九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
道路交通における車両・人間系を対象とする人の工 学的特性に関する研究
寺町, 賢一
https://doi.org/10.11501/3163957
第5章 騒音・排気ガスへの適用
5. 1
はじめに
自動車騒音と排気ガスによる大気汚染問題は重大な交通公害である. 内動車そのものに 対する個別対策5-1 )や環境基準5-2).5-:3)により段々な対策を立てているにもかかわらず, そ
の状況は好転しているとは言い難い. こ の主な理由は, 都市圏における交通量の 増加である. 図5-1に最近15年の我 が国における四輪自動車保有台数 の推移 を示すが, 乗用車・軽自動車の増加は特 に著しく, 1 9 8 0年に比べて乗用車は 約2倍, 四輪自動車全体でも約75%増 となっている. 交通量の 増加が環境対策 を上回るペースで進んでいるため, その 対策が追いっかない状況になっている.
-四拍車保宥台数の推移 万台
70∞
動車騒音を予測する研究のうち, 定 常走行を対象とするもの 5-4),5-5),5-6)ふ7)は数
多く提案されており, かなりの成果を上 げている. 加速時の騒音 に関連する研究 5-8),5仇5-10)も提案されているが, いずれも 動車のエンジン性能や車両条件(貨物
しょ 積載率)を反映することの出来るモデル 1980年
とは言い難い.
排気ガスを予測する研究5-11),5-12),5・13),5-14)は,
定常走行や一定の 走行モードを対象とする
60∞
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85 90 95 。
刈5-1 四輪自動車保有台数 推移 本自動車工業会より)
5・15)も提案されているものの, 車両条件や道路条件を物理的に取り扱うものではない.
動車騒音の場合, その発生源としてはエンジン, 排気系, 冷却系, 吸気系, タイヤに 大別することが出来るが, なかでも一番影響が大きいのはエンジンである. 近年の騒音対 策によってその割合は減じているものの, 全体に占める音源の割合としては無視できない.
自動車の走行状態の中でもっとも音響出力が大きいのは加速発進時である. 音響出力(特 にエンジン音)は, 自動車のエンジン運用状態に強い影響を受けるため, 加減速を強いら れる市街地交差点付近では, 特にその出力が大きくなることが予想される. 排気ガスにつ いても同様であり, エンジン運用状態、による影響を受けるため, 加速発進時の出力が特に 大きくなる. 交通公害は|直後人体に彩符をうえるため, その正確な予測が必要となる.
そこで本研究では, エンジン運用状態を含む信号交差点を発進する自動車の挙動を予測 し, これに音響出力予測モデル, 排気ガス出力予測モデルを併用することにより, 自動 騒音, 排気ガスを予測し, 観測値と比較することにより適合度を検討すると同時に, 信号
交差点付近における騒音, 排気ガス分布の予測を行うものである. なお, 本章で取り扱う 排気ガス成分としては大気汚染の現状が改善されていないNOxとし, ガス拡散にはパフ モデルを用いた.
5. 2
騒音予測モデル
5. 2. 1
マン ・ マシン ・ システム ・ モデル
発進加速する自動車の騒音を予測するには そのエンジン運用状態を把握することが~
要である. 信号交差点から発進する車群の発進挙動については, 単独車の挙動については 第2章で提案した「単独車モデルJ, 車群中のn番車については第3章の「追従車モデルJ,
また車種の異なる自動車については第4章の「大型車モデル」を用いて, その挙動を再現 する. 図5-2に「追従車モデルJのブロック線肉を示す. モデル巾のヒューマンファク ターと自動車の機械的性能をぷすパラメータについては第2章から第4章を参照されたい.
本ブロック線図から微分方程式の導出, ならびに自動車発進挙動の理論挙動計算につい ては前章においてふれているので, 詳細については前章を参照にされたい. 理論値は, 、 均的な挙動を表すため, 平均値を用いるものとする.
�点線内部が先頭車モデル
Vr
刈5-2 追従車のブロック線|文
5. 2. 2
音響出力予測モデル5-16)
動車騒音は, その出力や重量に大きく依存するものであり, 特に出力の大きい発進加 速時の騒音を予測するには, エンジン運用状態を反映する音響出力予測モデルが必要であ る.
本研究では, 音響出力モデルとして九州工業大学の渡辺義則先生の提案された「音響パ ワーレベル推定計算式J 5-16)を用いるものとする. 本推定計算式は, 音響パワーレベルに影 響を与える自動車の挙動について物珂的特性を明らかにしたヒで, 解析íl�に求めたもので あり, 加速定行への適用性が高い.
本計算式の/己の式は文献5・1ï)表-2rjlの供試車c(貨物口動車, ディーゼル機関, 排気 毘5,500c c, 昭和4 9年式, 定積) に対応する式 であり, 以 下に示す.
供試車C: SL = 68.7 + O.059V + O.502N + O.0547A SL:騒音レベル(d B (A))
V:車の走行速度(km/h) N:機関回転数(rpm/100) A:加速度(gal)
(5・1)
式(5・1)は走行車両の中心線より距離7.5m, 高さ1.2mの地点における騒音レベルであるた
め, r完全反射面を有す半自由空間におかれた無指向性の点音源」を想定して, PWLに 変換した. 式(5・1)は速度, 機関回転数, 加速度の関数形であるが, 発進直後の半クラッチ を除いて, 変速段位毎に速度と機関回転数の聞には一定の関係が成り立つため548), これ を速度と加速度の式に変形した. 大型貨物自動車では, 積載量や車両走行重量がPWLに 大きな影響を与えるため, これを予測モデルの独立変数として補正項B5-16)を設けた. Bを 式(5・2)に示す. これらを考慮して最終的に導出したのが表5-1の「音響パワーレベル推 定計算式」である.
表5-1 音響パワーレベル推定計算式 変速段位 音響パワーレベル推定計算式 1速 L = 94.2 + 1.205V + 0.0547 A + B
2速 L = 94.2 + 0.719V + 0.0547A + B 3速 L = 94.2 + 0.429V + 0.0547 A + B 4速 L = 94.2 + O.283V + 0.0547 A + B 5速 L = 94.2 + 0.220V + 0.0547 A + B
L:音響パワーレベル(d B (A)) A:加速度(gal)
V:速度(km/h)
B:最大積載量と車両走行重量の補正 Wr I-JPS ‘ W B = C" 102: lJ ':_ー+5102:-
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Wo:文献5・17)の供試車Cの総重量, 7825 (kgf) P S 0 :向上の機関出力, 135 (ps)
(5・2)
なお, c 。の値は最大積載量が4.5tf以下の場合には35, 同じく4.5tfより大きい場合に は15とする.
本推定計算式にマン ・ マシン ・ システム ・ モデルを組み合わせることにより, 発進車群 の騒音を予測するものである. 本モデルの有用性については, 騒音測定実験により検証す る.
騒音測定と予測
5. 3. 1
測定概要
騒音測定実験の概要を図5-3に, 測定装置の諸元を表5-2に示す. 騒音測定は, 第 4章にて行った大型車走行実験と同時に行った. 供試車(排気量12000cc, ディーゼル機 関)を信号交差点より発進させ, 供試車の車体両側面に取り付けた2つの騒音計の騒音レ ベルを測定し, 供試車が発進してからの時間変化を車載のデータレコーダに入力した. 騒 音計は供試車のエンジン部分から6mの距離に設置した. 信号青現示表示のタイミングに ついては, 青信号に焦点を合わせたフォトトランジスタが青信号を感知すると同時にFM 電波発信機が発信する電波を車載のラジオで受信し, データレコーダに記録した.
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表5-2 測定に使用した機器
名称 型式 仕様
データレコーダ TEAC R-71 DC"'-'1.25kHz SN比 40dB以上 レベルレコー夕、 RION LR-20 周波数範囲0"'-'8000Hz
騒音計 RION NL-14 測定範囲
サーチアイ-100 A特性 28"'-'130 dB C特性 33"'-'130 dB FLAT 36"'-'130 dB フォトトランジスタ 東芝 TPS-603
カメラ PENTAX ME super
騒音測定結果
騒音測定は供試車の積載率を0%と1 00%の2ケースで行い, それぞれ1 4回づっ測 定した. このときの被験者はl名である. 供試車が信号交差点を発進してからの騒音時間 変化の例を積載率毎, 騒音計測定個所毎に図5-4---7に示す.
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図5-7 騒音の時間変化(騒音計B .積載率1 0 0 %)
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速度, 車両重量に関する補正項である. 速度, 加速度については大型車マン ・ マシン ・ シ ステム ・ モデルより, 車両重量に関しては供 試車の車両性能よりそれぞれ得ることが出 来 る. ヒューマンファクターに平均値を用いたときの大型車の理論発進挙動(加速度, 速度) を積載率毎に図5-8'"'-'11に示す.
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図5 -1 1 理論速度(積載率1 00%)
12 14
16
16
た騒音計とエンジンとは6mの距離がある. 道路・ ボデ、イによる反射を3dBとすると,
距離減衰により騒音レベルSPL(dB)は次式で表される.
SPL = L -201ogD-8
SPL:騒音レベル(cl B (A)) L:音響パワーレベル(dB (A))
D:音源から測定点までの距離(m)
(5・3)
測定における距離は6mであるので, 距離減衰としては約24dBの減衰が生じることに
なる. 図5-8'"'"'11より得られる理論発進挙動(加速度, 速度)を表5- 1の音響パワ ーレベル推定計算式に人力することにより得られる吉響パワーレベルに距離減哀を加えた 理論騒音レベルと観測値の比較を図5-4'"'"'7に示す. 実線が観測値, 細線が理論値を表 しているが, その適合度はよいことがわかる. よって, 本手法を用いることにより, 発進
車群の騒音を正確に予測することが可能である.
5. 3. 3
交差点付近における等価騒音レベル分布
従来, 環境基準として用いられてきた騒音評価指標は50%値であった. しかし, 本指 標は中央値であり, 時間によって大きく変動する交通騒音を評価するのに十分有用とはい えなかった. そこで近年環境基準が見直され, 中央値に変わって評価指標として用いられ ることになったのが等価騒音レベル(LE Q)である. これは, ある時間内の騒音のエネ ルギ一平均を表すものであり, 中央値に比べて騒音の状態を表す指標として認められ始め た. そこで, 本研究においても等価騒音レベルを用いて騒音予測を行うものとする.
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LEQ:等価騒音レベル(cl B (A)) SPL:騒音レベル(cl B (A)) TEQ:十分長い時間間隔
(5・4)
前節において本研究による音響出力予測手法が有用であることが判明しているので, こ こでは本手法を用いて交差点から発進する車群の自動車騒音の分布状況を等価騒音レベル によって予測する.
片側1車線の道路が十字型に交差する信号交差点を想定し, 各車線から信号青現示表示 と同時に一定の大型車混入率をもっ車群が発進する場合の等価騒音レベルを予測する. 信 号交差点から発進する車群の挙動については, 第2章から第4章にて提案した単独車モデ ル, 追従車モデル, 大型車モデルを組み合わせることによりその予測を行う. 車群の構成 (大型車混入率, 大型車積載率)を表5-3に示す. 大型車の積載率については平均的に は約30%程度であるといわれているが, ここでは大型車の積載率による違いを見るため,
0%と100%を想定した.
表5-3 車群の構成 ケース1 大型車混入率0%
ケース2 大型車混入率10% 大型車積載率0%
ケース3 大型車混入率10% 大型車積載率100%
ケース4 大型車混入率20% 大型車積載率0%
ケース5 大型車混入率20% 大型車積載率100%
群のO. 0 2秒ごとの挙動から各車両の時々刻々の音響パワーレベルを算出し, これに距 離減衰を加えることにより各地点の騒音レベルを求め, エネルギー平均を取ることにより 各地点の等価騒音レベルを算出する. このときの各ケースにおける等価騒音レベルの分布 図を図5-12�16に示す. 本ケースでは建物を考慮していない.
ケース1と2を比較することにより, 大型車の混入率が等価騒音レベルに与える影響,
ケース2と3を比較することにより大型車の積載率が等価騒音レベルに与える影響を見る ことができ, いずれのケースも大型車の影響により等価騒音レベルが上昇している. また,
ケース2と3, 4を比較することにより, 大型車の積載率よりも大型車混入率のほうが騒 音に与える影響が大きいことがわかる.
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図5-16 等価騒音レベル分布図(ケース5 ・大型車混入率20% ・積載率100%)
また, ケース1'"'-'5とは別に建物による影響をみるため 道路中心から10mの位置に 十分高さの高い壁があるケースとないケースを想定してそれぞれ騒音予測を行った. この とき騒音は壁で全反射するものとし, 交差点を発進する市群は普通事のみとする. 図5- 1 7から簡便ではあるが, 本手法により建物の有無への応川も可能であることがわかる.
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図5-17 建物の有無による騒音分布の変化(上・建物なし, 下・建物あり)
5. 4
排気ガス予測
5. 4. 1
モデルの構成
自動車排気ガス予測を行う際,騒音と同様に第2章から第4章で提案したマン・マシン ・ システム ・ モデルにより自動車の発進挙動を予測し, これに排気ガス出力予測モデ、ルを併 用するものである. さらに拡散モデルとして弱風時の拡散を表すパフモデルを用いること により, 信号交差点における排気ガス濃度分布を予測する. マン・マシン・システム・モ デルについてはすでに5. 2. 1で述べているので, ここでは排気ガス拡散モデルと, 排 気ガス出力予測モデルについて述べる.
5. 4. 2
拡散モデル
沿道地域における大気拡散予測モデルとしては, 地形が平坦であり, 風速, 風向, 排出 源強度が定常状態を対象とするブルームモデルと 煙源から連続して排出されるガスが煙 塊として拡散する無風状態、を対象とするパフモデルがあるが, 本章では風による影響を考 慮しないため, 後者のパフモデルを用いる.
点煙源から連続して一定の割合で排出される場合のパフモデルは次式で表される.
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*ト|一日}+叶(:;;il
C (x,y,z,T):排出後T時間経過時の座標 (X,y,Z)における 拡散物質の濃度ωpm)
x 排出源からの座標軸上の距離(m)
y :軸に対して直角な水平距離(m) z 地表面からの鉛直距離(m)
Q :拡散物質の排出源強度(ml/8)
。y(t) :排出後t時間経過時の水平方向拡散幅(m)
。z (z) :排出後f時間経過時の鉛直方向拡散幅(m)
H :排出源高さ(m)
t(J 初期拡散幅となるのに相当する時間(8)
(5・5)
昼夜の別 α γ
思 o. 18
0.3
イ交 0.09
式(5・5)の拡散幅についてはThnerの拡散幅(式(5・6), 表5-4)を用いたら20)
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Y t -・(5・6)式(5-5)で、は計算量が膨大になり時間がかかるため, 式(5・6)を式(5・5)に代人し, さらに時 間が十分経過したものとして積分すると次式が導かれる. これを簡易パフ式と呼び\本立 の拡散計算に用いる.
Q
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1-exp( -I/ t o 2)
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-・(5-7)ただし,
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NOxガス出力予測モデル5・19)と排出源強度
3 4.
5.
自動車排気ガスはエンジン運用状態によってその出力が変動するものであり, 一般的に
しかし, 個々のエンジンに はシャシダイナモを用いることによりその関係を定量化する.
そこで, 本研究 モデルの汎用性を考えた場合問題がある.
対する関係を定量化するのは
吉田5.19)の提案したNOxガス出力予測モデル(図5 - 1 8)を用いる. 本モデルは,
では,
エンジン運用状態とNOxの関係を把握しており, 本研究の興味の中心である発進時に十 分対応可能である. 大型車NOx排出量Vonox(glh)と仕事量p s hの関係を次式に示す.
(5・8)
VONOX = 4.570
psh +
65.46pskJLNu(IFI+R)
60 *75 ただし
1 e (kgf. m' 82) :エンジン回り慣性モーメント :エンジン回り回転角速度
ωi (rad/82)
大型車
口
Y=4.570X+65A6
Y=4.570X+27.74
(r=0.9951) (r=0.9929)
300
100
ハUハUつ'一
(工\ロ)J一一一」一…一ミ(も×CZ一〉
小型トラック
。
60
40 50
30 X:psh 10 20
。
。
p s hとNOx排出量の関係 図5 - 1 8
クを図示しているが, ともに同じ傾きを持つことから車種による違いは小さいと考えられ る. そこで他の車種についても同様の関係があるものと仮定して, 普通自動車換算係数λ 1を設定し, 普通車NOx排出量V FNOX(g/h)を次式で表す.
VFNOX =入lVONOX -・(5・9)
一定の交通量が通過した際のNOx濃度を測定した結果からλlを推定した. その結果,
λ1 =0.237を得た. 式(5・8),(5・9)の両式に発進挙動モデルから得られるエンジン運用状態 を適用することにより, 時々刻々に変化するNOx排出量を求めることが可能である.
ところで, パフモデルは一点の煙源から連続してガスが排出されるモデルであるのに対 し, 自動車は走行するために煙源が移動してしまい, このままではパフモデルに適用する ことはできない. そこで, 排出源強度を車群の進行方向に配置して所定時間内の平均とし,
複数の車群を発進させ排出量の時間平均をとることにより排出源強度Q (ml/sec)を算出し た NOxガス濃度予測では排気ガスの発生煙源が自動車の走行によって進行方向に移動 するものとして計算を行った.
5. 4. 4
NOxガス濃度予測
( 1 )開けた地形に対する拡散
マン ・ マシン ・ システム ・ モデルにパフモデルを併用する本手法の有用性を検討するた めの第l段階として, 道路の近傍に建物がなく交差点となっていない信号のある場所(歩 行者用信号のみの場所)で片側2車線の道路におけるNOxガスの濃度予測を行った. 測 定地点は,道路近傍に自動車排出ガス局がある箇所とし, 弱風時に測定を行った. 関5-
1 9は道路形状を示し, 表5-5は実際の交通量について1時間の測定を行い得られた結 果に基づいて普通車と大型車に分炉、した結栄を示す. 理論計算を行う際の普通lド, 大型車 の諸元については, それぞれ第2章,第4章の走 行実験に用いた供試車とする.
このとき3m毎の各地点の窒素酸化物理論濃度分布を表したのが図5-2 0であり, 自 動車排出ガス局について理論値と観測値の比較を 行った結果を表5-6に示す. 自排局の 位置は, 道路中心から8m, 第I車線の停止線から9mである.
第E車線,-. 第皿車線I l 第五f車線 第I車線 .
内I t
自 i圏|圏 m x I圏I�
図5-19 道路形状図(ケース1)
ケ ス
直進車通過台数(台) 車種 第I 第E 第E 第N
車線車線車線車線 普通車 426 387 384 427
74
;大大型型車 車
83 100 87 混入率 0.16 0.21 0.18 0.15
-30
合計 (台) 1624
344 0.17
o (m)
30
。
-30 30
口0-0.02口0.02-0.04口0.04-0.06口0.06-0.08・0.08-0.1 (ppm)
図5-20 NOx濃度分布(ケース1 )
建物を含む交差点における拡散 ( 2 )
次に, 道路の近傍に建物があり片側1車線道路の信号十字交差点付近のNOxガス濃度
;fl手の状況を表す. このと 予測を行った. 図5-2 1は道路形状を表し, 表5-7, 8は
( 1 )と同様に建物を考慮せずに窒素酸化物の濃度予測を行った結果を図5-22に き,
排局におけるNOx観測値と建 このとき,
示す. 車両の諸元はケース1と同ーとする.
かなり差が生じている.
物を考慮していない理論値を表5-9に示すが,
付近の濃度分布を考え建物の高さは 分に高く 建物における影響について地
そこで,
し, 動車排 その結果を図5-2 3に/
射するものとして理論計算を行った.
NOxはふ
道路中心からl 自排局は,
o ;(lJ判定濃度との比I鮫を表5-9に示す.
出ガス局における
2 3から建物を考慮することにより理 6mの位置である. 図5-2 2,
1 1.
7. 3m,
論値による観測値再現性が高いことがわかった.
動車排出ガスロヌ
悶悶 悶悶一
第N車線
第E車線
�I
+ I�
線
一圏悶悶
第I建物 第E車線
道路形状図(ケース2) 支]5 -2 1
直進車通過台数(台) 合計 車種 第I 第E 第皿 第N
車線 車線 車線 車線 (台)
ケ 普通車 631 57 7 2 65 2 23 1696
大型車 34 34 2 7 30 125
ス 大型車
2 混入率 0.05 0.06 0.10 0.12 0.07
表5-8 左折$-:の車群の構成(ケース2 )
進入車線(台) 動行 車種 第I 第E 第E 第N 合計
車線 車線 車線 車線 (台)
左 普通車 44 85 3 6 41 206
折 大型車 3 16 3 23 右 普通車 61 。 74 116 251
折 大型車 5 。 2 2 2 29
30
/ \
/ / \ ト\
./ \
日rヤ" / f\ 、、、、、
、 -・-崎町・円ー
a〆v \
-,_.-戸'
団際
、、ト、、/ 司、~、
..._ ト『同 --ー-
-‘・・t--、、 /
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"'" ノ〆'
h・・ー~ \ ノ -ト回ーー-
戸、『、、 "-l/ ...
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『
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(m)
尋
1/
/
\ノ v 円、 \
-回h・.司、トJ.... 園園田
\ / \
� ...-
開.A-- __.... ~、
司駐
/ 、、、.,..., 、... v 司、、\ 旬、‘ー-ー 、\ /' レ/ -
\ ノ
"-v JI\
\ /
建物、、\ \tI
一一一 \ ョ4
30
。
-30 。(m)
-30 30
口0-0.04口0.04-0.08ロ0.08-0.12・0.12-0.16
m PA PA ft、、
|文15-23 NOx濃度分布図(ケース2 ・建物あり)
表5-9 理論・観測値の比較(ケース2)
実測値 理論値 (ppm) (ppm) 建物考慮、なし 0.044
ケース2 0.096
建物考慮あり
5. 5 結論
本章の前半では, 第2章から第4章で提案した3つのマン・マシン・システム ・モデル に音響出力予測モデルを併用することにより 発進加速車群の騒音を予測するを試みた.
動車騒音に与える影響の高いエンジン運用状態をマン・マシン・システム・モデルによ り予測し, これに音響出力予測モデルを併用することにより加速発進時の騒音を予測する ものである. 大型車走行実験により騒音の観測値と理論騒音を比較した結果, 理論値が観 測値を再現していることがわかる.
本手法の有用性が卜分高いことを椛認したヒで, 十字型の交差点における発進車群の騒 音の分布子測を行った. 騒音評価指標としては, 、�L成1 1年4よjから環境基準に導入され る等価騒音レベルを用いている. 本研究で提案した手法は, 自動車の発進挙動をエンジン 運用状態、を把握することにより予測するため, 騒音に与える影響の大きい大型車の騒音を,
その積載率や混入率の変化, また自動車の動力性能に対応しならが予測することが可能で ある. また, 簡単ではあるが, 道路近傍に建物がある場合に騒音分布に与える影響をみる ため, 音が壁で全反射するものとして騒音分布予測を行った.
後半では, 排気ガスについて騒音同様3つのマン・マシン・システム ・モデルにより発 進加速車群の挙動を予測し, これに排気ガス出力予測モデル, ならびに拡散モデルとして パフモデルを併用することにより, 信号交差点を発進する車群を対象とする排気ガス濃度 分布の予測を行った. 一定時間測定した交通量を対象にしており, 現実の大型車混入率に 対応した予測を行った. 自動車排気ガス測定局におけるNOx濃度観測値と理論濃度を比 較することにより, 開けた地形における本手法の適合度が高いことを確認した. 次に, 道 路近傍に建物があるケースについて同様に理論計算を行い, 観測値との比較を行った. そ の結果, 建物を考慮することにより観測値に対する再現性が高いことがわかった.
本研究を用いることにより, 信号交差点における加速発進自動車の騒音・排気ガス予測 が可能になると同時に, 交通公害低減を図るに際して影響の大きい要因の把握や, 環境某 準に基づく交通量制御が可能になると考えられる. ただ, 排気ガスに関しては建物を考慮 する際に垂直方向の検討を加えておらず, この点に関しては改善の余地を残している.
参考文献
5・1) 道路運送車両法, 1951.7.28 5・2) 騒音規制法, 1968.6.10 5司3) 大気汚染防止法, 1968.6.10
5-4) 北村音壱, 佐々木実, 斉藤正浩:日本音響学会研究会発表講演論文集, pp206, 昭 和44年5月
5・5) 圧司 光, Lll本剛夫, 中村隆一:街頭騒斉とくに交通騒音に関する研究, 円ノド音響
学会誌, Vol.19, No.3, 1963.
5・6) D.R. Johnson and E.G. Saunders: The Evaluation of Noise from Free Flowing Road 1ì�affic, J. Soun. D Vib.,7(3), 1968.
5・7) 高木興一, 平松幸三, 山本剛夫:指数分布モデルに基づく道路交通騒音の研究, 日 本音響学会誌, Vo1.33, No.6, 1977.
5・8) 佐々木 賞, 山下充康:道路特殊箇所の騒音の予測方法に関する研究, 日本音響必 会誌, Vo1.40, No.9, 1984
5・9) R.L. Wayson, J.M. MacDonald, R. Eaglin and B. Wendling: Simulation Approach to Traffic Noise Modeling, Transportation Research Record, NO.160 1, pp64・70, 1997 5・10) P. Abbott, M. Taylor and Roger Layfield: The Effects of1旨a伍c Calming measures
on Vehicle and Traffic Noise, Traffic Engineering & Control, Vo1.38, No.9, pp447・
543. 1997.
5・11) 東京都公害局:自動車公害ハンドブック, 1980
5・12)産業公害防止協会:移動発生源からのNOX排出量調査( 1 ),産業公害, Vol.15,
No.8, pp43・52, 1980.
5・13)岡本真一, 小林恵三, 北林興二:自動車排出ガス拡散モデルの比較検討, 公害, Vo1.20,
No.5, pp21・36, 1985.
5・14) J.K. Kent and N.R. Mudford: Motor Vehicle Emission and fuel Comsumption Modelling,τ'ransportation Research, Vol.13A, pp395・406,1979.
5・15) 西村 昂, 日野泰雄, 寺本 譲:自動車走行モードに基づく排出ガス量の予測方式 に関する一考察, 土木計画学研究論文集, No.7, pp283・288, 1989.
5・16) 渡辺義則, 角 知憲, 吉松正浩:単独車両の発進挙動に基づく音響パワーレベル推
5・17)安東武夫, 大塚 保, 村上孝行, 森 茂:実走行状態と等価な単純走行モデルに よる自動車騒音の測定法に関する研究, 環境庁企画調整局研究調整課編, 環境保全 研究成果集E昭和5 5年度, pp102・1""102-8, 1980.
5・18) 稲葉正太郎:理論自動車工学入門, 日刊工業新聞社, 1980.
5桐19) 吉田耕一, 小池章介, 塚本雄次郎, 成沢和幸:ディーゼル車からのNOx排出量の
ァ測手法に関する研究-直接噴射式エンジンのNOx排出特性に関する一般的考察- 5・20)清水 博, 足立義雄, 辻 靖三, 根本 守:道路環境, 山海堂, 1987.
第6章 人体の動力学的特性
6. 1
はじめに
本章は, 歩道通行時の車椅子利用者の動的特性を把握することを日的とする. 高齢者や 身体障害者のモビリティを確保し社会参加を促進することは11卜-の社会的要請の 4つであ り, 道路や駅, 建物内部の交通障碍を取り除くバリアフリー化や, エレベーターやリフト など支援設備の設置が進められるとともに, 移動性や安全性を確保するための研究が続け られている十1). 6-2). 6-3). 6-4). 6-5) .6-6).6-7) ところで, 車椅子利用者から, 単にモビリティの 確保に止まらず, ブロック舗装やインターロッキング舗装あるいは切石舗装路面の通行の 不快感が訴えられることがある6-R) これらの舗装は, 街路景観の向上や雰囲気の演出を 的に採用されることが増えているが, 車椅子利用者は, 意図的にその街路を避けることも あるという. しかし, わずかな配慮を行えば, 景観や雰囲気を損なうことなく車椅子走行 の快適性を改善可能である. そこで本章では, 振動や動揺を計算するために人-車椅子系 の力学モデルの作成を試みる. 従来の人・車両系力学モデルは車両重量が人間に比して大 きいため, 人間の扱いを省略しがちであるが, 車椅子の場合搭乗者の影響が大きいためこ れを無視することは出来ない. 次に, 初歩的ではあるが, 人を評価システムとしてとらえ ることにより路面平滑度と走行の快適性の関係を把握して快適性と街路設計を両立させる ための評価手法を提案する. 通常このような手法を用いる場合, 物理条件をランダムに設 定し, それに対する被験者の反応を測定することが望ましいが, 車椅子利用者の快適性を 調査する場合, 不快感を知覚させる条件設定を行うことは難しいため, 外的条件を段階的 に設定した.
人・車椅子の力学モデル
6. 2. 1
モデルの構造
不整のある路面を走行する車両の運動を計算するもっとも基本的なモデルは, 図6 - 1 のようなパネ・質量系モデルであり 本論文でもこれを採用する. また, 表6 - 1にモデ ルの諸元を示しておく. 自動車など通常の車両では, 搭乗者より車両のβが大型大質量で 座席や搭乗者は簡略化されることが多いが69)H-|O), 車精子では人体のβが支配的で, シー ト ・ 人体系をより詳細にモデル化する必要がある. 図6 - 1では, このような観点から人 体を頭, 胸, 腰の3つに分割したモデルを採)4]している.
表6 - 1 記号のJ意味 記号 単位 意味
汀11 kg 前軸ばね下質量 ロ12 kg 後軸ばね下質量
ffi3 kg ばね上質量
打14 kg.m2 ピッチングモーメント
ffi5 kg シートと腰の質量
ffi6 kg 胸・腹の質量
ffi7 kg 頭の質量
k 1 N/m 前軸ばね下のばね係数 k2 N/m 後軸ばね下のばね係数 k3 N/m 前軸ばね上のばね係数 k4 N/m 後軸ばね上のばね係数 k5 N/m 座席のばね係数 k6 N/m 腰と腹のばね係数 k7 N/m 肩と頭のばね係数
m 車体重心と前軸の距離
ロ1 車体重心と後軸の距離
立1 車体重心と座軸の距離
WB ロ1 ホイールベース
Cl NS/m 前軸ばね下の減衰係数
C2 NS/m 後軸ばね下の減衰係数
C3 NS/m 前軸ばね上の減衰係数
C4 NS/m 後軸ばね上の減衰係数
C5 NS/m 座席の減衰係数
k々T
C64
4 WB
静4
\、』ノJTEL /'E\ LH -v a--
..
..
図6-1 人-車椅子系力学モデル
歩道路面凹凸の曲率が車椅子車輪のそれよりも小さく
ースに発生する車椅子振動を「長周波凹凸による振動J, 路面凹凸の曲率が車椅子車輪の それよりも小さい場合を「白地との衝突」に分類し, 両者についてそれぞれ取り扱うもの とする.
( 1 )長周波 による振動
走行方向に距離xを取り路面の高さをh1 (x)で表す. 走行速度Vとすると, 前輪はt=x/v で変換された時間tを用いてh1 (t)の強制変位を受け, 後輪はホイールベースWBをWB/vで、変
換した時間twだけ遅れたh2 (t) = h
1
(t + tw)の強制変位を受ける.これらの強制変位を入力とする系の逼動方程式は69),
ぽ+CX+KX=F(t)
(6・1)と与えられる. ここに,
x=い1,X2 ,X3 ,X4 ,Xs ,X6 ,X7 r
(6・2)F(t) = (k]h] (t) + c1h1 (t),k人(t)+ c人(t) ,0,0,0,0刈T
(6-3)であり, 上添字Tはベクトルの転置を意味する. さらに, M, C, Kは系の慣性, 減衰特 性, および剛性を表す行列で, それぞれ次のように表される.
mj
m2 。
m3
M = 1 げ14
(6・4)
ms
。 m6
m7
Cj + C3 。 -C3 I1 C 3 。 。 。
。 C2 + C4 -C4 -/2c4 。 。 。
-C3 -C4 C3+C4+Cs -/IC3 + 12c4 -l�cS -Cs 。 。
C = 1 I)c 3 -/2c 4 -/)c3 + 12c4 -/3cS 2 , 2 , 2
IILC3 + 12 LC4 + Is LC 1 sC 5 。 。
。 。 -Cs lsc 5 c5 + C6 - C6 。
。 。 。 。 - C6 c6 + C7 -C7
k, + k3 。 -k3 l,k 3 。 。 。
。 k2 + k4 -k4 -l2k4 。 。 。
-k3 -k4 k3 +k4 +k5 -l,k3 + l2k4 + l�k5 -k5 。 。
K
=
I l,k 3 - l.].k 4 -l,k3 + l2k4 -l�k5 2k. + l 2k
l,k5 。 。
l,"k3 +l2�k4 +lf
。 。 -k弓 l�k 5 k5 + k時 -kι 。
。 。 。 。 -k品 kó + k7 -k7
。 。 。 。 。 -k7 k7
(6・6)
孔(6・1),(6・2),(6・3)をフーリエ変換することにより次式を得る.
(-w2M +iCω+K)X(ω)= F(ω)
(6・7)x(ω)=い1 (ω九(ω九(ω九(ω九(ω),xó(ωド7(ω)y
(6・8)F(ω) = ((k1 + iúX1 Yzl (,ωドへ(k2+ iば2 Yz2 ( ω�-i山ぺ0,0,0,0,0 r
(6-9) 周波数応答関数をH(ω)とおくとxい)=H(ω)ヤ(ω)
(6・10)、� ....".
, ...,..L. L. V、ー
円。
仁川γ仁川「仁川「仁川「仁川「人W人W
H
HHHHHH 仁川「仁川「人W仁川「仁川「仁川「仁川「
HHHHHHH 仁川rιw仁川「仁川「ιψ人wιw
H
HHHHHH 仁川け仁川「仁川「仁川「仁川け仁川γ仁川「
H M MA MH H um - HHHHHHH ιψιw仁川「人wιw仁川γιw
H
HHHHHH 仁川「人W仁川「仁川rJW仁川「仁川γ
H
HHHHHH 人wιwιw仁川「人wιw人W HHHHHHH
ω H
である. 式(6・10)より振動加速度スペクトルα(ω)が次式で表される.
αい)=ーω2H(ω)ヤ(ω)
(6・12)α(ω) = (α1 (,ω〉α2(ω九(ω),α4(ω九(ω),α6(,ω),α7(ω)y
(6・13)シート下の振動加速度スペクトルをα'(ω), 設置した加速度計と車椅子重心との距離を1 A とすると最終的に次式が導かれる.
ぜ(ω)=α3(ω)+IAa4(ω)
(6・14)( 1 )の場合と異なり, 運動方程式のF (t)は車輪が目地と衝突する際に受ける力である ので, 車椅子車輪が歩道フゃロックに衝突する際の速度から振動加速度スペクトルを求める.
車椅子車輪が歩道フゃロックの角を回転中心, ブロック間の距離を半径とする円運動を想定 する. このとき, ブロックと車輪の衝突速度をV, ωを円運動する車輪の角振動数, rを 目地幅, Rを車輪の半径, vを車椅子速度とする.
ν=rω= r"2π.ヱー=三y
2πR R
(6・15)前輪, 後輪それぞれについて歩道ブロックと衝突した際の振動加速度スペクトルを求め,
両者を合成する.
車輪
ブロック 白地
図6 - 2 目地と車輪の衝突
d 可
V :車椅子速度
ブロック
0前輪と歩道ブロックの衝突により生じる振動加速度スペクトル
前輪踏面速度をVT, 前輪のパネ反力による応答をV w' 前輪が歩道ブロックに衝突する 速度をVo, Fを路面とタイヤ踏面が受ける力として次式を定義する.
νn'
7'- ν-ν -
"0 (6・16)前輪踏面の周波数応答関数をHT1(ω)とおくと, 上式をフーリエ逆変換することにより次式 を導くことができる.
上式より
r ( \ ir.v • 1下V(\ .r.V . 1下
,,� I ν T (1ω� iOXdω= - 1 -Lrdω 一一f iωfl Tl (ω)F] (仰IOXdω
(6・17)乙π二 2π シ ω 2πJ
ν7'(ω)= 会 -iwHnい)仰)
(6・18)とおける. 路面のばね係数をkRとすると
νT (1ω)= か い)
となり, これを式(6・18)に代入すると次式が導かれる.
1
( 1 _ _ I \ )F](ω)=_Á -ω- J I-f一+
I κRHn(ω)い
)。
(6-19)
(6・20)
前輪が複数の目地と衝突する場合, 前輪がj番目の目地と衝突する速度をVOj' 前輪が1 秒間に目地と衝突する回数をNとすると次式となる.
F -F↓
1
( 1
__ I \,- ]
F] (ω)= 一|了+H -ω �
kl?n (1ω) ) I I
þiι
vOje4一一一一一一
主 ↑v 。時-vω 前輪質点 前輪踏面
4‘
路面
VT
図6-3 」ム輪踏面における速度削 日
(6・21)
F(ω) = (F1 (ω10,0,0,0,0,0 Y
(6・22)を式(6・12), (6・13)に代入することにより振動加速度スペクトルを算出する.
0後輪と歩道ブロックの衝突により生じる振動加速度スペクトル
前輪の車輪半径をRl' 後輪の車輪半径をR2とすると, 式(6・15)より後輸が歩道ブロッ
クと衝突する速度は前輪のR1/R2倍になる. 前輪との時間遅れ, 半径比を考慮しつつ嗣 輪と同様にして後輪踏面の周波数応答関数をHT2(ω)とすると次式となる.
F,, (ω)=ユJ子+H 一 ω lκ R n (ω)(
) j:iわ{}j L J{ 2 I 円l叫
(6・23)後輪のみを考慮しているため
F(ω) = (0,F2 (<ω10,0,0,0刈T
(6・24)を前輪同様式(6・12),(6・13)に代入することにより振動加速度スペクトルを求める.
6. 2. 2
諸元の推定および測定結果との比較
車椅子の仕様書, 部品実測から求められる量は, ws=O. 400 (m), m1=0. 5 4 (kg), m2=4. 3 (kg)である. 他の諸元は, 被験者の体重60 k gを想定し人 体各部 の体積を概算して, m5=20. 6 (kg), m6=27. 6 (kg), m7=3. 5
(k g)とし, 下肢の一部と車体フレームの質量の和からm3=16 (kg)と推定, さ らに着座姿勢を検討して, m 4 = O. 5 7 6 (k g . m 2 ), 11 = O. 2 5 4 (m), 12ニO.
1 4 6 (m), 1 s = O. 0 4 5 (m)と推定した.
前輪・後輸のバネ係数は, 事椅子から取り外した各2輸をリジッドなシャフトで結合し て, 静的戟荷試験を行って推定した. Iヌ16 -4, 5に両者の静的載術試験の結果を, ぷ6 -2に自由振動試験によって得た固有振動数の測定結果を示す. 前輪はソリッドタイヤ , 後輪は空気タイヤであるがいずれも非線形性が存在する. モデルは線形であるので, 前輪 は10"-'50kgfまで, 後輪は20"-'50kgfまでの荷重変位曲線に直線をあてはめ て, k 1 = 4. 2 x 105 (N 1m) , k 2 = 1. 1 x 105 (N 1m)とした. 前輪の減衰係数は,
5"-'10Hzの範囲を想定し, 前輪がゴムの材料であることを考慮してい1)損失係数O. 1程度 となるように, C 1 = 1 0 0 (N・ s1m)と与えた. 後輪の減衰係数は, 輪心部 に3種類の
ダミーウェイト を取り付けて固有振動数を7. 5 H zから14Hzに変化させた打撃試験 を行い, その対数減衰率から推定して, C 2 = 5 4. 5 (N ・ s /m)とした.
表6-2 動的試験結果 有振動数(Hz) バネ係数(N/m)
I
13.8
I
5.9x1049. 8 1. 0 x 105
7. 5 1. 1 x 105
200
o
150
0
て100 E
E 50
、』ーノ
nununununununu nununU
ハunU ハU 民UFO A『
つu つL
1t (00?\EE)
。
。 20 40 60
(kgf)
図6-4 前輪載荷試験