析により LAT1 の癌特異性が CD98hc より優れていることを示し40,41、そして最近、我々は第二世代抗LAT1 モノ クローナル抗体を開発した42。

第二世代抗 LAT1 モノクローナル抗体は、GFP 融合ヒト LAT1 発現 HEK293 およびRH7777 細胞、HCT116 と LS-174T ヒト大腸癌細胞に対して第一世代 抗LAT1 モノクローナル抗体よりも著しく強い反応性を示した(FIGURE 1)。 本研究では、LAT1 タンパク質の in vitro モノクローナル抗体依存的インタ ーナリゼーション活性(FIGURE 2)と、全身性 Ab1 処置によるヌードマウ スへの異種移植LS174T 癌細胞の in vivo 増殖阻害効果(FIGURE 3)を調べ た。LAT1 / CD98hc は mTOR シグナルを介した癌細胞の増殖に関係してい る 49。それゆえ、我々は mTOR シグナルの阻害またはアミノ酸の枯渇作用 が Ab1 による LAT1 のインターナリゼーションにより引き起こされる事象 であると予想した。これに関連して、LAT1 は BCAA5を含む大型中性アミ ノ酸のトランスポーターであるので、細胞内BCAA 量に対する抗 LAT1 モ ノクローナル抗体が及ぼす影響について調べた。その結果、抗LAT1 モノク ローナル抗体処理にて in vitro 癌細胞内への BCAA 取り込み阻害効果が認め られた(FIGURE 4A)。我々は以前に抗 CD98hc マウスモノクローナル抗体 による癌細胞の増殖抑制効果を報告した43,50が、今回、抗CD98hc ラットモ ノクローナル抗体による増殖抑制に加え、抗LAT1 ラットモノクローナル抗 体 (FIGURE 4B-D) によるヒト癌細胞の in vitro 増殖抑制効果が観察された (FIGURE 4B)。また、Ab1 によってヌードマウス由来碑細胞存在下において

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37

LS-174T と HeLa 細胞に対しての ADCC 活性が見られたことより、本研究の 異種移植マウスモデルにおいて、ADCC が抗腫瘍効果の機序の一部である 可能性がある(FIGURE 4E)。エフェクター細胞としてヒトリンパ球を用い たADCC 活性の解析において、ラット-ヒトキメラ化抗 LAT1 モノクローナ ル抗体であるChAb1 と ChAb3 が抗 HER1 モノクローナル抗体であるセツキ シマブよりも強い ADCC 活性を示すことより、我々は抗 LAT1 モノクロー ナル抗体がヒト悪性腫瘍に対して ADCC を介した治療効果を発揮すること を期待している(FIGURE 5)。 抗ヒト LAT1 モノクローナル抗体はマウス LAT1 と反応しないため 42、抗 LAT1 モノクローナル抗体治療における副作用の可能性はマウスを用いた システムでは評価ができない。 そのため、我々は、ヒトおよび非ヒト霊長類のLAT1 タンパク質に対する抗 ヒト LAT1 モノクローナル抗体の異種間交差反応性の解析を行った。カニ クイザルを含むマカク属は系統学的にヒトと近いので、カニクイザルは生 物医学研究において非常に貴重な動物である。抗ヒト LAT1 モノクローナ ル抗体はカニクイザル由来細胞 MK.P3 に反応し(FIGURE 6A)、この反応 性はLAT1 siRNA によって特異的に減少し(FIGURE 6B)、抗ヒト LAT1 モ ノクローナル抗体がカニクイザルLAT1 に特異的に反応することを示した。 抗ヒト LAT1 モノクローナル抗体がカニクイザルおよびヒト LAT1 タンパ ク質と同等に反応することを実証するために、MK.P3 細胞よりカニクイザ ルLAT1 cDNA をクローニングしカニクイザル LAT1 発現トランスフェクタ ントを樹立した。ヒトとカニクイザルLAT1 間の塩基配列とアミノ酸配列の 同一性はそれぞれ96.6%(1473/1524)と 99.6 %(506/508)であった。ヒト とマウス LAT1 間の塩基配列とアミノ酸配列の同一性はそれぞれ 86%と

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38 89%であった。抗ヒト LAT1 モノクローナル抗体はヒトまたはカニクイザル LAT1 タンパク質発現 RH7777 トランスフェクタント両方に同等の反応性を 示した(FIGURE 6C)。それゆえ、抗 LAT1 モノクローナル抗体の臨床試験 前の前臨床試験で副作用を評価するためにカニクイザルが応用できること が確認できた。本研究で、我々は抗ヒトLAT1 モノクローナル抗体とヒトま たはカニクイザル細胞の間には高親和性と低親和性の二重親和性があるこ とを見出した(FIGURE 7 と 8)。本論文で「affinity」よりむしろ「avidity」 という言葉を使うのは、生細胞のLAT1 に結合する二価モノクローナル抗体 を用いて行うことに基づく。また我々はKD(nmol/L)の逆数である KA(M-1) を avidity の指標とみなした。多親和性に関して、これまでの報告としてイ ンターロイキン 2 受容体は 3 つのサブユニットから構成されておりその組 み合わせによりインターロイキン 2 に対して異なる親和性を示すことが知 られている。すなわち、単量体であるIL-2Rα は低親和性であり、二量体 で あるIL-2Rβγ は中親和性、三量体である IL-2Rαβγ は高親和性を示す51。ま た、IL-2β ホモ二量体は IL-2β 単量体と比べて IL-2 に対して高い親和性を 示す52。抗LAT1 モノクローナル抗体においても LAT1 タンパク質の分子複 合体の構成によって親和性が異なることが示唆され、また、LAT1-CD98hc 複合体は抗LAT1 モノクローナル抗体の親和性が抗 CD98hc モノクローナル 抗体存在化で強くなることより(FIGURE 7 と 8)、LAT1 と CD98hc の相互 作用が抗LAT1 モノクローナル抗体の親和性に影響を与える可能性がある。 これに関連して、我々は抗LAT1 モノクローナル抗体と抗 CD98hc モノクロ ーナル抗体を用いた抗体療法を計画している。 現在の抗癌治療抗体の標的分子は以下に分類される。(i) チロシンキナ ーゼ受容体型 (ii) 分化抗原 (iii) 血管新生関連分子 (iv) 免疫チェ

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39 ックポイント分子である。これらに加えて、我々は最近、血管新生ではな く抗 LYVE-1 モノクローナル抗体を用いたリンパ管新生を標的とした新た な治療を報告した53。現時点で、多くのトランスポーターは癌治療の標的分 子として考えられてこなかったが、本研究はアミノ酸トランスポーターに 対するモノクローナル抗体による癌代謝の阻害は将来の癌治療で重要な役 割を果たすことが強く示された。

(42)

40

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謝辞

本研究を指導いただいた近畿大学・薬学部・細胞生物学研究室 益子 高 教授に心から感謝致します。 本論文の共著者であります 宮本 貴子、阿部 真也、平井 香那、松倉 寛治、吉田 錦史、原 雄 大、八木 秀樹、岡﨑 章悟、益子 和恵(近畿大学・薬学部・細胞生物 学) 林 秀美、丹羽 眞一郎(リンク・ジェノミクス株式会社) 田村 正和、阿部 有生、我妻 利紀(第一三共株式会社) の諸氏に謹んで感謝致します。 また、一部の実験を協力いただきました細胞生物学研究室の 山﨑 晶貴 氏、林 菜津美 氏、三宅 陸斗 の各氏に感謝致します。 本論文をまとめるにあたり、本学位論文の審査を御引き受けくださった 近畿大学薬学部 生物薬剤学研究室 岩城正宏 教授 近畿大学薬学部 分子医療・ゲノム創薬学研究室 杉浦麗子 教授 に厚く御礼申し上げます。

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