研
究
ノ
ー
ト
『尊
談
』の
諸
本
お
よ
び
題
目
に
つ
い
て
i
〈付
〉翻
刻
・叡
山
文
庫
真
如
蔵
『尊
談
目
録
』渡
辺
麻
里
子
は
じ
め
に
『 尊談
』 は 、 尊 舜 ( 一 四 五 一 〜 一 五 一 四 ) に よ る 天 台 三 大 部 ( 『 法華
玄義
』 『 法 華 文 句 』 『摩
訶 止観
』 ) を 注 釈 し た 書 で あ る 。尊
舜( ↓ は 、 恵 心椙
生流
の 法 流 を 嗣 ぐ、 関 東 天 台 を 代 表す
る学
僧 で 、津
金 寺 ( 信濃
国 ) や 月山
寺 ( 常陸
国 ) 、 千 妙 寺 ( 常陸
国 ) で 講 義 を 行 な い 、 『 二 帖 抄 見 聞 』 、 『 津 金 寺 名 目 』 、 『鷲
林拾
葉 鈔 』 ( 2 ) な ど を 初 め と し た 、多
く の 著 書 を 遺 し て い る 。 『尊
談
』 に は、 三 大 部 の解
釈 を め ぐ り 天 台教
学
上 問 題 と さ れ る点
に つ い て、 五 百 七 十 八 題 も の 題 目〔 , ) が 挙 げ ら れ 、 そ れ ぞ れ の 題 目 に つ い て の 諸 説議
論 が 集成
さ れ て い る 。 題 目 ご と に繰
り 広げ
ら れ る 議 論 か ら は、 室 町 期 に お け る 天 台 『 尊 談 』 の 諸 本 お よ び 題 目 に つ い て ( 渡 辺 麻 里 子 )教
学 上 の 問 題 点 を 知 る こ と が で き、 引 用 さ れ る 幅 広 い 文 献 か ら は、尊
舜 の み な ら ず、 関 東 天 台 に お け る学
問 の状
況 を う か が う こ と が で き る ( 4 ) 。 本 稿 で は 、 従 来 の研
究
に お い て あ ま り 顧 み ら れ る こ と が な か っ た 『 尊談
』 に つ い て( 5 )、諸
本 の 整 理 お よ び 題 目 の 紹 介 を 行 い 、 『 尊 談 』 の特
徴 や 意 義 を検
討 す る亘
。 『尊
談
』の
諸
本
−
三 大部
系
の諸
本1
ま
ず
『 尊 談 』 の 諸 本 に つ い て 整 理 し て お く 。以
下 が 、 『 尊談
』 に つ い て の 、管
見 の 諸 本 一 覧 で あ る( 7 ) 。 目録
類 に 載 ら な い伝
本 (叡
山 文 庫 法 曼院
蔵 本、 園城
寺 蔵本
) を 加 え た 。 全 七 五て 写 本 で、
版
本 は現
在 確 認 し て い な い 。 ( ) 内 に は 『 昭 和現
存
天 台書
籍 綜合
隈録
』 ( 以 下 『 渋 谷 闘 録 』 と 略 す ) ( 8 ) か ら 注 記 し た 。 記 載順
は 、完
存
の 諸 本A
〜D
を優
先 し た 。A
〜D
内 の 順 は、A
・B
、C
・D
は そ れ ぞ れ 同 系 統 の た め 一 組 と し 、A
とC
で は 、A
が よ り古
態 を と ど め る も の と 考 え て 、A
を 先 に 並 べ た (後
述 ) 。 (1
) 三 大 部 系A
叡
山 文 庫 法 曼院
蔵
『 尊談
文 集 』、 六 十 九 冊 ÷ 目 録 … 冊 。江 戸 前 期 写 。 ( 羅 録 に 記
羲
な
し )B
園城
寺 蔵 『尊
談 文集
』、 玉 十 冊 。 江 戸 前 期 写 。 ( 目 録 に記
載
な し )C
叡
山 文 庫 真 如 蔵 『尊
談 』 、 四 十 五 冊 + 目録
一 冊 。 江 戸前
期
、 実 俊 ・ 祐 見 写 。 ( コ ニ 大 部 」 の部
、 二 二 頁 『 尊 談 』イ )
D
妙 法 院 蔵 『尊
談 』、 四 十 六冊
。 江 戸 前 期 写 。 ( 「 三 大 部 」の 部、 ニ ニ 頁 『 尊 談 』 ロ )
E
西教
寺 正 教蔵
『尊
談 文 集 』 、 二 十 七 冊 + 昌 録 一 冊 ( 文句・ 止
観
の み 、 玄義
部 欠 ) 。 慶 安 元 年 ( 一 六 四 八 ) 舜興
写 。 ( 「 摩 訶 止 観 … の
部
、 五 三 貰 醗 尊 談文
集
』 。 「 法華
文句 」 の 部、 四 二 頁 『 尊
談
文 集 』 )F
大 谷 大学
図書
館 窮 源 蔵 『 尊 談 』 、 一 冊 ( 全 五冊
中 の第
一冊 ) 。 元
和
六年
( 一 六 二 〇 ) 盛賢
写 。 ( 「 論 義 一般
」 の部
、 七 六二 七 一 頁 『 尊 談 』)
G
叡
由 文 庫 簿 量院
蔵
『 尊談
抄
嘸 (抄
本 ) 、 十 三 冊 。 延 宝 六年
( 一 六 七 八 ) 元 純 写 。 ( コ ニ 大 部 」 の部
、 二 三 頁 『 尊 談 』 ハ ) (2
)論
草 系 a叡
山 文庫
双厳
院
蔵
『尊
談
』 、 二 冊 。 ( 「 顕 教 部 隔 の部
、増
補 二 七 頁 『尊
舜
談 』 )b
大 谷 大 学 図書
館
窮源
蔵 『尊
談
』 、 四 冊 ( 全 五 冊 中 の 第 二 冊… 〜 第 五 冊… ) 。 慶 長 十 六 ( 一 六 一 一 ) 年盛
瞥 ハ 写 。 ( 「 論 晶 義 一般
」 の 部 、 二 七=
員 『尊
談 』) 『 尊談
』 の諸
本
は 、 (1
) 三 大部
系 のA
〜G
と 、 (2
)論
草
系
の a 〜b
と いう
、 二 種 類 に 大 別 さ れ る 。 と も に 『 尊談
』 と い う書
名 で あ る が 、 内容
的
に は 全 く異
な る も の で あ る 。 目録
類
で は、 書名
が 同 じ た め に 同 一 書 と し て扱
わ れ て い た り 、 ま た 逆 に 同 一書
で あ る に も か か わ ら ず、 書 名 の 違 い か ら 別 項 に 扱 わ れ て い た りす
る た め 、 注 意 が 必 要 で あ る 。 ま ず (1
) 三大
部
系 『 尊談
』 は 、 三 大 部 の 解 釈 で 問 題 と な る 点 に つ い て 五 百 七 十 八 題 も の 題 目 と し て 挙げ
、 そ れ ぞ れ の 題 目 に つ い て 、論
拠 とな
る 文 証 例 文 を 連 ね 、 時 に は 重難
や例
聞
を も 付 し つ つ論
じ 、 注 釈 し た書
で あ る 。 題 目 数 は 、諸
本
に よ っ て 数 え 方 が 若 干異
な る が 、最
も多
く の 題 目 を 挙げ
る の は叡
山 文庫
真
如 蔵 『尊
談 目 録 』 ( 以 下 、 「 真 如 蔵 本 目 録 」 と略
す
) で あ る 。 題 目 を 一 覧す
る た め に、 「 真 如 蔵 本 目 録 」 の翻
刻 を 本稿
末
に 〈 付 表1
> と し て 示 し た 。 文 証 例 文 の類
聚 と い う 性格
か ら、 叡 山 文庫
法
曼
院 蔵 本 の よ う に 『 尊 談 文集
』 と 称 さ れ る 本 も あ る 。 ま た そ の内
容 か ら 『 三 大 部 尊 談 』 と 称 さ れ る こ と も あ る〔 9 ) 。 各諸
本
に つ い て の 具体
的 な 説 明 に 入 る 前 に 、 そ も そ も 三 大部
系 『 尊 談 』 と は ど の よ う な 本 文 で あ る の か 、 一 見 し て お く こ と に し よ う 。 三 大 部 系 『尊
談 』 の 本 文 の 一 例 と し て 、叡
山 文庫
法 曼 院 蔵 『 尊談
』 文 句 二 之 一 第 五 条 「 当 通名
別義
通 」 ( 勤。 ) の条
の 冒 頭 部 分 を 挙げ
て み る( u ) 。 問、 一家
意、 論 二名
別義
通 づ 事 . 、 但 為 レ 限 二 二教
合
論 一 、 為 下 於 二 当 通 教 }有
中此
義
卜 耶 。 記 二 云( 思 、 借 二 別位
名
「 以 通 二 共 位 一 文 。 玄 四 云( B ) 、 小 樹 ノ位
ト者
、 即 是 通教
明 下 三 乗 之 人、 同 以 二 無 言 説 ノ 道 一断
⊃ 煩 悩 づ 入 中 ト ヲ 第 一 義 諦 旗 。 体 法 ノ 観 恵 不 レ 異 。 但智
力強
弱 之 殊 ナ リ 。 煩 悩 ノ習
二 有 二 尽 不 尽 一 為 レ 異 耳 ノ、 、、 。 先 明 二 三 乗 共 ノ 十 地 ノ位
づ 、 次 簡 二名
別義
通 哩 耳 云 。 又 云( 14v 、 二 簡 二名
別義
通 づ 者 、 更 二為
レ ニ ト 。 初 ニ ハ 就 二マ マ ロ 三
乗
共位
ノ中
ノ菩
薩
暢 、 別 テ 立 コ 忍 ノ 名 弓 而義
通 。 (略
)是
為
通教
ノ 共位
二 別 シ. ア為
ヲ ニ 菩 薩 づ 立 二 此 ノ名
位
弓 也 。 。 『 尊 談 』 の 諸 本 お よ び 題 目 に つ い て ( 渡 辺 麻 里 子 ) 又 云( 蕚、 ニ ニ 用 」 別 ノ 名 づ 云 ト者
、 即 是 取 穿 別教
ノ 之名
づ 、准
二望
通教
ノ菩
薩
ノ位
づ 也 。 別 ノ 名 ト 者 、即
是十
信
三 十 心 十 地 之名
也 。 鐵 輪 ノ 位 ハ 於 二 通 ノ義
一 、 即是
乾 恵 地 伏 忍 也 。 三 十 心 , 即 望 二 性 地 一柔
順 忍 也 。 八 人 地 ハ見
地 。 即 是 初 歓 喜 地 得 二 無 生 忍 づ 也 文 。 竹 云( 珍 、 釈中
自
為 レ 十 。 初 乾 恵 地 二為
レ 四 ト 。初
ハ通
ア 立 レ 共 ト意
。次
而菩
薩
下 ハ 立 レ 別 ヲ 意 。 三 二 釈 一 四 弘相
づ 、 四 二従
是 為 下 弁 レ 異 。 釈 ⊃ 四 弘 弓中
、 初 ノ誓
広 シ 、 次 三誓
略
リ 。 (略
) 四 教義
八 云 〔 π )、 二簡
丿 ト 名 別 義 通 づ 者 、 即 為 二 ニ ノ意
外 。 一約
二前
ノ 三 乗 共 ノ 十 地. 、 菩薩
二 別 シ . ア 立 二 忍 ノ 名 弓 。 二 明 レ 用 二 別 教 名 β 名 別 義 通。 ( 略 ) 又 云 ( 露 ) 、 二 明 下 用 二 別 教 位 一 名 中 名 別 而義
通 上者
、 即 是 三 乗 同 観第
一義
諦
之 理 、 取 一 別 教 之名
一弁
二菩
薩 位 一 也 。就
此
即為
二 二意
一 正 一 、 約 二 名 別 義 通 一 弁 レ 位 。 二料
簡 、 一 約 二 名 別 義 通 一 弁 レ 位 者 、 即是
十 信 三 十 心 十 地 之 名 也 。 ( 略 ) 当 レ 知 如 レ 仏 、 仏 地 若 二 前 説 一 文 。 大 論 云( 理 、 問 、 声 聞支
仏 是 小 乗 、菩
薩
是 大 乗 。 云 何 言 二 二 乗 智 断 是 菩 薩 無 生 忍 一 。答
、 所縁
同 、 如 , 法 性 ・実
際
亦
同、 利 鈍 智 恵 為 レ 異 文 。 ( 以 下 略 ) 「 一 家 の 意 に、 名 別義
通 を 論 ず る事
は、 但 だ 二 教 合 論 に 七 七限 る と す る や、 当 通
教
に お い て こ の 義 あ る とす
る や 」 と い う 問 に 対 し て、 『 法華
文 句 記 』巻
二 以 下 、 『 法華
玄 義 』 『 法華
玄 義 釈籤
』 『 四教
義 』『 大 論 』 を 例 証 と し て 挙 げ て い く( 2)。 。 「
名
別 義 通 」 と は、 別 教 の 法 門 を借
り て 通 教 の 義 を 明 か す こ と を い う 。 以 下 の本
文 は 長 い た め に省
略 し た が、 『 仁 王 疏 』 『 摩 訶 止観
』 『 止観
輔 行 伝 弘 決 』 「覚
大 師 」 『 名 別 私 記 (御
廟
) 』 な ど の 諸 説 が例
証 と し て 続 い て 提 示 さ れ て い く 。 ち な み に 本条
が 「 文 句 二 」 に 収 め ら れ た の は 、第
一 に挙
げ ら れ る 文 証 例 文 が、 『 法 華 文 句 記 』 巻 二 の 一節
で あ っ た た め で あ る( 21) 。 そ れ で は 各諸
本
に つ い て 、 具 体 的 に 見 て い こう
。 三 大 部系
『 尊 談 』 の諸
本
と し て は 、A
〜G
の 、叡
山 文 庫 法 曼 院 蔵本
、園
城
寺 蔵 本、 叡 山 文 庫 真 如蔵
本、妙
法院
蔵 本、 西 教 寺 正教
蔵
本 な ど が確
認 で き る 。書
誌 や 特徴
を そ れ ぞ れ 記 す 。A
法 曼 院本
ま ずA
叡 山 文庫
法曼
院 蔵 『 尊 談 文 集 』 ( 所 蔵 者 番 号 、 法 曼院
・ 内 ・ 六∴
○ ・二
、 以 下 法 曼院
本
と略
す ) は、 法 量 、 縦 十 三 ・ 八 ×幅
二 十・ 三 糎 の 横 型 小 冊 。本
文 は 十 一 行 書 。 表 紙 は 浅 黄 色 布 目 地 。外
題 は 無 く、扉
に 「 尊 文集
止 一第
一 之 一 」 と 記 す 。 全 六 十 九 冊 に 目 録 一 冊 が 付 さ れ て い る 。 法 曼 院 本 全 六 十 九冊
は、 玄 義 部 二 十 三 冊 ・ 文 句 部 二 十 三 冊 ・ 止観
部 二 十 三 冊 か ら 構 成 さ れ、 三 部 は さ ら に そ れ ぞ れ 七 八 第 一 〜第
十 に 分 か れ る 。 構 成 は 諸 本 に よ っ て 異 な る た め 、 以 下 に 、 『 尊 談 』 諸 本 構 成 一覧
と し て、冊
数
の 内 訳 を 示 し た 。 『尊
談
』 諸本
構
成 一 覧 第 一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 計 玄 義233331221323
冊 A 法 曼 院 本 文 句322132242223
冊 合 計69
冊 〔 + 目 録 − 冊 ) 止 観422134212223
冊 玄 義212222221218
冊 B 園 城 寺 本 文 句221121122216
冊 合 計50
冊 止 観411122112116
冊 玄 義223221111116
冊C
真 如 蔵 本 文 句 221121121114 冊 合 計45
冊 〔 + 目 録 − 冊 ) 止 観 311132111115 冊 玄 義 223221111116 冊D
妙 法 院 本 文 句 221121121114 冊 合 計46
冊 止 観 311132111216 冊 玄 義 00000000000 冊E
西 教 寺 本 文 句 211121122114 冊 合 計27
冊 〔 + 目 録 − 冊 ) 止 観 311112111113 冊法 曼
院
本 は 、 『 尊 談 文集
目
録
』 一 冊 ( 所 蔵 者 番 号 は 『尊
談
』 七 〇 冊 の 内 、 法 曼院
・内
・ 六二
〇 ・=
、 以 下 法 曼 院 本 目 録 と略
す ) を 有す
る 。 法 量、 表 紙 な ど 、体
裁
は 本 文 と 揃 い の 同 型 で あ る 。 目録
に 記 さ れ る 題 目 数 は、 止観
部 百 八 十 六 題 ・ 玄義
部
百 九十
三 題 ・ 文 句 百 八 十 三 題 の 、合
計 五 百 六十
二 題 で あ る 。 真如
蔵
本
の 五 百 七 十 八 題 に 比 べ る と 十 六 題 少 な い が 、 そ れ は本
文 を有
す る も の の 目 録 に 掲 出 し て い な い 題 目 が あ る た め で 、内
容
は 一 致 す る 。 法 曼院
本 目 録 は 、真
如
蔵 本 目 録 の よ う に、 題 目 を へ つ 書 き で 列 挙す
る 書 き 方 で は な い 。 一 例 と し て 「 止観
四 」 の 目 録 を 以 下 に 示 す 。叡
山
文
庫
法 曼院
蔵
『尊
談
文集
止観
第
四 巻合
和 光 三 惑 事 「
第 四 之 上
尊
談
文 集 止 。名
字
即 位 用 十 乗観
歟 「十
境
互 発 名 字 観行
事
尊
談 文集
止 。ニ
妙
覚
位
起修
惑
歟
尊
癩
供
養成
仏
事「 十
境
互発
名 字 即 歟 目 録 』 止 観 四 『 尊 談 』 の 諸 本 お よ び 題 目 に つ い て ( 渡 辺 麻 里 子 ) ハ 諸 仏 出 世 閻 浮 歟 第 四 之F
尊 文 集 . 四 セ 宗廟
社 稷 事 尊編
那本
師
事 れ 持 戒 清 浄 文 段 円戒
正意
歟
「 ゴ 乗 知 識鵜
四 之 中 尊 文 集 止 . ト 悲 田 敬 田 勝劣
事 尊纏
義
亙 二 田 耶右
止 観 第 四 合 七 冊こ の
法
曼 院 本 目 録 は 、単
に 題 目 を掲
出 し て い る だ け で は な く 、法
曼院
本 が 写 し た本
( あ る い は さ ら に 遡 る 本 ) の有
様
を 示 し て い る と 思 わ れ る 。 一 冊 ず つ に 外 題 と 内 題 ( ー1
現状
に お け る 題 目 ) が記
さ れ 、 表 記 の様
子 は原
本 の 表 紙 を 想定
さ せ る 。 こ れ に よ れ ば 、 現 状 で は 一 冊 の 「 止観
四 」 は も と 七 冊 で 、 「 和 光 三 惑 事 」 の 一 条 で 一 巻、 「名
字即
位
用 十 乗観
歟
」 「 十 境 互 発 名 字 観 行 事 」 の 二条
で 一巻
と い う よ う に、各
巻
、 題 か ら 二 題 の 題 目 で 調 巻 し て い た こ と と な る 。 こ 七 九れ は、 法
曼
院
本 の 現 状 と も 一 致 す る 。 「 止観
四 」 の揚
合
、 現 状 本 の扉
に 「尊
談
文集
止 四
第 四 之 上
和
光
三 惑 事 」 と 、書
名 ・部
類 ・ 題 目 な ど を 記す
が、 そ れ は、 法 曼院
本 目 録 の 記 す 内 容 と 一 致 し 、 そ の書
き 方 か ら も と も と原
本
の 表 紙 に 記 さ れ て い た も の と 判 断 さ れ る 。 「 止 観 四 」 で は、 こ の 原 本 の 表 紙 の情
報 が 記 さ れ て い る の は、 冒 頭 の 「 和光
三 惑 事 」 の条
の み で あ る が 、 「 止 . 」 な ど は 、 現 状 の 一 冊 の 途 中 で も、 目録
上 で 巻 が変
わ る 箇所
の 頁 に、 目 録 記 載 の 元 表 紙 の 情 報 を 記 す 。 ま た 法 曼 院 本 の 本 文 に は、 も と の 一 巻 の 末 尾 に 該当
す
る箇
所 に、 「 墨 付 十 丁 」 な ど と 丁 数 が 記 さ れ る 。 こ の 丁数
は 現状
の 法 曼院
本 と は 異 な る た め、 法 曼 院 本 の 書 写 し た本
の 状 態 を 示 す ( あ る い は書
写 し た 本 の 記 載 を 転 写 し た も の ) と 考 え ら れ る 。 ま た 、 法 曼院
本 目 録 の最
後 に は、 「 止 観部
百 二 巻 玄義
部
百 二 巻 文 句 部 九 十 六巻
都 合 三 百 巻 」 と 記 さ れ る 。 こ れ ら 法 曼 院本
目 録 の 記載
及 び 本 文 の 状 況 か ら 、 法 曼院
本
が 写 し た 本 ( あ る い は さ ら に 遡 る 本 ) は、 各 巻 、 一 題 か ら 二題
で 一 巻 一 冊 と し、 全体
で は、 五 百 六 十 五 題 目 を 三 百 巻 に仕
立 て た も の で、 細 か な 調巻
の も の で あ つ た と 想 定 さ れ る 。 原 本 の 状 態 を 残 し つ つ 記 さ れ た 法 曼 院 本 は 、 『尊
談
』 の 古 態 を と ど め た 伝 本 と 考 え ら れ る (後
述 ) 。 ま た、 法 曼院
本
目 録 に は 書 入 が あ り 注 目 さ れ る 。 例 え ば 止観
一 「声
塵
得 道 事 」 の 題 目 は、線
が引
い て 消 さ れ、 「豪
君筆
」 ( 讐 「右
壱 題 ケ シ テ有
之 。 筆 者豪
君 也 。 已 来不
審
可 有 之 。 八 〇 君 本 ノ コ ト ク 書 付 置 也 」 と 注 記 さ れ 、豪
君筆
の 本 に な ら っ て 、 題 目 を 消 し た と い う 旨 が 記 さ れ る 。 法 曼 院 本 目録
が 、豪
君 筆 の 写 本 を 書 写 し た こ と を 示 す と い う 注 記 の存
在
か ら 、 『 尊 談 』 本 文 も、豪
君 本 の 写 し で あ る と 推 測 さ れ る の で あ る 。 法 曼 院 本 の 本 文 の 特 徴 と し て は、 「 私 云 」 の 注 記 の文
を 小書
き に す る こ と、 題 目 ご と に 改 頁 す る こ と 、 引 用 書 目 ご と に 改 行 し 書 名 を 悉 く字
上 げ に す る こ と 等 が 挙 げ ら れ る 。 ま た、 先 に 述 べ た よ う に、 法 曼 院 本 目 録 が 示 す 元 の 調巻
の巻
末 ご と に 、 書 写 し た 本 ( ま た は さ ら に 遡 る 本 ) の も の と 思 し き 丁 数 を 記 し、 全 て で は な い が 、 元 の 調 巻 の 巻 頭 に 相 当 す る 箇 所 に は 、 元 表 紙 の 情 報 を 記 し て い る。B
園 城 寺 本B
園 城 寺 蔵 『 尊 談 文集
』 (所
蔵
者 番 号 、書
・ 三 五、 以 下 園城
寺 本 と 略 す ) は、 法 量、 縦 十 三 ・ 五 ×横
二 十 ・ 一 糎 の 横 型 小 冊 。 本 文 は 十 三 行書
。 表 紙 は 花 浅 葱 色無
地 。 外 題 は青
色 の 題 箋 に 「尊
談 文 集 」 と 記 さ れ る 。 横 長 の 三 部 屋 に 区 切 ら れ た 木 箱 ( 高 さ 二 十 五 ・ 八 × 幅 六 十 四 ・ 四 × 奥 行 十 六 ・ 二 糎 ) に、 以 前 は 収 め ら れ て い た 。 箱 の 蓋 に は 「 宙 、尊
談 文 集 玄 十 八 巻、 文 十 六 巻 、 止 十 六 巻 」 と の 墨 書 が あ る 。 目録
は 無 く、 各 冊 冒 頭 に 目 次 も 付 さ れ て い な い 。 各 冊 冒 頭 に は、 「 道寛
」 と 「 聖護
院
蔵書
印
」 の 朱 印 が 押 され て い る 。
道
寛
と は 、 後 水 尾 天 皇 の第
十
一 皇 子 、 聖護
院
道 寛 法 親 王 ( 一 六 四 七 〜 七 六 ) の こ と で あ る( 釁 。 道 晃 法親
王 の 資 で 、 園城
寺 の長
吏
と な る が、 延 宝 四年
( 一 六 七 六 ) に 三十
歳 の 若 さ で薨
じ 、 同 寺 に葬
ら れ た 。 『 妙 法蓮
華
経
聞書
私 』 『 天台
四 教 儀集
解
聞 書 私 』( 一 六 六 四 年 ) な ど の
著
作
が あ る 。園
城
寺本
は 、 識 語 は な い が 、道
寛 の 朱 印 が 押 さ れ て い る た め、道
寛 の時
代
も し く は そ れ 以 前 の 写 本 と わ か る 。 聖護
院 所 蔵 の 『尊
談
』 が 園城
寺
へ移
っ た の は、 聖 護 院雄
仁 法親
王 ( 一 人 二 一 〜 六 人 ) に よ る と考
え ら れ る( 尋 。本
文 の 特 徴 は 、 「 私 云 」 の 注 記 の 文 を 小 書 き に す る こ と 、 題 目 ご と に 改 頁す
る こ と 、引
用書
目 ご と に 悉 く改
行 し 、 書 目 を 全 て 一字
上 げ に す る こ と等
が挙
げ
ら れ る 。改
行 ま で も が ほ ぼ 一致
す る な ど、 本 文 の 特徴
は法
曼
院
本 と 近似
し て い る た め 、法
曼
院 本 と 系 統 の 近 い 伝本
と い え よ う 。 た だ し 、 題 目 の順
序
配 列 は 、 法 曼 院 本 と 一 致 し な い 。C
真
如
蔵
本C
叡 山 文庫
真 如 蔵 『 尊 談 』 ( 所 蔵者
番 号、真
如 ・ 内 ・ 一 五 ・ ] 八二
七 八、 以 下真
如
蔵 本 と 略す
) は、 法 量 、縦
二 十 一 ・ ○ ×横
十 三 ・ 五 糎 の 縦 型 小 冊 。本
文 は 九 行書
。表
紙 は焦
茶 色無
地 で 、 「尊
談 玄 一 二 冊 之 内 真 如蔵
百 + 亠 ハ首
山 門 東 塔南
谷浄
教
房
」 と朱
書
さ れ る 。 全 四 十 五 冊 は、 六 つ の 木 箱 ( 首 、 臣 、伏
、 戒 、羌
、 遐 ) に 収 め ら れ て い る 。 木箱
の 『 尊 談 』 の 諸 本 お よ び 題 目 に つ い て ( 渡 辺 麻 里 子 ) 大 き さ は ま ち ま ち で、 例 え ば 「 首 」 の箱
は 、 高 さ 十 六 二 二 x 横 十 五 ・ 五 ×奥
行 二十
六 ・ ○ 糎 で あ る 。各
箱 と も 蓋 に 「 尊談
琳 購 抽 断第
一筥
九 冊 玄 → 彫 同 二 隴 同 三 隴 同 四 肛 同 目 録 脳 」 な ど と 、収
め た書
目 が 書 き 出 さ れ て い る 。 全 四 十 五 冊 の 内 訳 は 、 玄 義 部 十 六 冊 、 文句
部 十 四冊
、 止 観 部 十 四 冊 、 雑 々部
一 冊 で あ る 。雑
部 は 内 容 が 止観
五 の第
三 冊 目 に 相 当 す る 。 全 体 の 構成
が ほ ぼ 真 如 蔵 本 に等
し い妙
法 院 本 も 該 当 冊 を 「 止 観 五 」 と し て い る( ゐ ) 。 識 語 は な い が、 扉 に 「 実 俊 」 又 は 「祐
見 ( 見 祐 ) 」 ( %) と の 墨 書 が あ り 、 実 俊 と 祐 見 ( 見 祐 ) の 二 人 に よ る 書 写 と 考 え ら れ る 。 東 塔南
谷 実 蔵 坊第
二 世 実俊
( 一 六 一 八 〜 一 七 〇 二 ) は〔 舒) 、 『 源 流 一 揆 』 ( 全 三 六 〇巻
の 三 大部
の 注 釈書
) の 撰者
で、 実 俊 正 本 の 奥 書 に は、 「 延 宝 丁 巳 (=
ハ 七 七 ) 秋 九 ひ ご 月 朔 天 台沙
門 実俊
筆 於 浄教
教 院 」 と 記 さ れ て い る 。 他 に も 『 維 摩 四論
義
』 ( 一 六 七 二 年) 、 『 決定
在
座 』 ( 一 六 八 〇年
) な ど の著
作
や
、 『 竪義
灌
頂 次 第 』 ( 一 六 四 八 年 ) 、 『 三 十 四箇
事書
』 ( 一 六 三 五 年 ) な ど の 写 本 が 、 叡 山 文庫
真
如
蔵
に多
く 遺 さ れ て い る 。祐
見 は 、 『 証 拠 集 』 や 『戒
珠
抄 』 を寛
永
十
八 年 ( 一 六 四 一 ) に書
写 し て い る 他 、 『宗
要 集 私 聞 書 』 『 夷 希 抄 』 『覚
心集
』 な ど の 写 本 が 真 如 蔵 本 に伝
わ る( 圏 ) 。 真 如 蔵 『 尊 談 』 は 、 実 俊 及 び 祐 見 の 手 に よ っ て、 江 戸 時代
前期
に 書 写 さ れ た と 考 え ら れ る 。 真 如蔵
本 は 、 別 に 『尊
談 目録
』 (所
蔵
者
番 号、真
如 ・ 内 ・ 八 一一 五 ・ 一 七 ・ 一 七 人、 以 下
真
如 蔵 本 目 録 と 称 す ) 一 冊 を 付 す 。法
量 は 、 縦 十 三 ・ 五 × 横 二 十 ・ 五 糎、 横 型 小 冊 . 表 紙 に は朱
書
で、 「尊
談 目 録真 如 蔵
百 十 六
首
十 八 」 と 記 す 。 『 尊 談 』 本 文 と 同 様 に 識
語
は 記 さ れ な い が 、 実 俊 の筆
と 判断
さ れ る 。真
如
蔵
本 目 録 は、 法 曼院
蔵
本 や 西 教 寺 正 教蔵
本 の 目録
に 比 べ て 題 目 数 を 最 も 多 く 掲 出 し て い る 。真
如蔵
本 目録
の 末 尾 に は 、 「 玄義
分
百 八 十 八 題 、 文
句
分
百 九 十 六 題 、 止
観
分 百 八 十 七 題 、 雑 々 七 題 、 四部
合
五 百 七拾
八 題 」 と 記 さ れ る 。 「 雑 々 」 の 部 は 止観
五 に相
当 す る の で 止観
に合
せ る と 、 玄義
部 に 百 八 十 八 題 、 文 句部
に 百 九 十 六 題 、 止観
部
に 百 九 十 四 題 、 合 計 五 百 七 十 八 題 と な る 。本
稿 末 の 〈 付 表1
> に 、 真 如蔵
本
目 録 全体
の翻
刻
を 示 し た 。 真 如 蔵本
は 、 各 冊 冒 頭 に も 目 次 が 付 さ れ、 題 目 が 掲げ
ら れ て い る 。各
冊 の 目 次 の 題 目 数 は 、 目 録 と 一 致 す る 。真
如 蔵 本 目 録 に は 、 題 目 が 四 〜 五字
の 論 題 の 様 に 記 さ れ る も の も多
い が 、各
冊 の 目 次 に 掲げ
ら れ る 題 は、 各 題 目 の 本 文 冒頭
の 問 に近
い 形 で 記 さ れ て い る 。 例 え ば、 文 句 一 之 二 第 九 条 の 場合
、 目 録 で は 「 久 遠 下 種 」 、該
当冊
冒頭
の 目次
で は 「 久 遠 下 種 王城
得 脱 事 」 、 本 文 冒 頭 の 問 で は 「 問 、 如 レ 論 一 久遠
ド 種 王城
得 脱 一 、 王城
下 種 久遠
得
脱
義
有
耶 」 と 記 さ れ て い る。真
如蔵
本
の 本 文 の 特 徴 と し て は、 「 私 云 」 な ど の 注 記 を 小 八 二 書 き に せ ず に 他 の 本 文 と 同 様 に 記 す こ と、 題 目 ご と に 改 頁 せ ず 本 文 を 続 け て 記 し て ゆ く こ と 、 全 体 に 引 用 す る 書 目 ご と に改
行 し て 書 名 を 一字
上 げ に す る が 、 部分
的 に は 改 行 せ ず に続
け る 箇 所 が あ る こ と等
が 挙 げ ら れ る 。D
妙法
院 本D
妙 法院
蔵 『 尊 談 』 ( 所 蔵 者番
号 、妙
法院
・ 一 二 、 以 下 妙 法院
本 と 略 す ) は 、 法 量 、縦
二 十 七 ・ 八 ×横
二 十 ・ 一 糎 の 縦 型 大 冊 。 本 文 は 十 行書
。表
紙 は 桑 染 色 無 地 。 外 題 は 題 箋 に 「 尊 談玄
義
一 之 = と 記 す 。 現 在、 三 段 の 木 箱 ( 高 さ 六 十 四 ・ 九 × 幅 三 十 ・O
×奥
行 三 十 七 ・ ○ 糎 ) に 収 め ら れ 、 箱 に は 墨 書 で 「 来 」 と 記 さ れ る 。 全 四 十 六 冊 の 内 訳 は 、 玄義
十 六 冊 ・ 文 句 十 四 冊 ・ 止観
十 六 冊 の 計 四 十 六 冊 で あ る 。 『 渋 谷 目 録 』 で は、 玄義
十 四 冊・ 文 句 十 五 冊 ・ 止観
十 七 冊 の 計 四 十 六 冊 と 記 さ れ る が 、実
際
に 内 容 を 見 る と、 止観
第
十 ( 三 冊 ) の 一 冊 は 玄義
八 、 文 句 第 八 ( 三 冊 ) の 一 冊 は 玄 義 四 で あ っ た 。 前掲
の 『尊
談
』諸
本 構成
一覧
表 中 の 冊 数 は 修 正 し た も の で あ る 。妙
法
院
蔵 本 は真
如蔵
本 と 構 成 ( 調巻
) が 一致
す る が、 止 観十
の み は真
如 蔵 本 に 比 し て 一 冊 多 い 二冊
と な っ て い る 。 た だ し 、 こ の 二 冊 は 全 く異
な る も の で は な く、 七 題 が 重 複 し て い る 。 目 録 は 無 い 。各
冊 ご と に 、 題 目 の 目 次 が 付 さ れ て お り、 こ の 目 次 は ほ ぼ 真 如 蔵 本 に 一致
す
る 。
各
冊
の 冒 頭 に 「新
日 吉 蔵 」 の 朱 陽刻
額
印 が押
さ れ る 。 い ま ひ え 「新
日 吉 」 と は 、新
日 吉 神 宮 ( 現 、妙
法院
前 側 町 ) の こ と で 、 日 吉 山 王 の信
仰
篤 い 後 白 河法
皇 が 、 永 暦 元 年 ( 一 一 六 〇 ) に 法 住寺
殿御
所 に勧
請 し た の が 起 こ り で あ る 。 識 語 は 記 さ れ て い な い が 、 江 戸 前 期 の書
写 と 思 わ れ る 。 妙 法 院 本 の 本 文 の 特徴
は 、 「私
云 」 の 文 を 小 書 き に せ ず他
の 本 文 と 同 様 に 記 す こ と 、 題 目 ご と に 頁 を 改 め ず に 本 文 を 続 け て 記 す こ と 、全
体 に 引 用 書 目 ご と に改
行 し て 書 名 を 一字
上げ
に 記 す が 、 部 分 的 に 改 行 せ ず に続
け て 記 す 箇所
が あ る こ と 等 が 挙げ
ら れ る 。 妙 法 院本
は 、本
文 の 特 徴、 調 巻 、各
冊 の 目 次、 題 目 の 配 列 順 序 ま で 、 ほ と ん ど 真 如 蔵 本 と 一致
し、真
如蔵
本
と極
め て 関 係 の 近 い 伝 本 と い う こ と に な る 。E
西 教寺
本
E
西教
寺 正 教 蔵 『尊
談 文集
』 ( 所 蔵 者番
号 、 文 句部
は問
要 二 番 箱 、 止観
部
は 問 要 三 番箱
。 以 下 西 教 寺 本 と略
す ) は( 器 )、 法 量、 縦 二 十 六 ・ 九 ×横
二 十 ・ ○ 糎 の 縦 型 大 冊 。本
文 は 十 行 書 。 表 紙 は 海 老 茶 無 地 。 外 題 は 無 く、 扉 に 「 尊談
疏
」 「 尊 文集
」 「尊
談
文集
」 な ど と 記す
。 文 句 部 ・ 止観
部 、 そ れ ぞ れ 木箱
に 収 め ら れ て い る 。 『 渋 谷 目 録 』 で は 、真
如蔵
本
な ど と は 別項
に扱
い 、 『尊
談文
集
』 ( 止 観 ) と 、 『 尊談
文集
』 ( 文句
) と を 分 け て扱
う
が 、 紛 れ も な く 一 具 の 『 尊 談 』 で あ り、 同 じ く 三大
部
系 『 尊 談 』 で あ る 。 扉 に 「尊
談 疏 」 『 尊 談 』 の 諸 本 お よ び 題 目 に つ い て ( 渡 辺 麻 里 子 ) と 記 す 『 尊談
文集
』 十 四 冊 は、 文句
部
に相
当 し 、 扉 に 「 尊 談 止 」 と 記す
『尊
談
文 集 』 十 三 冊 は 、 止観
部 に 相 当 す る 。 別 に 『 尊談
目録
』 一 冊 ( 所 蔵者
番 号 、 問 要 三 番 箱 、 以 下 西教
寺 本 目録
と略
す ) が あ る。 西教
寺本
目 録 に 掲 載さ
れ る 題 目 数 を数
え る と 、 止 観 部 百 五 十 四 題 、 玄義
部 二 百 十 二 題、 文 句 部 百 六 十 九 題 、 計 五 百 三 十 五 題 と な り 、 真 如 蔵 本 に 比 べ て 四 十 三題
少 な い 。 な お 玄 義部
は 、 現在
の 西 教 寺 正 教 蔵 に は 確 認 で き な い が、 西 教 寺 本 目 録 に は 、 「 止観
部
一 〜 十 、 玄義
部 一 〜十
、 文句
部 一 〜 十 」 が そ ろ っ て 記 載 さ れ て い る こ と か ら 、 か つ て は 玄 義 部 も 存 し て い た と 推 定 で き る〔 30 ) 。 識 語 に は 、 「 江 州 栗 太 郡 芦 浦 観音
寺慶
安
元年
極
月吉
日 舜 興 蔵 」 と 記 さ れ る 。芦
浦 観 音 寺 ( 現 滋賀
県 草津
市
芦 浦 ) は、 豊 臣 秀吉
時代
か ら、 琵 琶 湖 の 船 奉 行 と し て 湖 上水
運 を 統 括 し 、 威勢
を誇
っ た 。 舜 興 は そ の第
十 一 世 で、 舜興
の書
写 収集
し た多
く の典
籍 は、 現 在 、 西 教 寺 正 教 蔵 に遺
さ れ て い る 。 舜 興 は 、寛
文 二 年 ( 一 六 六 二 ) に 示 寂 す る た め 、 西教
寺 本 『 尊談
』 は 、寛
文 二 年 以 前 の 書 写 と な る 。 本 文 の 特徴
は 、 「 私 云 」 の 注 記 を 小書
き にす
る こ と 、 題 目 ご と に 改 頁 し な い こ と 、 引 用書
目 ご と に 改 行 せ ず ま と め て 記 す 箇 所 が あ る こ と等
が 挙 げ ら れ る 。 法 曼 院 本 系 と 共 通す
る 点 も あ り 、 相 違 す る 点 も あ り 、 一 方 、 真 如 蔵 本 系 と 一 致す
る 点 も あ る 。 ま た題
目 の 配 列 順 序 に つ い て は 、 ど の伝
本 と も 異 な る 。 そ の た め 、 法曼
院
本 系 と も 真 如 蔵 本 系 と も異
な 八 三る 系 統 の 伝
本
と考
え る 。F
大 谷 大学
本
F
大 谷 大学
図書
館
窮 源 蔵 『 尊 談 』 ( 所 蔵者
番
号 、餘
小 ・ 六 八 、 以 下 大 谷 大学
本 と 略 す ) は 、 全 五 冊中
第 一 冊 の み が 三 大 部 系 『尊
談
』 で 、第
二冊
〜 第 五 冊 は (2
) 論 草 系 『 尊 談 』 と い う 取 り合
わ せ本
で あ る 。 こ こ で は 、 三 大 部 系 の第
一 冊 に 限 っ て 述 べ る 。 法 量 は、 縦 十 五 ・ 人 ×横
二 十 二 ・ 一 糎 の横
型 小 冊 。本
文 は 十 行 書 。 表 紙 は後
補
で 、 外 題 に 「尊
談 一 」 と 記 す 。 扉 に 本 文 別筆
で 「 尊 談 上 」 、 内 題 に は 「 玄 義第
二尊 談 文
集
」 と 記す
。本
文 の 内 容 は、 『尊
談 』 玄 義 二 に 相 当 す る 。扉
に 目 次 が あ り、 以 下 に 示す
、 八 題 の 題 目 が 記 さ れ る 。 な お 、 ( ) は 法曼
院
本 玄 義 二 の 題 目 番 号 で あ る 。 八 七 六 五 四 三 ニ ー 、 、 、 、 、 、 、 、 問 一 家 意 六 科境
時 取 無 明 境 耶 問 十 二 因縁
亙依
正歟
問 爾 前 明 証 道 八相
歟
問 案 位勝
進 一 人 二 人 事 六 地 已 前誓
扶習
生 宗 門 前 代 未 聞 止観
妙
機 取 歟 円 人 見 断後
生 方 便 土 耶 相 似 十 信 人 通惑
断 生 何 耶 八 四 月 廿 八 日 書 之 。 盛賢
」 、第
二条
末 に 「 己 上 畢 。 元 和 六年
五 月 廿 九 目 書 之 。 盛 賢 」 、 第 三条
末 に 「 元 和 六 年 六 月 朔 目 書 之 。 盛 賢 」 と 記 さ れ 、第
四 〜 七条
末
に 「 巳 上 畢 」 、第
八条
末 に 「 畢 。 以 上 墨 付 丗 丁 」 と 記す
。 元 和 六 年 ( 一 六 二 〇 ) の書
写 で あ れ ば 、 三 大 部 系 の 諸本
中 、 書 写 年 代 の 判明
し て い る 最 も 古 い 写 本 と な る 。 一条
ご と に 奥 書 を 有 し て お り 、書
写 し た 本 ( あ る い は 遡 る 本 ) が、 一条
ず つ 独 立 し た 調巻
で あ っ た こ と を 想 定 さ せ る 。 な お書
写者
盛 賢 は、 比 叡 山東
谷実
相 坊 に 住 し た 学 僧 で あ る 。 元 和 五 年 ( 一 六 一 九 ) に 『灌
頂 私 聞 書 』 、寛
永
七 年 ( 一 六 三 〇 V に 『諸
尊
法
』 『 神供
略 次 第 』 『 胎 蔵 界 見 聞 抄 』 な ど を 書 写 し て い る 。 本 文 の 特 徴 は 、 「 私 云 」 な ど の 注 記 を 小 書 き に し な い こ と、 基 本 的 に 題 目 ご と に 改 頁 を 行 う こ と、 書 名 の 一字
上 げ は 行 う が 、 ほ と ん ど の 書 名 の 頭 に 「 一 」 と 記 し て 一 つ 書 き の 体 裁 に し て い る こ と 等 が挙
げ ら れ る 。 真 如 蔵 本 系 と も 法 曼 院 本 と も 、 特徴
の 重 な る 点 や 相 違 点 が あ り 、 い ず れ の 系 統 と も 言 え な い 。 ま た 題 目 の 配 列 も 、 真 如 蔵 本 系 よ り も 法 曼 院 本 系 に 近 い も の の、 い ず れ の 伝 本 と も 異 な っ て い る 。G
寿 量院
本
G
叡
山 文 庫 寿 量 院 蔵 『 尊談
抄 』 ( 所 蔵 者 番 号 、寿
量院
・ 内 ・ 六 ・ 三 九 ・ 五 一 五、 以 下 寿 量院
本
と 略 す ) は 、 『 尊 談 』 の 抄 本 で あ る 。 法 量 は、 縦 二 十 六 ・ 八 × 横 十 九 ・ 六 糎 の縦
型 大 冊 。 本 文 は 十 二
行
書 。 表 紙 は 薄 茶 無 地 。 中央
に 「 文尊
談一 之 三 」 と 外 題 を 記 し 、表
紙
右
下 に 「 台嶺
」 と記
す
。全
十 三 冊 の 内 訳 は、 文 句 部 四 冊 、玄
義
部
四 冊 、 止 観部
五 冊 で あ る 。 目録
は無
い が 、各
冊 冒頭
に 題 目 の 目 次 が 付 さ れ る 。 目 次 の 題 目数
を数
え る と 、 文句
部
百 二 十 六 題 、 玄義
部
百 四 十 五 題 、 止観
部
百 八 十 四 題 の 計 四 百 五 十 五 題 と な り 、真
如
蔵 本 の 五 百 七 十 八 題 に 対 し て 、 百 二 十 三 題 少 な い 。 本 文 は 、引
用 す る 文 証 例 文 の本
文 を0
印 を 付 し て省
略
し、 引 用 書 目名
が簡
便 に覧
で き る も の と な っ て い る 。題
目 の み を 記 し 、問
を 省 略 す る こ とも
あ る 。 題 目 の 配 列順
序
は 、真
如 蔵 本 ・ 妙 法院
本 に ほ ぼ 一 致 し ( 巴 、真
如 蔵本
系 の伝
本 の抄
出 本 と考
え ら れ る 。 以 上 、 三 大部
系 『 尊 談 』 の諸
本 に つ い て 、 書 誌 及 び そ の 特徴
を述
べ て き た 。 こ こ で 改 め て諸
伝
本
の 関 係 に つ い て 整 理 し て お き た い 。 諸 本 間 の 差異
が著
し く 現 れ る の は 、 題 目 の 配 列 順 序 で あ る 。 「 〈 付 表2
> 『尊
談 』 止 観 四 ・ 諸 本 題 目 対 照 表 」 に 、 『尊
談 』 の 「 止 観 四 」 に つ い て 、 諸 本 の 題 目 の 順 序 を 示 し 、法
曼
院
本
と の 対 応関
係
を 示 し た 。 〈 付表
2
> を 見 る と 、 下 三 段 の 真 如 蔵本
・妙
法 院 本 ・ 寿 量 院 本 は 配 列 順 序 が 一致
し 、 一 方、 法 曼院
本
、 園城
寺 本 、 西 教寺
本 、 真 如 蔵 本 は 、 い ず れ も 異 な る 配 列 を し て い る こ と が 確 認 で き る 。 現存
諸 本 で は様
々 な 配列
の 『尊
談
』 で あ る が 、古
態 の 『 尊 談 』 の 諸 本 お よ び 題 目 に つ い て ( 渡 辺 麻 里 子 ) 『 尊 談 』 は 、 ど の 様 な 配 列 で あ っ た の か考
察 し て み た い 。 ま ず 注 目 さ れ る の は 、 現存
諸
本 に お い て 、 目 録 や各
冊 目次
、 本 文 冒頭
に 示 さ れ る 題 目 の脇
に 、現
状 の 配 列 順序
と は 異 な る数
字 が 記 さ れ て い る こ と で あ る 。 例 え ば 「 止観
四 」 で は 、 「 悲 田 敬 田勝
劣 事 」 に は 「 十 一 」 、 「 供 養義
亙 二 田 耶 」 に は 「 十 二 」 、 「 十 境 互 発 名 字観
行 事 」 に は 「 十 三 」 と いう
数
字 が 記 さ れ る( 訖v 。 こ れ ら の数
字
は 、 現存
諸 本 の 配 列順
序 に 全 く 合 致 し な い に も か か わ ら ず、 系 統 の 異 な る 法 曼院
本
、園
城
寺 本、 真 如 蔵 本、 西 教 寺 本 に 共 通 し て 記 さ れ る 。系
統 の 異 な る 本 に も 共 通 し て 記 さ れ て い る と い う こ と は 、 『尊
談 』 成 立 時 と ま で は 言 え な く と も、 少 な く と も 伝 本 を 遡 り 、 成 立 時 に よ り 近 い 写 本 の 段 階 で 記 さ れ た数
字 で あ る 可 能 性 が 高 い 。 こ の 題 目 に 付 さ れ た 数字
を 「 旧 題 目 番 号 」 と仮
称 す る こ と に し て お く 。 旧 題 目 番 号 は 、諸
本 の 多 く に 共 通 し て 見 ら れ る も の と 、 一 、 二本
の伝
本
に の み 見 ら れ る も の と が あ る 。 旧 題 目 番 号 で の 配 列 順序
を確
か め る た め に 、試
み に 「 止観
四 」 に つ い て 並 べ 替 え て み た の が 、 「 〈 付 表3
> 『尊
談 』 止観
四 ・ 旧 題 目 番 号 に よ る 並替
表 」 で あ る 。 目 録 、 目 次 、 本 文 冒頭
の 題 目 に 付 さ れ る数
字 ( 旧 題 目 番 号 ) を拾
い 出 し 、 諸本
の題
目 を 並 べ替
え た 。 旧 題 目 番 号 の 一 ・ 二 は 、該
当 す る番
号
が ど の 伝 本 に も 見 あ た ら な か っ た た め に 空欄
に し て い る ( 旧 題 目 番 号 の 記 さ れ て い な い 「 和 光 三 惑 」 と 「 名 字 十乗
」 の 二 条 が 該 当 す る 可 能 性 が 高 い が 、今
は 不詳
と し て お 八 五く ) 。 旧 題 目
番
号
が 全 部 揃 わ な い た め( 嬰、 も と の 本 の 形 を 明 確 にす
る こ と は で き な か っ た が、 現存
諸
本
の 中 で は、 旧 題 目 番 号 に よ る 配 列 と 現 状 の 配 列 が最
も 近 い の は 法曼
院 本 で あ る こ と が わ か る 。 旧 題 目 番 号 が 『尊
談 』 の 古 態 に 付 さ れ た も の だ とす
れ ば 、 法 曼 院 本 は そ の古
態 を最
も と ど め た も の だ と 言 え よう
。 但 し、 旧 題 目 番 号 に よ る 配 列 と 法 曼 院 本 の 配 列 が 全 て 一致
す る 訳 で は な い と い う こ と か ら考
え る と 、 旧 題 目 番号
を有
し た 古 態 の 『 尊 談 』 (X
本 ) は 、 法 曼 院 本 の も と に な っ た 本 (Y
本 ) に 至 る 問 に、 調 巻 し 直 さ れ て い る こ と に な る 。 現 存 諸本
の 中 で 、 最 も 古 態 を と ど め て い る と 思 わ れ る 法 曼 院 本 で あ る が、 も う 一 度 法 曼 院本
の 特 徴 に 注 目 し て み た い 。 法 曼院
本
の 本 文 や 目 録 は、 先 に 述 べ た よ う に 、 一 題 か ら 二 題 な い し数
題 で 一 巻 、 合 計 三 百 巻 と い う 『尊
談 』 の 古 い姿
を 記 し て い る と 考 え ら れ た 。 こ の 調 巻 に 注 目 す る と 、 法 曼 院 本 目録
で 一 巻 と す る 題 目 群 は、多
く の 場合
、 他 の 伝 本 に お い て も離
れ ず 一 組 と し て 配 列 さ れ て い る こ と が多
い こ と に 気 付 か さ れ る 。 〈付
表2
> で 確 認 す る と 、 法 曼 院 本 目 録 で 一 組 とす
る 、 第 二 条 「 名 字 即位
用 十 乗 観 歟 」 と 第 三 条 「 十 境 互 発名
字
観
行 事 」 や 、 第 四条
「 妙覚
位 起修
惑
歟 」 と第
五 条 「 一 花 供 養 成 仏 事 」 等 の 組 み合
わ せ は 、 園 城 寺 本 、 西 教 寺 本、 真 如 蔵本
に お い て も 一 組 と な っ て い る。 こ の 一 八 六 致 は 、 「 止観
四 」 に 限 ら ず 、 『尊
談 』 全体
に あ て は ま る の で あ る 。 但 し、 こ の 組 み合
わ せ は 先 ほ ど の 旧 題 目番
号
を 並 び 替 え た 『尊
談 』 (X
本 ) で は 一致
し な い も の も あ る 。X
本
と 別 に、 調 巻 し 直 し て 現存
諸
本
と 共 通 す る 題 目 の 組 み合
わ せ を 持 っ たY
本 の 存在
を考
え な く て は な ら な い だ ろ う 。Y
本 は 法 曼 院 本 が 写 し た 本 そ の も の で あ る 可 能 性 も考
え ら れ る 。 題 目 の 配 列 に 注 目 す る こ と に よ っ て 、 諸伝
本 を 遡 る 本 (X
本 ・Y
本 ) の 存在
が想
定
さ れ た の だ が、 な お 問 題 は、 そ う し た 古 態 の 本 が ど の よ う な 基 準 で 配 列 さ れ て い た の か と い う こ と で あ る。 可能
性 と し て 、 同 じ く 問 答 形 式 の 三 大 部 注 釈 書 で あ る 『 三 大部
伊
賀
抄 』 の よ う に、 三 大 部 の 本 文 の 順 に 題 目 を 配 列 し て い る 伝 本 の 可 能 性 を 見 出 し た く な る 。 そ こ で 、 各 題 目 に 文 証 例 文 と し て引
用 さ れ る 『摩
訶 止 観 』 あ る い は 『 止観
輔 行 伝 弘 決 』 に基
づ い て、 「 止 観 四 」 の 題 目 を 並 び替
え て み た 。 そ の結
果
が 、 「 〈 付 表4
> 『 尊談
』 止 観 四 ・ 『 摩 訶 止観
』本
文 に よ る 並替
表 」 で あ る 。 A 付 表4V
か ら 明 ら か に な る の は、 法 曼 院 本 を含
む ど の 諸 本 も、 『 摩 訶 止 観 』 あ る い は 『 止 観 輔 行伝
弘 決 』本
文 の 順 に 添 っ て 配 列 さ れ て は い な い と い う こ と で あ る 。 尊 舜 正 本 の 原 『 尊 談 』 や そ れ に 近 い 古 態 の 本 が、 ど の よ う な 基 準 で 配 列 さ れ た の か は な お 疑 問 が 残 る 。 談 義 の 方 法 や順
序 と か か わ る 可能
性
も あ る が 、現
在 は 判 断 で き ず 、 今 後 の 課 題 と し た い 。 諸 伝本
の 関 係 に つ い て、 こ れ ま で 述 べ た こ と を ま と め ると、 次 の よ
う
な 系 統 が 考 え ら れ る だ ろう
。 三 大部
系
『尊
談
』 諸 本 系 統 図鬮
闊
困
…
国
…
図
一− … − ……
− − … − − − − − 法 曼院
本 …「 − − … … 園
城
寺 本 ザー … … ・ … … − −…
− 大 谷 大学
本
γ … … … ・ ・ … … … 西教
寺本
回
ー
… ・ … ・ 真 如 蔵本
・− − − − − − − − − 妙 法 院本
− … … − 寿 量 院本
『尊
談 』 の成
立 時 、 あ る い は そ れ に 近 い 段 階 の古
写 本 「X
」 は 、 旧 題 目 番 号 が付
さ れ た も の を 想 定 す る 。 旧 題 目 番 号 は 、 系統
に か か わ らず
付 さ れ て い る た め、 現在
の 調 巻 に 至 る よ り か な り 遡 り 、原
態 の 『 尊 談 』 に 近 い と こ ろ で 付 さ れ た も の と 判 断 す る 。 そ の次
に、 法 曼院
本 目 録 に 記 さ れ た 、約
三 百巻
の 「Y
」 が想
定 で き る 。 こ のY
本 とX
本 と を 別 に す る の は、X
本 の 旧 題 目番
号 と 、Y
本 の 調 巻 が 必 ず し も 一致
し て い な い か ら で あ る 。Y
本 は 一 題 か ら 数 題 で調
巻 さ れ た も の で あ る 。Y
本 の 調巻
は 、現
存諸
本 の す べ て に 亙 っ て踏
襲
さ れ て お り 、Y
本
で の 題 目 の 組 み 合 わ せ は 諸本
に お い て ほ と ん ど く ず さ れ る こ と が な い 。 そ こ で 現存
諸本
の 共 通 祖 本 『 尊 談 』 の 諸 本 お よ び 題 目 に つ い て ( 渡 辺 麻 里 子 ) と し てY
本 を 想 定 し た 。Y
本
か ら 段階
を経
て、 現存
諸 本 の よ う に 「 止観
=
「 止観
二 」 と し て ま と め ら れ て い っ た と 推 測 さ れ る の で あ る 。 法 曼院
本
の も と と な っ た 本 がY
本 そ の も の で あ る 可 能 性 も あ る 。 法 曼院
本 の 配 列 は 、X
本
に 近 く、最
も古
態 を と ど め て い る と 推 定 さ れ る た め 、 番 近 い位
置 に 記 し た 。園
城
寺
本 は、本
文 の 特徴
が 法 曼院
本 に 近似
す る た め、 法 曼院
本 に 近 い伝
本
と し た 。法
曼院
本 か ら 西 教 寺 本 ま で の 四 本 は、 『 尊 談 文集
』 『 尊 文集
』 の 書名
を 記 し て い る 。 大 谷 大 学 本 ・ 西 教 寺本
は 、 そ れ ぞ れ 法 曼院
本 と 土 ハ 通 す る 特 徴 を 持 つ も の の 、 一 方 で真
如 蔵 本 と の 共 通 点 も あ る の で 間 に 置 い た 。真
如 蔵 本 か ら 寿 量 院 本 の 三 本 は、 ほ と ん ど 同 じ 配 列 で あ り、 本 文 の特
徴
も 近似
し て い る の で、 共 通 す る祖
本Z
を 想 定 し た 。 現 存 す る 三 大部
系 『 尊 談 』 諸 本 を 遡 源 し て 原 『 尊 談 』 を 試 探 し 、 諸 本 の 関係
に つ い て 検 討 し た 。 諸本
の 関係
は 、 現在
確 認 し た 六 本 の 間 に 、 直接
の 関 係 を 想 定 す る こ と は難
し く 、 な お 不 明 な 点 が 多 い 。今
後 、 さ ら な る 伝本
調 査 に よ っ て 明 ら か に し て い き た い 。 ま た 伝 本 の検
討 に よ っ て 、 現存
諸
本 以 外 に も、諸
本間
に 介 在 す る 本 が 想 定 さ れ た 。 そ れ は 、 か つ て多
く の伝
本 が存
在 し た こ と 、 そ し て 広 範 な 享 受 が な さ れ た こ と を物
語 っ て い る 。 『 尊 談 』 と い う 数 十 冊 に も 及 ぶ 大 部 な 書 は 、学
僧 た ち に と っ て の 重 要 な 書 と し て 大 切 に さ れ 、幅
広 く 受容
さ れ た 八 七と 考 え ら れ る の で あ る 。 一 一 『