『閑居友』 (二) : 岩瀬文庫本翻刻と諸本対校
著者 原田 行造, 藤島 秀隆
雑誌名 金沢大学教育学部紀要.人文科学・社会科学・教育
科学編
巻 23
ページ 286‑273
発行年 1974‑12‑20
URL http://hdl.handle.net/2297/47696
金沢大学教育学部紀要
『 閑
居
友﹄⇔ 1岩瀬文庫本翻刻と諸本対校ー
藤 原
田
行
造
島 秀 隆※
︵※金沢工業大学助教授︶
①︵2︶ ︵3︶④︵5︶ 十︑覚弁法師浬薬経ときて高座にておはる事
︵6︶︵ふ︶ ︵7︶ ︵8︶ ︵9︶
ちかうの事にや︒い賀の国に覚弁といふ僧ありけり︒国中ノ物 み なこそりてたうとみあふきけり︒かΣるに︑
︵10︶
⑬
︵11︶ ︵え︶︵12︶このくにふ五時の
み︵14︶
のりをのへときて︑人にゑんをむすはする事ありけり︒そのこ
︵22︶ ︵幻︶
るときこの僧かたへの人にいふやう︑我は十四日に法花経をとき
︵18︶ ︵19︶ ︵20︶ ︵21︶ろは春のなかは二月をなむさためて︑十五日お結願にしける︒あ
(15︶ ︵を︶︵16︶⑰
の ふ ︵25︶ ︵26︶ ︵27︶ ︵24︶へ
きにて侍れとも︑いさNかおもふやう侍り︒十五日にかへ
て ね は ん
さら也といふ︒さて悦て返ぬ︒十五日にはゆあみ︑かしらそり︑
⑳ ︵31︶ ⌒32︶とやすき事也︒なしかはこれほとの小事におほしわつらひ給へき︒
︵頒︶ ︵29︶経 をとかんとおもふ也︒かへ給てんやといふ︒この人い
きよきものなとき富ナてに堤かうさ呉のほりて︑の捻どく事つね緬︶
︵39︶ ︵40︶︵鵠︶
ふりもたうとし︒みなあはれみあへり︒さて︑この人いふやう︑昔も
︵41︶ ︵42︶ ︵43︶ ︵を︶ろこしの竺道生のねはん経をとくとて︑かうさにてのりときおは
︵44︶ ⑮ ︵ふ︶ ︵46︶
りて︑やかてしにたまひけん事︑いみしくたうとく侍︒あはれ︑
︵50︶ ︵51︶
︵52︶
たふい嘉くてし擬らはやなといひもあ絵女さめーとなく・
ふ
︵53︶ ︵54︶ ︵55︶や Lひさしうかほもあけねは︑あやしと思ほとにやかてなん身ま
か りにけるとなん︒この事をきムしに︑
とくおほえき︒高僧伝をみ侍しに︑
︵56︶ ︵57︶ かきりなくあはれにたう か
の竺
道 生の所にて︑おほく
の
なみた輪ごほせ鴉㏄慶山ゾ擬堅四て︑法座巴のほりての%をと
き給に縫は96だんとせしと苦避たちまちにてにポち仁が魔最硬か
︵68︶うさよりおちけるにそ︑ねはんにいりにけりとはしりそめ侍ける︒
〔
校異亘鯨已の誌霞諾編︺④写龍置撰鴉欝鑓湧襲
(神・類・版︶︵5︶国中ノ物←国中の物︵宮︶国中のもの︵謂・神・
類・版︶︵6︶みなこそりて←こそりて︵神︶︵7︶かsるに←かかるに
(版︶︵8︶この←此︵讃・神・類・版︶︵9︶くにx←国に︵神︶︵10︶
み のり←御法︵神︶︵11︶ときて←説て︵神︶︵12︶ゑん←えん︵宮・講・
瀬 誌暴殼︶︵禰×む耐欝暢ほ薔創講け婦請遍子顯揚
五日を︵宮・謂・神・類・版︶⑰ける←けり︵謂・神・類・版︶︵18︶あ るとき←有時︵神︶︵19︶この←此︵宮︶︵20︶かたへの人に←かたへに
爾︶舗鐘髄︶︵鉋戴ぱ庭壌⑰餓縦㎡肋賢壇28
て
←浬繋経を説むと︵神︶︵25︶おもふ←思ふ︵謂・神・類・版︶︵26︶給て ん
ミや←給はんや︵章ニコロ︶︵27︶この←此︵神︶︵28︶事←こと︵類・版︶
(29︶これほとの←是ほとの︵神︶これことの︵類︶⑳さら也←さs也 ︵諌・版﹁く﹂ともよめる︶さなり︵神︶さう也︵類︶︵31︶いふ←云
(神︶︵32︶返ぬ←かへりぬ︵謂・神・類・版︶︵33︶ゆあみかしらそり︑
きよきものなときて←湯なとあみ︑又かしらそり︑きものなときよく して︵神︶⑭すてに←すくに︵謂︶︵35︶かうさに←高座に︵神︶︵36︶
のり←法︵神︶︵37︶つね←常︵神︶︵38︶さてこの人←扱此人︵謂・神・
類・版︶︵39︶いふやう←云様︵神︶︵40︶昔←昔ノ︵為︶昔の︵宮︶む かし︵讃・神・類・版︶︵41︶ねはん経をとく←浬磐経を説︵神︶︵42︶
かうさ←高座︵神︶︵43︶のり←法︵神︶︵44︶おはりて←をはりて︵謂︶
終りて︵神︶⑮しにたまひけん←しに給ひけん︵宮︶しに給ひてん ︵謂・類・版︶死に給ひてん︵神︶︵46︶たうとく侍←とうとく侍り ︵類・版︶たうとく侍り︵神︶︵47︶たふいま←唯今︵課︶只今︵神・
類・版︶︵48︶しに←死に︵謂・類・版︶しs︵神︶︵49︶あえす←あへ す︵謂・神・類・版︶︵50︶かほ←顔︵神︶︵51︶なくやsひさしうかほ もあけねは︑あやしと←欠文︵章言口︶︵52︶思ほとに←思ふほとに︵課・
神・類・版︶︵53︶この←此︵神︶︵54︶きLしに←聞しに︵神︶︵55︶あ は れ←哀︵神︶︵56︶み侍しに←侍しに︵神︶︵57︶かの竺道生←彼竺の 道生︵58︶なみたを←なみたお︵為︶涙を︵謂・神・版︶⑲こほせり←な か せり︵神︶︵60︶盧山ノ精舎←慮山精舎︵謂・神・類・版︶盧山の精舎
麗︹椥︺薩引罐輪舗蓮㍍教賀難榊顧W議O判
に
(神︶︵66︶もちたる←持たる︵神︶︵67︶壁尾←鹿高尾︵宮・版︶書尾
(謂︶塵尾︵神・類︶︵68︶おちけるに←おちけに︵謂︶落けるに︵神︶
一七
原田・藤島 『閑居友』仁ト岩瀬文庫本翻刻と諸本対校一 285
︵1︶ ︵2︶
しパ蛮設猜治㌶ルめ汽イ小くの.﹂とく琉装き︒繭
︵3︶ ︵4︶ ︵5︶ ︵6︶すへてこの経は︑いつれの経よりもなつかしきものから︑わひ
仏拘戸那城力士生池阿利羅政提河のほとり︑沙羅隻樹のあひた
︵11︶ ︵12︶ ︵13︶︑︑し︵16︶ ︵17︶ ︵18︶ ︵19︶︵ゐ︶ ︵20︶
あさきなし︒心もみなうきたちてなにのあやめおほえす︒あやし
ち む ほ にましくき︑といふよりなにとなくなみたうかひて︑心ほそく
の む
ま︑とりなとのたくひもみなまいりのぞみけるに︑
いかなる
べ ︵21︶ ⑳ ︵23︶ ︵別︶︵ゐ︶
つ み の ︵25︶む
くひにて︑そのときいつれの所にありてまいりあはさり るに︑この覚扉翠︶の経鍵ときて︑その座にて砲︶はりおとりけん︑
︵鵠︶ ︵27︶ ︵田︶ ︵29︶ ︵を︶︵30︶︵31︶
けん︑とさらに身もうらめしくかきくらしてそおほゆる︒しかあ
い た
うあはれに侍︒かのもろこしの道希法師の天竺にむかひて︑
クシナシヤウハツネツハン シ︵36︶ ︵37︶
(鵠︶
謬 ㌶遜㌶璽磐詫認溺撞鋪蔑鴇賠醗嬬懸
︵42︸ ︵43︶ ︵44︶ ︵45︶ ︵ほ︶ ﹂︵46︶︵ふ︶ ︵47︶
か
りのこりて侍けるは︑ことにいとをしくたうとくきこゆるそか
し︒この事︑遊心集にかたはかりのせ侍しにや︒
〔校異︺︵1︶こ.の←此︵謂・神・類・版︶︵2︶なつかしきものから←なつかし く侍ものから︵神︶︵3︶わひしく←佗しく︵神︶︵4︶侍←侍り︵神・
類・版︶︵5︶まつはしめに←先はしめに︵謂・神・類・版︶︵6︶き入 き←ききΣ︵宮︶ききき︵謂︶聞︵神︶き起︵類︶きき︵版︶︵7︶拘 那城←物 城︵宮︶︵8︶生池←生地︵謂・神・類・版︶︵9︶阿利羅
ち
←阿夷羅︵神・類・版︶︵10︶あひた←間︵神︶︵11︶いふ←云︵神︶︵12︶し ぐ なに←何︵神︶︵13︶なみた←みなみた︵謂︶涙︵神︶︵14︶あさきなし
ミ ←あちきなし︵諸本︶︵15︶みな←皆︵神︶︵16︶むま←むし︵為・宮・
謂・類・版︶虫︵神︶︵17︶とり←鳥︵謂・神・類・版︶︵18︶たくひ←類 ひ
(神︶︵19︶みな←皆︵神︶︵20︶のぞみけるに←望みにける︵神︶︵21︶
つ み の むくひ←罪の報ひ︵神︶⑳にて←まて︵類︶︵23︶とき←時︵神︶
(24︶ありて←有て︵神︶︵25︶さらに←更に︵神︶︵26︶この←此︵神︶
(27︶君の←君ノ︵為︶︵28︶ときて←説て︵神︶とき︵類︶︵29︶その座 ←其坐︵神︶その坐︵類・版︶︵30︶をはりお←おはりを︵宮︶をはり
を︵講・類・版︶終りを︵神︶︵31︶とりけん←取けん︵神︶︵32︶いた うあはれに←いとう哀に︵神︶︵33︶侍←侍りし︵神・類︶侍り︵版︶
(34︶かの←彼︵神︶︵35︶法師の←法師ノ︵為︶︵36︶浬禦経寺←浬繋寺
(諸本︶︵37︶すみにわたり←すみわたり︵為・宮・讃・神・類・版︶︵38︶
のちに←後に︵神︶︵39︶たつねゆきてみけれは←尋ね行て見けれは
(神︶︵40︶身まかりに←身まかり︵神︶︵41︶漢字ノ経←漢字の経︵宮・
講・神・類・版︶︵42︶はかり←計︵神︶︵43︶のこりて←残りて︵神︶
(44︶侍ける←侍りける︵神︶︵45︶ことに←殊に︵神︶︵46︶いとをしく ←いとおしく︵諌・神・類・版︶︵47︶きこゆる←聞ゆる︵神︶
一八
︵をXお︶
ハエぜ
︵2︶ へ3︶ へ4︶⑤ 十一︑はりまの国の僧の心お・こす事
へ ザ ヘフ
中ころ︑はりまの国におちたる僧ゆきとまりておるありける︒
す るわさもなけれは︑あさゆふもなけかしくて︑田をつくりてな
︵9︶
りとて︑とらゑてろうにこめたりけり︒さすかにほとある事なれ
ヘリ ロねむ
おザりけるなめり︒所のおさなりけるもの︑なすへきものにみしむあ
を⑩ いり
む身をすくしける︒秋かり冬おさむるわさもおもふほともえなか
︵ひ︶ ︵15︶ ︵16︶ ︵17︶ ︵18︶ ︵19︶ ︵20︶
は︑ついにはいてにけるなるへし︒さて︑返てめこにいふやう︑ ︵23︶ お
れ︵27︶ ︵や︶ や
︵28︶ ある山寺にのほりぬ︒ことわさなく一すちに念仏をそ申ける︒人々
︵24︶ ︵25︶ ︵26︶ いまは我にいとまくれよ︒ゆるきなく思ひかためたるなめりとて︑
といふ︒さし︑しはしはさるほとのこれうを日に二たひくひける
︵29︶ て︵30︶ ⑳みなあはれみて︑ようくの事はのたまはせかけよ︑と我もく
甑
芭後には⁝日に一合のこれ輪を一たひなんくひけ玩喧さ℃運三
年といふピ︑おの賠いほりのまへにふたをか鱗Cたてたり︒な︵◎
うなく侍れは︑心と命をすてsむと思ひ侍也︒
︵42︶ 給︵43︶ ︵44︶わ さをうれへたるふたそとみれは︑ひざし㍍rにありて転そのよ
︵48︶ ︵49︶をきたるいはやの侍に︑まかりなんこもりぬる︒もし︑我を我と
︵45︶ ︵46︶ ︵47︶このうへの山にみ
お ほさは︑ものさはかしくたつねとふらひたまふ事なかれとそか
きたる︒ (51︶ ︵52︶ ︵53︶ も ︵54︶人
み
なあはれみてたつねとふ事なし︒
︵56︶ ︵57︶ ︵58︶ ︵59︶
さて︑おのつか
へめ
ら日ころにもなりにけれは︑
⑪ るに︑西むきにありけるいはやにいきたるやうにて︑手をあはせ
︵60︶心 ある人々せうくたつねありきけ
西 に む か ひ て
しにたりけり︒時の人いみしくあはれかりけり︒そ
〔62︶ ︵63︶ ⌒64︶ ︵65︶
の
名をは︑発心房とそいひける︒いとあはれ也ける事かな︒
〔校異︺︵1︶中ころ←中比︵神︶︵2︶はりま←播磨︵神︶︵3︶ゆき←往︵神︶
てなむ←つくりてなん︵為・宮︶作りてなん︵神︶︵9︶身を←身お︵為︶ 類・版︶︵6︶あさゆふ←朝夕︵神︶︵7︶田を←田お︵為︶︵8︶つくり (4︶おる←をる︵讃︶⑤ありける←有けり︵宮・神︶ありけり︵為・
⑩おさなりける←おさなかりける︵諌・神・類・版︶︵11︶みしむ←未 ︵13︶ろうに←籠に︵神︶︵14︶ほと←欠文︵宮︶︵15︶ついには←つゐに 進︵神︶版には未進と傍書︵12︶とらゑて←とらへて︵謂・神・類・版︶
は 版︶かへりて︵神︶︵20︶めこにいふやう←め子に云様︵神︶︵21︶我←わ ←成へし︵神・類・版︶︵18︶さて←靱︵神︶︵19︶返て←帰て︵謂・類・ (謂・類・版︶終には︵神︶︵16︶いてに←出に︵讃︶︵17︶なるへし れ
(謂・類・版︶︵22︶思ひ←おもひ︵宮・謂・神・類・版︶︵23︶なめ
金沢大学教育学部紀要 284
ぬ ﹀ り←なめり︵為︶な︵宮︶︵24︶ある←有︵神︶︵25︶のほりぬ←のほり
て
て
(宮︶︵26︶念仏をそ←念仏おそ︵為︶︵27︶あはれみて←哀みて︵神︶
む
(28︶事はのたまはせ←事の給はせ︵神︶︵29︶いふ←云︵神︶︵30︶さし ←さて︵為・宮・謂・神・類・版︶⑳これう←このう︵謂︶かれう ︵神・類・版︶︵32︶くひけるか←食けるか︵神︶︵33︶これう←かれう ︵神・類・版︶︵34︶一たひなんくひける←一たひ食ける︵神︶︵35︶さて←扱︵神︶︵36︶いふに←云に︵神︶︵37︶おのか←をのか︵讃・神・
類︶︵38︶いほりのまへにふたをかきて←庵の前に札を書て︵神︶︵39︶
お
なに←何︵神︶︵40︶ひさしく←久しく︵謂︶︵41︶よにありても←世にお
有ても︵神︶︵42︶すてsむ←捨てむ︵課︶捨てん︵神︶︵43︶思ひ侍也 ←思ひ侍也︵為︶思ひ給也︵宮︶思ひ給侍也︵謹︶思ひ給ひ侍也︵神・類・版へ︵44︶この←此︵神︶︵45︶みをきたるいはやの侍に←見置たる 岩屋の侍るに︵神︶︵46︶まかり←罷︵神︶︵47︶こもり←籠り︵神︶︵48︶
もの←物︵神︶︵49︶たつね←尋ね︵神︶︵50︶とふらひたまふ事←とふ・
も
らふ事︵神・なお﹁神﹂では﹁ラヒ給﹂と傍書︶︵51︶かき←書︵神︶
(52︶みな←皆︵神︶︵53︶たつね←尋ね︵神︶︵54︶事なし←事もなし
︵宮・謂・神・類・版︶﹁為﹂では底本と同様﹁も﹂を傍記︵55︶おの つ から←をのつから︵宮・謂・神・類・版︶︵56︶日ころ←日比︵神︶
(57︶なりに←成に︵謂・神︶︵58︶ある←有︵神︶︵59︶ありき←有き︵神︶
(60︶西むきにありけるいはや←西にむかひてそ有ける岩屋︵神︶⑪西 に む か ひ てしにたりけり←終りける︵神︶︵62︶その←其︵宮︶︵63︶い
ひ←云︵神︶︵64︶あはれ也←哀也︵謂︶哀なり︵神︶︵65︶事かな←事
哉
(草=一口︶ことかな︵神︶こと哉︵類・版︶
ひご
け
に︑いたつらにあけくれて︑
つ
ゐに病にとりこめられなんの
ハヨ
ち に
は︑身もよはく心もおほれて思ひのことくもなくてをはり
をとらむ事︑ほいなくそ侍へき︒わか心のたかはぬ時︑仏のちか
るソ ハ フひ
をあふきて︑命をすて入む事かしこかるへし︒たれをあはれまん
︵14︶ ︹へ︶⑮ まつらん人おみすくし給へき︒手足のゆひをたきて仏に供養する
︵を=12︶ ︵13︶とちかひたまへる仏なれはか︑さはかりおしうするいのちをたて
り功徳をさふけてうきよをいつるたねとせんとねかはんは︑ゆNし
︵19︶ ︵20︶ ︵21︶すsめたり︒いはんやこのいのちをみな仏にたてまつりて︑この をは︑法花経にもうゑなき功徳とほめたり︒梵網経等班Wあま誌︶
(16︶マウき心さしなるへし︒また求道の寒きた担辺︑このみつきえ亡雌をい
お み︵26︶ ︵27︶ ︵四︶ ︵29︶て
sさとにむかふに︑山にすむ大地のいまより後︑経のこゑをき
︵30︶ ⑪ ︵認︶か
さらむ事をかなしみて︑眼にちのなみたをなかしてたかき木に
の
ほ
りて︑はるかにみをくるに︑やうくとおくなりつxつひに
お あ おノ む
こしぷ木のう膏り身をなけたりける加w.都率提むま磐齢
みえすなりぬれは︑つみのほとをかなしみてさまくの善心をs
の か は ね
を供養すなと経には侍そかし︒もろこしの伝には︑釈し
ヱ
ミヤウカウカ・︵42︶°二但︶: ト︑ で44︶ ︵︶
恵猛高岸より身をなけてしぬるに︑
るに︑金色の光ありて水のなかにいるとも侍めるは︑いみしくた
︵53︶ ︵54︶身籔︐露ピも権ま垣明安と嘉あ㍉江のほと%盲をなく
いまたなかはのほとにて紫雲 痴 とくこ気艀れ︒しかはあれと︑かや嬬●事むかし翼りいまにぷ
︵59︶ ︵60︶ ︵61︶
︵鑓︶
たるまて︑とかくさまくに一かたならすいふ人もあるへし︒せ
ん は た
ム我心にはからひて︑すふみもしりそきもすへきにこそ︒
︵63︶ ︵64︶ キシヤウ サウ ︵65︶
鞠 ⇒
㌶ ㍊ 謬臼譜霞罐㌍時蕊ぽ雛蟻ぽ
〔校異︺︵1︶けにいたつらにあけくれて←実に徒に明暮て︵神︶︵2︶つゐに←つ い に
(為・宮︶︵3︶のち←後︵謂・神・類・版︶︵4︶をはりを←をは
りお︵為︶おはりを︵宮︶終りを︵神︶︵5︶とらむ事ほいなくそ←取
ん事ほひなくそ︵神︶︵6︶わか心←我心︵神︶︵7︶時←とき︵為・宮︶
(8︶すて\む←すてん︵神︶︵9︶たれをあはれまんと←たれをあはれ
まむと︵讃︶誰を哀まんと︵神︶︵10︶ちかひたまへる←誓ひ給へる︵神︶
(11︶おしうするいのちを←をしうするいのちを︵謂・類・版︶をしうす
る命を︵神︶︵12︶人お←人を︵宮・謂・神・類・版︶︵13︶ゆひをたきて
←指を焼て︵神︶︵14︶をは←を︵謂・神・類・版︶⑮うゑなき←こゑ
なき︵課︶上なき︵神︶うへなき︵類・版︶︵16︶ほあたり←讃たり︵神︶ む
(17︶たりいはんやこのいのちをみな仏にたてまつり←欠文︵神︶︵18︶
この←此︵神︶︵19︶うきよをいつる←うき世をいつる︵讃︶憂世を出
る︵神︶︵20︶せん←せむ︵類・版︶︵21︶ねかはんは←ねかはむは︵為・
み つ
宮︶︵22︶また求道の寒きたり←又求道の人寒来り︵神︶また求道の人 寒きたり︵類・版︶︵23︶このみつきえて←このつみきて︵為︶このみこ や や
つきて︵宮・課・神・類・版︶︵24︶いて﹂さとに←出て里に︵神︶︵25︶
こゑ←声︵神︶︵26︶さらむ←さらん︵神︶︵27︶かなしみて←かなしひ
て
(寧ユコロ︶︵28︶ちのなみたを←ちのなみたお︵為︶血の涙を︵神︶︵29︶
た かき←高き︵神︶︵30︶みをくるに←見送りけるに︵神︶⑪とおく
なりつs←とをくりつ入︵宮︶とをくなりつΣ︵謂・版︶とをくりな
りつs︵類︶遠く成けれは︵神︶︵32︶つひに←つゐに︵宮・謂・類・
版︶終に︵神︶︵33︶つみ←罪︵神︶︵34︶ほとをかなしみて←程をかな
しひて︵謂︶ほとかなしみて︵神︶︵35︶善心を﹂こして←善心をおこ
して︵宮・神・類・版︶︵36︶うへ←上︵神︶︵37︶なけたりけるか←な
ノ
けたりける︵類︶︵38︶都率天←都卒天︵謂・神・類・版︶︵39︶むまれ ←生れ︵神︶︵40︶昔←むかし︵神︶︵41︶釈し←釈の︵宮・謂・神・類・版︶︵42︶高岸←高き岸︵神︶︵43︶身を←身お︵為︶︵44︶しぬるに←死 ぬ
(神︶︵45︶にて←に︵神︶︵46︶身を←を︵宮︶︵47︶まつふ←まつ︵類︶
一九
原田・藤島:r閑居友」(⇒一岩瀬文庫本翻刻と諸本対校一 283
螢匿竺三妻§
嫌縫四裁 籍饗献
籔鍵‖桓
毒煕喜串轡
勲言擦そ㍑
神宮神61↓↓辺)
思↓和へいやり神 ふ是尚したうて)
範総ξ止担
②︵3︶ ︵4︸︵5︶
十二︑あふみのいしたうの僧の世をのかる・事 りて︑世をいとふ心なんふがく侍ける︒さて︑日にそXては人に え 中ころ︑近江国石堂といふ所に僧ありけり︒としなかはにあま か ︵12︶
たをならふる事なとあきた薔けれは旦寺のましら丙×鰺ぽガれ
︵13︶ ︵14︶ ︵15︶ ︵16︶ん
と思ひて︑いとまをこひけれと人々をしみてゆるさす︒さて︑
この人いみしく思ひなけきて︑
あ お
きて︑あるときはえんのうへに夜をあかし︑あるときはひるしの
カ ︵23︶ ゆ おところのをさなる男の身まかれるありけり︒そのあとにつねにゆ
︵18︶ ︵19︶ ︵20︶ ︵21︶ ロ日ころをふるほとに︑そこちかく
ひ ︵30︶に
きてたちかへる事もありけり︒か﹂りけれはこのあるしのめ
は︑日ころも心おこしたる人ときくに︑あはせて心の色をもまさ あ ︵33︶
ロ︵42︶ ︵43︶
ある人はつみのうることなきこゑたまひそ︒我におきてはうけひ
︵37︶ ⑱ ︵えX39︶ ︵ω︶ ︵41︶さて︑たひかさなりけれは︑人々あやしのわさやなといひけり︒
︵35︶ ︵36︶んとするよな︒あはれなるへき心の中のなさけかなと思ひおり︒
か
す︒かsる事きかしなともてはなる二ものもあり︒かくて月こ
念 蕊亘鷲﹀に㍉にた妻と蕊邊すあり㌶は︑あま⑳
くこのすちかちにいひなりにけり︒さて︑
て︑おひいたしつ︒この人としころありつきて︑はなれもうく侍
︵57︶ ま ︵58︶きこゑある人はなしとて︑房きりさまくにはちかましき事あり
︵え︶︵53︶ ︵54︶ ⑮ ︵56︶このてらにはさやうの
お カる れ きsてわひなけく事かきりなけれとも︑いまたこまやかなるたい
︵68︶ ︵69︶︵70︶ ︵71︶しのいほ%ぴすひて・芒ひと舞鴇げり・さ㌃︶こ窪.触.㌫.︶
れと・今は更患ひなしとていてぬ・さ盲はるかなる恥にあや
め ︵76︶ ︵お︶ ︵77︶ ︵㎎︶ん
もせねは︑なけくにもたよりなし︒また︑人つてにきこえさす へ き事にもあらねは︑さてのみ日をxくる︒さて︑その後はこの
二〇
塁欝鷺藷i欝竃i灘1欝鍵灘き隷翼i叢,
金沢大学教育学部紀要
︵9︶ ︵10︶ ︵11︶
るはかり事にしける︒また︑をのつからたへまなとのあるときは︑
(5︶ ︵6︶ ︵7×お︶ ︵え︶
貸 ぷぶ慕誌費籠諸S誌驚誘額綾西露㌧
あやしくなに事ならんとて︑いそきてあひたれはいかにもよをの
か
るx事を思ひあつかひて侍しに︑そこの御とくにとしころのほ
(20︶ ︵ゐ︶
︵24︶ ︵25︶ ︵え×26︶ ︵27︶
その悦申さむとてなんまうてきたるといひていてぬ︒さて︑七月
︵22︶ ︵23︶ ロ いをなんとけて侍︒いま︑極楽にまいらんする事のちかく侍れは︑
︵33︶ ︵34︶ ︵35︶
あやしき雲空にみえけれは︑人々おとろきてたつぬるに︑この人 七 日草のとさ辻っ繧して︑ひ寡にいきたへにけ批︶其渠︶
の か
くれぬる事をしりぬ︒さて︑七日かあひたあまねく人にえん なと 侍なめり︒なをくあはれに侍り︒
ロ ほすて侍人には︑をはりのとき︑かならすめたsしきほとの瑞相の
︵44︶ ︵45︶ ︵46︶さま︑いかてか仏も御覧しとかめす侍へき︒かやうにふつに身を ぷ をはうつむとも名をはうつましとおもひためるに︑いまこの人の
︵41︶ ︵42︶し︒人のならひにはいかになりはつるまても︑程にふれつふほね ⑲ ︵40︶
おをなんむすはせける︒いみしくありかたく侍ける心のうちなるへ
(36︶ ︵37︶〔校異︺︵1︶くいもの←くひもの︵諌・類・版︶食物︵神︶︵2︶には←なとは
(宮・謂・神・類・版︶︵3︶なさけ←情︵神︶︵4︶とき←時︵神︶︵5︶
日をふくる←日を送る︵神︶日ををくる︵類・版︶︵6︶事にしける←こ
とにかしける︵面早二=口︶︵7︶また←又︵神︶⑧たへま←たまへ︵宮︶絶間︵神︶
たえま︵類・版︶︵9︶さとにいてsこふ事←里に出て乞事︵神︶︵10︶
あり←有︵宮︶︵11︶あまた←数多︵神︶︵12︶さて←扱︵神︶︵13︶ある
とき←有時︵神︶︵14︶家←いゑ︵為・宮︶︵15︶きて←来て︵神︶⑯け
さん←はさん︵章言口︶けんさん︵神︶︵17︶あり←有︵神︶︵18︶よを←世を︵神︶
⑲そこの御とく←此恩徳︵神︶︵20︶ほい←本ひ︵神︶︵21︶その←其︵宮︶
(22︶申さむとてなん←申さんとてなん︵諌・神・類・版︶申さんとて ︵宮︶︵23︶さて←扱︵神︶︵24︶草のと←草の戸︵神︶︵25︶さしsつか に←さししつかに︵宮・謂・類・版︶︵26︶たへ←たえ︵神・類・版︶た
〜
(面早ニコロ︶︵27︶其時←その時︵譜・神・類・版︶︵28︶空←そら︵為︶︵29︶みえ←みへ︵為・宮︶︵30︶人々←人人︵類︶︵31︶たつぬる←尋る︵神︶
(32︶この←此︵神︶︵33︶さて←担︵神︶︵34︶あひた←間︵神︶︵35︶え
ん←縁︵神︶︵36︶を←お︵為︶︵37︶あり←有︵神︶︵38︶なり←成︵神︶
⑲まても←とても︵諌・神・類・版︶︵40︶程に←ほと︵神︶︵41︶ほねをは ←ほねを︵為︶骨をは︵神︶︵42︶この人←この人に︵課︶︵43︶かやう ←か様︵神︶︵44︶身をすて侍人には←身を捨侍人には︵神︶身をすて 侍んには︵類︶︵45︶をはりのとき←終りの時︵神︶︵46︶めたふしき←め たしき︵謂・神・類・版︶︵47︶なをく←猶々︵宮︶
十 三︑かう野のひしりの山からによりて心左︶こす事
中比︑高野にみなみつくしといふ往生人ありけり︒つくしのも
の
主たりかう繧すみぷ此熟すみかをかま蚕て解けれは・
翻 購
ありけれは︑
や せ お
とろへてそ侍ける︒あるときさるへき人々あ
れ つまりて︑なしかぼかくはかり身鷲︶ましめ給へき・仏堅のり
露㌫齢践鵠誘鴎⑪讐已㍉竃誌 誌 ㌶ば麟誌鐘躍設蕊ば四杜肋ぽ域ぽ
か
に︑︹=のやまからはもの誌は拒ねには・︑のは室っきて︑・︑ ≦︑弍りお襟してか誹るか︑三にやまから㌣れたり砧る
はビ︵謀礼毒人あ竃いまぷ嘱に効ける砧べ.いみし
の め
よりいてんとのみして︑やせほそりて水をたにおほくはのま
恒 蕊蛭携い蔑ぷ竃霧竃鷲舗
晶 鵠
懸 嵩
竺 ㍑ 舜昔漂はぽい警諸鴎
こ曜み褒のあるし黎三w︶さ議うき夢いてピいとな
まむ人もさるへきにこそ侍めれ︒つねにうちしめりてたかきゑわ らひもせす︑心おもひに物なともくはてこ鰍がるへかめ拓ピさと りて︑やかてかし廷うし㌃いみしくおこなひ摩と説たま陽じ
お彊 鷲ガ設錘曇⁝唖鷲嫁勤詩霞淫
り侍ぬ︒
〔校異︺︵1︶いふ←云︵神︶︵2︶あり←有︵神︶︵3︶ものs←者の︵神︶︵4︶
かうや←高野︵神︶︵5︶すみて←すみ︵宮︶⑥此南←北南︵為︶此西
(謂.神.類・版︶⑦かまゑて←かまへて︵宮︶かそへて︵謂︶なら
一二
原田・藤島:『閑居友」(⇒一岩瀬文庫本翻刻と諸本対校一 281
へ て
ぐ
(神・類・版︶︵8︶此つくし←北つくし︵為・謂・神・類・版︶(9︶いひ←云︵神︶︵10︶この←この人︵讃.類.版︶此人︵神︶︵11︶
これう←かれう︵謂・神・類・版︶︵12︶さらにそのほか←更に其外
も
︵神︶︵13︶ものs←ものも︵諸本︶︵14︶あり←有︵15︶やせ←痩︵神︶
(16︶おとろへて←おとろえて︵為・宮・神︶︵17︶あるとき←有時︵神︶
⑱なしかは←ましかは︵類︶︵19︶身お←身を︵宮.謂.神.類.版︶
(20︶仏は←仏︵謂︶︵21︶おこなふ←をこなふ︵類︶︵22︶ほい←ほひ︵神︶
(23︶おほからぬ←お﹂からぬ︵類︶︵24︶おはせかし←おかせし︵宮︶
(25︶いふやふ←云様︵神︶いふやう︵宮・謁︶︵26︶侍←侍り︵謂.類.
版︶︵27︶ころ←比︵神︶︵28︶このみて←好みて︵神︶︵29︶ちやうもん
←聴聞︵神︶︵30︶を←お︵為︶︵31︶のふり←ののり︵謂.類.版︶の
と
法︵神︶︵32︶たまひ←給ひ︵宮・神︶︵33︶き﹂←聞︵神︶︵34︶いゑにありけるとき←家に有ける時︵神︶︵35︶こもり←ことり︵為.宮.
謂・類・版︶小鳥︵神︶︵36︶お←を︵宮・謂・神・類.版︶︵37︶あひ
←あい︵講・類・版︶愛︵神︶︵38︶一こ←一籠︵謂・神.類.版︶︵39︶
では﹁ふたつ﹂と傍記
やま←山︵章言口︶︵40︶二←ふたつ︵神︶﹁版﹂
(41︶いれたりけるに←入たりけり︵神︶︵42︶やま←山︵神︶︵43︶もの
←物︵神︶︵44︶このはら←この腹︵諄・類︶﹁版﹂は﹁籠﹂と傍記︒
籠の腹︵神︶︵45︶つきて←付て︵神︶︵46︶このめ←籠の目︵謂.神.
類・版︶︵47︶いてんとのみして←出んとのみして︵神︶いてんとのの
して︵類︶︵48︶やせ←痩︵神︶︵49︶水をたに←水おたにも︵為︶水を
た にも︵宮︶︵50︶いてむ←いてん︵課︶出む︵神︶︵51︶ほか←外︵神︶
(52︶さら←更︵神︶︵53︶山から←やまから︵宮.謂.類.版︶︵54︶も
の←物︵神︶︵55︶いみしくsひて←いみしくくらひて︵神.類.版︶︵56︶こ
ゑ←こえ︵輝三類・版︶肥︵神︶︵57︶あり←有︵神︶︵58︶この←此︵神︶
(59︶やま←山︵神︶︵60︶いかs←いかに︵類︶︵61︶こ←籠︵神︶︵62︶
い てsとひてさりぬ←出て飛て去ぬ︵神︶︵63︶これをみて←是を見て
︵神︶︵64︶おとこ←男︵宮・神︶︵65︶うきよ←憂世︵神︶︵66︶いて
ん←出む︵神︶︵67︶む←ん︵神︶︵68︶こそ←社︵神︶︵69︶つね←常︵神︶
(70︶こそ←社︵神︶︵71︶あるへかめれ←あるへき︵神︶︵72︶かしら←か
しらを︵章二一●口︶︵73︶おろして←をうして︵神・類.版︶︵74︶おこなひて
←をこなひ︵類︶︵75︶たまひ←玉ひ︵讃︶給ひ︵神︶︵76︶き入←聞︵神︶
(77︶さらむ←さあらむ︵神︶︵78︶思ひ←おもひ︵謂・神.類.版︶︵79︶
の ち←より︵神︶︵80︶としを﹂くり←年を送り︵神︶︵81︶侍ぬ←はべ
りぬ︵類・版︶
︵3︶ ︵4︶
と我ものいみしくsひて︑ちからありと誌︑なにのおこなひを
き也と誤らへける︒さて冷魂繧きとして︑い毒魂 く彊業ためてし裏れは︑い鍵のたま掌ど叱た躍まし
かし侍へき︒あやまりておこたりそいてき侍へき︒はやゆるきな
くなりにけりとなん︒この事もきsしより︑ふかく身にしめてわ
︵16︶ ︵17︶するsときなし︒かのやまからのいにしへも︑ことにあはれにし
二 二
はし ︵18︶ ︵19︶ へ20︶︵を︶ ︵21︶
の ひ か た
く侍︒されは仏は︑或は三口くへともおしへ給︒或は五
。
い ㌫㌣おほせられたり・ま蘂︒利弗は吾六︒くひてこ亮
あ あ
をたすには水おもてせよといへり︒されは龍樹井は身を益して︑
︵27︶ ︵認︶ タイ馬をやしなふかことくはすへからすとsき給て︑天台大師は食の
︵29︶ ︵30︶ ︵31︶ ︵32︶ ︵33︶法たる事は︑もと身をたすけて道にすsまさむかため也とsきた
︵34︶ ︵35︶︵を︶ ︵36︶ ︵37︶ ︵38︶ ︵39︶まへり︒これらのおしへをきかすして︑
お の つ ︵お︶ ︵41︶ ︵42︶ か
らやまからのゆ
れ
へ
きsて︑けにと望し露ん人も誌こき電︒っらーおもひ
ゐ にさとりをふこしけん心︑けにありかたく侍へし︒またつたへ
つsくれは︑
この一もりのくひものは︑
か
お きたれるにはあらすや︒春のひのなかきに︑山田を返すしつのお
︵49︶ ︵50︶ ︵を︶す もなきわつらひより
ロ
ロ の︑ひくしめなはのうちはへて︑いとなみたつるわつらひおとろ
︵54︶ ︵55︶ ︵56︶ハお
て︑おしねをつめるいとなみ︑或はのほれはくたるいなふねに︑
︵を︶ ︵57︶か す︑なるこの山田のはらのかりいほ︑しもさゆるまてたしなみ
︵61︶ ⑫み
なれさほさしわひ︑或はあふさかやまのはけしきに︑あしをは
や むるこまもあり︒又︑てつからおひみつからになへるいとなみ︑
そのかすいくそはくそや︒
〔
校異︺︵礼匙㍊賢誓鵠難露︺⑫藷鞄麓確酷麺
もひ︵神︶︵7︶たまはす←給はむ︵神︶︵8︶也←なり︵神︶︵9︶さて 人々も←さても︵神︶︵10︶なみたをΣとして←なみたおsとして︵為︶
な み た を
を
おとして︵宮・課・類・版︶涙をおとして︵神︶︵11︶いふ←云(神︶︵12︶なりに←成に︵謂︶︵13︶この事も←この事を︵為・宮・課・
や
類゜版︶此事を︵神︶︵14︶きs←聞︵神︶︵15︶身にしみて←身にしみ は し て←︵為・譜・神・類・版︶身にしめて︵宮×16︶とき←時︵神︶︵17︶
ぐや べ
やま←山︵神︶︵18︶しのひかたく←しのはしく︵宮・謂・神・類・版︶(19︶或は三口←三口︵神・類・版︶︵20︶くへとも←食共︵神︶︵21︶お
しへ←をし.へ︵章⇒コロ︶︵22︶くへ←食︵神︶︵23︶また←又︵神︶︵24︶これ
←是︵神︶︵25︶たすには水おもて←たすには水をもて︵宮.類.版︶
たすには水おりて︵章言口︶たすけには水をもて︵神︶︵26︶龍樹井←龍樹
菩薩︵類︶︵27︶やしなふか←やしなふ︵類︶︵28︶\︵と︶き給て←説
に
給ひ︵神︶とき給ひ︵類・版︶︵29︶食の法たる←食のつたる︵課︶︵30︶たすけ←助︵神︶︵31︶道に←道を︵為︶︵32︶すxまさむ←すsまさん
(諌・神・類・版︶︵33︶ため←為︵神︶︵34︶s︵と︶きたまへり←Σ き玉へり︵章皇口︶説給へり︵神︶︵35︶これら←是等︵神︶︵36︶おしへ←を
金沢大学教育学部紀要
しへ︵田早二↓口︶︵37︶きかす←聞す︵講・神︶︵38︶おのつから←をのつから
︵宮・講・神・類・版︶︵39︶やま←山︵神︶︵40︶ゆへ←故︵神︶︵41︶
ク
さとりをNこしけん←さとりをおこしけん︵宮︶悟りを発しけん︵神︶
(42︶ありかたく←有かたく︵宮︶有難︵神︶︵43︶またつたへきsて
←又伝へ聞て︵神︶︵44︶心也←心も︵譜・神・版︶心なり︵類︶︵45︶
この←此︵神︶︵46︶一もり←人もり︵為︶ひともり︵神︶﹁版﹂は﹁ひ
べ
と﹂と傍記︵47︶くひもの←食物︵神︶︵48︶かす←数︵謂・神︶︵49︶き た れる←きたれ︵宮︶来る︵神︶︵50︶春のひの←春の日の︵宮・神︶
(51︶しつのおの←しつのをの︵謂︶しつの男の︵神︶︵52︶ひくしめな は のうち←引しめ縄の打︵神︶︵53︶いとなみたつる←いとなみたるつ
票 き︵紗誘剴ぎぴ麓当㍉嬬祐譜︵璽99当灘封
︵神︶︵59︶あふさかやま←あふさか山︵為︶あふたか山︵宮︶あふ坂 やま︵神︶︵60︶あし←足︵神︶︵61︶こま←駒︵神︶◎みつから←て つ から︵講・神・類・版︶
い か に い は ヨシ り ん
や︑山人のねるやねりそのてもたゆく︑ちからを
へ つ
くせるたき木にて︑これをいとなみ月の夜ころはいねもせす︑
きて︑柳心をsこしつ︒この功徳をはあまねくわかちて︑このい
︵お︶ ︵−o︶ロ とsまらすおほえて︑我これをくひて︑けふその経その伝をひら
︵7︶ ︵8︶ ︵9︶ からくいとなめるしほかまのゆくゑなとをおもふに︑なみたも
となみの人々にほとこすなと思ひゐて侍そかし︒しかあるに︑はs
︵12︶ ︵13︶︵15︶ ︵を︶︵16︶ ︵17︶
しちらしなとせん事︑そのつみいかはかりそや︒ねかはくは帳の
ほ かりなくいたはりなくパいみしくおほくΣひてしはてには︑こほ
ほ ︵18︶ へ19︶か
をいてす︑しとねのうへおくたらすいまそからんあたりにて︑
け れ パ に
とおほしとかめさせたまはs︑功徳にや侍︒されはもろこし ︵24︶
︵23︶ムお ちらしなとはゆめくせす︒よにうたてき事になん申侍し也︒こ
には︑いかなるものsひめ君も︑くひものなとしとけなけにくひ は︑あらためかたかるへし︒たsかなひぬへからんほとを御つふ
︵26︶ の国はいかにならはしたりける事やらん︒はやくせになりにたれ
︵27︶ ︵28︶ ︵29︶ ︵30︶
しみもあれかし︒仏のこの一りうのよねを思はかるに︑
百
︵32︶ ︵33︶ ︵34︶ のこう
食はすくなけれともあせはおほしとのたまへる︑あはれにこそ侍
︵35︶ ︵36︶ ︵37︶ をもちゐたりとおほせられ︑龍樹菩薩のこれをはかりおもふに︑
れ︒
〔校異︺︵1︶ても←手も︵神︶︵2︶ちからを←ちからお︵為︶ちからき︵類︶
(3︶たき木←焼木︵神︶︵4︶これ←是︵神︶︵5︶しほかまのゆくゑ←塩
竈 の行ゑ︵神︶︵6︶なみた←涙︵神︶︵7︶くひて←食て︵神︶︵8︶そ
り
の←其︵神︶︵9︶その伝←其伝︵宮︶︵10︶心をsこし←心お﹂こし︵為︶心をおこし︵講・神︶︵H︶この←此︵神︶︵12︶はsかり←悼︵神︶
(13︶おほく入ひてし←おほくくひてし︵謂・類・版︶おほくらひてし
(宮︶おほく食て︵神︶︵14︶つみ←罪︵神︶︵15︶帳のほかをいてす←帳 りにて←あたりまて︵為︶︵18︶たまはs←給は︵神︶⑲功徳にや侍←功 の外を出す︵神︶︵16︶うへお←うへを︵宮・謂・神・類・版︶⑰あた 徳 に や侍らん︵神・版︶侍らゆ︵類︶類﹁ゆ﹂の傍に﹁んカ﹂と記す この国←此国︵神︶︵24︶やらん←や覧︵為・宮︶︵25︶せ←世︵類︶︵26︶ (20︶ひめ←姫︵神︶︵21︶くひもの←食物︵神︶︵22︶よ←世︵神︶︵23︶
この←此︵神︶︵29︶一りう←いちりう︵謂・類・版︶一粒︵神︶︵30︶ たs←唯︵神︶︵27︶御つsしみも←御つsしみ︵譜・神・類・版︶︵28︶
思 は かるに←思ひはかるに︵宮・神︶思はるsに︵類︶︵31︶百のこう
←百の功︵神︶︵32︶もち←持︵神︶︵33︶菩薩←菩碓︵為︶井︵宮・謂・神︶︵34︶これ←是︵神︶︵35︶すくなけれとも←すくなく共︵神︶︵36︶の
たまへる←のたまへるも︵神︶︵37︶こそ←社︵神︶
︵を︶ ︵お︶
十 四︑常陸国のおとこ心を・こして山にいる事
︵1︶ ︵2︶ ︵3︶
中比︑常陸国にいふかひなきあやしの男ありけり︒春にて侍け
るなめ⑲・田かへしになんまかれりけるピれいピりもけにすき ︵7> ︹8︶ ⑨︵10︶ ︹へニー−︶
また日もくれなくにいゑにかへりきに
︵12︶ ︵13︶い
りぬへくおほえけれは︑
︵14︶ ︵15︶け
り︒めなりける女︑いかにとsかむれは︑されはこそ︑けふは
い か
︵25︶ ︵26︶ て︵27︶ ︵28︶
︵29︶ にけにくsいらゑて︑さらは火ふきてたきつけよといふ︒男火を
︵20︶ ︹へ︶︹21︶⑳
︵23︶ ︵24︶る也︒なに﹂ても物ようせよ︒くはむといふ︒この女︑おもはす ︵16︶ ⑰︵18︶︵19︶に侍やらん︑ものsくひたくてよはくしくおほゆれはきた すへき事ありてふかき山にいりたるに︑
︵43︶ ︵44︶ ︵45︶ ︵46︶ きsあやしむほとに︑としなかはかりへて︑隣のさとのもの︑な
︵38︶ ︑ ︵39︶︵40︶︵41︶ ︵42︶ ものしてかほsふご\かしこたつねけれと︑さらになし︒人々も
⑯ ︵37︶ りける︒この男︑とはりためらひて︑やをらはひかくれぬ︒さて︑
︵32︶ ⑬ ︵34︶ ︵35︶ くのかたいや︒ふかくのものはとて︑はきものしてかほをふみた
⑳ ︵31︶ふきけるに︑えなんふきつけをわつらひけるを︑この女︑あなに
この男︑
︵51︶ ︵52︶ ︵53︶
あひぬ︒あなあさまし︒いましけるはといへは︑その事也︒しかく
︹47︶ ︵48︶ ⑲ ︵50︶おのつからゆき
め の女
︵55︶事︵56︶
のあたり侍しに︑道心のおこりて︑ものほしと思ひてたの
みもなくて︑あのよにておにムつらふまれん事こそかなしくあちき
︵57︶ ︑てきたるかひもなく︑はけくとあたりしに︑ましてしたる身
二 三
279 原田・藤島:『閑居友』(⇒一岩瀬文庫本翻刻と諸本対校一
鷲篇鷲ミ 璽雛
二 四
おね りて僧あひくしてゆきぬ︒かしらそり︑かひたもちなとして︑あ 亮衣やうーのものけ崇とよう躍たりけれピよふと㌍う
⑪ ︵32︶ ︵ひ︶︵33︶そきて︑やかておくさまにゆきかくれぬ︒さまくくい物なとも
︵34︶ ︵35︶ ︵36︶た
せ
てといふ哩な辻三の・ちとしころありて︑人に三蕩ひた略
︵38︶ ︵39︶ ︵37︶ゆきたりけれとも︑ふつにめもみいれす︑人にもなにくれ
れとも︑とりなとψ﹃うにてち︵⑳く誌よらねは︑ものなといひか
たらふにもおよはすとなん︒ついにはいか二なり侍にけん︑あは
れ に お ほ つ かなくこそ︒〔校異︺︵1︶かみ←髪︵神︶︵2︶すて﹂←捨て︵神︶︵3︶はへる←侍る︵宮.
神︶④かんそり←はんそり︵神・類・版︶︵5︶思←思ふ︵神︶︵6︶そ
う←僧︵神・類・版︶︵7︶きこゑ←きこえ︵謂・神・類.版︶︵8︶さ
て←扱︵神︶︵9︶くひもの←食物︵神︶︵10︶をり←おり︵宮.課.類.
版︶折︵神︶︵11︶ある←有︵神︶︵12︶石になとにて←石になと︵宮︶
石なとにて︵讃・神・類・版︶︵13︶うち←打︵神︶︵14︶うゑに←うへ
に
(謂・類・版︶飢に︵神︶︵15︶こと←事︵宮・神︶︵16︶をり←折︵宮︶
おり︵謂・神・類・版︶︵17︶ふき←吹︵宮・神︶︵18︶このは←この葉
(為・宮︶木葉︵謂︶木の葉︵神︶︵19︶かはりゆく←替り行︵神︶⑳ ときにて←とにて︵神︶︵21︶さて←扱︵神︶︵22︶さとにゆき←里に行
(神︶︵23︶その←其︵宮︶︵24︶いひ←云︵神︶︵25︶かひたもち←戒た
もち︵神︶︵26︶あさ←麻︵神︶︵27︶けさ←袈裟︵神︶︵28︶ようい←用 意︵神︶⑳したりけれは←したりこれは︵譜︶⑳よ﹂と←よくと︵課.
神・類・版︶⑳おくさま←奥山︵神︶︵32︶ゆき←行︵神︶︵33︶くい物 ←くひ物︵課・類・版︶食物︵神︶︵34︶もたせ←持せ︵神︶︵35︶ゆき
←往︵神︶︵36︶とも←共︵神︶︵37︶いふ←云︵神︶︵38︶そのsち←其 後︵神︶︵39︶としころあり←とし比有︵神︶⑳とあひたりけれとも←度 逢て侍れとも︵神︶︵41︶とり←鳥︵神︶︵42︶もの←物︵神︶︵43︶いひ
←云︵神︶︵44︶およはす←をよはす︵謂・神・類・版︶⑮ついには←へ
い に は
(章ユ=口︶終には︵神︶つゐには︵類・版︶
十 するかの国うつの山にいゑゐせる僧事
五︑ ︵へ︶む け に ち か
き事にや︒するかの国うつの山に︑そこともなくさ
︵6︶ ︵7︶ ︵8︶す
らひありく艀あ%けり︒つね臨がやし麺漉し石こもかたくと︑
つ ち に て ︵9︶ ︵10︶ ︵11︶ ︵12︶つ
くりたるなへやいときたなけなるおけ︑ひさこなとか 所にて︑むしろ︑こもめくりにひきまはして︑さるへきやうにい ︵13︶
たくと︑しとけなけにになひてそありける︒さて︑ゆきとまる
(へ
)(14︶ ︵15︶
レ い
ものともにつかはれて︑ひんくなる事をはいみしく心してしけ
︵18︶⑳ ね ゑ ゐしつらひて︑ものしてくひなとしける︒つねにはそのさとの
金沢大学教育学部紀要
︵21︶
. ⑫ ︵23︶ ︵24︶れ
は︑ひんき房とそ名つけたりける︒たsの乞食なとはさすかに
お ほ
えす︑おもへる所あるよしになんみえける︒ある人たつねゆ
︵25レ ︵26︶
㊨ きて さても僧のまねかたにてかくは侍︑とまめやかにいかにし
て ︵30︶ ⑳
道︑ひとつをしへ給へといひけれは︑れいのになひたるものうち
︵28︶ ︵29︶世 をいつへしともおほえ侍らす︒まことsおほしさためたらむ
︵35︶︵36︶︵37︶ ︵路︶
らんといひてそたちける︒さて︑この人さうけ給ぬしなくのも
︵32︶ ︵33︶ ⑭になひて︑たちうらむ︑くらうらむ︑はらまきうらん︑ようひう
︵39︶ ︵40︶ ︵41︶の
をうりても︑せんは身をやしなふをほいとする事なれは︑いつ
れ のるへきと︑のたまはするにこそ侍なれ︒
︵42︶おこなひにても︑よくたにせは後せをとりてんするそほいな の
〔校異︺①さすらひありく←さそらひありく︵神︶さそひありく︵類・版︶︵2︶あり←有︵宮・神︶︵3︶つねは←常には︵神︶︵4︶あやしき←あやし の
(諸本︶︵5︶むしろ←莚︵神︶︵6︶つち←土︵神︶︵7︶つくり←作
り︵神︶︵8︶なへ←鍋︵謂・神・類・版︶︵9︶やいときたなけなるお
け︑ひさこなとかたくと←欠文︵神︶︵10︶になひ←荷ひ︵神︶︵11︶
あり←有︵宮︶︵12︶さて←扱︵神︶︵13︶ひき←引︵神︶︵14︶いゑ←家
︵神︶︵15︶しつらひて←しつsひて︵謂・神・類・版︶︵16︶くひ←食 ︵神︶︵17︶つね←常︵神︶︵18︶ものとも←者共︵神︶︵19︶ひんく←ひ んく︵類︶⑳心して←心えて︵課・神・類・版︶︵21︶名つけたりける ←つけたりける︵謂・類・版︶◎︶あるよしに←あるにしに︵讃・神・
類・版︶︵23︶みえ←みへ︵為・宮︶見え︵神︶︵24︶ある←有︵神︶︵25︶
た つ ね ゆきて←尋ね往て︵神︶︵26︶さて←扱︵神︶㊨いつへし←いつ
くし︵章言口︶︵28︶いひ←云︵謂︶︵29︶れい←例︵神︶︵30︶うちになひ←打
荷ひ︵神︶⑳ようひ←ようつ︵謂・神・類・版︶︵32︶いひ←云︵謂︶
(33︶さて←扱︵神︶⑭さうけ給ぬ←まうけ給ぬ︵諌・神・類・版︶︵35︶
しなくのものを←品々のもの︵神︶︵36︶を←お︵為︶︵37︶うり←売︵神︶
(38︶せん←せむ︵類・版︶︵39︶おこなひ←をこなひ︵類︶︵40︶後せ←後
世︵宮・謂・神・類・版︶︵41︶ほい←ほひ︵類︶︵42︶のたまはするに
こそ←のたまはするにとそ︵類︶ ︵お︶ ︵←
しかはあれと︑をこなひやすくて︑しかもはやく世をいつる事 ︵2︶ ︵3︶
の
きかまほしく侍そといひけれと︑やかてものになひておくさま
(へ
)(4︶ ︵5︶ ︵6︶ ︵お︶ ︵7︶
ゑ
いりにけり︒る事なくそ侍ける︒あるときは人のいゑにもあり︒或時は木のし
︵へ=8︶ ︵9︶ ︵10︶この人︑何事をこそとりわきそのをこなひとみゆ
︵11︶ ︵12︶ ︵を︶ ︵13︶ ︵14︶
た ︵15︶ ︵16︶ ︵17︶に
もゐけり︒そのおはりには︑このほとなやましくおほえ侍れ
はとて︑人のもとをいてxつねの山のこかけにゆきて︑二日はか
(
18︶︵19︶
りありて︑西にむかひてそしにたりける︒
(20︶ ⑳︵22︶ ︵23︶
この人のすみ所こそあ
︵え︶︵24︶ ︵25︶ ︵26︶ ︵27︶は れ ⑱︵29︶ ︵30︶ に
きこゑ侍れ︒つたの下道心ほそくLらかりて︑をりにふれ を︑おもひをくふしなくは︑せうそこする事もあらしとあはれ也︒
︵31︶ ︵32︶つsいかにすみわたり侍けん︒昔みし人もさためてあひけんもの
〔校異︺︵1︶をこなひ←おこなひ︵宮・謂・神・類・版︶︵2︶いひけれと←い ひ け れ は
(宮︶︵3︶ものになひ←物荷ひ︵神︶︵4︶ゑ←へ︵謂・神・
類・版︶︵5︶この←此︵神︶︵6︶とりわき←とりわきて︵類︶︵7︶を
こなひ←おこなひ︵為・宮・謂・神・版︶︵8︶いゑ←家︵神︶︵9︶あ
り←有︵神︶︵10︶或時←あるとき︵課・類・版︶ある時︵神︶︵11︶し
り
ゆ
た←下︵神︶︵12︶ゐけり←ゐけれ︵為︶︵13︶おはり←をはり︵謂︶終り︵神︶︵14︶この←此︵神︶︵15︶いてΣ←出て︵神︶︵16︶つね←常︵神︶
(17︶こかけ←木かけ︵謂・神︶︵18︶はかり←計︵神︶︵19︶あり←有︵神︶
(20︶むかひてそ←向てそ︵諌︶⑳しにたりける←終りにき︵神︶︵22︶
この←此︵神︶︵23︶すみ←住︵神︶︵24︶きこゑ←きこえ︵謂・神・類・
版︶︵25︶下←した︵為・宮︶︵26︶s︵く︶らかり←闇かり︵神︶︵27︶
をり←おり︵宮・謂・類・版︶折︵神︶⑳侍けん←侍らむ︵神︶侍け
む︵類・版︶︵29︶昔←むかし︵謂・類・版︶︵30︶みし人←見し人︵謂︶
(31︶おもひ←思ひ︵宮︶︵32︶あはれ←哀︵神︶
︵お︶
十六︑下野守義朝の郎等の心を・こす事
一 : ︵2︶
︵3︶ ︵4︶
中比︑四郎入道とてこ﹂かしこおかみありくものありけり︒
︵5︶ ︵6︶ ︵7︶
下 野守義朝の郎等なりけり︒むらなきかうのものにてそありける︒
つ み の ︵8︶ ︵9︶ ︵10︶ ほ
とをおもふに︑きもまとひむねつふれて︑にはかにおの
か︵13︶ しほたち︑五こくをたちて︑いとわたのけをきす︑夏冬おわかす︑
︹を︶︵11︶ ︵12︶みちをあらためてほたいになんおもむきにける︒出家の日より ︵16︶ らうれうとおほしくて︑そはむきのこのあらsかなるをそたくは
︵14︶ ︵15︶か きのあさのこそてのあはせたるを一なんきたりける︒あやしの へ
たる︒むまのなかははかりにたs一度それをくひて︑のちはま
(17︶ ︵18︶ ︵19︶
た
なにわさもなし︒
︵20︶ ︵21︶ ︵22︶ ︵23︶ ︵24︶
さのみはそはむきのこもいかてかあると人の
い ⑳ ︵26︶ ︵幻︶ ひけれは︑なき時はせりをつみてくひ︑また松ノ葉をくひてさ
︵ぴ︶ ︵29︶てこそはあれとそいひける︒さて︑夏冬のかはるには︑きものは
い か て ︵へ︶︵30︶ ︵31︶おなしさまにてはとふひけれは︑このちかころよりは︑身
⑫ ︵田︶ ︵芭の
うゑにかせのわたるもいとさむくもおほえす︑日のてるも事い
・ ⑮ ︵36︶ ︵37︶た
くもおほえす︒ゆなとあみ侍も︑あつきもぬるきもいとさたか
にもおほえぬ也とそいひける︒まことにそのさまたxほねとかは
二 五