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k k k k 多成分多相流解析による地盤内の空気移動シミュレーション

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Academic year: 2022

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(1)

多成分多相流解析による地盤内の空気移動シミュレーション

      大林組東京本社    正会員  ○西田憲司       大林組技術研究所  正会員    鈴木和明       同  上       正会員    須藤  賢       同  上       フェロー  上野孝之

1.はじめに 

  揮発性有機化合物で汚染された土壌・地下水の浄化技術の一つにエアースパージング法があげられる。こ れまでにも実現場で適用されている手法であるが、その設計技術は担当技術者の勘に頼るところが大きく、

場合によっては危険側の設計につながることが懸念される。こうした背景から、本研究では数値解析技術を 援用した設計技術の確立を目指している。ここでは、地下水中における空気の移動現象を多成分多相流解析 技術を用いてシミュレートすることを試み、得られた知見を述べている。 

2.室内実験の概要 

  シミュレーションにあたっては、江種らの室内実験1)を対象にした。江種らは、地下水中に注入された複 雑な空気の流れを明らかにするため、図−1に示す二次元水槽を用いた実験を行っている。実験では、140cm

×59cm×7cmの水槽内に粒径 1mmのガラスビーズ多孔体を形成し、水槽の左右両端の水位を一定に保った状態 で水槽底部から空気を注入し、空気の移動状況をマノメータなどで測定している。空気を連続的に注入した 場合の注入空気の拡がりを図−2に示す。江

種らは空気を間欠的にも注入して実験を行っ ているが、ここでのシミュレーションでは、

図−2に示した連続空気注入のケースを取り 上げることとする。 

3.解析モデル 

  ここでの地下水中の空気移動現象シミュレ ーションには、多孔質媒体内における3成分

(空気+水+VOC)3相(気相+水相+NAPL)

から成る流動の支配方程式を差分法によって 定式化した手法2)を用いた。 

  解析モデルを図−3に示す。解析は、空気 注入後の非定常解析である。空気注入口は水 平方向に一定幅の矩形形状と仮定した。水面

より上になる上面水平境界と側方境界に、一定大気圧 0.1Mpa 条件を 与えた。また側方境界の水面より下の水没部分には静水圧+大気圧 0.1Mpa の境界および初期条件を付与している。 

140cm 110cm

59cm 42cm

水位調節タンク

排水管 空気注入口

排水 排水

空気の注入(連続11.5L/min) コンプ

レッサー

排水管 P 送液ポンプ

DO除去装置 水の供給

マノメーター ガラスビーズ層

図−1 江種らの実験概要

5分後 128分後

図−2 実験結果(注入空気の拡がり)   本解析では液相と気相で同じ絶対浸透率

k

が用いられ流れやすさ

を定義している。すなわち液相の透水係数に相当する気相の透気係 数は同じ絶対浸透率

k

を用いた式により求められる。多孔質透水透 気媒体の絶対浸透率

k

は、実験地盤の飽和透水係数kl=2.0cm/secと、

水の密度および粘性を考慮して

k

=2.28×10-8m2とした。飽和度と 浸透,数値解析,地下水,透気性,透水性 

〒108-8502  東京都港区港南 2-15-2 品川インターシティB棟  TEL:03-5769-1054  FAX:03-5769-1905 土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月)

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3‑306

(2)

相対浸透率の関係は別途実験などによって求める必要があるが、ここでは図−4に示した3ケースを仮定し た。Case1は水相および空気相ともに線形関係、Case2,3はCorey’ curves3)で与えられる関係である。

  空気の注入条件については実験値流量 Q=11.5L/minをそのまま与えることができないため、要素単位で 空気質量を定義する手法を利用し、注入質量をm=0.23kg/secとして入力した。 

4.解析結果と考察 

  解析結果として、ここでは紙面の都合上、空気注入 128 分後の水飽和度分布図のみを図−5に示す。同図 には実験結果としての空気浸透範囲を記している。空気注入 128 分後は、解析、実験ともにほぼ定常状態に 達した状態である。解析結果からは、実験同様、空気が上方に移動するに連れて広がっていく様子がシミュ レートされている。しかし、空気の広がり方は各ケースで異なっている。すなわち、地盤内の空気移動現象 をシミュレートするにあたっては、図−4に示したような飽和度と相対浸透率の関係が非常に重要であると 考えられる。今回の解析では、Case3の解析ケースが実験状況をうまく表現しているといえるが、空気の広 がり度合いに一部実験値とのずれが認められ、今後、飽和度と相対浸透率の関係などの入力方法の改善が必 要であろう。 

5.おわりに 

  ここでは、江種らが実施した地下水中での空気注入実験を多成分多相流解析技術によってシミュレートし た。今後もより正確なシミュレートを目指して解析技術を改善していく予定である。 

【参考文献】1)江種伸之・中藤康拓・生原功一・平田健正:水分飽和多孔体に注入した空気の移動と溶解特 性,地下水学会誌,44-4,pp.285-294,2002. 2)http://www-esd.lbl.gov/TOUGH2/.  3) Brooks, R.H. and Corey, A.T. : Properties of porous media affecting fluid flow, Proc. ASCE, IR, Vol.92, pp.61-88, 1966.

1.0

0.5

0.0 水飽和度

実験5分後 実験128分後

図−5 解析結果(空気注入128min後の飽和度分布) (b)Case2

(c)Case3 (a)Case1

【水】P0+ρgh(Pa),ρ:1000kg/m3,    g:9.81m/sec2,h:水深(m)

空気注入2.33×10-2kg/sec

【空気】P0=1×105Pa

水面

図−3 解析モデル

0.59m 0.42m

1.1m

絶対浸透率ゼロ

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1

Sl 気相の相対浸透率krg[−]

図−4 飽和度と相対浸透率の関係 水相飽和度Sl [−]

水相の相対浸透率krl[−]

1.6 1.4 1.2 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 1.6

1.4 1.2 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2

00 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 Case1

Case2 Case3

0

土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月)

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参照

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